説明

歩数計、歩数計のモード判定方法、コンピュータプログラム

【課題】歩行モードと走行モードを自動で切り替えが可能な歩数計を提供する。
【解決手段】センサー11は、歩行又は走行による振動を検出する。制御部4は、センサー11による歩行又は走行による振動を入力し、歩行又は走行による振動のカウント間隔を測定し、カウント間隔と閾値とを比較して、歩行モードと走行モードとを判定する。表示部3は、歩行モードか走行モードかに応じて画面を表示する。歩行モードでは、歩数、歩行時間、歩行距離、消費カロリー等を表示部3に表示する。走行モードでは、走行時間、走行距離、ラップタイム、予測タイム等を表示部3に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の機能として用いて好適な歩数計、歩数計のモード判定方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩数計を有する携帯端末が増加している。携帯端末に設けられた歩数計は、たとえば、身長、体重、歩幅を設定することで、カウントした歩数に対して、歩行距離、歩行時間、消費カロリーなどを算出し、画面に表示している。このような使い方は、歩行モードと称される。
【0003】
これに対して、昨今の健康ブームを反映して、ジョギング中に携帯端末に設けられた歩数計を利用して、特定区間を走行し所要時間測定や、設定時間内にどれだか走行したかなどを計測し、画面表示する場合がある。このような使い方は、走行モードと称される。
【0004】
歩行モードと走行モードでは、利用目的が異なっているため、画面表示が異なっている。つまり、歩行モードでは、歩行距離や消費カロリーが表示される。これに対して、走行モードでは、所要時間やラップタイムが表示される。通常の携帯端末の歩数計では、歩行モードと走行モードとを切り替えるボタンが設けられている。
【0005】
また、特許文献1及び特許文献2には、歩行時と走行時に歩数を測定する場合に、測定モードの選択操作を不要にしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−77368号公報
【特許文献2】特開2008−84271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、通常の携帯端末の歩数計では、歩行モードと走行モードとをマニュアルで切り替える必要がある。しかしながら、一般的な走行状態(ジョギング)などは、競技上などとはことなり、走行を停止しなければならないことが多く、走行、歩行、停止が混在してしまうということがある。より正確な消費カロリーの計算や、距離の測定を行うためには、走行、歩行、停止状態を判定し、各モードを切り替える必要がある。
【0008】
また、特許文献1及び特許文献2に示されるものでは、歩行モードと走行モードとをフィルタの出力から判定している。しかしながら、このようにフィルタの出力から歩行モードと走行モードとを判定するのでは、モードに応じた特性のフィルタを用意する必要がある。また、歩行速度や走行速度は、各個人毎に、様々である。フィルタの出力から歩行モードと走行モードとを判定するのでは、個人設定を細かく行うことは難しい。
【0009】
上述の課題を鑑み、歩行モードと走行モードを自動で切り替えが可能な歩数計、歩数計のモード判定方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係る歩数計は、歩行又は走行による振動を検出するセンサーと、前記センサーによって検出された歩行又は走行による振動を入力し、前記歩行又は走行による振動のカウント間隔を測定し、前記カウント間隔と閾値とを比較し、前記カウント間隔が閾値以上であるか否かに基づいて、歩行モードであるか走行モードであるかを判定する制御手段と、前記判定された結果である歩行モードか走行モードかに応じた画面を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る歩数計のモード判定方法は、歩行又は走行による振動をカウントして歩数を計測する歩数計のモード判定方法において、センサーが、歩行又は走行による振動を検出し、制御手段が、前記センサーにより検出された歩行又は走行による振動を入力し、前記歩行又は走行による振動のカウント間隔を測定し、前記カウント間隔と閾値とを比較し、前記カウント間隔が閾値以上であるか否かに基づいて、歩行モードであるか走行モードであるかを判定することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るコンピュータプログラムは、歩行又は走行による振動をカウントして歩数を計測する歩数計のモードを判定するコンピュータに、センサーにより検出された歩行又は走行による振動を入力するステップと、前記歩行又は走行による振動のカウント間隔を測定するステップと、前記カウント間隔と閾値とを比較し、前記カウント結果が閾値以上であるか否かに基づいて、歩行モードであるか走行モードであるかを判定するステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、歩数計機能を有する携帯型移動通信端末において、歩行モードと走行モードを自動で切り替えが可能となり、手間のかかるモード切り替えを行わず、好きなタイミングでジョギングを開始できるようになる。また、設定している歩行情報と走行情報との差異なども明確となり、その情報を利用して、アドバイスやペース配分といった情報をユーザに提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯型移動通話端末の概要を示すブロック図である。
【図2】歩行モードと走行モードとの自動判定処理を示すフローチャートである。
【図3】メモリの記録内容の説明図である。
