説明

棒状体取付装置及び貫通孔形成用スリーブ管装置

【課題】被取付体に形成された開口に対し、ネジ棒等の棒状体を簡単な作業で、強固に固定することができる棒状体取付装置を用い、使い捨てのボイド管に代えて使用され、簡単な作業で強固に固定することができる貫通孔形成用スリーブ管装置を提供する。
【解決手段】貫通孔形成用スリーブ管装置は、スリーブ管3と、スリーブ管を開口2に取付ける取付金具7と、スリーブ管3の上端を覆う上蓋6からなり、取付金具7は、雄ネジを有するネジ棒8と、一対の弾性を有する固定片9,10と、蝶ナット12等からなり、一方の前記固定片9はネジ棒8に固着され、他方の固定片10はその中央にネジ棒8が挿通され、蝶ナット12によって一対の固定片9,10の先端同士が互いに対向するように装着され、蝶ナット12によって一対の固定片9,10を撓ませて固定片の先端部を開口の内壁に衝合させて食い込むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状体取付装置及び貫通孔形成用スリーブ管装置に関し、さらに詳しくは、構造物に形成された開口に対し同軸状に棒状体を簡単な操作で取付けることができる棒状体取付装置、及びこの棒状体取付装置を利用して、例えば型枠や既設のコンクリートスラブのようなコンクリート構造物に貫通孔を形成する際に使用する貫通孔形成用スリーブ管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物の削減に向けた活動が、企業の重要な債務となっている。国内で発生する産業廃棄物の19%は建設産業によるものといわれており、建設産業においても廃棄物の削減に対する研究開発が盛んに行われているところである。
建築設備工事分野においては、床、壁等をコンクリ−トで構築する場合、床、壁等のコンクリ−トに配管用等の貫通孔を設けることが行われる。ここで、貫通孔はボイド管と称する紙製の円筒体を利用して成形されるが、使用後に硬化したコンクリートから取り除かれたボイド管は、水分を吸収し、変形又は破損しているため、再使用できず破棄される。
【0003】
また、硬化後のコンクリ−トから剥離することができ、再使用することができるボイド管も知られており、その一例として特許文献1には、型枠に釘等の仮止部材によって固着されるボイドキャップと、ボイドキャップを嵌め込んで固定する変形自在なフレキシブル筒と、このフレキシブル筒に内挿される硬質の中空パイプ芯材とからなり、フレキシブル筒の外表面にはコンクリートとの離型性を有する離型層を形成し、内表面には中空パイプ芯材の外表面と離型性を有する離型面を形成したボイド管が開示されている。
【0004】
また、コンクリート型枠への設置作業と、コンクリート構造物から取り除く作業が容易に行え、しかも、スリーブ構成部材は反復して使用することができるコンクリート型枠用スリーブ形成部材の例として、本出願人は、先に特許文献2の「貫通孔形成用スリーブ管装置及び貫通孔形成用スリーブ管除去方法」を発明し、特許出願を行った。
【0005】
図4は、特許文献2に記載された貫通孔形成用スリーブ管装置をスラブ型枠に形成された開口に取り付けた様子を示す側断面図及び平面図である。
先願発明の貫通孔形成用スリーブ管装置は、ナット26が埋込まれた塩化ビニル樹脂製スリーブ管24、スペーサ27、フレキシブルシート28、コ字状のスリーブ管固定部材29、蝶ボルト33,35から構成されている。使用に際しては、スリーブ管24に形成されたスリット25に硬質ゴムからなるスペーサ27が挿入され、蝶ボルト33によってスリーブ管固定部材29が取り付けられたスリーブ管24の外表面をフレキシブルシート28で覆った後、スラブ型枠21の貫通孔形成位置に載置し、スリーブ管固定部材29を蝶ボルト35を用いて開口23の内壁面に固定する。スラブ型枠21上に打設したコンクリートが硬化した後、スペーサ27を取り除いてスリーブ管24を内方に若干変形させた後、スリーブ管24、フレキシブルシート28を除去する。これにより、コンクリート構造物に貫通孔を形成する際、再使用可能なスリーブ管を開口23の内壁面に簡単な作業で強固に固定し、また硬化したコンクリートから容易に除去することができる。
【特許文献1】特開2001−40873号公報
