説明

根菜類収穫機

【課題】作物の損傷を防ぎ、作物に土が付着することを防止して、収穫作業の能率を向上させる根菜類収穫機を提供することである。
【解決手段】圃場から根菜を引き抜き搬送する挟持搬送作用部(9L,9R)を備えた引抜搬送装置9を設けており、引抜搬送装置9の挟持搬送作用部(9L,9R)の下方に、圃場の根菜の下方を通過するように圃場の根菜の最下位置よりも下に前端部が位置する構成を有する振動しないソイラ11を設けた。ソイラ11は、根菜の下方を通過するため、根菜を押上げて掘起こすことができるので、根菜に泥土が付着することを防止でき、収穫作業の能率が向上する。また、ソイラ11の前端部に、該ソイラ11よりも幅が広く、且つ引抜搬送装置9の前端部の左右方向の幅よりも幅が狭い板体11aを設けると、より根菜を押し上げて掘り起こすことができ、隣接条の根菜を傷付けること防止できるので、収穫作物の価値が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンジンなどの根菜類収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
根菜としてニンジンを例にして従来の根菜類収穫機の一例を以下に説明する。従来のニンジン収穫機は、圃場においてニンジン収穫機の前進走行にともない、引起し手段によりニンジンの茎葉を引起しながら、掘り起こし手段によりニンジンの両側面の土壌を掘り起こし、互いに逆回転する一対の無端ベルトからなる挟持搬送ベルトでニンジンの茎葉を挟持した状態で引き抜き、その後、前記挟持搬送ベルトで収穫機後方に搬送する過程で茎葉を切断し、さらに後方に搬送するための搬送コンベアに移し、搬送コンベアからニンジンを収納コンテナに収納する機械である。
【0003】
このような一連の収穫作業において、ニンジンに土が付着すると、土が挟持搬送ベルトのベルト間に挟まったり、茎葉や根部を切断する際の異物となって、搬送作業や切断作業に支障をもたらすことがある。また、ニンジンを掘り起こす際にニンジンを傷つけてしまうと、損傷したニンジンは商品価値がないため、作業能率の低下を招く。したがって、収穫作業の能率を高めるために、ニンジンの茎葉を引起し、掘り起こす際に、土などを持ち上げずにニンジンのみをしっかりと持ち上げられるよう、またニンジンの損傷が生じないように周囲の土を解したり、更にニンジンに土などが付着していても根毛除去を適切に行えるようにするなど、根菜収穫機には様々な工夫がなされている。
【特許文献1】特開2005−218412号公報
【特許文献2】特開2005−102546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の発明によれば、根毛除去装置の左右方向に所定間隔で配置して複数の隙間を有する支持ガイドを設けて、該隙間に入り込む作物の根毛を回転体で除去することにより、作物に付着している土等による根毛除去の不具合を防止して、適正な根毛除去を行うことができる。そして、ソイラを設けた収穫部に左右傾斜を検出する傾斜検出手段を設け、さらにソイラを設けた収穫部を左右水平状態になるように収穫部を機体側に対して左右角度変更する手段を設け、ソイラの左右方向の姿勢を安定させて、機体の左右傾斜によってソイラが左右に傾くことでソイラが土中の根菜類に接触して傷つけるようなことを生じにくくする技術が開示されている。
【0005】
また、上記特許文献2記載の発明には、作物の両側を振動させて掘り起こす掘り起こし刃を揺動アームに連結するアーム部と該アーム部先端より圃場に向かって屈曲形成する刃部とから構成して、刃部を先端に向かってそれぞれ互いに接近する方向に緩やかに曲げた形状とし、刃部と反対方向に向かって上端部分を形成させた構成が記載されている。そして、上記特許文献2記載の発明によれば、圃場内の作物に刃部が当接しにくい構成でありながら、振動することで周囲の土をほぐすことができる。
【0006】
根菜の茎葉を引起し、掘り起こす作業は、根菜を収穫するための一連の収穫作業において最初に行われる作業であり、この作業をいかに効率良く行うかによって、後の作業に影響を及ぼす。そして、根菜を掘り起こす際に根菜に付着する土をいかに防ぐかということによっても、一連の収穫作業の能率性は左右される。
【0007】
上記特許文献1及び2に示すような掘り起こし装置等の構成により、ある程度、作物の損傷を防いだり、周囲の土をほぐすことはできる。しかし、粘土質の圃場などの場合に、振動することで周囲の土をほぐす振動ソイラを用いると、土が固まって、かえって根菜を引き抜くことが困難になるという問題が生じることがある。したがって、粘土質の圃場などの場合でも、圃場の状態に左右されずに作物の損傷を防ぎ、作物に土が付着することを防止して、後の作業の土等による不具合を防止して収穫作業の能率を向上させることが望まれる。
【0008】
本発明の課題は、作物の損傷を防ぎ、作物に土が付着することを防止して、収穫作業の能率を向上させる根菜類収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は以下の構成を採用することにより達成される。
請求項1記載の発明は、走行装置(2)上に機体フレーム(17)を設け、該機体フレーム(17)上に、圃場から根菜を引き抜き搬送する挟持搬送作用部(9L,9R)を備えた引抜搬送装置(9)を設けた根菜類収穫機において、前記引抜搬送装置(9)の引抜搬送フレーム(25)に基部を有し、引抜搬送装置(9)の挟持搬送作用部(9L,9R)の下方に沿って前方に延設し、該圃場の根菜の最下位置よりも下に前端部が位置するソイラ(11)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記ソイラ(11)の前端部に、該ソイラ(11)よりも幅が広く、且つ引抜搬送装置(9)の前端部の左右方向の幅よりも幅が狭い板体(11a)を設けた請求項1記載の根菜類収穫機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、ソイラ(11)は、根菜の最下位置よりも下に前端部が位置するため、根菜を地上に押し上げることができるので、根菜に泥土が付着することを防止でき、収穫作業の能率が向上する。
