説明

植栽設備及び植栽コンテナ

【課題】植栽コンテナ間の隙間を覆って植栽コンテナの育成材の落下を防止すると共に、並設する植栽コンテナの分離を防止する。
【解決手段】側壁102と底板101を有し、側壁102の上端近傍から外方へ突出する水平片105が側壁102に沿って形成され、水平片105の切欠部109の位置で側壁102の内側に連結孔105が設けられる植栽コンテナ100を並設し、近接する側壁102・102を挟んで配置される連結孔108・108の上端開口108b・108bに側片110b・110bを装入して断面視略コ字形の連結部材110を取り付けて植栽コンテナ100・100相互を連結すると共に、一方の植栽コンテナ100の水平片105を他方の植栽コンテナ100の側壁102の上端に外被する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルの屋上、テラス、ベランダ、折板屋根等の緑化に用いられる植栽設備及び植栽コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会における都市部には自然が不足しているが、人間の自然に対する希求に応えて自然不足を補うべく、都市部における緑化対策が図られている。かかる緑化対策は、例えばビルの屋上、ベランダ、テラスなど人工地盤や、折板屋根など建物の屋根等を人工的に緑化することで行われている。緑化対策に用いられる植栽設備には様々なものがあるが、施工性の良さから、植栽コンテナを並べて敷設面に敷設する植栽設備が主流になりつつある。
前記植栽コンテナを並べて敷設面に敷設する植栽設備を開示している先行技術文献に特許文献1がある。特許文献1には、方形箱体の連続する二辺の側壁のほぼ全長に亘り側壁に沿って側壁上端に設けられる掛止部と、対側の他の二辺の側壁のほぼ全長に亘り側壁に沿って側壁上端に設けられる凹入部とが形成されている植栽コンテナ(組立函)を用い、植栽コンテナの掛止部を隣接する他の植栽コンテナの凹入部に掛止して植栽コンテナを並設する植栽設備が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−274759号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の植栽設備は、植栽コンテナの側壁上端のほぼ全長に亘り側壁に沿って設けられる掛止部と凹入部を掛止して隣接する植栽コンテナを並設する構成であるため、敷設面に不陸がある場合に、掛止部と凹入部の掛止ができない箇所或いは掛止が不十分な箇所を生じ、前記箇所から植栽コンテナ間の隙間へ植栽コンテナの土壌が落下してしまうという不具合がある。また、前記掛止ができない箇所等が生ずることで、植栽コンテナが分離してしまうという不具合を生ずる。
【0005】
本発明は上記不具合に鑑み提案するものであって、植栽コンテナ間の隙間を覆って植栽コンテナの育成材の落下を防止することができる植栽設備及び植栽コンテナを提供することを目的とする。また、他の目的は、並設する植栽コンテナの分離を防止することができる植栽設備及び植栽コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の植栽コンテナは、側壁と底板を有し、該側壁上端近傍から外方へ突出する突出片を該側壁に沿って形成し、該突出片を、隣に配置される他の植栽コンテナの側壁への略全長に亘る係合が不能で、且つ該他の植栽コンテナの側壁上端を外被可能に設けることを特徴とする。また、本発明の植栽設備は、側壁と底板を有し該側壁上端近傍から外方へ突出する突出片が該側壁に沿って形成される植栽コンテナを並設し、一の植栽コンテナの突出片を、隣に配置される他の植栽コンテナの側壁への略全長に亘る係合をせずに、該他の植栽コンテナの側壁上端に外被することを特徴とする。例えば平面視略多角形で箱形の植栽コンテナの側壁上端に外方へ屈曲延設する板状の水平片等の突出片を設け、その突出片が隣接する植栽コンテナの側壁上端を覆うようにする。尚、前記突出片は、前記水平方向へ延びる板状の水平片の他、例えば上方へ凸の略半円形で板状の曲片若しくは略半円形で中実棒状に延びる突出片等とすることが可能である。