【特許文献2】特願2004−122599号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように、建築設備工事において、特許文献1に開示されたようなボイド管を使用して、コンクリ−ト床、壁等に貫通孔を設けるようにすれば、コンクリートが硬化した後にコンクリ−トから剥離して再使用することができるが、一方側の型枠に釘等の仮止部材によってボイドキャップを固着した後、このボイドキャップに変形自在なフレキシブル筒を嵌めて取り付け、フレキシブル筒に硬質の中空パイプ芯材を内挿し、その後他方側のボイドキャップをフレキシブル筒に取り付け、さらに他方側のボイドキャップを他方側の型枠に釘等の仮止部材によって固着するといった工程が必要となり、狭い場所での工程が連続し作業が非効率となりやすい。また、既設のコンクリートスラブに形成された開口と一致する貫通孔を形成するような場合、そのままでは使用することができない。
【0007】
また、特許文献2に記載されたような貫通孔形成用スリーブ管装置について、多くの建築工事現場において実施した結果、スリーブ管を被取付体へ取り付ける作業、硬化したコンクリ−トから取り除く作業性、及び再使用可能性の点から、概ね満足すべき結果が得られている。しかしながら、本発明者は、その後さらに研究を重ね、スリーブ管を被取付体に形成された開口へ取り付ける作業性、特に取付金具を開口に取り付け、また開口から取り外す作業性、取付金具と被取付体との取付強度、取付金具の低コスト化等に関して再検討したところ、スリーブ管を開口に着脱する際の作業性をより向上し、取付強度を増大し、コストを低減することができる取付構造を発明するに至った。
【0008】
したがって、本発明は、コンクリート構造物等に貫通孔を形成する際、被取付体に形成された開口に対し、ボルト等の棒状体をより簡単な作業で、より強固に固定することができる棒状体取付装置を提供することを目的とする。また、コンクリート構造物等に貫通孔を形成する際、従来使用されている使い捨てのボイド管に代えて使用され、型枠や既設のコンクリートスラブの所望位置にスリーブ管をより簡単な作業で、より強固に固定することができる貫通孔形成用スリーブ管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の技術手段は、雄ネジを有する棒状体と、一対の弾性を有する固定片と、ナットからなる棒状体取付装置において、一方の前記固定片はその中央部が前記棒状体に固着され、他方の前記固定片はその中央部に前記棒状体が挿通され、前記ナットによって前記一対の固定片の両端部が互いに対向するように装着され、前記ナットによって前記一対の固定片を撓ませて前記一対の固定片の先端部を被取付体に形成された開口の内壁に衝合させることを特徴とする。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段の棒状体取付装置において、前記一対の固定片は、それぞれの両端寄り箇所において互いに交差することを特長とする。
【0011】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段の棒状体取付装置において、前記一対の固定片は、中央部で屈曲した略く字形状であることを特徴とする。
【0012】
第4の技術手段は、第1または第2の技術手段の棒状体取付装置において、前記一対の固定片は、全体が湾曲形状であることを特徴とする。
【0013】
第5の技術手段は、スリーブ管と、該スリーブ管を被取付体に形成された開口に取付ける取付金具と、前記スリーブ管の上端を覆う蓋体からなる貫通孔形成用スリーブ管装置において、前記取付金具は第1乃至第4のいずれかの技術手段の棒状体取付装置を用い、前記開口の外周に載置した前記スリーブ管を前記蓋体で覆うとともに、前記開口に取付けられた取付金具のネジ棒が前記蓋体より突出した部分に取付ナットを締め付けて前記スリーブ管を前記開口に取付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、雄ネジを有する棒状体と、一対の弾性を有する固定片と、ナットからなり、一方の前記固定片はその中央部が前記棒状体に固着され、他方の前記固定片はその中央部に前記棒状体が挿通され、前記ナットによって前記一対の固定片の両端部が互いに対向するように装着され、前記ナットによって前記一対の固定片を撓ませて前記一対の固定片の先端部を被取付体に形成された開口の内壁に衝合させるので、コンクリート構造物等に貫通孔を形成する際等に、被取付体に形成された開口に対し、ネジ棒等の棒状体を簡単な作業で、より強固に固定することができる棒状体取付装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明によれば、棒状体取付装置における一対の弾性を有する固定片は、それぞれの両端寄り箇所において互いに交差するように組み立てられているので、一対の固定片をネジ棒に取り付けて取付金具を組み立てる際、及び取付金具を被取付体の開口に取り付ける際に、相互がバラバラになることがなく、取り扱いが容易である棒状体取付装