説明

栽培棚支持装置

【課題】栽培棚を支持フレームに安定して載置でき、かつ充分な幅の通路を確保できる栽培棚支持装置10,40を提供する。
【解決手段】溝形材から成る支持フレーム11,41に同溝形材から成るアッパフレーム12,42を対向配置し、両フレーム11,41,12,42間にローラ体21,60を介在させてアッパフレーム12,42を左右方向へ水平移動可能に支持フレーム11,41上に載置する。ローラ体21,60は共通の回転軸心を有し一体回転する大径ローラ22,61と小径ローラ23,62からなる左右一対のローラ体21,60で構成する。そして、小径ローラ23,62が支持フレーム11,41のロアレール面11b,41bに転動可能に摺接し、かつ大径ローラ22,61がアッパフレーム12,42のアッパレール面16,45に転動可能に摺接するように支持フレーム11,41とアッパフレーム12,42の間にローラ体21,60を介在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は栽培棚支持装置に関し、より詳しくは温室やビニルハウス内に栽培棚を移動自在に設置し、栽培棚を移動させることにより隣接する栽培棚間に所定幅の通路を形成し、もって温室やビニルハウスの有効栽培面積を増加させるようにした栽培棚支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の栽培棚支持装置の一形式として、実開平5−21639号公報には、栽培棚の下面の左右2箇所にコロ受け部材を固定し、地面に立設した支柱の上端部に支持フレームを固定して該フレームを水平に設置し、支持フレームの左右両端部にストッパを凸設し、コロパイプをコロ受け部材に回転可能に嵌合し、このコロパイプを両ストッパ間で転動可能に支持フレームに載置した栽培棚支持装置が開示されている。
この栽培棚支持装置によれば、支持フレームの左右両端に設けたストッパ間でコロパイプが転動し、それに伴い栽培棚が左右に水平移動するので、必要に応じて隣接する栽培棚との間に通路を形成することができる。そのため、温室やビニルハウスの有効栽培面積が増加する。
【特許文献1】実開平5−21639号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来の栽培棚支持装置では、コロパイプを嵌合する左右のコロ受け部材の間隔が広ければ広いほど、栽培棚は支持フレームに安定して水平載置できる。左右のコロ受け部材の間隔が狭くなると、栽培棚に載置される鉢等が偏在すると左右に傾き易くなり、不安定となる。
一方、左右のコロ受け部材の間隔を広くすると、支持フレームの左右のストッパ間において、栽培棚が左右に水平移動可能な距離が短く制限されるため、栽培棚の移動により隣接する栽培棚間に形成される通路幅が狭くなる。
本発明はかかる問題点に鑑み、栽培棚を支持フレームに安定して載置でき、かつ充分な幅の通路を確保できる栽培棚支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、支持フレームにコロ部材を介して左右方向へ移動可能にアッパフレームを水平に載置し、アッパフレームに栽培棚を載置するように構成した栽培棚支持装置であって、前記コロ部材として共通の回転軸心を有し一体回転する大径ローラと小径ローラからなるローラ体を左右一対備え、小径ローラが支持フレームに転動可能に摺接し、かつ大径ローラがアッパフレームに転動可能に摺接するように支持フレームとアッパフレームの間に両ローラ体を介在させたことを特徴とする。
そして、好ましくは前記支持フレームに左側のローラ体に当接して該ローラ体の左方向への転動を規制する左端ストッパと、右側のローラ体に当接して該ローラ体の右方向への転動を規制する右端ストッパとを設けるとともに、前記アッパフレームに前記左端ストッパに当接した前記左側ローラ体に当接して該アッパフレームの左方向への移動を規制する左ストローク端用ストッパと、前記右端ストッパに当接した右側ローラ体に当接して前記アッパフレームの右方向への移動を規制する右ストローク端用ストッパを設ける。
さらに好ましくは、前記左ストローク端用ストッパと前記右ストローク端用ストッパを取付位置可変に設ける。
また、好ましくは前記左右一対のローラ体が左右方向へ一体に転動するように両ローラ体を連結プレートで連結する。
