杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具
【課題】基礎構造への固定度が軸力に依存しないようにする。
【解決手段】本発明に係る杭頭接合構造21は、杭頭3を上部構造物5の基礎スラブ6に埋め込むとともに、杭頭3に設けられた端板4にアンカー鉄筋7を立設して基礎スラブ6に埋設し、基礎スラブ6の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面11を端板4の上面から離間させてなる。杭頭接合構造21を構築するには、杭頭接合用仮設具1を用いればよい。杭頭接合用仮設具1は、アンカー鉄筋7が挿通される挿通孔12が形成された円形天板8及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体9からなる被冠部材10を備える。被冠部材10は、円形天板8に形成された挿通孔12にアンカー鉄筋7が挿通された状態で、円形天板8が端板4の上面からΔhだけ離間した状態で杭頭3に被せることができるようになっている。
【解決手段】本発明に係る杭頭接合構造21は、杭頭3を上部構造物5の基礎スラブ6に埋め込むとともに、杭頭3に設けられた端板4にアンカー鉄筋7を立設して基礎スラブ6に埋設し、基礎スラブ6の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面11を端板4の上面から離間させてなる。杭頭接合構造21を構築するには、杭頭接合用仮設具1を用いればよい。杭頭接合用仮設具1は、アンカー鉄筋7が挿通される挿通孔12が形成された円形天板8及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体9からなる被冠部材10を備える。被冠部材10は、円形天板8に形成された挿通孔12にアンカー鉄筋7が挿通された状態で、円形天板8が端板4の上面からΔhだけ離間した状態で杭頭3に被せることができるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に埋設された杭と該杭が支持する上部構造物との接合箇所における杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具に関する。
【背景技術】
【0002】
杭基礎には支持杭形式と摩擦杭形式とがあり、前者は、良質な支持層が地下深くにある場合に該支持層まで打ち込んだ杭の上に上部構造物を構築することによって、構造物重量を支持層で安定支持する形式であり、後者は、良質な支持層がない場合に周辺地盤との摩擦力によって上部構造物を支持する形式の基礎形式である。
【0003】
これらの杭の頭部は、上部構造物の基礎スラブ、フーチングあるいは基礎梁といった基礎部材に埋め込まれ、該基礎部材を介して長期荷重である圧縮力が作用するほか、地震時には、上部構造物の転倒モーメントに起因する引抜き力や、水平力に起因する曲げモーメントが作用する。
【0004】
そのため、上部構造物がきわめて大きな地震に遭遇した場合には、杭頭に過大な曲げモーメントが作用し、杭の破壊ひいては上部構造物の倒壊といった不測の事態を招くおそれがある。
【0005】
そこで、最近では、例えば杭頭の端板に立設されたアンカー鉄筋にアンボンド処理を施すことによって、杭頭接合部の固定度を小さくする、いわば半剛接合工法の研究開発が行われるようになってきた。
【0006】
【特許文献1】特許第3438108号公報
【特許文献2】特開2002−356861号公報
【特許文献3】特許第3825795号公報
【特許文献4】特開2004−44303公報
【特許文献5】特開2006−193904公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる半剛接合工法によれば、杭頭接合部の固定度が小さくなるため、杭頭に発生する曲げモーメントを低減することが可能となる。
【0008】
しかしながら、従来の半剛接合工法においては、基礎部材への固定度が杭頭に作用する軸力によって変化し、それに伴って、杭頭に発生する曲げモーメントも変化する。
【0009】
一方、杭頭に作用する軸力は、杭ごとに異なるのが通常である。
【0010】
そのため、半剛接合工法で杭頭接合部の固定度を小さくすることができたとしても、その低減の程度は杭ごとに異なることになり、結果として非常に複雑かつ煩雑な設計作業を強いられるという問題を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、基礎部材への固定度が軸力に依存しないようにすることが可能な杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る杭頭接合構造は請求項1に記載したように、杭の頭部を上部構造物の基礎部材に埋め込んでなる杭頭接合構造において、
前記杭の頭部に設けられた端板に杭頭接合用ロッドを立設して前記基礎部材に埋設し、前記杭の頭部が埋め込まれた前記基礎部材の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面を前記端板の上面から離間させたものである。
【0013】
また、本発明に係る杭頭接合構造は、前記杭頭接合用ロッドを、前記端板に立設されたロッド部材と該ロッド部材の所定位置に取り付けられた定着板とで構成したものである。
【0014】
また、本発明に係る杭頭接合構造は、前記ロッド部材が挿通されるシース管を前記杭頭接合用ロッドに備えたものである。
【0015】
また、本発明に係る杭頭接合用仮設具は請求項4に記載したように、杭の頭部に設けられる端板に立設された杭頭接合用ロッドを前記杭の頭部が埋め込まれる上部構造物の基礎部材に埋設してなる杭頭接合構造に用いる杭頭接合用仮設具であって、前記杭頭接合用ロッドが挿通される挿通孔が形成された円形天板及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体からなる被冠部材を備えるとともに、該被冠部材を、前記円形天板に形成された前記挿通孔に前記杭頭接合用ロッドが挿通された状態で前記杭の頭部に被せることができるように構成してなり、前記被冠部材は、前記基礎部材の形成時にフレッシュコンクリートを打設する際、前記円形天板と前記端板との離間状態が保持されるようにかつ前記円形天板と前記杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないように構成してあるとともに、フレッシュコンクリート硬化後は、前記基礎部材が前記杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように構成したものである。
【0016】
また、本発明に係る杭頭接合用仮設具は、前記円形天板と前記杭の頭部との間に介装されそれらの離間状態を保持するスペーサを備えたものである。
【0017】
また、本発明に係る杭頭接合用仮設具は、前記円形天板と前記杭の頭部との間に充填又は配置されるコンクリート流入防止材を備えたものである。
【0018】
基礎スラブ、基礎梁、フーチングといった基礎部材への杭の固定度は、剛接に近いほど杭頭の回転剛性が大きくなり、地震時において発生する曲げモーメントも増加する。
【0019】
かかる状況下、従来技術で述べたように、固定度を落とす半剛接合工法が数多く検討されてきたが、それらのほとんどは、軸力によって固定度が変化する。すなわち、軸力が大きいと、杭頭接合部の回転剛性が大きくなって発生曲げモーメントは大きくなり、軸力が小さいと、杭頭接合部の回転剛性が小さくなって発生曲げモーメントも小さくなる。
【0020】