なお、従来の振動ソイラは、振動により根菜の周囲の土をほぐして挟持搬送装置で引き抜き易くするものであり、掘起し効果は殆どなかったが、本発明のソイラは振動しなくても根菜を下方から押し上げて挟持搬送装置で引き抜き易くすることができる利点がある。
【0012】
また、粘土質の圃場から根菜を収穫するときや、冬場に茎草が枯れて弱くなった圃場から根菜を収穫する際にも、根菜への泥土の付着が防止でき、効率よく根菜を掘り起こすことができるため、特にこのような場合でも好適である。
【0013】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ソイラ(11)よりも幅が広く、且つ引抜搬送装置(9)の前端部の左右幅よりも幅の狭い板体(11a)により、根菜の周囲にある土がソイラ(11)だけであるときよりも広範囲に持ち上げられるため、根菜を確実に地上に押し上げることができるので、収穫作業の能率が向上する。また、板体(11a)の幅を引抜搬送装置(9)の前端部の左右幅よりも広くすると板体(11a)が隣接条の根菜に当たって傷付けてしまう場合があるが、板体(11a)の幅を引抜搬送装置(9)の前端部の左右幅よりも狭くすることで、隣接条の根菜を傷付けること防止できるので、収穫作物の価値が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1には本発明の実施の形態の根菜収穫機の側面図を示し、図2には図1の根菜収穫機の平面図を示す。また、図3(a)には、図1のソイラ付近の拡大図を示し、図3(b)には、図3(a)の正面図を示し、図3(c)にはソイラ先端部の斜視図を示す。
なお、本明細書では特に断りがない限り、根菜収穫機の前進方向を前方向、後退方向を後方向、前進方向に向かって左、右をそれぞれ左、右方向といい、左右方向を幅方向という。また、根菜野菜として、ニンジンを収穫する場合について説明する。
【0015】
図1及び図2に示した根菜類収穫機1は、機体を自走させる走行装置2と、搭乗した操縦者によって操作される操作具を配置した操縦部3と、圃場に植生するニンジン(イ)の茎葉部を挟持して後側斜め上方に搬送して引抜き収穫する収穫部4と、収穫物を収容する容器(コンテナ)Cを設置可能とする収容部5と、前記収穫部4から収穫物を受け取って前記収容部5に搬送する挟持搬送装置9などの搬送部6と、収穫物を収容した容器(コンテナ)Cを複数体載置可能とする収穫物載置部7とを設けた構成としている。
【0016】
また、前記走行装置2は駆動回転する左右一対のクローラ8L,8Rを備え、前記収穫部4は機体の左右一方側に配置し、前記収穫物載置部7は機体の左右他方側に配置し、且つ該収穫物載置部7を配置した側のクローラ8Rの左右外端部より収穫物載置部7の左右外端部が左右方向外側に位置する状態に配置している。前記左右のクローラ8L,8Rのうち挟持搬送装置9を上方に設けたクローラ8Lの前方位置に接地輪15を車体の前部に取付けており、この接地輪15はネジ式の伸縮ロッド18の下端部に取り付けられており、該伸縮ロッド18の上端にはハンドル19を設けており、該ハンドル19を上下に動かして伸縮ロッド18を伸縮させることによって上下動可能な構成である。
【0017】
また、挟持搬送装置9の始端部下方位置に土中を進行して土をほぐすソイラ11を設けている。ソイラ11の上端部が左右引抜搬送フレーム25,25間に連結パイプ26を介して取り付けた支持部材77を介して支持されている。また、ソイラ11の中央部と挟持搬送装置9のフレーム(図示せず)の間に連結パイプ73が設けられ、連結パイプ73とソイラ11の側端部は取付部材75を介して連結している。
さらに、操縦部3の操作によりシリンダ30を伸縮させると、収穫部4全体が回動支点29を回動中心として機体上下方向に回動する。
【0018】
また、この根菜類収穫機1の収穫部4に配置した挟持搬送装置9はニンジン(イ)の茎葉部を挟持して搬送する挟持搬送ベルト9L,9Rを左右に設けており、更に、該挟持搬送ベルト9L,9Rによって茎葉部が挟持されてニンジン(イ)の根部が吊下げ状態で搬送される途中で根部下端の根毛に作用して根毛を根部から除去する根毛除去装置10を設けている。
【0019】
さらに、走行装置2の前部低位置に走行ミッション装置13を設け、該走行ミッション装置13から左右両側に延長して設けているホイールシャフトの駆動スプロケット14に、左右一対のクローラ8L,8Rを巻回して走行可能に構成している。そして、前記走行ミッション装置13は、操縦席12の下部に設けられたエンジン64に伝動可能に連結して、変速装置、サイドクラッチ、サイドブレーキ等を内装して、前記クローラ8L,8Rを伝動する構成としている。
【0020】
収穫部4には、ニンジン(イ)の茎葉部を切断して根部から取り除くために切断する切断装置31も設けている。挟持搬送装置9の左右挟持搬送ベルト9L,9Rでニンジン(イ)を搬送する途中でニンジン(イ)の茎葉部を引継いで挟持して機体後方水平状に搬送する排葉ベルト32,32を、左右挟持搬送ベルト9L,9Rの終端部分の下方に略水平姿勢で左右一対に設けている。
【0021】
また、この排葉ベルト32,32に茎葉部を引継ぎ搬送するときに、ニンジン(イ)の根部の上端部に係合してニンジン(イ)の上昇を規制し、ニンジン(イ)の高さを切断装置31に対して設定高さに揃えるための位置揃えベルト33,33を設けている。
【0022】
この位置揃えベルト33,33の後端部後方に、切断装置31の左右一対の円板状の切断刃を配置し、搬送されてきたニンジン(イ)の茎葉部の基部を切断する。切断されたニンジン(イ)の根部は下方に落下し、茎葉部は排葉ベルト32,32で機体後方に搬送されて機体後部側から排出される。
【0023】
左右挟持搬送ベルト9L,9Rの前側には、該ベルト9L,9Rによる茎葉部の挟持が適確に行われるように前後方向と左右方向に突出するラグ34a、35aをそれぞれ周回させて茎葉部を引起す縦引起し装置34と横引起し装置35とを設けている。収穫部4により機体上に搬送されたニンジン(イ)は、搬送部6によって収穫部4が配置されている側とは左右反対側に向って(機体左側から右側に向って)搬送され、収容部5に置かれた容器であるコンテナC内に収容される。