さらにまた、前記連結プレートの下端を前記支持フレームに遊びを持って係合させ、かつ連結プレートの上端を前記アッパプレートに遊びを持って係合させる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、コロ部材として、同じ回転軸心でかつ大小径を異にして一体回転するローラ体を用い、小径ローラを支持フレームに接触させ大径ローラをアッパフレームに接触させることにより、ローラ体が支持フレーム上で左右に転動するように支持フレームとアッパフレーム間にコロ部材を介在させ、もってアッパフレームが固定の支持フレームに対し左右方向へ水平移動するように構成したので、アッパフレームの左右方向への移動により隣接する栽培棚との間に所要の通路幅を確保するにあたり可及的に両ローラ体間の間隔を広くできる。このためアッパフレームに栽培棚を安定して載置できる。
支持フレームに左端ストッパと右端ストッパを設け、アッパフレームに左ストローク端用ストッパと右ストローク端用ストッパを設けることによりアッパフレームの左右方向のストローク長を設定でき、栽培棚支持装置の左右両側に形成される通路幅を一定に設定できる。
左ストローク端用ストッパと右ストローク端用ストッパの取付位置を可変にすることで、アッパフレームのストローク長を可変調整できる。
左右のローラ体を連結プレートで連結することによりアッパフレームの左右方向の往復移動操作が安定する。
連結プレートを支持フレームとアッパフレームに係合させることにより、アッパフレームに載置した栽培棚に鉢等が偏在するように置かれても、その重量で栽培棚が左右方向に大きく傾くのを未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
溝形材から成る支持フレームに同じく溝形材から成るアッパフレームを対向配置し、両フレーム間に左右一対のローラ体を介在させてアッパフレームを左右方向へ水平移動可能に支持フレーム上に載置する。ローラ体は共通の回転軸を有し一体回転する大径ローラと小径ローラからなる。そして、小径ローラが支持フレームのロアレール面に転動可能に摺接し、かつ大径ローラがアッパフレームのアッパレール面に転動可能に摺接するように支持フレームとアッパフレームの間に左右のローラ体を介在させる。
支持フレームに左側のローラ体に当接して該ローラ体の左方向への転動を規制する左端ストッパと、右側のローラ体に当接して該ローラ体の右方向への転動を規制する右端ストッパとを設け、アッパフレームに左端ストッパに当接した左側ローラ体に当接して該アッパフレームの左方向への移動を規制する左ストローク端用ストッパと、右端ストッパに当接した右側ローラ体に当接してアッパフレームの右方向への移動を規制する右ストローク端用ストッパを設ける。さらに、左ストローク端用ストッパと右ストローク端用ストッパを取付位置可変に設ける。
【実施例1】
【0007】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1には本発明の第1実施例に係る栽培棚支持装置10を備えた栽培ベンチ100が示されている。当該栽培ベンチ100は前後一対の栽培棚支持装置10を備え、各栽培棚支持装置10は支持フレーム11、アッパフレーム12、コロ部材20、支柱30を備えている。
【0008】
図2〜図4に詳細を示すように、支持フレーム11は溝形材が用いられ、支持フレーム11の溝部分11aの上端部の前後両側にフランジ状のロアレール面11bが形成され、各ロアレール面11bの外端部に下方折り曲げ部11cが形成されている。支持フレーム11のロアレール面11bの両端にそれぞれ左端ストッパ片15と右端ストッパ片15が取付られている。
【0009】
アッパフレーム12は支持フレーム11と略同形の溝形材が用いられ、支持フレーム11に対し上下逆にして対向配置されている。このアッパフレーム12の溝部分12aの前後両側に設けられたフランジ面12bの外端部には上方折り曲げ片12cが形成されている。また、アッパフレーム12の溝部分12aの底面に溝形材を固定してアッパレール面16が形成されている。アッパレールのフランジ面12bには左右2箇所に左ストローク端用ストッパ片15Aと右ストローク端用ストッパ片15Aが取り付られている。
【0010】
