説明

樹脂組成物

【課題】ポリ乳酸を主体に含む樹脂組成物であって、高温、高湿、経時での耐衝撃性及び耐熱性あるいは更に機械的特性が改善された樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸、天然ゴム、及び質量平均分子量Mwが5000〜15000、及び数平均分子量Mnが2000〜5000のカルボジイミド化合物を含む樹脂組成物。上記樹脂組成物の成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は樹脂組成物に関し、詳細には、天然ゴムを含むポリ乳酸系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、(生分解性)樹脂組成物の材料としてポリ乳酸が用いられている。しかし、ポリ乳酸は一般に固く、耐衝撃性に劣るという性質を有しているため、その用途が限られてしまう傾向があり、これに対処するため天然ゴム、天然ゴムを含む改質剤等を用いた種々のブレンド手段が提案されている(特許文献1〜4)。特許文献4には、ポリ乳酸樹脂に炭酸カルシウム等の結晶核剤とトリアセチン(酢酸トリグリセリド)等の結晶化促進剤を加え、耐熱性を向上させた第1のポリ乳酸樹脂を得る工程と、ポリ乳酸樹脂にこれと反応するゴム等の柔軟性樹脂を加え、耐衝撃性を向上させた第2のポリ乳酸樹脂を得る工程と、前記第1及び第2のポリ乳酸樹脂を混合して成形する工程とを含む、低い金型温度と短い成形サイクルで結晶化が進み強度・剛性・耐熱性・耐衝撃性に優れたポリ乳酸樹脂成形体の製造方法が記載されている。また、特許文献5では、高耐熱性のポリ乳酸を含む成形品の製造方法を開示しているが、天然ゴムの使用については開示されていない。
一方、本出願人らは、ポリL−乳酸と、結晶化促進剤、柔軟性付与剤、相溶化剤を含む耐熱性・耐衝撃性に優れた樹脂組成物を提案した(特許文献6)。しかしながら、この樹脂組成物の耐衝撃性及び耐熱性については、更に改善の余地があることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−143315号公報
【特許文献2】特開2005−255722号公報
【特許文献3】特開2009−84333号公報
【特許文献4】特開2008−201863号公報
【特許文献5】特許第4259284号公報
【特許文献6】特開2007−23188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、上述の改善を図るために、カルボジイミド化合物を含む加水分解抑制剤を用いることを提案した(特願2010−115391)。
しかしながら、更に、耐熱性、特にシャルピー衝撃強度(kJ/m)の高温、高湿、経時での強度保持率が、自動車部品や家電部品等の用途としては懸念があった。
本発明は、ポリ乳酸を主体に含む樹脂組成物であって、高温、高湿、経時での耐衝撃性及び耐熱性あるいは更に機械的特性が改善された樹脂組成物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の通りである。
1)ポリ乳酸、天然ゴム、結晶核剤、及び質量平均分子量Mwが5000〜15000、及び数平均分子量Mnが2000〜5000のカルボジイミド化合物を含む樹脂組成物。
2)上記1)の樹脂組成物の成形体。
本発明は、耐熱性、特にシャルピー衝撃強度(kJ/m)の高温、高湿、経時での強度保持率を向上させる必要に伴い研究した結果、カルボジイミド化合物の分子量範囲が大きく影響することが見出し、成されたものである。
本発明の樹脂組成物は、各成分がキット化されていてもよいし、単に混合されていてもよいし、部分的に混合されていてもよい。キットとしては、単独、種々の成分を2種以上単に混合又は混練したものでよく、例えば、ゴム成分(天然ゴム及びエポキシ化天然ゴム、又は天然ゴム、エポキシ化天然ゴム等)をペレット化したもの、樹脂成分をペレット化したもの等の組み合わせにより、本発明の組成物の成分を充足させたものが挙げられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂組成物は耐衝撃性及び耐熱性あるいは更に機械的特性が改善されると共に植物度も97%程度に改善することができ、汎用プラスチックの代替、特に自動車部品や家電部品として広く使用できる。また、本発明の樹脂組成物は、配合成分をブレンドしたものを一工程でブレンドポリマーとすることができるので、極めて簡易に製造できかつ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カルボジイミド化合物の数平均分子量Mnとシャルピー衝撃強度との関係を示すグラフである。
