説明

核酸の多型評価法

【課題】核酸の多型評価をデジタル化するための解析手法を提供する。
【解決手段】ゲノムDNAまたはRNAから、DNA断片の増幅処理を行い、分子量に基づき該増幅DNA断片を視覚化可能に分離したのち、識別可能な個々のDNA断片に対して予め定義された分子量範囲に基づいて、該分子量範囲内に、所定のシグナル強度の閾値を超える増幅DNA断片が存在するかもしくは存在しないかを決定し、各増幅DNA断片の存在もしくは非存在を数値化し、得られた数値データを、該増幅DNA断片について、各試料間で比較するか、および/または、既知生物の核酸で予め決定された数値データと比較することを含む、生物の核酸多型を評価する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物の核酸多型を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、核酸の塩基配列の違いを利用して、生物の個体、種、品種、遺伝子型などを識別する方法が多く開発されている(例えば、特許文献1〜4)。これらの方法は、RNAまたはゲノムDNAの多型に関わる部分を増幅させるプライマーを開発し、該プライマーを使用して対象のDNA断片を増幅し、DNA断片の有無あるいは分子量の相違によって、多型を評価することにより、核酸の相違の判別を行っている。
【0003】
増幅されたDNA断片は、ポリアクリルアミドゲルやアガロースゲルなどの支持体を用いたゲル電気泳動あるいはキャピラリー電気泳動により分子量に基づき分離され、可視化された後、多型が評価される。
【0004】
多型の評価は、増幅したDNA断片のうち特定の分子種について増幅の有無を判断することおよび検出したDNA断片が目的のものであるか否かを判断することによりなされる。しかし、増幅量が少ない場合に増幅の有無を判断することおよび試料ごとの電気泳動による移動度のずれを同一分子種とみなすか否かを判断することが難しく、これらの困難さは結果解析の再現性を低下させるとともに自動化に対する障壁となっている。前者については、可視化したDNA断片のシグナル強度を補正する手段がいくつか報告されている(例えば、特許文献5)。また、後者については、例えば特許文献6では、目的とする特定DNA断片の移動度測定において、分子量プラスマイナス5%の範囲としてずれを許容している。
【0005】
【特許文献1】特許第2818486号公報
【特許文献2】特許第3218318号公報
【特許文献3】特表2002−540799号公報
【特許文献4】特許第3236295号公報
【特許文献5】特開2003−250541号公報
【特許文献6】特開2003−93065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来技術は同一あるいは相同な特定の目的とするDNA断片の有無の評価および、DNA断片の電気泳動における移動度の測定により多型解析が行われている。しかし、従来技術はDNA断片の量が多い場合で、かつ近接した移動度の領域に目的とするDNA断片以外の断片が存在しない場合のみに有効であり、それ以外の場合多型の有無の判断が容易でない。
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑み、特に従来技術で難しい複数の核酸断片からなる試料の多型評価方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下のように発想を転換し多型を評価することにより、上述の如き従来の問題を解決し目的を達成することができる。つまり、従来は特定の分子量をもつ特定のDNA断片の有無を評価していたが、本発明ではDNA断片の素性を問わずに判別しやすい分子量範囲を定義し、その範囲内の分子量をもつDNA断片を1つに限らず、1つ以上存在するか否かのみを記載することにより極めて容易に多型を評価することができる。別の言い方をすれば、本発明の方法の特徴は、増幅したDNA断片の分子種の相同性を無視し、定義した範囲内の分子量をもつDNA断片の存在のみを指標に解析を行う核酸の多型評価方法にある。ここで定義した範囲内に検出されるDNA断片の数は無視される。
【0009】
したがって、本発明は、以下の特徴を有する。
本発明は、生物由来のDNAまたはRNAから、DNA断片の増幅処理を行い、分子量に基づき該増幅DNA断片を視覚化可能に分離したのち、識別可能な個々のDNA断片に対して予め定義された分子量範囲に基づいて、該分子量範囲内に、所定のシグナル強度の閾値を超える増幅DNA断片が存在するかもしくは存在しないかを決定し、各増幅DNA断片の存在もしくは非存在を数値化し、得られた数値データを、該増幅DNA断片について、各試料間で比較するか、および/または、既知生物の核酸で予め決定された数値データと比較することを含む、生物の核酸多型を評価する方法を提供する。
【0010】
その実施形態において、上記増幅DNA断片の数は、互いを識別できる限り、比較する片方の試料では0でも構わない。
【0011】
別の実施形態において、上記増幅DNA断片の存在もしくは非存在を数値化するにあたって必要な分子量範囲の数は少なくとも1である。
【0012】
別の実施形態において、上記分離は電気泳動にて行なわれる。
別の実施形態において、上記増幅DNA断片の分子量範囲が、後述の実施例に記載されるようにキク品種間の識別の場合、約50bp〜約1000bpの間に任意に設定される。
【0013】
別の実施形態において、上記増幅DNA断片の存在もしくは非存在の数値化が、2進法の数値で表わされる。
【0014】
別の実施形態において、上記2進法の数値がさらに10進法に変換される。
別の実施形態において、上記増幅DNA断片について表した上記2進法の数値をさらに、各試料の数値データ間で比較するか、および/または、既知生物の核酸で予め決定された数値データと比較する。
