説明

検査装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】同じ部位の画像は全て同じ向きに統一することを目的とする。
【解決手段】医療用の検査装置であって、患者の撮影画像と、撮影画像と関連付けられている予め設定された患者の方向を示す患者方向情報と、を表示装置に表示する表示手段と、患者方向情報が示す方向の変更を指示された場合、表示装置に表示されている患者方向情報が示す方向を指示された方向に変更する患者方向変更手段と、患者方向情報が示す方向が変更された場合、患者方向情報と関連付けられている撮影画像の向きを変更される前の患者方向情報が示す方向に変更する変更手段と、変更手段で向きを変更された撮影画像を出力する出力手段と、を有することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年病院では、ネットワーク接続による病院情報システムが構築されている。例えば、X線撮影が必要と判断されると、HIS(Hospital Information System)端末より検査指示を入力し、依頼先である放射線部門に伝達する。この依頼情報を検査オーダといい、この検査オーダには依頼元の部門名や、検査項目、患者の個人データ等が含まれる。放射線部門は検査オーダを受信すると、撮影条件等を付加し、X線検査システムへ転送する。X線検査システムでは受信した検査オーダに従ってX線撮影を実施する。撮影された画像には検査情報が付与され、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)への転送やプリント出力が行われる。
転送される画像に付与される情報の中には患者方向情報が含まれることがある。患者方向は横行軸及び縦列軸の解剖学的な方向を示す二つの値によって表現される。
解剖学的方向はA(anterior:前面)、P(posterior:背面)、R(right:右)、L(left:左)、H(head:頭)、F(foot:足)のように頭文字によって指示される。方向属性の各値は、少なくともこれらの文字の一つを含む形で表現される。例えば人物を正面から見るような画像の場合、横行軸はL(left:左)となり、縦列軸はF(foot:足)の方向を示すこととなり、患者方向はL¥Fとして表現される。
通常、患者方向の情報は撮影部位ごとに予め決められており、撮影画像に事前設定されていた患者方向を付与して出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−317900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者方向は予め決められているため、決められた方向と異なる向きで撮影した場合は、付与する患者方向情報を修正するか画像そのものを修正する必要があった。付与する患者方向情報を修正した場合、同じ撮影部位にもかかわらず異なる向きの画像が存在することになり、画像確認時に同じ向きになるように操作するか、異なる向きのまま確認することになり、確認者に余計な負荷をかけることになってしまう。そのため、同じ部位の画像は全て同じ向きに統一されている方が望ましい。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、同じ部位の画像は全て同じ向きに統一することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、医療用の検査装置であって、患者の撮影画像と、前記撮影画像と関連付けられている予め設定された前記患者の方向を示す患者方向情報と、を表示装置に表示する表示手段と、前記患者方向情報が示す方向の変更を指示された場合、前記表示装置に表示されている前記患者方向情報が示す方向を指示された方向に変更する患者方向変更手段と、前記患者方向情報が示す方向が変更された場合、前記患者方向情報と関連付けられている前記撮影画像の向きを前記変更される前の患者方向情報が示す方向に変更する変更手段と、前記変更手段で向きを変更された前記撮影画像を出力する出力手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同じ部位の画像は全て同じ向きに統一することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】医療用検査システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】医療用検査システムの動作(情報処理)について説明するフローチャートである。
【図3】表示装置に表示される画像と患者方向の例を示す図である。
【図4】表示されている画像と患者方向に対して操作を行うGUIの例を示す図である。
【図5】患者方向情報の回転を実施した際にどのように出力されるかを示した図である。
【図6】プロトコル情報記憶部102を介して記憶されている情報を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、医療用検査システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
101は、検査オーダを入力する検査オーダ入力部である。検査オーダとは撮影する患者情報と撮影内容とから構成される。検査オーダはRIS等の外部システムから入力する方法と、医療用検査システムから手動で入力する方法と、がある。
102は、撮影する撮影プロトコル情報を記憶装置に記憶する記憶部である。プロトコル情報とはプロトコル毎に割り当てられたIDや検査部位、患者方向等の情報である。RIS等の別システムから入力される検査オーダにはプロトコルIDが指示されている。プロトコルに付属する詳細な情報は医療検査システム側が保持している。
103は、デジタルX線撮影装置で撮影された放射線画像を医療用検査システムへ入力する画像入力部である。放射線画像は、ネットワークを介して入力される場合やCD−ROMやDVD等のメディアを経由して入力される場合もある。
