説明

根茎収穫機

【課題】
畝の表面から法面に沿うように倒れた茎葉部を畝の表面を走行する板状のそり体では法面上に倒伏した玉葱の茎葉部を掻き揚げることができないそのため玉葱の抜き残しが生じる。
【解決手段】
根茎収穫機において、畝Uの法面U2に追従して上下自在に揺動する前記補助分草装置70を縦回し形係止引起し装置1cの側面から機体前方へ向けて傾斜させ、更に前記補助分草装置70の作用側A1を法面U2側へ向けて斜設したことを特徴とする根茎収穫機

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝面に列状に植立した玉葱や人参等を引き抜いて収穫する根茎収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
機体左側の最外方の係止引起し装置の前方に上下に揺動するデバイダを設け、このデバイダにより倒伏した茎葉部を引起し装置の縦向き係止爪に受継ぎ、さらに上方へ引揚げるように作動する根茎収穫機は存在している。
【0003】
この種の収穫機において、デバイダの後部を引起し装置の側方に回動自在に枢着し、このデバイダの前端にそり体を設けた補助分草装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−89368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では品種の改良により茎葉部の長い玉葱が栽培されているが、このような玉葱は茎葉部が長く軟弱で倒れやすい性質をもっている。従来の根茎収穫機は畝の頂面(表面)に倒れた茎葉部をデバイダで掻揚させて収穫することはできるが、畝の頂面(表面)から法面に沿うように倒れた茎葉部を掻き揚げることはできないので玉葱の抜き残しが生じる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消させ得る根茎収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、請求項1に記載したように、 畝面U1の玉葱Wなどの作物を、機体前部の最外方に設けた縦回し形係止引起し装置1cの前方に上下揺動自在な補助分草装置70を設け、この補助分草装置70が倒伏した玉葱Wの茎葉部W1を分草しながら地面から掻上げた茎葉部W1を前記縦回し形係止引起し装置1cの縦回し係止爪57が受継ぎ、更に引抜搬送装置5にて上方へ引揚げるとともに、掘起し刃19で浮き上がらせ、引続き下部搬送装置9にて茎葉部W1の下部を挟持して後方へ搬送し、この搬送過程に切断装置25で茎葉部W1を切断処理した作物を畝面U1上に放出させる根茎収穫機において、畝Uの法面U2に追従して上下自在に揺動する前記補助分草装置70を縦回し形係止引起し装置1cの側面から機体前方へ向けて傾斜させ、更に前記補助分草装置70の作用側A1を法面U2側へ向けて斜設したものである。
【0008】
この発明は次のように具体化できる。
即ち、請求項2に記載したように、前記補助分草装置70が畝Uの法面U2に追従動作可能にリンク部材83を介して追従ローラ81を設けたものである。
【0009】
また請求項3に記載したように、倒伏した玉葱W等の茎葉部W1を分草、掻揚げする補助分草装置70の掻揚ベルト71の回転軌跡Bを、茎葉部W1を分草、掻揚げする側B1は縦回し係止引起し装置1cへ受け渡しする側B2に比較して小径に構成したものである。
【0010】
