構台支持構造
【課題】 乗降客や列車の安全を確保しつつ、短工期で工事を終える。
【解決手段】本発明に係る構台支持構造1は、作業構台8の上面に上部支持機構としてのトラス11を立設し該トラスを介して作業構台8とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台12を支持するように構成してある。トラス11は、逆V字状に配置される2本の引張トラス材101a,101bと該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材101cとで構成し、一方の引張トラス材101aを作業構台8の上面に、他方の引張トラス材101bを可搬性構台12に連結するとともに、圧縮トラス材101cの下端を作業構台8の上面に連結して鉛直に立設してある。
【解決手段】本発明に係る構台支持構造1は、作業構台8の上面に上部支持機構としてのトラス11を立設し該トラスを介して作業構台8とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台12を支持するように構成してある。トラス11は、逆V字状に配置される2本の引張トラス材101a,101bと該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材101cとで構成し、一方の引張トラス材101aを作業構台8の上面に、他方の引張トラス材101bを可搬性構台12に連結するとともに、圧縮トラス材101cの下端を作業構台8の上面に連結して鉛直に立設してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として道路や営業路線列車が走行する線路が敷設された車両走行領域で杭施工を行う際に用いられる構台支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主要な駅周辺においては、さまざまなビルの間にペデストリアンデッキを設けることでビル同士を互いに結び、人々の利便性が図られてきたが、最近では、大規模再開発に伴って、もはやペデストリアンデッキと呼ぶにふさわしくないほどの規模を持ついわゆる人工地盤がビルの低層階高さに建設され、かかる人工地盤を介して超高層オフィスビルや高層マンションといった主要な施設が相互に結ばれるようになってきた。
【0003】
そして、人工地盤の規模はますます大きくなり、線路が敷設された上空にも人工地盤を延設して線路反対側のビル群と一体化を図ることも行われている。
【0004】
このような人工地盤は、営業路線の運行を何ら妨げることなく、駅周辺のビル群を自由に行き来することができるため、主要駅の再開発が行われる際には、今後ますます採用例が増えてくるであろうと予想されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−52293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、営業路線の上空に人工地盤を構築するにあたっては、該人工地盤の荷重を安全確実に地盤に伝達すべく、線路敷設領域にあらたな杭を構築し、かかる杭に柱を立設して人工地盤を支えることとなる。
【0007】
ここで、営業路線の線路敷設領域に杭を構築する条件として、公共交通機関である営業路線の運行に影響が出ないようにしつつ、コスト面においても可能な限り短工期で工事を終えることが望ましい。もちろん乗降客や列車の安全確保が重要であることは言うまでもない。
【0008】
しかしながら、従来の構築方法では、線路上方の作業架台に載置された回転動力装置でケーシングチューブを回転させつつ地盤内に貫入させていくため、ケーシングチューブは、杭径以上の径が必要となるのみならず、回転するケーシングチューブを露出させておくわけにはもちろんいかないため、これを内挿できるだけの保護用外管が必要となる。
【0009】
加えて、ケーシングチューブを貫入している間、油圧グラブを該ケーシングチューブ内に吊り下ろして掘削土砂を搬出するとともに、ある程度、ケーシングチューブが貫入されたならば、今度は、ケーシングチューブ内にドリリングバケットを吊り降ろし、杭孔の削孔を進めることになる。
【0010】
そのため、保護用外管は、その外径が概ね3mにも及ぶこととなり、作業架台に載置される回転動力装置を支持すべく、複数本の支柱を保護用外管の近傍に立設せねばならないこととも相まって、乗降客の利便性確保や列車の安全運行に支障を来す懸念があるという問題を生じていた。
【0011】
また、ケーシングチューブに杭径と同等以上の径が必要なため、たとえ軌道間で削孔スペースを確保することができたとしても、営業路線の運行中は工事を中断せねばならず、結果として工事が非効率的となって大幅に長期化するという問題も生じていた。
【0012】
道路についても状況はほぼ同様であり、例えば高速道路を通行止めにしなければ工事ができず、結果として工事が大幅に遅れることになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、乗降客や列車の安全を確保しつつ、短工期で工事を終えることが可能な構台支持構造を提供することを目的とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る構台支持構造は請求項1に記載したように、作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するように構成したものである。
【0015】
