欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置
【課題】 被検査体の厚さ、種類や溶接部の形状等を問わず、溶接部等の検査が困難な検査対象部に生じる欠陥を簡便に検出することが可能な欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置を提供すること。
【解決手段】 被検査体に探触子から超音波を送信すると共に被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する。探触子を検査対象部に沿うように走査し、被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を探触子の走査方向及び被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示する。Bスコープ画像における変化部R2の存在により欠陥を検出する。
【解決手段】 被検査体に探触子から超音波を送信すると共に被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する。探触子を検査対象部に沿うように走査し、被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を探触子の走査方向及び被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示する。Bスコープ画像における変化部R2の存在により欠陥を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置に関する。さらに詳しくは、被検査体に探触子から超音波を送信すると共に前記被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接部の欠陥検出方法として、図18に示す如き超音波探傷試験方法が知られている。この試験方法は、被検査体100’に超音波を入射して欠陥からの反射信号を受信し、この反射信号が得られたビーム路程、探触子10’の入射角及び被検査体100’の板厚から欠陥の板厚方向の位置を測定している。
【0003】
しかし、欠陥からの反射信号を直接受信可能となるように超音波を入射させなければならず、探触子10’の不感帯の影響や溶接部103’の余盛103a’による探触子10’の近接限界により欠陥端部からの反射信号を得られない場合があった。また、図19に示すように、近距離音場の影響により小欠陥の場合には複数のピーク信号が得られるため位置特定が困難となる。
【0004】
これらの影響を回避するため、1回以上反射させて探傷を行うことも可能である。しかし、入射した超音波は被検査体100’板厚方向の全域に広がりをもって伝搬するため、図20に示すように、得られた反射信号の板厚方向の位置が特定及び欠陥D’からの信号と形状による信号とを識別することが困難であった。そのため、薄板の溶接部103’の探傷が困難であり、JIS規格においても適用板厚の下限は6mmと規定されている。
【0005】
また、他の溶接部の欠陥検出方法として、例えば特許文献1,2に記載の如きものが知られている。特許文献1に記載の溶接部の傷検出方法は、溶接部の両側に送信探触子及び受信探触子を配置しTOFD法により探傷し、欠陥から特定の傷を抽出している。また、特許文献2に記載の超音波検査方法は、回折波から欠陥の位置を検出するTOFD法と、入射した超音波のエコーから欠陥位置を検出する反射エコー法を同時に行い欠陥の位置を正確に測定している。
【0006】
いずれの特許文献においても、欠陥から直接信号を得て、その信号を解析することで欠陥の位置等を特定しているので、上述の問題は解決されていない。また、欠陥位置を高精度に検出のために溶接線を基準に正確に走査しなければならず、走査装置を溶接線に沿って設ける必要があり、溶接部の位置、形状等によってはそのような走査装置を設置することができず、探傷ができない場合もあった。
【特許文献1】特開2003−215114号公報
【特許文献2】特開2001−13114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、被検査体の厚さ、種類や溶接部の形状等を問わず、溶接部等の検査が困難な検査対象部に生じる欠陥を簡便に検出することが可能な欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る欠陥検出方法の特徴は、被検査体に探触子から超音波を送信すると共に前記被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する方法において、前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することにある。
【0009】
上記特徴によれば、検査対象部のみからの反射信号の値や特徴量により欠陥を直接検出するのではなく、欠陥と健全部との差異をBスコープ画像による形状的な変化部として表示させることができるので、検出の困難な部位における欠陥の有無を簡便に検出することができる。前記検査対象部が溶接部を含んでいてもよく、前記被検査体の板厚は6mm以下であってもよい。このような被検査体であっても変化部に着目するので確実に欠陥の有無を検出することが可能である。
【0010】
また、前記変化部はあらかじめ生成した健全被検査体におけるBスコープ画像と比較することにより特定するようにしてもよい。特定の板厚方向の幅における前記受信信号の振幅を抽出し、前記振幅により前記欠陥を検出すると共に少なくとも前記欠陥の板厚方向の大きさを推定するようにしても構わない。
【0011】
また、前記探触子は前記被検査体に対し非接触であってもよい。前記探触子は送信探触子と受信探触子とより構成してもよい。この場合、前記送信探触子と前記受信探触子とは前記検査対象部に対し両側に対向して配置してもよく、前記送信探触子及び前記受信探触子は前記検査対象部に対し片側に配置してもよい。また、前記探触子は超音波を送受信する送受信探触子であってもよい。
【0012】
前記被検査体は前記検査対象部を境に板厚が異なり、前記検査対象部に対し板厚の薄い側に位置する前記探触子から超音波を送信することが望ましい。また、前記被検査体は金属材料より構成されていても構わない。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る欠陥検出方法に用いる欠陥検出装置の特徴は、前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することにある。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明に係る欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置の特徴によれば、被検査体の種類や溶接部等の検査対象部の形状等を問わず、例えば検査の困難な板厚の薄い被検査体であっても、簡便に検査対象部の欠陥を検出することが可能となった。
【0015】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照しながら、本発明の第一の実施形態について説明する。
本発明に係る欠陥検出装置1は、図1に示すように、探触子10には一対の送信探触子11及び受信探触子12を用いる。送信探触子11は被検査体100に対し超音波を入射させ、入射した超音波を受信探触子12で受信する。送信探触子11と受信探触子12は溶接部103に対し両側に対向して配置する。位置検出器20は探触子10と連動し、探触子10の空間的位置を検出する。探触子10および位置検出器20と接続された送受信装置30は、CPU31、送信部32、受信部33、位置検出部34、表示部35、信号処理部36で構成されている。なお、被検査体100としては、平板鋼材101,102を突き合わせて溶接した溶接部103を有するものを用いる。本実施形態において溶接部103が検査対象部であり、この溶接部103は被検査体100の表面100aから突出した余盛部103aが形成されている。