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、スリーブ管と、該スリーブ管を被取付体に形成された開口に取付ける取付金具と、前記スリーブ管の上端を覆う蓋体からなる貫通孔形成用スリーブ管装置において、前記取付金具は前記したような特定の棒状体取付装置を用い、前記開口の外周に載置した前記スリーブ管を前記蓋体で覆うとともに、前記開口に取付けられた取付金具のネジ棒が前記蓋体より突出した部分に取付ナットを締め付けて前記スリーブ管を前記開口に取付けるので、コンクリート構造物等に貫通孔を形成する際、従来使用されている使い捨てのボイド管に代えて使用することができ、型枠や既設のコンクリートスラブの所望位置にスリーブ管をより簡単な作業で、より強固に固定することができる貫通孔形成用スリーブ管装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、被取付体に形成された開口に対し、ネジ棒等の棒状部材を簡単な作業で、より強固に固定することができる棒状体取付装置を提供すること、及びコンクリート構造物等に貫通孔を形成する際、従来使用されている使い捨てのボイド管に代えて使用され、型枠や既設のコンクリートスラブに形成された開口に簡単な作業で、強固に固定することができる貫通孔形成用スリーブ管装置を提供することを目的とし、そのための貫通孔形成用スリーブ管装置の構成は、スリーブ管と、該スリーブ管を被取付体に形成された開口に取付ける取付金具と、前記スリーブ管の上端を覆う蓋体からなり、取付金具の構成は、雄ネジを有する棒状体と、一対の弾性を有する固定片と、ナットからなり、一方の前記固定片はその中央部が前記棒状体に固着され、他方の前記固定片はその中央部に前記棒状体が挿通され、前記ナットによって前記一対の固定片の両端部が互いに対向するように装着され、前記ナットによって前記一対の固定片を撓ませて前記一対の固定片の先端部を被取付体に形成された開口の内壁に衝合させるようにしたものである。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例の棒状体取付装置、及び貫通孔形成用スリーブ管装置について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、実施例の貫通孔形成用スリーブ管装置をスラブ型枠に取り付けた状態を一部破断して示す斜視図である。
図2は、同じく貫通孔形成用スリーブ管装置をスラブ型枠に取り付けた状態を示す図で、図2(A)は側断面図、図2(B)は図2(A)のA−A断面図である。
図1、図2に示す貫通孔形成用スリーブ管装置は、スラブ型枠1上にコンクリートを打設してコンクリートスラブを形成する際、コンクリートスラブに貫通孔を形成するために使用されるもので、スラブ型枠1に形成されている開口2を覆うようにしてスリーブ管3を載置し、スリーブ管3の上端開口を上蓋6で覆い、取付金具7によって開口2の内壁面に取り付けられる。
【0019】
スリーブ管3は、例えば塩化ビニル樹脂管を適宜長さに切断したものが使用され、コンクリートスラブに形成される貫通孔の内径及びコンクリートスラブの厚さに応じた外径及び軸方向長さを有し、軸方向にスリット4が形成されている。スリーブ管3は、十分な強度が確保され、軽量で加工性がよく、低コストで得られる材料であれば、塩化ビニル管に限らず、他の樹脂管、スチール管、アルミ管等適宜の材料とすることができる。また、スリーブ管3の上端は上蓋6で閉蓋され、上蓋6は木製、樹脂製、金属製等材質を問わないが、中心位置には取付金具7のネジ棒8を挿通する挿通孔が形成されている。
【0020】
スリーブ管3に形成された軸方向のスリット4には、硬質ゴムのような弾性を有する材料からなるスペーサ5が挿入され、コンクリート打設中、スリーブ管3の外形寸法を一定に保持し、コンクリートが硬化した後スリーブ管3を取り除く際に、スペーサ5をスリット4から取り除きスリーブ管3の径を縮小させ、スリーブ管3と硬化したコンクリート間に隙間を生じさせる。これにより、スリーブ管3を容易に取り除くことができる。なお、このとき、スリーブ管3に剥離剤を塗布したり、スリーブ管3をフレキシブルシート等により覆っておくことにより、スリーブ管3をさらに容易に取り除くことができる。
【0021】
図3は、取付金具を拡大して示す図で、図3(A)は正面図、図3(B)は図3(A)の部分拡大図である。