さらに請求項4に記載したように、畝面U1の玉葱Wなどの作物を、畝Uの法面U2側となる最外方に設けた縦回し形係止引起し装置1cの前方に上下揺動自在な補助分草装置70を設け、この補助分草装置70が倒伏した玉葱Wの茎葉部W1を分草しながら地面から掻揚げた茎葉部W1を前記縦回し形係止引起し装置1cの縦回し係止爪57が受け継ぎ、更に引抜搬送装置5にて上方へ引き上げるとともに、掘起し刃19で浮き上がらせ、引続き下部搬送装置9にて茎葉部W1の下部を挟持して後方へ搬送し、この搬送中に切断装置25で茎葉部W1を切断処理した作物を畝面U1上に放出させる根茎収穫機において、倒伏した玉葱W等の茎葉部W1を分草、掻揚げする前記補助分草装置70の掻揚ベルト71を巻き掛けする駆動プーリ72及び従動プーリ73を設け、前記掻揚ベルト71の回転軌跡Bを従動プーリ73側は駆動プーリ72側に比べ小径とし、また畝Uの法面U2に追従して走行する追従ローラ81を設け、該追従ローラ81を上下に揺動する揺動アーム84の端部に回動自在に装着し、該揺動アーム84の回動支点63を、前記補助分草装置70を上下揺動する回動支点62より後方に設け、該補助分草装置70と前記揺動アーム84をリンク部材83を介して一体的に接続構成し、縦回し形係止引起し装置1cの下端側方に設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば次のような効果が得られる。即ち、請求項1記載のものによれば、 畝面U1の玉葱Wなどの作物を、機体前部の最外方に設けた縦回し形係止引起し装置1cの前方に上下揺動自在な補助分草装置70を設け、この補助分草装置70が倒伏した玉葱Wの茎葉部W1を分草しながら地面から掻上げた茎葉部W1を前記縦回し形係止引起し装置1cの縦回し係止爪57が受継ぎ、更に引抜搬送装置5にて上方へ引揚げるとともに、掘起し刃19で浮き上がらせ、引続き下部搬送装置9にて茎葉部W1の下部を挟持して後方へ搬送し、この搬送過程に切断装置25で茎葉部W1を切断処理した作物を畝面U1上に放出させる根茎収穫機において、畝Uの法面U2に追従して上下自在に揺動する前記補助分草装置70を縦回し形係止引起し装置1cの側面から機体前方へ向けて傾斜させ、更に前記補助分草装置70の作用側A1を法面U2側へ向けて斜設したことにより、法面の上部から下方へ倒伏した茎葉部が縦回し形係止引起し装置1cによって掻き揚げられ引起し作用を受けない茎葉が無くなり抜き残しの問題が減少し、また補助分草装置と縦回し形引起し装置の受継ぎ部で確実に受継がれ搬送漏れが無くなり茎葉部の詰まりの発生がなく、さらに運転者が作業状態を見やすく操作が確実にできる。
【0012】
また請求項2記載のものによれば、前記補助分草装置70が畝Uの法面U2に追従動作可能にリンク部材83を介して追従ローラ81を設けたことにより、請求項1記載の効果の他、簡単な構造で補助搬送装置と追従ローラが法面の凹凸に対して上下に追従することができるので補助分草装置による茎葉の取り込みがよくなるのである。
【0013】
また請求項3記載のものによれば、倒伏した玉葱W等の茎葉部W1を分草、掻揚げする補助分草装置70の掻揚ベルト71の回転軌跡Bを、茎葉部W1を分草、掻揚げする側B1は縦回し係止引起し装置1cへ受け渡しする側B2に比較して小径に構成したことにより、請求項1乃至2記載の効果の他、倒伏した茎葉部に対して補助分草装置の掻揚ベルトの突起部の拾上げ角度を基端側は鋭角で先端側は鈍角に順次変化しているので掬い揚げる回数が多くなりそのため抜き残しの問題が減少する。
【0014】
また請求項4記載のものによれば、畝面U1の玉葱Wなどの作物を、畝Uの法面U2側となる最外方に設けた縦回し形係止引起し装置1cの前方に上下揺動自在な補助分草装置70を設け、この補助分草装置70が倒伏した玉葱Wの茎葉部W1を分草しながら地面から掻揚げた茎葉部W1を前記縦回し形係止引起し装置1cの縦回し係止爪57が受け継ぎ、更に引抜搬送装置5にて上方へ引き上げるとともに、掘起し刃19で浮き上がらせ、引続き下部搬送装置9にて茎葉部W1の下部を挟持して後方へ搬送し、この搬送中に切断装置25で茎葉部W1を切断処理した作物を畝面U1上に放出させる根茎収穫機において、倒伏した玉葱W等の茎葉部W1