【0017】
送信部32は送信信号を発生させ送信探触子11に入力し、被検査体100におけるエコーとして受信探触子12で受信した複数種の超音波を受信部33に入力し、信号処理部36、CPU31で演算処理を行う。また、位置検出器20からの信号を位置検出部34に入力させ、信号処理部36、CPU31で演算処理をすることで探触子10の位置データを取得している。
【0018】
そして、探触子10に位置検出器20を取り付け、被検査体100上を溶接部103の溶接線L方向に沿うように連続走査して、位置検出器20から送られた探触子10の位置信号と、探触子10で受信された複数種の超音波の信号からBスコープ画像を生成し、表示部35に表示する。なお、探触子10の走査は、必ずしも溶接部103の溶接線Lに平行となるように走査する必要はなく、その溶接線L方向に走査すればよい。すなわち、欠陥の反射信号から欠陥の正確な位置を測定するのではなく、後述するBスコープ画像に表れる変化部の有無により欠陥の有無を少なくとも検出すればよいからである。
【0019】
ここで、図2〜6を参照しながら、欠陥位置と超音波のビーム路程の変化について説明する。送信探触子11から入射した超音波は、被検査体100内部で広がりをもって伝搬する。例えば、図2(a)に示すように、被検査体100の表面100a側に欠陥D1が存在する場合、入射した超音波の内、表面100a近傍を伝搬する超音波W1は欠陥D1により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られ、受信探触子12では超音波W1がほとんど受信されず、図3,5に示す如きBスコープ画像が生成される。
【0020】
図3は図2(a)において被検査体100の板厚が6mmを超える被検査体でのBスコープ画像であり、図5は被検査体100の板厚が1.8mmの被検査体の場合である。通常、健全部のBスコープ画像は図3の符号R1の如く表示される。しかし、表面100a近傍を伝搬する超音波W1は欠陥D1により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られるため、超音波のビーム路程に変化が生じる。よって、欠陥部はそのビーム路程に変化によって図3の符号R2の如くBスコープ画像の一部に一対の段差部dpで区画される変化部として表示される。図5に示す薄板被検査体の場合においても同様に、ビーム路程に変化によってBスコープ画像の一部に一対の段差部dpで区画される変化部R2が表示される。この変形部R2は欠陥D1によるビーム路程の変化により表れる特異な信号変化である。よって、この変化部R2の有無により被検査体100の欠陥の有無を検出することができる。
【0021】
また、図2(b)に示すように、被検査体100の裏面100b側に欠陥Dが存在する場合、入射した超音波の内、欠陥D2近傍の裏面100bで反射した超音波W3は欠陥D2により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られ、受信探触子12では超音波W3がほとんど受信されず、図4,6に示す如きBスコープ画像が生成される。
【0022】
図4は図2(b)において被検査体の板厚が6mmを超える被検査体でのBスコープ画像であり、図6は板厚が1.8mmの板厚の被検査体の場合である。欠陥D2近傍の裏面100bで反射した超音波W3は欠陥D2により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られるため、超音波のビーム路程に変化が生じ、そのビーム路程の変化によって図4の如くBスコープ画像の一部に変化部R2が生じる。図6に示す薄板被検査体の場合においても同様に、ビーム路程の変化によってBスコープ画像の一部に変化部R2が生じる。この変形部R2は欠陥D2によるビーム路程の変化により表れる特異な信号変化であり、欠陥が被検査体の裏面側に位置する場合であってもこの変化部R2の有無によって被検査体の欠陥の有無を検出することができる。
【0023】
欠陥Dが存在すると、上述のようにビーム路程の変化や信号強度の変化により超音波は種々の現象が重なり合い、図3〜6に示す如きBスコープ画像が生成される。このBスコープ画像には、欠陥Dの存在により生じる信号変化によって画像の一部に一対の段差部dpで区画される変化部R2が生じる。よって、欠陥からの反射信号を直接検出することで欠陥を検出することなく、欠陥による超音波の特異な信号変化により表れる変化部R2の有無に着目して欠陥の有無を確認することができる。よって、被検査体の板厚が6mm以下の薄板であっても、欠陥Dの位置が被検査体100の表面100a側、裏面100b側を問わずに確実に欠陥を検出することができる。また、被検査体100内部の欠陥であっても、超音波のビーム路程の変化が生じるので、欠陥の有無を検出することが可能となる。なお、上記において被検査体表面及び裏面と表現したが、配管等の管状の被検査体においては外面、内面と置き換えて表現される。
【0024】
次に、溶接部の欠陥検出手順について説明する。
まず、位置検出器20を取り付けた送信探触子11及び受信探触子12からなる一対の探触子10を被検査体100の溶接部103の溶接線L方向へ連続走査する。そして、被検査体100内部を伝搬した複数の超音波を受信探触子12で受信すると共に、その受信信号を信号処理部36及びCPU31を介してBスコープ画像を作成し、表示部35に表示する。このBスコープ画像は、横軸が探触子10の走査方向となる溶接線L方向への走査距離、縦軸が板厚方向の深さとする。
【0025】
例えば、板厚が1.8mmの被検査体において、図2(a)に示すように、被検査体表面100a側に欠陥D1が位置している場合、図5のようなBスコープ画像が表示部35に表示される。このBスコープ画像において、健全部分での受信信号は概ね均一に横軸と平行に帯状に表示される。一方、入射した超音波の一部は上述したように、欠陥D1で伝搬が遮断されるためビーム路程が変化し、健全部分の平坦部分に対し一部分に一対の段差部dpで区画される変化部R2が形成される。この変化部R2の有無を確認することで欠陥D1の有無を検出する。
【0026】
また、図2(b)に示すように、被検査体裏面100b側に欠陥D2が位置している場合、図6のようなBスコープ画像が表示される。この場合においても、入射した超音波の一部は欠陥D2で伝搬が遮断されるためビーム路程が変化し、変化部R2が形成され、変化部R2の有無を確認することで欠陥D2の有無を検出する。
【0027】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、上記第一の実施形態と同様の部材等には同様の符号を付してある。
上記実施形態において、欠陥の検出は超音波のビーム路程の変化により表れるBスコープ画像における変化部R2の有無により検出した。本実施形態においては、各走査位置における受信信号の振幅の変化により欠陥の有無及び欠陥の板厚方向の大きさを推定する。
【0028】
被検査体100に入射した超音波は、その伝搬経路に欠陥Dが存在すると、その欠陥Dにより減衰し、受信探触子12で受信される受信信号の振幅はその欠陥Dの欠損面積に対応して小さくなる。ここで、図7に受信信号の振幅と探触子の走査位置との関係を示す。
【0029】