【0015】
ここで「既知生物の核酸で予め決定された数値データ」とは、既知の生物の核酸について、公表又は未公表に関わらず、すでに過去に分析されている(言い換えれば、予め決定されている)データをいう。
【0016】
別の実施形態において、上記増幅DNA断片が反復DNAを含む領域である。
別の実施形態において、上記反復DNAがマイクロサテライトである。
別の実施形態において、上記生物が真核生物である。
別の実施形態において、上記生物が植物である。
別の実施形態において、上記植物がキク科植物である。
別の実施形態において、上記キク科植物がキク属植物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の方法は、増幅したDNA断片の分子種の相同性や数を無視し、定義した範囲内の分子量をもつDNA断片の存在のみを指標にするため、増幅DNA断片の識別が容易になり、すなわちコンピューターによる識別が可能になり、したがって簡易な手法で、生物の分類階級間、例えば、界間、門間、綱間、目間、科間、属間、種間、品種間、系統間、または個体間の核酸多型を評価することを可能にする。その結果、多型解析が格段に容易になり、また、その自動化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明によれば、生物の核酸多型を評価する方法は、
(1) 生物由来のDNAまたはRNAから、DNA断片の増幅処理を行うこと、
(2) 分子量に基づき該増幅DNA断片を視覚化可能に分離すること、
(3) 識別可能な個々のDNA断片に対して予め定義された分子量範囲に基づいて、該分子量範囲内に、所定のシグナル強度の閾値を超える増幅DNA断片が存在するかもしくは存在しないかを決定すること、
(4) 各増幅DNA断片の存在もしくは非存在を数値化すること、
(5) (4)で得られた数値データを、増幅DNA断片各々について、各試料の数値データ間で比較すること、および/または、既知生物の核酸で予め決定された数値データと比較すること、
からなるステップを含む。
【0019】
上記ステップ(1)で、試料となる核酸は、生物由来の試料から抽出されたDNAおよびRNAである。DNAは、例えば核DNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、cDNAなどを含む。cDNAは、RNAから逆転写酵素の作用により合成される。一方、RNAは、例えばmRNA、tRNA、rRNAなどを含む。本発明の方法では、RNAは、逆転写酵素によりcDNAを合成した後、DNA断片の増幅のために使用される。
【0020】
試料となるDNAまたはcDNAを鋳型にし、かつDNA断片を増幅させるプライマーを使用して、DNA断片の増幅を行う。本明細書で使用される「増幅」なる用語は、通常、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」という)を利用した核酸の増幅を意味する。
【0021】
PCRは、鋳型としての二本鎖DNAの増幅領域の5’末端側と3’末端側に相補的な約15〜約30塩基長、好ましくは17〜25塩基長の塩基配列からなるセンスプライマー(正方向プライマーともいう)とアンチセンスプライマー(逆方向プライマーともいう)、dNTP(dATP, dCTP, dGTP, dTTP)、耐熱性DNAポリメラーゼを含むPCRバッファー(Mg2+含有)中で行われる。
【0022】
本発明でいうDNAの増幅領域は多型が検出される限りどの部分でもよいが、生物の分類階級間、例えば、界間、門間、綱間、目間、科間、属間、種間、品種間、系統間、または個体間等の互いに識別したい対象同士で変化に富んでいる(すなわち、突然変異を起こしやすい)DNA領域が好ましく選択される。DNAの増幅領域は、多型が検出される限りどの部分でもよいが、例えばSSR(Simple Sequence Repeat)領域等の反復DNAを含む領域以外に、ISSR(Inter-Simple Sequence Repeat)領域、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)を含む領域、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)領域、CAPS(Cleaved Amplified Polymorphic Sequence)領域、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)領域、AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)領域等、対象とする生物に独自に存在しているためそれらを指標とすれば互いを識別できる可能性のある領域である。
【0023】
このうち反復DNAは、真核生物のゲノム(例えば、核DNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA)上に存在することが知られている。とりわけ公知の反復DNAは、サテライトDNA、ミニサテライトおよびマイクロサテライトである。
【0024】
サテライトDNAは、セントロメア領域やサブテロメア領域に局在していることが多く、例えば約100〜300bpの単位配列が、例えば約1000〜100,000回繰り返したような反復構造を有している。
【0025】
ミニサテライトは、ゲノム上に存在する反復配列であり、約10〜60bpの中間サイズのDNAモチーフから構成されている。
【0026】
マイクロサテライトは、生物、とりわけ真核生物のゲノム上に散在する反復配列であり、数塩基(約1〜6bp)程度の短い単位配列の繰り返しからなる。反復単位は、通常2〜4bpであり、数回〜100回程度またはそれ以上繰り返す場合もある。単位配列は、例えば(A)n、(AT)n、(CA)n、(GA)n(ここで、nは2以上の整数、例えば5〜150である。)などを含む。