を分草、掻揚げする前記補助分草装置70の掻揚ベルト71を巻き掛けする駆動プーリ72及び従動プーリ73を設け、前記掻揚ベルト71の回転軌跡Bを従動プーリ73側は駆動プーリ72側に比べ小径とし、また畝Uの法面U2に追従して走行する追従ローラ81を設け、該追従ローラ81を上下に揺動する揺動アーム84の端部に回動自在に装着し、該揺動アーム84の回動支点63を、前記補助分草装置70を上下揺動する回動支点62より後方に設け、該補助分草装置70と前記揺動アーム84をリンク部材83を介して一体的に接続構成し、縦回し形係止引起し装置1cの下端側方に設けたことにより、請求項1乃至3記載の効果の他、揺動アームと補助分草装置を昇降する平行リンク機構を構成でき揺動アームの動きに対して速やかに補助分草装置が対応することができるので機体の上下動による補助分草装置の茎葉取り込み或いは掻き揚げ作用の効果が増大するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例を説明する。
図1は本発明に係る収穫機の側面図、
図2は前記収穫機の平面図、
図3は前記収穫機の動力系統図、
図4は前記収穫機の切断装置の動力系統図、
図5は前記収穫機の切断装置の側面図、
図6は前記収穫機の下部搬送装置及び整列装置の側面図、
図7は前記収穫機の下部搬送装置及び整列装置の後面図、
図8は前記収穫機の下部搬送装置及び整列装置のロ矢視図、
図9は前記収穫機の補助搬送装置の側面図、
図10は前記収穫機の補助搬送装置の正面図、
図11は前記収穫機の補助搬送装置の平面図、
図12は前記収穫機の補助搬送装置のイーイ断面図である。
【0016】
図1乃至図3を参照して、本発明に係る収穫機の一実施例を説明する。
図1、図2において、1a,1b,1cは機体の最前部に左右方向の一定間隔毎に設けた縦回し形引起し装置である。これら縦回し形引起し装置1a、1b、1cの各々は(図3に示す)機体の前方上部に設けた横向き駆動ケース内の横向き上部スプロケット軸56を共有し、この上部スプロケット軸56に固定した駆動スプロケット54と下方に設けた従動スプロケット55に縦向き係止爪57の列設した無端状のチェン(図示しない)を掛け回し、機体の進行中に縦向き係止爪57が斜め上方f1へ移動されるようになしてある。
縦向き係止爪57は、樹脂製で形成した係止爪本体と、軟質材で形成した突起部を締結部材で固設してチエン(図示しない)に固着している。この突起部を軟質材で構成することにより茎葉部W1や玉部W2が突起部と接するときに発生する切れや傷つきが防止できる。
【0017】
縦回し形引起し装置1a、1bの先端にデバイダ2が斜め前方下向きに延出し、機体の進行中に玉葱Wの茎葉部W1を分草するものである。
このデバイダ2は縦回し形引起し装置1a、1bの側部下方(従動スプロケット55軸心近傍)を基点として先端部を上下回動可能に構成した棒状のデバイダ体2aを2段に屈曲成形し、その屈曲部から縦向き係止爪57を挟むようにガイド棒2bを溶着して略Y字状に形成している。このY字状の股部で茎葉を砕片しないように確実に搬送できるようにしている。
また、縦向き係止爪57で引起した茎葉部W1の流れを阻害しないようにガイド棒2bの先端部を縦向き係止爪57の回転軌跡C2(図9に示す)とラップしないようにしている。
【0018】
また左側の縦回し形引起し装置1cの側部下方(従動スプロケット55の軸心近傍)に法面U2に倒伏した茎葉部W1を分草、掻揚させ縦回し形引起し装置1cの縦向き係止爪57へ受継ぎする補助分草装置70を構成している。
該補助分草装置70の実施形態について後述いたします。
【0019】
3は左右一対の掻込要部4、4を設けた掻込装置である。この各掻込要部4の係止突起4aは下方端部外方から中央個所へ向けて周回移動し、続いて斜め上方へ移動することにより、縦向き形引起し装置1により引起した茎葉部W1を掻込装置3の中央へ掻込み、続いて図1に示すように斜め上方f2へ引上げるように構成している。