図3及び図4に詳細を示すように、支持フレーム11とアッパフレーム12の間にはコロ部材20が介在されている。このコロ部材20は左右一対のローラ体21と両ローラ体21を連結する前後一対の連結プレート13から構成される。各ローラ体21は大径ローラ22と小径ローラ23から成り、両ローラ22,23は図4に示すように、大径皿部22aの中心に小径筒部23aを一体にプレス成形した2個の半円筒体を固定して一体成形され、大径ローラ22の両側に小径ローラ23が突出している。両ローラ21の中心に支持軸24が貫通し、この支持軸24が前後の連結プレート13間に架け渡されてナット25で連結プレート13に固定されている。各ローラ体21はこの支持軸24に回転可能に組付けられ、かつ左右のローラ体21が一体に転動するように連結プレート13で連結されている。各連結プレート13の上下両端は内側に折り曲げられてフック部13a,13bを形成している。
【0011】
ローラ体21と連結プレート13から成るコロ部材20は小径ローラ23が支持フレーム11のロアレール面11bに摺接する一方、アッパレール12のフランジ面12bには非接触となるよう、そして大径ローラ22が両プレート11,12の溝部分11a,12aに挿入されてアッパフレーム12のアッパレール面16に摺接し、支持フレーム11の溝部分11aの底面からは所定の間隙を保つように支持フレーム11とアッパフレーム12の間に介在されている。そして、連結プレート13のフック部13a,13bがそれぞれ支持プレート11の下方折り曲げ片11cとアッパフレーム12の上方折り曲げ片12cに遊びをもって係合している。
【0012】
各支柱30は支持フレーム11の溝部分11aの底面に垂設されている。この支柱30は図5に示すようにパイプ材31を備え、その上下両端開口にボルト33,34が挿入され、各ボルト33にナット32とナット35がネジ付けられ、ボルト34にナット32がネジ付けられている。支柱上端部のボルト33は支持フレーム11の溝部分11aの内側からその底面を貫通している。支柱30はボルト33の頭部33aとボルト33にはめ込んだナット35で支持フレーム11の底面を挟み付けて支持フレーム11に固定されている。支柱下端部のボルト34の頭部34aには円形の座盤36が溶接されている。上下のナット32を回してその位置を変えることによりボルト33,34のパイプ材31への挿入寸法を調整できる。支柱30の長さはボルト33,34の挿入寸法を調整することにより設定される。栽培ベンチ100は4本の支柱30を備えており、各支柱間には梁パイプ18を架け渡して補強されている。
【0013】
アッパフレーム12の上面にはパイプ材受け具40がビス41で固定されている。この受け具40にパイプ材43を嵌合し、その上に栽培棚(図示略)が載置される。
【0014】
本実施例に係る栽培ベンチ100及び栽培棚支持装置10の構造は以上の通りであって、温室、ビニルハウス内に設置し、各支柱30の長さを調整してアッパフレーム12を水平に設置し、栽培棚をパイプ材43の上に載置する。灌水作業、施肥作業等を行うときは支持フレーム11に対しアッパフレーム12を左右に移動して通路を確保する。このときコロ部材20は大径ローラが支持フレーム11に取り付けたストッパ片15及びアッパフレーム12の左側(図2参照)に取り付けたストッパ片15Aに当接して移動範囲が規制される、また、アッパフレーム12は左右のストッパ片15Aが連結プレートの左右の端部に当接して移動範囲が規制される。
【0015】
図6に、通路形成時における支持フレーム11、アッパフレーム12、大径ローラ22、小径ローラ23の相関を模式的に示す。図6において、L1は支持フレーム11の長さ、より正確には小径ローラ23の転動可能範囲となるストッパ15間の間隔を示す。L2はアッパフレーム12の長さ、dは小径ローラ23の直径、Dは大径ローラ22の直径、Pは小径ローラ23間の間隔、Nはローラ体の回転数を示す。
【0016】
図6の上段には、アッパフレーム12が支持フレーム11の左端部から左方ストローク端まで突出した状態が示されている。支持フレーム11の左端部側に通路を確保するにはアッパフレーム12を右方ストローク端まで移動させ、支持フレーム11の左端部とアッパフレーム12の左端部を整列させる。これにより、アッパフレーム12の左端部側に通路が形成される。通路幅をLとすると、
L=L2−L1
このときの大径ローラ22の転動距離はπDN、小径ローラ23の転動距離はπdNである。従って、アッパフレーム12の転動距離は(πDN+πdN)となる。つまり、通路幅Lと大径ローラ22及び小径ローラ23の転動距離との間には次式の関係が成立する。
L=πDN+πdN