【0024】
搬送部6は、切断装置31の下方に位置し、機体の左右内側方向にニンジン(イ)を搬送する第一コンベア36と、該第一コンベア36の前側に並行するように位置して第一コンベア36の移送方向と同方向にニンジン(イ)を移送する第二コンベア37と、該第二コンベア37の搬送終端部から機体後方に向けて延びて同方向にニンジン(イ)を移送する第三コンベア38とを備えた構成としている。
【0025】
収穫部4によって搬送され、切断装置31によって茎葉部が切断されて落下したニンジン(イ)は、第一コンベア36上に受けられた後、機体の左右内側方向に移送され、第二コンベア37上に排出され、更に、第二コンベア37によって同方向(機体右側方向)に移送され、次いで、第三コンベア38によって機体後方に向けて移送されて、第三コンベア38の移送終端部後方に配置した収容部5に載置したコンテナC内に排出される。
【0026】
なお、第一コンベア36を平坦な面を有するベルトコンベアで構成し、その移送下手側のベルト上面に下側がベルト回転方向と同方向に向って駆動回転する残葉処理ローラ39を、該ローラ39の移送方向に対して機体平面視で傾斜姿勢で配置している。
【0027】
本実施形態では残葉処理ローラ39の移送方向下手側の端部が第二コンベア37に近い側に配置している。従って、第一コンベア36によってニンジン(イ)が移送されて残葉処理ローラ39に当ると、第一コンベア36の前側に配置した第二コンベア37上に排出されるようになるが、切断装置31によって切断された後にニンジン(イ)の根部側に残っている茎葉部の基部から伸びている葉(残葉)は、第一コンベア36のベルト36aの上面と残葉処理ローラ39との間に引き込まれて矢印R方向(図2)に排出されて取り除かれることになる。
【0028】
まず、根菜収穫機1は、エンジン64を始動して、上述した収穫作業の開始にあたり、オペレータはソイラ11側にあるクローラ8Lの前方位置に軸架している接地輪15を下降操作して接地し、作業を開始する。機体の回転各部を駆動しながら挟持搬送装置9の掘取り高さ(引き抜き位置)を予め設定し、クローラ8L,8Rを伝動して車体を圃場内で前進させながらニンジン(イ)の収穫作業を開始する。
【0029】
この場合、ソイラ11は、挟持搬送装置9と連結パイプ73により取付部材75に設けられた支点部75aで連結しているため一体に下降して先端部分が土中に陥没(図1参照)することになる。
【0030】
続いて、ソイラ11は、根菜収穫機1の前進につれて土中を進行し、その先端部でニンジン(イ)を下方から地上へと押し上げ、縦引起し装置34と横引起し装置35によりニンジン(イ)の茎葉部を引起こして、挟持搬送ベルト9L,9Rの始端部がニンジン(イ)を挟持して上方へ引き抜き搬送する。
【0031】
そして、排葉ベルト32,32に茎葉部を引継ぎ搬送される際に、切断装置31によってニンジン(イ)の茎葉部の基部が切断され、切断されたニンジン(イ)の根部は下方に落下して、茎葉部は排葉ベルト32,32で機体後方に搬送されて機体後部側から排出される。
【0032】
切断装置31によって茎葉部が切断されて落下したニンジン(イ)は、第一コンベア36上に受けられた後、機体の左右内側方向に移送され、第二コンベア37上に排出され、更に、第二コンベア37によって同方向(機体右側方向)に移送され、次いで、第三コンベア38によって機体後方に向けて移送されて、第三コンベア38の移送終端部後方に配置した収容部5に載置したコンテナC内に排出される。
以上のように収穫作業を続け、ニンジン(イ)を収穫したコンテナCが満杯になると、空のコンテナCを交換して、ニンジン(イ)の収穫作業を連続的に行う。
【0033】
このような一連の収穫作業において、根菜の茎葉を引起し、掘り起こす作業は、最初に行われる作業であり、この作業をいかに効率良く行うかによって、後の作業に影響を及ぼす。そして、根菜を掘り起こす際に根菜に付着する土をいかに防ぐかということによっても、一連の収穫作業の能率性は左右される。
【0034】
そこで、本実施の形態によれば、図3に示すように、引抜搬送装置9の挟持搬送作用部である挟持搬送ベルト9L,9Rの下方に、ニンジン(イ)の下方を通過するように圃場内のニンジン(イ)の最下位置T(点線部分)よりも下に前端部Uが位置するソイラ11を設けたことを特徴としている。本構成を採用することにより、ソイラ11によってニンジン(イ)を押し上げて掘り出すことができるので、根菜に泥土が付着することを防止でき、収穫作業の能率が向上する。
【0035】
粘土質の圃場などの場合に、振動することで周囲の土をほぐす振動ソイラを用いると、土が固まって、かえって根菜を引き抜くことが困難になる。しかし、本構成を採用することにより、圃場の状態に左右されずに、粘土質の圃場から根菜を収穫するときや、冬場に茎草が枯れて弱くなった圃場から根菜を収穫する際にも、根菜への泥土の付着が防止でき、効率よく根菜を掘り起こすことができるため、特にこのような場合でも好適である。
【0036】
そして、図3(b)に示すように、挟持搬送ベルト9L,9Rの先端下方であってソイラ11の前端部に幅広プレート11aを設けることにより、幅広プレート11aがニンジン(イ)の周囲にある土をソイラ11だけであるときよりも広く持ち上げられるため、ニンジン(イ)を確実に地上に押し上げることができ、圃場内のニンジン(イ)を浮かび上がらせることができる。また、幅広プレート11aの先端部分の幅を徐々に狭めて平面視で三角形状とすれば、ソイラ11の前端部分が土中に入り込みやすくなるため、ソイラ11が土中に陥没する際の抵抗を小さくすることができる。
【0037】
また、この幅広プレート11aはソイラ11に固定する固定式として、ニンジン(イ)の真下からソイラ11を土中に通すことで、ニンジン(イ)に幅広プレート11aが接触しにくくなり、ニンジン(イ)が傷付くことを防止できるので、ニンジン(イ)の商品価値が向上する。
【0038】
図3に示すように、幅広プレート11aは、ボルト70等によりソイラ11本体に取り付けて固定する。ソイラ11本体には、ボルト70の取り付ける穴を複数設けており、ボルト70の取り付ける穴を選択できる。したがって、図3によれば、前後方向に幅W分だけ幅広プレート11aの位置を適宜調整できる構成である。このように、圃場の状態に応じて幅広プレート11aの位置を調整することで、圃場適応性が向上する。