スリーブ管3をスラブ型枠1に取り付ける際に使用する取付金具7は、図3に示すように、棒状体であるネジ棒8、一対の固定片9,10、6角ナット11、蝶ナット12、袋ナット13とから構成されている。ネジ棒8の長さ及び太さは、取り付けられるスリーブ管3の長さ(つまり、コンクリートスラブの厚さ)及び直径(つまり、コンクリートスラブに形成される貫通孔の内径)によって定まり、全長に亘りまたは部分的に所定ピッチの雄ネジが形成されている。また、長さの異なるスリーブ管に対応するため、多数の長さの異なるネジ棒8を用意する代わりに、長さの異なる長ナット14を数種類用意し、ネジ棒8と長ナット14を併用することによって、少種類のネジ棒によって多くのスリーブ管に対応することができる。
【0022】
一対の固定片9,10は、それぞれ弾性材料からなる帯鋼等を所定長に切断して得られた弾性金属片であって、長さ方向の中央にネジ棒8を挿通する挿通孔を設け、挿通孔の両外方で折曲し全体を略く字形状に屈曲形成する。なお、固定片9,10は、略く字形状に屈曲した形状に限らず、固定片9,10を対向させて、各先端部同士が向き合うように設置したとき固定片9,10間の中央部間に十分な空間が生じるような形状であればよく、例えば弓状のような曲面をなすように湾曲した形状とすることもできる。
【0023】
固定片9,10の長さは、取付金具7が取り付けられる開口2の内径に基づいて設定されるが、略く字形状に屈曲した固定片9,10が扁平になったときの長さが開口2の内径より十分大であることが必要である。また、固定片9,10の幅及び板厚は、取付金具7を開口2の内壁に取り付けた状態において、ネジ棒8の軸方向及び軸交差方向に想定する外力が働いた場合においても固定片9,10が大きく変形しないような曲げ強度となるような寸法とする必要がある。
【0024】
固定片9,10は、ネジ棒8に装着されたとき、それぞれの先端同士が対向する必要があり、そのため固定片9,10の先端から所定量内側寄りの個所には、固定片9,10の幅のほぼ1/2の深さの切欠き9a,10aを設け、固定片9,10同士を図3に示すように交差させて組み合わせておくことにより、取付金具を組み立てる際、及び取付金具を開口2に取り付ける際にバラバラになることがなく、取り扱いが容易になる。
組み合わせた固定片9,10のそれぞれの中央部に形成された挿通孔にネジ棒8を挿通し、一方の固定片9をネジ棒8の端部に2個の6角ナット11,11を用いて固定し、他方の固定片10を蝶ナット12を用いて図3に示すように締め付けておく。
なお、固定9,10の先端同士が対向するように保持する他の手段としては、固定片10の中央に設ける挿通孔を円形以外の異径孔とするとともに、ネジ棒8の固定片10が挿通され移動する範囲の断面を固定片10と同様の異径孔として、固定片10の回り止めを行うようにすることが考えられる。
【0025】
以上のような貫通孔形成用スリーブ管装置をスラブ型枠上に取り付ける方法について説明する。
まず、形成しようとするコンクリートスラブの厚さ及び貫通孔の内径に対応した長さ及び外径寸法を有するスリーブ管3及び上蓋6準備し、スリーブ管3のスリット4内にスペーサ5を挿入しておく。このとき、スペーサ5は硬質ゴム等からなり適度の弾性を有するので、スリット4内にしっかりと仮止め状態とすることができ、また使用後に取り外すことができる。
【0026】
次に、スリーブ管3を取付ける開口2、準備したスリーブ管3及び上蓋6に応じて最適な取付金具7を選択し、図3に示すように組み立てられた取付金具7の蝶ナット12を緩めて、固定片9,10が大きく屈曲した形状にしておき、ネジ棒8が開口2と同軸状となるようにして固定片9,10を開口2に挿入する。開口2中において固定片9,10を取り付ける位置を決め、その位置で緩めておいた蝶ナット12を締め込んで、固定片9,10の先端が開口2の内壁面に衝合して食い込むように変形させる。これにより、取付金具7の固定片9,10を開口2に挿入し、蝶ナット12を締め込むだけの簡単な作業によって取付金具7をスラブ型枠1の開口2に強固に取り付けることができる。
【0027】
次に、予め用意しておいたスリーブ管3に必要であればフレキシブルシートを被せ、スラブ型枠1上に開口2を取囲むように載置し、スリーブ管3の上端を上蓋6で覆うが、このとき既に取付けられている取付金具7のネジ棒8の先端を上蓋6の中心に形成した挿通孔より突出させる。突出したネジ棒8の雄ネジに袋ナット13を締め込み、スリーブ管3を上蓋6で覆うとともにスリーブ管3をスラブ型枠1に取り付ける。
【0028】
スラブ型枠1上にコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後、袋ナット13を緩め、上蓋6を取り除く。その後、スリーブ管3の上端から手あるいは工具を挿入して取付金具7の蝶ナット12を緩めると、固定片9,10は自身の弾性により大きく屈曲した形状に戻り、固定片9,10の各先端部と開口2の内壁面との食い込みが開放されるので、取付金具7をスラブ型枠1から完全に取り外すことができる。
