説明

樹脂板のリニューアル工法

【課題】施工規模を縮小でき、現在のリサイクル、リユースの流れに合致した樹脂板のリニューアル工法を提供する。
【解決手段】基材の表面に耐候層が設けられた樹脂板から劣化部分を除去する処理を行い、当該処理後の樹脂板の表面に対向するように耐候性を有するシート材あるいは板材を配置してなされる、樹脂板のリニューアル工法である。これにより、既存の樹脂板を支柱及び支持枠などの構造材から取り外さずに施工でき、施工規模を縮小できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が劣化した樹脂板のリニューアル工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路などに設置される遮音板には、透光板などの樹脂板が用いられている(特許文献1)。この樹脂板は、表面にコーティングをすることにより耐候性を高めたものであるが、屋外に設置されるため、設置から時間が経過すると、主に紫外線の影響により、黄変、白濁、クラックなどの劣化が発生する。このように劣化が発生すると、樹脂板が透明である場合には透明度が下がってしまい、設置場所での視界が妨げられる。また、透明でない樹脂板の場合でも美観が悪くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−172636号公報
【特許文献2】特開2007−239182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように樹脂板が劣化した場合、今までは樹脂板を全て新しいものに取り替えていた。このような全てを取り替える工法では、支柱及び支持枠などの構造材から既存の樹脂板を取り外し、新しい樹脂板を取り付ける必要があるため、施工が大規模になるという問題があった。また、このように全部を取り替える工法は、現在のリサイクル、リユースの流れにも逆行したものである。
【0005】
特許文献2では、透光パネルのリサイクルシステムを目指した透光パネルの作成方法が提案されている。しかし当該文献では、黄変度の低い透光パネルをそのまま再利用することが述べられているだけであって、あくまでも上記のように樹脂板全部を取り替える工法が前提とされていた。
【0006】
そこで本発明は、施工規模を縮小でき、現在のリサイクル、リユースの流れに合致した樹脂板のリニューアル工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材の表面に耐候層が設けられた樹脂板から劣化部分を除去する処理を行い、当該処理後の樹脂板の表面に対向するように耐候性を有するシート材あるいは板材を配置してなされる、樹脂板のリニューアル工法である。
【0008】
本発明によれば、既存の樹脂板を支柱及び支持枠などの構造材から取り外さずに施工できる。
【0009】
そして本発明は、前記の基材がポリカーボネート樹脂からなり、前記の耐候層が、耐候性塗料の塗膜、耐候性フィルム、前記基材と共押出しされた耐候性物質を含む層、から選択された少なくとも一つであることが好ましい。
【0010】
また本発明は、劣化部分を除去する処理を行った後の樹脂板と、前記耐候性を有するシート材あるいは板材との間に空間を設けてなされることが好ましい。
【0011】
この好ましい構成によると、樹脂板と耐候性を有するシート材あるいは板材との間に水分が混入しにくい。また、前記耐候性を有するシート材あるいは板材の取り付けがしやすい。
【0012】
また本発明は、前記耐候性を有するシート材あるいは板材を、当該シート材あるいは板材を支持する枠材に組み込み、当該枠材は、前記樹脂板を組み込むための構造材に取り付けられている構成であってもよい。
【0013】
上記構成によると、枠材を組み込むことによって、シート材あるいは板材の補強を行うことができながらも、樹脂板を組み込むための構造材に枠材を取り付けることによって、空間を設けることができる。
【0014】
また本発明は、前記耐候性を有する板材は、表面から突出する複数の凸部を備え、当該板材を前記処理後の樹脂板の表面に対向するように配置した時に、当該板材の凸部が当該樹脂板の表面に当接して前記空間が設けられる構成であってもよい。
【0015】
