説明

椅子

【課題】椅子を使用する際、教室への収容人員が制限されたり、着座場所への通行の妨げになったりすることを防止できる椅子を提供する。
【解決手段】机2の各々の後方に設置した椅子3が、床面14に固定されたベース13と、該ベース13に対して前後方向に回動可能に枢支された上下方向を向く脚支柱12と、該脚支柱12に取り付けられた座板11と、からなり、脚支柱12の前方への回動によって、天板5の下方に収容される椅子3において、椅子3における座板11aの下方位置に、物品を収納する後方側に開口可能な棚部15を配置し、棚部15の前方側に少なくとも棚部15に収納された物品が前方に移動して落下することを防止する脚支柱12の上端部12aを設け、脚支柱12の前方への回動によって棚部15を座板11aとともに前方に傾斜させたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として教室や講義室等で使用される椅子に係り、特に椅子の使用時に机の下方に椅子を収容する収容位置から脚支柱の回動によって机の後方の使用位置に移動する椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校の教室や講義室等に配置される椅子や机にあっては、例えば床に固定された脚体に天板を支持してなる机を前後方向に適宜の間隔を置いて複数配置し、机の各々の後方に椅子が配置されるものが多い。
【0003】
この種の椅子としては、床に固定される基部と、背と座とを一体的に結合された着座部と、基部に下端部を前後方向に移動可能に連設されるとともに、着座部に上端部を前後方向に移動可能に連設された複数の脚部と、脚部の移動を一定範囲に規制する移動規制部と、を備えており、この構造により椅子の使用時には、着座部を机の後方の使用位置に移動して着座し、椅子の不使用時には、座板を使用位置から前方に移動して机の下方に収容するもの等がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許登録第3751802号公報(第5頁、第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の椅子にあっては、椅子の前方に配置された机の天板の下方に教科書やノート等が収容可能な棚が設けられているものの、カバンや上着等を収容する場所がないため、隣の座席がカバンや上着等の置き場所として使用されることで、教室への収容人員が制限されるといった問題があった。また、カバンや上着等を床置きする場合には、着座場所への通行の妨げになる。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、椅子の使用者の荷物を、隣りの座席や床等に置くなどして邪魔にならないように収納することができる椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の椅子は、
床に固定された脚体上に天板を支持してなる机を、前後方向に適宜の間隔を置いて複数設置し、前記机の各々の後方に設置した椅子が、床に固定されたベースと、該ベースに対して前後方向に回動可能に枢支された上下方向を向く脚支柱と、該脚支柱に取り付けられた座板を有する着座部と、からなり、前記脚支柱の前方への回動によって、前記天板の下方に収容される椅子において、
前記座板の下方位置に、後方側に開口する棚部を設けるとともに、該棚部の少なくとも前方側に該棚部に収納された荷物の落下を防止する落下防止部を設け、前記脚支柱の前方への回動によって前記棚部が前記座板とともに前方に傾斜するようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、着座者は、カバン等の荷物を使用する椅子の座板の下方位置に収納することができるため、隣の着座部等が荷物置きとして占有されることがないとともに、椅子の収容時には該椅子とともに棚部が前方に傾斜することで、棚部が椅子と該椅子の後方に配置された机との間を通行する人の邪魔になることがない。また、椅子の収容状態において棚部の後方側の開口が上方に向けて開放するため、着座者は着座する前に荷物を簡単に収納することができるばかりか、落下防止部が設けられていることで、収納された荷物の下方への落下が防止される。
【0008】
本発明の請求項2に記載の椅子は、請求項1に記載の椅子であって、
前記棚部は、その少なくとも後端部が前記座板に近づく方向に移動可能に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、椅子の収容時において棚部の後端部を座板に近づけることで、椅子と該椅子の後方に配置された机との間の通行スペースを十分に確保することができる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の椅子は、請求項2に記載の椅子であって、
前記棚部の少なくとも後端部を前記座板に近づく方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、着座者が荷物を棚部から取り出すだけで棚部の後端部が座板に近づくため、手を煩わせることなく、椅子と該椅子の後方に配置された机との間の通行スペースを十分に確保することができる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の椅子は、請求項1ないし3のいずれかに記載の椅子であって、