一方、図6から明らかなように小径ローラ23の径dを小さくすれば、小径ローラ23の転動距離πdNが小さくなるので、Pを大きく採れる。その結果アッパフレーム12に栽培棚を載置したとき安定する。そして、上記の関係式から、小径ローラ23の径dを小さくしても、大径ローラ22の径Dを大きくすれば、必要な通路幅Lを確保できる。
【実施例2】
【0017】
次ぎに、本発明の第2実施例に係る栽培棚支持装置40を備えた栽培ベンチ200を図7に示する。当該栽培ベンチ200は前後一対の栽培棚支持装置40を備え、各栽培棚支持装置40は支持フレーム41、アッパフレーム42、左右一対のローラ体60、支持脚70を備えている。
【0018】
図8及び図9に詳細を示すように、支持フレーム41は溝形材が用いられ、支持フレーム41の溝部分41aの上端開口部の前後両側にフランジ状のロアレール面41bが形成され、各ロアレール面41bの外端部に下方折り曲げ部41cが形成されている。支持フレーム41の溝形断面形状は溝底部41dの幅より溝上端面開口部41eの幅が若干大きい逆ハの字形に成形されている。
【0019】
アッパフレーム42は支持フレーム41と略同形の溝形材が用いられ、支持フレーム41に対し上下逆にして対向配置されている。このアッパフレーム42の溝開口部分42aの前後両側に設けられたフランジ面42bの外端部には上方折り曲げ片42cが形成されている。また、アッパフレーム42の溝底面42dに溝形材を固定してアッパレール面45が形成されている。アッパフレーム42は支持フレーム41と同じく、溝底部42dの幅より溝開口部42aの幅が若干大きいハの字の断面形状に成形されている
【0020】
支持フレーム41のロアレール面41bの左端に左端ストッパ46が、また右端に右端ストッパ47がそれぞれブラケット48を介して取付られている。このブラケット48は溝形の断面形状を有し、溝の上端面開口部の左右両端にフランジ面48aを備えている。ブラケット48は支持フレーム41の左右両端部に嵌合され、ブラケット48と支持フレーム41の底部を貫通するボルト49とこのボルト49に取り付けたナット50で支持フレーム41に締め付けて固着されている。左端ストッパ46と右端ストッパ47はそのベース部46a,47aをボルト51でブラケット48のフランジ部48aに締め付けて固定されている。
【0021】
各ブラケット48には連結プレート52が取り付けられている。連結プレート52は下端部を外側に折り曲げてベース部52aが形成され、上端部にフック部52bが形成されている。連結プレート52のベース部52aはビス53でブラケット48のフランジ部48aに固着され、上端部に形成したフック部52bがアッパフレーム42の上方折り曲げ片42cに遊びをもって係合している。
【0022】
アッパフレーム42の側面42eの中間部には左右2箇所に左ストローク端用ストッパ55と右ストローク端用ストッパ56が取付られている。これら両ストッパ55,56は側面42eに横一列に形成した複数個の穴42fにビス57で着脱可能に固定されている。両ストッパ55,56はこれらの穴42fを選択して取り付けることにより取付位置をアッパレール42の左右方向に沿って変えることができる。
【0023】
また、図8及び図9に詳細を示すように、支持フレーム11とアッパフレーム12の間には左右2個のローラ体60が介在されている。図10に詳細を示すように、各ローラ体60は大径ローラ61と小径ローラ62から成り、両ローラ61,62は大径皿部61aの中心に小径筒部62aを一体にプレス成形した2個の半円筒体63をリベット64で一体に接合して作られ、大径ローラ61の両側の中心部から小径ローラ62が突出した形状を備えている。
【0024】
各ローラ体60は小径ローラ62が支持フレーム41のロアレール面41bに摺接する一方、アッパフレーム42のフランジ面42bには非接触となるよう、そして大径ローラ61が両フレーム41,42の溝に挿入されてアッパフレーム42のアッパレール面45に摺接し、支持フレーム41の溝底面41dからは所定の間隙を保つように支持フレーム41とアッパフレーム42の間に介在されている。そして、本実施例における左右2個のローラ体60は第1実施例におけるコロ部材20とは異なり、互いに連結されてはいないので、支持フレーム41に沿って互いに独立して左右方向に転動する。
【0025】