つまり、各杭に作用する軸力は一般的には杭ごとに異なり、それに伴って回転剛性も杭ごとに異なるため、半剛接合工法によって曲げモーメントの大きさを全般的に小さくすることはできても、その大きさは杭ごとに異なる。
【0021】
本出願人は、かかる状況に鑑み、半剛接合にしても回転剛性が軸力に依存しないようにするにはどうすればよいか研究開発を行った結果、杭頭に生じる曲げモーメントを、杭頭の端板に立設されたアンカー鉄筋の引張力と鉄筋コンクリートである基礎部材の圧縮力で支持するというそれまでの設計思想を捨て去り、圧縮力についてもアンカー鉄筋で支持する新規な設計思想を導入することにより、杭頭部における回転剛性を軸力に依存させないようにすることに成功したものである。
【0022】
すなわち、従来の杭頭接合構造では、基礎部材に埋め込まれた状態において、杭頭の上面と基礎部材との間に隙間は形成されないが、本発明に係る杭頭接合構造においては、杭の頭部が埋め込まれる基礎部材の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面を端板の上面から離間させる構成であり、結果として、杭頭の上面と基礎部材との間に中空空間が形成される。
【0023】
このようにすると、基礎部材に形成された埋込み凹部の凹部天井面と杭の頭部とが接触していないため、地震時水平力が上部構造物から杭の頭部に作用しても、杭の頭部は、基礎部材から回転拘束を受けなくなるとともに、杭頭で発生する曲げモーメントは、圧縮側も引張側も杭頭接合用ロッドが負担することになる。
【0024】
換言すれば、杭の頭部は、杭頭接合用ロッドを介した圧縮力及び引張力で回転拘束を受けるが、基礎部材との間の圧縮力伝達による回転拘束は受けないため、本願発明における杭頭の回転拘束は、軸力に依存しない回転拘束となる。
【0025】
そのため、杭頭の回転剛性、すなわち杭頭における回転変形角と杭頭に生じる曲げモーメントとの関係は軸力に依存しなくなり、設計プロセスを簡略化することが可能となる。
【0026】
杭の頭部は、基礎スラブ、基礎梁、フーチングといった基礎部材に所定深さだけ埋め込まれるが、本発明においては、基礎部材に形成された埋込み凹部の凹部天井面を端板から離間配置するため、杭頭の埋込み深さと埋込み凹部の深さは、離間距離の分だけ異なる。
【0027】
なお、杭頭の埋込み深さは、上部構造物の基礎部材と杭頭との間でせん断力が伝達される一方、曲げモーメントについては、杭頭接合用ロッドが負担する曲げモーメントよりも十分小さくなるよう、あるいは実質的に伝達されないように適宜設定する。
【0028】
基礎部材と端板との圧縮力伝達による回転拘束が生じない限り、凹部天井面を端板の上面から離間させるためにどのような手段を採用するかは任意であり、例えば杭頭接合構造を構築する際、杭の頭部に被せることが可能な被冠部材を備えた杭頭接合用仮設具を用いることが可能である。
【0029】
被冠部材は、杭頭接合用ロッドが挿通される挿通孔が形成された円形天板及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体からなり、円形天板に形成された挿通孔に杭頭接合用ロッドが挿通された状態で杭の頭部に被せることができるように構成してある。なお、円形天板と円筒体とを一体成形するか、それとも別体で形成して両者を適宜接合するかは任意であり、接合の仕方も、仮設部材ゆえ、必ずしも溶着等で接合する必要はなく、例えば耐水性テープや接着剤で足りる場合も考えられる。
【0030】
加えて、被冠部材は、基礎部材の形成時にフレッシュコンクリートを打設する際、円形天板と端板との離間状態が保持されるようにかつ円形天板と杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないように構成してあるとともに、フレッシュコンクリート硬化後は、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように構成してある。
【0031】
かかる被冠部材を備えた杭頭接合用仮設具によれば、被冠部材は、円形天板と杭頭の端板との間にフレッシュコンクリートを流入させないためのいわば型枠部材として作用する。なお、フレッシュコンクリート硬化後は、被冠部材が基礎部材に一体化し、被冠部材を構成する円筒体の内周面は、杭頭接合構造における埋込み凹部の内面のうち、凹部側面の一部又は全部となり、円形天板の下面は、凹部天井面となる。
【0032】
被冠部材を杭頭に被せるにあたっては、円筒体の内周面が杭頭の周面に重なるように被せてもよいし、円筒体の外周面と杭頭の周面とがほぼ面一となるように該円筒体の下端を杭頭の端板周縁に載せるように被せてもかまわない。
【0033】
円筒体を杭頭の周面に重ねるように被せる場合、例えば円筒体と杭頭とを接着剤で仮固定することで、円形天板と端板との離間状態を保持してもかまわないが、円形天板と杭の頭部との間にスペーサを介装するようにすれば、両者の離間状態を確実に保持することが可能となる。
【0034】
スペーサは、フレッシュコンクリート硬化後において基礎部材と杭の頭部との間に相対回転変形が作用したときに弾性変形若しくは塑性変形し、又は脆性破壊するように、その弾塑性特性を適宜設定しておく。
【0035】
かかる構成によれば、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないようにすることができる。
【0036】
スペーサの形態は任意であり、例えば波板状スペーサ、又は杭頭接合用ロッドが挿通される管状スペーサとすることができる。
【0037】
一方、円筒体の外周面と杭頭の周面とがほぼ面一となるように該円筒体の下端を杭頭の端板周縁に載せる場合、被冠部材自体がフレッシュコンクリートの圧力を支持することで円形天板と端板との離間状態が確保されるが、フレッシュコンクリート硬化後においては、スペーサと同様、基礎部材と杭の頭部との相対回転変形によって弾性変形若しくは塑性変形し又は脆性破壊することによって、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように、被冠部材の弾塑性特性を適宜設定しておく。
【0038】
円形天板と杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないようにするには、例えば円筒体の下端縁部と杭頭周面とを跨ぐように耐水性テープを巻回してもよいが、円形天板と杭の頭部との間にコンクリート流入防止材を充填又は配置する構成とすることも可能である。
【0039】
コンクリート流入防止材は、フレッシュコンクリート硬化後、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように、弾性変形し、収縮し、又は脆性破壊する材料、例えばスポンジや、発泡スチロール、発泡ウレタンその他の発泡系材料で構成することができる。
【0040】
コンクリート流入防止材を発泡系材料で構成した場合、円形天板と杭の端板との離間状態を保持するスペーサとしての役割も果たす。
【0041】
杭頭接合用ロッドは、杭頭の曲げモーメントを圧縮力及び引張力で支持できる限り、どのように構成するかは任意であり、例えば、端板に立設されたアンカー鉄筋等のロッド部材と該ロッド部材の所定位置に取り付けられた定着板とで構成することができる。
【0042】
