説明

横葺き段付金属屋根部材

【課題】 市販の横葺き金属屋根板で屋根板を一部切り取る等して屋根下地に屋根を貫通して吊子を取り付け、その吊子に太陽光発電素子板を固定し、屋根板の貫通部の防水処理をしたものや屋根板を貫通させずや根板の重なり部を掴むクランプ式金具を取り付ける物は、存在していたが、金属屋根板を掴んだ部分を凹ませて変形させ屋根に固定した金属屋根を葺き上げるものがあった。
【解決手段】 金属屋根板1で、表面上に係止部3を形成し、屋根吊子12にバックアップ部14や係止部13、突っ張り部15などを形成したことによりクランプ式金具22で該係止部3を掴んだ場合に金属屋根板1に強固に固定でき、屋根板の変形窪みを少なくできる係止部13を具備する金属屋根部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属屋根板の上面に装着する太陽光発電素子板や太陽熱温水器等の設備機器、及び、雪止め金具や融雪機器等を据え付ける場合に於いて、金属板製の屋根板の施工時に屋根板の一部を切り取るなどして屋根板を貫通した孔を穿けることがなく、屋根板の表面にクランプ式金具を介して屋根下地に前記設備機器等を固定する手段を備えたクランプ式金具と装着用屋根部材により強固に屋根下地に取り付けることを目的とした横葺き段付金属屋根部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板を表面材とした横葺き段付金属屋根上に太陽光発電素子板や太陽熱温水器等の集熱板、及び、降雪地帯の金属屋根の雪止めを設置する際には、屋根下地にこれらを強固に固定するためには金属板の屋根板の一部を切り欠いて屋根下地に取り付けのため主に貫通式金具を固定する方法が一般的に行われていた。また、図22に示すように金属横葺き段付屋根において段重ね部の屋根板をクランプ式金具の挟持部で挟み込んで屋根板の段付き部やその近傍を変形させて屋根板を介し屋根下地に間接的にクランプ式金具を固定する金属屋根部材が存在し、屋根板を切り欠くことのないものも一部に存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来技術の図22に示されたものは、金属屋根板の表面に形成した段付き部やその近傍を変形させ挟持する方法で、該屋根板表面に設置する太陽光発電素子板を取り付ける金具が固定されるために屋根板の表面が変形し美観を悪化させるきらいがあった。また、金属屋根板は、薄い鉄板のため台風や積雪などで変形をきたし段付き部及びその近傍の変形部が狭くなってクランプ式金具のクランプ力を減少させる可能性があり豪雪地帯や台風の多い地域ではクランプ強度を維持できる工法が求められていた。
また、従来の屋根板を一部切り欠いて屋根下地に直接に金具を固定する場合には、切り欠き部から雨水の浸入が多くなり屋根の漏水の危険が高いもので、それらは、防水パッキングや防水シール材を多用して漏水を防止する必要があり、これらは耐用年数により劣化して漏水するなどの問題があった。
また、積雪による荷重のためクランプ式金具にかかる力で金属屋根板のクランプ部や屋根板自身の落ち込み変形などでクランプ式金具が脱落する危険があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの横葺き段付金属屋根部材であり、次のようなものである。
横葺き段付金属屋根において、金属屋根板の表面上に設置する太陽熱温水器の集熱板や太陽光発電素子板等を屋根板に直接に固定するクランプ式金具を組み付ける金属屋根部材において、該金属屋根板の水上側に水返し部と水下側に段付け用の立下り部を長手方向に連続して形成し、尚且つ、該立下り部近傍において金属屋根板の表面にクランプ式金具の引っ掛け部が挟持して係止する溝状または段差状、あるいは突出状の係止部を長手方向に連続又は断続的に形成したことで行える構成である。
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りの横葺き段付金属屋根部材であり、次のようなものである。
請求項1記載の発明に加えて、前記金属屋根板の水下側の段付け用の立下り部の裏側においてクランプ式金具のクランプ力により金属屋根板が撓んで変形するのを防止する前記溝状または段差状、あるいは突出状の係止部を金属屋根板の裏面でバックアップするバックアップ部と係止部、および、前記横葺き段付金属屋根部材の水返し部の一部を吊り上げて屋根下地に固定する引っ掛かり部とネジ釘等で固定する固定部を形成した屋根吊子を使用し、クランプ式金具が金属のバネ特性を活用してネジ機構等を併用して上下の両端部で挟持する事ができる機構で、クランプ式金具の上側先端でクランプ式金具の引っ掛け部が係止する前記金属屋根板の溝状または段差状、あるいは突出状の係止部に嵌入できる形状の引っ掛け部と、下側先端にはクランプ受け部を形成したクランプ式金具によって前記屋根吊子のバックアップ部に形成した係止部と金属屋根板を挟み込んで該クランプ式金具を金属屋根板に固定する構成である。
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第3発明は、請求項3に記載された通りの横葺き段付金属屋根部材であり、次のようなものである。
請求項1または請求項2に記載の発明に加えて、前記クランプ式金具のクランプ力をバックアップする屋根吊子のバックアップ部と、クランプ式金具の引っ掛け部を係止する係止部と、金属屋根板を挟み込む時の突っ張り部、及び、その先端に折り曲がり部を形成し、該金属屋根板の立下り部におけるクランプ式金具のクランプ力による変形力に抗する突っ張り機構を屋根吊子の固定部と一体または別体に構成し、該クランプ式金具のクランプ力を高める構成である。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の第4発明は、請求項4に記載された通りの横葺き段付金属屋根部材であり、次のようなものである。
