説明

歩数計機能つき電子機器

【課題】ユーザが自己の身体データを入力するまでの間、デフォルト値を用いて運動量が計算された場合であっても、実際の運動量を算出することができる電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子機器は、ユーザの歩行に関するデータを取得する計測部と、計測部によって取得された歩行に関するデータと、デフォルトの身体パラメータに基づいて運動量を計算する演算処理部と、演算処理部によって算出された過去の運動量を保持する記憶部と、ユーザの身体パラメータの入力を受け付ける入力部と、を備える。演算処理部は、入力部にユーザの身体パラメータが受け付けられると、入力されたユーザの身体パラメータを用いて記憶部に保持された過去の運動量を再計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの歩数を計測する歩数計機能を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの歩数を計測する歩数計機能を備えた電子機器において、一般的に、歩行距離を計算する場合には歩幅値が、消費カロリーを計算する場合は体重値が、それぞれパラメータとして必要である。この歩幅値と体重値は、歩数計の初期設定時に予め入力されているのが一般的であり、電子機器を使用するユーザが自己の歩幅値や体重値を入力する前にあっては、出荷時に歩幅値や体重値がデフォルト値に設定されている場合が殆どである。
【0003】
特許文献1乃至3には、ユーザの歩行に関する運動量を算出することができる機能を有する機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−112290号公報
【特許文献2】特開2009−68861号公報
【特許文献3】特開2009−148338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1乃至3に開示された電子機器においては、ユーザが歩数計機能つき電子機器を購入後初めて歩数計機能を使用する場合、取り扱いを熟知していないため、自己の体重値や歩幅値の設定を行わずに電子機器の使用を開始してしまうことがあり、ユーザは、歩数計機能の使用途中でデフォルト値からユーザ自身の歩幅値や体重値に変更することが頻繁にある。この場合、デフォルト値からユーザ自身の歩幅値や体重値に変更するまでの間では、歩行距離や消費カロリーといった運動量は、ユーザ自身の歩幅値や体重値に基づいて算出されておらす、実際の運動量の値と差が生じていた。
【0006】
本発明は、このような問題点に対してなされたものであり、ユーザが電子機器の使用途中で身体データのデフォルト値を、ユーザ自身の身体データに変更した場合であっても、身体データの変更前にデフォルト値に基づいて算出されたユーザの運動量を、ユーザ自身の体重値や歩幅値を反映した正確な値に修正することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器の一態様は、ユーザの歩行に関する歩行データを取得する歩行データ取得部と、前記歩行データ取得部によって取得された前記歩行データと、ユーザの身体に関する身体データに基づいて、ユーザの運動量を計算して記憶部に保存する演算処理部と、ユーザの身体データの入力を受け付ける入力部と、を備える。前記演算処理部は、初期状態において前記身体データとして予め設定されたデフォルト値を用いて前記運動量を算出し、前記入力部にユーザの前記身体データが入力されると、前記記憶部に保持された前記デフォルト値を用いて算出された過去の運動量を、入力されたユーザの身体データを用いて再計算する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電子機器の制御方法は、ユーザの歩行に関するデータを取得し、取得された前記歩行に関するデータと、ユーザの身体に関する身体データとして予め設定されたデフォルト値に基づいてユーザの運動量を計算し、ユーザの身体データの入力を受け付け、入力されたユーザの前記身体データを用いて前記デフォルト値を用いて算出された過去の前記運動量を再計算する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電子機器の一態様によれば、ユーザが自己の身体データを入力するまでの間、デフォルト値を用いて運動量が計算された場合であっても、デフォルト値で算出された運動量を、ユーザの身体データに基づいた値に修正することができる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る歩数計を内蔵した携帯電話機の構成を示している。
【図2】実施の形態1に係る歩数計を内蔵した携帯電話機の表示部を示す図である。
【図3】実施の形態1にかかる歩数計を内蔵した携帯電話機において、メモリ内の情報を更新する様子を示す概要図である。
【図4】実施の形態1に係る歩数計を内蔵した携帯電話機の歩数計機能部15の構成を詳細に示した図である。