【0020】
5は左右一対の引抜搬送要部6、6からなる引抜搬送装置5である。各引抜
搬送要部6、6は図3に示すように、複数のプーリ6a、6bに引抜搬送ベルト7、7を巻掛けたものである。これら引抜搬送要部6、6の引抜搬送ベルト7、7は対向させ、引抜搬送ベルト7、7間を引抜搬送経路kとしている。
【0021】
この引抜搬送装置5は、掻込み装置3が掻込んだ茎葉部W1の比較的上部を引抜搬送経路kの搬送始端で受取り、続いて引抜搬送ベルト7、7で挟持して図1に示すように斜め上方f3へ搬送し、この搬送過程で、下方に位置した掘起し刃19、19で浮き上らせ畝面U1の玉葱Wを土中から浮き揚げるにしている。
【0022】
次に、引抜搬送ベルト7、7の下方に、図1に示すように、下部搬送装置9を設けている。この下部搬送装置9は図8に示すように、左右一対の下部搬送要部10、10からなり、前後傾斜は引抜搬送装置5よりも緩やかに構成している。
そして、各下部搬送要部10は前後一対の端部プーリ11、12に下部搬送ベルト13を巻き掛けしている。この一対の下部搬送ベルト13、13は対向さて配設し、この下部搬送ベルト13、13間を茎葉部W1の下部を挟持搬送する搬送経路k1としている。
【0023】
次に、図1に示すように、引抜搬送装置5と下部搬送装置9の間に切断装置25
を配設している。この切断装置25は図4に示すように、水平部141aと垂直部141bからなる本体フレーム141を備え、さらに水平部141aの内方に回転入力軸142を装設し、また垂直部141bに前記回転入力軸142とベベルギヤ143を介して連動連結した出力軸144を装設し、この出力軸144に円盤形の回転切刃145を固設している。
【0024】
この切断装置25は機体に対して位置の変更調整自在に装設している。
具体的には次のように構成している。
図1、図4及び図5に示すように、断面をコ字形に形成し、さらに中央辺部に長孔S1を設けた案内板147を機体に設けた支持板146に固設し、一方水平部141aの中途部に切断装置25の位置を変更操作する遠隔操作部材を取付ける取付部141cを設け、さらに取付孔141cより端部へ延出したガイドボス141dを設けた本体フレーム141を機体中心側から長孔S1に挿入し、さらに機体外方から撓曲自在管287を保持する支持管287aの端部と前記ガイドボス141dで案内板147を挟んで滑動可能に締結部材で連接固定している。
そして、図1、図2及び図4に示すように、操作ハンドル31の上部前部に、切断装置25の位置を遠隔操作するツマミ付ハンドル39を摺動保持する長孔S2を形成した案内支持板36を設けるとともに、この案内支持板36に設けたツマミ付ハンドル39と本体フレーム141に設けた取付部141cを連結部材37で連接して切断装置25の位置を遠隔操作できるように構成している。
【0025】
次に、整列装置15は図1、図7及び図8に示すように、引抜搬送装置5の下方で、しかも下部搬送装置9に後続する位置に設けている。この整列装置15の要部は、前後の高低個所に一対の第二プーリ17a、17bを縦面に沿わせ、第二プーリ17b下部を左側へ偏倚して傾斜させた状態で第二プーリ17a、17bに無端状の搬送ベルト18を巻き掛けしたものである。
さらに整列装置15への駆動は、下部搬送装置9の右側部に設けた端部プーリ12と第二プーリ17aを連結する回動自在な伝動ケース38を介して第二プーリ17aに伝達し、搬送ベルト18の下側張り部18a(図6に示す)を後方の下向きf4へ駆動するように形成している。
【0026】
そして、この整列装置15と下部搬送装置9との前後間には図6及び図7に示すような横倒し継送装置Yを設けている。この横倒し継送装置Yは、下部搬送装置9の左側に設けた端部プーリ12を支持する回転中心軸20の上方側に軟質材で一体成形したスターホイール22aを固定するとともに、下方側に軟質材で一体成形した案内ローラ22bを一体に構成としている。