ここで、ロッド部材が挿通されるシース管を杭頭接合用ロッドに備えたならば、ロッド部材についてアンボンド処理を行うことが可能となり、杭頭の回転剛性を小さく設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明に係る杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図1は、本実施形態に係る杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具を示した断面図、図2は、杭頭接合用仮設具を示した斜視図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る杭頭接合構造21は、杭2の頭部3(以下、杭頭3)を上部構造物5の基礎部材である基礎スラブ6に埋め込むとともに、杭頭3に設けられた端板4に杭頭接合用ロッドとしてのアンカー鉄筋7を立設して基礎スラブ6に埋設し、杭頭3が埋め込まれた基礎スラブ6の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面11を端板4の上面から離間させてなる。
【0045】
アンカー鉄筋7は、溶着、螺着といった公知の固着方法によって端板4に立設してある。
【0046】
かかる杭頭接合構造21を構築するには、図1及び図2に示す杭頭接合用仮設具1を用いればよい。杭頭接合用仮設具1は、アンカー鉄筋7が挿通される挿通孔12が形成された円形天板8及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体9からなる被冠部材10を備える。
【0047】
挿通孔12は、円形天板8とアンカー鉄筋7とが非固着となるよう、かつ後述するフレッシュコンクリートが被冠部材10内に流入しないよう、その孔径を適宜定めておく。
【0048】
被冠部材10は図1でよくわかるように、円形天板8に形成された挿通孔12にアンカー鉄筋7が挿通された状態で、円形天板8が端板4の上面からΔhだけ離間した状態で杭頭3に被せることができるようになっている。
【0049】
ここで、被冠部材10は、
i) 基礎スラブ6を形成するためのフレッシュコンクリートを打設する際、円形天板8と端板4との離間状態が保持されるように、
ii) 円形天板8と杭頭3との間にフレッシュコンクリートが流入しないように、
iii) フレッシュコンクリートが硬化した後は、基礎スラブ6が杭頭3に回転拘束を及ぼさないようにするように、
適宜構成する。
【0050】
かかる要件を満たすためには、例えば、被冠部材10を構成する円筒体9の内径を杭2の外径に一致させるとともに、該円筒体の内周面を杭頭3の周面に重ねて接着剤で両者を仮止めすればよい。
【0051】
接着剤の種類や塗布厚は、フレッシュコンクリートを打設する際にはその圧力を支持することで円形天板8と端板4との離間状態を保持するとともに、フレッシュコンクリートが硬化した後は、地震動その他の相対強制変形によって接着が切れるように適宜定めればよい。
【0052】
杭頭接合用仮設具1を用いて杭頭接合構造21を構築するには、端板4に立設されたアンカー鉄筋7が円形天板8に挿通されるようにかつ円形天板8の下面が端板4の上面からΔhだけ離間するように被冠部材10を杭頭3に被せ、かかる状態で被冠部材10の周囲にフレッシュコンクリートを打設することで、杭頭3の周囲に基礎スラブ6を形成するとともに、該基礎スラブにアンカー鉄筋7を埋設する。
【0053】
なお、被冠部材10の周囲に打設されたフレッシュコンクリートが硬化した後は、結果として、基礎スラブ6に埋込み凹部が形成され、該埋込み凹部に杭頭3が深さDだけ埋め込まれることになるとともに、被冠部材10は、基礎スラブ6に一体化し、円筒体9の内周面は、埋込み凹部の内面のうち、凹部側面の一部となり、円形天板8の下面は、凹部天井面11となって端板4の上面からΔhだけ離間配置される。
【0054】
ちなみに、埋込み凹部の深さは図1に示すようにD′であり、埋込み深さDは、Δhだけ埋込み凹部の深さD′よりも浅くなる。埋込み深さDは、基礎スラブ6と杭2とのせん断力伝達との関係で適宜設定すればよい。
【0055】
Δhは、設計地震動による杭頭3の回転量を想定し、該回転量でも円形天板8と杭頭3とが接触しないように、かつアンカー鉄筋7が円形天板8と杭頭3との間で座屈しないように適宜定める。
【0056】
本実施形態に係る杭頭接合構造21及びそれを用いる杭頭接合用仮設具1においては、杭頭3が埋め込まれる基礎スラブ6の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面となる円形天板8の下面11が端板4の上面から離間配置される。
【0057】
このようにすると図3に示すように、地震時水平力が上部構造物5から杭頭3に作用したとき、基礎スラブ6に形成された埋込み凹部の凹部天井面である円形天板8の下面11と杭頭3とが非接触状態であるため、杭頭3は、基礎スラブ6から回転拘束を受けなくなるとともに、杭頭3で発生する曲げモーメントMは、圧縮側も引張側もアンカー鉄筋7が負担することになる。
【0058】
すなわち、圧縮側のアンカー鉄筋7には圧縮力Cが発生するとともに、引張側のアンカー鉄筋7には引張力Tが発生し、これらの力が曲げモーメントMと釣り合う。なお、図3に示した曲げモーメントは杭頭に発生しているモーメントであるため、釣り合いを考える場合の端板4に作用する曲げモーメントとは方向が逆となる。
【0059】
上述したように、円形天板8の下面11と杭頭3とが非接触状態となって基礎スラブ6からの杭頭3への回転拘束がなくなるため、杭頭3で発生する曲げモーメントMは、圧縮側も引張側もアンカー鉄筋7が負担することになる。換言すれば、杭頭3は、アンカー鉄筋7を介した圧縮力C及び引張力Tで回転拘束を受けるが、基礎スラブ6との間の圧縮力伝達による回転拘束は受けないため、杭頭3の回転拘束は、軸力に依存しない回転拘束となる。
【0060】
図4は、杭頭3における弾性範囲内での変形状態を示した模式図である。まず、軸力が比較的大きい場合((a))、その軸力で生じる圧縮ひずみをδ1、曲げモーメントMによる圧縮側のひずみをδc、曲げモーメントMによる引張側のひずみをδtとすると、回転角R1は、
R1={(δc+δ1)+(δt−δ1)}/(2・r)
=(δc+δt)/(2・r)
r;杭中心からアンカー鉄筋7までの距離
となる。次に、軸力が比較的小さい場合((b))、その軸力で生じる圧縮ひずみをδ2とすると、回転角R2は、
R2={(δc+δ2)+(δt−δ2)}/(2・r)
=(δc+δt)/(2・r)
となる。次に、引抜き力が作用する場合((c))、その軸力で生じる引張ひずみをδ3とすると、回転角R3は、
R3={(δt+δ3)+(δc−δ3)}/(2・r)
=(δc+δt)/(2・r)
となる。
【0061】
ここで、曲げモーメントMが同じであれば、δc、δtも一定だから、回転角R1,R2,R3は同じ値となり、所定の曲げモーメントMに対する回転角R、すなわち回転剛性は軸力の大きさに依存しないことがわかる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る杭頭接合構造21及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具1によれば、杭頭3の回転剛性は軸力に依存しなくなり、設計プロセスを簡略化することが可能となる。
【0063】
本実施形態では、被冠部材10を杭頭3に被せるにあたり、円筒体9の内周面が杭頭3の周面に重なるように被せたが、これに代えて図5に示すように、円筒体9の外周面と杭頭3の周面とがほぼ面一となるように該円筒体の下端を杭頭3の端板4周縁に載せるように被せてもかまわない。
【0064】
また、本実施形態では、基礎部材に形成された埋込み凹部の凹部天井面を端板の上面から離間させる構成として、被冠部材10を用いた例を説明したが、上述した構成を実現するにあたっては、かかる構成に限定されるものではなく、基礎部材と端板との圧縮力伝達による回転拘束が生じない限り、いかなる構成でもかまわない。
【0065】