【0039】
更に、幅広プレート11aの幅w1を、ソイラ11の幅w2よりも広く、且つ引抜搬送装置9の前端部の左右幅w3よりも狭くすると良い。幅広プレート11aの幅w1をソイラ11の幅w2よりも広くすることで、より確実に根菜を押し上げて掘り起こすことができるので、収穫作業の能率が向上する。また、幅広プレート11aの幅w1を引抜搬送装置9の前端部の左右幅w3よりも広くした場合は、幅広プレート11aが隣接条のニンジン(イ)に当たって傷付けてしまう場合がある。しかし、本構成のように、幅広プレート11aの幅w1を引抜搬送装置9の前端部の左右幅w3よりも狭くすることで、隣接条のニンジン(イ)を傷付けること防止できるので、収穫作物の価値が向上する。
【0040】
図4(a)には、根菜収穫機の他の実施例のソイラ11付近の要部拡大側面図を示し、図4(b)には、図4(a)の正面図を示す。
そして、図4に示すように、ソイラ11の先端部に左右プレート11d,11dを設け、左右プレート11d,11dの間に空間を設けている。なお、左右プレート11d,11dはソイラ11の先端部の穴部にボルト留めている部材27の左右上面にそれぞれ溶着して取り付けれている。部材27はソイラ11の先端部における取付位置を調整できる。従って左右プレート11d,11dはスライドはできないけれども、部材27と一体で前後方向の位置調節は可能である。
【0041】
このような形状にすると、ニンジン(イ)の下部が左右プレート11d,11dと略同じ高さ又は左右プレート11d,11dよりも上にある場合でも、ニンジン(イ)の下部は左右プレート11d,11dの間を通過することができるので、ニンジン(イ)を傷付けにくくなり、収穫作業の能率が向上する。
【0042】
図5(a)には、根菜収穫機の他の実施例のソイラ11付近の要部拡大側面図を示し、図5(b)には、図5(a)の正面図を示す。
また、図5に示すように、ソイラ11本体の位置を引抜搬送装置9の左右方向(幅方向)の中心位置よりも左右どちらか一方に寄せても良い。図5によれば、ソイラ11本体の中心位置を右側に寄せている例を示しているが、左側に寄せても良い。ニンジン(イ)は、幅広プレート11aの中央付近で掘り起こされることから、本構成を採用することにより、ソイラ11の本体部分にニンジン(イ)が干渉しなくなって、ニンジン(イ)の損傷を防止できる。
【0043】
また、図5に示すように、ソイラ11は、その上端部が引抜搬送フレーム25に支持部材77により支持されている。そして、この接続部分にボルト穴を複数設けることで、ソイラ11の上端部の引抜搬送フレーム25への取り付け位置を変更できる。図5には、引抜搬送フレーム25への取り付け位置を上下3段階に調節できる例を示すが、上下2段階としても良いし、ソイラ11や支持部材77の上下幅を広くして、もっと多くの段階に調節可能な構成としても良い。
【0044】
このように、ソイラ11の上端部の取付位置を変えることで、支点部75aを中心として矢印V方向に上下の高さが変化する構成を採用することにより、ソイラ11の下端部の上下方向の高さを調節できることから、作物の長さで変更可能となる。すなわち、長い作物のときはより深めに、短い作物のときには浅めにするなどのように調整する。作物の長さは必ずしも一定ではないが、品種ごとに大体の平均長さは決まっているので、それに応じて調整可能となり、根菜収穫機の圃場の適応性が向上する。
【0045】
また、図3や図5に示すように、機体フレーム17に取り付けるソイラ11の上端部は支点75aよりも高い位置にあるので、機体フレーム17に対するソイラ11の取り付け位置の調整が易しい。
【0046】
そして、図3に示すように、ソイラ11の上端部で引抜搬送フレーム25との接続部分にある支持部材77上に根毛除去装置10を取り付ける構成とすれば、根毛切除部49の支持部材を別に設ける必要がなく、余分な部材を省くことで低価格化が図れる。
【0047】
また、図3に示す幅広プレート11aの地面(圃場)との作用面(地面に接触して土中を掘り起こす部分のこと)を刃付けした構成としても良い。例えば、図3(b)に示す幅広プレート11a先端部分の三角形状部分の周囲(斜線部分)を刃付けすれば良い。このように、幅広プレート11aの地面との作用側を刃付けすることで、幅広プレート11aが土中に陥没する際に土を切り、土の抵抗が小さくなって、ソイラ11によるニンジン(イ)の掘り起こし作業をスムーズに行うことができる。
【0048】
また、図6にソイラ11の幅広プレート11a部分の斜視図を示すように、幅広プレート11aの左右方向中心線に沿って折れ目を付けて傾斜状とし、正面視でV字状とすれば、土中に幅広プレート11aの先端部が入りやすくなるため、ソイラ11が土中に陥没する際の抵抗を小さくすることができる。
【0049】
このように幅広プレート11aの先端部分を正面視でV字状とすることにより、そのV字のエッジ部で泥を切り、土の抵抗が小さくなると同時にニンジン(イ)を効果的に浮かすことができる。したがって、ソイラ11によるニンジン(イ)の掘り起こし作業をスムーズに行うことができる。また、幅広プレート11aのV字状部分を前述のように刃付けしても良いし、前後にスライド可能な構成としても良い。
【0050】
図7(a)には、他の実施例のソイラ11付近の要部拡大側面図を示し、図7(b)には、図7(a)の正面図を示し、幅広プレート11aの先端部分の簡略図を示す。
また、図7(b)に示すように、幅広プレート11aを正面視で右上がり傾斜となるように、既掘り側(根菜収穫機の前進方向に向かって右側)に傾けることにより、ニンジン(イ)を掘り起こした際の泥は矢印H方向へと流れ、既掘り側に寄せることができるので、末掘り側(左側)に泥が寄りにくくなる。末掘り側に泥が寄ると、泥の量が多くなって掘り起こしにくくなったり、ニンジン(イ)を掘り起こす際に泥が付着してしまうが、本構成を採用することにより、このような不具合を防止できる。
【0051】
図8(a)には、他の実施例のソイラ11付近の要部拡大側面図を示し、図8(b)には、図8(a)の正面図を示し、幅広プレートとして分割プレート11b,11cを用いる例である。