請求項2〜請求項3のいずれか1項に記載の発明に加えて、前記クランプ式金具の下側が当る金属屋根板の裏面において該クランプ式金具上に据付けられる機材等によって下向きにかかる力を受けて金属屋根板が押し下げられ変形することを防止するために金属板を図10の如く屋根吊子と一体または別体の一端部に折り曲げ加工をして受け台を形成し、或いは、図18の如くプレス成形してクランプ式金具の下側の屋根下地と屋根板の間に装着した構成である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第5発明は、請求項5に記載された通りの横葺き段付金属屋根部材であり、次のようなものである。
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の発明に加えて、前記金属屋根部材において、前記屋根吊子の一部を水上側に延長して金属屋根板中央部を支える中央バックアップ部とクランプ式金具用受け台を屋根吊子と一体に形成した構成である。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第6発明は、請求項6に記載された通りの横葺き段付金属屋根システムであり、次のようなものである。
請求項1または請求項2に記載の発明に加えて、横葺き段付金属屋根部材における金属屋根板の水下側の段付け用の立下り部の表面側において、前記係止部とクランプ式金具のクランプ力により金属屋根板が撓んで変形するのを防止するバックアップ部を一体に具備した外付け補助金具を該金属屋根板の立下り部近傍において、予め決められた位置にネジ釘等で固着し、前記クランプ式金具の引っ掛け部とクランプ受け台によってクランプ式金具を該金属屋根板に固定する構成である。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の第7発明は、請求項7に記載された通りの横葺き段付金属屋根システムであり、次のようなものである。
特許請求の範囲の請求項1〜請求項6のうち、いずれか1項に記載の横葺き段付金属屋根部材を使用して、金属屋根板の他の一部、または複数の前記金属屋根部材を組み合わせて横葺き段付金属屋根を施工し、クランプ式金具を取り付けられる金属屋根に構成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る横葺き段付金属屋根部材は、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)横葺き段付金属屋根部材は、金属板を連続的に折り曲げて加工したものであり、その両端部において下重ね部の上に次ぎに連続して横葺きする金属屋根板の上重ね部を重ね継ぎし、水上の水返し部に上段の横葺き段付金属屋根を施工する工法において、該金属屋根板の上に太陽光発電素子板等を金属屋根板に直接に固定するクランプ式金具の引っ掛け部がクランプ時に金属屋根板に形成された係止部に噛み合い強固に固定でき、更に構築物の屋根下地に金属屋根板を介して強固に固定できるため金属屋根板の一部を切り欠く必要が無く高い防水性を維持できる。
(2)横葺き段付き金属屋根部材、及び、クランプ力をバックアップする屋根吊子とこれを使って施工した金属屋根部材であるため、クランプ式金具の引っ掛け部がクランプ時に金属屋根板に形成された係止部に噛み合い屋根吊子のバックアップ部と係止部に裏打ちされてより強固に固定でき、更に構築物の屋根下地に金属屋根板と屋根吊子を介してより強固に固定でき、金属屋根板のクランプ式金具によるクランプされた近傍の変形を少なくできる。
(3)横葺き段付き金属屋根部材に取り付けるクランプ式金具のクランプ力をバックアップする屋根吊子のバックアップ部と引っ掛け部が係止する係止部と屋根板の立下り部を挟み込む時に耐力を出す突っ張り部、及び、その先端に折り曲がり部を形成して該クランプ式金具のクランプ力を高める屋根吊子を使用して本発明の金属屋根部材では、更に強固なクランプ式金具の固定ができ、強固に太陽光発電素子板等の設備機器や雪止め金具等を更に強固に屋根上に固定できる。
(4)横葺き段付金属屋根部材としての受け台は、該クランプ式金具の下側が当る金属屋根板の裏面において該クランプ式金具の上に設置する機器の重量でかかる下向きの力を受け金属屋根板が押し下げられ変形することを防止する。
(5)横葺き段付金属屋根部材で金属板を連続して成形して中央バックアップ部を一体に形成した屋根吊子を使用した前記金属屋根部材において、クランプ式金具用の屋根吊子の一部を水上側に延長して金属屋根板中央部を裏面で支える中央バックアップ部とクランプ式金具用受け台を屋根吊子と一体に形成した構成の金属屋根部材では横葺き段付金属屋根とクランプ式金具が屋根下地にしっかり固定され屋根板表面も屋根下地に中央部でも支えられるため施工時や雪下ろし時等に踏みつけて変形するのを防止できる。
(6)本発明の金属屋根部材により板金業者が予め横葺き段付金属屋根を施工しておけば屋根板上に後施工の例えばクランプ式金具と太陽光発電素子板を取り付ける電気工事業者が金属屋根の切り込みや穴あけなどをせずに作業が行え、しかも、クランプ式金具を後付けできるので屋根の耐水性能を落すことなく強固に金属屋根上に電気工事業者だけでこれらの機器を設置でき、別々の専門業者で夫々に施工ができるため屋根漏水などに対して強い施工ができる利点がある。
(7)本発明の横葺き段付金属屋根部材によりクランプ式金具を取り付け施工した金属屋根において、太陽熱温水器等が不要になってこれらを取り外した際にも金属屋根板がクランプ式金具によってクランプされて撓み変形する量が少なく、取り外された後の屋根の美観が良好に保てる利点がある。
(8)本発明の横葺き段付金属屋根部材の端部におけるクランプ式金具の取り付け予定部に断面形状が略コ字形、略逆L字形の外付け補助金具を介することにより、金属屋根部材を組み合せて連結する際、クランプ式金具の締め付けで金属屋根部材の端部が潰されるのを防止する補強の効果が奏される利点がある。
(9)断面形状が略コ字形、略逆L字形の外付け補助金具は、従来の横葺き段付き金属屋根板に後付けで係止部やクランプ力に対抗する補強を形成することができ、クランプ式金具を取り付け施工できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
