説明

根菜収穫機のコルター緩衝装置

【課題】横方向から作用する負荷によってコルターが破損する虞を抑制する。
【解決手段】根菜収穫機1は、機体10の下方に配設されたショベル部材の先端付近に配設されたコルター30を備える。コルター30は、ねじりコイルばね41を有したコルター緩衝装置40を介して機体10に取り付けられ、ねじりコイルばね41は、断面形状が円形又は四角形のばね用線材を螺旋状に巻回したコイル部42と、この一端部から直線状に延びる一端側腕部と、コイル部42の他端部から延びる他端側腕部44とを備え、コイル部42の中心軸線42aが機体幅方向に向き、他端側腕部44が後斜め下方に向いた状態で機体10に取り付けられる。他端側腕部44の先端部にコルター30が回転自在に支持される。コルター30に機体幅方向の力が作用すると、ねじりコイルばね41が機体幅方向に弾性変形してコルター30を機体幅方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に装着され、走行可能な機体の下方位置に配設された掘り起こし用のショベル部材の先端付近に設けられて走行機体の前進走行に伴って圃場の残渣物を切断するコルターを備えた根菜収穫機のコルター緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなコルター緩衝装置は、ビートハーベスタ等の根菜収穫機に搭載されているのが知られている。このコルター緩衝装置を搭載した根菜収穫機は、走行機体の後部に装着され、機体の下方位置に配設された掘り起こし用のショベル部材で根菜を掘り起こし、この掘り起こされた根菜をショベル部材の後方側に配設されたロッドコンベアに受け渡して機体上に搭載されたホッパ内に収容可能に構成されている。
【0003】
この根菜収穫機60には、図5(部分側面図)に示すように、根菜近傍の圃場表面に散乱した茎葉等の残渣物を走行中に切断し、掘り起こし用のショベル部材15bの後方に配設されたコンベアフレーム15aに残渣物が付着するのを防止するとともに、根菜の左右の土壌に切れ目を入れて掘り易くするためにショベル部材15bの先端付近の両側に機体10の進行方向と略同一方向に向いて回転可能に支持された円盤状のコルター30が設けられている。また、圃場H内に存在する石等の障害物Sにコルター30が接触すると、コルター30が破損する虞が生じるため、コルター30はリンク62及びスプリング63を組み合わせて衝撃を吸収する衝撃吸収装置60を介して取り付けられている。
【0004】
この衝撃吸収装置61は、機体10の下部に設けられた支持ブラケット25の下端部に前後方向に延びるリンク62の中間部を回動可能に取り付け、リンク62の回動支点Oより前側に延びるリンク62の前端部にコルター30を回転自在に取り付け、リンク62の回動支点Oより後側に延びるリンク62の後端部に上端部が機体下部に掛止されたばね63の下端部を掛止して構成されている。
【0005】
このように構成された衝撃吸収装置61に設けられたコルター30が圃場H内の障害物Sに衝突して強い衝撃を受けると、リンク62の回動支点Oを中心としてリンク62の前側がスプリング63に抗して上方へ回動して衝撃を吸収し、コルター30の破損を抑制することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−143914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような衝撃吸収装置を備えた根菜収穫機は、作業中にコルターが圃場の土中内に挿入された状態で前進しながら機体を機体幅方向に振る動作がある。この動作は、圃場の畦の高さや畦幅方向の位置が一定ではないので根菜収穫機の掘取口の位置を畦の幅方向中央に合わせるために行われるものであり、必要不可欠な動作である。このような根菜収穫機の機体が機体幅方向に振られる度に、コルターの側面には圃場の土から受ける大きな負荷が作用して、コルターが破損する虞を増大させる。
【0008】
従来の衝撃吸収装置では、上下方向の衝撃に対しては、この衝撃を吸収してコルターの破損を効果的に抑制可能であるが、横方向の負荷に対して機体に対してコルターは移動できない構造であるので、横方向の負荷を吸収することができない。このため、根菜収穫機に必要不可欠な動作である機体幅方向の振り動作が行われると、コルターの側面に作用する負荷が全く吸収されることなくコルターに作用して、コルターが破損する虞を増大させていた。