そして、機体から延出した支持部材48,49でスターホイール22aを上下二本で挟むように設け、後述する整列ガイド24との協働で玉葱の搬送姿勢を縦向きから横向きに変更するように構成している
【0027】
次に、切断装置25で切断処理した玉葱Wを継送装置Yへの搬送を補助する搬送ガイド棒23と整列装置15で玉葱Wを保持する整列ガイド棒24は図6乃至図8に示すように、圃場の畝の高さに合わせて適正な位置に玉葱を放出するため、整列装置15の傾き変更にともなって搬送ガイド棒23も前後動するように構成している。
具体的には、搬送ガイド棒23の前端(始端部)を下部搬送装置9の搬送要部である下部搬送フレーム17cに設けた長孔S3に前後摺動自在に取付け、その後、下部搬送ベルト13の下端に玉葱Wを挟持搬送する搬送経路k1に対向するよう前後方向に設け、その後端(終端部)を継送装置Yの下方で整列装置15の搬送ベルト18に沿って設けた整列ガイド棒24の上部に設けた回動部材24aへ回動自在に連接構成している。
そして、整列ガイド棒24は整列装置15の要部である整列フレーム15aに上下に一体に設けた取付金15bより搬送ベルト18を挟むように支持部材24b、24cを下側張り部18aに沿って設け、さらに支持部材24b、24cの上部を搬送経路k1の終端部下方位置となる箇所に回動部材24aと一体構成にしている。
上記のように構成することで、整列装置15の傾きを調整しても下部搬送ベルト13あるいは搬送ベルト18と、搬送ガイド棒23及び整列ガイド24との隙間を一定に保つことができ玉葱を円滑に搬送できる構成にしている。
【0028】
次に、図1及び図6に示すように、圃場の畝Uの高さに合わせて適正な位置へ玉葱を放出する整列装置15の姿勢を遠隔操作する調節ハンドル43をエンジン35後端に設けたバンパー41に一体構成したスライド板42に摺動保持できる長孔S4を形成し、このスライド板42に設けた調節ハンドル43と整列フレーム15aの下端とを連結部材46で連接して整列装置15の姿勢を遠隔操作できるように構成している。
そして、調節ハンドル43の向きは作業者が畝面U1と整列装置15の下端の位置関係を側面から確認しやすいように畝溝U3側に設け、さらに連結部材46は茎葉部の流れを阻害しない位置に設けている。
【0029】
図1、2及び図5において、35はエンジン、26及び26は機体に装着された車輪、29は機体の前部を適当高さに保持するためのゲイジ輪、30はゲイジ輪29を機体に対し上下変位させるための回転操作ハンドル、31は操縦ハンドル、32は左側の引抜搬送要部6の上端内方から円弧方向の外側へ移送可能とした茎葉排出装置、33はクランク33a(図3に示す)を介して前後移動されるもので掘起し刃19を支点34廻りへ振動させるための連結棒である。
【0030】
上記エンジン35の動力伝達系統は次のように構成している。
即ち、図3に示すように、エンジン35の回転を剛性伝動部材を介してミッションケース251内に伝達し、次にミッションケース251から左右へ張り出させた伝動ケース252及びファイナルケース253を経て車輪26に伝達している。
【0031】
ミッションケース251の前部には前後方向の伝動ケース254を設け、この伝動ケース254内の作業出力軸255とミッションケース251内の剛性伝動系統とを作業クラッチ256を介して結合している。伝動ケース254には横向きの駆動ケース257を連設し、この駆動ケース257内の横向き駆動軸258とベベルギヤ259を介して連動連結している。
【0032】