金属屋根の表面に設置する太陽光発電素子板や太陽熱温水器の集熱板、及び、積雪地帯に於ける雪止めなどを固定するクランプ式金具と装着用屋根部材及び横葺き段付金属屋根部材において、金属屋根板の水上側に水返し部と水下側に段付け用の立下り部を長手方向に連続して形成し、尚且つ、該立下り部近傍において金属屋根部材の表面にクランプ式金具の引っ掛け部が挟持して係止する溝状または段差状、あるいは突出状の係止部を長手方向に連続又は断続的に形成する。前記金属屋根板の水下側で段付け用の立下り部の裏側においてクランプ式金具のクランプ力により、金属屋根板が撓んで変形するのを防止する前記溝状または段差状、あるいは突出状の係止部を金属屋根板の裏面でバックアップするバックアップ部と係止部、および、前記水返し部の一部を吊り上げて屋根下地に固定する引っ掛かり部とネジ釘等で固定する固定部を形成した屋根吊子を使用する。該クランプ式金具は、金属のバネ特性を活用してネジ機構等を併用して上下の両端部で狭持する事ができる機構で、クランプ式金具の上側先端が前記金属屋根板のクランプ式金具の引っ掛け部を係止する溝状または段差状、或いは突出状の係止部にクランプ式金具の引っ掛け部を嵌入できる形状の引っ掛け部と下側先端にはクランプ受け部を形成したクランプ式金具によって該屋根吊子のバックアップ部に形成した係止部と金属屋根板を共に挟み込んで該クランプ式金具を金属屋根板に固定する。また、該屋根吊子は、前記金属屋根板の水下側で段付け用の立下り部の裏側においてもクランプ式金具のクランプ力により金属屋根板が撓んで変形するのを防止する前記溝状または段差状、あるいは突出状の係止部が嵌り込む形状で屋根板の裏面でバックアップするバックアップ部と係止部、および、前記水返し部の一部を吊り上げて屋根下地に固定する引っ掛かり部とネジ釘等で固定する固定部を形成した屋根吊子とし、クランプ式金具が金属のバネ特性を活用してネジ等を併用して上下の両端部で狭持する事ができる機構で、クランプ式金具の上側先端の該金属屋根板のクランプ用溝状または段差状、あるいは突出状の係止部に嵌入、または引っ掛けができる引っ掛け部と下側先端には突っ張り部と折り曲がり部を該屋根吊子のバックアップ部に形成した係止部と金属屋根板を挟み込んで施工する。また、前記クランプ式金具の下側が当る金属屋根板の裏面において該クランプ式金具にかかる下向きの力を受け、金属屋根板が押し下げられて変形することを防止する受け台をクランプ式金具の下側の屋根下地と金属屋根板の間に装着し施工する。しかる後に該クランプ式金具を該金属屋根板の係止部と引っ掛け部に挟み込んで固定する。これらの金属屋根部材を使用して該金属屋根全体を施工した後に施工した金属屋根の段付け用の立下り部にクランプ式金具を取り付けることができる金属屋根部材である。
さらに、クランプ式金具の取り付け予定部に係止部と補強部を断面が略コ字形状、略逆L字形状の補助金具を横葺き段付き金属屋根板の段付け部近傍に外付けできるようにした金属屋根部材である。
【実施例】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の一実施例に関して説明する。
図1は、本発明の第一実施例である金属板を折り曲げ加工して形成した金属屋根板1で、水上側には、水返し部2と固定部6、水下側には、凹溝状の係止部3を該金属屋根板1の表面において、端部近傍まで形成した係止部3と立下り部4、及び、引っ掛け部5を長手方向に連続的に成形し、一端部には、水が直線的に下方に流れる複数本のリブ10を形成した下重ね部7を屋根板面より若干下げて成形し、他端部には、固定部6と一部の水返し部2を切り欠いた切り欠き部9と端面の端曲げ部11を形成した上重ね部8を、両端に夫々を成形した金属屋根板1を示す上面図、図2は、第一実施例における金属屋根板1の正面図で、図3は、第一実施例における金属屋根板1の背面図、図4は、本発明の第一実施例における金属屋根板1の下重ね部7側から見た左側面図、図5は、第一実施例における金属屋根板1の上重ね部8側から見た右側面図、図6は、第一実施例における金属屋根板1中央部における縦断面図、図7は、第一実施例における係止部3の形状を変更し段差状に形成した金属屋根材の金属屋根板1中央部における縦断面図、図8は、第一実施例における係止部3の形状を幅広の溝状に形成した金属屋根板1の中央部の縦断面図、図9は、第一実施例における係止部3の形状を表面側に突出させて形成した金属屋根板1の一実施例で中央部の縦断面図である。
【0014】
図10は、屋根吊子12の第一実施例で、ネジ釘30等で金属屋根の水返し部2を引掛け屋根下地25に固定する固定部17と他端に折り曲げ部16と突っ張り部15を形成し、該金属屋根板1の下側で金属板を支持するバックアップ部14と使用される金属屋根板1の係止部3に嵌合する係止部3を一体に連続的に形成した屋根吊子12の断面図、図11は、屋根吊子12の他の第二実施例で、同様に使われる金属屋根板1に合わせた段差状の係止部13とバックアップ部14、及び、屋根板の立下り部4に内接できる形状の突っ張り部15と折り曲がり部16を形成し、固定部17側の金属板を延長し屋根板の中央部の裏側で金属屋根板1を支持する中央バックアップ部18を一体に長手方向に形成した屋根吊子12の断面図、図12は、図11の中央バックアップ部18を形成し金属屋根板1の水返し部2を引っ掛ける部分の異なる形状で他の第三実施例による屋根吊子12の斜視図、図13は、図12の中央バックアップ部18の金属板を更に延長してクランプ式金具22にかかる荷重を金属屋根板1の裏側で支え屋根下地25の間で荷重を受ける受け台部21を一体に形成した屋根吊子12の他の第四実施例による断面図、図14は、金属屋根板1の係止部3が突出型の場合に金属屋根板1の下側で嵌合する形状の係止部13を一体に形成し、突っ張り部15を金属板で2重に形成しクランプ耐力を高めた他の第五実施例の屋根吊子12の断面図、図15は、他の第六実施例でクランプ式金具22を設置する予定位置に予め想定して取り付けるための単片型屋根吊子12で、固定部17には予めネジ釘用孔20や屋根吊子12の変形体力を高めるための補強リブ19を一体に形成した一例を示す単片型屋根吊子12の斜視図、図16は、金属屋根板1の金属板が強くその固定部6のみで金属屋根の上に設置される機器の据付強度が確保できる金属屋根板1においてクランプ式金具22が取り付かる係止部3と立下り部4、及び、引っ掛け部5の内側に挿着できる形状の係止部13とバックアップ部14、突っ張り部15、及び、折り曲がり部16を連続的に折り曲げて形成した金属製の突っ張り補強38の一実施例で、クランプ式金具22のクランプ力を強化する部分のみの突っ張り補強38の断面図、図17は、金属製の突っ張り補強38で他の一実施例の斜視図である。