【0027】
上記のような反復配列は、繰り返しの数が多いほど突然変異を蓄積しやすくなり、生物の分類階級間、例えば、界間、門間、綱間、目間、科間、属間、種間、品種間、系統間、または個体間の多型、疾患(異常)などの原因になるといわれている。特に、マイクロサテライトは、生物の多型評価のために利用されることが多く、本発明においても好適なDNAの増幅領域対象である。他のISSR等に関する説明は、DNA Fingerprinting in Plants, second edition, CRC Press, 2005, ISBN 0-8493-1488-7等に詳細に記載されている。
【0028】
本明細書で使用される「生物」とは、真核生物および原核生物の両方を指す。真核生物には、動物、植物、酵母等の菌類、藻類などが含まれ、一方、原核生物には細菌類が含まれる。
【0029】
生物組織や細胞からゲノムDNAを抽出する方法は、Ausubelら(Short Protocols in Molecular Biology, 第3版, John Wiley & Sons (1995))などに記載されている。例えば、動物または植物組織を液体窒素で凍結し破壊したのち、動物組織の場合トリプシンなどの消化酵素を含有するバッファーで、植物組織の場合N-ラウロイルサルコシルを含有する抽出バッファーでそれぞれ処理し、遠心操作ののち、DNAをフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール、クロロホルム/オクタノール、クロロホルム/イソアミルアルコール、塩化セシウム飽和イソプロパノールなどの有機溶媒で抽出し、エタノールで沈殿させ、回収することができる。また、別の例として、細菌ゲノムからDNAを抽出する方法では、SDSおよびプロテイナーゼKを含有するTEバッファーで培養細菌を処理したのち、5M NaClを加えてCTAB/NaClで処理し、クロロホルム/イソアミルアルコール、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール、イソプロパノールなどでDNAを抽出し、エタノールで沈殿させる。一方、RNAの抽出法については、例えば、動物あるいは植物組織または細胞を液体窒素で凍結し破壊する、浸透圧衝撃で破壊するなどの手法で破壊したのち、N-ラウロイルサルコシルおよび塩化セシウムを含有するグアニジウム溶液で処理し、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール、クロロホルム/イソアミルアルコールなどの有機溶媒でRNAを抽出し、エタノールで沈殿し、回収する。細菌からのRNAの抽出は、例えばフェノール/クロロホルム、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール、クロロホルム/イソアミルアルコールなどの有機溶媒で抽出することを含む方法などで行うことができる。
【0030】
本明細書で使用する「ゲノムDNA」とは、動物細胞、植物細胞、菌類細胞、細菌細胞などの生物細胞内の核DNA、ミトンドリアDNA、葉緑体DNAなどを指す。したがって、上記の方法で抽出・単離されたゲノムDNAまたはその断片は、PCRの鋳型として使用される。
【0031】
PCRに使用されるプライマーは、上述の通り多型が検出される限りいずれでもよいが、生物の分類階級間、例えば、界間、門間、綱間、目間、科間、属間、種間、品種間、系統間、または個体間等の互いに識別したい対象同士で変化に富んでいる(すなわち、突然変異を起こしやすい)ゲノムDNA領域を増幅するものは多型を示しやすいので利用価値が高い。さらに好ましくは反復DNAを含む領域、より好ましくはマイクロサテライトを含む領域を増幅するプライマーから選択されることが望ましい。
【0032】
マイクロサテライトなどの反復DNAは、生物種別の反復配列データベースを有するrepeat masker(http://www.repeatmasker.org/)にアクセスすることによって類似性検索をすることができる。このようなデータベースから決定された反復DNAの塩基配列を挟むようにしてPCRに用いるプライマーを設計することができる。あるいは、不特定の反復DNAを検出するために、生物由来のDNA断片をベクター(プラスミド、ファージなど)に組込み、大腸菌に導入してcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを作製し、目的の標識化反復配列とハイブリダイズさせて、目的のクローンを選抜し、このクローンからDNAを回収し、配列決定してもよい。このような一連の操作は、例えば、Ausubelら(上記)、Sambrookら(Molecular Cloning, A Laboratory Mannual, 第2版, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press)などに記載されている。
【0033】
PCRは、94℃で1分〜2分の初期変性ののち、94℃で20秒〜30秒(変性ステップ)、50℃〜60℃で30秒(アニーリングステップ)、および72℃で30秒〜5分(伸長ステップ)を1サイクルとして30〜40サイクルを実施し、最後に、72℃で1分〜3分の伸長反応を行うことを含む。
【0034】
PCRバッファーは、例えば、200mM Tris−HCl,pH8.3,500mM KCl,20mM MgCl,0.01% gelatinからなる溶液を約10倍希釈して反応に使用される。これに、例えば、200μMずつのdATP,dCTP,dGTPおよびdTTP;0.8μMプライマー;1ユニットの耐熱性DNAポリメラーゼ;1〜100ng鋳型DNAが含有される。