横向き駆動軸258の左右各端部にはクランク33aを構成している。また横向き駆動軸258の略中央部にウオーム260を設け、さらにウオーム260に噛み合わされたウオームホイール261を介して横向き駆動軸258と引抜搬送駆動軸262とを連動連結している。
【0033】
この駆動軸262は各引抜搬送要部6、6(図2に示す)の後方のプーリ6aとチェーン伝動機構等を介して連結し、またプーリ6aの回転を引抜搬送ベルト7を介して伝達し前側のプーリ6bの回転中心軸263と掻込装置3及び下部搬送装置9の前側のプーリ6bを連動連結している。
【0034】
横向き駆動ケース257の右端部からは前向き伝動筒264を延出し、この伝動筒264内の前向き駆動軸265と横向き駆動軸258をベベルギヤ266を介して連動連結し、また前向き駆動軸265と引起し装置1を回転させるため上部スプロケット軸56とベベルギヤ268を介して連動連結している。
【0035】
また、横向き駆動ケース257の最右端に切断装置用伝動ケース269を設け、この伝動ケース269の前端部の内方側面に切断装置25と伝動筒270を連結し、伝動ケース269と伝動筒270内を伝動部材を介して横向き駆動軸258と切断装置25の回転入力軸142とを連動連結している。
【0036】
次に、伝動ケース269内の伝動構造は図3及び図4に示すように、伝動ケース269の後端部に横向き駆動軸258とベベルギヤ266aを介して連結したスプロケット軸271を設け、また伝動ケース269の前端部にスプロケット軸272を設け、この各スプロケット軸271、272に固設したスプロケット273、274間に無端状のチェーン275を巻き掛けし、このチェーン275の中間に伝動ケース269に設けた案内車276により案内し、さらに伝動ケース269に装着したバネ板(図示しない)を介してこのチェーン275を緊張させている。
【0037】
また、伝動筒270内の伝動構造はスプロケット軸272の中心孔に挿通した回転軸278と切断装置25の回転入力軸142の各々に自在継ぎ手279、280の一端部を連結し、この自在継ぎ手279、280の他端部間を剛性伝動軸281で連結している。この剛性伝動軸281はスプライン嵌合282等による伸縮自在に構成している。
【0038】
スプロケット軸272と回転軸278との間にトルクリミッタ283を設けている。このトルクリミッタ283はスプロケット軸272と同体に形成した円盤部284と回転軸278に固定した摺接回転体285とを備え、摺接回転体285に回転軸278方向の孔hを設け、この孔hに圧縮スプリングmとボールm1を挿入し、円盤体284の摺接面にはボールm1が係合する凹みを同一半径位置に複数設けている。
【0039】
そして、剛性伝動軸281を剛性管286で被い、この剛性管286の各端部と伝動ケース269の側面及び切断装置25の本体フレーム141とを撓曲自在管287で連動連結している。
【0040】
次に、本発明の補助分草装置70は図9乃至図12に示すように、縦回し形引起し装置1cの左側部下方に板材で略フ字形状に形成した分草装置取付金61を締結部材で縦回し形引起し装置1cに固設し、その分草装置取付金61の内方面に倒伏した茎葉部W1を分草、掻揚げる補助分草装置70と、外側面に法面U2の凹凸に追従する追従ローラ81を装着した上下に揺動する揺動アーム84を設けている。
【0041】
前記分草装置取付金61は縦回し形引起し装置1cの下方側面から任意の間隔で離れた位置から前記縦回し引起し装置1cの前方へ向う傾斜P1で、さらに縦回し形引起し装置1c側へ傾斜P2した3次元の傾斜面61bを有した形状に形成している。
上記傾斜面61bを構成することで掻揚ベルト71が法面U2を下から上へ、さらに縦回し形引起し装置1cの前部から受継ぎ部1dへ移動するようなる。
【0042】
次に、図12に示すように、分草装置取付金61の傾斜面61b内側に縦回し引起し装置1cの下端の係止爪57の回転軌跡c2と略同等になる駆動プーリ72を補助駆動軸74に軸支し、さらに補助分草装置70の回動支点62となる補助駆動軸74を回動自在に分草装置取付金61の傾斜面61bに設けている。