【0015】
図18は、第七実施例を示す単片型受け台26で金属板をプレス加工して受け台部29、固定部27、位置決めリブ28、及び、ネジ釘用孔20を形成して作成し、図15の単片型の屋根吊子12に対応して使用されるクランプ式金具22の荷重を支える単片型受け台26としての一実施例の斜視図、第八実施例は、図13に示す屋根吊子12で、受け台21、中央バックアップ部18、係止部13、バックアップ部14、及び、突っ張り部15を一体形成して作成し、図19の如く本発明の屋根部材を使用して屋根下地25に施工しクランプ式金具22を取り付け固定した状態を示す一実施例である。図19は、組み立てた施工状態を示す部分断面図、図20は、本発明の第九実施例で金属屋根部材に単片型屋根吊子12と単片型受け台26を使用して屋根下地25に施工し雪止め金具部39を装着したクランプ式金具22を所定の間隔で取り付け固定する直前の状態を示す一実施例の組み立て部分断面図、図21は、屋根吊子12を使って施工した金属屋根板33の部分断面図、図23(イ)は、金属屋根板の端部を補強するために、断面形状が略コ字形状の金具を取り付けた状態を示す右側面図、図23(ロ)は、前記略コ字形状の金具単体を示す右側面、図23(ハ)は、同じく正面図、図24は、第八実施例に係る金属屋根板を組み合せ連結する際、略コ字形状の金具を介してクランプ式金具を施工して組み付ける状態を示す屋根の部分縦断面図、図25は、第九実施例に係る金属屋根板を組み合せ連結する際、略コ字形状の金具を介して、クランプ式金具を施工して組み付ける状態を示す屋根の部分縦断面図、図26は、第八実施例に係る金属屋根板を組み合せ連結する際、略逆L字形状の金具を介してクランプ式金具を施工して組み付ける状態を示す屋根の部分縦断面図である。
【0016】
本発明の実施例と比較する従来の形状を示すと次の通りである。
図22は、公知例の金属屋根板33と屋根吊子32によるクランプ式金具22の取り付け状態を示す部分断面図である。
尚、本発明の屋根部材は、図示された以外にも夫々を組み合わせて使用することも出来、公知例の如く屋根板に固定部を有しない金属屋根板33であっても本発明のクランプ力を強化する構造の屋根吊子12を使って部分的に施工することも可能であり、また、他の屋根板の水返し部2の形状や立下り部4や引っ掛け部5の形状を一部で変更することができ、これらは本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0017】
次に、本発明について図1〜図20に基づいて具体的に実施例を説明する。
第一の発明は、図1〜図9に示す通り、金属屋根板1の表面材に水返し部2、係止部3、立下り部4、引っ掛け部5、及び、固定部6を断面形状にしてその長手方向に所定幅の金属板を連続して成形し、両端面において屋根板を重ね継ぎする場合には、図1と図4に示す下重ね部7、及び、図1と図5に示す上重ね部8、更に重ね継ぎ時に施工を易しくするために固定部6と水返し部2の一部を切り欠いた切り欠き部9、重ね継ぎした場所から屋根内部に侵入し漏水を防止するリブや端曲げ部11を左右の端面方向に一体に形成して製作する。また、その金属屋根板1の中央部における屋根板の大部分を占める位置の金属屋根板1の断面図は、図6の如くなり、長尺で所定長さに切断され、切断部を一部上重ね部8お下重ね部7、端曲げ部11(図1、4、5参照)を形成して作製する。下重ね部7には、金属屋根板1を横に繋いで施工する時にできる水の流れ方向の縦目地において防水処理のためにシール剤やフォームシール等を塗布することができ、その部の防水性を高める働きをすることができることや、またこれらの下重ね部7と上重ね部8の位置関係を左右逆の位置関係にすることができることは言うまでもない。図7は、前記金属屋根板1の係止部3を段差状にして形成した一例を示す。図8は、同様に係止部3の溝幅が広い状態で形成された一例を示す。図9は、同様に金属屋根板1の係止部3が溝ではなく逆に突出させて係止部3を形成した一実施例を示す。
なお、これらの係止部3は、図1に示したように下重ね部7と端曲げ部11の近傍まで連続的に形成しても良く、また、予め決められた位置に断続的に形成しても良いことは言うまでもない。
屋根吊子の第一実施例は、図10に示す通り、金属屋根材1の水返し部2に引掛けて屋根下地に固定する屋根吊子12に係止部13、クランプ式金具のクランプ力を金属屋根板の裏側で支えるバックアップ部14、クランプ力で金属屋根板の立下り部4にかかる変形力に抗する突っ張り部15、及び、水返し部2を引掛け吊り上げる折曲がり部16と固定部17を一体に有する長尺または短尺の屋根吊子12である。シート状の金属板をロール成形によって連続して形成し所定の長さに切断して作製するが、所定の寸法に切断した金属板をプレス等で折り曲げ加工をするなどして作製することもできる。その他に断面図の図14に示す屋根吊子12の様に係止部13を金属屋根板1の突出型の係止部3に合わせた形状の突出状の係止部13や水返し部2と立下り部4に合わせて幅を広げた突っ張り部15、及び、折り重ね状の折り曲げ部16を一体に形成する。図15に示すプレス成形と折り曲げ加工を行って屋根吊子12の強度を高める補強リブ19やネジ釘用孔20を形成した屋根吊子12や合成樹脂等で成形加工して同様の形状や働きをした屋根吊子12を作製できることは言うまでもない。また、斜視図の図12に示す屋根吊子12も本発明の範囲で、長さを例えば20〜100mmくらいに短くして作っても良いことは言うまでもない。勿論、100mm以上の長尺のものでも良いことは言うまでもない。