各支持脚70は2本のコ字形パイプ材71を有し、両パイプ材71の両端部がそれぞれ箱形のブラケット72で連結され、ハの字形に開脚している。このブラケット72の上面をボルト49が貫通し、ナット73で固定されて上面から立設している。ブラケット72はこのボルト49によって支持フレーム41の底面に固着され、これにより両パイプ材71が支持フレーム41に取り付けられている。
【0026】
図7に示すように、前後一対の支持フレーム41の左端部間と右端部間及び前側の支持フレーム41の左端部と後側の支持フレーム41の右端部間は梁パイプ材74,75,76で連結されている。
【0027】
また、図7に示すようにアッパフレーム42の上面にはパイプ材受け具77が固定されている。この受け具77にパイプ材78を嵌合し、その上に栽培棚(図示略)が載置される。
【0028】
本実施例に係る栽培ベンチ200及び栽培棚支持装置40の構造は以上の通りであって、支持フレーム41が水平になるように設置し、栽培棚をパイプ材78の上に載置する。灌水作業、施肥作業等を行うときは支持フレーム41に対しアッパフレーム42を左右に移動して通路を確保する。
図11に、通路形成時における支持フレーム41、アッパフレーム42、大径ローラ61、小径ローラ62の相関を模式的に示す。図11において、S1はアッパフレーム42の移動距離、dは小径ローラ62の直径、Dは大径ローラ61の直径、P1はローラ体60間の間隔、N1はローラ体60の回転数を示す。
【0029】
図11の上段には、アッパフレーム42が支持フレーム41の左端部から左方ストローク端まで突出した状態が示されている。このとき、左側のローラ体60の大径ローラ61は左端ストッパ46に当接して支持フレーム41上で左方への転動が規制され、アッパフレーム42は左ストローク端用ストッパ55が左側のローラ体60の大径ローラ61に当接し、左方への移動が規制されるので、左方ストローク端に停止している。
【0030】
支持フレーム41の左端部側に通路を確保するには図11の下段に示すように、アッパフレーム42を右方ストローク端まで移動させ、支持フレーム41の左端部とアッパフレーム42の左端部を整列させる。このとき右側のローラ体60の大径ローラ61が右端ストッパ47に当接して支持フレーム41上で右方への転動が規制され、アッパフレーム42は右ストローク端用ストッパ56が右側のローラ体60の大径ローラ61に当接して右方への移動が規制されるので、右方ストローク端に停止する。これにより、アッパフレーム62の左端部側に通路が形成される。
【0031】
アッパフレーム42を右方へ移動したときの大径ローラ61の転動距離はπDN1、小径ローラ62の転動距離はπdN1である。従って、通路幅となるアッパフレーム42の移動距離S1と大径ローラ61及び小径ローラ62の転動距離との間には次式の関係が成立する。
S1=πDN1+πdN1
一方、図11から明らかなように小径ローラ62の径dを小さくすれば、小径ローラ62の転動距離πdN1が小さくなるので、左右のローラ60間のピッチP1を大きく採れる。その結果アッパフレーム42に栽培棚を載置したとき安定する。そして、上記の関係式から、小径ローラ62の径dを小さくしても、大径ローラ61の径Dを大きくすれば、必要な移動距離S1すなわち通路幅Lを確保できる。
【0032】
アッパフレーム42の移動距離S1は左ストローク端用ストッパ55及び右ストローク端用ストッパ56の取付位置を変えることにより可変調整できる。図11において、m1はアッパフレーム42の左端と左ストローク端用ストッパ55の間隔又はアッパフレーム42の右端と右ストローク端用ストッパ56の間隔である。この間隔m1を図12に示すようにm2に短縮すると、左ストローク端にあるアッパフレーム42を右ストローク端まで移動させたときのローラ体の回転数N2はN1より小さくなる。従って、このときの移動距離S2=πDN2+πdN2も移動距離S1より小さくなり、通路幅が狭くなる。しかし、このときのローラ体間のピッチP2はP1より大きくなる。
【0033】
本実施例に係る栽培棚支持装置40は、以上説明したように左ストローク端用ストッパ55と右ストローク端用ストッパ56の取付位置を変えることによりアッパフレーム42の移動距離S及び両ローラ60間のピッチPを簡単に可変調整できる。
【0034】