【図2】カルボジイミド化合物の数平均分子量Mnとシャルピー衝撃強度保持率との関係を示すグラフである
【図3】カルボジイミド化合物の質量平均分子量Mwとシャルピー衝撃強度との関係を示すグラフである
【図4】カルボジイミド化合物の質量平均分子量Mwとシャルピー衝撃強度保持率との関係を示すグラフである
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の樹脂組成物の成分について説明する。
(カルボジイミド化合物)
本発明の樹脂組成物に用いられるカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基を1以上有する化合物であり、天然ゴム等の各成分からなる当該混合物に含まれる水分除去等による加水分解抑制機能の外、後述のエポキシ化天然ゴムとのエポキシ基との架橋反応のように、成分に含まれる官能基を介して架橋反応等を行う機能を有する。この架橋反応等は、天然ゴム及びエポキシ化天然ゴムからなるゴム分散相とポリ乳酸からなる樹脂マトリクス相の界面間に生じると考えられ、耐衝撃性、耐熱性、及び機械的特性(高温高湿条件における経時での保持特性(耐加水分解特性)を含む)の改善に寄与するものと考えられる。本発明では、カルボジイミド化合物の分子量範囲を特定することにより、上記特性が適正に発揮し得ることを見出したものである。
このカルボジイミド化合物の質量平均分子量Mwは、5000〜15000であり、5500〜12000が更に好ましく、更には6000〜10000、そして6500〜9000が好ましい。また、カルボジイミド化合物の数平均分子量Mnは、2000〜5000であり、2500〜4500が更に好ましく、2700〜4000、そして2900〜3500が好ましい。そして、多分散度Mw/Mnは、1.0〜6.0が好ましい。また、カルボジイミド化合物のカルボジイミド基の含有量は、2〜2,000個/分子が好ましく、2〜500個/分子が更に好ましい。なお、カルボジイミド基が1分子中に3個以上含むものをポリカルボジイミド化合物ともいう。
本発明の樹脂組成物に用いられるカルボジイミド化合物の添加量は、ポリ乳酸100質量部に対して、好ましくは、0.5質量部以上、更に好ましくは、1質量部以上、特に2質量部以上、最も好ましくは3質量部以上、そして4質量部以上含有することが本発明の目的を達成するために有効であり、特に上限はないが略10質量部以上では効果の改善はみられない。
本発明に用いるカルボジイミド化合物は、上述のように架橋を行うが、このような架橋反応を行う化合物として、ポリアミン、ポリオール、ポリカルボン酸、酸無水物、有機カルボン酸アンモニウム塩、ジチオカルバミン酸塩等を併用することもできる。
【0009】
(ポリ乳酸)
本発明において、ポリ乳酸とは、L−乳酸及び/又はD−乳酸由来のモノマー単位で構成されるポリマーである。本発明の効果を損なわない範囲で、L−乳酸またはD−乳酸に由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良い。他のモノマー単位としては、単糖、オリゴ糖、多糖等が挙げられ、10mol%以下含むことができる。また、ポリ乳酸の質量平均分子量は、50,000〜300,000の範囲が好ましい。かかる範囲を下回ると機械物性等が十分発現されない場合があり、上回る場合は加工性に劣る傾向にある。
本発明に用いられるポリ乳酸として、例えば、ポリL−乳酸としては、特に限定されないが、90%発酵乳酸とデンプンの混合物中に重合触媒を添加し、脱水重合を行ったものを使用するか、市販のポリ乳酸(三井化学(株)製レイシアH−100など)または耐熱性のナノコンポジット充填剤入りのポリ乳酸など、いずれを用いてもよい。なお、充填剤等の添加剤を含むポリ乳酸の該添加剤は、本発明の樹脂組成物の配合割合の算定においては、ポリ乳酸とは別に取り扱う。