同図において、符号Qa1〜4は健全部における特定の走査位置での受信信号の振幅信号を示し、符号Qb1,2は欠陥における受信信号の振幅信号を示す。これらの振幅信号において、任意の時間幅t内における振幅のピークとピークの両振幅の最大値を比較すると、健全部ではいずれの信号Qa1〜4もほぼ同等の両振幅Paとなる。一方、欠陥部での信号Qb1,2は、超音波が欠損面積に応じて減衰するため、欠陥の大きさに応じて変化した振幅となり、健全部における両振幅Paより小さい両振幅Pbとなる。
【0030】
また、曲線Qは上記の両振幅値を走査位置毎にプロットし各点を結んだ曲線を表す。この曲線Qが示す如く、他の欠陥部での信号Qb2の両振幅は信号Qb1における両振幅Pbに対し小さくなっており、信号Qb2の走査位置では超音波がより大きく減衰していることが分かる。すなわち、受信信号の振幅の変化に着目することで欠陥の有無及びその大きさを推定することができる。
【0031】
ここで、欠陥検出手順について説明する。探触子10を溶接部103の溶接線L方向に走査し、CPU31及び信号処理部36において受信した受信信号から各走査位置毎に任意の時間幅t内における受信信号の両振幅値の最大値を算出する信号処理を行う。そして、それら両振幅値を例えば走査方向を横軸とするグラフに走査位置毎にプロットし、曲線Qとして表示器35に表示する。この曲線Qにより欠陥の有無及び欠陥の大きさを推定する。
【0032】
本実施形態は上記第一実施形態と共に実施することも可能であり、例えば上述のBスコープ画像と組み合わせて、曲線Qを重ねて表示するようにしてもよい。また、上記第一実施形態とは独立に行い、例えば図14に示す如く縦軸を振幅とするグラフに曲線Qを表示させるようにしても構わない。なお、本実施形態において振幅信号のピークとピークの両振幅を用いたが、片振り振幅を用いてもよい。
【0033】
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、以下の実施形態は適宜組み合わせて実施することができる。
【0034】
上記各実施形態において、探触子10は一対の送信探触子11と受信探触子12とにより構成した。しかし、上記各実施形態と異なり、探触子10として送受信可能な1の送受信探触子10を用いても構わない。また、上記実施形態において、被検査体100は板状の第一、第二部材101,102を突き合わせて溶接した被検査体100を用いたが、板状に限らず管状の被検査体を用いることも可能である。
【0035】
ここで、管状の被検査体100に対し送受信可能な1の送受信探触子10を用いた実施形態を図8に示す。図8に示すように、被検査体100には縦40mm、横25mm、長さ500mmの肉厚1.8mmの角形管体を用いた。図9のBスコープ画像に示すように、数字1〜6の箇所に変化部が形成された。そして、それらの箇所について、被検査体100を切断しその断面C1〜4を撮影した。図10〜12に示すように、いずれの箇所においても被検査体100内部に欠陥が存在することが確かめられ、送受信可能な1の送受信探触子10においても変化部R2の有無により欠陥を検出可能であることが分かった。
【0036】
また、上記各実施形態において、探触子10は被検査体100に対し接触させて走査した。しかし、探触子は被検査体100に対し非接触の状態で走査しても構わない。
【0037】
図13に一対の送信探触子11と受信探触子12とにより構成した探触子10を被検査体100に対して非接触で走査した実施例を示す。被検査体100は板状の鋼材であり、被検査体100の略中央に方形の余盛部103aを形成し、その内部に長さ10mmの模擬欠陥D3を複数作成した。この模擬欠陥D3は深さを異ならせてあり、模擬欠陥D3aは深さ0.5mm、模擬欠陥D3bは深さ1.0mm、模擬欠陥D3cは深さ1.5mm、模擬欠陥D3dは深さ2.0mmである。このような被検査体であっても、余盛部103a内部に形成された欠陥D3a,bも含め、各欠陥D3a〜dを明瞭に検出することが確認でき、非接触状態であっても欠陥を検出することが可能であることが判明した。
【0038】
このように、非接触であっても欠陥を検出することが可能であるので、水等の接触媒質を用いる必要がなく、複合材料や機械部品等の接触媒質を適用することができない材料や検査箇所においても検査することができる。また、非接触で走査するので高速に検査を行うことが可能である。さらに、例えば溶接直後や熱間圧延等の高温のため探触子を接触させて検査することが困難な高温状態の被検査体においても欠陥の有無を検査することが可能である。
【0039】
加えて、上述の被検査体での非接触の走査における受信信号の振幅と探触子の走査位置との関係を図14に示す。上記第二実施形態と同様に、非接触の走査においても、各模擬欠陥D3a〜dの大きさに応じて超音波が減衰し、振幅が変化することが確かめられた。よって、非接触の走査においても振幅変化に着目して欠陥Dの有無及び大きさを推定することができる。
【0040】
検査対象部となる溶接部103又は余盛部103aの形状は上記各実施形態の如き形状に限られるものではなく、例えば、図15に示す如き複雑な形状であってもよく、様々な形状の溶接部103又は余盛部103aの欠陥検出に適用することが可能である。また、上記各実施形態において検査対象部は余盛部103aを有する溶接部103であったが、検査対象部は溶接部103に限られず、例えば突起を有する機械部品、加工、鍛造部品等を被検査体としても同様に欠陥を検出することが可能である。さらに、上記各実施形態において、被検査体100として鋼材を用いたが、鋼材に限られず、種々の金属材料よりなる被検査体であってもよい。なお、上述のように、欠陥は溶接部103の余盛部103aの如く被検査体表面から突出した突出部内部に存在していたとしても検出することは可能である。
【0041】
被検査体における溶接の態様及び検査部位の形状は上記実施形態の突き合わせ溶接に限られるものではない。例えば、図16(a)に示すように、平板鋼材の第一、第二部材111,112の一部を重ね合わせて溶接した被検査体110の隅肉溶接部113を検査対象部としてもよい。また、同図(b)に示す如く、第一、第二部材121,122をT字状に突き合わせて溶接した隅肉溶接部123であってもよい。
【0042】
これらの例において、送受信探触子11,12はそれぞれ例えばP1〜5の位置に配置するとよい。被検査体110では、例えば、P1に送信探触子11、P2に受信探触子12をそれぞれ配置する。被検査体120では、P3に送信探触子11、P4,5に受信探触子12をそれぞれ配置する。また、P5に送信探触子11、P3,4に受信探触子12をそれぞれ配置しても、同様に検査を合理的に実施することができる。
【0043】
送受信探触子11,12はP1〜5の裏面側であるP1’〜5’の位置に配置してもよい。例えば、被検査体110では、P2’に受信探触子12、P1’に送信探触子11を配置したり、P1に受信探触子12を配置し、P1’,P2’にそれぞれ送信探触子11を配置しても構わない。また、被検査体120では、P3に送信探触子11、P4’,5’に受信探触子12を配置する場合の他、P5’に送信探触子11、P3’,4に受信探触子12をそれぞれ配置しても検査を実施することができる。すなわち、検査対象部となる溶接部により接続される被検査体の任意の位置に対をなす送受信探触子11,12をそれぞれ配置することができる。なお、検査可能な送信探触子11、受信探触子12の配置は上述の組み合わせに限られるものではなく、種々の改変が可能である。
【0044】
上記各実施形態において、被検査体の板厚は部材間で同一であった。しかし、同一板厚の部材に限らず、板厚の異なる部材を溶接した被検査体であっても欠陥を検出することが可能である。係る場合、板厚の薄い部材側から超音波を被検査体に入射させることが望ましい。これにより、板厚差による目違いを欠陥として検出することを防止することができる。
【0045】