【図5】実施の形態1に係る携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2に係る携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態1に係る歩数計を内蔵した携帯電話機の構成を示している。無線部11は、無線通信を行う送受信機能とアンテナで構成される。ベースバンド処理部12は、音声データの処理を行う。受話器13は、受話音声を出力する。送話器14は、送話音声を入力する機能を有する。歩数計機能部15は、歩行開始と歩行終了を感知し、その間の歩数をカウントするとともに、歩数データを処理して歩行距離を計算する。また、間欠した歩行の場合は、間欠した歩行の歩数を合算して、合計の歩数をカウントすることも可能である。
【0012】
時間計測部16は、時計機能やタイマー機能など、時間をカウントする機能を有する。制御部17は、歩数計を含む携帯電話機全体の機能を制御する。サウンダ18は、警告音を鳴らす。表示部19は、携帯電話機の各種情報を表示し、これに加えて歩数計機能に関する諸情報を表示する。図2は、表示部19の構成例を示す図である。図2に示すように、表示部19には、体重値や歩幅値が表示されている。初期状態では、体重値や歩幅値は、デフォルト値に設定される。表示部19には、このようなデフォルト値や、ユーザによって入力されたユーザ自身の体重値や歩幅値が、設定された現在の体重値や歩幅値として表示される。
【0013】
メモリ20は、携帯電話機の各種情報を記憶するとともに、歩数計機能に関わる情報を記憶する。図3は、メモリ20に保持される情報の具体例を示す図である。メモリ20には、歩幅入力値A、歩数カウント値B、歩行距離C、体重入力値O、歩行時間P、消費カロリーQといった情報が保持される。
【0014】
歩幅入力値Aは、デフォルト値又は入力部21からユーザによって入力されたユーザ自身の歩幅値である。歩数カウント値Bは、歩数計機能部15によって計測されたユーザの歩行時の歩数である。歩行距離Cは、歩幅入力値A及び歩数カウント値Bに基づいて算出された値である。体重入力値Oは、デフォルト値又は入力部21からユーザによって入力されたユーザ自身の体重値である。歩行時間Pは、時間計測部16によって計測されたユーザの歩行時間である。消費カロリーQは、体重入力値Oと歩行時間Pに基づいて算出された値である。
【0015】
入力部21は、文字入力やダイヤル選択などの携帯電話機の通信機能等に必要な情報を入力するとともに、歩数計機能に関わる必要な情報を入力する。
【0016】
図4は、歩数計機能部15の構成を詳細に示したものである。振動検出センサ151は、人体の振動から歩行を感知し、アンプ部152は振動検出センサ151から出力される電気信号を増幅し、フィルタ部153は、アンプ部152から出力された電気信号に含まれるノイズを除去する。
【0017】
演算部154は、フィルタ部153から出力された歩行検出信号を用いて各種演算を行い、歩行を判断する。更に、これにより歩数を決定する。また、この歩数を元に予め入力されている歩幅より歩行距離を計算する。なお、演算部154は、制御部17にその機能の一部もしくは全部を含ませてもよい。
【0018】
次に、本発明の実施の形態1に係る電子機器の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る電子機器の動作を示すフローチャートである。はじめに、歩数計機能を起動する(S51)。なお、歩数計の起動は、携帯電話機の起動に連動していても、非連動していてもよい。
【0019】
また、携帯電話機の機能が停止中であっても、歩数計機能単独での起動も可能とする。更に、歩数計と関連の深い機能(例えば地図機能)と連動して起動してもよい。工場出荷時のデフォルト歩幅値を変更せずに歩数計測する(S52)。ここで、デフォルトの歩幅値データは、図3のメモリ「歩幅入力値A」である。歩数計機能により歩数をカウントする(S53)。
【0020】
この歩数データは、歩行の都度、図3のメモリ「歩数カウント値B」に更新され、記憶され続ける。デフォルトの歩幅値を変更し、本来の歩幅値を入力する(S54)。歩幅値の入力は、例えば図2の表示画面にて入力が可能。歩幅値データが再入力されると、図3の通り、歩幅値が「歩幅入力値A」から「歩幅入力値A'」に書き換えられる。
【0021】
変更した歩幅値にて歩行距離を再計算する(S55)。歩幅入力値が書き換えられると、歩行距離データが「歩行距離C」から「歩行距離C'」になり、再計算されて書き換えられる。なお、一般的に歩行距離は次式で計算される。
「歩幅」×「歩数カウント」=歩行距離
【0022】
よって、歩幅が変更されれば歩行距離も変更される。歩行距離を表示する場合は、この再計算された「歩行距離C'」を表示する。
【0023】
従来は、歩幅値を変更した場合であっても、変更時点までの歩行距離は再計算されなかったため、デフォルトの歩幅値にて歩行距離を計算して表示されていた。よって、歩幅変更までの誤った歩行距離に歩幅変更後の正しい歩行距離を足した歩行距離を表示していたため、全体の歩行距離も誤った歩行距離であった。
【0024】
これに対し、本実施の形態によれば、正確な歩幅に変更する前に算出された歩行距離を、新たに入力された正確な歩幅を用いて再計算することで、正確な歩幅に変更する前に算出された誤った歩行距離を、正確な値に修正することができる。
【0025】
実施の形態2.