また、本発明に係る構台支持構造は、前記上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆V字状に配置される2本の引張トラス材と該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記2本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設したものである。
【0016】
また、本発明に係る構台支持構造は、前記可搬性構台に作業孔を形成するとともに保護管を吊持する吊持機構を設け、該吊持機構を前記作業構台に対して進退自在に構成することにより、前記保護管を吊持するときには前記吊持機構を前記作業構台から後退させて前記作業孔と同じ平面位置に移動し、前記作業孔を解放するときには前記吊持機構を前記作業構台の方向に前進させて前記作業孔から待避させるように構成したものである。
【0017】
また、本発明に係る構台支持構造は、前記吊持機構に位置調整機構を設けることにより、吊持される前記保護管の平面位置を調整できるように構成したものである。
【0018】
本発明に係る構台支持構造においては、作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するように構成してある。
【0019】
そのため、可搬性構台の下方に支柱を設ける必要がなくなり、該可搬性構台の下方を車両が走行する場合であっても、何らその車両の運行を妨げるおそれがない。加えて、支柱を設ける必要がないため、地盤の地耐力を何ら考慮する必要がなくなる。
【0020】
上部支持機構は、作業構台に隣接する可搬性構台を支持できる機構であればどのようなものでもかまわない。例えば、作業構台の可搬性構台側に柱を立設し、該柱の頂部近傍と作業構台の反対側及び可搬性構台の先端近傍とをPC鋼線、ワイヤー等の引張材でつなぐことで、斜張橋と類似の支持構造とすることが可能である。また、作業構台にラーメン架構を立設し、該ラーメン架構の頂部と可搬性構台の先端近傍とを引張材で連結するようにしてもかまわない。
【0021】
ここで、上部支持機構のさらなる具体的構成として、上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆V字状に配置される2本の引張トラス材と該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記2本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設した構成とすることができる。
【0022】
可搬性構台は、単なる構台として利用するようにしてもかまわないが、前記可搬性構台に作業孔を形成するとともに保護管を吊持する吊持機構を設け、該吊持機構を前記作業構台に対して進退自在に構成することにより、前記保護管を吊持するときには前記吊持機構を前記作業構台から後退させて前記作業孔と同じ平面位置に移動し、前記作業孔を解放するときには前記吊持機構を前記作業構台の方向に前進させて前記作業孔から待避させるように構成したならば、可搬性構台を利用した杭打作業を効率よく行うことができる。
【0023】
なお、本明細書では上述した記載からもわかるとおり、作業構台に接近する移動を前進、作業構台から離れる移動を後退と呼ぶこととする。
【0024】
保護管は、リバース工法であればドリルパイプを挿通するためのものであり、90cm程度の外径があれば十分であり、列車走行の支障とはならない。
【0025】
吊持機構は、地表面の凹部に仮置きされたドリルビットにドリルパイプを連結する作業を行う際、保護管を仮吊持するとともに、それらを連結後、正規の高さ位置まで降ろしてから保護管をその上端近傍で吊持して揺れを防止する役目も果たす。吊持機構は例えばチャックで構成することができるが、可搬性構台からワイヤーで吊持する機構とすることも考えられる。
【0026】
さらに、前記吊持機構に位置調整機構を設けることにより、吊持される前記保護管の平面位置を調整できるように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る構台支持構造を車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法に適用した場合の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る構台支持構造を示した図である。同図でわかるように、本実施形態に係る構台支持構造1は、作業構台8の上面に上部支持機構としてのトラス11を立設し該トラスを介して作業構台8とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台12を支持するように構成してある。
【0029】
トラス11は、逆V字状に配置される2本の引張トラス材101a,101bと該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材101cとで構成し、2本の引張トラス材の内、一方の引張トラス材101aを作業構台8の上面に、他方の引張トラス材101bを可搬性構台12に連結するとともに、圧縮トラス材101cの下端を作業構台8の上面に連結して鉛直に立設してある。
【0030】
また、トラス11は図1(c)でよくわかるように、可搬性構台12の両側方にそれぞれ配置してあるとともに、それらの頂部を連結材102で互いに連結してある。
【0031】
ここで、トラス11の各部材や可搬性構台12に歪みゲージや自動レベル測量装置を取り付けることにより、トラス11や可搬性構台12の変位を常時監視するのが望ましい。
【0032】