【0035】
耐熱性DNAポリメラーゼは、例えばTaq DNAポリメラーゼである。ポリメラーゼは市販されているので、それらを使用することが望ましい。
【0036】
また、例えばサーマルサイクラー(Thermal Cycler)などのPCR反応装置が市販されているので、このような装置を利用することが望ましい。
【0037】
上記第2ステップでは、分子量に基づき増幅DNA断片を視覚化可能に分離する。
分離手段は、分子量のサイズの差に基づいてDNA断片を分離することを可能にする任意の手段を含む。このような手段には、電気泳動、サザンハイブリダイゼーション、ノザンハイブリダイゼーションなどのハイブリダイゼーションなどが含まれる。好ましい手段は、電気泳動、例えばアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミド電気泳動、キャピラリー電気泳動などである。
【0038】
ゲル電気泳動の場合、アガロースまたはアクリルアミドの含量(%)によって、分離可能なDNA断片のサイズ範囲が決まる。本発明では、増幅されたDNA断片の分子量は識別対象とする生物のみならずPCRやその後の電気泳動の条件等に左右されるため限定することはできないが、例えば実施例に記載されているキク品種間の識別においては、増幅されたDNA断片の分子量が50bp〜1000bpの間に入るようにすることが好ましいため、約1〜3%アガロースゲル、約3.5〜12%アクリルアミドが使用される。
【0039】
電気泳動バッファーは、通常、TAEまたはTBEバッファーである。
電気泳動の操作については、Ausubelら(上記)に記載されている。
【0040】
分離されたDNA断片は次いで、可視化される。可視化は、エチジウムブロマイド、蛍光色素(例えばシアン、ビーナスなど)、放射性同位元素(例えば32Pなど)などの染料や標識を利用して行われる。
【0041】
可視化された結果には、増幅されたDNA断片の量と分子量の情報が存在する。このうちDNA断片の量はシグナル(例えば、染料または標識)の強度により表される。また、分子量は電気泳動の移動度により表される。DNA断片の量については、濃度既知のDNA断片を同時に電気泳動すれば濃度を推定することが可能である。また、DNA断片の分子量については、分子量既知のDNA断片を同時に電気泳動すれば分子量を推定することが可能である。
【0042】
本発明では、シグナル強度について閾値(すなわち、有効な強度の最小値)を設定する。閾値の設定はシグナルの強度自体でもよいし、同時に増幅される他のDNA断片のシグナル強度を内部標準にし、内部標準に対する相対値でもよい。例えばリボソームRNA(rRNA)遺伝子など生物種を越えて存在する遺伝子のプライマーセットも加えPCR反応を行うことにより得られるDNA断片のうちリボソームRNA遺伝子断片のシグナル強度を内部標準にし、内部標準のシグナルに対するシグナル強度の比を設定することも可能である。内部標準の例は、rRNAの他に、ハウスキーピング遺伝子の転写産物(mRNA)もしくはそのcDNAを含む。ハウスキーピング遺伝子は、細胞内で実質的に変動のない発現量を示す遺伝子であり、例えばアクチン遺伝子などが含まれる。設定したシグナル強度あるいはシグナル強度比(閾値)以上のシグナルが検出されるときシグナルが有る、あるいは、設定したシグナル強度もしくはシグナル強度比未満のときシグナルなしと判断する。設定するシグナル強度またはシグナル強度比は任意に設定することが可能である。
【0043】
第3ステップでは、識別可能な個々のDNA断片に対して予め定義された分子量範囲に基づいて、該分子量範囲内に、所定のシグナル強度の閾値を超える増幅DNA断片が存在するかもしくは非存在かを決定する。
【0044】
分子量範囲については、分離手段によって分離されたDNA断片が判別しやすい範囲を定義する。本発明の実施形態によれば、そのような分子量範囲は、非限定的に、例えば約50bp〜約1000bpの間に任意に設定しうる。例えば、電気泳動の場合、DNA断片のバンドは、ある定義された分子量範囲、例えば約50bp〜約200bpの幅で設定された範囲(例えば、約100〜約150bp、約150〜約200bp、約200〜約250bp、約250〜約300bp、約300〜約350bp、・・・約550〜約700bp、約800〜約1000など)内に存在するか否かを決定する。定義された分子量に基づく範囲内に所定の閾値以上のシグナル強度をもつ1つまたは複数のDNA断片を1つのマーカーと呼ぶ。
【0045】
上記第4ステップにおいて、定義された範囲内に所定の閾値以上のシグナルが1つ以上あるとき「1」、定義された範囲内に所定の閾値以上のシグナルがないとき「0」と記載するように、DNA断片の存在または非存在を数値によって表す。この数値を、対象となる複数の分子量範囲について順に並べることにより2進法の数値とする。得られた数値を各試料間で比較することにより、あるいは既知生物の数値データと比較することにより、数値が一致すれば互いに同一の多型を有する生物分類階級のいずれかの階級に属するもの(例えば個体、品種、種又は属等)であると判定または推定する。なお、さらに必要に応じて、例えば10進法の数値に変換しその合計値を各試料間で比較することにより、あるいは既知生物の数値データと比較することにより、識別することが可能である。
【0046】
このような分子量範囲の数は、1つ以上で、可視化されたDNA断片数のもっとも多いサンプルのDNA断片数を最大とした範囲の任意の数でよい。後述の実施例では、キク16品種の識別を上記方法で行った例を示すが、キク16品種では、電気泳動の移動度として図1A〜Fに示す四角で囲った範囲を定義した。バンドとして識別可能なDNA断片を有する大体の範囲を目視で設定することは容易である。
【0047】