また、突っ張り部15の座屈強度を高めるために圧縮力のかかる方向に波状の折り曲げや板の枚数を増やすなどしてその部分の断面係数を高めることも有効であり、本発明の範囲であることは言うまでもない。
【0018】
また、金属屋根板1を長手方向の接ぎ重ねる部分の形状は、図1〜図5に示した形状に限らず、ただ単に平板状の重ね部や他の防水形状の継ぎ重ね部と本発明の金属屋根板1の特徴を組み合わせて作ることも可能で、本発明の特許請求の範囲であることは言うまでもない。
尚、該金属屋根板1の表面に形成した断続した溝状や段差状の係止部3は、予め表面に装着する金具の予定部近傍に部分的に金属板を断続的にプレス型や部分変形ロール型で部分的に変形させて形成することができることは言うまでもない。また、図1〜図6と図8に示す断面形状の金属屋根板1の係止部3の形状は、溝状の凹状係止部であるが、図7に示す断面形状の金属屋根板1の係止部3の形状は、段差状である。しかし、図9に示す断面形状の金属屋根板1の係止部3の形状は、逆に表面側へ突出状に形成した一例であるが、その断面形状は図示の形状に拘らず出っ張る物があれば形状の異なる物でもよく、また点状の膨らみでもよいことは言うまでもない。
また、該金属屋根板1の表面に形成した係止部3の裏側の形状に合わせて係止部3を形成した屋根吊子12は、該金属屋根板1の裏側の立下り部4に挿入でき、該金属屋根板1の下側に施工された金属屋根板1の水返し部2を吊り上げて屋根下地に金属屋根板1を固定する時に係止部3の溝や段差やバックアップ部14の形状や位置が変わる場合にも本発明の適用範囲であることは、言うまでもない。
該金属屋根板1の標準的な形状例は、図1〜図5に一例として図示するが、図6〜図9に示す断面図の如き一例も図示する。
【0019】
本発明の屋根吊子の具体的な第二実施例として屋根吊子12の断面図の図11のものは、係止部13の形状が段差状の係止部13で他の部分は若干の形状が異なる他に固定部17の金属板を延長して金属屋根板1の中央部に加わる荷重を屋根下地との間で支える中央バックアップ部18を一体に形成したものである。
屋根吊子の第三実施例は、図18の短片型受け台26により図20の如く金属屋根板1を雪止め金具が装着されたクランプ式金具22の下で支え、合わせて単片型の屋根吊子12とを使って屋根下地25に施工する。
尚、単片型受け台26のみでなく所定の長さに合わせた長尺のものも可能である事は言うまでも無い。また、樹脂成形品で同種の働きをする部品を作り、屋根部材として使用できることは言うまでもない。
屋根吊子の第四実施例として図13の断面図に示す屋根吊子12は、図12の屋根吊子12の中央バックアップ部18の金属板を延長してクランプ式金具22を介してかかる荷重を金属屋根板1の下側で支え、屋根下地25に伝え金属屋根板1の変形を防止する働きをする受け台21を一体に形成したもので、長尺の所定長さを有するものやクランプ式金具22の幅に対応した短尺の屋根吊子12でも良い。
【0020】
また、本発明の金属屋根板1の係止部3は、図1の如く金属屋根板1の表面に1列に全面的に形成されているが、屋根下地25がコンパネ等により全面で何処にでもクランプ式金具22を取り付けることができる場合には係止部3を予め決められた寸法ピッチでクランプ式金具22の設置予定位置に合わせて等間隔に部分的に形成することもでき、これらは本発明の範囲内であることは言うまでもない。
本発明の金属屋根材1には、立下り部4の近傍にクランプ式金具22を挿着する際にクランプ式金具22のクランプ部の先端に形成された引っ掛け部23が金属屋根板1の所定の位置に係止部3に引っ掛かって強固に挿着固定される部分を形成したことを特徴の一つとしている。
また、金属屋根板1の裏側で係止部3、及び、立下り部4の裏やその近傍で屋根板に加わるクランプ式金具22のクランプ力に抗して屋根板を支えるバックアップ部14、突っ張り部15と折り曲がり部16で金属屋根板1を強固にクランプすることも特徴の一つである。
更に、金属屋根板1の上には、施工時には、施工者が踏みつけたり、降雪地帯では、雪の重みをうけたり、屋根上に後で取り付ける太陽光発電素子板等の荷重を受けるが、これらの荷重に対して金属屋根板1の変形を防止するために中央部では中央バックアップ部18やクランプ式金具22の下では受け台21の如き支持機構を設けることも特徴の一つである。
また、図10〜図11、及び、図14〜図15に示す屋根吊子12において、突っ張り部15の形状寸法は、金属屋根板1の立下り部4と引っ掛け部5の屋根板の内部に装着できる寸法に形成することにより、クランプ式金具22のクランプ力を高めても立下り部4の湾曲変形を少なくする事が期待でき、クランプ式金具22により強力なクランプ力を持たせることができる。また、その部分の変形を少なくして外観を綺麗に仕上げる事は勿論のこと、屋根本来の防水性能を維持することが可能である。
尚、屋根吊子の形状は、クランプ式金具22がしっかり噛み込む係止部13でクランプ力を高め、バックアップ部14と水返し部2を吊り上げる折り曲り部16が補強に有効な形状なら形状の如何を問わず屋根吊子12に採用できることは言うまでもない。また、屋根吊子12の形状については、図10〜図14に断面形状として一例を示した。
また、図16と図17はクランプ式金具22のクランプ力に抗する係止部13、バックアップ部14、突っ張り部15、及び折り曲り部16の補強機構部のみで構成した突っ張り補強38の一実施例を示す。
また、屋根部材の受け台については、図10の断面形状の如く屋根吊子12と一体型の長尺の物や図18の斜視図に示す如く部分的に必要箇所に取り付ける屋根部材の一例を示したが、断面形状は受け台として1山の他に複数山に形成し、しかも受け台のみを長尺に形成しても良いことは言うまでもない。
これにより積雪による荷重などでクランプ式金具の脱落などの危険を防止できる効果がある。
一方、積雪の少ない地域などでは、図10、図12、及び、図13に示す屋根吊子12の突っ張り部15の如く屋根板の上面のみの変形を防止する程度の形状寸法でよいことは言うまでもない。