【図4】携帯型移動通信端末を歩数計として動作させたときの処理を示すフローチャートである。
【図5】携帯型移動通信端末を歩数計として動作させたときの表示画面の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯型移動通信端末の概要を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る携帯型移動通信端末は、アンテナ部1と、送受信部2と、表示部3と、制御部4と、メモリ5と、カメラ6と、操作部7と、スピーカ8と、マイク9と、レシーバ10と、センサー11とを備えている。
【0016】
アンテナ部1は無線信号の送受信を行う。送受信部2には制御部4が接続され、入力及び出力無線信号の変復調を行う。制御部4は主に機能動作を制御する回路である。
【0017】
また、制御部4にはレシーバ10が接続される。レシーバ10は携帯型移動通信端末の受話部として機能する。さらに、制御部4にはマイク9が接続され、マイク9は携帯型移動通信端末の送話部として機能する。
【0018】
制御部4には表示部3が接続され、表示部3は帯型移動通信端末の設定を行うための情報や通信を行うための各種情報(例えば、電話番号、時計、サービス圏内/圏外、電話帳表示、スケジュール表示、カレンダー表示、現在の歩数計モード等)の表示を行う。
【0019】
制御部4には、複数のキーボタンを有する操作部7が接続される。操作部7は、複数のキーボタンからの入力を認識し、制御部4に伝達する回路である。また、制御部4には、着信やアラーム、音声などを鳴動させるスピーカ8、外部の情報を携帯型移動通信端末に取り込むためのカメラ6、携帯型移動通信端末の設定を行うための情報や通信を行うための各種情報を格納するためのメモリ5を備えている。
【0020】
センサー11は、携帯型移動通信端末の振動や方向、加速度などを感知し、その情報を制御部4へ伝送する。本発明の携帯型移動通信端末では、センサー11には加速度センサーが含まれており、この加速度センサーの検出出力から、歩行又は走行による振動を検出して歩数計として使用したり、加速度センサーの出力を演算して、カメラの手振れ等の姿勢制御として利用したりしている。
【0021】
次に、歩行モードと走行モードとの自動判定の処理について説明する。本発明の第1の実施形態では、携帯型移動通信端末を歩数計として動作させたときに、歩行モードと走行モードとを自動判定することができる。図2は、歩行モードと走行モードとの自動判定の処理を示すフローチャートである。ここでは、歩行モードを3種類(「歩行A(ゆっくり歩行)」、「歩行B(普通歩行)」、「歩行C(はやく歩行)」)と、走行モードを2種類(「走行A(ゆっくりジョギング)」、「走行B(普通ジョギング)」)持つ場合について説明する。
【0022】
図2において、歩数計の機能に設定されると(ステップS1)、制御部4は、センサー11により歩行又は走行の振動を入力し、歩行又は走行のカウント間隔を測定する(ステップS2)。そして、制御部4は、この測定結果をtとして、あらかじめ、メモリ5に記録されている閾値との比較を行う(ステップS3〜ステップS7)。
【0023】
図3に示すように、メモリ5には、各モード毎のカウント間隔の閾値が記録されている。例えば、「歩行A(ゆっくり歩行)」の歩行モードなら、カウント間隔は460ms以上(時間a以上)、「歩行B(普通歩行)」の歩行モードなら、カウント間隔は430ms〜460ms(時間b〜時間c)、「歩行C(はやく歩行)」の歩行モードなら、カウント間隔は400ms〜430ms(時間d〜時間e)である。「走行A(ゆっくりジョギング)」の走行モードなら、カウント間隔は350ms〜430ms(時間f〜時間g)、「走行B(普通ジョギング)」の走行モードなら、カウント間隔は350ms未満(時間h未満)である。
【0024】
よって、制御部4は、カウント間隔tが(t≧a)なら「歩行A(ゆっくり歩行)」モードであると判定し、歩行Aモードの設定を行う(ステップS3)。カウント間隔tが(c>t≧b)なら「歩行B(普通歩行)」であると判定し、歩行Bモードの設定を行う(ステップS4)。カウント間隔tが(e>t≧d)なら「歩行C(はやく歩行)」であると判定し、歩行Cモードの設定を行う(ステップS5)。カウント間隔tが(g>t≧f)なら「走行A(ゆっくりジョギング)」であると判定し、走行Aモードの設定を行う(ステップS6)。カウント間隔tが(t<h)なら「走行B(普通ジョギング)」であると判定し、走行Bモードの設定を行う(ステップS7)。
【0025】
ステップS3〜ステップS7では、各モードにおいて、消費カロリーや歩行/走行距離を算出するために、歩幅の再設定を行う。歩幅の再設定の値は、図3に示すように、メモリ5に記録されている。モードの設定が完了すると再び歩数のカウント間隔測定を開始し、変化が発生した場合、随時モードの切り替えを行う。
【0026】
なお、上述の実施形態では、歩数のカウント間隔を測定し、この歩数のカウント間隔と閾値とを比較して、歩行モードと走行モードの自動判定を行っている。この場合、各モードの閾値付近で、閾値を跨ぐことが頻繁に発生することが考えられる。
【0027】
そこで、モードが設定されたら、所定時間、モードの変更を禁止して、モードを確定する処理を行う。すなわち、歩数カウント間隔が例えば3秒以上継続して検出するまでは、走行モードや歩行モードの変更を禁止することで、各モードの閾値付近で、閾値を跨ぐことが頻繁に発生するケースにおいても、モードを維持することが可能となる。また、歩数間隔が、3秒以上となった場合は停止状態と判断する。
【0028】
本発明の第1の実施形態に係る携帯型移動通信端末では、上述のように、歩行モードと走行モードとが自動判定できる。このため、本発明の第1の実施形態に係る携帯型移動通信端末を歩数計として動作させたときに、走行モードと歩行モードとに応じた処理が行える。
【0029】