【0009】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、コルターに上下方向のみならず機体幅方向に作用する負荷によってコルターが破損する虞を抑制可能な根菜収穫機のコルター緩衝装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するため、本発明は、以下の特徴を有する。特徴の一つは、走行機体の後部に装着され、機体の下方位置に配設された掘り起こし用のショベル部材の先端付近に機体の進行方向と略同一方向に向けて設けられて走行機体の前進走行に伴って進行して圃場の残渣物を切断するコルターを備えた根菜収穫機のコルター緩衝装置において、コルターは、上下方向及び機体幅方向に弾性変形可能なばね部材(例えば、実施形態におけるねじりコイルばね41)を介して機体の下方位置に設けられ、コルターに上方に向く力が作用すると、ばね部材が上方に弾性変形してコルターを上方に移動させ、コルターに機体幅方向に向く力が作用すると、ばね部材が機体幅方向に弾性変形してコルターを機体幅方向に移動させることを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、下方向及び機体幅方向に弾性変形可能なばね部材を介してコルターを機体の下方位置に設け、コルターに上方に向く力が作用すると、ばね部材が上方に弾性変形してコルターを上方に移動させ、コルターに機体幅方向に向く力が作用すると、ばね部材が機体幅方向に弾性変形してコルターを機体幅方向に移動させることで、コルターが圃場の土中の石等の障害物に接触してコルターに上方に向く力が作用すると、ばね部材が上方に弾性変形してコルターを上方に移動させる。またコルターが圃場の土中内に挿入されたままで機体が前進しながら機体幅方向に振る動作が行われた場合、コルターの側面に機体幅方向の負荷が作用するが、この負荷はコルターを介してばね部材に作用し、ばね部材は機体幅方向に弾性変形してコルターを機体幅方向に移動させる。従って、コルターに上下方向のみならず機体幅方向に作用する負荷をばね部材の弾性変形によって吸収することができ、コルターの破損を抑制することができる。
【0012】
また特徴の一つは、ばね部材が、螺旋状に巻回されたコイル部と、該コイル部の一端部から延びる一端側腕部と、コイル部の他端部から延びる他端側腕部とを備えたねじりコイルばねであり、該ねじりコイルばねの一端側腕部が機体の支持部材(例えば、実施形態における支持ブラケット25)に取り付けられ、ねじりコイルばねの他端側腕部がコルターを回転自在に支持することを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、ばね部材は、螺旋状に巻回されたコイル部と、該コイル部の一端部から延びる一端側腕部と、コイル部の他端部から延びる他端側腕部とを備えたねじりコイルばねであり、該ねじりコイルばねの一端側腕部が機体に取り付けられた支持部材に取り付けられ、ねじりコイルばねの他端側腕部がコルターを回転自在に支持することにより、コルターに上下方向の力が作用すると、コルターを介して他端側腕部が上下方向に弾性変形し、又はコルター及び他端側腕部を介してコイル部がコイル径方向に弾性変形して、コルターを上下方向に移動させる。また、コルターに機体幅方向の力が作用すると、コルターを介して他端側腕部が機体幅方向に弾性変形し、又はコルター及び他端側腕部を介して他端側腕部に繋がるコイル部が伸長方向に伸びて、コルターを機体幅方向に移動させる。このように、ばね部材としてねじりコイルばねを用いることで、コルターに上下方向のみならず機体幅方向の力が作用しても、これらの力をねじりコイルばねの弾性変形によって吸収することができ、コルターの破損を確実に抑制することができる。また一つのばね部材によって異なる方向の力の吸収を可能にするので、コルター緩衝装置の構造を簡易化することができる。
【0014】
また特徴の一つは、ねじりコイルばねの一端側腕部が上下方向に延びて支持部材に取り付けられ、コイル部の中心軸線が機体幅方向に向き、他端側腕部が前後方向で且つ斜め下方に延びてコルターを回転自在に支持することを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、ねじりコイルばねの一端側腕部が上下方向に延びて支持部材に取り付けられ、コイル部の中心軸線が機体幅方向に向き、他端側腕部が前後方向で且つ斜め下方に延びてコルターを回転自在に支持することにより、コルターの上下方向の移動可能範囲を拡大することができるとともに、コルターが機体幅方向に移動したときにコルターがコイル部に接触してコルターの移動が制限される事態を防止することができる。
【0016】