上記構成によると、板材を配置するだけで、板材の凸部が樹脂板の表面に当接して空間を設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、既存の樹脂板を支柱及び支持枠などの構造材から取り外さずに施工できるため、施工規模を縮小でき、現在のリサイクル、リユースの流れに合致した樹脂板のリニューアル工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】遮音板の外観図である。
【図2】本実施形態の施工手順を示す縦断面図であり、(A)は増設耐候材の取り付け前の状態を示し、(B)は取り付け後の状態を示す。
【図3】図2(B)に示したものにアイボルトを取り付けた後の状態を示す縦断面図である。
【図4】本実施形態の施工手順を示す要部拡大縦断面図であり、(A)は既存の樹脂板を示し、(B)は既存の樹脂板から劣化部分である耐候層を除去した状態を示し、(C)は増設耐候材を取り付けた状態を示す。
【図5】(A)、(B)は、樹脂板に対して増設耐候材を配置した2つの形態を示す一部省略した縦断面図である。
【図6】他の増設耐候材を樹脂板に取り付けた一部省略した縦断面図である。
【図7】図6で示した増設耐候材を示し、(A)はその正面図、(B)は(A)におけるI−I線断面図である。
【図8】図7で示した増設耐候材を樹脂板に取り付ける施工手順を示す要部拡大縦断面図であり、(A)は既存の樹脂板から劣化部分である耐候層を除去した状態を示し、(B)はワンサイドボルトを増設耐候材と樹脂板に挿通させる直前の状態を示し、(C)は挿通したワンサイドボルトにナットを螺合させる直前の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明につき、実施形態を取り上げて説明を行う。
【0019】
本発明に係る工法の施工対象となる既存の樹脂板1は、図1に示すように支柱23及び上枠21と下枠22とからなる支持枠などの構造材2に組み込まれている。この樹脂板1としては、図4(A)に示すように、基材11の表面に耐候層12が設けられたものであり、本実施形態では、基材11がポリカーボネート樹脂からなる透明な平板が用いられている。図1の樹脂板1は、高速道路などで設置される遮音板として用いられる。
【0020】
樹脂板1の基材11は、ポリカーボネート樹脂以外に、アクリル樹脂等の他の樹脂からなるものであっても良い。また、平板に限らず湾曲板であっても良い。また、透明であるものに限られず、例えば、スリガラス状のように透光性のある板であっても良い。また、場合によっては不透明な板であっても良い。
【0021】
耐候層12は、耐候性塗料の塗膜、耐候性フィルム、前記基材11と共押出しされた耐候性物質を含む層から選択された少なくとも一つである。この耐候層12には紫外線吸収剤が含まれており、基材11を紫外線から保護することができる。耐候層12が塗膜の場合、基材11の表面に耐候性塗料が塗装されて乾燥して仕上げられたものであり、耐候層12の厚さは10μm程度となる。耐候層12がフィルムの場合、基材11の表面にフィルムが接着されてなるものであり、耐候層12の厚さは50μm程度となる。耐候層12が共押出し層の場合、ポリカーボネート樹脂からなる基材11の材料と、紫外線吸収剤を添加したポリカーボネート樹脂とを同時に押し出して一枚の板に形成されたうちの表面層であり、耐候層12の厚さは50μm程度である。ただし、耐候層12が共押出し層の場合は、塗膜あるいはフィルムの場合とは異なり、基材11と耐候層12の間に明確な境界は現れない。
【0022】
本発明に係る工法では増設耐候材3を使用する。この増設耐候材3は、少なくとも耐候性を有するシート材あるいは板材31からなる。耐候性を有するシート材あるいは板材31は、前記の耐候層12と同様、紫外線吸収剤を含んで形成されたものである。この増設耐候材3は、シート材あるいは板材31のみでなるもの、あるいは、枠材32に組み込んだ状態でなるもの、あるいは、取付金具(図示しない)を備えた状態でなるものとされており、構造材2に取り付けられる。板材を用いる場合は、板材自体に剛性があるのでそのままの状態で用いることが可能であるが、シート材を用いる場合は、枠材32等によって支持することが必要である。枠材32あるいは取付金具は、既存の樹脂板1が取り付けられている構造材2の寸法に合わせて形成される。本実施形態の増設耐候材3に用いられるシート材あるいは板材31は、既存の樹脂板1に合わせて透明なものとされているが、場合によっては半透明なものや着色されたものであっても良い。また、枠材32あるいは取付金具としては種々の材質が採用できる。本実施形態では、アルミニウム合金製とされているが、鋼材や合成樹脂であっても良い。枠材32あるいは取付金具のシート材あるいは板材31への取り付けは、ボルト留め、リベット留め、嵌め込み等の種々の手段でなすことができる。