可搬性構台12には図2に示すように作業孔13を形成してあるとともに、該作業孔と概ね同じ平面位置に保護管を吊持する吊持機構としてのチャック14を設けてあり、さらにチャック14をスライドガイドレール15,15に沿って進退自在に構成することにより、保護管を吊持するときにはチャック14を作業構台8から後退させて作業孔13と同じ平面位置に移動し、作業孔13を解放するときには、チャック14を作業構台8の方向に前進させて作業孔13から待避させるように構成してある。
【0033】
また、チャック14には位置調整機構であるシリンダ16,16及びシリンダ17,17を設けることにより、吊持される保護管の平面位置を水平2方向で調整できるように構成してある。
【0034】
本実施形態に係る構台支持構造1を用いて杭の施工及び人工地盤の構築を行う例を以下に説明する。
【0035】
すなわち、まず図3に示すように、先行構築された人工地盤1を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤2を構築するための作業構台8とする。
【0036】
次に、車両走行領域である線路敷設領域における線路と線路の間に凹部4を例えば深礎工法で掘削形成し、該凹部内にリバース工法用ドリルビット3を仮置きする。
【0037】
リバース工法用ドリルビット3は、クレーン7で凹部4内に吊り込むとともに、例えば凹部4の孔底に敷き込まれたバタ材の上に仮置きするようにすればよい。
【0038】
かかる凹部4は、杭孔を掘削する地表面での開始点となるため、同図(b)に示すように凹部用覆工板5を凹部4の上に載置して安全を確保するが、かかる凹部用覆工板5には、後述する保護管の下端を接合して該保護管の振れを防止するための保護管連通孔6を形成してある。凹部用覆工板5を載置する範囲には、地盤面に土間コンクリートを打設しておく。
【0039】
凹部用覆工板5は、後述するように工事の進捗に応じて随時、仮撤去されたり、再度設置したりされることになる。
【0040】
なお、凹部4を掘削形成するにあたっては、該凹部の掘削及びそれに引き続くリバース工法による杭孔の掘削に伴って列車走行に影響が及ぶことがないよう、必要に応じ公知の方法で線路及びその上を走行する列車荷重を仮桁や仮杭を用いて適宜支持する。
【0041】
次に、図4(a)に示すように作業構台8の上面にトラス11を立設するとともに、可搬性構台12をクレーン7で吊り降ろし、作業構台8とほぼ同一高さとなる位置で静止し、かかる状態で作業構台8にピンジョイントを介して連結するとともに、トラス11を介して可搬性構台12を支持する。
【0042】
次に、同図に示すように可搬性構台12の作業孔13及びチャック14の中央開口に保護管18を挿通し、次いで、チャック14で保護管18を吊持する。
【0043】
ここで、保護管18を吊持するにあたっては、クレーン7でいったん上述したように吊り込んだ後、チャック14を駆動して保護管18を吊持するとともに、チャック14に設けられた位置調整機構であるシリンダ16,16及びシリンダ17,17を駆動して水平2方向に水平位置を調整する。
【0044】
次に、図5に示すように、吊持された状態の保護管18内にドリルパイプ21を挿通するとともに該ドリルパイプと送水管22とを凹部用覆工板5に形成された保護管連通孔6に挿通し、しかる後、ドリルパイプ21の先端をドリルビット3に連結する。
【0045】
送水管22は、保護管18の内面に設けられたパイプ収容部23内に挿通してあり、該パイプ収容部は、保護管18の内面との間にパイプ収容空間が形成されるよう、C字状断面に形成されたガード板を保護管18の内面に取り付けて構成してあり、かかる構成によって、ドリルパイプ21の回転から送水管22を保護することができる。
【0046】
次に、凹部4の上に凹部用覆工板5を設置し、次いでチャック14を緩めて保護管18を降ろし、その下端を凹部用覆工板5に形成された保護管連通孔6に接合する。
【0047】
チャック14に設けられたシリンダ16,16及びシリンダ17,17による保護管18の水平2方向調整は、保護管18の下端がこの保護管連通孔6にちょうど接合できるよう、予め水平位置を決めておくものである。
【0048】
このように保護管18の下端を凹部用覆工板5の保護管連通孔6に接合した後は、再度チャック14で保護管18を吊持して固定する。
【0049】
かかる状態においては、保護管18は、その上端においてチャック14で固定され、下端において凹部用覆工板5で固定されることとなり、ドリルパイプ21の回転に伴う振動が発生したとしても、保護管18を安全に保持しておくことが可能となる。
【0050】
これら一連のステップ101〜ステップ106は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【0051】
以下、この状態でリバース工法により杭孔の削孔を行う。
【0052】
すなわち、上述した状態で送水管22から注水を行いながら、図6に示すようにロータリーテーブル31でドリルパイプ21を回転させることにより、該ドリルパイプに連結されたドリルビット3で杭孔を掘削し、掘削ずりが混入した坑内の泥水をドリルビット3に内蔵されたポンプ(図示せず)により、ドリルパイプ21内の中空空間を介して地上に揚水する。
【0053】
ここで、ロータリーテーブル31は、ベースマシン32に取り付けられたリーダー33に昇降自在に取り付ける形態で可搬性構台上に設けることができる。
【0054】
かかるステップ107は、ドリルパイプ21を回転させることによりドリルビット3で孔底を掘り下げるリバース工法による掘削作業となるが、ドリルパイプ21が保護管18内に挿入してあるとともに泥水もドリルパイプ21内の中空空間を介して揚泥されるため、掘削作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【0055】