また、図8に示すように、幅広プレート11aを左右に分割して、分割した幅広プレート11b、11cの上下高さを変えて、末掘り側の幅広プレート11cを低くしても良い。末掘り側の幅広プレート11cの高さを既掘り側の幅広プレート11bの高さよりも低くすることで、図7に示した構成と同様に、ニンジン(イ)を掘り起こした際の泥は矢印H方向へと流れ、既掘り側に寄せることができるので、末掘り側(左側)に泥が寄りにくくなる。したがって、泥を既掘り側に寄せることができる。
【0052】
図9には、他の実施例のソイラ11付近の要部拡大図を示す。
本実施例のソイラ11の幅広プレート部分は、部材27の両端に幅広プレート11d,11dを溶接接続している。ソイラ11の先端付近には、部材27の先端部の取り付け穴70bに加えて、機体に対して上下方向に部材27の後端部の取付用の複数の傾き調節用の穴70aが設けられている。まず部材27の先端部の取り付け穴70bに取り付け、次にソ部材27の後端部の複数の取り付け穴70aの一つに固定することにより、幅広プレート11d,11dの前後方向の取付角度調節が可能となる。このように、幅広プレート11aが前後に傾くような構成とすることにより、圃場条件を選ぶことなく、どのような状態の圃場でも作業可能であることから、圃場適応性が向上する。
【0053】
図10(a)には、他の実施例のソイラ11付近の要部拡大図を示し、図10(b)には、図10(a)の簡略正面図を示す。図10には、振動ソイラ80を設けた根菜収穫機に、本実施例のソイラ11を設置した例を示している。
振動ソイラ80は、左右一対の挟持ベルト9L,9Rの搬送始端部分の下方において、その挟持ベルト9L,9Rが挟持する土中のニンジン(イ)の両側に位置させるように通常左右一対設けられ、周辺土壌を抱き込んで、振動する形状にして後部を横軸に支持して振動するように架設している。
【0054】
この場合、図10に示すように、横引起こし装置35への駆動伝達部40から分岐してクランクロッド21aと該クランクロッド21aと引抜搬送装置9の機枠22との間に取り付ける振動アーム21bとを介して振動ソイラ80への振動動力が伝達される構成とし、該振動アーム21bには振動ソイラ80先端部のソイラ刃80aをボルト等で取り付けている。なお、振動アーム21bは複数のボルト等の取り付け穴を設け、ソイラ刃80aの取り付け位置を変更可能な構成としても良い。
【0055】
振動することで周囲の土をほぐす振動ソイラ80を用いると、粘土質の圃場から根菜を収穫する場合などは、土が固まって、かえって根菜を引き抜くことが困難になるが、振動ソイラ80でニンジン(イ)の周りの土をほぐすことによって、ソイラ11がニンジン(イ)を土中から押し出しやすくなるため、作業能率が向上する。図10に示す構成では、土が固まる前にソイラ11によって、ニンジン(イ)が押し上げられる。このような圃場から根菜を収穫する際にも、根菜への泥土の付着が防止でき、効率よく根菜を掘り起こすことができる。
【0056】
また、ソイラ11の幅広プレート11a部分(掘り起こす際の作用部)と振動ソイラ80の作用部80aをほぼ同じ位置に配置することにより、収穫する対象であるニンジン(イ)の周りの土をより一層ほぐすことができる。
【0057】
また、振動ソイラ80はソイラ11の左右両側に設けても良いが、図10に示すように、左側にのみ振動ソイラ80を設けると、掘り起こした際に流れる泥の盛り上がりが少なくなり、操舵がしやすくなる。振動ソイラ80を左右両側に設けると掻き出す土の量が多くなり、泥の盛り上がりが多くなる。泥の盛り上がりが多いと、操舵する際に泥土が邪魔になって、機体のバランスが崩れる場合があるが、振動ソイラ80を左側にのみ設けると、このような不具合を防止できる。また、ニンジン(イ)を掘り起こした際の泥は、既掘り側(右側)に寄せることができるので、末掘り側(左側)に泥が寄りにくくなる。
【0058】
図11(a)には、他の実施例のソイラ11付近の要部拡大図を示し、図11(b)には、図11(a)の簡略正面図を示す。更に図11(c)には、図11(b)の変形図であって、ニンジン(イ)から土が落ちる様子を説明する図を示す。
図11では、振動ソイラ80として左右一対の振動ソイラ80L,80Rを設けた場合を示している。そして、ソイラ11の幅広プレート11a部分(掘り起こす際の作用部)を振動ソイラ80L,80Rの作用部80aの前方に配置させる構成としても良い。図11に示す例では、ソイラ11の幅広プレート11a部分を振動ソイラ80L,80Rの作用部80aから長さYだけ前方に配置させている。ソイラ11の幅広プレート11a部分は、振動ソイラ80よりも先にニンジン(イ)に作用するので、ソイラ11によってニンジン(イ)を浮かすことで、ニンジン(イ)のあった空間(ニンジン(イ)が浮いて隙間ができた部分)に泥が落ちるようになるので、ニンジン(イ)に泥が付着しにくくなる。
【0059】
振動ソイラ80L、80Rの方がソイラ11より先にニンジン(イ)に作用すると、振動ソイラ80の振動によって粘土質の圃場などの場合は、土が固まってしまうことがあるが、ソイラ11によってニンジン(イ)を浮かした後に、振動ソイラ80を作用させることにより、このような不都合を防止し、ニンジン(イ)を浮かした後の土をほぐすことで、土の付着を防止してニンジン(イ)の掘り起こし作業が効率よく行える。
【0060】
そして、図11(c)に示すように、ソイラ11と振動ソイラ80に空間(M)が形成される構成にすることで泥土(ロ)が矢印Z方向へ流れて空間部分(M)に落ち、より一層ニンジン(イ)から泥土(ロ)が落ちやすくなる。なお、図11によれば、振動ソイラ80Rとソイラ11の距離Mと振動ソイラ80Lとソイラ11の距離Mは同じであるが、特に同じ幅にしなくても良い。例えば、未掘り側のソイラ11を既掘り側のソイラ11よりも引抜搬送装置9の挟持搬送作用部の中央に近付け、未掘り側のソイラ11がニンジン(イ)に接触しにくくする、という構成を採用してもよい。
【0061】
図12には、図2に示す根菜収穫機の残葉処理ローラ39付近の拡大図を示す。