例えば、本発明においては、ポリ乳酸として、ポリL−乳酸を用いる場合は、結晶核剤として、D−乳酸をモノマー単位として少なくとも含む単独重合体又は共重合体を用いることが、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の耐衝撃性及び耐熱性を維持する観点から好ましい。
【0010】
(天然ゴム)
本発明の樹脂組成物に用いられる天然ゴムとは、通常に天然に産するゴムだけでなく合成されるポリイソプレンも含まれる。しかし、近年、植物由来であることが望まれるため天然に産するゴムをメインとする。合成ポリイソプレンを用いる場合は、シス−1,4結合含量の高いものが好ましい。天然ゴムとしては、例えば天然ゴムラテックス、リブドスモークドシート、ホワイトクレープ、ペールクレープ、エステートブラウンクレープ、コンポクレープ、薄手ブラウンクレープ、厚手ブランケットクレープ、フラットバーククレープ、及び純スモークドブランケットクレープ等のシートゴム、ブロックゴム等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、天然ゴムの添加量はポリ乳酸100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部が更に好ましく、3〜15質量部又は4〜12質量部、更には5〜10質量部が特に好ましい。1質量部未満の場合、耐衝撃性改善効果は得られない傾向がある。30質量部を超えて添加すると耐熱性が低下する傾向がある。
【0011】
(結晶核剤)
本発明の樹脂組成物に用いられる結晶核剤としては、ポリ乳酸の結晶化を促進する機能を有するものであれば、無機系又は有機系のどちらでも特に限定されない。
無機結晶核剤としては、タルク、マイカ、等が挙げられる。
結晶核剤としての有機酸金属塩としては、フェニルリン酸亜鉛、乳酸亜鉛、等が挙げられる。
また、有機系の結晶核剤として、当該ポリ乳酸とはキラリティの異なる乳酸をモノマー単位として少なくとも含む単独重合体又は共重合体が挙げられる。共重合性モノマーとしては、デンプン、グルコマンナン等の多糖、ブドウ糖等の単糖、ショ糖、マルトース等の二糖、シクロデキストリン等のオリゴ糖等が挙げられ、具体的には、当該ポリ乳酸とはキラリティの異なるポリ乳酸、同乳酸−デンプン共重合体樹脂等が挙げられ、これらのいずれを用いてもよいが、0.1質量%〜1質量%の糖の入った該乳酸−デンプン共重合樹脂がより好ましい。上述したように本発明においては、ポリ乳酸として、ポリL−乳酸を用いる場合は、当該ポリ乳酸とはキラリティの異なるポリ乳酸は、D−乳酸をモノマー単位として少なくとも含む単独重合体又は共重合体となる。また、結晶核剤の分子量は、特に限定されないが、1,000〜2,000,000の範囲が好ましい。1,000以下の場合、共晶を形成し、結晶化速度は大となるが樹脂が蜂蜜状で取り扱いにくくなることがあり、2,000,000を越えると溶融粘度が大となり、重合終了時に取出しにくくなることがある。
また、竹繊維や竹粉末を併用することにより、さらに結晶化速度を増大させ、樹脂の耐熱性を向上させても良い。また微粉砕セルロースも同様の効果が期待できる。
結晶核剤としては、中でも、有機酸金属塩が好ましい。
本発明の樹脂組成物における、結晶核剤の添加量は特に限定されないが、ポリ乳酸100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、更には8質量部以下、そして5質量部以下、より更には3又は2質量部以下が好ましく、結晶核剤種によっては、1.5〜0.3質量部が更に好ましく、1.0〜0.5質量部が特に好ましい。0.3質量部未満の場合、顕著な結晶化促進効果が得られ難い傾向があり、10質量部を超えて添加すると樹脂強度が低下する傾向がある。いずれも結晶核剤の種類によって添加量は適量に調整される。
【0012】
(エポキシ化天然ゴム)
本発明に用いられるエポキシ化天然ゴムとは、過酸化水素、過酢酸等のエポキシ化剤により上記天然ゴムにエポキシ基を導入したものであり、特に限定されないが、エポキシ基の導入量は天然ゴムの二重結合のモル数に対して20%〜50%が好ましい。