上記第5ステップにおいて、このようにして得られた1つ以上のマーカーについての記載を各試料間で比較することにより、あるいは既知生物の核酸で予め決定された数値データと比較することにより、多型を評価し相違を判別することが可能となる。このように、シグナル強度および領域として定義した移動度という2つのデータを処理することにより容易にDNA断片の多型評価が可能である。
【0048】
本発明の上記方法によって、生物の分類階級間、例えば、界間、門間、綱間、目間、科間、属間、種間、品種間、系統間、または個体間等の識別や多型を評価することが可能になる。特に、マイクロサテライトを含む領域をターゲットにする場合には、多型評価だけでなく、疾患の有無も判定することが可能になるだろう。疾患は、ハンチントン病などの遺伝病、癌などの遺伝子変異によって引き起こされるものを含む。
【0049】
上述したアルゴリズムは自動化が可能である。例えば、電気泳動像をカメラやイメージスキャナーを用いてコンピューターに取り込み、シグナル強度の閾値と調査する範囲を設定し、各試料について上述した「1」、「0」を出力することで自動化が可能である。また、蛍光ラベルした増幅DNA断片を試料とした場合には、蛍光DNA塩基配列決定装置(例えばアプライドバイオシステムズジャパン社のジェネティックアナライザー)を用いることにより、蛍光強度の閾値と調査する電気泳動移動度の範囲を設定し、各試料について上述した「1」、「0」を出力することで、増幅したDNA断片から多型解析結果の出力までを自動化することが可能である。このように、カメラやイメージスキャナーをコンピューターと一体化した機器とすれば、自動的に多型解析できるシステムとなる。
【0050】
シグナル強度は、試料DNAに共存するPCR反応の効率を阻害する物質の濃度が各試料間でふれると、再現性が低くなる場合がある。このような心配がある各試料間の比較は内部標準を用いることで解決される。また、移動度の範囲をずれの範囲より広く定義することで、容易に再現性を確保することができる。
【0051】
本発明による核酸の多型評価方法は、真核生物および原核生物を含む生物に使用可能である。本発明の方法は、動物、植物、菌類、藻類などの真核生物の多型評価に好ましく使用される。以下の実施例では、本発明の方法によって、生物のうち植物、特にキク科植物の中で比較的多品種でかつ実用性の高いキク属植物の品種間を識別する例を示す。
【実施例】
【0052】
次に、以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0053】
プライマーセットの設計
1.試料からのDNA抽出
キク品種「セイプリンス」(販売元:有限会社精興園)の未展開葉1g(10〜12個)を液体窒素に浸漬させ凍結し、パウダー状になるまで粉砕した。凍結状態のサンプルに沸騰直前まで温めた1.5×CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)抽出バッファーを5ml加えてDNAを抽出し、等量のクロロホルム−イソアミルアルコール(クロロホルム:イソアミルアルコール=24:1)を加え、遠心機で遠心分離(3000rpm、常温、30分間)の後に上清を採取することによる除タンパク質処理を2回行った。
【0054】
その後CTAB沈殿バッファー7.5mlを加え析出したDNAをイノキュレーションループで掬いとり、10ng/ml RNaseを含む1M NaCl2mlに再溶解した。水溶性の夾雑物と塩類を除去するために、エタノール2.5倍量を加え混和した後に、遠心分離して得た沈殿を70%エタノールで洗浄し、最終沈殿物をTE溶液100μlに溶解した。
【0055】
2.DNAライブラリーの作製
得られた「セイプリンス」のゲノムDNA約3.0μgを超音波破砕した後、0.5 μl T4 polymeraseを加え、37℃で5分放置して末端の平滑化を行った。このDNAをアガロースゲル(1.2%)電気泳動(1.0%、0.5xTBEバッファー、100V、15分)により分離した後、1kbから1.5kbのDNA断片を回収した。回収したDNA断片3.5μl、ライゲーションバッファー0.5μl、プラスミドベクター(pUC18)0.5μl、T4リガーゼ0.5μl(1U/μl)を加えた反応液を調製し、一晩反応させてDNA断片をプラスミドベクターに挿入した。DNA断片を挿入したプラスミドベクターは、エレクトロポレーション法にてコンピテントセル(大腸菌株DH10B)へ形質転換させた。形質転換した細胞は、25ppmアンピシリンを含むLB寒天培地(1% Polypepton、0.5% Yeast Extract、1% NaCl、1.5% Bacto Agar)上で、37℃で一晩培養し、生育するコロニーからなるライブラリーを作製した。得られた形質転換体約60万クローンをプール化し、アルカリSDS法を用いてプラスミドDNAを抽出した。
【0056】
3.DNAライブラリーの濃縮
まず、以下の塩基配列からなる2種類のオリゴヌクレオチド(CA−オリゴおよびTG−オリゴ)を合成した。CA−オリゴは、5'側から3'側に向かって、30merからなるAの連鎖と、それに続く(CA)の25回の繰り返しからなる(配列番号1)。TG−オリゴは、5'側から3'側に向かって、30merからなるAの連鎖と、それに続く(TG)の25回の繰り返しからなる(配列番号2)。
【0057】