尚、これらの突っ張り部15や折り曲り部16が金属屋根板1の水返し部2を引っ掛けて屋根下地25に固定するために使われることは言うまでない。
【0021】
従来例の金属屋根板と屋根吊子等の屋根部材、及び、クランプ式金具の建物屋根への施工の方法について説明する。
図21に示す通りの屋根吊子は、本発明の屋根部材の屋根吊子12で、従来の金属屋根板33にでも使用することは可能である。図21に示すように屋根部材を葺いて、クランプ式金具22で強力に取り付けると若干の屋根表面への凹み変形を発生するが、横葺き段付き金属屋根システムの一手段としては採用することも可能であることを示す。
図22の断面図で示す従来の金属屋根の一般的に行われている一例では、金属屋根板33の施工前に建物の屋根には、事前に屋根下地25を施工し、その上に防水紙等で防水対策を施しておく。次に屋根下地25の軒先部に軒先スターターを取り付け、スターターに金属屋根板33の引っ掛け部36を引っ掛けて金属屋根板33を葺き始め、金属屋根板33の水返し部34を屋根吊子32で吊り固定部37にネジ釘30等を使って屋根下地25に固定をする。
尚、31はクランプ式金具22のネジ機構、35は金属屋根板33の立ち下り部をそれぞれ示す。
次に2段目の金属屋根板33を1段目の水返し部34と屋根吊子32に合わせてネジ釘30等で屋根吊子32の固定部37において屋根下地25に固定し、同様に繰り返し屋根全体を施工し、屋根端部や棟周り、及び、壁取り合い等を納めて金属屋根を葺き上げる。
しかる後に、クランプ式金具22を所定の位置に図22の如く挿着しクランプさせて取り付ける。その時、クランプ式金具22は、引っ掛け部23が金属屋根板33の一部を変形させてクランプして取り付かる。クランプ式金具22が屋根上に取り付けられた状況は、金属屋根板33の一部が変形して窪んで施工される状況が分る。
【0022】
次に、本発明の金属屋根板1と屋根吊子12等の屋根部材、及び、クランプ式金具22の建物屋根への施工の方法について説明する。
図19の断面図で示す本発明の金属屋根板1の施工された状態の一例では、金属屋根板1の施工前に建物の屋根下地25には、事前に防水シート等で防水処理を行って屋根下地25を整え、その上に屋根下地25の軒先部に軒先スターターを取り付け、スターターに金属屋根板1の引っ掛け部5を引っ掛けて金属屋根板1を葺き始め、金属屋根板1の固定部6にネジ釘30等を使って屋根下地25に固定をする。しかる後に、屋根吊子12は、クランプ式金具22を設置する所定の位置等において金属屋根板1の水返し部2を固定部17でネジ釘30等を使って屋根下地25に固定する。この場合はクランプ式金具22は、一般に金属屋根板1の2段目から取り付けることができるが、1段目の金属屋根板1の下にも予め屋根吊子12を所定間隔になるように固定部17においてネジ釘30等で屋根下地25に固定することもできる。
同様に上記の方法で繰り返し施工し、屋根端部や棟周り、及び、壁取り合い等を納めて金属屋根を葺き上げる。
1段目の金属屋根板1の下に屋根吊子12を施工する方法は、金属屋根板1の立下り部4の位置がスターターに正しく取り付かる位置に合わせ屋根吊子12を取り付けて1段目の金属屋根板1を葺き、固定部6においてネジ釘30等で屋根下地25に固定する。
葺き上がった金属屋根板1の係止部3にクランプ式金具22の引っ掛け部23を引掛け、金属屋根板1の引っ掛け部5と水下側の金属屋根板1との隙間にクランプ式金具22のクランプ受け部24に挿入し、クランプ式金具22のネジ機構31を締め付けてクランプ式金具22が取り付けられ、全体のクランプ式金具22が施工された後にその上に太陽光発電素子板等を取り付け、これらの機器を屋根下地25に間接的に屋根板を切断することなく固定する。クランプ式金具22の引っ掛け部23が引っ掛かる金属屋根板1に形成した係止部3が屋根吊子12のバックアップによって強固に支えるため係止部3近傍に金属屋根板1に凹みを発生させなくても本発明の金属屋根板1ではクランプ式金具22を屋根下地25に強固に固定できる。
図19は、本発明の金属屋根板1と屋根部材を使って施工した一例の屋根施工部分の部分断面図で、金属屋根板1は下重ね部7の上に、次に延長して葺かれる金属屋根板1の上重ね部8が重ね継ぎされている状態を示すものである。
太陽光発電素子や太陽光温水器や雪止め金具等の固定手段として本発明の施工方法が防水上からも屋根板を切断しないで屋根下地25に金属屋根板1を挟んで強固に固定するのに有効であることは言うまでもない。
図23(イ)で示すものは、金属屋根板1の端部である立下り部4、及び引っ掛け部5を覆うように、係止部41と立下り部42を介して、図23(ロ)、図23(ハ)で示すような断面形状が略コ字形の外付け補助金具40をビス、鋲、又は接着剤等で固定した状態(図23ではビス止めしたものを示してある)を示すもので、これは、金属屋根板1を組み付け連結する施工前に事前に取り付ける場合の具体的な一実施例である。尚、施工前の事前に取り付ける場合なので、金属屋根板1の端部長さに略同長のものが示されているが、屋根施工後に後付けする場合は、クランプ式金具22の取り付け予定部にクランプ式金具22の締め付け部の大きさに合わせた長さの短い断面形状が略コ字形の金具でも可能である。ただし、ビス止めを行う場合は、防水処理上、表面に孔が開くので、補強用の略コ字形状、略逆L字形状の外付け補助金具40、41と金属屋根板1の間に防水パッキン等を入れて防水を行う必要はある。
【0023】
次に図24に示すものは、第八実施例に係る金属屋根板1を組み合せ連結する際、図23で示す略コ字形状の外付け補助金具40を介してクランプ式金具22で締め付ける実施例の状態を示してある。その他は前記図19に基づいて説明した第八実施例の金属屋根板1の組み合せ連結と同一なので詳細な説明は省略する。
図25に示すものは、第九実施例に係る金属屋根板1を組み合せ連結する際、図23で示す略コ字形状の外付け補助金具40を介してクランプ式金具22で締め付ける実施例の状態を示してある。その他は、前記図20に基づいて説明した第九実施例の金属屋根板1の組み合せ連結と同一なので詳細な説明は省略する。