前記椅子が前記天板の下方に収容された状態において、前記棚部の後端部が前記着座部の後端部よりも後方に張り出さないようになっていることを特徴と特徴としている。
この特徴によれば、椅子が収容された状態において棚部の後端部が着座部の後方側よりも後方の机に向かって張り出すことがないため、椅子と該椅子の後方に配置された机との間の通行スペースを十分に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る椅子を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例としての机及び椅子が配置された全体像を示す側面図であり、図2は、図1の椅子を示す斜視図であり、図3は、(a)は椅子の収容状態を示す側面図であり、(b)は椅子の使用状態を示す側面図であり、図4は、図3(b)のA−A断面図であり、図5は、椅子の収容状態を示す側面図であり、図6は、棚部の後方側が開放されている状態を示す側面図であり、図7は、椅子の使用状態を示す側面図である。以下、図1の紙面左側を椅子の前方側とし、紙面右側を椅子の後方側とし、図1の紙面上側を椅子の上方側とし、紙面下側を椅子の下方側とし、図4の紙面上側を椅子の左方側とし、紙面下側を椅子の右方側として説明する。
【0013】
図1に示されるように、教育機関等や講義室1内には、前後方向に適宜の間隔を置いて複数設置された机2(本実施例においては3列で構成されている)と、各机2の後方に設置した椅子3と、最後部に設置された境界ボード4と、が配置されている。尚、特に図示されていないが、椅子3は、机2の左右方向、すなわち机2の長手方向に沿って複数(本実施例において3脚)配置されている。
【0014】
机2は、左右方向に延びる矩形状の天板5と、床面上に立設され、天板5を支持する脚体6と、脚体6に取り付けた天板支持材8及び脚ベース体9と、天板支持材8の下方に取り付けられた教科書等を収納するための収納棚10とで構成されている。
【0015】
天板5は、側面視略L字形状に形成されており、天板支持材8と脚体6の上端面とで支持され、脚体6はその下端面と脚ベース体9により机2を安定的に立脚支持している。
【0016】
更に、机2及び境界ボード4の天板5の前方端部には、前方の着座者が着座している状態において着座者の背中が支持される背凭れ部5aが下方に向かって延設されている。
【0017】
最後列の机2の後方に設けられている境界ボード4は、天板5と、脚体6と、脚ベース体9と、から構成されている。尚、境界ボード4の各構成部材は、天板支持材8を有していないだけで机2とほぼ同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0018】
図2及び図3(a)に示されるように、椅子3は、着座者を支持する着座部11と、着座部11を前後方向に回動する脚支柱12と、着座部11の下方位置に回動自在に設けられた棚部15と、床14に固定され、脚支柱12を回動自在に支持するベース13と、から主に構成されている。
【0019】
ベース13は、図2、図3(a)に示されるように、基部13aと、脚支柱12の下方端部を被覆する蓋部13bと、蓋部13b内に内設されたバネ等からなる付勢部材とからなり、床14に基部13aがネジにより固定的に取り付けられている。
【0020】
基部13aは、左右方向を向く軸棒を有し、この軸棒に脚支柱12が前後方向に回動可能に枢支されている。さらに、この軸棒周りには、一端を脚支柱12の前方の内周面に弾接させ、他端をベース13に弾接させることにより、脚支柱12をベース13に対して前方に付勢する付勢手段たるバネ13cが巻回されている(図3(a)参照)。
【0021】
図3(a)に示されるように、脚支柱12は通常、バネ13cの弾発力により椅子3が前傾した状態、すなわち椅子3の収容状態を維持しているが、着座者が着座しようとして椅子3をその弾発力に抗して後方へ回動する場合は、着座部11が後方に配置された机2の天板5より下方前面に近接する位置まで脚支柱12が回動する。尚、特に図示はしないが、椅子3の前傾位置と着座位置とで脚支柱12の移動が停止される公知のストッパ機構が内蔵されている。
【0022】
この蓋部13bの内部の構成により、後述する椅子3の収容状態において、バネ13cの付勢により椅子3が前傾した状態を維持し、この収容状態から脚支柱12に後方に向かう外力が加えられることで、脚支柱12の前方の内周面に弾接されたバネ13cの一端がこの弾接状態を維持して後方に向かって弾性変形しながら、脚支柱12が回動するようになっている。
【0023】
脚支柱12は、金属等のパイプからなり、この脚支柱12の内部は中空に形成されている。この脚支柱12の上端部12aには、図4に示されるように、座板11aと棚部15とを回動可能にする左右方向を向く回動軸19が脚支柱12を貫通して設けられている。この回動軸19には、左右一対のブラケット16,16が枢支されており、これらブラケット16,16は、取付板11cにより一体化されている。また、取付板11cの上方には、側面視略S字形状に形成される板材からなる座板11aが固着されており、これら座板11a、取付板11c、ブラケット16,16により着座部11が構成されている。