【0043】
そして、駆動プーリ72の他方は従動プーリ73を縦回し形引起し装置1cの前方に配設し、その従動プーリ73は駆動プーリ72より小径に構成し、この駆動プーリ72と従動プーリ73間に掻揚ベルト71を巻き掛し、この掻揚ベルト71の下方側を作用側A1(図9に示す)とし、法面U2に倒伏した茎葉部W1を掻揚ベルト71の突起部で分草、掻揚し、掻揚した茎葉部を後方の縦回し形引起し装置1cの受継ぎ1dへ搬送する搬送部A2を構成している。
また、補助分草装置70の駆動側の回転軌跡B2を縦回し形引起し装置1cの従動側回転軌跡C2と同径に構成することによって、畝面U1あるいは法面U2に倒伏した茎葉部W1と係止爪57の先端部あるいは掻揚ベルト71の先端部の位置を一定に設定でき茎葉部W1を引起し作業が円滑にでき、また縦回し形引起し装置1cの受継ぎ部1dでの詰まり現象がなく、無理のない受継ぎ関係を維持する構成ができる。
【0044】
次に、図12に示すように、縦回し形引起し装置1cの従動プーリ55を軸架している連結軸60と、補助分草装置70の駆動プーリ72を軸架している駆動軸74を自由継手65で連結し、駆動プーリ72と従動プーリ73に巻き掛けした掻揚ベルト71を構成している。
【0045】
次に、揺動アーム84は図9、および図12に示すように、分草装置取付金61の外側面で駆動軸74をより後方で下方に支点軸63を設け、その支点軸63に回動自在に揺動アーム84を軸支し、その揺動アーム84の先端に弾性部材で構成した追従ローラ81を回動自在に軸支し、他方には揺動アーム84を一方向に付勢する付勢部材85を揺動アーム84と分草装置取付金61の間に装着している。
揺動アーム84の追従ローラ81は補助分草装置70の従動プーリ73の近傍として、追従ローラ81が法面U2を走行する際、法面U2の凹凸に対して補助分草装置70へ的確に連動するため従動ローラ81と従動プーリ73を接近させ、さらに揺動アーム84と補助分草装置70の関連部品の効率を考慮して揺動アーム84の長さを補助分草装置70より長くしている。
【0046】
そして、駆動プーリ72と従動プーリ73に巻き掛けした掻揚ベルト71を挟むように左右方向からブラケット75a、75bを設け、ブラケット75aの基部は補助駆動軸74を中心に揺動するように、補助駆動軸74を軸支するボス部61cの外周に回動自在に設け、右ブラケット75bの基部は補助駆動軸74を軸支する軸受75eを駆動プーリ72側に設け、その他方に軸受75eを中心に揺動するように固設し、先端部は従動プーリ73を軸支する従動軸73aを介して左右のブラケット75a、75bを一体的に構成している。
また、右ブラケット75bの内側には掻揚ベルト71の倒れを防止し、茎葉部W1の巻き付き防止を兼ねた丸棒で形成した倒れ防止部材75cを溶着している。
【0047】
次に、補助分草装置70と揺動アーム84の連結について、図12に示すように、補助分草装置70の左ブラケット75aの中途部に溶着した連結ピン75dと揺動アーム84の中途部に溶着した連結ピン84dを板材で形成したリンク部材83を介して連動している。
上記構成とすることでリンク部材83と揺動アーム84の支点軸63さらに、補助分草装置70の駆動軸74を支持している支持ボス等で平行リンクを構成し微細な凹凸に対して一体追従ができて法面U2に倒伏した茎葉部W1を掻揚げることができ抜き残しの問題が解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る収穫機の側面図である。
【図2】前記収穫機の平面図である。
【図3】前記収穫機の動力系統図である。
【図4】前記収穫機の切断装置の動力系統図である。
【図5】前記収穫機の切断装置の側面図である。