図26に示すものは、第八実施例に係る金属屋根板1を組み合せ連結する際、略逆L字形状の外付け補助金具43を介して、クランプ式金具22で締め付ける実施例の状態を示してある。その他は、前記図19に基づいて説明した第八実施例の金属屋根板1の組み合せ連結と同一なので詳細な説明は省略する。
尚、補助金具40は、所定の位置に予め外付けで装着し、クランプ式金具22で金属屋根板1と共に挟持した状態を示すが、金属屋根板1の段差状の係止部3により補助金具40の先端が少し変形して段差状の係止部41を部分的に形成し、クランプ式金具22が強固にクランプした状態の一例を示したもので、金属屋根板1と同程度の比較的薄い金属板でも使用することもできることは言うまでもない。また、この方法は金属屋根板1の表面を保護してクランプ部による変形や孔開きの発生を抑止する効果も期待できる。
【0024】
以上、本発明の金属下屋根板1の施工方法について説明したが、金属屋根板1としては、鉄板、各種メッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅板、アルミニューム板の金属板の他にもその塗装板、及び、その樹脂フィルムのラミネート板などでロールフォーミングや折り曲げ加工で作れるが、アルミニュームや合成樹脂押し出し成形等でも加工でき、その対象となる。
また、屋根吊子12や単片型受け台26等の屋根部材は、主に金属板等を折り曲げ加工やプレス加工等で作製するが、金属板は、鉄板、各種メッキ鋼板、銅板、アルミニューム板、ステンレス鋼板、及び、塗装鋼板や樹脂フィルムのラミネート板などで製作するが樹脂やアルミニューム等で押し出し成形をして作ることもできる。
尚、クランプ式金具22には、該金属屋根板1に形成された係止部3と引っ掛け部5に対応する引っ掛け部23やクランプ受け台24を形成し、これらを使って施工した金属屋根も本発明の対象としている。
また、金属屋根板1には、裏面に発泡樹脂断熱シートを貼り付けた物や、発泡樹脂成形品を用意の上、挿入した場合にも本発明の金属屋根板1や屋根部材を適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
建物屋根の表面材として、金属屋根を仕上げた後にその表面上に設置する太陽光発電素子板や太陽熱温水器の集熱板などを設置するために屋根板の重なり部をクランプして設置されるクランプ式金具が取り付けられる金属屋根板で、新築の金属屋根やリフォーム屋根の表面材として本発明の金属屋根板や屋根部材を利用する事ができる。
また、該金属屋根板に雪止め金具を取り付けるためのクランプ式金具としても本発明の金属屋根板や屋根部材は使用することができる。その場合、クランプ式金具に雪止め金具を一体、または、別体に作製して事前、または、事後に取り付けておけば可能である。
なお、クランプ式金具の上に取り付ける物や取り付け方法は、太陽熱温水器の集熱板や太陽光発電素子板、及び雪止め金具などに限定するものでなく、金属屋根上に設置する機器は何でも可能で、金属屋根の上にベランダやテラスを設置する時や、空調機の室外機やアンテナの固定金具等を金属屋根の上に設置する時にもクランプ式金具を取り付けて強力に固定できる。またクランプ式金具の留め付け方法は図面に示したものは一例であり、限定するものではないことは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一実施例に係る金属屋根板の上面図である。
【図2】本発明の第一実施例に係る金属屋根板の正面図である。
【図3】本発明の第一実施例に係る金属屋根板の背面図である。
【図4】本発明の第一実施例に係る金属屋根板の左側面図である。
【図5】本発明の第一実施例に係る金属屋根板の右側面図である。
【図6】本発明の第一実施例に係る金属屋根板中央部における縦断面図である。
【図7】本発明の第一実施例に係る金属屋根板の係止部の形状を変更し、段差状に形成した縦断面図である。
【図8】本発明の第一実施例に係る固定部のない金属屋根板の縦断面図である。
【図9】本発明の他の第一実施例に係る水返し部の形状を変え、係止部が突出した形状に変えた一例の金属屋根板の縦断面図である。
【図10】本発明の第一実施例に係る屋根吊子の断面図である。
【図11】本発明の第二実施例に係る屋根吊子で屋根板の中央部を支える中央バックアップ部を一体に形成した一例を示す断面図である。
【図12】本発明の第三実施例に係る屋根吊子で屋根板の中央部を支える中央バックアップ部を一体に形成した一例を示す斜視図である。
【図13】本発明の第四実施例に係る屋根吊子で屋根板の中央部を支える中央バックアップ部を一体に形成した他の一例を示す断面図である。
【図14】本発明の第五実施例に係る屋根吊子の断面図である。
【図15】本発明の第六実施例に係る単片型の屋根吊子の斜視図である。
【図16】本発明の他の一実施例に係る突っ張り補強の断面図である。
【図17】本発明の他の一実施例に係る他の形状例の突っ張り補強の斜視図である。
【図18】本発明の第七実施例に係る単片型の受け台の斜視図である。
【図19】本発明の第八実施例に係る金属屋根板にクランプ式金具を施工した状態を示す一例の屋根の部分縦断面図である。
【図20】本発明の第九実施例に係る金属屋根板に雪止めを一体に形成したクランプ式金具を施工した状態を示す一例の屋根の部分縦断面図である。
【図21】従来の金属屋根板を使い、本発明の屋根吊子を使用して施工した一実施例に係る金属屋根板の施工状態を示す屋根の部分縦断面図である。
【図22】従来の金属屋根を施工した一実施例に係る金属屋根板にクランプ式金具を施工した状態を示す屋根の部分縦断面図である。
【図23】本発明の横葺き段付金属屋根部材を示すもので、(イ)は金属屋根板の端部を補強するために、断面形状が略コ字形状の金具を取り付けた状態を示す右側面図、(ロ)は、前記略コ字形状の金具単体を示す右側面、(ハ)は、同じく正面図である。
【図24】本発明の第八実施例に係る金属屋根板を組み合せ連結する際、略コ字形状の金具を介してクランプ式金具を施工して組み付ける状態を示す屋根の部分縦断面図である。