【0024】
ブラケット16,16は、座板11aが起立する起立位置(図3(a)参照)と、座板11aが床14に対して略平行になる着座位置(図3(b)参照)との間で回動自在に軸支されている。尚、特に図示はしないが、脚支柱12には、ブラケット16,16を起立位置及び着座位置それぞれにおいて回動規制するストッパが設けられている。
【0025】
また、回動軸19には、一端が取付板11cの下面に当接され、他端が脚支柱12の上端部12aに形成された上下方向を向く切溝12bから外方に延出されるとともに、脚支柱12の前方側の内周面に当接されたバネ18が巻回されている。このバネ18により、座板11aが脚支柱12に対して前方、つまり起立位置方向に向けて付勢されている(図3(a)参照)。
【0026】
回動軸19には、棚部15の先端部が軸支されている。棚部15は、金属等のフレーム枠により平面視四角枠状に形成されているとともに、該フレーム枠の先端部が回動軸19に軸支されており、後端部15aが座板11aの下面から離間する使用位置(図2中実線で示される位置)と、後端が座板11aの下面に近接する近接位置(図2中1点鎖線で示される位置)との間で回動自在とされている。尚、特に図示はしないが、脚支柱12には、フレーム枠を使用位置及び近接位置それぞれにおいて回動規制するストッパが設けられている。また、棚部15を使用位置とすることで後端部15aが開口し、該開口から着座者が所持しているカバン等の荷物が収納できるようになっている。
【0027】
また、回動軸19には、一端が棚部15の前方側の内周面に当接され、脚支柱12の上端部12aに形成された上下方向を向く切溝12cから外方に延出されるとともに、脚支柱12の前方側の内周面に当接されたバネ17が巻回されている。このバネ17により、棚部15の後側が座板11aに近づく方向に付勢されている。
【0028】
このように棚部15は、通常、バネ17の弾発力により、図3(a)に示されるように棚部15が前記近接位置に保持されるが、着座者が棚部15の後部を近接位置から使用位置まで回動することで、後方側が開口し、該開口から荷物Bを収納することができるようになる。
【0029】
次に椅子3の使用例について図5ないし図7に基づき説明する。尚、本実施例において着座者Hは最前列の左方側の椅子3に着座するものとして説明する。
【0030】
図5に示されるように、椅子3の収容状態においては、座板11aはバネ18の付勢力により起立位置に位置して起立姿勢となり、棚部15はバネ17の付勢力により近接位置に保持されている。つまり、座板11a及び棚部15の後端部15aが上方を向く前傾姿勢とされ、座板11aだけでなく、棚部15の後端部15aも座板11aに近接して机2の天板5の後端よりも前方位置に収容されることで、座板11a及び棚部15の後端が後方の通路R側に張り出すことがないため、椅子3と該椅子3の後方に配置された机2との間に十分なスペースが確保される。
【0031】
図6に示されるように、着座者Hが椅子3を使用する際に荷物Bを収納する場合には、棚部15の後端部15aに手をかけて後方に移動(回動)する。これにより、棚部15の後端部15aが座板11aの下面から離間して、座板11aと棚部15との間が斜め上方に向けて開口するため、着座者Hは、身体を屈めたりすることなく、荷物Bを上方から棚部15内に簡単に収納することができる。
【0032】
また、棚部15が前方に傾斜された状態であっても、棚部15の前方に配設される脚支柱12の上端部12aが、荷物Bが前方に移動して落下することを防止する落下防止部として機能するため、上方の開口から収納された荷物Bは上端部12aにより移動が規制されるため、荷物Bが床14に落下することはない。
【0033】
次いで、荷物Bが棚部15に収納された状態で、バネ13cの付勢力に抗して脚支柱12を後方へ回動するとともに、バネ18の付勢力に抗して座板11aを着座位置まで回動すると、座板11aとともに棚部15も回動する。この間、棚部15は座板11a側に向けて付勢されているため、回動時に棚部15の後方側が開口して荷物Bが落下することがない。
【0034】
そして、図7に示されるように座板11aが着座位置まで回動されると、その下方に棚部15が配置されることになるため、棚部15と座板11aとの間に荷物Bが収納されている。
【0035】
離席するときには、着座者Hが起立して椅子3から退避することで、バネ13c,17,18各々の弾性復帰力により、荷物Bが座板11aと棚部15との間に挟持された状態で、脚支柱12、座板11a及び棚部15がともに前方に回動して、椅子3が天板5の下方に収容される収容状態に復帰する(図5参照)。このようにバネ13c,17,18各々の弾性復帰力により、着座者Hが椅子3を収容する手間を煩わせることなく、椅子3が収容される。
【0036】