掘削終了後、凹部用覆工板5及び保護管18を仮撤去するとともに、ドリルパイプ21及びドリルビット3を撤去する。
【0056】
次に、図7に示すように可搬性構台12に形成された作業孔13を介して杭孔に鉄筋籠41を建て込む。鉄筋籠41を建て込むにあたっては、該鉄筋籠の体積に相当する量の泥水があふれないよう、サンドポンプ42を凹部4内に設置して孔内の泥水を適宜揚泥しながら行う。
【0057】
次に、図8に示すように保護管18を再び作業孔13から建て込み、チャック14で吊持する。
【0058】
ここで、保護管18を建て込むにあたっては、該保護管内のパイプ収容部23に挿通された揚泥管51を凹部用覆工板5の保護管連通孔6に通した上、該揚泥管の下端をサンドポンプ42につなぐ。
【0059】
次に、かかる状態にて杭孔の上に凹部用覆工板5を置き、次いで保護管18の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔6に接合した後、保護管18内にトレミー管52を挿入する。
【0060】
これら一連のステップ108〜ステップ111は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【0061】
次に、トレミー管52を介して水中コンクリート打設を行いつつ、サンドポンプ42で杭孔内の泥水を揚泥管51を介して地上に揚泥する。かかるステップ112はコンクリート打設作業となるが、トレミー管52が保護管18内に挿入してあるとともに、泥水も保護管18内のパイプ収容部23に挿通された揚泥管51を介して揚泥されるため、コンクリート作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【0062】
水中コンクリートを硬化させて現場打ちRC杭61を施工した後は、図9に示すように可搬性構台12、保護管18、凹部用覆工板5及びトラス7を撤去するとともに、RC杭61の天端にアンカー62を貫入し、該アンカーを用いて鉄骨柱71をRC杭61の頂部に立設するとともに、凹部4内にコンクリートを充填する。
【0063】
次に、作業構台8の鉄骨梁からあらたな鉄骨梁72を延設して該鉄骨梁を鉄骨柱71で支持するとともに、図11に示すように、あらたに延設された鉄骨梁72に床板81を敷設してあらたな人工地盤とする。
【0064】
これらステップ113〜114は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る構台支持構造1によれば、可搬性構台12をトラス11で支持するようにしたので、可搬性構台12を支持するための余計な支柱を線路敷設領域に立設する必要がなくなる。
【0066】
したがって、列車の運行を妨げる懸念がなくなるとともに、列車走行の安全性を全く損なうことなく、しかも、杭の施工と人工地盤の構築とを、営業路線の運行時間帯と非運行時間帯とで使い分けながら全体として連続施工することができるので、杭の施工及び人工地盤の構築を短工期に行うことが可能となる。
【0067】
加えて、支柱を設ける必要がないため、地盤の地耐力を何ら考慮する必要がなくなるとともに、それに関連して地盤沈下を懸念する必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態に係る構台支持構造を示した図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はA−A線方向から見た矢視図。
【図2】可搬性構台12の平面図。
【図3】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図4】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図5】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図6】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図7】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図8】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図9】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図10】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図11】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【符号の説明】
【0069】
1 構台支持構造
11 トラス(上部支持機構)
12 可搬性構台
13 作業孔
14 チャック(吊持機構)
101a,101b 引張トラス材
101c 圧縮トラス材
16,16 シリンダ(位置調整機構)
17,17 シリンダ(位置調整機構)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として道路や営業路線列車が走行する線路が敷設された車両走行領域で杭施工を行う際に用いられる構台支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主要な駅周辺においては、さまざまなビルの間にペデストリアンデッキを設けることでビル同士を互いに結び、人々の利便性が図られてきたが、最近では、大規模再開発に伴って、もはやペデストリアンデッキと呼ぶにふさわしくないほどの規模を持ついわゆる人工地盤がビルの低層階高さに建設され、かかる人工地盤を介して超高層オフィスビルや高層マンションといった主要な施設が相互に結ばれるようになってきた。