また、本発明の植栽設備は、前記突出片に切欠部を形成し、該切欠部に隣り合う植栽コンテナ相互を連結する連結部材を取り付けることを特徴とする。前記連結部材は、例えば隣接する植栽コンテナ側壁の上端近傍を挟持する挟持片を有する断面視略U字形で短尺チャネル部材の連結部材や、或いは棒状で前記断面視略U字形の連結部材や、或いはその他の隣接する側壁上端近傍に係合する連結部材等を用いることが可能である。
また、本発明の植栽設備は、前記連結部材の側片で隣り合う植栽コンテナの側壁上端近傍を挟むように連結部材を取り付け、前記取り付けた連結部材の上面を前記植栽コンテナの突出片の上面と略面一とすることを特徴とする。尚、連結部材の上面を植栽コンテナの突出片の上面より高く或いは低くすることも可能であり、例えば断面視略U字形の側片を有する連結部材の上板上面の高さを水平片の上面の高さ以下若しくは高さ未満、或いは上板上面の高さを水平片の上面の高さ以上若しくは高さ超とすることが可能である。更に、前記連結部材の上面の高さは植栽コンテナの側壁上端の高さ以上若しくは側壁上端の高さ超とすると好適である。更に、連結部材は切欠部内で取付可能とし、且つその長さを切欠部の幅と略同一とすると、連結部材で切欠部を覆えるので好適である。
また、本発明の植栽コンテナは、側壁と底板を有し、該側壁の上端近傍と隣に配置される他の植栽コンテナ側壁の上端近傍とを挟む連結部材の側片の一方が装入される連結受部を該側壁に設けることを特徴とする。また、本発明の植栽設備は、側壁と底板を有し該側壁に連結受部が設けられる植栽コンテナを並設し、隣り合う植栽コンテナ側壁の連結受部に、一の植栽コンテナの側壁上端近傍と他の植栽コンテナの側壁上端近傍とを挟む連結部材の側片をそれぞれ装入して、植栽コンテナ相互を連結することを特徴とする。例えば平面視略多角形若しくは円形等の周壁を構成する平面視直線状或いは曲線状の側壁を有する植栽コンテナで、連結受部として側壁に下端が植栽コンテナ外へ開放している連結孔を設け、前記連結孔に連結部材の側片を装入する構成等とする。前記連結孔の周壁の上端は、植栽コンテナに充填される育成材の上面と同一平面内に存在する高さで設ける、或いは前記育成材の上面より僅かに高くして設けると好適である。また、前記連結孔は、植栽コンテナの外側或いは内側に開放することが可能である。また、連結孔は側壁の内側に設けると好適であるが、外側に設ける構成とすることも可能である。
尚、本願の発明には、各発明や実施例の部分的な構成を他の発明や実施例等の構成に変更し、或いは各発明や実施例の構成に他の構成を付加し、或いは各発明や実施例の部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化したものも含まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の植栽コンテナ或いは植栽設備は、植栽コンテナ側壁の略全長に亘る係合を行わずに、一方の植栽コンテナの側壁に沿って外方へ突出する突出片で他の植栽コンテナの側壁上端を外被することにより、例えば敷設面の不陸で側壁の係合が外れて植栽コンテナ間の隙間が露出するようなことがなく、確実に植栽コンテナ間の隙間を覆って、植栽コンテナの育成材が前記隙間に落下することを防止できる。更に、植栽コンテナを敷設面に並設した後に各植栽コンテナへ育成材を充填する施工方法を用いる場合、隣り合う植栽コンテナの側壁の略全長に亘る係合をする構成では、施工時に於ける植栽コンテナ間の隙間への育成材の落下が不十分な係合によって著しくなるが、本発明では斯かる不具合を解消でき、施工性を向上することができる。
【0008】
また、隣接する一の植栽コンテナの側壁上端近傍と他の植栽コンテナの側壁上端近傍とを挟む側片を有する構成等の連結部材で植栽コンテナ相互を連結することにより、植栽コンテナ相互の連結の安定性を高め、植栽コンテナの分離を防止することができる。更に、予め育成材を充填した植栽コンテナを敷設面に並設する施工方法を用いる場合、隣り合う植栽コンテナの側壁の略全長に亘る係合をする構成では、施工時に於いて土壌が邪魔になって係合できない或いは係合が困難となるという不具合を生ずるが、本発明では切欠部や連結受部の近傍など側壁の部分的な箇所で連結部材で連結することにより前記不具合を解消でき、施工性を向上することができる。更に、連結部材と突出片の両構成により、何れの施工方法を用いる場合にも施工性を向上することができる。