上記各実施形態において、一部が変化した変化部をBスコープ画像の健全部分として表れる平坦部分と対比して変化部を特定し、欠陥の有無を確認した。しかし、あらかじめ健全被検査体においてBスコープ画像を生成し、そのBスコープ画像との比較により変化部を特定するようにしても構わない。例えば、被検査体健全部分の形状が複雑であるような場合においては、Bスコープ画像には上記実施形態の如く健全部分として平坦な形状でなく比較が困難な形状として表れる場合がある。そのような場合、あらかじめ生成した健全被検査体のBスコープ画像と対比することで、欠陥による信号変化により表れる変化部を特定することができ、欠陥の検出が可能となる。
【0046】
また、上記各実施形態において、図17(a)に示す如く送信探触子11と受信探触子12を検査対象部となる溶接部103に対して両側にほぼ対称に配置した。しかし、対称配置する場合に限らず、溶接部103に対して非対称に配置しても構わない。非対称に配置する場合、被検査体100の板厚方向に直交する方向における溶接部幅中央の被検査体裏面近傍の欠陥の影響を受ける度合いが小さくすることができる。すなわち、例えば同図の符号11’,12’に示す如く、探触子を片方側に偏らせて配置することにより超音波W4の送受信経路をW4’とし、溶接部幅の中央裏面側において特定の高さを超える大きい欠陥を検出するようにすることができる。さらに、図17(b)に示すように、溶接部103に対して片方側に送信探触子11と受信探触子12とを位置させるようにしても構わない。また、上記実施形態に示したように、図17(c)の如く送受信可能な1の送受信探触子10により欠陥検出を行うことも可能である。なお、各図において、送信探触子11と受信探触子12の位置を入れ替えて検査を実施することも可能である。
【0047】
また、上記実施形態において、受信する超音波の種類は縦波、横波、板波等様々な超音波であってもよい。さらに、1回反射に限られず、複数回の反射信号であってもよい。すなわち、上述のように欠陥によるビーム路程の変化を検出することできるものであればよく、超音波の種類は特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、溶接部の欠陥検出方法及びこれに用いる溶接部の欠陥検出装置として利用することができる。この欠陥検出方法及び装置は、平板状、管状等被検査体の形状に限定されず適用することができ、さらに、鋼材に限らず他の金属材料、複合材料や樹脂等様々な材質の被検査体の欠陥検出に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る欠陥検出装置の構成図である。
【図2】欠陥による超音波のビーム路程の変化を示す概略図であり、(a)は被検査体表面側に欠陥が位置する場合、(b)は被検査体裏面側に欠陥が位置する場合を示す。
【図3】厚板被検査体表面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図4】厚板被検査体裏面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図5】薄板被検査体表面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図6】薄板被検査体裏面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図7】受信信号の両振幅値と走査位置との関係を模式的に示すグラフである。
【図8】本発明の他の実施形態における被検査体の概略図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図9】図8に示す被検査体における走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図10】図8に示す被検査体の切断面C1の拡大写真である。
【図11】図8に示す被検査体の切断面の拡大写真であり、(a)は切断面C2、(b)は切断面C3の拡大写真である。
【図12】図8に示す被検査体の切断面C4の拡大写真である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態における両振幅値と走査位置との関係を示すグラフである。
【図15】本発明に適用される他の被検査体の一例を示す図である。
【図16】本発明に適用されるさらに他の被検査体の一例を示す図である。
【図17】本発明の探触子の配置例を示す図である。
【図18】従来の溶接部の超音波探傷方法を示す概略図である。
【図19】近距離音場における小欠陥の走査グラフである。
【図20】超音波の広がりと欠陥等からの信号の波形例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1:欠陥検出装置、10,10’:探触子、11,11’:送信探触子、12,12’:受信探触子、20:位置検出器、30:送受信装置、31:CPU、32:送信部、33:受信部、34:位置検出部、35:表示部、36:信号処理部、100,100’:被検査体、100a:表面、100b:裏面、101:第一部材、102:第二部材、103,103’:溶接部(検査対象部)、103a:余盛部(突出部)、D,D1〜3,D’:欠陥、dp:段差部、R1:健全部、R2:変化部、L:溶接線(走査方向)、Pa,b:両振幅、Q:曲線、Qa1〜4,Qb1,2:振幅信号、t:時間幅、W,W1〜4,W4’:超音波
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置に関する。さらに詳しくは、被検査体に探触子から超音波を送信すると共に前記被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接部の欠陥検出方法として、図18に示す如き超音波探傷試験方法が知られている。この試験方法は、被検査体100’に超音波を入射して欠陥からの反射信号を受信し、この反射信号が得られたビーム路程、探触子10’の入射角及び被検査体100’の板厚から欠陥の板厚方向の位置を測定している。
【0003】
しかし、欠陥からの反射信号を直接受信可能となるように超音波を入射させなければならず、探触子10’の不感帯の影響や溶接部103’の余盛103a’による探触子10’の近接限界により欠陥端部からの反射信号を得られない場合があった。また、図19に示すように、近距離音場の影響により小欠陥の場合には複数のピーク信号が得られるため位置特定が困難となる。
【0004】
これらの影響を回避するため、1回以上反射させて探傷を行うことも可能である。しかし、入射した超音波は被検査体100’板厚方向の全域に広がりをもって伝搬するため、図20に示すように、得られた反射信号の板厚方向の位置が特定及び欠陥D’からの信号と形状による信号とを識別することが困難であった。そのため、薄板の溶接部103’の探傷が困難であり、JIS規格においても適用板厚の下限は6mmと規定されている。
【0005】
また、他の溶接部の欠陥検出方法として、例えば特許文献1,2に記載の如きものが知られている。特許文献1に記載の溶接部の傷検出方法は、溶接部の両側に送信探触子及び受信探触子を配置しTOFD法により探傷し、欠陥から特定の傷を抽出している。また、特許文献2に記載の超音波検査方法は、回折波から欠陥の位置を検出するTOFD法と、入射した超音波のエコーから欠陥位置を検出する反射エコー法を同時に行い欠陥の位置を正確に測定している。
【0006】
いずれの特許文献においても、欠陥から直接信号を得て、その信号を解析することで欠陥の位置等を特定しているので、上述の問題は解決されていない。また、欠陥位置を高精度に検出のために溶接線を基準に正確に走査しなければならず、走査装置を溶接線に沿って設ける必要があり、溶接部の位置、形状等によってはそのような走査装置を設置することができず、探傷ができない場合もあった。