すなわち、被冠部材10は、埋込み凹部の凹部天井面と端板との離間を確保するとともに、それらの間にフレッシュコンクリートが流入するのを防止するいわば型枠部材として機能するものであり、その意味では、被冠部材10に代えて、現場で型枠を適宜配置するようにしてもかまわない。
【0066】
さらには、型枠部材を省略し、図6に示すように、杭頭3を、その埋込み深さがDとなるように深さD′の埋込み凹部に埋め込むことで、埋込み凹部の凹部天井面11′を杭頭3に設けられた端板4の上面から離間させるようにしてもかまわない。
【0067】
また、本実施形態では、被冠部材10を杭頭3に被せる際、該被冠部材を構成する円筒体9の内周面と杭頭3の周面とを重ねた上、両者を接着剤で仮固定することで、被冠部材10の円形天板8と端板4との離間状態を保持するようにしたが、これに代えて図7に示すように、アンカー鉄筋7に予め管状のスペーサ61を嵌め入れ、かかる状態で被冠部材10を杭頭3に被せるようにしてもよい。
【0068】
かかる構成においては、本発明の杭頭接合用仮設具は、被冠部材10に加えて、スペーサ61をあらたに備えることになる。
【0069】
円筒状のスペーサ61は、その高さがΔhとなるように製作しておくとともに、コンクリート打設時はフレッシュコンクリートの圧力を支持して円形天板8と端板4との離間状態をΔhに保持する一方、コンクリート硬化後は、基礎スラブ6が杭頭3に回転拘束を及ぼさないよう、その弾塑性特性を適宜設定しておく。
【0070】
例えば、フレッシュコンクリートの圧力は支持するが、地震時に発生する基礎スラブ6と杭頭3との強制回転変形によって脆性破壊するように構成しておけばよい。
【0071】
なお、スペーサは、円筒状のスペーサ61に限定されるものではなく、上述の機能を有するものであればその構成は任意である。例えば、波板状に形成された環状スペーサを端板4の上面と円形天板8との間に配置するようにしてもかまわない。
【0072】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、上述した構成によってもなおフレッシュコンクリートが円形天板8と端板4との間に流入する懸念があるのであれば、図8に示すように被冠部材10を構成する円筒体9の下方縁部に沿って耐水性テープ71を貼着することで、杭頭3との隙間を塞ぐようにしてもかまわない。
【0073】
また、耐水性テープ71に代えて図9に示すように、円形天板8と杭頭3との間にコンクリート流入防止材81を充填又は配置するようにしてもよい。
【0074】
かかるコンクリート流入防止材81は、フレッシュコンクリート硬化後、基礎スラブ6が杭頭3に回転拘束を及ぼさないように、弾性変形し、収縮し、又は脆性破壊する材料、例えばスポンジや、発泡スチロール、発泡ウレタンその他の発泡系材料で構成することができる。
【0075】
コンクリート流入防止材81を発泡系材料で構成した場合、円形天板8と杭2の端板4との離間状態を保持するスペーサとしての役割も果たす。
【0076】
なお、かかる構成においては、本発明の杭頭接合用仮設具は、被冠部材10に加えて、コンクリート流入防止材81をあらたに備えることになる。
【0077】
また、本実施形態では、アンカー鉄筋7で杭頭接合用ロッドを構成したが、本発明に係る杭頭接合用ロッドは、杭頭の曲げモーメントを圧縮力及び引張力で支持できる限り、どのように構成してもかまわない。
【0078】
図10及び図11は、端板4に立設されたロッド部材93と該ロッド部材の上端近傍に取り付けられた定着板92とロッド部材93が挿通されるシース管91とで杭頭接合用ロッド94を構成したものである。
【0079】
シース管91は、ロッド部材93の変形を拘束しないよう、可撓性チューブで構成するのが望ましい。
【0080】
定着板92は、円形又は多角形状に形成することが可能であり、想定地震動における引抜き力に対して余裕をもって該引抜き力を支持できるように構成しておく。
【0081】
ロッド部材93は、定着板92を螺着するための雄ネジが上端に切られたネジ鉄筋を採用してあるが、これに代えて通常の異形鉄筋を採用してもかまわない。かかる場合には、異形鉄筋にネジを切るか、又は異形鉄筋に定着板92を溶着すればよい。
【0082】
かかる変形例によれば、ロッド部材93がアンボンド処理されるため、ロッド部材93の伸びが大きくなって杭頭3の回転剛性を小さく設定することが可能になり、杭頭の固定度を小さくすることができる。
【0083】
なお、図10及び図11は、ロッド部材93のほぼ全長をシース管91で覆ってあるため、定着板92のみが定着部となり、ロッド部材93はいわば非定着部となるが、これに代えて、シース管91の長さを短くしロッド部材93の一部を露出させるようにすれば、露出されたロッド部材93の部分があらたな定着部となる。
【0084】
さらに言えば、シース管91を省略してもかまわない。かかる変形例によれば、定着板92が定着部として機能するのみならず、ロッド部材93がその全長にわたって定着部として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態に係る杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具の断面図。
【図2】本実施形態に係る杭頭接合用仮設具の斜視図。
【図3】本実施形態の作用を示す概念図。
【図4】同じく作用を示す模式図。
【図5】変形例に係る杭頭接合構造を示した断面図。
【図6】被冠部材を省略した杭頭接合構造の断面図。
【図7】スペーサを備えた杭頭接合用仮設具及びそれを用いた杭頭接合構造の断面図。
【図8】耐水性テープでコンクリートの流入防止を図った杭頭接合構造の断面図。
【図9】収縮性充填材を備えた杭頭接合用仮設具及びそれを用いた杭頭接合構造の断面図。
【図10】ロッド部材、定着板及びシース管で杭頭接合用ロッドを構成した変形例に係る杭頭接合用仮設具の斜視図。
【図11】同じく杭頭接合用仮設具及びそれを用いた杭頭接合構造を示した断面図。
【符号の説明】
【0086】
1 杭頭接合用仮設具
2 杭
3 頭部、杭頭
4 端板
5 上部構造物
6 基礎スラブ(基礎部材)
7 アンカー鉄筋(杭頭接合用ロッド)
8 円形天板(被冠部材)
9 円筒体(被冠部材)
10 被冠部材
11,11′ 凹部天井面
21 杭頭接合構造
61 スペーサ
81 コンクリート流入防止材
91 シース管
92 定着板
93 ロッド部材
94 杭頭接合用ロッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に埋設された杭と該杭が支持する上部構造物との接合箇所における杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具に関する。
【背景技術】
【0002】
杭基礎には支持杭形式と摩擦杭形式とがあり、前者は、良質な支持層が地下深くにある場合に該支持層まで打ち込んだ杭の上に上部構造物を構築することによって、構造物重量を支持層で安定支持する形式であり、後者は、良質な支持層がない場合に周辺地盤との摩擦力によって上部構造物を支持する形式の基礎形式である。
【0003】
これらの杭の頭部は、上部構造物の基礎スラブ、フーチングあるいは基礎梁といった基礎部材に埋め込まれ、該基礎部材を介して長期荷重である圧縮力が作用するほか、地震時には、上部構造物の転倒モーメントに起因する引抜き力や、水平力に起因する曲げモーメントが作用する。
【0004】
そのため、上部構造物がきわめて大きな地震に遭遇した場合には、杭頭に過大な曲げモーメントが作用し、杭の破壊ひいては上部構造物の倒壊といった不測の事態を招くおそれがある。
【0005】
そこで、最近では、例えば杭頭の端板に立設されたアンカー鉄筋にアンボンド処理を施すことによって、杭頭接合部の固定度を小さくする、いわば半剛接合工法の研究開発が行われるようになってきた。