また、取り付けた連結部材の高さを植栽コンテナの突出片の高さと略同一となる連結部材や、切欠部の幅と長さがと略同一な連結部材を用い、これらの連結部材を切欠部に設けることにより、植栽設備の美観を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について実施例の植栽コンテナや植栽設備に基づき説明するが、本発明は以下の実施例や例示に限定されるものではなく、各実施例や例示の構成を適宜組み合わせたものも本発明に含まれる。
【実施例1】
【0010】
第1実施例の植栽コンテナ100は、図1に示すように、底板101と略鉛直に立設する側壁102とを有する上方開放の略方形箱形であり、底板101の四隅には下方へ突出する底面視L字形の支持脚103が側壁102と連続するように形成されており、支持脚103が底板101を敷設面200から浮かして支持することにより、底板101と敷設面200との間に排水路及び空気流通路として機能する空間が形成される。底板101の所定箇所には複数のスリット状の通水兼通気孔104が形成され、通水兼通気孔104は、上方からの降雨や潅水等による余剰水を前記底板101と敷設面200との間の空間へ排出可能であると共に、前記空間から新鮮な空気を植栽コンテナ100内の植物の根へ導入可能である。また、一方の隣り合う2辺の側壁102・102のそれぞれの上端には、側壁102に沿って外方へ屈曲延設される突出片が設けられており、本実施例の突出片は外方へ水平に突出する板状の水平片105で、側壁102の上端に一体形成されている。水平片105は、他方の隣り合う2辺の側壁102・102のそれぞれの上端よりも上方に位置し、水平片105の下面が、前記他方の側壁102の上端と同一高さか、或いは僅かに高い位置となるように形成されている。尚、本実施例の植栽コンテナ100は樹脂成形で形成したが、本発明の植栽コンテナは例えば樹脂製、木製、石製、鋼製など適宜の材料で形成することが可能である。
植栽コンテナ100内には、図2に示すように、施工現場若しくは工場等で育成材106を充填し、育成材106上に切芝など植栽マットを載置する或いは育成材106内に植栽する等で、育成材106に植物107を植栽する。使用する育成材106は適宜であるが、屋上或いはベランダ等に植栽コンテナ100を敷設する場合には出来るだけ軽量なものが好ましく、例えばパーライト、バーミキュライト、ピートモス、バーク堆肥、チャフコン、木質腐朽有機物、ゼオライト等、建築廃材、下水又は浄水汚泥等、或いは椰子繊維等を用いる。また、前記例示の育成材の内の数種類や、必要に応じて根腐れ防止用の珪酸塩白土などを植栽の種類、環境などに応じて適宜選定し、これを保水性、排水性、通気性を良好にするためバランスよく配合した軽量育成材等としてもよく、斯様な通気性等が良好な軽量育成材を採用することにより、植物107の根が傷むことを防止できる。更に、軽量育成材による荷重は例えば従来の客土の約1/3程度であり、軽量育成材を用いることで敷設面200への荷重付加を軽減することができる。また、植物107には、芝生など地被植物等とすると、踏圧に耐えられ植栽コンテナ100内に人が出入り可能になって好適であるが、セダムなどの多肉植物、コケ、蔓性植物、樹木や花など適宜選択して使用するなど、適宜の植物を用いることが可能である。