【特許文献1】特開2003−215114号公報
【特許文献2】特開2001−13114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、被検査体の厚さ、種類や溶接部の形状等を問わず、溶接部等の検査が困難な検査対象部に生じる欠陥を簡便に検出することが可能な欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る欠陥検出方法の特徴は、被検査体に探触子から超音波を送信すると共に前記被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する方法において、前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することにある。
【0009】
上記特徴によれば、検査対象部のみからの反射信号の値や特徴量により欠陥を直接検出するのではなく、欠陥と健全部との差異をBスコープ画像による形状的な変化部として表示させることができるので、検出の困難な部位における欠陥の有無を簡便に検出することができる。前記検査対象部が溶接部を含んでいてもよく、前記被検査体の板厚は6mm以下であってもよい。このような被検査体であっても変化部に着目するので確実に欠陥の有無を検出することが可能である。
【0010】
また、前記変化部はあらかじめ生成した健全被検査体におけるBスコープ画像と比較することにより特定するようにしてもよい。特定の板厚方向の幅における前記受信信号の振幅を抽出し、前記振幅により前記欠陥を検出すると共に少なくとも前記欠陥の板厚方向の大きさを推定するようにしても構わない。
【0011】
また、前記探触子は前記被検査体に対し非接触であってもよい。前記探触子は送信探触子と受信探触子とより構成してもよい。この場合、前記送信探触子と前記受信探触子とは前記検査対象部に対し両側に対向して配置してもよく、前記送信探触子及び前記受信探触子は前記検査対象部に対し片側に配置してもよい。また、前記探触子は超音波を送受信する送受信探触子であってもよい。
【0012】
前記被検査体は前記検査対象部を境に板厚が異なり、前記検査対象部に対し板厚の薄い側に位置する前記探触子から超音波を送信することが望ましい。また、前記被検査体は金属材料より構成されていても構わない。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る欠陥検出方法に用いる欠陥検出装置の特徴は、前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することにある。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明に係る欠陥検出方法及びこれに用いる欠陥検出装置の特徴によれば、被検査体の種類や溶接部等の検査対象部の形状等を問わず、例えば検査の困難な板厚の薄い被検査体であっても、簡便に検査対象部の欠陥を検出することが可能となった。
【0015】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照しながら、本発明の第一の実施形態について説明する。
本発明に係る欠陥検出装置1は、図1に示すように、探触子10には一対の送信探触子11及び受信探触子12を用いる。送信探触子11は被検査体100に対し超音波を入射させ、入射した超音波を受信探触子12で受信する。送信探触子11と受信探触子12は溶接部103に対し両側に対向して配置する。位置検出器20は探触子10と連動し、探触子10の空間的位置を検出する。探触子10および位置検出器20と接続された送受信装置30は、CPU31、送信部32、受信部33、位置検出部34、表示部35、信号処理部36で構成されている。なお、被検査体100としては、平板鋼材101,102を突き合わせて溶接した溶接部103を有するものを用いる。本実施形態において溶接部103が検査対象部であり、この溶接部103は被検査体100の表面100aから突出した余盛部103aが形成されている。
【0017】
送信部32は送信信号を発生させ送信探触子11に入力し、被検査体100におけるエコーとして受信探触子12で受信した複数種の超音波を受信部33に入力し、信号処理部36、CPU31で演算処理を行う。また、位置検出器20からの信号を位置検出部34に入力させ、信号処理部36、CPU31で演算処理をすることで探触子10の位置データを取得している。
【0018】
そして、探触子10に位置検出器20を取り付け、被検査体100上を溶接部103の溶接線L方向に沿うように連続走査して、位置検出器20から送られた探触子10の位置信号と、探触子10で受信された複数種の超音波の信号からBスコープ画像を生成し、表示部35に表示する。なお、探触子10の走査は、必ずしも溶接部103の溶接線Lに平行となるように走査する必要はなく、その溶接線L方向に走査すればよい。すなわち、欠陥の反射信号から欠陥の正確な位置を測定するのではなく、後述するBスコープ画像に表れる変化部の有無により欠陥の有無を少なくとも検出すればよいからである。
【0019】
ここで、図2〜6を参照しながら、欠陥位置と超音波のビーム路程の変化について説明する。送信探触子11から入射した超音波は、被検査体100内部で広がりをもって伝搬する。例えば、図2(a)に示すように、被検査体100の表面100a側に欠陥D1が存在する場合、入射した超音波の内、表面100a近傍を伝搬する超音波W1は欠陥D1により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られ、受信探触子12では超音波W1がほとんど受信されず、図3,5に示す如きBスコープ画像が生成される。
【0020】
図3は図2(a)において被検査体100の板厚が6mmを超える被検査体でのBスコープ画像であり、図5は被検査体100の板厚が1.8mmの被検査体の場合である。通常、健全部のBスコープ画像は図3の符号R1の如く表示される。しかし、表面100a近傍を伝搬する超音波W1は欠陥D1により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られるため、超音波のビーム路程に変化が生じる。よって、欠陥部はそのビーム路程に変化によって図3の符号R2の如くBスコープ画像の一部に一対の段差部dpで区画される変化部として表示される。図5に示す薄板被検査体の場合においても同様に、ビーム路程に変化によってBスコープ画像の一部に一対の段差部dpで区画される変化部R2が表示される。この変形部R2は欠陥D1によるビーム路程の変化により表れる特異な信号変化である。よって、この変化部R2の有無により被検査体100の欠陥の有無を検出することができる。
【0021】
また、図2(b)に示すように、被検査体100の裏面100b側に欠陥Dが存在する場合、入射した超音波の内、欠陥D2近傍の裏面100bで反射した超音波W3は欠陥D2により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られ、受信探触子12では超音波W3がほとんど受信されず、図4,6に示す如きBスコープ画像が生成される。
【0022】
図4は図2(b)において被検査体の板厚が6mmを超える被検査体でのBスコープ画像であり、図6は板厚が1.8mmの板厚の被検査体の場合である。欠陥D2近傍の裏面100bで反射した超音波W3は欠陥D2により大きく減衰し伝搬のほとんどが遮られるため、超音波のビーム路程に変化が生じ、そのビーム路程の変化によって図4の如くBスコープ画像の一部に変化部R2が生じる。図6に示す薄板被検査体の場合においても同様に、ビーム路程の変化によってBスコープ画像の一部に変化部R2が生じる。この変形部R2は欠陥D2によるビーム路程の変化により表れる特異な信号変化であり、欠陥が被検査体の裏面側に位置する場合であってもこの変化部R2の有無によって被検査体の欠陥の有無を検出することができる。
