説明

植物育成用保護マット及び該マットによる植物育成方法

【課題】育成すべき植物を植えた周囲に繁茂する雑草類を人的労力によって除去する必要をなくして植物の成長を促す植物育成用保護マット及び植物育成方法を提供する。
【解決手段】植栽地敷設用マット2を形成する不織布を、それを敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制するが、地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎からの根は通す粗さを有するものとする。このマット2には、植物の植付け間隙を置いて多数の植付け孔3を穿設しておくことができる。植物5の育成に際しては、上記植栽地敷設用マット2を植栽地に敷設し、該マットを通して植物5の苗または種子を該植栽地に植え付け、上記マットを敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制しながら、匍匐茎等からの根は活着させ、植え付けた植物5を育成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植え付けた植物の育成を雑草から保護する植物育成用保護マット及び該マットを用いる植物育成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、法面その他の植栽地に芝や蔦などの植物を植え、それを育成する場合に、育成しようとする植物以外の雑草類が先に繁茂して、育成すべき植物の生長を妨げるため、それらの雑草類を定期的に除去するための人的労力が必要になり、特にその植栽地が広大であるときには、雑草類を除去するための人的労力が多大になるため、その雑草類の除去が怠りがちになり、その結果、育成すべき植物が雑草の中に隠れて育成が妨げられ、極端な場合には枯死に至ることになり、植物を植えながらも雑草のみが繁茂した状態になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
如上に鑑み、本発明は、育成すべき植物を植えた周囲に繁茂する雑草類を人的労力によって除去する必要をなくすべく、その雑草類の成長を抑制する植物育成用保護マット及び該マットによる植物育成方法の提供を、その技術的課題とするものである。
本発明の他の技術的課題は、特に地表を這う根茎や蔓状に伸びて地上を這う匍匐茎(ランナー、ストロン等)を有する植物の育成に適し、育成する植物の周囲での雑草の発芽や育成を抑制するが、上記植物の根茎や匍匐茎からの根は通す植物育成用保護マットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の植物育成用保護マットは、基本的には、植栽地敷設用マットを形成する不織布が、それを敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制するが、地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎からの根は通す粗さを有することを特徴とするものである。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記不織布として、植物の植付け間隙を置いて予め多数の植付け孔が穿設されたものが用いられる。また、上記不織布としては、ポリプロピレン繊維をスパンボンド法によって結合することにより形成され、目付が100〜300g/m、嵩密度が0.05〜0.28/cmの範囲内のものが好適に用いられる。
【0005】
また、上記課題を解決するための本発明の植物育成方法は、上記植栽地敷設用マットを植栽地に敷設し、該マットを通して植物の苗または種子を該植栽地に植え付け、上記マットを敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制しながら、地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎からの根は該マットを通して活着させ、植え付けた植物を育成させることを特徴とするものである。
【0006】
上記構成を有する植物育成用保護マットは、それを芝や蔦等の育成しようとする植物の植栽地に敷設し、該マットに適当な植え付け間隔で該植物の苗または種子を植え付け、該マットの敷設により、人的労力による雑草の除去を行わなくても、該マットを敷設した部分の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制し、植え付けた植物のみの育成を促すことができる。
【0007】
上記マットにより育成する植物としては、上記芝や蔦のように、地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎を有するものが望ましい。特に、上記地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎を有する植物では、不織布からなるマットによって雑草の生育を抑制しながらも、該マットを通して上記根茎や匍匐茎からの根が植栽地の地中にまで伸びるので、該マットの敷設が育成しようとする植物に対しては何らの障害となることもなく、育成しようとする植物を広い範囲に繁茂させることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上に詳述した本発明の植物育成用保護マット及び該マットによる植物育成方法によれば、育成すべき植物を植えた周囲に繁茂する雑草類の成長を抑制し、それらを人的労力によって除去する必要がなく、特に地表を這う根茎や蔓状に伸びて地上を這う匍匐茎を有する植物の育成に適し、周囲での雑草の発芽や育成を抑制しながら、上記植物の根茎や匍匐茎からの根を地中に導いて該植物の育成を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態をについて説明する。
図1及び図2は、本発明に係る植物育成用保護マット及び該マットによる植物育成の態様を示している。
【0010】
両図に示す植物育成用保護マット1は、不織布によって形成された植栽地敷設用のマット2に、植物の植付け間隙を置いて多数の植付け孔3を穿設したものである。上記不織布としては、それを敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制するが、植栽した植物5における地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎からの根6は通す粗さを有する空隙率の高いものが用いられ、更に具体的には、ポリプロピレン繊維をスパンボンド法によって結合することにより、厚さ1〜5mm度に形成したものが好適である。
また、この不織布としては、目付が100〜300g/m、嵩密度が0.05〜0.28/cmの範囲内のものが、防草効果においてすぐれると同時に匍匐茎からの根6を通す点で適している。更に、この不織布は、数年乃至10年のオーダーで経時的に紫外線の作用により劣化・分解するものであることが望まれる。
【0011】
なお、上記マット2は、必ずしも不織布に限るものではなく、それと同等で本発明において要求される機能を備えた素材、すなわち、該マット2を植栽地に敷設することにより太陽光を遮蔽して、その下面からの雑草の発芽を抑制するばかりでなく、たとえ発芽しても、それがマット2上にまで生長して太陽光を浴びて生長するのを抑制し、一方、植栽した植物5における地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎からの根6は通すような素材を用いることができる。
また、上記マット2は、それに全面的に、あるいは植付け孔3の周辺等に重点的に、予め肥料を保持させておくことができる。
【0012】
上記植物育成用保護マット1を用いて芝や蔦などの植物5を育成するに際しては、上記植栽地敷設用マット2をその植栽地に敷設し、該マット2における適当な間隔の多数の植付け孔3を通して、上記植物の苗または種子を該植栽地に植え付け、上記マット2を敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制しながら、植え付けた植物5を育成させる。これにより、人的労力による上記植物周辺の雑草の除去を行わなくても、該マット2を敷設した部分の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制し、植え付けた植物5のみの育成を促すことができる。上記植栽地敷設用マット2に多数の植付け孔3を予め穿設しておくことなく、植物を植え付けるためのポットの打ち込み等によって該植付け孔3を開設することもできる。
【0013】
上記マット2により育成する植物5としては、上記芝や蔦のように地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎を有するものが望ましい。特に、上記地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎を有する植物では、不織布からなるマット2によって雑草の生育を抑制しながらも、該マット2を通して上記根茎や匍匐茎からの根が植栽地の地中にまで伸びるので、該マット2の敷設が育成しようとする植物に対しては何らの障害となることもなく、地表における水分の保持、地表の温度の保持にも有効に作用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によって植物が植栽された状態を示す斜視説明図である。
【図2】本発明に係る植物育成用保護マットの構成を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 植物育成用保護マット
2 植栽地敷設用マット
3 植付け孔
5 植物
6 根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植栽地敷設用マットを形成する不織布が、それを敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制するが、地表を這う根茎や蔓状に伸びて地表面を這う匍匐茎からの根は通す粗さを有する、
ことを特徴とする植物育成用保護マット。
【請求項2】
上記不織布に、植物の植付け間隙を置いて多数の植付け孔を穿設した、
ことを特徴とする請求項1に記載の植物育成用保護マット。
【請求項3】
上記不織布が、ポリプロピレン繊維をスパンボンド法によって結合することにより形成され、目付が100〜300g/m、嵩密度が0.05〜0.28/cmの範囲内である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の植物育成用保護マット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の植物育成用保護マットを用いて植物を育成する方法であって、
上記植栽地敷設用マットを植栽地に敷設し、該マットを通して植物の苗または種子を該植栽地に植え付け、上記マットを敷設した下面の植栽地からの雑草の発芽や育成を抑制しながら植え付けた植物を育成させる、
ことを特徴とする植物育成用保護マットによる植物育成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−89558(P2007−89558A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366987(P2005−366987)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(599124024)株式会社イングス (5)
【出願人】(505025678)
【Fターム(参考)】