これらのプローブを、Amersham社のMegaprime DNA labeling systemを利用してビオチン化した。具体的な操作は次のとおりである。まず、CA−オリゴ200pmol とTG−オリゴ200pmol をアニーリング(室温で混合)させた。次いで、dATP、dGTP、dCTP、dTTPをそれぞれ20pmol加え、最後に、ビオチン21−dUTPを1000pmol加えた。更に、DNAポリメラーゼ(Klenow断片)を2ユニット加えて、室温で2時間反応させた。作製したビオチン化プローブを5分間煮沸後に氷上で急冷して1本鎖化した。1本鎖化したビオチン化プローブに2.5mM CoCl、ATP (ATPとATP−gumma−Sの混合液)、およびRecAタンパク8μgを加えて、37℃で20分間インキュベートした。次いで、上記2.で作製されたプラスミドライブラリー10μgを加えて37℃で1時間インキュベートして、3重鎖を形成させた。その後、0.1%SDS存在下でプロティナーゼK処理によってRecAを分解し、さらにPhenylmethylsulfonyl Fluoride(PMSF)を加えてプロティナーゼKを不活化した。ビオチン化プローブとプラスミドベクターを含む液を、緩衝液で平衡化したStreptavidin磁気ビーズと混合した。室温で放置後、ストレプトアビジンと結合しなかったDNAを洗浄液(10mM Tris−HCl (pH7.5)、1mM EDTA、2M NaCl)で洗浄した。洗浄後にアルカリ液(0.1N NaOH、1mM EDTA)によって結合したDNAを溶出した。溶出されたプラスミドベクターはエタノール沈殿法で精製し、エレクトロポレーション法にてコンピテントセル(大腸菌株DH10B)へ形質転換させた。
【0058】
4.挿入されたDNA断片の塩基配列決定
続いて、整列化したクローンに挿入されているDNA断片の塩基配列を解読した。まず、大腸菌クローンを37℃で一晩、50ppmアンピシリンを含むLB(1% Polypepton、0.5% Yeast Extract、1% NaCl)液体培地で培養し、4,800クローンからアルカリ法(Molecular Cloning Second Edition 1.25-1.28 Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))にてプラスミドDNAを抽出し、MultiScreen NAとMultiScreen F(Millipore社)を用いて精製した。得られたプラスミドDNAを、Big Dye Terminater Ver. 3.1(アプライドバイオシステムズ社)を用いて反応させ、精製用磁性樹脂(CleanSeq(Beckman Coulter社)で未反応分の余剰色素を除去した。精製後のサンプルを、キャピラリーシーケンサ(ABI3730xl(アプライドバイオシステムズ社))を用いて解読した。
【0059】
5.プライマーセットの設計
次に、このようにして得られた塩基配列情報を用いて、マイクロサテライトマーカーを検出するためのプライマー情報の作成を行った。プライマー情報の作成には、マイクロサテライトマーカー自動設計システム「Read2Marker」を使用した。得られた結果のうち2塩基(AG、AC、AT、GA、GC、GT、CA、CG、CT、TA、TG、TC)の単純反復配列のみを検出対象とするようなプライマーセットを抽出し、480プライマーセットを合成した。
【0060】
プライマーセットの選抜
(1)試料からのDNA抽出
キク8品種(ウッドペッカー、トゥアーマリン、フィアイビス、フィーリンググリーン、フェリスオーラ、エバーグレース、ユーロおよび神馬(いずれも販売元キリンアグリバイオ株式会社))のさし穂茎頂から、「DNeasy Plant Mini Kits」(QIAGEN社)を使用し、添付のプロトコールに従いゲノムDNAを抽出した。抽出したDNAは260nmの吸光度から濃度を算出し、2ng/μlに希釈し、以降の実験に供試した。
【0061】
(2)多型の確認
設計したプライマーは、上記8品種から抽出したDNAを用いてPCRによる増幅を行い、多型を確認した。PCR反応液の組成は、DNA(2ng/μl)1μl、Go−Taq Green Master Mix(プロメガ社)5μl、プライマー(20μM)各0.2μl、滅菌水3.6μlとした。PCR反応は、94℃で2分間の後、94℃で30秒間(変性)、55℃(配列番号3および4のプライマーセット(a)のみ60℃)で30秒間(アニーリング)、72℃で1分間(伸長反応)を35サイクル、最後に72℃で5分間行った。増幅産物を0.5xTBEバッファーで作製した3%アガロースゲルを用い0.5xTBEバッファー中で200V、100分電気泳動した後、エチジウムブロマイドにより染色し、紫外光下で増幅産物を検出した。電気泳動像は、ゲル撮影装置(BIO-Doc-It UVP社)により画像データとするとともに印刷し、多型の有無を評価した。なお、分子量マーカーとしてOneSTEP Ladder 50 (0.05〜2.0kbp)(ニッポンジーン社)あるいは50bp DNA Step Ladder(プロメガ社)を同時に電気泳動した。このようにして、480プライマーセットから、多型性に富み、増幅のよい6プライマーセット((a)配列番号3と4、(b)配列番号5と6、(c)配列番号7と8、(d)配列番号9と10、(e)配列番号11と12、(f)配列番号13と14)を選抜した。
【0062】
電気泳動像の取得
(1)試料からのDNA抽出
キク16品種(ウッドペッカー、キングフィッシャー、ゴールドストックダークリネカー、ジャジー、スケアリー、トゥアーマリン、バロック、フィアイビス、フィーリンググリーン、フィヴァチカン、フィウォッカライム、フィエナジー、フィガーネット、フィキャンドール、フィスワン、フィファルコン:いずれも販売元キリンアグリバイオ株式会社)のさし穂茎頂から、「DNeasy Plant Mini Kits」(QIAGEN社)を使用し添付のプロトコールに従いゲノムDNAを抽出した。抽出したDNAは260nmの吸光度から濃度を算出し、2ng/μlに希釈し以降の実験に供試した。
【0063】
(2)PCRを用いたDNA断片の増幅
以下の6つのプライマーセット(a)〜(f):
(a) atagcccctttttctcctcctcctとaaacaaggaaaattgatccactg(配列番号3、4)