【0023】
増設耐候材3は、施工現場への搬送前に、あらかじめ、既存の樹脂板1に対して大きさを揃えて製作しておき、必要によって枠材32あるいは取付金具を取り付けておくことが、現場工数を少なくできるために望ましいが、現場合わせで施工できるようにしておいても良い。
【0024】
以下、本実施形態の施工手順を説明する。まず、既存の樹脂板1の表面に対し、劣化部分を除去する処理を行う。この処理は、施工現場の状況、あるいは、耐候層12の組成に応じ、機械的な処理のみか、あるいは、機械的な処理に化学的な処理を組み合わせて行われる。機械的な処理の例としては、例えばグラインダーによる劣化部分の研削、ダイアモンド粉末を用いた研磨、バフによる鏡面処理が挙げられる。機械的な処理としては、はつり工具やワイヤーブラシ等による人力での処理も含まれる。化学的な処理の例としては、例えば薬剤による劣化部分の溶融あるいは剥離が挙げられる。薬剤としては、例えばジクロロメタン、アセトン、酢酸エチルが用いられる。なお、通常では、樹脂板1の表面は一方側の面と他方側の面の両方が劣化するが、劣化度合いが各面で異なる場合には、片面のみを処理することもあり得る。尚、図において樹脂板1の左側の面を表側面とし、右側の面を裏側面とする。
【0025】
劣化部分をどの程度除去するかは、劣化の進行度合に応じて決定される。よって、耐候層12の一部を除去する場合、耐候層12の全部を除去する場合、耐候層12の全部及び基材11の一部を除去する場合が考えられる。本実施形態では、既存の樹脂板1における耐候層12の厚さが50μmで、これに対し、表面から厚さ寸法で最大1mm(片側当たり)の除去を行うことが想定されている。
【0026】
そして、例えば図4(B)の状態となった前記処理後の樹脂板1の表側面と裏側面にそれぞれ対向するように増設耐候材3を配置する(図4(C)参照)。通常では、樹脂板1の表面のうち一方側の表側面と他方側の裏側面の両方に対して増設耐候材3を配置するが、前記のように劣化部分の除去処理を片面のみ行った場合は、その面に増設耐候材3を配置する。
【0027】
増設耐候材3を配置する際には、図4(C)に示すように、既存の樹脂板1と増設耐候材3との間に空間Sを保つようにしておくことが望ましい。これにより、水分混入などにより視界が妨げられにくい。また、増設耐候材3の取り付けがしやすい。そして、既存の樹脂板1の伸縮の影響を直接受けず、増設耐候材3が歪まないようにできる。空間Sを保つためには、例えば、構造材2に対する増設耐候材3の枠材32の取り付け位置をずらすこと、または、既存の樹脂板1と増設耐候材3との間にスペーサーを配置することが考えられる。ただし、既存の樹脂板1に直接増設耐候材3を接着すること等により、空間Sを設けずに密着させることも可能である。
【0028】
増設耐候材3の配置につき、図2を示して説明する。図2に示した実施形態では、既存の樹脂板1の表側面及び裏側面のそれぞれに対向するように配置された増設耐候材3が、上下一対の枠材32,32を備えたものである。
【0029】
図2において左側の増設耐候材3の上側の枠材32は、上枠21の表側壁の垂直面に当接する第1縦板部32Aと、第1縦板部32Aの下端から90度折れ曲がって樹脂板1側へ延びることで上枠21の底壁の水平面に対向する水平板部32Bと、水平板部32Bの樹脂板1側端から90度折れ曲がって下方に延びることで板材31の上端部の表側面に当接する第2縦板部32Cとからなっている。
【0030】
また、図2において左側の増設耐候材3の下側の枠材32は、下枠22の表側壁の垂直面に当接する第1縦板部32Aと、第1縦板部32Aの上端から90度折れ曲がって樹脂板1側へ延びることで下枠22の上壁の水平面に対向する水平板部32Bと、水平板部32Bの樹脂板1側端から90度折れ曲がって上方に延びることで板材31の下端部表側面に当接する第2縦板部32Cとからなっている。
【0031】