【0006】
【特許文献1】特許第3438108号公報
【特許文献2】特開2002−356861号公報
【特許文献3】特許第3825795号公報
【特許文献4】特開2004−44303公報
【特許文献5】特開2006−193904公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる半剛接合工法によれば、杭頭接合部の固定度が小さくなるため、杭頭に発生する曲げモーメントを低減することが可能となる。
【0008】
しかしながら、従来の半剛接合工法においては、基礎部材への固定度が杭頭に作用する軸力によって変化し、それに伴って、杭頭に発生する曲げモーメントも変化する。
【0009】
一方、杭頭に作用する軸力は、杭ごとに異なるのが通常である。
【0010】
そのため、半剛接合工法で杭頭接合部の固定度を小さくすることができたとしても、その低減の程度は杭ごとに異なることになり、結果として非常に複雑かつ煩雑な設計作業を強いられるという問題を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、基礎部材への固定度が軸力に依存しないようにすることが可能な杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る杭頭接合構造は請求項1に記載したように、杭の頭部を上部構造物の基礎部材に埋め込んでなる杭頭接合構造において、
前記杭の頭部に設けられた端板に杭頭接合用ロッドを立設して前記基礎部材に埋設し、前記杭の頭部が埋め込まれた前記基礎部材の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面を前記端板の上面から離間させたものである。
【0013】
また、本発明に係る杭頭接合構造は、前記杭頭接合用ロッドを、前記端板に立設されたロッド部材と該ロッド部材の所定位置に取り付けられた定着板とで構成したものである。
【0014】
また、本発明に係る杭頭接合構造は、前記ロッド部材が挿通されるシース管を前記杭頭接合用ロッドに備えたものである。
【0015】
また、本発明に係る杭頭接合用仮設具は請求項4に記載したように、杭の頭部に設けられる端板に立設された杭頭接合用ロッドを前記杭の頭部が埋め込まれる上部構造物の基礎部材に埋設してなる杭頭接合構造に用いる杭頭接合用仮設具であって、前記杭頭接合用ロッドが挿通される挿通孔が形成された円形天板及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体からなる被冠部材を備えるとともに、該被冠部材を、前記円形天板に形成された前記挿通孔に前記杭頭接合用ロッドが挿通された状態で前記杭の頭部に被せることができるように構成してなり、前記被冠部材は、前記基礎部材の形成時にフレッシュコンクリートを打設する際、前記円形天板と前記端板との離間状態が保持されるようにかつ前記円形天板と前記杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないように構成してあるとともに、フレッシュコンクリート硬化後は、前記基礎部材が前記杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように構成したものである。
【0016】
また、本発明に係る杭頭接合用仮設具は、前記円形天板と前記杭の頭部との間に介装されそれらの離間状態を保持するスペーサを備えたものである。
【0017】
また、本発明に係る杭頭接合用仮設具は、前記円形天板と前記杭の頭部との間に充填又は配置されるコンクリート流入防止材を備えたものである。
【0018】
基礎スラブ、基礎梁、フーチングといった基礎部材への杭の固定度は、剛接に近いほど杭頭の回転剛性が大きくなり、地震時において発生する曲げモーメントも増加する。
【0019】
かかる状況下、従来技術で述べたように、固定度を落とす半剛接合工法が数多く検討されてきたが、それらのほとんどは、軸力によって固定度が変化する。すなわち、軸力が大きいと、杭頭接合部の回転剛性が大きくなって発生曲げモーメントは大きくなり、軸力が小さいと、杭頭接合部の回転剛性が小さくなって発生曲げモーメントも小さくなる。
【0020】
つまり、各杭に作用する軸力は一般的には杭ごとに異なり、それに伴って回転剛性も杭ごとに異なるため、半剛接合工法によって曲げモーメントの大きさを全般的に小さくすることはできても、その大きさは杭ごとに異なる。
【0021】
本出願人は、かかる状況に鑑み、半剛接合にしても回転剛性が軸力に依存しないようにするにはどうすればよいか研究開発を行った結果、杭頭に生じる曲げモーメントを、杭頭の端板に立設されたアンカー鉄筋の引張力と鉄筋コンクリートである基礎部材の圧縮力で支持するというそれまでの設計思想を捨て去り、圧縮力についてもアンカー鉄筋で支持する新規な設計思想を導入することにより、杭頭部における回転剛性を軸力に依存させないようにすることに成功したものである。
【0022】
すなわち、従来の杭頭接合構造では、基礎部材に埋め込まれた状態において、杭頭の上面と基礎部材との間に隙間は形成されないが、本発明に係る杭頭接合構造においては、杭の頭部が埋め込まれる基礎部材の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面を端板の上面から離間させる構成であり、結果として、杭頭の上面と基礎部材との間に中空空間が形成される。
【0023】
このようにすると、基礎部材に形成された埋込み凹部の凹部天井面と杭の頭部とが接触していないため、地震時水平力が上部構造物から杭の頭部に作用しても、杭の頭部は、基礎部材から回転拘束を受けなくなるとともに、杭頭で発生する曲げモーメントは、圧縮側も引張側も杭頭接合用ロッドが負担することになる。
【0024】
換言すれば、杭の頭部は、杭頭接合用ロッドを介した圧縮力及び引張力で回転拘束を受けるが、基礎部材との間の圧縮力伝達による回転拘束は受けないため、本願発明における杭頭の回転拘束は、軸力に依存しない回転拘束となる。
【0025】
そのため、杭頭の回転剛性、すなわち杭頭における回転変形角と杭頭に生じる曲げモーメントとの関係は軸力に依存しなくなり、設計プロセスを簡略化することが可能となる。
【0026】
杭の頭部は、基礎スラブ、基礎梁、フーチングといった基礎部材に所定深さだけ埋め込まれるが、本発明においては、基礎部材に形成された埋込み凹部の凹部天井面を端板から離間配置するため、杭頭の埋込み深さと埋込み凹部の深さは、離間距離の分だけ異なる。
【0027】
なお、杭頭の埋込み深さは、上部構造物の基礎部材と杭頭との間でせん断力が伝達される一方、曲げモーメントについては、杭頭接合用ロッドが負担する曲げモーメントよりも十分小さくなるよう、あるいは実質的に伝達されないように適宜設定する。
【0028】
基礎部材と端板との圧縮力伝達による回転拘束が生じない限り、凹部天井面を端板の上面から離間させるためにどのような手段を採用するかは任意であり、例えば杭頭接合構造を構築する際、杭の頭部に被せることが可能な被冠部材を備えた杭頭接合用仮設具を用いることが可能である。
【0029】
被冠部材は、杭頭接合用ロッドが挿通される挿通孔が形成された円形天板及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体からなり、円形天板に形成された挿通孔に杭頭接合用ロッドが挿通された状態で杭の頭部に被せることができるように構成してある。なお、円形天板と円筒体とを一体成形するか、それとも別体で形成して両者を適宜接合するかは任意であり、接合の仕方も、仮設部材ゆえ、必ずしも溶着等で接合する必要はなく、例えば耐水性テープや接着剤で足りる場合も考えられる。