実施の形態1では、歩幅を変更した場合に、歩行距離を再計算する構成・動作について説明を行ったが、実施の形態2の特徴は、体重を変更した場合に、消費カロリーを再計算する点にある。
【0026】
実施の形態2の構成は、実施の形態1と略同一構成を有するため、ここでは、実施の形態1と異なる部分のみ、図1を用いて説明する。時間計測部16は、歩数計機能部15にて歩行中と判断された間の時間をカウントする。制御部17は、この歩行時間を元に予め入力されている体重より消費カロリーを計算する。また、消費カロリーの計算は、歩数計機能部15の演算部154にて計算してもよい。
【0027】
本実施の形態2の動作を図6にて説明する。歩数計機能を起動する(S61)。なお、歩数計の起動は、携帯電話機の起動に連動してもよく、非連動してもよい。また、携帯電話機の機能が停止中であっても、歩数計機能単独での起動も可能とであるとする。更に、歩数計と関連の深い機能(例えば地図機能)と連動して起動してもよい。
【0028】
工場出荷時のデフォルト体重値を変更せずに歩数計測する(S62)。デフォルトの体重値データは、図3のメモリ「体重入力値O」である。歩数計機能と時間計測機能により歩行時間をカウントする(S63)。この歩行時間データは、歩行の都度、図3のメモリ「歩行時間P」に更新され、記憶され続ける。歩行時間と体重より、消費カロリーを計算する(S64)。デフォルトの体重値を変更して本来の体重値を入力する(S65)。体重値の入力は、例えば図2の表示画面にて入力が可能である。体重値データが再入力されると、図3の通り、歩幅値が「体重入力値O」から「体重入力値O'」に書き換えられる。
【0029】
変更した体重値にて消費カロリーを再計算する(S66)。体重入力値が書き換えられると、消費カロリーデータが「消費カロリーQ」から「消費カロリーQ'」に再計算されて書き換えられる。なお、一般的に消費カロリーは、次式で計算される。
【0030】
消費カロリー[kcal]=3.15×歩行時間[時間]×体重[kg]
よって、体重が変更されれば消費カロリーも変更される。消費カロリーを表示する場合は、この再計算された「消費カロリーQ'」を表示する。
【0031】
なお、上記の消費カロリーの計算式は、「健康づくりのための運動基準2006〜身体活動・運動・体力〜報告書:運動所要量・運動指針の策定検討会」を参考に算出したものである。
【0032】
従来は、体重値を変更しても変更時点までの消費カロリーは再計算されず、デフォルトの体重値にて計算された消費カロリーが表示されていた。よって、体重値をユーザの体重値に変更するまでの誤った消費カロリーに、ユーザの体重変更後の正しい消費カロリーを加えた消費カロリーを表示していたため、全体の消費カロリーも誤った消費カロリーを表示していた。
【0033】
これに対し、本実施の形態では、正確な体重値に変更する前に算出された消費カロリーを、新たに入力された正確な体重値を用いて再計算することで、正確な体重値を変更する前に算出された誤った消費カロリーを、正確な値に修正することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0035】
例えば、上記の実施の形態では、歩数計機能を有した電子機器を携帯電話端末であるとして説明したが、本発明に係る電子機器は、携帯電話端末に限定されるものではない。例えば、電子機器は、歩数計自体として構成することもできる。
【符号の説明】
【0036】
11 無線部
12 ベースバンド処理部
13 受話器
14 送話器
15 歩数計機能部
16 時間計測部
17 制御部
18 サウンダ
19 表示部
20 メモリ
21 入力部
151 振動検出センサ
152 アンプ部
153 フィルタ部
154 演算部
A 歩幅入力値
B 歩数カウント値
C 歩行距離
O 体重入力値
P 歩行時間
Q 消費カロリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの歩行に関する歩行データを取得する歩行データ取得部と、
前記歩行データ取得部によって取得された前記歩行データと、ユーザの身体に関する身体データに基づいて、ユーザの運動量を計算して記憶部に保存する演算処理部と、
ユーザの身体データの入力を受け付ける入力部と、を備え、
前記演算処理部は、
初期状態において前記身体データとして予め設定されたデフォルト値を用いて前記運動量を算出し、
前記入力部にユーザの前記身体データが入力されると、前記記憶部に保持された前記デフォルト値を用いて算出された過去の運動量を、入力されたユーザの身体データを用いて再計算する、電子機器。
【請求項2】
前記運動量は、間欠した歩行の運動量を積算した値である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記デフォルト値を用いて算出された運動量又はユーザの身体データを用いて再計算された運動量を逐次表示する表示部を更に備えた請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記計測データは、ユーザの歩行時の歩数又は歩行時間である、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記運動量は、ユーザの移動距離又は消費カロリーである、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、携帯電話端末である、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
ユーザの歩行に関するデータを取得し、
取得された前記歩行に関するデータと、ユーザの身体に関する身体データとして予め設定されたデフォルト値に基づいてユーザの運動量を計算し、
ユーザの身体データの入力を受け付け、
入力されたユーザの前記身体データを用いて前記デフォルト値を用いて算出された過去の前記運動量を再計算する、電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−72754(P2011−72754A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230460(P2009−230460)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】