【0023】
欠陥Dが存在すると、上述のようにビーム路程の変化や信号強度の変化により超音波は種々の現象が重なり合い、図3〜6に示す如きBスコープ画像が生成される。このBスコープ画像には、欠陥Dの存在により生じる信号変化によって画像の一部に一対の段差部dpで区画される変化部R2が生じる。よって、欠陥からの反射信号を直接検出することで欠陥を検出することなく、欠陥による超音波の特異な信号変化により表れる変化部R2の有無に着目して欠陥の有無を確認することができる。よって、被検査体の板厚が6mm以下の薄板であっても、欠陥Dの位置が被検査体100の表面100a側、裏面100b側を問わずに確実に欠陥を検出することができる。また、被検査体100内部の欠陥であっても、超音波のビーム路程の変化が生じるので、欠陥の有無を検出することが可能となる。なお、上記において被検査体表面及び裏面と表現したが、配管等の管状の被検査体においては外面、内面と置き換えて表現される。
【0024】
次に、溶接部の欠陥検出手順について説明する。
まず、位置検出器20を取り付けた送信探触子11及び受信探触子12からなる一対の探触子10を被検査体100の溶接部103の溶接線L方向へ連続走査する。そして、被検査体100内部を伝搬した複数の超音波を受信探触子12で受信すると共に、その受信信号を信号処理部36及びCPU31を介してBスコープ画像を作成し、表示部35に表示する。このBスコープ画像は、横軸が探触子10の走査方向となる溶接線L方向への走査距離、縦軸が板厚方向の深さとする。
【0025】
例えば、板厚が1.8mmの被検査体において、図2(a)に示すように、被検査体表面100a側に欠陥D1が位置している場合、図5のようなBスコープ画像が表示部35に表示される。このBスコープ画像において、健全部分での受信信号は概ね均一に横軸と平行に帯状に表示される。一方、入射した超音波の一部は上述したように、欠陥D1で伝搬が遮断されるためビーム路程が変化し、健全部分の平坦部分に対し一部分に一対の段差部dpで区画される変化部R2が形成される。この変化部R2の有無を確認することで欠陥D1の有無を検出する。
【0026】
また、図2(b)に示すように、被検査体裏面100b側に欠陥D2が位置している場合、図6のようなBスコープ画像が表示される。この場合においても、入射した超音波の一部は欠陥D2で伝搬が遮断されるためビーム路程が変化し、変化部R2が形成され、変化部R2の有無を確認することで欠陥D2の有無を検出する。
【0027】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、上記第一の実施形態と同様の部材等には同様の符号を付してある。
上記実施形態において、欠陥の検出は超音波のビーム路程の変化により表れるBスコープ画像における変化部R2の有無により検出した。本実施形態においては、各走査位置における受信信号の振幅の変化により欠陥の有無及び欠陥の板厚方向の大きさを推定する。
【0028】
被検査体100に入射した超音波は、その伝搬経路に欠陥Dが存在すると、その欠陥Dにより減衰し、受信探触子12で受信される受信信号の振幅はその欠陥Dの欠損面積に対応して小さくなる。ここで、図7に受信信号の振幅と探触子の走査位置との関係を示す。
【0029】
同図において、符号Qa1〜4は健全部における特定の走査位置での受信信号の振幅信号を示し、符号Qb1,2は欠陥における受信信号の振幅信号を示す。これらの振幅信号において、任意の時間幅t内における振幅のピークとピークの両振幅の最大値を比較すると、健全部ではいずれの信号Qa1〜4もほぼ同等の両振幅Paとなる。一方、欠陥部での信号Qb1,2は、超音波が欠損面積に応じて減衰するため、欠陥の大きさに応じて変化した振幅となり、健全部における両振幅Paより小さい両振幅Pbとなる。
【0030】
また、曲線Qは上記の両振幅値を走査位置毎にプロットし各点を結んだ曲線を表す。この曲線Qが示す如く、他の欠陥部での信号Qb2の両振幅は信号Qb1における両振幅Pbに対し小さくなっており、信号Qb2の走査位置では超音波がより大きく減衰していることが分かる。すなわち、受信信号の振幅の変化に着目することで欠陥の有無及びその大きさを推定することができる。
【0031】
ここで、欠陥検出手順について説明する。探触子10を溶接部103の溶接線L方向に走査し、CPU31及び信号処理部36において受信した受信信号から各走査位置毎に任意の時間幅t内における受信信号の両振幅値の最大値を算出する信号処理を行う。そして、それら両振幅値を例えば走査方向を横軸とするグラフに走査位置毎にプロットし、曲線Qとして表示器35に表示する。この曲線Qにより欠陥の有無及び欠陥の大きさを推定する。
【0032】
本実施形態は上記第一実施形態と共に実施することも可能であり、例えば上述のBスコープ画像と組み合わせて、曲線Qを重ねて表示するようにしてもよい。また、上記第一実施形態とは独立に行い、例えば図14に示す如く縦軸を振幅とするグラフに曲線Qを表示させるようにしても構わない。なお、本実施形態において振幅信号のピークとピークの両振幅を用いたが、片振り振幅を用いてもよい。
【0033】
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、以下の実施形態は適宜組み合わせて実施することができる。
【0034】
上記各実施形態において、探触子10は一対の送信探触子11と受信探触子12とにより構成した。しかし、上記各実施形態と異なり、探触子10として送受信可能な1の送受信探触子10を用いても構わない。また、上記実施形態において、被検査体100は板状の第一、第二部材101,102を突き合わせて溶接した被検査体100を用いたが、板状に限らず管状の被検査体を用いることも可能である。
【0035】
ここで、管状の被検査体100に対し送受信可能な1の送受信探触子10を用いた実施形態を図8に示す。図8に示すように、被検査体100には縦40mm、横25mm、長さ500mmの肉厚1.8mmの角形管体を用いた。図9のBスコープ画像に示すように、数字1〜6の箇所に変化部が形成された。そして、それらの箇所について、被検査体100を切断しその断面C1〜4を撮影した。図10〜12に示すように、いずれの箇所においても被検査体100内部に欠陥が存在することが確かめられ、送受信可能な1の送受信探触子10においても変化部R2の有無により欠陥を検出可能であることが分かった。
【0036】
また、上記各実施形態において、探触子10は被検査体100に対し接触させて走査した。しかし、探触子は被検査体100に対し非接触の状態で走査しても構わない。
【0037】
図13に一対の送信探触子11と受信探触子12とにより構成した探触子10を被検査体100に対して非接触で走査した実施例を示す。被検査体100は板状の鋼材であり、被検査体100の略中央に方形の余盛部103aを形成し、その内部に長さ10mmの模擬欠陥D3を複数作成した。この模擬欠陥D3は深さを異ならせてあり、模擬欠陥D3aは深さ0.5mm、模擬欠陥D3bは深さ1.0mm、模擬欠陥D3cは深さ1.5mm、模擬欠陥D3dは深さ2.0mmである。このような被検査体であっても、余盛部103a内部に形成された欠陥D3a,bも含め、各欠陥D3a〜dを明瞭に検出することが確認でき、非接触状態であっても欠陥を検出することが可能であることが判明した。
【0038】