【0030】
加えて、被冠部材は、基礎部材の形成時にフレッシュコンクリートを打設する際、円形天板と端板との離間状態が保持されるようにかつ円形天板と杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないように構成してあるとともに、フレッシュコンクリート硬化後は、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように構成してある。
【0031】
かかる被冠部材を備えた杭頭接合用仮設具によれば、被冠部材は、円形天板と杭頭の端板との間にフレッシュコンクリートを流入させないためのいわば型枠部材として作用する。なお、フレッシュコンクリート硬化後は、被冠部材が基礎部材に一体化し、被冠部材を構成する円筒体の内周面は、杭頭接合構造における埋込み凹部の内面のうち、凹部側面の一部又は全部となり、円形天板の下面は、凹部天井面となる。
【0032】
被冠部材を杭頭に被せるにあたっては、円筒体の内周面が杭頭の周面に重なるように被せてもよいし、円筒体の外周面と杭頭の周面とがほぼ面一となるように該円筒体の下端を杭頭の端板周縁に載せるように被せてもかまわない。
【0033】
円筒体を杭頭の周面に重ねるように被せる場合、例えば円筒体と杭頭とを接着剤で仮固定することで、円形天板と端板との離間状態を保持してもかまわないが、円形天板と杭の頭部との間にスペーサを介装するようにすれば、両者の離間状態を確実に保持することが可能となる。
【0034】
スペーサは、フレッシュコンクリート硬化後において基礎部材と杭の頭部との間に相対回転変形が作用したときに弾性変形若しくは塑性変形し、又は脆性破壊するように、その弾塑性特性を適宜設定しておく。
【0035】
かかる構成によれば、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないようにすることができる。
【0036】
スペーサの形態は任意であり、例えば波板状スペーサ、又は杭頭接合用ロッドが挿通される管状スペーサとすることができる。
【0037】
一方、円筒体の外周面と杭頭の周面とがほぼ面一となるように該円筒体の下端を杭頭の端板周縁に載せる場合、被冠部材自体がフレッシュコンクリートの圧力を支持することで円形天板と端板との離間状態が確保されるが、フレッシュコンクリート硬化後においては、スペーサと同様、基礎部材と杭の頭部との相対回転変形によって弾性変形若しくは塑性変形し又は脆性破壊することによって、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように、被冠部材の弾塑性特性を適宜設定しておく。
【0038】
円形天板と杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないようにするには、例えば円筒体の下端縁部と杭頭周面とを跨ぐように耐水性テープを巻回してもよいが、円形天板と杭の頭部との間にコンクリート流入防止材を充填又は配置する構成とすることも可能である。
【0039】
コンクリート流入防止材は、フレッシュコンクリート硬化後、基礎部材が杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように、弾性変形し、収縮し、又は脆性破壊する材料、例えばスポンジや、発泡スチロール、発泡ウレタンその他の発泡系材料で構成することができる。
【0040】
コンクリート流入防止材を発泡系材料で構成した場合、円形天板と杭の端板との離間状態を保持するスペーサとしての役割も果たす。
【0041】
杭頭接合用ロッドは、杭頭の曲げモーメントを圧縮力及び引張力で支持できる限り、どのように構成するかは任意であり、例えば、端板に立設されたアンカー鉄筋等のロッド部材と該ロッド部材の所定位置に取り付けられた定着板とで構成することができる。
【0042】
ここで、ロッド部材が挿通されるシース管を杭頭接合用ロッドに備えたならば、ロッド部材についてアンボンド処理を行うことが可能となり、杭頭の回転剛性を小さく設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明に係る杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図1は、本実施形態に係る杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具を示した断面図、図2は、杭頭接合用仮設具を示した斜視図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る杭頭接合構造21は、杭2の頭部3(以下、杭頭3)を上部構造物5の基礎部材である基礎スラブ6に埋め込むとともに、杭頭3に設けられた端板4に杭頭接合用ロッドとしてのアンカー鉄筋7を立設して基礎スラブ6に埋設し、杭頭3が埋め込まれた基礎スラブ6の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面11を端板4の上面から離間させてなる。
【0045】
アンカー鉄筋7は、溶着、螺着といった公知の固着方法によって端板4に立設してある。
【0046】
かかる杭頭接合構造21を構築するには、図1及び図2に示す杭頭接合用仮設具1を用いればよい。杭頭接合用仮設具1は、アンカー鉄筋7が挿通される挿通孔12が形成された円形天板8及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体9からなる被冠部材10を備える。
【0047】
挿通孔12は、円形天板8とアンカー鉄筋7とが非固着となるよう、かつ後述するフレッシュコンクリートが被冠部材10内に流入しないよう、その孔径を適宜定めておく。
【0048】
被冠部材10は図1でよくわかるように、円形天板8に形成された挿通孔12にアンカー鉄筋7が挿通された状態で、円形天板8が端板4の上面からΔhだけ離間した状態で杭頭3に被せることができるようになっている。
【0049】
ここで、被冠部材10は、
i) 基礎スラブ6を形成するためのフレッシュコンクリートを打設する際、円形天板8と端板4との離間状態が保持されるように、
ii) 円形天板8と杭頭3との間にフレッシュコンクリートが流入しないように、
iii) フレッシュコンクリートが硬化した後は、基礎スラブ6が杭頭3に回転拘束を及ぼさないようにするように、
適宜構成する。
【0050】
かかる要件を満たすためには、例えば、被冠部材10を構成する円筒体9の内径を杭2の外径に一致させるとともに、該円筒体の内周面を杭頭3の周面に重ねて接着剤で両者を仮止めすればよい。
【0051】
接着剤の種類や塗布厚は、フレッシュコンクリートを打設する際にはその圧力を支持することで円形天板8と端板4との離間状態を保持するとともに、フレッシュコンクリートが硬化した後は、地震動その他の相対強制変形によって接着が切れるように適宜定めればよい。
【0052】
杭頭接合用仮設具1を用いて杭頭接合構造21を構築するには、端板4に立設されたアンカー鉄筋7が円形天板8に挿通されるようにかつ円形天板8の下面が端板4の上面からΔhだけ離間するように被冠部材10を杭頭3に被せ、かかる状態で被冠部材10の周囲にフレッシュコンクリートを打設することで、杭頭3の周囲に基礎スラブ6を形成するとともに、該基礎スラブにアンカー鉄筋7を埋設する。
【0053】
なお、被冠部材10の周囲に打設されたフレッシュコンクリートが硬化した後は、結果として、基礎スラブ6に埋込み凹部が形成され、該埋込み凹部に杭頭3が深さDだけ埋め込まれることになるとともに、被冠部材10は、基礎スラブ6に一体化し、円筒体9の内周面は、埋込み凹部の内面のうち、凹部側面の一部となり、円形天板8の下面は、凹部天井面11となって端板4の上面からΔhだけ離間配置される。