また特徴の一つは、ねじりコイルばねの線材の断面形状が円形又は四角形であることを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、ねじりコイルばねの線材の断面形状を円形にすることで、隣接する線材の接触面積が小さくなり、線材間の摩擦力が抑えられて、ねじりコイルばねの弾性変形をスムーズに行わせることができ、コルターに作用した力に応じたねじりコイルばねの弾性変形量の低下を抑えることができ、コルターに作用した力を効果的に吸収してコルターの破損をより抑制することができる。また、ねじりコイルばねの線材の断面形状を四角形にすることで、隣接する線材の移動方向を一定にすることができ、コルターの移動方向を安定化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係わる根菜収穫機のコルター緩衝装置によれば、上記特徴を有することによって、コルターに上下方向のみならず機体幅方向に作用する負荷によってコルターが破損する虞を抑制可能な根菜収穫機のコルター緩衝装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係わる根菜収穫機のコルター緩衝装置の好ましい実施の形態を図1から図4に基づいて説明する。本実施の形態は、芋、ビート等の根菜収穫機を例にして、以下説明する。先ず、コルター緩衝装置を説明する前に、このコルター緩衝装置を装備した根菜収穫機について概説する。なお、説明の都合上、図1(側面図)に示す矢印の方向を前後方向として、以下説明する。
【0020】
根菜収穫機1は、図1に示すように、トラクタ等の走行機体90の後部に連結されて、走行機体90の前進走行に伴って進行しながら根菜の収穫作業を行うものである。この根菜収穫機1は、走行可能な機体10を備え、機体10の前部に牽引アーム11が設けられて、根菜収穫機1は牽引アーム11を介して走行機体90の後部に装着される。機体10の後側の幅方向(左右方向)両側には一対の車輪13が設けられている。機体10の下方には、機体前側の下方位置から後方斜め上方に延びて根菜を掘り上げて後方側へ搬送する掘上げコンベア15が設けられ、掘上げコンベア15の上方位置には、これに対向して並設されて掘上げられた根菜を掘上げコンベア15と協働して後方側へ搬送する揚上押えコンベア17が設けられている。機体後部には、これらのコンベアによって搬送された根菜を上方へ搬送するかご形エレベータ19が設けられ、かご形エレベータ19の上部には、この内側から前方に延びてかご形エレベータ19によって搬送された根菜を機体前側に搬送する前送りコンベア21が設けられている。機体10の前側には、前送りコンベア21によって搬送された根菜を収容するタンク23が搭載されている。
【0021】
掘上げコンベア15は、エンドレスのロッドコンベアを回転可能に掛け渡したコンベアフレーム15aを備え、コンベアフレーム15aの前端に根菜を掘り起こすためのショベル部材15bがその先端を機体前方の土中に向けて斜め下方に傾斜して固定されており、ショベル部材15bの幅方向によって根菜を掘起こし可能な掘取口を形成している。
【0022】
このように構成された根菜収穫機1は、ショベル部材15bで根菜を掘り起こしながら前進して、掘り起こした根菜を掘上げコンベア15のロッドコンベアによって搬送してタンク23に収容するが、作業中の圃場の地面には茎葉等の残渣物が散らばり、長物の残渣物は機体進行中に掘上げコンベア15に巻き込まれてコンベアフレーム15aに付着してロッドコンベアに問題を起こす。このため、ショベル部材15bの前方に残渣物を切断するコルター30が設けられている。
【0023】
コルター30は、円盤状に形成されて周縁に刃部を形成した回転刃であり、コルター30の中央部には回転中心軸31が突設されている。この回転刃であるコルター30が機体10の進行方向に対して略平行に且つ圃場表面に略垂直に向くようにして機体下部に設けられた支持ブラケット25に取り付けられている。コルター30の支持ブラケット25への取り付けについては後述する。コルター30は、機体10が前進すると、回転しながら圃場の土中にくい込むことにより、残渣物を切断するとともに、根菜の左右の土を切って掘り起こしを容易にして掘り起こした根菜が側方へ転がり出ないようにするために、ショベル部材15bに接近した左右両側に配設されている。
【0024】
このコルター30は、圃場内に存在する石等の障害物に接触し、また根菜収穫機1が前進しながら機体10が左右方向に振られる動作が行われてコルター30に横方向の負荷が作用すると、破損し易くなる。そこで、コルター30は、これに作用する力を吸収可能なコルター緩衝装置40を介して支持ブラケット25に取り付けられている。
【0025】