第一コンベア36によって移送されたニンジン(イ)は残葉処理ローラ39に当って第二コンベア37上に排出されるようになるが、切断装置31によって切断された後にニンジン(イ)の根部側に残っている茎葉部の基部から伸びている葉(残葉)は、残葉処理ローラ39が矢印A方向に回転することにより第一コンベア36のベルト上面と残葉処理ローラ39との間に引き込まれて取り除かれる。
【0062】
従来の根菜収穫機は、残葉処理ローラ39の長さが第一コンベア36の途中までしかなく(図12の大径部と小径部の境目)、残葉処理ローラ39の終端部の取り付けステー(図示せず)と第一コンベア36のベルトの間にニンジン(イ)が滞留するという問題や、切り取った葉がこの付近に停滞して詰まりやすくなるという問題があった。また、ニンジン(イ)と共に小石などの異物の塊が搬送されて、残葉処理ローラ39と第一コンベア36のベルト面との間に異物が巻き込まれて、第一コンベア36のベルトを破ってベルトの破損を引き起こすという不具合があった。
【0063】
しかし、図12に示すように、第一コンベア36のベルト終端まで残葉処理ローラ39の長さを延長すると、ニンジン(イ)や切り取った葉が滞留するという不具合を防止できる。また、残葉処理ローラ39の径を大径部と小径部から構成して、小径部を延長部分39aとすると、延長部分39aからの石抜けが良くなる。その結果、ニンジン(イ)の先端部が残葉処理ローラ39の終端部に引っ掛かって折れたり搬送不良を起こすことも防止できる。
【0064】
このように、残葉処理ローラ39の第一コンベア36側端側に小径部を設けたことにより、小石等の挟雑物が延長部分39aの下部から排出されやすくなり、挟雑物が第一コンベア36の搬送ベルトを傷付けることを防止できるので、残葉処理が能率的に行われる。そして、残葉処理ローラ39の径が変わる部分は、図12に示すようにテーパ状にすることで、ニンジン(イ)が傷付くことを防止できるので好適である。
【0065】
そして、図12に示すように、残葉処理ローラ39の下方には第一コンベア36の搬送ベルトの上面側を下方から支持するように配置して、その上下位置を固定して取り付けたガイドプレート50を設けている。ガイドプレート50の平面図を図13に示す。なお、図13に示すように第一コンベア36は一対のローラ36b,36cの間に掛け渡されている。
【0066】
ガイドプレート50には、切り欠き50aが第一コンベア36と第二コンベア37との引継部近傍にあることによって、ニンジン(イ)に付着していた土の塊や小石が残葉などと一緒に残葉処理ローラ39の下方を通過しようとしたとき、ベルト36aは切り欠き50aの部分に退避することができるので、土の塊や小石が第一コンベア36と残葉処理ローラ39との間に噛み込んでベルト36aを傷つけてしまうことを防止できる。
【0067】
そして、テーパの開始位置Sを第一コンベア36のベルト下のガイドプレート50の切り欠き50aのある部分とし、テーパの終端位置Fを、ガイドプレート50の端とすると、テーパ部分と切り欠き50aのと間を土の塊や小石が通過しやすいので、ベルトが傷付くことが防止される。
【0068】
図14(a)には、図1の根菜収穫機の根毛除去装置10の拡大図を示し、図14(b)には、図14(a)の矢印B方向から見た場合の矢視図を示す。
根毛除去装置10は左右搬送ベルト9L,9Rの傾斜面に対向する位置に円弧状の支持ガイド43を配置している。支持ガイド43には複数のニンジン(イ)の根部を案内する隙間48が等間隔で且つ並列に切り欠かれており、機体の前後方向に向けてその両端が左右外側プレート45L,45Rとの間に固定されている。
【0069】
なお、図14(a)の支持ガイド43が形成する円弧の内側に位置して該円弧の仮想中心軸上に回転軸44aを有する回転体44を配置する。回転体44はその回転軸44aを中心にモータ46により回転する部材であり、前記回転軸44aは右側の外側プレート45Rにロールベアリング81を取り付けた取付けプレート53をボルト83により着脱自在に支持している。また、モータ46は、モータ取付けプレート52を介して左側の外側プレート45Lとボルト82により連結している。図示の例では回転体44は略コの字状に折れ曲がった形状の2つの部材44b、44cを組み合わせた箱体であるが、S字状のものでも良く、支持ガイド43の内側に沿って回転する根毛切除部49が支持ガイド43の隙間48を通り抜ける根毛を切除するよう構成している。
【0070】
従来の根毛除去装置10の回転体44の支持構成は、モータ46がモータ取付けプレート52を介して左側の外側プレート45Lとボルト82により連結している構成のみであった。しかし、図14(b)に示すように、回転体44をロールベアリング81により右側の外側プレート45Rに連結させることで、回転体44を左右両側から支持できる構成となる。このように回転体44を左右両側から支持したことによって、根毛切除部49の切断姿勢を安定させることができるので、ニンジン(イ)下部(根菜のひげ根)の切断処理作業が安定し、作業能率が向上する。
【0071】
上記根毛除去装置10の構成により、隣接する隙間48への土などの詰まりによる根毛除去不良の発生を減少できる。また支持ガイド43の隙間48が左右方向に複数箇所形成されることで根毛除去作用域の左右幅が広くなり、挟持搬送ベルト9L,9Rで搬送中のニンジン(イ)の搬送姿勢が多少横向きに傾いていても、また曲がったニンジン(イ)でも根毛が支持ガイド43の間の隙間48に入り込み易くなり、従来より適正な根毛除去が行える。さらに順次搬送されてくる作物にあって、先行して搬送される作物が長い場合でも、次に搬送されてくるニンジン(イ)の下端部が左右にずれて根毛が先行するニンジン(イ)の根毛が入り込む隙間48とは別の支持ガイド43の間の隙間48に入り込むことができるので、従来よりも根毛除去が適正に行える。
【0072】
また、支持ガイド43に複数の隙間48を複数切り欠いたことによって、支持ガイド43の隙間48に土などが入り込んでも抜けやすく、隙間48の詰まりが生じ難くなり、一層適正に根毛除去が行える。
さらに、回転体44を箱状に構成することで、根毛除去作用可能な左右両端の支持ガイド43の左右方向幅内にわたって根毛を切除できる構成でありながら強度が大きく、かつ、曲がり難くなり、より耐久性が向上する。