【0003】
そして、人工地盤の規模はますます大きくなり、線路が敷設された上空にも人工地盤を延設して線路反対側のビル群と一体化を図ることも行われている。
【0004】
このような人工地盤は、営業路線の運行を何ら妨げることなく、駅周辺のビル群を自由に行き来することができるため、主要駅の再開発が行われる際には、今後ますます採用例が増えてくるであろうと予想されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−52293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、営業路線の上空に人工地盤を構築するにあたっては、該人工地盤の荷重を安全確実に地盤に伝達すべく、線路敷設領域にあらたな杭を構築し、かかる杭に柱を立設して人工地盤を支えることとなる。
【0007】
ここで、営業路線の線路敷設領域に杭を構築する条件として、公共交通機関である営業路線の運行に影響が出ないようにしつつ、コスト面においても可能な限り短工期で工事を終えることが望ましい。もちろん乗降客や列車の安全確保が重要であることは言うまでもない。
【0008】
しかしながら、従来の構築方法では、線路上方の作業架台に載置された回転動力装置でケーシングチューブを回転させつつ地盤内に貫入させていくため、ケーシングチューブは、杭径以上の径が必要となるのみならず、回転するケーシングチューブを露出させておくわけにはもちろんいかないため、これを内挿できるだけの保護用外管が必要となる。
【0009】
加えて、ケーシングチューブを貫入している間、油圧グラブを該ケーシングチューブ内に吊り下ろして掘削土砂を搬出するとともに、ある程度、ケーシングチューブが貫入されたならば、今度は、ケーシングチューブ内にドリリングバケットを吊り降ろし、杭孔の削孔を進めることになる。
【0010】
そのため、保護用外管は、その外径が概ね3mにも及ぶこととなり、作業架台に載置される回転動力装置を支持すべく、複数本の支柱を保護用外管の近傍に立設せねばならないこととも相まって、乗降客の利便性確保や列車の安全運行に支障を来す懸念があるという問題を生じていた。
【0011】
また、ケーシングチューブに杭径と同等以上の径が必要なため、たとえ軌道間で削孔スペースを確保することができたとしても、営業路線の運行中は工事を中断せねばならず、結果として工事が非効率的となって大幅に長期化するという問題も生じていた。
【0012】
道路についても状況はほぼ同様であり、例えば高速道路を通行止めにしなければ工事ができず、結果として工事が大幅に遅れることになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、乗降客や列車の安全を確保しつつ、短工期で工事を終えることが可能な構台支持構造を提供することを目的とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る構台支持構造は請求項1に記載したように、作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するように構成したものである。
【0015】
また、本発明に係る構台支持構造は、前記上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆V字状に配置される2本の引張トラス材と該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記2本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設したものである。
【0016】
また、本発明に係る構台支持構造は、前記可搬性構台に作業孔を形成するとともに保護管を吊持する吊持機構を設け、該吊持機構を前記作業構台に対して進退自在に構成することにより、前記保護管を吊持するときには前記吊持機構を前記作業構台から後退させて前記作業孔と同じ平面位置に移動し、前記作業孔を解放するときには前記吊持機構を前記作業構台の方向に前進させて前記作業孔から待避させるように構成したものである。
【0017】
また、本発明に係る構台支持構造は、前記吊持機構に位置調整機構を設けることにより、吊持される前記保護管の平面位置を調整できるように構成したものである。
【0018】
本発明に係る構台支持構造においては、作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するように構成してある。
【0019】
そのため、可搬性構台の下方に支柱を設ける必要がなくなり、該可搬性構台の下方を車両が走行する場合であっても、何らその車両の運行を妨げるおそれがない。加えて、支柱を設ける必要がないため、地盤の地耐力を何ら考慮する必要がなくなる。
【0020】
上部支持機構は、作業構台に隣接する可搬性構台を支持できる機構であればどのようなものでもかまわない。例えば、作業構台の可搬性構台側に柱を立設し、該柱の頂部近傍と作業構台の反対側及び可搬性構台の先端近傍とをPC鋼線、ワイヤー等の引張材でつなぐことで、斜張橋と類似の支持構造とすることが可能である。また、作業構台にラーメン架構を立設し、該ラーメン架構の頂部と可搬性構台の先端近傍とを引張材で連結するようにしてもかまわない。
【0021】
ここで、上部支持機構のさらなる具体的構成として、上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆V字状に配置される2本の引張トラス材と該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記2本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設した構成とすることができる。