【0029】
その後、スリーブ管3を単独でまたはフレキシブルシートとともに硬化したコンクリートから取り除く。このとき、スペーサ5をスリット4から取り外すことによって、スリーブ管3は若干内側に収縮し、硬化したコンクリートとスリーブ管3の外表面間には微小な隙間が生じるので、スリーブ管3を容易に硬化したコンクリートから引き抜いて取り外すことができる。
【0030】
以上のような一連の方法により、スラブ型枠1の上にコンクリートが流し込まれ、貫通孔を有するコンクリートスラブが完成するが、スリーブ管3をスラブ型枠1に取り付ける作業、及びコンクリートが硬化した後、スリーブ管3をスラブ型枠1から取り除く作業は、1つの蝶ナット12を締め付けあるいは緩める作業、袋ナット13を締め付けあるいは緩める作業、及び従来通りにスリーブ管3を取り除く作業だけでよく、簡単な作業からなる一連の工程で能率のよい作業が可能となる。また、スリーブ管3、スペーサ5、取付金具7、各ナット等はそのまま繰り返し使用することができ、型枠工事のコスト低減が可能となる。
【0031】
なお、図1〜図3に示す貫通孔形成用スリーブ管装置は、既設のスラブ型枠上にコンクリートを打設してコンクリートスラブに貫通孔を形成する例を示しているが、壁型枠、デッキプレート、地中梁用型枠等上に壁、床、地中梁等を形成する際にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例の貫通孔形成用スリーブ管装置をスラブ型枠に取り付けた状態を一部破断して示す斜視図である。
【図2】貫通孔形成用スリーブ管装置をスラブ型枠に取り付けた状態を示す図で、図2(A)は側断面図、図2(B)は図2(A)のA−A断面図である。
【図3】取付金具を拡大して示す図で、図3(A)は正面図、図3(B)は図3(A)の部分拡大図である。
【図4】従来の貫通孔形成用スリーブ管装置をコンクリートスラブに形成された開口に取り付けた様子を示す図で、図4(A)は側断面図、図4(B)は平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1…スラブ型枠、2…開口、3…スリーブ管、4…スリット、5…スペーサ、6…上蓋、7…取付金具、8…ネジ棒、9,10…固定片、9a,10a…切欠き、11…6角ナット、12…蝶ナット、13…袋ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ネジを有する棒状体と、一対の弾性を有する固定片と、ナットからなる棒状体取付装置において、一方の前記固定片はその中央部が前記棒状体に固着され、他方の前記固定片はその中央部に前記棒状体が挿通され、前記ナットによって前記一対の固定片の両端部が互いに対向するように装着され、前記ナットによって前記一対の固定片を撓ませて前記一対の固定片の先端部を被取付体に形成された開口の内壁に衝合させることを特徴とする棒状体取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の棒状体取付装置において、前記一対の固定片は、それぞれの両端寄り箇所において互いに交差することを特徴とする棒状体取付装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の棒状体取付装置において、前記一対の固定片は、中央部で屈曲した略く字形状であることを特徴とする棒状体取付装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の棒状体取付装置において、前記一対の固定片は、全体が湾曲形状であることを特徴とする棒状体取付装置。
【請求項5】
スリーブ管と、該スリーブ管を被取付体に形成された開口に取付ける取付金具と、前記スリーブ管の上端を覆う蓋体からなる貫通孔形成用スリーブ管装置において、前記取付金具は請求項1乃至4いずれかに記載の棒状体取付装置を用い、前記開口の外周に載置した前記スリーブ管を前記蓋体で覆うとともに、前記開口に取付けられた取付金具のネジ棒が前記蓋体より突出した部分に取付ナットを締め付けて前記スリーブ管を前記開口に取付けることを特徴とする貫通孔形成用スリーブ管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−77538(P2006−77538A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265499(P2004−265499)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(504044861)株式会社技遣 (1)
【Fターム(参考)】