【0073】
そして、ロールベアリング81の取り付けプレート53を支持するアーム85は、その中央付近が根毛除去装置10の前記ロールベアリング81に対してボルト83によって連結して、アーム85の前後部分は鉛直方向に対して角度θ(図14(a))だけ傾いて取り付けられている。前記傾斜角度θを設ける理由は、ニンジン(イ)に付着した泥土が落下しても溜まらないようにするためであるが、傾斜角度が大き過ぎると、アーム85が回転刃49に干渉するので、所定の傾斜角度θにする。
【0074】
この傾斜角度θの値が小さすぎると、ニンジン(イ)の根部に付着した土がアーム85上に溜まってしまう。そのため、前記傾斜角度θの値を小さな値もしくは0とすれば、ニンジン(イ)の根部に付着した土が矢印D方向に流れるため、アーム85の上に土が溜まらないようにすることができる。
【0075】
そして、プレート45Lに設けるボルト82の取付穴を長穴45Laとして、モータ取り付けプレート52を除き、支持ガイド43、回転体44、モータ46及びアーム85が一体で上下の高さを調節できる。根菜の種類によって根部の長さが異なるが、本構成を採用することにより根毛除去装置10の回転刃49の高さが調節できるので、様々な種類の根菜に対応可能となる。
【0076】
図15(a)には、他の一実施形態による根菜収穫機の根毛除去装置10の拡大左側面図を示し、図15(b)には、図15(a)の矢印B方向から見た場合の矢視図を示す。また、図15(c)には、図15(a)の根毛除去装置10の拡大右側面図を示す。更に図16(a)には従来の根菜収穫機の根毛除去装置10のモータ部分の断面図を示し、図16(b)には図15(b)の根毛除去装置10のモータ部分の断面図(図15(b)の縦断面図に相当)を示す。
【0077】
また、図15(b)に示すように、支持ガイド43の隙間48を左右方向に傾斜させて配しても良い。図15(b)では、右上がりに傾斜させているが、右下がりに傾斜させても良い。このように、隙間48を斜めに配することで、ニンジン(イ)の先部(尻尾部分)の根毛が隙間48に案内されて入りやすくなる。したがって、より確実にニンジン(イ)の下部を切断でき、収穫したニンジン(イ)の価値が向上する。
【0078】
また、支持ガイド43の終端部を外側プレート45の円周上(点線E部分)から離すように、例えば点線G部分に示すように設けると良い。支持ガイド43の終端部を外側プレート45の円周上(点線E部分)に沿って設けた場合は、丸枠部分Kに土が溜まってしまい、回転刃49が土にあたり、回転刃49が土によって削られてしまう。特に、桟43aの終端部にはニンジン(イ)に付着した土がニンジン(イ)と共に運ばれてくるため、土が溜まりやすい。しかし、図15(a)に示すように、支持ガイド43の終端部を外側プレート45の円周上(点線E部分)から離して設けることで、丸枠部分Kに溜まる土は下に落ちるので、根毛切除部回転刃49が土によって削られる不具合を防止できる。
【0079】
また、支持ガイド43の後端部の折り返し部43aaを水平部分(点線P位置)よりも下げて折り返すと良い。桟43aの後端部の折り返し部43aaが点線P上に位置すると、折り返し部43aaの上方に土が溜まってしまう。土が折り返し部43aaの上方に溜まると、次第に桟43a間の隙間48に入り込み、桟43aの裏側に土が溜まる原因となる。しかし、折り返し部43aaを水平部分(点線P位置)よりも下げて傾斜を設けることで、折り返し部43aaの上方に土が溜まることを防ぐことができる。
【0080】
また、支持ガイド43の前方部分43abを水平面(点線Q位置)に沿って設けずに、水平面(点線Q位置)に対して前下りになるように設けても良い。支持ガイド43の前方部分43abを水平面(点線Q位置)に沿って折り返すと、ソイラ11を持ち上げた際に、折り返し付近に土が溜まってしまい、落ちにくくなる。しかし、支持ガイド43の前方部分43abを水平面(点線Q位置)に対して角度が急になるように傾斜させることで、土が前方に落下するため、このような不具合を防止できる。
【0081】
また、図15(a)に示すように、支持ガイド43の中央付近は側面視で円弧状の円周部を形成しているが、前方の円周部よりも後方の円周部を短くすると、支持ガイド43の面積を必要最小限に抑えることができるので根毛除去装置10のコンパクト化が図れる。なぜなら、前方の円周部は長いニンジン(イ)等の根毛を迎え入れるためにある程度の長さが必要となるが、後方の円周部は回転刃49が既に根毛を切除しているので、回転刃49にニンジン(イ)から落下する土が当たらない位置まで円周部があればいいため、前側の円周部よりも短くできるためである。
【0082】
そして、隙間48を傾けた側である右側の外側プレート45Rの手前側部分45Raを外側に折り曲げる。これは、両方とも広げても隙間48が傾斜していない側には支持ガイド43の切り欠かれていない部分があるのでニンジン(イ)の根毛が入りにくいためである。また、ニンジン(イ)の根部が入りやすくなるように、根毛除去装置10の入り口部分を広くしても良い。
【0083】
上記構成を採用することにより、ニンジン(イ)の根部が外側プレート45L,45Rに当たって根毛除去装置10の支持ガイド43に切り欠いた複数の隙間48入りにくくなることを防ぐことができる。
【0084】
また、外側プレート45と支持ガイド43は、両者に切り欠き部分45a、45bを設けて、該切り欠き部分45a、45bを合わせることで、連結させる構成である。そして、図15(c)に示すように、外側プレート45と支持ガイド43の位置合わせ部分の前方の切り欠き45aの長さを後方の切り欠き45bの長さよりも長くすると、誤った組み付けでは切り欠き部分の長さが異なるため、連結することができない。したがって、外側プレート45と支持ガイド43の誤った組み付けを防止できる。
【0085】
なお、図15(c)に示す例では、前方の切り欠き45aの長さを後方の切り欠き45bの長さよりも長くしているが、後方の切り欠き45bの長さを前方の切り欠き45aの長さよりも長くしても良く、すなわち位置合わせ部分の切り欠き45a又は45bの長さを前後で変えれば良い。また、切り欠き45a、45bの長さに限定せず、切り欠き45a、45bの形状を異なるようにしても良い。