(b) attgctagaggtgtgggagctcagとagatcaagaagatcaatgacgggg(配列番号5、6)
(c) aagatgctaacccaaaattaattagaとccatatgtgtattttgtgacagtt(配列番号7、8)
(d) gaaaaacaaccttcaaagtggcctとgcgggtgtttctttttcaattaacg(配列番号9、10)
(e) ggcaactcttgaatttggcaactcとccgagaaagtgtatattccggcac(配列番号11、12)
(f) gttgcaccgttcgtccttaagtgtとgtcggcggtatacctttgatgaac(配列番号13、14)
のそれぞれについて16品種のゲノムDNAを鋳型にPCR増幅を行った。PCR反応液の組成は、DNA(2ng/μl)1μl、Go−Taq Green Master Mix(プロメガ社)5μl、プライマー(20μM)各0.2μl、滅菌水3.6μlとした。PCR反応は、94℃で2分間の後、94℃で30秒間、55℃(上記(a)のプライマーセットのみ60℃)で30秒間および72℃で1分間を35サイクル、最後に72℃で5分間行った。
【0064】
(3)DNA断片の可視化
増幅DNA断片を、0.5xTBEバッファーで調製した3%アガロースゲルを用い0.5xTBEバッファー中で200V、100分電気泳動した後、エチジウムブロマイドにより染色し、紫外光下で増幅DNA断片を検出した。電気泳動像は、ゲル撮影装置(BIO-Doc-It UVP社)により画像データとするとともに印刷し以降の解析に用いた(図1)。なお、分子量マーカーとしてOneSTEP Ladder 50(0.05〜2.0 kbp)(ニッポンジーン社)あるいは50bp DNA Step Ladder(プロメガ社)を同時に電気泳動した。
【0065】
電気泳動像の解析
図1に示す6種の電気泳動像を用いて、キク16品種の多型解析による品種識別を試みた。いずれの図においても分子量マーカー(M)を除いて左から右に、ウッドペッカー(1)、キングフィッシャー(2)、ゴールドストックダークリネカー(3)、ジャジー(4)、スケアリー(5)、トゥアーマリン(6)、バロック(7)、フィアイビス(8)、フィーリンググリーン(9)、フィヴァチカン(10)、フィウォッカライム(11)、フィエナジー(12)、フィガーネット(13)、フィキャンドール(14)、フィスワン(15)、フィファルコン(16)である。
【0066】
また、第1プライマーセット(a)の結果は図1A、第2プライマーセット(b)の結果は図1B、第3プライマーセット(c)の結果は図1C、第4プライマーセット(d)の結果は図1D、第5プライマーセット(e)の結果は図1E、第6プライマーセット(f)の結果は図1Fである。
【0067】
図1Aでは5つの領域(図1A:1〜5)を、図1Bでは3領域(図1B:1〜3)、図1Cでは2領域(図1C:1〜2)、図1Dでは2領域(図1D:1〜2)、図1Eでは3領域(図1E:1〜3)、図1Fでは2領域(図1F:1〜2)の合計17領域を定義した。
【0068】
以下に、同時に電気泳動を行った分子量マーカーから推定されるおよその分子量領域を示す。図1において、A1は250bp近辺、A2は200bp近辺、A3は約150bp〜約200bp、A4は約100bp〜約150bp、A5は100bp近辺、B1は約250bp〜約350bp、B2は200bp近辺、B3は100bp近辺、C1は約300bp〜約350bp、C2は約250bp〜約300bp、D1は約250bp〜約300bp、D2は約200bp〜約250bp、E1は約250bp〜約300bp、E2は約200bp〜約250bp、E3は200bp近辺、F1は約550bp〜約700bp、F2は約250bp〜約300bpである。
【0069】
定義された合計17の領域について、本実施例では各領域のシグナル強度の閾値を目視により設定し、閾値以上のシグナルが1つ以上あれば「1」を、当該領域に閾値以上のシグナルがなければ「0」を記載した。
【0070】
品種の識別
得られた結果を表1(キク16品種の6プライマーセットによるPCR増幅断片に存在する多型の解析例)に示す。なお、表1に記載の品種の配列番号1〜16は上記の図での付番と一致する。17個のマーカーの有無により、各品種の結果を17桁の2進法の数値で記載することができる。これら2進法の数値を10進法に変換した数値を表1の最下行に記載した。このように用いた16品種はすべて異なる数値で表され、個別のマーカー型を持つことが示された。一定以上のシグナルだけを抽出し、シグナルを生む分子種の同一性を無視し、領域を定義することにより非相同性およびずれを許容し隣接したシグナルを1つとみなすことにより、解析を容易にすることが可能であった。また、このようにして解析した多型データにより品種を識別することが可能であった。
【0071】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、生物の分類階級間、例えば、界間、門間、綱間、目間、科間、属間、種間、品種間、系統間、または個体間等の互いに識別したい対象間の多型を評価することができるので、農業上または医学上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1A】16品種のキクから抽出したDNAを鋳型に、プライマーセット(a)(配列番号3および4)を用いてPCR増幅した産物の電気泳動像。左のレーンより、分子量マーカー(M)、ウッドペッカー(1)、キングフィッシャー(2)、ゴールドストックダークリネカー(3)、ジャジー(4)、スケアリー(5)、トゥアーマリン(6)、バロック(7)、フィアイビス(8)、フィーリンググリーン(9)、フィヴァチカン(10)、フィウォッカライム(11)、フィエナジー(12)、フィガーネット(13)、フィキャンドール(14)、フィスワン(15)、フィファルコン(16)、分子量マーカー(M)。それぞれの像において定義した領域を四角で囲んだ。