104は、入力された放射線画像をハードディスク等の記憶装置に保持する画像保持部である。入力された画像はプロトコル情報と関連付けて記憶される。
105は、CRTや液晶モニター等の表示装置に、放射線画像や検査情報を表示する表示部である。
106は、表示装置に表示された放射線画像や検査情報に対して、回転操作や検査終了等の指示を行うマウスやキーボード等からの操作(操作情報)を入力する操作入力部である。
107は、撮影された画像を回転処理する画像回転処理部である。
108は、撮影画像に付与される患者方向情報を変更する患者方向情報変更処理部である。
109は、患者方向情報処理部によって患者方向が変更された場合、画像回転処理部107を用いて画像回転処理を行うように制御するための画像回転制御部である。
110は、画像と検査情報を外部に転送するための画像出力部である。
111は、各部101〜110を相互に接続するシステムバスである。
【0011】
なお、図1に示される各機能は、ハードウェアで実装されてもよいし、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することによって実現されるソフトウェアで実装されてもよい。また、医療用検査システムは、複数の装置(コンピュータ)から構成されてもよいし、一つの装置(コンピュータ)で構成されてもよい。なお、本明細書では、医療用検査システムは、一つの装置(コンピュータ)で構成され、図1に示される機能は、装置(コンピュータ)のCPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することによって実現されるものとして説明を行う。
【0012】
次に、図2に示すフローチャートを用いて、本実施の形態における医療用検査システムの動作について説明する。図2は、医療用検査システムの動作(情報処理)について説明するフローチャートである。なお、以下では説明の簡略化のため、CPUが処理を行うものとして説明を行う。
ステップS201において、CPUは、検査オーダを入力する。外部のシステムから入力される場合と手動操作により医療用検査システムから入力される場合とがある。
次にステップS202において、CPUは、検査オーダに含まれるプロトコルIDを基にプロトコル情報記憶部102を介して記憶装置からプロトコル情報を読み込む。このプロトコル情報には患者方向情報も含まれている。
ステップS203において、検査オーダに含まれるプロトコルに関して撮影が実施され、CPUは、X線画像を医療用検査システムに入力する。入力された画像は画像記憶部104を介して保存される。
ステップS204において、CPUは、ステップS203で入力された画像を表示装置に表示する。
ステップS205において、CPUは、ステップS202で読み込んだプロトコル情報に含まれる患者方向情報を表示する。患者方向情報は文字列若しくはアイコンとして表示される。
【0013】
ステップS206において、CPUは、患者方向変更操作が指示されたかどうか判断する。患者方向変更操作が指示されたと判断した場合、CPUは、ステップS207で患者方向変更処理を行う。但し、CPUは、プロトコル情報記憶部102を介して読み込んだ情報はオリジナル情報として保持しておき、変更処理用の患者方向情報を変更後、ステップS204へ戻る。その後、ステップS205において、CPUは、変更した患者方向を表示する。
ステップS206で患者方向変更操作が指示されてないと判断した場合、CPUは、ステップS208へ進み検査終了指示がされたかどうか判断する。検査終了は指示されてないと判断した場合、CPUは、ステップS209へ進みその他の処理を実施する。ここでいうその他の処理とは、画像の拡大・回転等の操作や検査情報の編集等検査終了までに行う処理を指す。
ステップS208で検査終了が指示されたと判断した場合、CPUは、ステップS210へ進む。ステップS210において、CPUは、オリジナルの患者方向と変更処理用の患者方向とが同じかどうか比較し、検査終了されるまでに患者方向が変更されたかどうか判断する。もし患者方向が変更されたと判断した場合、CPUは、ステップS211へ進む。ステップS211において、CPUは、変更された患者方向がオリジナルの患者方向と同じになるように画像を回転させる。
ステップS212において、CPUは、画像と検査情報とを出力する。出力される検査情報の含まれる患者方向は変更処理されたものではなく、プロトコル情報記憶部102を介して記憶されていたオリジナルの患者方向情報である。
【0014】
図3は、表示装置に表示される画像と患者方向の例を示す図である。301は、画像入力部103から入力された撮影画像である。302は、プロトコル情報記憶部102を介して記憶されている撮影プロトコルの患者方向である。ここでは患者方向をアイコンとして表示されている。このアイコンは、文字情報でもよいし、撮影プロトコル毎に適した形状に変更されたものでもよい。
患者方向は、画像から自動判別するものではなく、撮影後に画像を見て付与するものでもない。患者方向は、撮影よりも前に事前設定されているものである。撮影前に事前設定し、全ての画像を設定されてある方向で撮影する。このようにすることで表示時に同じ撮影部位は同じ方向で表示することができる。
撮影前であれば、301に画像表示を行わず、これから撮影される撮影プロトコルの情報として302だけを表示し、撮影のガイドラインとして用いることもできる。
【0015】
図4は、表示されている画像と患者方向に対して操作を行うGUIの例を示す図である。401は、表示画像301に対して回転操作を指示する回転ボタンである。402は、表示している患者方向情報の回転を指示する患者情報回転ボタンである。患者方向回転ボタン402は、オブジェクトの一例である。403は、検査の終了を指示する検査終了指示ボタンである。検査終了指示ボタンが押下されると、画像の出力処理が実施される。画像出力とは他の画像保存システムへ画像データと検査情報を転送する処理である。404は、患者方向情報である。医療用検査システムは、撮影後は確認させるために、患者方向情報404を協調表示するようにしてもよい。