また、棚部15から荷物Bを取り出す際には、荷物Bを収納するときと同じように、バネ17の弾性復帰力に抗して棚部15の後端部15aを回動して開放することで、荷物Bを簡単に取り出すことができる。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施例としての椅子3にあっては、着座者Hは、カバン等の荷物Bを使用する椅子3の座板11aの下方位置に収納することができるため、隣の着座部等が荷物置きとして占有されることがないとともに、椅子3の収容時には該椅子3とともに棚部15が前方に傾斜することで、棚部15が椅子3と該椅子3の後方に配置された机2との間を通行する人の邪魔になることがない。
【0038】
また、椅子3の収容状態において棚部15の後方(後端部15a)側の開口を上方に向けて開放することができるため(図6参照)、着座者Hは着座する前に荷物Bを簡単に収納することができる。また、落下防止部としての脚支柱12の上端部12aが棚部15の前方に設けられていることで、収納された荷物Bの下方への落下が防止される。
【0039】
また、棚部15は、その少なくとも後端部15aが座板11aに近づく方向に移動可能に設けられているだけでなく、座板11aに近づく方向に付勢する付勢手段としてのバネ17が設けられていることで、着座者Hが荷物Bを棚部15から取り出すだけで棚部15の後端部15aが座板11aに近づくため、手を煩わせることなく、椅子3と該椅子3の後方に配置された机2との間の通行スペースを十分に確保することができる。
【0040】
また、このように脚支柱12に対して座板11aが回動自在に設けられたものにおいては、この脚支柱12に対する座板11aの回動とともに棚部15も回動するように設けられていることで、座板11aが起立位置にあるときでも、棚部15の後端部15aを座板11aの下面に近接させることができるため、椅子3が下方に収容された状態において椅子3と該椅子3の後方に配置された机2との間の通行スペースを十分に確保することができる。
【0041】
また、椅子3が天板5の下方に収容された状態において、棚部15の後端部15aが座板11aの下面に近接し、着座部11の後端部(座板11aの後端)よりも後方に張り出さないようになっていることで(図5参照)、棚部15の後端部15aが着座部11の後方側よりも後方の机に向かって張り出すことがないため、椅子3と該椅子3の後方に配置された机2との間の通行スペースを十分に確保することができる。
【実施例2】
【0042】
次に、本発明の実施例2としての椅子3’を、図8に基づいて説明する。図8は、(a)は本発明の実施例2としての椅子の収容状態を示す側面図であり、(b)は(a)の椅子の使用状態を示す側面図である。尚、本実施例において、前記実施例1で示した椅子3と構成上同様な部分については同様の符号を付すことにより、ここでの詳細な説明は省略することとする。
【0043】
本実施例の椅子3’において、前記実施例1の椅子3と相違する点は、座板11aが脚支柱12に対して回動不能に固定されているとともに、棚部25の前端部に落下防止部が形成されている点である。
【0044】
具体的には、棚部25は、側面視略L字形状に形成されており、棚部25の前端部は回動軸19に向けて上方に屈曲されており、該屈曲された部位に、荷物Bが前方に移動して落下することを防止する落下防止部25aが形成されている。
【0045】
このように、棚部25の前端部を上方に向けて屈曲形成して棚部25の一部に落下防止部25aを設けることで、荷物Bの前方からの落下が防止されるようにしてもよい。
【0046】
また、このように落下防止部25aを形成するとともに、該落下防止部25aの上下長さを大きくすることで、特に図8(b)に示されるように、棚部25が座板11aの下方に配設され、棚部25と座板11aとの間を幅広にすることができるので、より多くの荷物Bを収納することができる。
【実施例3】
【0047】
次に、本発明の実施例3としての椅子3’’を、図9に基づいて説明する。図9は、(a)は本発明の実施例3としての椅子の収容状態を示す側面図であり、(b)は(a)の椅子の使用状態を示す側面図である。
【0048】
本実施例3における椅子3’’は、着座部31と、脚支柱12と、ベース13と、棚部35と、から形成されており、着座部31は、座板31aと、取付板31cと、座板31aの後端部31bから斜め上方に向かって延設され、着座者の背中を支持する背支持部31dと、から構成されている。つまり、椅子3’’は、ベース13に対する脚支柱12の前方への回動によって天板5の下方に収容される構成は前記実施例と同様である。
【0049】
棚部35は、側面視L字形状に形成された前後方向を向く左右一対の枠体と、この左右一対の枠体の間に配置される左右方向を向く軸片とから構成されている。また、棚部35の前端部は、脚支柱12に対して固定されている。
【0050】
また、棚部35は、図9(a)に示される椅子3’’の収容状態において、棚部35の後端部35bの前後方向における位置が、座板31aの後端部31bの前後方向における位置と略同位置になる前後長さに形成されている。
【0051】