このように、非接触であっても欠陥を検出することが可能であるので、水等の接触媒質を用いる必要がなく、複合材料や機械部品等の接触媒質を適用することができない材料や検査箇所においても検査することができる。また、非接触で走査するので高速に検査を行うことが可能である。さらに、例えば溶接直後や熱間圧延等の高温のため探触子を接触させて検査することが困難な高温状態の被検査体においても欠陥の有無を検査することが可能である。
【0039】
加えて、上述の被検査体での非接触の走査における受信信号の振幅と探触子の走査位置との関係を図14に示す。上記第二実施形態と同様に、非接触の走査においても、各模擬欠陥D3a〜dの大きさに応じて超音波が減衰し、振幅が変化することが確かめられた。よって、非接触の走査においても振幅変化に着目して欠陥Dの有無及び大きさを推定することができる。
【0040】
検査対象部となる溶接部103又は余盛部103aの形状は上記各実施形態の如き形状に限られるものではなく、例えば、図15に示す如き複雑な形状であってもよく、様々な形状の溶接部103又は余盛部103aの欠陥検出に適用することが可能である。また、上記各実施形態において検査対象部は余盛部103aを有する溶接部103であったが、検査対象部は溶接部103に限られず、例えば突起を有する機械部品、加工、鍛造部品等を被検査体としても同様に欠陥を検出することが可能である。さらに、上記各実施形態において、被検査体100として鋼材を用いたが、鋼材に限られず、種々の金属材料よりなる被検査体であってもよい。なお、上述のように、欠陥は溶接部103の余盛部103aの如く被検査体表面から突出した突出部内部に存在していたとしても検出することは可能である。
【0041】
被検査体における溶接の態様及び検査部位の形状は上記実施形態の突き合わせ溶接に限られるものではない。例えば、図16(a)に示すように、平板鋼材の第一、第二部材111,112の一部を重ね合わせて溶接した被検査体110の隅肉溶接部113を検査対象部としてもよい。また、同図(b)に示す如く、第一、第二部材121,122をT字状に突き合わせて溶接した隅肉溶接部123であってもよい。
【0042】
これらの例において、送受信探触子11,12はそれぞれ例えばP1〜5の位置に配置するとよい。被検査体110では、例えば、P1に送信探触子11、P2に受信探触子12をそれぞれ配置する。被検査体120では、P3に送信探触子11、P4,5に受信探触子12をそれぞれ配置する。また、P5に送信探触子11、P3,4に受信探触子12をそれぞれ配置しても、同様に検査を合理的に実施することができる。
【0043】
送受信探触子11,12はP1〜5の裏面側であるP1’〜5’の位置に配置してもよい。例えば、被検査体110では、P2’に受信探触子12、P1’に送信探触子11を配置したり、P1に受信探触子12を配置し、P1’,P2’にそれぞれ送信探触子11を配置しても構わない。また、被検査体120では、P3に送信探触子11、P4’,5’に受信探触子12を配置する場合の他、P5’に送信探触子11、P3’,4に受信探触子12をそれぞれ配置しても検査を実施することができる。すなわち、検査対象部となる溶接部により接続される被検査体の任意の位置に対をなす送受信探触子11,12をそれぞれ配置することができる。なお、検査可能な送信探触子11、受信探触子12の配置は上述の組み合わせに限られるものではなく、種々の改変が可能である。
【0044】
上記各実施形態において、被検査体の板厚は部材間で同一であった。しかし、同一板厚の部材に限らず、板厚の異なる部材を溶接した被検査体であっても欠陥を検出することが可能である。係る場合、板厚の薄い部材側から超音波を被検査体に入射させることが望ましい。これにより、板厚差による目違いを欠陥として検出することを防止することができる。
【0045】
上記各実施形態において、一部が変化した変化部をBスコープ画像の健全部分として表れる平坦部分と対比して変化部を特定し、欠陥の有無を確認した。しかし、あらかじめ健全被検査体においてBスコープ画像を生成し、そのBスコープ画像との比較により変化部を特定するようにしても構わない。例えば、被検査体健全部分の形状が複雑であるような場合においては、Bスコープ画像には上記実施形態の如く健全部分として平坦な形状でなく比較が困難な形状として表れる場合がある。そのような場合、あらかじめ生成した健全被検査体のBスコープ画像と対比することで、欠陥による信号変化により表れる変化部を特定することができ、欠陥の検出が可能となる。
【0046】
また、上記各実施形態において、図17(a)に示す如く送信探触子11と受信探触子12を検査対象部となる溶接部103に対して両側にほぼ対称に配置した。しかし、対称配置する場合に限らず、溶接部103に対して非対称に配置しても構わない。非対称に配置する場合、被検査体100の板厚方向に直交する方向における溶接部幅中央の被検査体裏面近傍の欠陥の影響を受ける度合いが小さくすることができる。すなわち、例えば同図の符号11’,12’に示す如く、探触子を片方側に偏らせて配置することにより超音波W4の送受信経路をW4’とし、溶接部幅の中央裏面側において特定の高さを超える大きい欠陥を検出するようにすることができる。さらに、図17(b)に示すように、溶接部103に対して片方側に送信探触子11と受信探触子12とを位置させるようにしても構わない。また、上記実施形態に示したように、図17(c)の如く送受信可能な1の送受信探触子10により欠陥検出を行うことも可能である。なお、各図において、送信探触子11と受信探触子12の位置を入れ替えて検査を実施することも可能である。
【0047】
また、上記実施形態において、受信する超音波の種類は縦波、横波、板波等様々な超音波であってもよい。さらに、1回反射に限られず、複数回の反射信号であってもよい。すなわち、上述のように欠陥によるビーム路程の変化を検出することできるものであればよく、超音波の種類は特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、溶接部の欠陥検出方法及びこれに用いる溶接部の欠陥検出装置として利用することができる。この欠陥検出方法及び装置は、平板状、管状等被検査体の形状に限定されず適用することができ、さらに、鋼材に限らず他の金属材料、複合材料や樹脂等様々な材質の被検査体の欠陥検出に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る欠陥検出装置の構成図である。
【図2】欠陥による超音波のビーム路程の変化を示す概略図であり、(a)は被検査体表面側に欠陥が位置する場合、(b)は被検査体裏面側に欠陥が位置する場合を示す。
【図3】厚板被検査体表面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図4】厚板被検査体裏面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図5】薄板被検査体表面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図6】薄板被検査体裏面側に欠陥が位置する場合の走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図7】受信信号の両振幅値と走査位置との関係を模式的に示すグラフである。
【図8】本発明の他の実施形態における被検査体の概略図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図9】図8に示す被検査体における走査結果例を示すBスコープ画像である。
【図10】図8に示す被検査体の切断面C1の拡大写真である。
【図11】図8に示す被検査体の切断面の拡大写真であり、(a)は切断面C2、(b)は切断面C3の拡大写真である。
【図12】図8に示す被検査体の切断面C4の拡大写真である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態における両振幅値と走査位置との関係を示すグラフである。