【0016】
図5は、患者方向情報の回転を実施した際にどのように出力されるかを示した図である。
図中(A)の撮影画像501は、事前設定されている患者方向502とは違う方向で撮影されている。そこで患者方向回転ボタン402によって患者方向を回転させると患者方向情報は図中(B)の503のように変更される。この状態で検査終了を実施すると、出力画像は図中(C)の504のようにこの撮影プロトコルに事前設定されている角度に自動的に回転されて出力される。また、その際、患者方向情報もオリジナルの状態で出力される。このような場合、医療用検査システムは、患者情報に変更があったという情報を付与して画像と検査情報とを出力するようにしてもよい。
【0017】
図6は、プロトコル情報記憶部102を介して記憶されている情報を示した図である。
601のID情報は、撮影プロトコル毎に割り当てられたユニークな値である。
602のプロトコル名は、具体的な撮影部位を表す名称であり、GUI上の表示にも用いられる。
603は、患者方向情報である。このプロトコルがどの向きで撮影されるか事前に設定してある。
604は、検査部位情報である。このプロトコルがどの部位に属するか予め決められた定義語から最適な部位が設定される。
通常、外部システムから入力される検査オーダにはプロトコルIDのみが指示されているため、患者方向や検査部位情報は予め医療用検査システム内で保持されている情報を用いて撮影が行われる。
【0018】
<実施形態2>
実施形態1では回転操作が行われた場合に限定しているが、反転操作でも同様に画像を患者方向に合わせて変換して出力することができる。
【0019】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0020】
以上、上述した各実施形態によれば、同じ部位の画像は全て同じ向きに統一することができる。
【0021】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0022】
109 画像回転制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の検査装置であって、
患者の撮影画像と、前記撮影画像と関連付けられている予め設定された前記患者の方向を示す患者方向情報と、を表示装置に表示する表示手段と、
前記患者方向情報が示す方向の変更を指示された場合、前記表示装置に表示されている前記患者方向情報が示す方向を指示された方向に変更する患者方向変更手段と、
前記患者方向情報が示す方向が変更された場合、前記患者方向情報と関連付けられている前記撮影画像の向きを前記変更される前の患者方向情報が示す方向に変更する変更手段と、
前記変更手段で向きを変更された前記撮影画像を出力する出力手段と、
を有する検査装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記撮影画像を回転させることで、前記撮影画像の向きを前記変更される前の患者方向情報が示す方向に変更する請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記表示手段は、患者の撮影画像と、前記撮影画像と関連付けられている予め設定された前記患者の方向を示す患者方向情報と、前記患者方向情報が示す方向の変更を指示するためのオブジェクトと、を表示装置に表示し、
前記患者方向変更手段は、前記オブジェクトを介して、前記患者方向情報が示す方向の変更を指示された場合、前記表示装置に表示されている前記患者方向情報が示す方向を指示された方向に変更する請求項1又は2記載の検査装置。
【請求項4】
前記変更手段は、検査を終了する際に、前記患者方向情報が示す方向が変更されているか否かを判断し、前記患者方向情報が示す方向が変更されている場合、前記患者方向情報と関連付けられている前記撮影画像の向きを前記変更される前の患者方向情報が示す方向に変更する請求項1乃至3何れか1項記載の検査装置。
【請求項5】
医療用の検査装置が実行する情報処理方法であって、
患者の撮影画像と、前記撮影画像と関連付けられている予め設定された前記患者の方向を示す患者方向情報と、を表示装置に表示する表示ステップと、
前記患者方向情報が示す方向の変更を指示された場合、前記表示装置に表示されている前記患者方向情報が示す方向を指示された方向に変更する患者方向変更ステップと、
前記患者方向情報が示す方向が変更された場合、前記患者方向情報と関連付けられている前記撮影画像の向きを前記変更される前の患者方向情報が示す方向に変更する変更ステップと、
前記変更ステップで向きを変更された前記撮影画像を出力する出力ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
患者の撮影画像と、前記撮影画像と関連付けられている予め設定された前記患者の方向を示す患者方向情報と、を表示装置に表示する表示ステップと、
前記患者方向情報が示す方向の変更を指示された場合、前記表示装置に表示されている前記患者方向情報が示す方向を指示された方向に変更する患者方向変更ステップと、
前記患者方向情報が示す方向が変更された場合、前記患者方向情報と関連付けられている前記撮影画像の向きを前記変更される前の患者方向情報が示す方向に変更する変更ステップと、
前記変更ステップで向きを変更された前記撮影画像を出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−239827(P2012−239827A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116065(P2011−116065)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】