本発明の樹脂組成物において、エポキシ化天然ゴムの添加量はポリ乳酸100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜10質量部が更に好ましく、0.3〜5質量部、0.4〜3質量部、0.5〜2質量部が特に好ましい。また、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの質量比は、前者:後者で、98:2〜40:60が好ましく、90:10〜50:50が更に好ましい。また、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムの和は、ポリ乳酸100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、1.5〜25質量部が更に好ましく、2〜20質量部又は3〜15質量部、更には4〜12質量部が特に好ましい。上記好ましい範囲に応じて、耐衝撃性の更なる改善が期待できるとともに耐熱性が確保され、更にロール作業性も良好に維持される。これは、前述したようにエポキシ化天然ゴムと加水分解抑制剤との(架橋)反応生成物等が、天然ゴムをポリ乳酸中に均一に分散させる相溶化剤として機能しているものと考えられる。
また、本発明の樹脂組成物は、天然ゴム並びにエポキシ化天然ゴムの分解を抑制するために一般的なゴム用老化防止剤を用いることが好ましい。この老化防止剤は、ポリ乳酸100質量部に対して0.05〜0.5質量部用いることが好ましく、0.1〜0.3質量部用いることが更に好ましい。
【0013】
(その他)
本発明は、所望の特性を得るために天然ゴムを上記以外の手法により化学修飾したものや、ポリカプロラクトン等の柔軟性付与剤を併用してもよい。例えば、ポリカプロラクトン等を併用し、樹脂組成物の耐熱性を向上させること等が挙げられる。しかしながら、ポリカプロラクトンを添加すると樹脂の植物度が低下する。
本発明の樹脂組成物は、上記以外の添加剤を添加することができる。具体的な添加剤としては、耐候性改良剤、例えば、酸化チタンなどの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、大豆油などの植物油や中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの可塑剤、及び酸化防止剤、滑剤、例えば、高級脂肪酸系アルコール、脂肪族アミド、金属石鹸、及び脂肪酸エステル、充填材、例えば、セルロース又はその粉末、カーボンブラック(マスターバッチを含む)、などが例示できる。
【0014】
本発明の樹脂組成物、成形体を製造する手段としては、温度、圧力等の条件を調整すること等、特に制限はない。このような手段には公知の装置、例えば、二軸押出機、ニーダー等を用いることが挙げられる。
本発明では、上記各成分を含むブレンドを二軸押出機に投入して樹脂組成物とすることが好ましい。
ここで、二軸押出機のブレンド条件は、温度180〜200℃が好ましい。
上記二軸押出機でブレンドされ、押出し成形された樹脂組成物の成形体は、そのまま製品としてもよいし、ペレット化して射出成形用としてもよい。また、該ペレット化した本発明の樹脂組成物は、他の樹脂又はゴムとともに用いて射出成形機や押出機により成形体を製造することもできる。
【0015】
(成形体)
本発明の成形体は、JIS K7111準拠で、シャルピー衝撃強度が15kJ/m以上が好ましく、17〜28が更に好ましい。また、80℃、湿度95%、及び96時間処理におけるシャルピー衝撃強度(kJ/m)の保持率(100×(処理後/処理前))が60%以上が好ましく、65〜90%が更に好ましい。
また、本発明の成形体は、JIS K7113準拠で、引張強度が40〜70MPa、最大荷重時の伸びが1〜5%、弾性係数が2000〜3000MPaである。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
比較例1
a.天然ゴム(NR)のペレット化