コルター緩衝装置40は、図2(斜視図)、図3(正面図)及び図4(a)(部分側面図)に示すように、ねじりコイルばね41を有して構成されている。ねじりコイルばね41は、断面形状が円形又は四角形のばね用線材(図面上では円形)を螺旋状に巻回したコイル部42と、コイル部42の一端部から直線状に延びる一端側腕部43と、コイル部42の他端部から延びる他端側腕部44とを備えてなる。一端側腕部43と他端側腕部44は、これらのなす内角θが鈍角を有するように延びる。ねじりコイルばね41は、コイル部42の中心軸線42aが機体幅方向に向き、一端側腕部43が略垂直方向に向き、他端側腕部44が後斜め下方に向いた状態で取り付けられている。
【0026】
なお、ねじりコイルばね41のばね用線材を断面が円形状の線材にすると、隣接する線材の接触面積が小さくなり、線材間の摩擦力が小さくなって、ねじりコイルばね41の弾性変形をスムーズに行わせることができる。従って、コルター30に作用した力に応じたねじりコイルばね41が弾性変形する変位量の低下を抑えることができ、コルター30に作用した力を効果的に吸収することができる。またねじりコイルばね41のばね用線材を断面が四角形状の線材にすると、隣接する線材の移動方向を一定にすることができ、コルター30の移動方向を安定化することができる。
【0027】
他端側腕部44の先端部には、コルター30の回転中心軸31を回転自在に支持するための孔部を形成したフック部44aが設けられている。このフック部44aの孔部に回転中心軸31を挿通し、フック部44aから延出する回転中心軸31の先端部に止め輪46を取り付けて、コルター30がフック部44aから抜脱されるのを防止している。フック部44aに取り付けられたコルター30は、側面視においてコイル部42の外側に位置している。このため、ねじりコイルばね41が弾性変形してコルター30がコイル部側に接近しても、コルター30がコイル部42に接触する虞はない。またコルター30は、斜め下方に延びる他端側腕部44の先端部に取り付けられているので、コルター30は上下方向に広い範囲で移動可能である。
【0028】
ねじりコイルばね41の一端側腕部43には取付板48が固着されており、この取付板48を介してねじりコイルばね41の一端側腕部43が支持ブラケット25に着脱可能に取り付けられている。
【0029】
取付板48は、一端側腕部43の略全体を固着する固定部49と固定部49から延びる三角状のフランジ部50とを有してなる。フランジ部50の固定部側の両端部内側とフランジ部50の頂部内側にはボルトを通す挿通孔51,52,53が設けられ、これらの挿通孔51,52,53は、挿通孔51及び挿通孔52が一つの組みとなり、挿通孔51及び挿通孔53が他の組みとして取り扱われ、各組みの挿通孔間の距離Lが略同一距離になうように挿通孔51,52,53が設けられている。そして支持ブラケット25には、各組みの挿通孔51,52,53に通されたボルトを螺合するねじ孔26が上下に一対設けられている。
【0030】
取付板48の挿通孔51及び挿通孔52にボルトを挿通して取付板48を支持ブラケット25に固定すると、コルター30は、ショベル部材15bの外側の接近した作業位置Psに配設される。また、図4(b)(部分側面図)に示すように、取付板48の挿通孔51及び挿通孔53にボルトを挿通して取付板48を支持ブラケット25に固定すると、コルター30は、ショベル部材15bから上方の格納位置Pkに配設される。
【0031】
このように構成された根菜収穫機1のコルター緩衝装置40は、図3に示すように、根菜収穫機1が前進して作業を行っているときに、コルター30が圃場Hの土中内の石等の障害物Sに接触して、コルター30に上方向の力が作用すると、コルター30を介して他端側腕部44が上下方向に弾性変形し、又はコルター30及び他端側腕部44を介してコイル部42がコイル径方向に弾性変形して、コルター30を上方向に移動させる。このため、ねじりコイルばね41によってコルター30に作用した力を吸収することができ、コルター30の破損を抑制することができる。
【0032】
また根菜収穫機1の掘取口の位置を畦の幅方向中央に合わせるために、走行機体が前進走行しながら畦の幅方向に向きを変えると、根菜収穫機1も同様に進行方向が変化して機体10が機体幅方向に振れて、コルター30の側面に圃場Hの土から受ける横方向の負荷が作用する。この負荷はコルター30に応力を生じさせ、この応力が大きいときにはコルター30が塑性変形して破損する場合があり、また応力が小さいときでも根菜収穫機1の機体幅方向の振れ動作が繰り返し行われると、コルター30に負荷が繰り返して作用して、コルター30の寿命を短くして、コルター30は小さい負荷を受けても破損する場合がある。
【0033】
しかしながら、コルター30はコルター緩衝装置40のねじりコイルばね41を介して機体10の支持ブラケット25に取に取り付けられているので、コルター30の側面に横方向の負荷が作用すると、コルター30を介して他端側腕部44が機体幅方向に弾性変形し、又はコルター30及び他端側腕部44を介してコイル部42が伸長方向に伸びて、コルター30を機体幅方向に移動させて、コルター30の側面に横方向の負荷をねじりコイルばねの弾性変形によって吸収する。このため、コルター30の破損を確実に抑制することができる。