【0022】
可搬性構台は、単なる構台として利用するようにしてもかまわないが、前記可搬性構台に作業孔を形成するとともに保護管を吊持する吊持機構を設け、該吊持機構を前記作業構台に対して進退自在に構成することにより、前記保護管を吊持するときには前記吊持機構を前記作業構台から後退させて前記作業孔と同じ平面位置に移動し、前記作業孔を解放するときには前記吊持機構を前記作業構台の方向に前進させて前記作業孔から待避させるように構成したならば、可搬性構台を利用した杭打作業を効率よく行うことができる。
【0023】
なお、本明細書では上述した記載からもわかるとおり、作業構台に接近する移動を前進、作業構台から離れる移動を後退と呼ぶこととする。
【0024】
保護管は、リバース工法であればドリルパイプを挿通するためのものであり、90cm程度の外径があれば十分であり、列車走行の支障とはならない。
【0025】
吊持機構は、地表面の凹部に仮置きされたドリルビットにドリルパイプを連結する作業を行う際、保護管を仮吊持するとともに、それらを連結後、正規の高さ位置まで降ろしてから保護管をその上端近傍で吊持して揺れを防止する役目も果たす。吊持機構は例えばチャックで構成することができるが、可搬性構台からワイヤーで吊持する機構とすることも考えられる。
【0026】
さらに、前記吊持機構に位置調整機構を設けることにより、吊持される前記保護管の平面位置を調整できるように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る構台支持構造を車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法に適用した場合の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る構台支持構造を示した図である。同図でわかるように、本実施形態に係る構台支持構造1は、作業構台8の上面に上部支持機構としてのトラス11を立設し該トラスを介して作業構台8とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台12を支持するように構成してある。
【0029】
トラス11は、逆V字状に配置される2本の引張トラス材101a,101bと該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材101cとで構成し、2本の引張トラス材の内、一方の引張トラス材101aを作業構台8の上面に、他方の引張トラス材101bを可搬性構台12に連結するとともに、圧縮トラス材101cの下端を作業構台8の上面に連結して鉛直に立設してある。
【0030】
また、トラス11は図1(c)でよくわかるように、可搬性構台12の両側方にそれぞれ配置してあるとともに、それらの頂部を連結材102で互いに連結してある。
【0031】
ここで、トラス11の各部材や可搬性構台12に歪みゲージや自動レベル測量装置を取り付けることにより、トラス11や可搬性構台12の変位を常時監視するのが望ましい。
【0032】
可搬性構台12には図2に示すように作業孔13を形成してあるとともに、該作業孔と概ね同じ平面位置に保護管を吊持する吊持機構としてのチャック14を設けてあり、さらにチャック14をスライドガイドレール15,15に沿って進退自在に構成することにより、保護管を吊持するときにはチャック14を作業構台8から後退させて作業孔13と同じ平面位置に移動し、作業孔13を解放するときには、チャック14を作業構台8の方向に前進させて作業孔13から待避させるように構成してある。
【0033】
また、チャック14には位置調整機構であるシリンダ16,16及びシリンダ17,17を設けることにより、吊持される保護管の平面位置を水平2方向で調整できるように構成してある。
【0034】
本実施形態に係る構台支持構造1を用いて杭の施工及び人工地盤の構築を行う例を以下に説明する。
【0035】
すなわち、まず図3に示すように、先行構築された人工地盤1を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤2を構築するための作業構台8とする。
【0036】
次に、車両走行領域である線路敷設領域における線路と線路の間に凹部4を例えば深礎工法で掘削形成し、該凹部内にリバース工法用ドリルビット3を仮置きする。
【0037】
リバース工法用ドリルビット3は、クレーン7で凹部4内に吊り込むとともに、例えば凹部4の孔底に敷き込まれたバタ材の上に仮置きするようにすればよい。
【0038】
かかる凹部4は、杭孔を掘削する地表面での開始点となるため、同図(b)に示すように凹部用覆工板5を凹部4の上に載置して安全を確保するが、かかる凹部用覆工板5には、後述する保護管の下端を接合して該保護管の振れを防止するための保護管連通孔6を形成してある。凹部用覆工板5を載置する範囲には、地盤面に土間コンクリートを打設しておく。
【0039】
凹部用覆工板5は、後述するように工事の進捗に応じて随時、仮撤去されたり、再度設置したりされることになる。
【0040】
なお、凹部4を掘削形成するにあたっては、該凹部の掘削及びそれに引き続くリバース工法による杭孔の掘削に伴って列車走行に影響が及ぶことがないよう、必要に応じ公知の方法で線路及びその上を走行する列車荷重を仮桁や仮杭を用いて適宜支持する。
【0041】
次に、図4(a)に示すように作業構台8の上面にトラス11を立設するとともに、可搬性構台12をクレーン7で吊り降ろし、作業構台8とほぼ同一高さとなる位置で静止し、かかる状態で作業構台8にピンジョイントを介して連結するとともに、トラス11を介して可搬性構台12を支持する。