そして、図2に示すように、支持脚103の下端の略全体を敷設面200に面接触させて、植栽した一の植栽コンテナ100を敷設面200に敷設する。更に、前記敷設した植栽コンテナ100の水平片105が形成されていない側壁102の上端上に、水平片105を載置する等で被せるように隣の植栽コンテナ100を敷設し、植栽コンテナ100・100を隣接若しくは近接して並べて配置する。水平片105は、植栽コンテナ100の側壁102の上端近傍の厚さと隣接配置される植栽コンテナ100・100間に形成される隙間若しくは形成され得る隙間の距離とを合わせた以上の突出長さを有するものとし、植栽コンテナ100・100間の隙間と一の植栽コンテナ100の水平片105がない側壁102の上端の上側は、隣の植栽コンテナ100の水平片105で覆われる。同様に、水平片105のない側壁102の上端上に水平片105を被せるようにして、複数の植栽コンテナ100を縦横に並べて敷設し、植栽コンテナ100を並設した植栽設備を構成する。
尚、前記施工手順とは逆に、各植栽コンテナ100を敷設面200に敷設した後に、並設した各植栽コンテナ100に育成材106を充填して植栽してもよい。その他に、植栽コンテナ100に工場などで予め育成材106を充填し、育成材106が充填された植栽コンテナ100を敷設面200に並べて敷設し、その後に切芝を育成材106上に載置するなど各植栽コンテナ100に植物107を植栽するなど適宜の施工手順を用いて植栽設備を構成することが可能である。
【0011】
上記第1実施例の植栽コンテナ100や植栽コンテナ100による植栽設備を用いることにより、植栽コンテナ100・100相互間に形成される隙間の上方を確実に覆うことが可能であり、植栽コンテナ100・100相互間の隙間へ育成材106が落下することを防止できる。特に、前記隙間を覆うのが側壁102の略全長に亘る係合が不要な水平片105であるため、敷設面200に不陸がある場合にも、前記隙間を確実に覆って育成材106の落下を防止できる。更に、支持脚103で支持する構成とすることにより、敷設面200の不陸の影響を一層弱めることが可能であり、前記育成材106の落下防止等の効果は一層顕著となる。また、他の植栽コンテナ100の水平片105を一の植栽コンテナ100の側壁102の上端に被せる構成であるから、一の植栽コンテナ100内に予め育成材106が充填されている場合にも、育成材106が一と他の植栽コンテナ100・100の隣接配置の邪魔になることが無く、植栽コンテナ100の並設作業を容易に行うことができる。
【実施例2】
【0012】
次に、第2実施例の植栽コンテナ100やその植栽設備について、第1実施例と異なる箇所の詳細を説明する。
【0013】
第2実施例の植栽コンテナ100は、第1実施例と同様に、底板101、側壁102、支持脚103、通水兼通気孔104、水平片105を有する(図3参照)。そして、図5に示すように、水平片105が形成されていない側壁102の上端近傍の略中央と、水平片105が形成されている側壁102の上端近傍の略中央には、連結受部として、縦断面視略L字形で略長方形の孔形状で貫通する連結孔108が形成されており、水平片105を有する側壁102の連結孔108に対応する箇所では、水平片105の一部が切り欠かれて切欠部109が設けられている。連結孔108は、側壁102の内側の突出部108aの上端に上方へ開口する平面視略長方形の上端開口108b、側壁102の外面の側壁102上端より若干下方の位置に側方へ開口する側面視略長方形の下端開口108cを有し、上端開口108bから下方へ進み、外方へ屈曲して下端開口108cに抜けるように貫通している。尚、上端開口108bは切欠部109と略同一幅で開口している。
第2実施例の植栽コンテナ100には、第1実施例と同様に、図4に示すように、育成材106の充填と植物107の植栽を施し、更に、一の植栽コンテナ100の水平片105が形成されていない側壁102の上端に、水平片105を被せるようにして他の植栽コンテナ100を並設し、植栽コンテナ100・100を隣接若しくは近接配置する。前記隣接配置により、図4及び図6に示すように、切欠部109の箇所に於いて、隣接若しくは近接する二側壁102・102を挟んで両側に2つの連結孔108・108の上端開口108b・108bが配置され、側方の下端開口108c・108cが接触若しくは植栽コンテナ側壁102・102相互の隙間を挟んで近接し、前記連結孔108・108は縦断面視略コ字形で略連通する(図4(b)参照)。