さらには、図13に模式的に示すように支持フレーム41を逆ハの字の断面形状に成形し、アッパフレーム42をハの字の断面形状にしたので、ローラ体60がその回転軸心O方向に変位したとしても大径ローラ61はその端面61bが両フレーム41,42と点接触するものの、面接触しないのでローラ体60の転動、ひいてはアッパフレーム42の左右への移動が円滑に行われる。
【0035】
また、連結プレート52で支持フレーム41とアッパフレーム42を連結したので、アッパフレーム42に載置した栽培棚に鉢等が偏在するように置かれても、その重量で栽培棚が左右方向に大きく傾くのを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施例に係る栽培棚支持装置を備えた栽培ベンチの全体を示す斜視図である。
【図2】同栽培棚支持装置を示す斜視図である。
【図3】同栽培棚支持装置の一部を破断した斜視図である。
【図4】同栽培棚支持装置の部分断面図である。
【図5】同栽培棚支持装置の一部を破断した側面図である。
【図6】同栽培棚支持装置の作動を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る栽培棚支持装置を備えた栽培ベンチの全体を示す斜視図である。
【図8】同栽培棚支持装置を示す斜視図である。
【図9】同栽培棚支持装置の部分断面図である。
【図10】同栽培棚支持装置のローラ体を示す斜視図である。
【図11】同栽培棚支持装置の作動を模式的に示す説明図である。
【図12】同栽培棚支持装置の作動を模式的に示す説明図である。
【図13】同栽培棚支持装置の支持フレームとアッパフレーム及びローラ体の関係を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10,40…栽培棚支持装置、11,41…支持フレーム、11b,41b…ロアレール面、11c,41c…下方折り曲げ片、12,42…アッパフレーム、12c,42c…上方折り曲げ片、13,52…連結プレート、13a,13b,52b…フック部、15,15A,46,47,55,56…ストッパ、16,45…アッパレール面、20…コロ部材、22,61…大径ローラ、23,62…小径ローラ、24…支持軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームにコロ部材を介して左右方向へ移動可能にアッパフレームを水平に載置し、アッパフレームに栽培棚を載置するように構成した栽培棚支持装置であって、
前記コロ部材として共通の回転軸心を有し一体回転する大径ローラと小径ローラからなるローラ体を左右一対備え、
小径ローラが支持フレームに転動可能に摺接し、かつ大径ローラがアッパフレームに転動可能に摺接するように支持フレームとアッパフレームの間に両ローラ体を介在させたことを特徴とする栽培棚支持装置。
【請求項2】
前記支持フレームに左側のローラ体に当接して該ローラ体の左方向への転動を規制する左端ストッパと、右側のローラ体に当接して該ローラ体の右方向への転動を規制する右端ストッパとを設けるとともに、
前記アッパフレームに前記左端ストッパに当接した前記左側ローラ体に当接して該アッパフレームの左方向への移動を規制する左ストローク端用ストッパと、前記右端ストッパに当接した右側ローラ体に当接して前記アッパフレームの右方向への移動を規制する右ストローク端用ストッパを設けたことを特徴とする請求項1に記載の栽培棚支持装置。
【請求項3】
前記左ストローク端用ストッパと前記右ストローク端用ストッパを取付位置可変に設けたことを特徴とする請求項2に記載の栽培棚支持装置
【請求項4】
前記左右一対のローラ体が左右方向へ一体に転動するように両ローラ体を連結プレートで連結したことを特徴とする請求項1に記載の栽培棚支持装置。
【請求項5】
前記連結プレートの下端を前記支持フレームに遊びを持って係合させ、かつ連結プレートの上端を前記アッパフレームに遊びを持って係合させたことを特徴とする請求項4に記載の栽培棚支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−130008(P2007−130008A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1558(P2006−1558)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000252067)鈴木工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】