このようにすることで、脚支柱12に対して固定された棚部35の後端部35bが、椅子3’’が収容された状態において、座板31aの後方側よりも該椅子3’’の後方に配置された机2側に向かって出っ張ることがないため、椅子3’’と該椅子3’’の後方に配置された机2との間に十分なスペースが確保される。
【0052】
また、座板31aに対して棚部35が固定されているので、棚部35の後方側は常に開口された状態になっているため、着座者Hが棚部35を回動させることなく、荷物Bを簡単に収納することができる。
【0053】
以上、本発明の実施例及び変形例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0054】
例えば、前記実施例1,2では、棚部15,25はバネ17により座板11a側に向けて付勢されていたが、特にバネ等の付勢手段により付勢することなく、単に脚支柱12に対して回動自在に軸支されているだけでもよい。また、脚支柱12の上端部以外の箇所に軸支してもよい。
【0055】
さらに、棚部は座板11aに近づく方向に移動自在に設けられていれば、前端部を脚支柱12に軸支することで回動自在とするものに限定されるものではなく、例えば座板11aに対して略平行に移動自在に設けられていてもよい。
【0056】
また、前記実施例1〜3では、棚部15,25,35は脚支柱12に対して取り付けられていたが、座板11aの下方位置に配設され、かつ椅子とともに回動するようになっていれば、例えば着座部等に取り付けられてもよい。
【0057】
また、前記実施例では、棚部はフレーム等により枠状に形成されていたが、荷物を収納可能なものであれば、例えばフレーム枠にネット等を張設してなるものや、板材等により構成されていてもよい。
【0058】
また、前記実施例1〜3では、棚部15,25,35は、後方及び左右方向に開口しているため、荷物Bを後方側からだけでなく左右側からも収納できるようになっていたが、これに限らず、棚部の少なくとも後方側が開口可能となっていればよく、例えば棚部の左右側に板状部材等を立設して棚部の左右側を閉塞したものであってもよい。
【0059】
また、前記実施例1,3では、棚部15,35の前方に配設された脚支柱12の上端部12aが落下防止部として機能しており、前記実施例2では、棚部25の前端部に落下防止部25aが形成されているが、このように、棚部に収容された荷物の落下を防止するための落下防止部が棚部の前方側に設けられていれば、椅子のどの部位に落下防止部が設けられてよく、例えば、着座部11の下面前端部等に落下防止部を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例としての机及び椅子が配置された全体像を示す側面図である。
【図2】図1の椅子を示す斜視図である。
【図3】(a)は椅子の収容状態を示す側面図であり、(b)は椅子の使用状態を示す側面図である。
【図4】図3(b)のA−A断面図である。
【図5】椅子の収容状態を示す側面図である。
【図6】棚部の後方側が開放されている状態を示す側面図である。
【図7】椅子の使用状態を示す側面図である。
【図8】(a)は本発明の実施例2としての椅子の収容状態を示す側面図であり、(b)は(a)の椅子の使用状態を示す側面図である。
【図9】(a)は本発明の実施例3としての椅子の収容状態を示す側面図であり、(b)は(a)の椅子の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 講義室
2 机
3 椅子
5 天板
6 脚体
11 着座部
11a 座板
12 脚支柱
12a 上端部(落下防止部)
13 ベース
15 棚部
15a 後端部
17 バネ(付勢手段)
B 荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に固定された脚体上に天板を支持してなる机を、前後方向に適宜の間隔を置いて複数設置し、前記机の各々の後方に設置した椅子が、床に固定されたベースと、該ベースに対して前後方向に回動可能に枢支された上下方向を向く脚支柱と、該脚支柱に取り付けられた座板を有する着座部と、からなり、前記脚支柱の前方への回動によって、前記天板の下方に収容される椅子において、
前記座板の下方位置に、後方側に開口する棚部を設けるとともに、該棚部の少なくとも前方側に該棚部に収納された荷物の落下を防止する落下防止部を設け、前記脚支柱の前方への回動によって前記棚部が前記座板とともに前方に傾斜するようにしたことを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記棚部は、その少なくとも後端部が前記座板に近づく方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記棚部の少なくとも後端部を前記座板に近づく方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記椅子が前記天板の下方に収容された状態において、前記棚部の後端部が前記着座部の後端部よりも後方に張り出さないようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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