【0034】
このように、コルター30をねじりコイルばね41を介して機体10に取り付けることで、コルター30に上下方向のみならず機体幅方向の力が作用しても、これらの力をねじりコイルばね41の弾性変形によって吸収することができ、コルター30の破損を確実に抑制することができる。また一つのばね部材によって異なる方向の力の吸収が可能であるので、コルター緩衝装置40の構造を簡易化することができ、根菜収穫機1のコストの増大を抑えることができる。
【0035】
なお、前述した実施の形態では、コルター30をねじりコイルばね41を介して機体10に取り付けた場合を示したが、コルター30に作用した力によってコルター30が上下方向及び機体幅方向に移動可能であれ、ばね部材としてねじりコイルばね41を用いることに限定されるものではなく、上端部が機体10に固定されて下側が機体前側又は機体後側に斜め下方に延びて弾性変形可能な棒状部材を用いてよい。この場合、コルター30が前後方向に向いて回転自在に支持できるように、コルター30を棒状部材の下側に回転自在に取り付ける。このような棒状部材を介してコルター30を取り付けることで、ねじりコイルばね41と同様に、コルター30の破損を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態に係わるコルター緩衝装置を搭載した根菜収穫機の側面図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態に係わるコルター緩衝装置の斜視図を示す。
【図3】本発明の一実施の形態に係わるコルター緩衝装置の正面図を示す。
【図4】コルター緩衝装置の作業位置及び格納位置を説明するためのコルター緩衝装置を搭載した根菜収穫機の部分側面図を示す。
【図5】従来のコルター緩衝装置を搭載した根菜収穫機の部分側面図を示す。
【符号の説明】
【0037】
1 根菜収穫機
10 機体
15b ショベル部材
25 支持ブラケット(支持部材)
30 コルター
40 コルター緩衝装置
41 ねじりコイルばね(ばね部材)
42 コイル部
43 一端側腕部
44 他端側腕部
90 走行機体
H 圃場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に装着され、機体の下方位置に配設された掘り起こし用のショベル部材の先端付近に前記機体の進行方向と略同一方向に向けて設けられて前記走行機体の前進走行に伴って進行して圃場の残渣物を切断するコルターを備えた根菜収穫機のコルター緩衝装置において、
前記コルターは、上下方向及び機体幅方向に弾性変形可能なばね部材を介して前記機体の下方位置に設けられ、
前記コルターに上方に向く力が作用すると、前記ばね部材が上方に弾性変形して前記コルターを上方に移動させ、前記コルターに機体幅方向に向く力が作用すると、前記ばね部材が機体幅方向に弾性変形して前記コルターを機体幅方向に移動させることを特徴とする根菜収穫機のコルター緩衝装置。
【請求項2】
前記ばね部材は、螺旋状に巻回されたコイル部と、該コイル部の一端部から延びる一端側腕部と、前記コイル部の他端部から延びる他端側腕部とを備えたねじりコイルばねであり、該ねじりコイルばねの前記一端側腕部が前記機体の支持部材に取り付けられ、前記ねじりコイルばねの前記他端側腕部が前記コルターを回転自在に支持することを特徴とする請求項1に記載の根菜収穫機のコルター緩衝装置。
【請求項3】
前記ねじりコイルばねは、前記一端側腕部が上下方向に延びて前記支持部材に取り付けられ、前記コイル部の中心軸線が機体幅方向に向き、前記他端側腕部が前後方向で且つ斜め下方に延びて前記コルターを回転自在に支持することを特徴とする請求項2に記載の根菜収穫機のコルター緩衝装置。
【請求項4】
前記ねじりコイルばねの線材の断面形状は、円形又は四角形であることを特徴とする請求項2又は3に記載の根菜収穫機のコルター緩衝装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−263816(P2008−263816A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109299(P2007−109299)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(596113030)サンエイ工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】