前記二側壁102・102の両側の上端開口108b・108bには、正面視略コ字形で短尺のチャネル部材である連結部材110の両側の側片110b・110bを挿入し、切欠部109に連結部材110を配設して、隣り合う植栽コンテナ100・100相互を連結する。連結部材110は、切欠部109の幅と略同一長さを有し、上板110aと、上板110aの両側から下方へ延びる側片110bと、側片110bの下端近傍から内方に突出する係止片110cとを備え、切欠部109に於ける二つの側壁102・102の上端や側壁102・102間の隙間を上板110aで覆うように設けられる。連結部材110の上板110aの厚さは水平片105の厚さより僅かに薄くなっており、切欠部109で取り付けられた連結部材110の上端に相当する上板110aの上面は、水平片105の上面より僅かに低い位置に配置される。また、連結部材110の側片110bの長さは、連結孔108の上端開口108bから下方へ延びる深さと略同一の長さとなっており、前記両側の上端開口108b・108bに挿入された側片110b・110bの係止片110c・110cはそれぞれ連結孔110の外方への屈曲部に係止される。尚、連結部材110は、例えば樹脂製、鋼板製など適宜の材料で形成することが可能であるが、バネ性・弾性を有する形状や素材とすると、連結作業が容易となって好適である。
そして、敷設面200に縦横に並設した植栽コンテナ100について、各切欠部109の箇所に配置される連結孔108・108に連結部材110の側片110b・110bを挿入し、各隣り合う植栽コンテナ100・100相互を連結して植栽設備を構成する。
上記第2実施例の植栽コンテナ100やその植栽設備を用いることにより、育成材107の落下防止など第1実施例と同様の効果が得られると共に、切欠部109に於いても植栽コンテナ100・100相互の隙間の上方を覆うことができる。更に、連結部材110で植栽コンテナ100・100相互を連結することにより、植栽コンテナ100の移動や分離を防止することができる。また、連結孔108が両端開口の貫通孔であることから、連結孔108内に育成材106が入った場合にも容易に取り出すことが可能であり、施工性も向上する。また、連結孔108は植栽コンテナ側壁102から外方へ突出する部分を有さずに形成され、側壁102・102相互間に突出部分が無いことから、側壁102・102相互を密接或いは若干の隙間を空けて近接することが可能であり、植栽設備の美観を維持することができる。また、連結孔108の突出部108aが側壁102に沿って形成することにより、植栽コンテナ100の強度を高めることができる。
【0014】
以上、本発明の第1〜第5実施例について説明したが、本発明はその他に、例えば以下のような拡張や変形を包含する。
【0015】
上記第2実施例では、植栽コンテナ100の略鉛直に立設する側壁102に連結孔108を設ける場合について説明したが、側壁102の形状は適宜であり、又、連結孔108の構成も本発明の連結部材を取付可能なものであれば適宜である。例えば図7(a)に示すように、上方へ向かって拡がるテーパ状の側壁102とし、その側壁102の上端近傍に形成される内方への突出部108aに略鉛直方向に貫通する連結孔108を設け、連結孔108が突出部108aの上端開口108bからテーパ状の側壁102の下端開口108cまで抜ける構成や、或いは図7(b)に示すように、側壁102を上部に略鉛直面、下部を内向きへこみ部102aが形成された形状とし、その側壁102の上端近傍に形成される内方への突出部108aに略鉛直方向に貫通する連結孔108を設け、連結孔108が突出部108aの上端開口108bから側壁102の内向きへこみ部102aの上端近傍の下端開口108cまで抜ける構成等としてもよい。図7の連結孔108のように、連結孔108が略鉛直方向に貫通する構成とすると、連結孔108に入った育成材106が自然に落下して連結孔108内に溜まることが無くなり、連結部材110の連結孔108への装入等の施工性をより高められる。
【0016】