【図6】前記収穫機の下部搬送装置及び整列装置の側面図である。
【図7】前記収穫機の下部搬送装置及び整列装置の後面図である。
【図8】前記収穫機の下部搬送装置及び整列装置のロ矢視図である。
【図9】前記収穫機の補助搬送装置の側面図である。
【図10】前記収穫機の補助搬送装置の正面図である。
【図11】前記収穫機の補助搬送装置の平面図である。
【図12】前記収穫機の補助搬送装置のイーイ断面図である。
【符号の説明】
【0049】
A1 作用側
B 回転軌跡
B1 掻揚する側
B2 受渡しする側
U1 畝面
U2 法面
W 玉葱
W1 茎葉部
1c 縦回し形係止引起し装置
5 引抜搬送装置
19 掘起し刃
25 切断装置
57 係止爪
62 回動支点
63 回動支点
70 補助分草装置
71 掻揚ベルト
72 駆動プーリ
73 従動プーリ
81 追従ローラ
83 リンク部材
84 揺動アーム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝面U1の玉葱Wなどの作物を、機体前部の左右何れかの最外方に設けた縦回し形係止引起し装置1cの前方に上下揺動自在な補助分草装置70を設け、この補助分草装置70が倒伏した玉葱Wの茎葉部W1を分草しながら地面から掻上げた茎葉部W1を前記縦回し形係止引起し装置1cの縦回し係止爪57が受継ぎ、更に引抜搬送装置5にて上方へ引揚げるとともに、掘起し刃19で浮き上がらせ、引続き下部搬送装置9にて茎葉部W1の下部を挟持して後方へ搬送し、この搬送過程に切断装置25で茎葉部W1を切断処理した作物を畝面U1上に放出させる根茎収穫機において、畝Uの法面U2に追従して上下自在に揺動する前記補助分草装置70を縦回し形係止引起し装置1cの側面から機体前方へ向けて傾斜させ、更に前記補助分草装置70の作用側A1を法面U2側へ向けて斜設したことを特徴とする根茎収穫機
【請求項2】
前記補助分草装置70が畝Uの法面U2に追従動作可能にリンク部材83を介して追従ローラ81を設けたことを特徴とする請求項1記載の補助分草装置70を備えた根茎収穫機。
【請求項3】
倒伏した玉葱W等の茎葉部W1を分草、掻揚げする補助分草装置70の掻揚ベルト71の回転軌跡Bを、茎葉部W1を分草、掻揚げする側B1は縦回し係止引起し装置1cへ受け渡しする側B2に比較して小径に構成したことを特徴とする請求項1乃至2記載の根茎収穫機。
【請求項4】
畝面U1の玉葱Wなどの作物を、畝Uの法面U2側となる最外方に設けた縦回し形係止引起し装置1cの前方に上下揺動自在な補助分草装置70を設け、この補助分草装置70が倒伏した玉葱Wの茎葉部W1を分草しながら地面から掻揚げた茎葉部W1を前記縦回し形係止引起し装置1cの縦回し係止爪57が受け継ぎ、更に引抜搬送装置5にて上方へ引き上げるとともに、掘起し刃19で浮き上がらせ、引続き下部搬送装置9にて茎葉部W1の下部を挟持して後方へ搬送し、この搬送中に切断装置25で茎葉部W1を切断処理した作物を畝面U1上に放出させる根茎収穫機において、倒伏した玉葱W等の茎葉部W1を分草、掻揚げする前記補助分草装置70の掻揚ベルト71を巻き掛けする駆動プーリ72及び従動プーリ73を設け、前記掻揚ベルト71の回転軌跡Bを従動プーリ73側は駆動プーリ72側に比べ小径とし、また畝Uの法面U2に追従して走行する追従ローラ81を設け、該追従ローラ81を上下に揺動する揺動アーム84の端部に回動自在に装着し、該揺動アーム84の回動支点63を、前記補助分草装置70を上下揺動する回動支点62より後方に設け、該補助分草装置70と前記揺動アーム84をリンク部材83を介して一体的に接続構成し、縦回し形係止引起し装置1cの下端側方に設けたことを特徴とする根茎収穫機。







【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate