説明

椎茸の栽培装置

【課題】 構造が簡単で、設置場所の制約を受けず、安価に製作でき、取り扱いが容易で、自動的に水を供給できる家庭園芸用に適する椎茸の栽培装置を提供する
【解決手段】 栽培棚1と、この栽培棚1の上部に設けた水タンク2と、この水タンク2に形成した水供給用小孔3と、上記栽培棚1と上記水タンク2とを覆うカバー4とからなり、上記栽培棚1に椎茸菌を植え付けたホダ木5又は椎茸菌床15を多数立てかけた状態で当該ホダ木5又は椎茸菌床15の上部に上記小孔3から水を供給するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎茸の栽培装置に関し、特に、趣味と実益を兼ねて椎茸を簡単に栽培できる家庭園芸用の椎茸の栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、椎茸を栽培する場合、ホダ木に椎茸菌を植え付け、このホダ木を湿気のある日陰の場所に立てかけておくのが普通である。
【0003】
この場合、椎茸の育成に湿度が必要であることから、たびたび上記のホダ木に水を供給させる必要がある。
【0004】
このため、従来、家庭園芸用の椎茸栽培では、風呂おけ等の水槽にホダ木をつけ込んで水を染み込ませたり、度々ジョウロでホダ木に水をかけたりしている。
【0005】
しかし、この様に、ホダ木を水槽に付け込んだり、ジョウロで水をかけたりすることはかなりの重労働であり、作業が困難で作業性,経済性に劣る。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1に示すように、椎茸菌床に自動的に水を供給する椎茸の栽培装置が開発されている。
【特許文献1】特開平9‐107793号公報(図面、要約参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に示す椎茸の栽培装置は、貯水タンクと、この貯水タンクに連通する多数の可撓性を有する管と、この管の先端部に取付けた注射針とからなり、各注射針を椎茸菌床にさし込み、常時自動的に貯水タンクの水を管と注射針を介して椎茸菌床に供給するようにしたものである。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に示す椎茸の栽培装置では、多量生産に適する商売上の施設には適するが、装置が複雑で、大型であるから制作コストが嵩み、設置場所の制約を受け、小型の家庭園芸用には適しない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、構造が簡単で、設置場所の制約を受けず、安価に製作でき、取り扱いが容易で、自動的に水を供給できる家庭園芸用に適する椎茸の栽培装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、栽培棚と、この栽培棚の上部に設けた水タンクと、この水タンクに形成した水供給用小孔と、上記栽培棚と上記水タンクとを覆うカバーとからなり、上記栽培棚に椎茸菌を植え付けたホダ木を多数立てかけた状態で当該ホダ木の上部に上記小孔から水を供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
この場合、水タンクが合成樹脂製シート又はゴム製シートの周囲を止め具を介して栽培棚の上部に固定した上部が開口している袋からなり、この袋の下部中央に多数の小孔を形成しているのが好ましい。
【0012】
同じく、水タンクが合成樹脂製の容器又は金属製の容器からなり、この容器の下部に多数の水供給用小孔を形成し、上記容器を栽培棚の上部に着脱自在に取付けているようにしても良い。
【0013】
同じく、他の手段は、栽培棚と、この栽培棚の上部に設けた水タンクと、この水タンクに取付けられて水タンク内の水を吸い込む不織布と、上記栽培棚と上記水タンクとを覆うカバーとからなり、上記栽培棚に椎茸菌を植え付けたホダ木を多数立てかけた状態で当該ホダ木の上部に毛細管現象で吸い込んだ水を上記不織布から供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
同じく、更に別の手段は、栽培棚と、この栽培棚の上部に設けた水タンクと、この水タンクに形成した水供給用小孔と、上記栽培棚と上記水タンクとを覆うカバーとからなり、上記栽培棚に椎茸菌を植え付けたオガくずからなる椎茸菌床を立てかけた状態で当該椎茸菌床の上部に上記小孔から水を供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
上記各手段において、栽培棚が左右に起立する一対の矩形の枠体と、各枠体の下部間に架設した支持枠と、各枠体の中間に架設した支え材と、各枠体の上部間に架設したタンク支持枠とからなり、多数のホダ木を支え材で支えながら支持枠に立てかけ、タンク支持枠に水タンクを設置しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
各請求項の発明によれば、水タンクから常に小孔又は不織布を介して自動的に水がホダ木又は椎茸菌床に供給されるから椎茸の発育に必要な水と湿度が常に確保される。
【0017】
このため、水を供給する労力が軽減され、構造も簡単で、コンパクト化が可能であるから設置スペースの制約を受けず、加工性、組付性が向上し、安価に成形でき、家庭園芸用の椎茸栽培用に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の実施の一例を図に基づいて説明するが、図1乃至図3は、本発明の一実施の一例に係わる椎茸の栽培装置を示すものである。
【0019】
この椎茸の栽培装置は、栽培棚1と、この栽培棚1の上部に設けた水タンク2と、この水タンク2に形成した水供給用小孔3と、上記栽培棚1と上記水タンク2とを覆うカバー4とからなり、上記栽培棚1に椎茸菌を植え付けたホダ木5を多数立てかけた状態で当該ホダ木5の上部に上記小孔3から水を供給するようにするものである。
【0020】
栽培棚1は左右に起立する一対の矩形の枠体9,9と、各枠体9,9の下部間に架設した支持枠10と、各枠体9,9の中間に架設した支え材11と、各枠体9,9の上部間に架設したタンク支持枠12とから構成されている。
【0021】
そして、多数のホダ木5の下端を支持枠10上に立てかけ、中間を支え材11で支え、タンク支持枠12に水タンク1を設置している。
【0022】
水タンク2は合成樹脂製シート7で成形されており、これは、シート7の周囲を止め具6を介して栽培棚1の上部に固定している袋8で構成させ、この袋8の上部を開口させると共に下部中央に多数の小孔3を形成している。シート7は、ゴム製であっても良い。
【0023】
水タンク2は、図4,図5に示すように、合成樹脂製の容器14からなり、この容器14の下部に多数の水供給用小孔3を形成し、上記容器14を栽培棚の上部に着脱自在に取付けても良い。水タンク2は、金属製の容器で成形しても良い。
【0024】
カバー4は、ホダ木5に対する遮光と湿気を施すものであれば良く、例えば通気性のある寒冷紗、その他のネット製の袋、布製の袋であれば良く、さらには、合成樹脂製のシート、ゴム製のシート、布製のシートであっても良い。
【0025】
水タンク2内には水道からの水をホースHを介して供給させ、バルブの開閉操作で遠隔的に水タンク2内の水量を調節するようになっている。
【0026】
この椎茸の栽培装置によれば、水タンク2内の水が小孔3を介して水がポタポタと少しずつ落下し、この水滴が常にホダ木5に供給されるのでホダ木5に水がしみ込み、椎茸の発育に必要な水と湿気が確保される。
【0027】
また、カバー4で栽培棚1を覆うことにより椎茸菌やホダ木5に対する遮光を行え、カバー4内の湿気も確保できる。
【0028】
図4および図5は、他の実施の一例を示すが、これは、図1の場合と同じく、栽培棚1と、この栽培棚1の上部に設けた容器14からなる水タンク2と、この水タンク2に取付けられて水タンク2内の水を吸い込む不織布13と、上記栽培棚1と上記水タンク2とを覆うカバー4とからなるもので、上記栽培棚1に椎茸菌を植え付けたホダ木5を多数立てかけた状態で当該ホダ木5の上部に毛細管現象で吸い込んだ水を上記不織布13から供給するようにしたものである。
【0029】
この場合、不織布13には容器14の底部に形成した小孔3から不織布13に毛細管現象で水を含ませ、この含ませた水をポタポタとホダ木5に落下させても良く、又は図5に示すように、水タンク2内の水を直接不織布13が毛細管現象で吸い取り、次いでホダ木に水滴をたらすようにしても良い。
【0030】
図6は、本発明の他の実施態様に係わり、これは、多数のホダ木5をクロスさせながら栽培棚1によって立てかけ、このホダ木5の下端を水槽16内にさし込んで支持具17で支え、更に、各ホダ木5の上部に複数の水ダンク2を配置させたものである。水槽16内の水はホダ木5自体の毛細管現象で水が浸透するようになっている。
【0031】
この場合、水槽16に代えて、水を含んだ不織布やスポンジ、その他水を含んだ吸水性のある部材を使用しても良い。その他の作用および効果は、上記の実施の態様と同じである。
【0032】
図7は、本発明の他の手段に対応する実施の態様に係るもので、これは、この栽培棚1の上部に設けた水タンク2と、この水タンク2に形成した水供給用小孔3と、上記栽培棚1と上記水タンク2とを覆うカバー4とからなり、上記栽培棚1に椎茸菌を植え付けたオガクズからなる椎茸菌床15を立てかけた状態で当該椎茸菌床15の上部に上記小孔3から水を供給するようにしたものである。
【0033】
この実施の形態は、ホダ木5に代えて椎茸菌床15を用いたもので、その他の構造と作用、効果は図1、図3に示す実施の態様と同じである。
【0034】
なお、本発明の栽培棚1は、その他の家庭園芸用の棚としてあるいは、一般的な物を置く棚としても使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の一例に係わる椎茸の栽培装置の一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】他の実施の一例に係わる椎茸の栽培装置の要部斜視図である。
【図5】他の実施の一例に係わる椎茸の栽培装置の要部斜視図である。
【図6】他の実施の一例に係わる椎茸の栽培装置の側面図である。
【図7】他の実施の一例に係わる椎茸の栽培装置の側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 栽培棚
2 水タンク2
3 小孔
4 カバー
5 ホダ木
6 止め具
7 シート
8 袋
13 不織布
14 容器
15 椎茸菌床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培棚と、この栽培棚の上部に設けた水タンクと、この水タンクに形成した水供給用小孔と、上記栽培棚と上記水タンクとを覆うカバーとからなり、上記栽培棚に椎茸菌を植え付けたホダ木を多数立てかけた状態で当該ホダ木の上部に上記小孔から水を供給するようにしたことを特徴とする椎茸の栽培装置。
【請求項2】
水タンクが合成樹脂製シート又はゴム製シートの周囲を止め具を介して栽培棚の上部に固定した上部が開口している袋からなり、この袋の下部中央に多数の小孔を形成している請求口の椎茸の栽培装置。
【請求項3】
水タンクが合成樹脂製の容器又は金属製の容器からなり、この容器の下部に多数の水供給用小孔を形成し、上記容器を栽培棚の上部に着脱自在に取付けている請求項1の椎茸の栽培装置。
【請求項4】
栽培棚と、この栽培棚の上部に設けた水タンクと、この水タンクに取付けられて水タンク内の水を吸い込む不織布と、上記栽培棚と上記水タンクとを覆うカバーとからなり、上記栽培棚に椎茸菌を植え付けたホダ木を多数立てかけた状態で当該ホダ木の上部に毛細管現象で吸い込んだ水を上記不織布から供給するようにしたことを特徴とする椎茸の栽培装置。
【請求項5】
栽培棚と、この栽培棚の上部に設けた水タンクと、この水タンクに形成した水供給用小孔と、上記栽培棚と上記水タンクとを覆うカバーとからなり、上記栽培棚に椎茸菌を植え付けたオガクズからなる椎茸菌床を立てかけた状態で当該椎茸菌床の上部に上記小孔から水を供給するようにしたことを特徴とする椎茸の栽培装置。
【請求項6】
栽培棚が左右に起立する一対の矩形の枠体と、各枠体の下部間に架設した支持枠と、各枠体の中間に架設した支え材と、各枠体の上部間に架設したタンク支持枠とからなり、多数のホダ木を支え材で支えながら支持枠に立てかけ、タンク支持枠に水タンクを設置している請求項1,2,3又は4の椎茸の栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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