また、上記第2実施例では、連結孔108への取付時の連結部材110の上板110aの上面を水平片105の上面より僅かに低い位置に配置する構成としたが、連結部材110の上面と水平片105の上面の何れを高い位置に配置するかは適宜であり、連結部材110の上面を水平片105の上面と略面一とする構成や、或いは連結部材110の上面を水平片105の上面より僅かに高い位置に配置する構成等とすることが可能である。好適には、図8(a)に示すように、連結孔108に取り付けた状態の連結部材110の上板110aの上面と水平片105の上面とが略同一平面状となるようにするとよく、連結部材110で連結した植栽設備の美観を高められる。更に、図8(b)に示すように、連結孔108に取り付けた状態の連結部材110の上板110aの上面と水平片105の上面とが略面一となるようにすると共に、連結部材110の上板110aの一方の側端から上板110aと同一厚さで水平方向に外方に突出する、換言すれば上板110aを延長する形状の水平凸部110dを設け、連結部材110を連結孔108に取り付けた状態で水平凸部110dの先端が水辺片105の先端と同一位置に配置されるように水平凸部110dの長さを設定すると、連結部材110と水平片105の一体性を高めてより美観を向上することができ、より好適である。
【0017】
また、図9に示すように、連結孔108の突出部108aの内壁108dの上端を側壁102の上端よりも高くする構成とすると、内壁108dで連結孔108への育成材106の進入を防止できて好適であり、更に、内壁108dの上端と水平片105の上面とが略面一になる構成や、連結部材110の上板110aの厚さを内壁108d上端と側壁102上端の高さの差と略同一とし、連結部材110の上板110aの上面が内壁108dの上端や水平片105の上面と略面一になるようにする構成とすると、美観も高められてより好適である。
また、図10に示すように、連結孔108近傍若しくは切欠部109近傍の水平片105を上面が低くなった薄肉部105aとすると共に、連結部材110の上板110aの側片110bを有しない方の両端部から上面が上板110a上面と面一である突出部110fをそれぞれ設け、突出部110fの厚さを薄肉部105aの上面と薄肉部105aではない水平片105の上面との差と略同一とし、連結孔108に連結部材110を取り付ける際に、突出部110fを薄肉部105a上に載置係合し、切欠部109に於ける連結部材110と水平片105との間の隙間の上方を突出部110fで覆う構成とすると、育成材106の落下をより確実に防止できると共に、載置状態で水平片105の上面が突出部110fの上面や上板110aの上面と略面一となるようにすることで、美観を高められる。尚、上板110aや突出部110fの上面を薄肉部105a以外の水平片105の上面より高く或いは低くする構成とすることも可能である。
【0018】
また、連結孔108、連結部材110を設ける位置は上記実施例に限定されず、例えば図11に示すように、植栽コンテナ100の四隅に連結孔108を設けると共に、連結孔108が上方に露出するように切欠部109を設け、4つの植栽コンテナ100の連結孔108が4つ集合する箇所に於いて、連結部材110の上板110aから下方に突出する4つの突起110gをそれぞれ連結孔108に装入し、4つの突起110gを有する連結部材110を設置し、更に、必要に応じて、上板110aから2つの突起110gが下方に突出する連結部材110を用い、2つの植栽コンテナ100の連結孔108が2つ集合する箇所に於いて、2つの突起110gを2つの連結孔108にそれぞれ装入し、2つの突起110gを有する連結部材110を設置する構成等とすることが可能である。また、連結孔108、連結部材110を設ける数は適宜であり、例えば平面視略方形の植栽コンテナ100の1つの側壁102の上端近傍に連結孔108を2つ以上設け、各連結孔108に連結部材110を設ける構成等とすることが可能である。
【0019】