【0042】
次に、同図に示すように可搬性構台12の作業孔13及びチャック14の中央開口に保護管18を挿通し、次いで、チャック14で保護管18を吊持する。
【0043】
ここで、保護管18を吊持するにあたっては、クレーン7でいったん上述したように吊り込んだ後、チャック14を駆動して保護管18を吊持するとともに、チャック14に設けられた位置調整機構であるシリンダ16,16及びシリンダ17,17を駆動して水平2方向に水平位置を調整する。
【0044】
次に、図5に示すように、吊持された状態の保護管18内にドリルパイプ21を挿通するとともに該ドリルパイプと送水管22とを凹部用覆工板5に形成された保護管連通孔6に挿通し、しかる後、ドリルパイプ21の先端をドリルビット3に連結する。
【0045】
送水管22は、保護管18の内面に設けられたパイプ収容部23内に挿通してあり、該パイプ収容部は、保護管18の内面との間にパイプ収容空間が形成されるよう、C字状断面に形成されたガード板を保護管18の内面に取り付けて構成してあり、かかる構成によって、ドリルパイプ21の回転から送水管22を保護することができる。
【0046】
次に、凹部4の上に凹部用覆工板5を設置し、次いでチャック14を緩めて保護管18を降ろし、その下端を凹部用覆工板5に形成された保護管連通孔6に接合する。
【0047】
チャック14に設けられたシリンダ16,16及びシリンダ17,17による保護管18の水平2方向調整は、保護管18の下端がこの保護管連通孔6にちょうど接合できるよう、予め水平位置を決めておくものである。
【0048】
このように保護管18の下端を凹部用覆工板5の保護管連通孔6に接合した後は、再度チャック14で保護管18を吊持して固定する。
【0049】
かかる状態においては、保護管18は、その上端においてチャック14で固定され、下端において凹部用覆工板5で固定されることとなり、ドリルパイプ21の回転に伴う振動が発生したとしても、保護管18を安全に保持しておくことが可能となる。
【0050】
これら一連のステップ101〜ステップ106は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【0051】
以下、この状態でリバース工法により杭孔の削孔を行う。
【0052】
すなわち、上述した状態で送水管22から注水を行いながら、図6に示すようにロータリーテーブル31でドリルパイプ21を回転させることにより、該ドリルパイプに連結されたドリルビット3で杭孔を掘削し、掘削ずりが混入した坑内の泥水をドリルビット3に内蔵されたポンプ(図示せず)により、ドリルパイプ21内の中空空間を介して地上に揚水する。
【0053】
ここで、ロータリーテーブル31は、ベースマシン32に取り付けられたリーダー33に昇降自在に取り付ける形態で可搬性構台上に設けることができる。
【0054】
かかるステップ107は、ドリルパイプ21を回転させることによりドリルビット3で孔底を掘り下げるリバース工法による掘削作業となるが、ドリルパイプ21が保護管18内に挿入してあるとともに泥水もドリルパイプ21内の中空空間を介して揚泥されるため、掘削作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【0055】
掘削終了後、凹部用覆工板5及び保護管18を仮撤去するとともに、ドリルパイプ21及びドリルビット3を撤去する。
【0056】
次に、図7に示すように可搬性構台12に形成された作業孔13を介して杭孔に鉄筋籠41を建て込む。鉄筋籠41を建て込むにあたっては、該鉄筋籠の体積に相当する量の泥水があふれないよう、サンドポンプ42を凹部4内に設置して孔内の泥水を適宜揚泥しながら行う。
【0057】
次に、図8に示すように保護管18を再び作業孔13から建て込み、チャック14で吊持する。
【0058】
ここで、保護管18を建て込むにあたっては、該保護管内のパイプ収容部23に挿通された揚泥管51を凹部用覆工板5の保護管連通孔6に通した上、該揚泥管の下端をサンドポンプ42につなぐ。
【0059】
次に、かかる状態にて杭孔の上に凹部用覆工板5を置き、次いで保護管18の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔6に接合した後、保護管18内にトレミー管52を挿入する。
【0060】
これら一連のステップ108〜ステップ111は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【0061】
次に、トレミー管52を介して水中コンクリート打設を行いつつ、サンドポンプ42で杭孔内の泥水を揚泥管51を介して地上に揚泥する。かかるステップ112はコンクリート打設作業となるが、トレミー管52が保護管18内に挿入してあるとともに、泥水も保護管18内のパイプ収容部23に挿通された揚泥管51を介して揚泥されるため、コンクリート作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【0062】
水中コンクリートを硬化させて現場打ちRC杭61を施工した後は、図9に示すように可搬性構台12、保護管18、凹部用覆工板5及びトラス7を撤去するとともに、RC杭61の天端にアンカー62を貫入し、該アンカーを用いて鉄骨柱71をRC杭61の頂部に立設するとともに、凹部4内にコンクリートを充填する。
【0063】
次に、作業構台8の鉄骨梁からあらたな鉄骨梁72を延設して該鉄骨梁を鉄骨柱71で支持するとともに、図11に示すように、あらたに延設された鉄骨梁72に床板81を敷設してあらたな人工地盤とする。
【0064】