【図1B】16品種のキクから抽出したDNAを鋳型に、プライマーセット(b)(配列番号5および6)を用いてPCR増幅した産物の電気泳動像。左のレーンより、分子量マーカー(M)、ウッドペッカー(1)、キングフィッシャー(2)、ゴールドストックダークリネカー(3)、ジャジー(4)、スケアリー(5)、トゥアーマリン(6)、バロック(7)、フィアイビス(8)、フィーリンググリーン(9)、フィヴァチカン(10)、フィウォッカライム(11)、フィエナジー(12)、フィガーネット(13)、フィキャンドール(14)、フィスワン(15)、フィファルコン(16)、分子量マーカー(M)。それぞれの像において定義した領域を四角で囲んだ。
【図1C】16品種のキクから抽出したDNAを鋳型に、プライマーセット(c)(配列番号7および8)を用いてPCR増幅した産物の電気泳動像。左のレーンより、分子量マーカー(M)、ウッドペッカー(1)、キングフィッシャー(2)、ゴールドストックダークリネカー(3)、ジャジー(4)、スケアリー(5)、トゥアーマリン(6)、バロック(7)、フィアイビス(8)、フィーリンググリーン(9)、フィヴァチカン(10)、フィウォッカライム(11)、フィエナジー(12)、フィガーネット(13)、フィキャンドール(14)、フィスワン(15)、フィファルコン(16)、分子量マーカー(M)。それぞれの像において定義した領域を四角で囲んだ。
【図1D】16品種のキクから抽出したDNAを鋳型に、プライマーセット(d)(配列番号9および10)を用いてPCR増幅した産物の電気泳動像。左のレーンより、分子量マーカー(M)、ウッドペッカー(1)、キングフィッシャー(2)、ゴールドストックダークリネカー(3)、ジャジー(4)、スケアリー(5)、トゥアーマリン(6)、バロック(7)、フィアイビス(8)、フィーリンググリーン(9)、フィヴァチカン(10)、フィウォッカライム(11)、フィエナジー(12)、フィガーネット(13)、フィキャンドール(14)、フィスワン(15)、フィファルコン(16)、分子量マーカー(M)。それぞれの像において定義した領域を四角で囲んだ。
【図1E】16品種のキクから抽出したDNAを鋳型に、プライマーセット(e)(配列番号11および12)を用いてPCR増幅した産物の電気泳動像。左のレーンより、分子量マーカー(M)、ウッドペッカー(1)、キングフィッシャー(2)、ゴールドストックダークリネカー(3)、ジャジー(4)、スケアリー(5)、トゥアーマリン(6)、バロック(7)、フィアイビス(8)、フィーリンググリーン(9)、フィヴァチカン(10)、フィウォッカライム(11)、フィエナジー(12)、フィガーネット(13)、フィキャンドール(14)、フィスワン(15)、フィファルコン(16)、分子量マーカー(M)。それぞれの像において定義した領域を四角で囲んだ。
【図1F】16品種のキクから抽出したDNAを鋳型に、プライマーセット(f)(配列番号13および14)を用いてPCR増幅した産物の電気泳動像。左のレーンより、分子量マーカー(M)、ウッドペッカー(1)、キングフィッシャー(2)、ゴールドストックダークリネカー(3)、ジャジー(4)、スケアリー(5)、トゥアーマリン(6)、バロック(7)、フィアイビス(8)、フィーリンググリーン(9)、フィヴァチカン(10)、フィウォッカライム(11)、フィエナジー(12)、フィガーネット(13)、フィキャンドール(14)、フィスワン(15)、フィファルコン(16)、分子量マーカー(M)。それぞれの像において定義した領域を四角で囲んだ。
【配列表フリーテキスト】
【0074】
配列番号1、2:プローブ
配列番号3〜14:プライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物由来のDNAまたはRNAから、DNA断片の増幅処理を行い、分子量に基づき該増幅DNA断片を視覚化可能に分離したのち、識別可能な個々のDNA断片に対して予め定義された分子量範囲に基づいて、該分子量範囲内に、所定のシグナル強度の閾値を超える増幅DNA断片が存在するかもしくは存在しないかを決定し、各増幅DNA断片の存在もしくは非存在を数値化し、得られた数値データを、該増幅DNA断片について、各試料間で比較するか、および/または、既知生物の核酸で予め決定された数値データと比較することを含む、生物の核酸多型を評価する方法。
【請求項2】
前記分離を電気泳動にて行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増幅DNA断片の存在もしくは非存在の数値化を2進法の数値で表すことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記増幅DNA断片について表した前記2進法の数値をさらに、各試料の数値データ間で比較するか、および/または、既知生物の核酸で予め決定された数値データと比較することを特徴とする、請求項3に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図1F】
image rotate


【公開番号】特開2010−35501(P2010−35501A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203240(P2008−203240)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(593027587)社団法人農林水産先端技術産業振興センター (7)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】