【図15】本発明に適用される他の被検査体の一例を示す図である。
【図16】本発明に適用されるさらに他の被検査体の一例を示す図である。
【図17】本発明の探触子の配置例を示す図である。
【図18】従来の溶接部の超音波探傷方法を示す概略図である。
【図19】近距離音場における小欠陥の走査グラフである。
【図20】超音波の広がりと欠陥等からの信号の波形例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1:欠陥検出装置、10,10’:探触子、11,11’:送信探触子、12,12’:受信探触子、20:位置検出器、30:送受信装置、31:CPU、32:送信部、33:受信部、34:位置検出部、35:表示部、36:信号処理部、100,100’:被検査体、100a:表面、100b:裏面、101:第一部材、102:第二部材、103,103’:溶接部(検査対象部)、103a:余盛部(突出部)、D,D1〜3,D’:欠陥、dp:段差部、R1:健全部、R2:変化部、L:溶接線(走査方向)、Pa,b:両振幅、Q:曲線、Qa1〜4,Qb1,2:振幅信号、t:時間幅、W,W1〜4,W4’:超音波
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体に探触子から超音波を送信すると共に前記被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する欠陥検出方法であって、
前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項2】
前記検査対象部が溶接部を含むことを特徴とする請求項1記載の欠陥検出方法。
【請求項3】
前記被検査体の板厚は6mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の欠陥検出方法。
【請求項4】
前記変化部はあらかじめ生成した健全被検査体におけるBスコープ画像と比較することにより特定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項5】
特定の板厚方向の幅における前記受信信号の振幅を抽出し、前記振幅により前記欠陥を検出すると共に少なくとも前記欠陥の板厚方向の大きさを推定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項6】
前記探触子は前記被検査体に対し非接触であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項7】
前記探触子は送信探触子と受信探触子とよりなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項8】
前記送信探触子と前記受信探触子とは前記検査対象部に対し両側に対向して配置されることを特徴とする請求項7に記載の欠陥検出方法。
【請求項9】
前記送信探触子及び前記受信探触子は前記検査対象部に対し片側に配置されることを特徴とする請求項7に記載の欠陥検出方法。
【請求項10】
前記探触子は超音波を送受信する送受信探触子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項11】
前記被検査体は前記検査対象部を境に板厚が異なり、前記検査対象部に対し板厚の薄い側に位置する探触子から超音波を送信することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項12】
前記被検査体は金属材料よりなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項13】
請求項1に記載の欠陥検出方法に用いる欠陥検出装置であって、
前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項1】
被検査体に探触子から超音波を送信すると共に前記被検査体を伝搬した超音波を受信してその受信信号により検査対象部の欠陥を検出する欠陥検出方法であって、
前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項2】
前記検査対象部が溶接部を含むことを特徴とする請求項1記載の欠陥検出方法。
【請求項3】
前記被検査体の板厚は6mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の欠陥検出方法。
【請求項4】
前記変化部はあらかじめ生成した健全被検査体におけるBスコープ画像と比較することにより特定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項5】
特定の板厚方向の幅における前記受信信号の振幅を抽出し、前記振幅により前記欠陥を検出すると共に少なくとも前記欠陥の板厚方向の大きさを推定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項6】
前記探触子は前記被検査体に対し非接触であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項7】
前記探触子は送信探触子と受信探触子とよりなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項8】
前記送信探触子と前記受信探触子とは前記検査対象部に対し両側に対向して配置されることを特徴とする請求項7に記載の欠陥検出方法。
【請求項9】
前記送信探触子及び前記受信探触子は前記検査対象部に対し片側に配置されることを特徴とする請求項7に記載の欠陥検出方法。
【請求項10】
前記探触子は超音波を送受信する送受信探触子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項11】
前記被検査体は前記検査対象部を境に板厚が異なり、前記検査対象部に対し板厚の薄い側に位置する探触子から超音波を送信することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項12】
前記被検査体は金属材料よりなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の欠陥検出方法。
【請求項13】
請求項1に記載の欠陥検出方法に用いる欠陥検出装置であって、
前記探触子を前記検査対象部に沿うように走査し、前記被検査体を伝搬した複数種の超音波の各受信信号を前記探触子の走査方向及び前記被検査体の板厚方向を軸とするBスコープ画像として表示し、前記Bスコープ画像における変化部の存在により前記欠陥を検出することを特徴とする欠陥検出装置。
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図7】
【図8】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−164396(P2008−164396A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353406(P2006−353406)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000235532)非破壊検査株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000235532)非破壊検査株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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