また、短尺のチャネル部材である連結部材110は、図12(a)に示すように、上板110aの側片110bを有しない2辺間に延びる略V字形等の溝110hを上板110a上面の略中央位置に形成し、上板110aが溝110hの形成箇所で薄肉になっている構成や、図12(b)に示すように、溝110hを上板110aの上面と下面の対応する位置に形成し、上板110aが上下の溝110h・110hの形成箇所で薄肉になっている構成等としてもよい。前記溝110hによる薄肉部分を設けることにより、連結部材110で連結して並設した植栽コンテナ100を撤去或いは移設する際に、ナイフ等で芝生等と一緒に前記薄肉部分で連結部材110を切断して植栽コンテナ100を撤去或いは移設することが可能となり、施工性が向上する。特に、植栽コンテナ100を連結している連結部材110の溝110h或いは前記薄肉部分の位置は、側壁102・102の接触面或いは側壁102・102間の隙間の上方に配置するようにすると、ナイフ等を側壁102・102相互間に簡単に入り込ませることが可能となり、連結部材110や芝生等の切断や植栽コンテナ100の分離等の作業を一層容易化することができる。
【0020】
また、連結孔108は、連結部材110の側片110bが挿通される上端開口108bを有し、下端開口108cを有しない下端が閉塞した凹状の孔とすることも可能である。また、連結部材110の両側片110b・110bは、取付時に側片110b・110b間に挟む二側壁102・102を挟持する構成としてもよい。また、別部材の連結部材110を用いる構成に代え、例えば植栽コンテナ100の側壁102上端から外方へ延びて下方へ屈曲する断面視略L字形の連結部を一体的に設け、隣接する一方の植栽コンテナ100の前記連結部の下方への屈曲片を、他方の植栽コンテナ100の上記と同様に形成された連結孔108に装入して植栽コンテナ100・100相互を連結する構成等としてもよい。
また、上記実施例の植栽コンテナ100は平面視略正方形としたが、本発明の植栽コンテナは適宜の平面視形状を有する植栽コンテナとすることが可能であり、例えば三角形、長方形や菱形等の四角形、六角形など平面視多角形の植栽コンテナや、或いは側壁が弧状に形成される平面視略円形や平面視略楕円形の植栽コンテナ、或いは平面視で円弧状の凸曲面の側壁と円弧状の凹曲面の側壁と直線状の側壁で周壁が構成される植栽コンテナ等とすることが可能である。尚、平面視弧状の側壁の場合の水平片105等の突出片は前記側壁の形状に倣って平面視弧状に形成するとよい。
【0021】
また、本発明の植栽設備は、植栽コンテナ100を敷設面200に直接敷設する構成に限定されず、例えば植栽コンテナ100と敷設面200との間に貯水トレー等の貯水部や保水シート等の保水部を設け、降雨や潅水などの余剰水を貯水部や保水部に貯め、水分が不足した際に育成材106の毛細管現象の吸水等で植栽コンテナ100内に貯水部や保水部から水分を供給する構成等としてもよい。前記構成により、水分管理が容易となると共に、育成材106の落下防止によって貯水可能量や保水可能量の減少を防止することができ、育成材106の落下防止の重要度が増すこととなる。尚、一つの植栽コンテナに一つの貯水トレーを設ける等、複数の貯水部や保水部を設ける場合、貯水部或いは保水部は、係合片相互の係合や係合部材の側壁への係合等で相互に連結する構造とすると、植栽設備の設置状態を一層安定することができて好適である。また、連結部材110で植栽コンテナ100を連結する植栽設備は、設置状態の安定性が非常に高いことから、折板屋根など風圧を強く受ける箇所へ設置する植栽設備として好ましいものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、例えば屋上、ベランダ、折板屋根等に設置する植栽設備に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は第1実施例の植栽コンテナの平面図、(b)は同図(a)の植栽コンテナの正面図、(c)は同図(a)の植栽コンテナのA−A矢視断面図。
【図2】(a)は第1実施例の植栽コンテナによる植栽設備の平面図、(b)は同図(a)の植栽設備の断面図。
【図3】(a)は第2実施例の植栽コンテナの平面図、(b)は同図(a)の植栽コンテナの正面図、(c)は同図(a)の植栽コンテナのA−A矢視断面図。