また、図2において右側の増設耐候材3の上側の枠材32は、上枠21の底壁の水平面に当接する水平板部32Dと、水平板部32Dの樹脂板1側端から90度折れ曲がって下方へ延びることで板材31の上端の裏側面に当接する縦板部32Eとからなっている。
【0032】
また、図2において右側の増設耐候材3の下側の枠材32は、下枠22の上壁の水平面に当接する水平板部32Dと、水平板部32Dの樹脂板1側端から90度折れ曲がって上方へ延びることで板材31の下端の裏側面に当接する縦板部32Eとからなっている。
【0033】
前記のように上下一対の枠材32,32が取り付けられた2枚の増設耐候材3,3を、既存の樹脂板1の表側面と裏側面にそれぞれ対向するようにして配置し、左側の増設耐候材3の枠材32,32の第1縦板部32A,32Aを構造材2の上枠21及び下枠22の前壁に対してリベットあるいはねじによって取り付け、右側の増設耐候材3の枠材32,32の水平板部32D,32Dを構造材2の上枠21及び下枠22の底壁及び上壁に対してそれぞれリベットあるいはねじによって取り付けることにより、増設耐候材3,3の取り付けが完了する。
【0034】
図3に示した実施形態は、図2(B)に示したものに更にアイボルトを取り付けたものである。これは、樹脂板1及び増設耐候材3にアイボルト4を貫通させており、構造材2の上枠21に取り付けられたアイナット5とワイヤー6で連結したものであって、こうすることにより、万が一、強風や車両の衝突により、構造材2から枠材32が外れてしまったとしても、増設耐候材3が飛散するのを防止できる。
【0035】
図2では、増設耐候材3と樹脂板1との間に空間を設けないで配置した場合を示したが、図5(A),(B)に示すように、空間Sが設けられるように樹脂板1に対して板材31,31が所定距離だけ離間した位置に位置するように増設耐候材3,3を取り付けることも可能である。尚、図5(A),(B)では、樹脂板1と左側の板材31との距離と樹脂板1と右側の板材31との距離とを同一にしている。
【0036】
図5(A),(B)では、表側面の上下一対の枠材32,32の水平板部32Bの長さを変更する、つまり図2の水平板部32Bの長さよりも短くすることによって、樹脂板1に対して板材31を離間させることができる。よって、空間Sを設けることができる。また、図5(A)の裏側面の上下一対の枠材32,32の上枠21及び下枠22に対する取り付け位置を樹脂板1から離間した位置に変更する。この変更によって、空間Sを設けることができる。また、図5(B)の裏側面の上下一対の枠材32,32は、板材31をそれの両面から挟み込んで保持できる構成になっている。この構成によって、空間Sを設けることができる。つまり枠材32,32は、水平板部32Dと、水平板部32Dの樹脂板1側端から所定距離離間した位置から90度折れ曲がって上方又は下方へ延びる裏側の縦板部32Eと、水平板部32Dの樹脂板1側端から90度折れ曲がって上方又は下方へ延びる表側の縦板部32Fとを備え、表側の縦板部32Fの厚みが樹脂板1と板材31との距離になっている。表側の縦板部32Fは、裏側の縦板部32Eと平行でかつ裏側の縦板部32Eよりも背の低い寸法に設定されている。
【0037】
図6では、板材31の形状を工夫することによって、前記空間Sを設ける場合を示している。板材31は、図7(A),(B)に示すように横長の長方形状の合成樹脂でなる板材からなっている。この板材31は、上下方向中央でかつ左右方向中央に表面から裏面側へ突出する一つの凸部31Aを形成するとともに、外周縁にも同様に所定間隔を置いて多数(13個)の凸部31Aを形成している。上端縁及び下端縁に形成した凸部31Aは、同一ピッチで配置され、かつ、上下対称位置に配置されている。また、左端縁には2個の凸部31Aを形成し、右端縁には3個の凸部31Aを形成している。凸部31Aは、円形で扁平な突出板部31aと、突出板部31aと板材31とを連結するテーパー状で環状の連結部31bとを備え、突出板部31aの中心に取付用の円形の貫通孔31Kが形成されている。尚、図7(A),(B)では、凸部31Aの反対側には、凹部が形成される板材31を示しているが、板材の表面から膨出する凸部が形成された凹部のない板材であってもよい。このように膨出する凸部が形成された板材にすることによって、凸部が形成された部分の板厚が他の部分よりも凸部の厚みだけ厚くなり、強度を高めることができる。
【0038】