図4は、携帯型移動通信端末を歩数計として動作させたときの処理を示すフローチャートである。図4において、歩数計として起動されると(ステップS101)、制御部4は、歩行モードと走行モードとの自動判定を行う(ステップS102)。なお、この歩行モードと走行モードの自動判定は、図2にフローチャートで示したような処理により実現される。
【0030】
ステップS102で歩行モードと判定された場合には、制御部4は、歩行モードに応じた画面を表示部3に表示する(ステップS103)。そして、制御部4は、センサー11により歩数の情報を入力して、歩数をカウントし(ステップS104)、歩行時間を計測し(ステップS105)、歩行距離を計算し(ステップS106)、消費カロリーを計算する(ステップS107)。そして、制御部4は、ステップS102〜ステップS106で求められた歩数と、歩行時間と、歩行距離と、消費カロリーを表示部3に表示する(ステップS8)。
【0031】
ステップS102で走行モードと判定された場合には、制御部4は、走行モードに応じた画面を表示部3に表示する(ステップS109)。そして、制御部4は、センサー11により歩数の情報を入力し、走行時間を計測し(ステップS110)、走行距離を計算し(ステップS111)、ラップタイムを算出し(ステップS112)、所定の位置に到達する予測タイムを算出する(ステップS113)。そして、制御部4は、ステップS108〜ステップS113で求められた走行時間と、走行距離と、ラップタイムと、予測タイムを表示部3に表示する(ステップS114)。
【0032】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る携帯型移動通信端末を歩数計として動作させたときの表示部3の表示画面の一例である。図5に示すように、画面上部には、モードを示すアニメーション101が表示される。このアニメーション101の表示は、モード毎に異なるアニメーションとされている。そして、各種の情報102が表示される。この情報102の表示は、歩行モードか走行モードかに応じて切り替えられる。歩行モードでは、情報102として、歩数、歩行時間、歩行距離、消費カロリー等が表示される。走行モードでは、情報102として、走行時間、走行距離、ラップタイム、予測タイム等が表示される。また、画面を切り替え操作により、時間ごとの各モードの歩数や距離を表示するグラフ103が表示される。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施形態では、歩行モードと走行モードを自動で切り替えが可能となり、手間のかかるモード切り替えを行わず、好きなタイミングでジョギングを開始できるようになる。また、設定している走行情報との差異も明確となり、その情報を利用して、アドバイスやペース配分といった情報をユーザに提供することも可能となる。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1:アンテナ部
2:送受信部
3:表示部
4:制御部
5:メモリ
6:カメラ
7:操作部
8:スピーカ
9:マイク
10:レシーバ
11:センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行又は走行による振動を検出するセンサーと、
前記センサーによって検出された歩行又は走行による振動を入力し、前記歩行又は走行による振動のカウント間隔を測定し、前記カウント間隔と閾値とを比較し、前記カウント間隔が閾値以上であるか否かに基づいて、歩行モードであるか走行モードであるかを判定する制御手段と、
前記判定された結果である歩行モードか走行モードかに応じた画面を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする歩数計。
【請求項2】
前記制御手段は、前記モードが判定されたら、判定結果のモードに応じて、歩幅を再設定することを特徴とする請求項1に記載の歩数計。
【請求項3】
前記制御手段は、前記モードが判定されたら、所定時間、モードの変更を禁止することを特徴とする請求項1に記載の歩数計。
【請求項4】
前記表示手段は、前記歩行モードでは、歩数、歩行時間、歩行距離、消費カロリーの全て又はその組み合わせを表示することを特徴とする請求項1に記載の歩数計。
【請求項5】
前記表示手段は、前記走行モードでは、走行時間、走行距離、ラップタイム、予測タイムの全て又はその組み合わせを表示することを特徴とする請求項1に記載の歩数計。
【請求項6】
歩行又は走行による振動をカウントして歩数を計測する歩数計のモード判定方法において、
センサーが、歩行又は走行による振動を検出し、
制御手段が、前記センサーにより検出された歩行又は走行による振動を入力し、前記歩行又は走行による振動のカウント間隔を測定し、前記カウント間隔と閾値とを比較し、前記カウント間隔が閾値以上であるか否かに基づいて、歩行モードであるか走行モードであるかを判定する
ことを特徴とする歩数計のモード判定方法。
【請求項7】
歩行又は走行による振動をカウントして歩数を計測する歩数計のモードを判定するコンピュータに、
センサーにより検出された歩行又は走行による振動を入力するステップと、
前記歩行又は走行による振動のカウント間隔を測定するステップと、
前記カウント間隔と閾値とを比較し、前記カウント結果が閾値以上であるか否かに基づいて、歩行モードであるか走行モードであるかを判定するステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−221798(P2011−221798A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90443(P2010−90443)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】