【0054】
ちなみに、埋込み凹部の深さは図1に示すようにD′であり、埋込み深さDは、Δhだけ埋込み凹部の深さD′よりも浅くなる。埋込み深さDは、基礎スラブ6と杭2とのせん断力伝達との関係で適宜設定すればよい。
【0055】
Δhは、設計地震動による杭頭3の回転量を想定し、該回転量でも円形天板8と杭頭3とが接触しないように、かつアンカー鉄筋7が円形天板8と杭頭3との間で座屈しないように適宜定める。
【0056】
本実施形態に係る杭頭接合構造21及びそれを用いる杭頭接合用仮設具1においては、杭頭3が埋め込まれる基礎スラブ6の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面となる円形天板8の下面11が端板4の上面から離間配置される。
【0057】
このようにすると図3に示すように、地震時水平力が上部構造物5から杭頭3に作用したとき、基礎スラブ6に形成された埋込み凹部の凹部天井面である円形天板8の下面11と杭頭3とが非接触状態であるため、杭頭3は、基礎スラブ6から回転拘束を受けなくなるとともに、杭頭3で発生する曲げモーメントMは、圧縮側も引張側もアンカー鉄筋7が負担することになる。
【0058】
すなわち、圧縮側のアンカー鉄筋7には圧縮力Cが発生するとともに、引張側のアンカー鉄筋7には引張力Tが発生し、これらの力が曲げモーメントMと釣り合う。なお、図3に示した曲げモーメントは杭頭に発生しているモーメントであるため、釣り合いを考える場合の端板4に作用する曲げモーメントとは方向が逆となる。
【0059】
上述したように、円形天板8の下面11と杭頭3とが非接触状態となって基礎スラブ6からの杭頭3への回転拘束がなくなるため、杭頭3で発生する曲げモーメントMは、圧縮側も引張側もアンカー鉄筋7が負担することになる。換言すれば、杭頭3は、アンカー鉄筋7を介した圧縮力C及び引張力Tで回転拘束を受けるが、基礎スラブ6との間の圧縮力伝達による回転拘束は受けないため、杭頭3の回転拘束は、軸力に依存しない回転拘束となる。
【0060】
図4は、杭頭3における弾性範囲内での変形状態を示した模式図である。まず、軸力が比較的大きい場合((a))、その軸力で生じる圧縮ひずみをδ1、曲げモーメントMによる圧縮側のひずみをδc、曲げモーメントMによる引張側のひずみをδtとすると、回転角R1は、
R1={(δc+δ1)+(δt−δ1)}/(2・r)
=(δc+δt)/(2・r)
r;杭中心からアンカー鉄筋7までの距離
となる。次に、軸力が比較的小さい場合((b))、その軸力で生じる圧縮ひずみをδ2とすると、回転角R2は、
R2={(δc+δ2)+(δt−δ2)}/(2・r)
=(δc+δt)/(2・r)
となる。次に、引抜き力が作用する場合((c))、その軸力で生じる引張ひずみをδ3とすると、回転角R3は、
R3={(δt+δ3)+(δc−δ3)}/(2・r)
=(δc+δt)/(2・r)
となる。
【0061】
ここで、曲げモーメントMが同じであれば、δc、δtも一定だから、回転角R1,R2,R3は同じ値となり、所定の曲げモーメントMに対する回転角R、すなわち回転剛性は軸力の大きさに依存しないことがわかる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る杭頭接合構造21及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具1によれば、杭頭3の回転剛性は軸力に依存しなくなり、設計プロセスを簡略化することが可能となる。
【0063】
本実施形態では、被冠部材10を杭頭3に被せるにあたり、円筒体9の内周面が杭頭3の周面に重なるように被せたが、これに代えて図5に示すように、円筒体9の外周面と杭頭3の周面とがほぼ面一となるように該円筒体の下端を杭頭3の端板4周縁に載せるように被せてもかまわない。
【0064】
また、本実施形態では、基礎部材に形成された埋込み凹部の凹部天井面を端板の上面から離間させる構成として、被冠部材10を用いた例を説明したが、上述した構成を実現するにあたっては、かかる構成に限定されるものではなく、基礎部材と端板との圧縮力伝達による回転拘束が生じない限り、いかなる構成でもかまわない。
【0065】
すなわち、被冠部材10は、埋込み凹部の凹部天井面と端板との離間を確保するとともに、それらの間にフレッシュコンクリートが流入するのを防止するいわば型枠部材として機能するものであり、その意味では、被冠部材10に代えて、現場で型枠を適宜配置するようにしてもかまわない。
【0066】
さらには、型枠部材を省略し、図6に示すように、杭頭3を、その埋込み深さがDとなるように深さD′の埋込み凹部に埋め込むことで、埋込み凹部の凹部天井面11′を杭頭3に設けられた端板4の上面から離間させるようにしてもかまわない。
【0067】
また、本実施形態では、被冠部材10を杭頭3に被せる際、該被冠部材を構成する円筒体9の内周面と杭頭3の周面とを重ねた上、両者を接着剤で仮固定することで、被冠部材10の円形天板8と端板4との離間状態を保持するようにしたが、これに代えて図7に示すように、アンカー鉄筋7に予め管状のスペーサ61を嵌め入れ、かかる状態で被冠部材10を杭頭3に被せるようにしてもよい。
【0068】
かかる構成においては、本発明の杭頭接合用仮設具は、被冠部材10に加えて、スペーサ61をあらたに備えることになる。
【0069】
円筒状のスペーサ61は、その高さがΔhとなるように製作しておくとともに、コンクリート打設時はフレッシュコンクリートの圧力を支持して円形天板8と端板4との離間状態をΔhに保持する一方、コンクリート硬化後は、基礎スラブ6が杭頭3に回転拘束を及ぼさないよう、その弾塑性特性を適宜設定しておく。
【0070】
例えば、フレッシュコンクリートの圧力は支持するが、地震時に発生する基礎スラブ6と杭頭3との強制回転変形によって脆性破壊するように構成しておけばよい。
【0071】
なお、スペーサは、円筒状のスペーサ61に限定されるものではなく、上述の機能を有するものであればその構成は任意である。例えば、波板状に形成された環状スペーサを端板4の上面と円形天板8との間に配置するようにしてもかまわない。
【0072】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、上述した構成によってもなおフレッシュコンクリートが円形天板8と端板4との間に流入する懸念があるのであれば、図8に示すように被冠部材10を構成する円筒体9の下方縁部に沿って耐水性テープ71を貼着することで、杭頭3との隙間を塞ぐようにしてもかまわない。
【0073】
また、耐水性テープ71に代えて図9に示すように、円形天板8と杭頭3との間にコンクリート流入防止材81を充填又は配置するようにしてもよい。
【0074】
かかるコンクリート流入防止材81は、フレッシュコンクリート硬化後、基礎スラブ6が杭頭3に回転拘束を及ぼさないように、弾性変形し、収縮し、又は脆性破壊する材料、例えばスポンジや、発泡スチロール、発泡ウレタンその他の発泡系材料で構成することができる。
【0075】
コンクリート流入防止材81を発泡系材料で構成した場合、円形天板8と杭2の端板4との離間状態を保持するスペーサとしての役割も果たす。
【0076】
なお、かかる構成においては、本発明の杭頭接合用仮設具は、被冠部材10に加えて、コンクリート流入防止材81をあらたに備えることになる。
【0077】
また、本実施形態では、アンカー鉄筋7で杭頭接合用ロッドを構成したが、本発明に係る杭頭接合用ロッドは、杭頭の曲げモーメントを圧縮力及び引張力で支持できる限り、どのように構成してもかまわない。