【0086】
また、図16(a)に示すように、従来は、右側の外側プレート45Rが支持ガイド43の右端に設けられているため、右側の外側プレート45Rと支持ガイド43の連結部分の角部(矢印J部分)に土がたまりやすく、その土によって回転刃49の刃部が破損するという問題があった。しかし、図16(b)に示すように、右側の外側プレート45Rを支持ガイド43の上に設けることで、角部(矢印J部分)を無くして、右側の外側プレート45Rと支持ガイド43の連結部分に土が溜まることを防ぐことができる。
【0087】
また、根毛切除部49によって切除され、飛ばされた根毛の切り屑や土は、外側プレート45に当たることで外部への飛散を防ぐような構成であるが、図16(a)に示す従来の構成では、根毛の切り屑や土が飛散しやすいという問題があった。しかし、図16(b)に示すように、図16(a)に示す構成に比べて、回転軸44aから支持ガイド43の右端部までの距離Nを長くとることで、根毛の切り屑や土などの外部への飛散を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、根菜類収穫機として農業用機械として利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態の根菜収穫機の側面図を示す。
【図2】図1の根菜収穫機の平面図を示す。
【図3】図3(a)は、図1のソイラ付近の拡大図であり、図3(b)は、図3(a)の正面図であり、図3(c)にはソイラ先端部の斜視図である。
【図4】図4(a)は、他の実施形態による根菜収穫機のソイラ付近の要部拡大側面図であり、図4(b)は、図4(a)の正面図である。
【図5】図5(a)は、他の実施形態による根菜収穫機のソイラ付近の要部拡大側面図であり、図5(b)は、図5(a)の正面図である。
【図6】V字型幅広プレートを有するソイラの斜視図である。
【図7】図7(a)は、他の実施形態による根菜収穫機のソイラ付近の要部拡大側面図であり、図7(b)は、図7(a)の幅広プレートの先端部分の簡略図(正面図)である。
【図8】図8(a)は、他の実施形態による根菜収穫機のソイラ付近の要部拡大側面図であり、図8(b)は、図8(a)の幅広プレートの先端部分の簡略図(正面図)である。
【図9】他の実施形態による根菜収穫機のソイラ付近の要部拡大図である。
【図10】図10(a)は、他の実施形態による根菜収穫機のソイラ付近の要部拡大図であり、図10(b)は、図10(a)の簡略正面図である。
【図11】図11(a)は、他の実施形態によるソイラ付近の要部拡大図であり、図11(b)は、図11(a)の簡略正面図である。図11(c)は、図11(b)の変形図である。
【図12】図2に示す根菜収穫機の残葉処理ローラ付近の拡大図である。
【図13】第一コンベアベルトのガイドプレートの平面図である。
【図14】図14(a)は、図1の根菜収穫機の根毛除去装置の拡大図であり、図14(b)は、図14(a)の矢印B方向から見た場合の矢視図である。
【図15】図15(a)は、他の一実施形態による根菜収穫機の根毛除去装置の拡大左側面図であり、図15(b)は、図15(a)の矢印B方向から見た場合の矢視図であり、図15(c)は、図15(a)の根毛除去装置の拡大右側面図である。
【図16】図16(a)は従来の根菜収穫機の根毛除去装置のモータ部分の断面図であり、図16(b)は図14(b)の根毛除去装置のモータ部分の断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 根菜類収穫機 2 走行装置
3 操縦部 4 収穫部
5 収容部 6 搬送部
7 収穫物載置部 8L,8R クローラ
9 引抜搬送装置 9L,9R 搬送ベルト
10 根毛除去装置 11 ソイラ
11a〜11d 幅広プレート 12 操縦座席
13 ミッション 14 駆動スプロケット
15 接地輪 17 機体フレーム
18 伸縮ロッド 19 ハンドル
20 振動器 21a クランクロッド
21b 振動アーム 22 機枠
23 回動支点 25 左右引抜搬送フレーム
26 連結パイプ 27 部材
29 回動支点 30 シリンダ
31 切断装置 32 排葉ベルト
33 位置揃えベルト 34 縦引起し装置
35 横引起し装置 34a、35a ラグ
36 第一コンベア 36a 搬送ベルト
36b,36c ローラ 37 第二コンベア
38 第三コンベア 39 残葉処理ローラ
39a 延長部分 40 駆動伝達部
42 排葉シュータ 43 支持ガイド
44 回転体 44a 回転軸
45a,45b 切り欠き
45L,45R 外側プレート 45La 長穴
46 モータ 47 案内体
48 隙間 49 根毛切除部
50 ガイドプレート 50a 切り欠き
52 モータ取付けプレート
53 ロールベアリング取付けプレート
64 エンジン
70(70a、70b)、71 ボルト
72 調節部 73 連結パイプ
75 取付部材 75a 支点部
77 支持部材 80 振動ソイラ
80a ソイラ刃 81 ロールベアリング
82、83 ボルト 85 アーム
C 容器(コンテナ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)上に機体フレーム(17)を設け、該機体フレーム(17)上に、圃場から根菜を引き抜き搬送する挟持搬送作用部(9L,9R)を備えた引抜搬送装置(9)を設けた根菜類収穫機において、
前記引抜搬送装置(9)の引抜搬送フレーム(25)に基部を有し、引抜搬送装置(9)の挟持搬送作用部(9L,9R)の下方に沿って前方に延設し、該圃場の根菜の最下位置よりも下に前端部が位置するソイラ(11)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記ソイラ(11)の前端部に、該ソイラ(11)よりも幅が広く、且つ引抜搬送装置(9)の前端部の左右方向の幅よりも幅が狭い板体(11a)を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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