【図4】(a)は第2実施例の植栽コンテナによる植栽設備の平面図、(b)は同図(a)の植栽設備の断面図、(c)は同図(a)の植栽設備で用いる連結部材の斜視図。
【図5】(a)は第2実施例の植栽コンテナの水平片が無い側壁の連結孔近傍を内側から視た状態を示す斜視説明図、(b)は同図(a)の連結孔近傍を外側から視た状態を示す斜視説明図、(c)は第2実施例の植栽コンテナの水平片が有る側壁の連結孔近傍を内側から視た状態を示す斜視説明図、(d)は同図(c)の連結孔近傍を外側から視た状態を示す斜視説明図。
【図6】(a)、(b)は第2実施例の植栽コンテナの連結孔に連結部材を装入する状態を内側から視た状態を示す斜視説明図、(c)、(d)は第2実施例の植栽コンテナの連結孔に連結部材を装入する状態を外側から視た状態を示す斜視説明図。
【図7】(a)、(b)は別例の連結孔を示す部分縦断面図。
【図8】(a)、(b)は別例の連結部材を連結孔に装入する状態を示す連結孔近傍の部分縦断説明図。
【図9】更なる別例の連結孔に連結部材を装入する状態を示す連結孔近傍の部分縦断説明図。
【図10】(a)、(b)は更なる別例の連結部材を植栽コンテナに取り付ける状態を示す一部断面正面説明図。
【図11】並設する植栽コンテナを隅部で連結する植栽設備の例を示す平面説明図。
【図12】(a)、(b)は薄肉部を有する連結部材の例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0024】
100 植栽コンテナ
101 底板
102 側壁
102a 内向きへこみ部
103 支持脚
104 通水兼通気孔
105 水平片
105a 薄肉部
106 育成材
107 植物
108 連結孔
108a 突出部
108b 上端開口
108c 下端開口
108d 内壁
109 切欠部
110 連結部材
110a 上板
110b 側片
110c 係止爪
110d 水平凸部
110f 突出部
110g 突起
110h 溝
200 敷設面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と底板を有し、該側壁上端近傍から外方へ突出する突出片を該側壁に沿って形成し、該突出片を、隣に配置される他の植栽コンテナの側壁への略全長に亘る係合が不能で、且つ該他の植栽コンテナの側壁上端を外被可能に設けることを特徴とする植栽コンテナ。
【請求項2】
側壁と底板を有し該側壁上端近傍から外方へ突出する突出片が該側壁に沿って形成される植栽コンテナを並設し、一の植栽コンテナの突出片を、隣に配置される他の植栽コンテナの側壁への略全長に亘る係合をせずに、該他の植栽コンテナの側壁上端に外被することを特徴とする植栽設備。
【請求項3】
前記突出片に切欠部を形成し、該切欠部に隣り合う植栽コンテナ相互を連結する連結部材を取り付けることを特徴とする請求項2記載の植栽設備。
【請求項4】
前記連結部材の側片で隣り合う植栽コンテナの側壁上端近傍を挟むように連結部材を取り付け、前記取り付けた連結部材の上面を前記植栽コンテナの突出片の上面と略面一とすることを特徴とする請求項3記載の植栽設備。
【請求項5】
側壁と底板を有し、該側壁の上端近傍と隣に配置される他の植栽コンテナ側壁の上端近傍とを挟む連結部材の側片の一方が装入される連結受部を該側壁に設けることを特徴とする植栽コンテナ。
【請求項6】
側壁と底板を有し該側壁に連結受部が設けられる植栽コンテナを並設し、隣り合う植栽コンテナ側壁の連結受部に、一の植栽コンテナの側壁上端近傍と他の植栽コンテナの側壁上端近傍とを挟む連結部材の側片をそれぞれ装入して、植栽コンテナ相互を連結することを特徴とする植栽設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−167018(P2007−167018A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371492(P2005−371492)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000162135)共同カイテック株式会社 (66)
【Fターム(参考)】