これらステップ113〜114は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る構台支持構造1によれば、可搬性構台12をトラス11で支持するようにしたので、可搬性構台12を支持するための余計な支柱を線路敷設領域に立設する必要がなくなる。
【0066】
したがって、列車の運行を妨げる懸念がなくなるとともに、列車走行の安全性を全く損なうことなく、しかも、杭の施工と人工地盤の構築とを、営業路線の運行時間帯と非運行時間帯とで使い分けながら全体として連続施工することができるので、杭の施工及び人工地盤の構築を短工期に行うことが可能となる。
【0067】
加えて、支柱を設ける必要がないため、地盤の地耐力を何ら考慮する必要がなくなるとともに、それに関連して地盤沈下を懸念する必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態に係る構台支持構造を示した図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はA−A線方向から見た矢視図。
【図2】可搬性構台12の平面図。
【図3】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図4】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図5】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図6】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図7】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図8】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図9】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図10】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【図11】本実施形態に係る構台支持構造を用いて人工地盤を構築する手順を示した作業図。
【符号の説明】
【0069】
1 構台支持構造
11 トラス(上部支持機構)
12 可搬性構台
13 作業孔
14 チャック(吊持機構)
101a,101b 引張トラス材
101c 圧縮トラス材
16,16 シリンダ(位置調整機構)
17,17 シリンダ(位置調整機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するように構成したことを特徴とする構台支持構造。
【請求項2】
前記上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆V字状に配置される2本の引張トラス材と該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記2本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設した請求項1記載の構台支持構造。
【請求項3】
前記可搬性構台に作業孔を形成するとともに保護管を吊持する吊持機構を設け、該吊持機構を前記作業構台に対して進退自在に構成することにより、前記保護管を吊持するときには前記吊持機構を前記作業構台から後退させて前記作業孔と同じ平面位置に移動し、前記作業孔を解放するときには前記吊持機構を前記作業構台の方向に前進させて前記作業孔から待避させるように構成した請求項1又は請求項2記載の構台支持構造。
【請求項4】
前記吊持機構に位置調整機構を設けることにより、吊持される前記保護管の平面位置を調整できるように構成した請求項3記載の構台支持構造。
【請求項1】
作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するように構成したことを特徴とする構台支持構造。
【請求項2】
前記上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆V字状に配置される2本の引張トラス材と該2本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記2本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設した請求項1記載の構台支持構造。
【請求項3】
前記可搬性構台に作業孔を形成するとともに保護管を吊持する吊持機構を設け、該吊持機構を前記作業構台に対して進退自在に構成することにより、前記保護管を吊持するときには前記吊持機構を前記作業構台から後退させて前記作業孔と同じ平面位置に移動し、前記作業孔を解放するときには前記吊持機構を前記作業構台の方向に前進させて前記作業孔から待避させるように構成した請求項1又は請求項2記載の構台支持構造。
【請求項4】
前記吊持機構に位置調整機構を設けることにより、吊持される前記保護管の平面位置を調整できるように構成した請求項3記載の構台支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−83664(P2006−83664A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271881(P2004−271881)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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