上記のように構成された板材31は、図8(B),(C)に示すように、ワンサイドボルト7を用いて樹脂板1に取り付けられる。ワンサイドボルト7は、取付ボルト8と一体になっているねじ頭部71、拡張部72、押さえ部73及び緩み止めナット74からなり、押さえ部73と緩み止めナット74は固着され、取付ボルト8は緩み止めナット74に螺着されている。
【0039】
まず、図8(A)に示すように、前述のように樹脂板1の表側面の劣化した部分を除去する処理を行う(破線部分が除去された部分)。処理された樹脂板1の表側面に凸部31Aの突出板部31aの外面(裏面)31Gが当接するように板材31を配置する。このとき、凸部31Aの突出板部31aの貫通孔31Kに合致するように樹脂板1にドリルなどを用いて貫通孔1Kを形成する。この状態において、図8(B)に示すようにワンサイドボルト7を、凸部31Aの突出板部31aの貫通孔31K及び樹脂板1の貫通孔1Kにねじ頭部71から挿入する。挿入後、取付ボルト8をねじ頭部71が樹脂板1側に近づく方向に回していくことによって、切れ込みの入った拡張部72が拡張され、拡張部72と押さえ部73との間に板材31と樹脂板1とが固定され、取付ボルト8が板材31から離間する側へ突出する。突出した取付ボルト8にナット9を螺着して固定作業が終了する。
【0040】
これらのように施工することにより、既存の樹脂板1の全てを新しいものに取り替えることなく、リニューアルが可能となる。そして、全てを取り替える工法に比べて施工規模を縮小できる。
【0041】
尚、本発明に係る樹脂板のリニューアル工法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
前記実施形態では、シート材あるいは板材31を支持する枠材を上枠21と下枠22とで構成したが、環状に構成された枠材に構成してもよく、枠材の構成としては自由に変更することができる。
【0043】
また、前記実施形態では、図6に示すように、一方の面にのみ板材31を配置したが、他方の面にも板材31を配置してもよい。両面にそれぞれ板材31を配置する場合には、両方の板材31,31を貫通するボルトと両方の板材31,31を貫通したボルトの先端に螺合するナットとを用いて板材31,31を固定してもよいし、リベットや接着剤を用いて取り外し不能に固定するなど、板材31を固定する手段は、どのような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 樹脂板
11 基材
12 耐候層
2 構造材
21 上枠
22 下枠
3 増設耐候材
31 板材
31A 凸部
32 枠材
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に耐候層が設けられた樹脂板から劣化部分を除去する処理を行い、当該処理後の樹脂板の表面に対向するように耐候性を有するシート材あるいは板材を配置してなされる、樹脂板のリニューアル工法。
【請求項2】
前記の基材がポリカーボネート樹脂からなり、
前記の耐候層が、耐候性塗料の塗膜、耐候性フィルム、前記基材と共押出しされた耐候性物質を含む層、から選択された少なくとも一つである、請求項1に記載の樹脂板のリニューアル工法。
【請求項3】
劣化部分を除去する処理を行った後の樹脂板と、前記耐候性を有するシート材あるいは板材との間に空間を設けてなされる、請求項1または2に記載の樹脂板のリニューアル工法。
【請求項4】
前記耐候性を有するシート材あるいは板材を、当該シート材あるいは板材を支持する枠材に組み込み、当該枠材は、前記樹脂板を組み込むための構造材に取り付けられている請求項3に記載の樹脂板のリニューアル工法。
【請求項5】
前記耐候性を有する板材は、表面から突出する複数の凸部を備え、当該板材を前記処理後の樹脂板の表面に対向するように配置した時に、当該板材の凸部が当該樹脂板の表面に当接して前記空間が設けられる、請求項3に記載の樹脂板のリニューアル工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−107493(P2012−107493A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229760(P2011−229760)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【Fターム(参考)】