【図25】本発明の第九実施例に係る金属屋根板を組み合せ連結する際、略コ字形状の金具を介して、クランプ式金具を施工して組み付ける状態を示す屋根の部分縦断面図である。
【図26】本発明の第八実施例に係る金属屋根板を組み合せ連結する際、略逆L字形状の金具を介してクランプ式金具を施工して組み付ける状態を示す屋根の部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・・金属屋根板 2・・・・水返し部
3・・・・係止部 4・・・・立下り部
5・・・・引っ掛け部 6・・・・固定部
7・・・・下重ね部 8・・・・上重ね部
9・・・・切り欠き部 10・・・・リブ
11・・・・端曲げ部 12・・・・屋根吊子
13・・・・係止部 14・・・・バックアップ部
15・・・・突っ張り部 16・・・・折り曲り部
17・・・・固定部 18・・・・中央バックアップ部
19・・・・補強リブ 20・・・・ネジ釘用孔
21・・・・受け台 22・・・・クランプ式金具
23・・・・引っ掛け部 24・・・・クランプ受け台
25・・・・屋根下地 26・・・・単片型受け台
27・・・・固定部 28・・・・位置決めリブ
29・・・・受け台 30・・・・ネジ釘
31・・・・ネジ機構 32・・・・屋根吊子
33・・・・金属屋根板 34・・・・水返し部
35・・・・立下り部 36・・・・引っ掛け部
37・・・・固定部 38・・・・突っ張り補強
39・・・・雪止め金具部
40・・・・断面形状が略コ字形状の外付け補助金具
41・・・・係止部 42・・・・立下り部
43・・・・断面形状が略逆L字形状の外付け補助金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横葺き段付金属屋根において、金属屋根板の表面上に設置する太陽熱温水器の集熱板や太陽光発電素子板等を屋根板に直接固定するクランプ式金具を組み付ける金属屋根部材において、該金属屋根板の水上側に水返し部と水下側に段付け用の立下り部を長手方向に連続して形成し、尚且つ、該立下り部近傍において金属屋根板の表面にクランプ式金具の引っ掛け部が挟持して係止する溝状または段差状、あるいは突出状の係止部を長手方向に連続又は断続的に金属屋根板に一体、又は別体に形成したことを特徴とする横葺き段付金属屋根部材。
【請求項2】
前記金属屋根板の水下側の段付け用の立下り部の裏側においてクランプ式金具のクランプ力により金属屋根板が撓んで変形するのを防止する前記溝状または段差状、あるいは突出状の係止部を金属屋根板の裏面でバックアップするバックアップ部と係止部、および、前記横葺き段付金属屋根部材の水返し部の一部を吊り上げて屋根下地に固定する引っ掛かり部とネジ釘等で固定する固定部を形成した屋根吊子を使用し、クランプ式金具が金属のバネ特性を活用してネジ機構等を併用して上下の両端部で挟持する事ができる機構で、クランプ式金具の上側先端でクランプ式金具の引っ掛け部が係止する前記金属屋根板の溝状または段差状、あるいは突出状の係止部に嵌入できる形状の引っ掛け部と、下側先端にはクランプ受け部を形成したクランプ式金具によって、前記屋根吊子のバックアップ部に形成した係止部と金属屋根板を挟み込んで該クランプ式金具を金属屋根板に固定することを特徴とする請求項1記載の横葺き段付金属屋根部材。
【請求項3】
前記クランプ式金具のクランプ力をバックアップする屋根吊子のバックアップ部と、クランプ式金具の引っ掛け部を係止する係止部と、金属屋根板を挟み込む時の突っ張り部、及び、その先端に折り曲がり部を形成し、該金属屋根板の立下り部におけるクランプ式金具のクランプ力による変形力に抗する突っ張り機構を屋根吊子の固定部と一体または別体に構成し、該クランプ式金具のクランプ力を高めることを特徴とする請求項1、または請求項2記載の横葺き段付金属屋根部材。
【請求項4】
前記クランプ式金具の下側が当る金属屋根板の裏面において該クランプ式金具上に据付けられる機材等によって下向きにかかる力を受け、金属屋根板が押し下げられ変形することを防止する屋根吊子と一体または別体の受け台をクランプ式金具の下側の屋根下地と金属屋根板の間に装着したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の横葺き段付金属屋根部材。
【請求項5】
前記金属屋根部材において、前記屋根吊子の一部を水上側に延長して金属屋根板中央部を支える中央バックアップ部とクランプ式金具用受け台を屋根吊子と一体に形成したことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の横葺き段付金属屋根部材。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の横葺き段付金属屋根部材における金属屋根板の水下側の段付け用の立下り部の表面側において、前記係止部とクランプ式金具のクランプ力により金属屋根板が撓んで変形するのを防止するバックアップ部を一体に具備した外付け補助金具を該金属屋根板の立下り部近傍において、予め決められた位置にネジ釘等で固着し、前記クランプ式金具の引っ掛け部とクランプ受け台によってクランプ式金具を該金属屋根板に固定することを特徴とする横葺き段付金属屋根部材。
【請求項7】
特許請求の範囲の請求項1〜請求項6のうち、いずれか1項に記載の横葺き段付金属屋根部材を使用して、金属屋根板の他の一部、または複数の前記金属屋根部材を組み合わせて横葺き段付金属屋根を施工し、クランプ式金具を取り付けられる金属屋根に構成することを特徴とする横葺き段付金属屋根システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−239446(P2007−239446A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31888(P2007−31888)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(390008350)東邦シートフレーム株式会社 (11)
【出願人】(598042275)株式会社 セキノ興産 (15)
【Fターム(参考)】