温度40℃に設定した8インチオープンロールにギロチンカッターで10cm角に切断したNRブロック(スリランカ製ペールクレープ)を投入、約1kgの量のNRをロールに巻きつかせ、約10分程度可塑化させた(可塑化時のロール間隙:1.5mm)。この可塑化させたものを後述のポリL−乳酸のペレットと同様なサイズに細かく裁断した。
b.樹脂組成物のペレット化
ポリ乳酸(ポリL−乳酸、三井化学(株)製レイシアH−100)100質量部、天然ゴムペレット6.75質量部、結晶核剤(フェニルリン酸亜鉛、日産化学工業製エコプロモート)1質量部、カルボジイミド化合物(サンプルA:表1及び2参照)5質量部、黒色用のマスターバッチ(黒色MB)(大日精化工業製 PT−RM H1016−45〔H〕)2部、及びステアリルアミド(日油製アルフローS−10)0.5部の各ペレットをそれぞれ計量後、PE製の袋の中で予備混合したのち、樹脂温180℃に設定した二軸押出機(クリモト製S1KRCニーダ)に投入し、コンベア上にストランド状に押出した後、ペレタイザでペレット化した。
c.ペレットの射出形成
bで作成したペレットを(株)山城精機製作所製の射出成型機SAV−30を用いて、JIS K7111準拠の、シャルピー衝撃強度測定用試験片、JIS K7113の1号引張試験片と荷重たわみ測定用の棒状試験片(120mm×12mm×4mm)を成形した。成形温度はシリンダー温度、スクリュウ上部、スクリュウ下部、ノズルの順番に、それぞれ180℃、170℃、175℃、180℃に設定した。また、射出時間20秒、冷却時間100秒、(射出時間と冷却時間の合計の成形時間2分)、金型温度(成形温度)110℃、で試験片を成形し、最終試験片とした。
得られた試験片はJIS K7111に準拠して、シャルピー衝撃強度を測定した。また、試験片を80℃、湿度95%、及び96時間処理におけるシャルピー衝撃強度も実施し、保持率を求めた。また、JIS K7191−1−B法に準拠して荷重たわみ温度を測定した。但し、エッジワイズ試験片を用いた。また、JIS K7113の引張強度および伸び、並びにJIS K 7113に準拠して弾性係数も併せて測定した。結果を表1に示す。
【0017】
実施例1、比較例2〜3
比較例1のカルボジイミド化合物(サンプルA)をサンプルB〜D(表1記載)のものに変更した以外は、比較例1と同様にペレットを作製すると共に試験片を作製して評価し、結果を表1及び2並びに図1〜4に示した。表2並びに図1〜4は、カルボジイミド化合物の数平均分子量Mn又は質量平均分子量Mwとシャルピー衝撃強度又はその保持率との関係を示すものである。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
上表及び図1〜4から、本発明の分子量範囲のカルボジイミド化合物を用いることにより、他の機械的特性を確保しつつ、シャルピー衝撃強度及びその高温、高湿、経時での保持率を向上させることができることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸、天然ゴム、及び質量平均分子量Mwが5000〜15000、及び数平均分子量Mnが2000〜5000のカルボジイミド化合物を含む樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ化天然ゴムを含む、請求項1の樹脂組成物。
【請求項3】
ポリ乳酸100質量部、天然ゴム1〜30質量部、結晶核剤10質量部以下、及びカルボジイミド化合物0.5質量部以上を含む、請求項1又は2の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の樹脂組成物の成形体。
【請求項5】
シャルピー衝撃強度が15kJ/m以上である、請求項4の成形体。
【請求項6】
温度80℃、湿度95%、及び96時間処理におけるシャルピー衝撃強度(kJ/m)の保持率が60%以上である、請求項4又は5の成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−219151(P2012−219151A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84765(P2011−84765)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】