【0078】
図10及び図11は、端板4に立設されたロッド部材93と該ロッド部材の上端近傍に取り付けられた定着板92とロッド部材93が挿通されるシース管91とで杭頭接合用ロッド94を構成したものである。
【0079】
シース管91は、ロッド部材93の変形を拘束しないよう、可撓性チューブで構成するのが望ましい。
【0080】
定着板92は、円形又は多角形状に形成することが可能であり、想定地震動における引抜き力に対して余裕をもって該引抜き力を支持できるように構成しておく。
【0081】
ロッド部材93は、定着板92を螺着するための雄ネジが上端に切られたネジ鉄筋を採用してあるが、これに代えて通常の異形鉄筋を採用してもかまわない。かかる場合には、異形鉄筋にネジを切るか、又は異形鉄筋に定着板92を溶着すればよい。
【0082】
かかる変形例によれば、ロッド部材93がアンボンド処理されるため、ロッド部材93の伸びが大きくなって杭頭3の回転剛性を小さく設定することが可能になり、杭頭の固定度を小さくすることができる。
【0083】
なお、図10及び図11は、ロッド部材93のほぼ全長をシース管91で覆ってあるため、定着板92のみが定着部となり、ロッド部材93はいわば非定着部となるが、これに代えて、シース管91の長さを短くしロッド部材93の一部を露出させるようにすれば、露出されたロッド部材93の部分があらたな定着部となる。
【0084】
さらに言えば、シース管91を省略してもかまわない。かかる変形例によれば、定着板92が定着部として機能するのみならず、ロッド部材93がその全長にわたって定着部として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態に係る杭頭接合構造及びその構築に用いる杭頭接合用仮設具の断面図。
【図2】本実施形態に係る杭頭接合用仮設具の斜視図。
【図3】本実施形態の作用を示す概念図。
【図4】同じく作用を示す模式図。
【図5】変形例に係る杭頭接合構造を示した断面図。
【図6】被冠部材を省略した杭頭接合構造の断面図。
【図7】スペーサを備えた杭頭接合用仮設具及びそれを用いた杭頭接合構造の断面図。
【図8】耐水性テープでコンクリートの流入防止を図った杭頭接合構造の断面図。
【図9】収縮性充填材を備えた杭頭接合用仮設具及びそれを用いた杭頭接合構造の断面図。
【図10】ロッド部材、定着板及びシース管で杭頭接合用ロッドを構成した変形例に係る杭頭接合用仮設具の斜視図。
【図11】同じく杭頭接合用仮設具及びそれを用いた杭頭接合構造を示した断面図。
【符号の説明】
【0086】
1 杭頭接合用仮設具
2 杭
3 頭部、杭頭
4 端板
5 上部構造物
6 基礎スラブ(基礎部材)
7 アンカー鉄筋(杭頭接合用ロッド)
8 円形天板(被冠部材)
9 円筒体(被冠部材)
10 被冠部材
11,11′ 凹部天井面
21 杭頭接合構造
61 スペーサ
81 コンクリート流入防止材
91 シース管
92 定着板
93 ロッド部材
94 杭頭接合用ロッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭の頭部を上部構造物の基礎部材に埋め込んでなる杭頭接合構造において、
前記杭の頭部に設けられた端板に杭頭接合用ロッドを立設して前記基礎部材に埋設し、前記杭の頭部が埋め込まれた前記基礎部材の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面を前記端板の上面から離間させたことを特徴とする杭頭接合構造。
【請求項2】
前記杭頭接合用ロッドを、前記端板に立設されたロッド部材と該ロッド部材の所定位置に取り付けられた定着板とで構成した請求項1記載の杭頭接合構造。
【請求項3】
前記ロッド部材が挿通されるシース管を前記杭頭接合用ロッドに備えた請求項2記載の杭頭接合構造。
【請求項4】
杭の頭部に設けられる端板に立設された杭頭接合用ロッドを前記杭の頭部が埋め込まれる上部構造物の基礎部材に埋設してなる杭頭接合構造に用いる杭頭接合用仮設具であって、前記杭頭接合用ロッドが挿通される挿通孔が形成された円形天板及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体からなる被冠部材を備えるとともに、該被冠部材を、前記円形天板に形成された前記挿通孔に前記杭頭接合用ロッドが挿通された状態で前記杭の頭部に被せることができるように構成してなり、前記被冠部材は、前記基礎部材の形成時にフレッシュコンクリートを打設する際、前記円形天板と前記端板との離間状態が保持されるようにかつ前記円形天板と前記杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないように構成してあるとともに、フレッシュコンクリート硬化後は、前記基礎部材が前記杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように構成してあることを特徴とする杭頭接合用仮設具。
【請求項5】
前記円形天板と前記杭の頭部との間に介装されそれらの離間状態を保持するスペーサを備えた請求項4記載の杭頭接合用仮設具。
【請求項6】
前記円形天板と前記杭の頭部との間に充填又は配置されるコンクリート流入防止材を備えた請求項4記載の杭頭接合用仮設具。
【請求項1】
杭の頭部を上部構造物の基礎部材に埋め込んでなる杭頭接合構造において、
前記杭の頭部に設けられた端板に杭頭接合用ロッドを立設して前記基礎部材に埋設し、前記杭の頭部が埋め込まれた前記基礎部材の埋込み凹部の内面のうち、凹部天井面を前記端板の上面から離間させたことを特徴とする杭頭接合構造。
【請求項2】
前記杭頭接合用ロッドを、前記端板に立設されたロッド部材と該ロッド部材の所定位置に取り付けられた定着板とで構成した請求項1記載の杭頭接合構造。
【請求項3】
前記ロッド部材が挿通されるシース管を前記杭頭接合用ロッドに備えた請求項2記載の杭頭接合構造。
【請求項4】
杭の頭部に設けられる端板に立設された杭頭接合用ロッドを前記杭の頭部が埋め込まれる上部構造物の基礎部材に埋設してなる杭頭接合構造に用いる杭頭接合用仮設具であって、前記杭頭接合用ロッドが挿通される挿通孔が形成された円形天板及び該円形天板の周縁に垂設された円筒体からなる被冠部材を備えるとともに、該被冠部材を、前記円形天板に形成された前記挿通孔に前記杭頭接合用ロッドが挿通された状態で前記杭の頭部に被せることができるように構成してなり、前記被冠部材は、前記基礎部材の形成時にフレッシュコンクリートを打設する際、前記円形天板と前記端板との離間状態が保持されるようにかつ前記円形天板と前記杭の頭部との間にフレッシュコンクリートが流入しないように構成してあるとともに、フレッシュコンクリート硬化後は、前記基礎部材が前記杭の頭部に回転拘束を及ぼさないように構成してあることを特徴とする杭頭接合用仮設具。
【請求項5】
前記円形天板と前記杭の頭部との間に介装されそれらの離間状態を保持するスペーサを備えた請求項4記載の杭頭接合用仮設具。
【請求項6】
前記円形天板と前記杭の頭部との間に充填又は配置されるコンクリート流入防止材を備えた請求項4記載の杭頭接合用仮設具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−263926(P2009−263926A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112785(P2008−112785)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
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