説明

歯磨剤用チューブ容器、歯磨剤入りチューブ容器及び歯磨剤用チューブ容器の製造方法

【課題】ガスバリア性に優れ、歯磨剤の香気の変質を抑制できる歯磨剤用チューブ容器を目的とする。
【解決手段】筒状の積層体10により形成され、その内部が歯磨剤を収納する収納部とされた胴部と、該胴部の一端に設けられた注出部とを備え、前記積層体10は、基材層12と、シーラント層16と、前記基材層12と前記シーラント層16との間に設けられ、ポリグリコール酸を含有するバリア層14とを備え、前記シーラント層16が前記胴部の内側とされたことよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨剤用チューブ容器、歯磨剤入りチューブ容器及び歯磨剤用チューブ容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体、ペースト等の流動性を有する歯磨剤は、可撓性チューブの一方の端部に注出口を有する注出部が設けられると共に、他方の端部に偏平に圧着封止されたシール部が形成されたチューブ容器に収納され、流通されている。このチューブ容器は、胴部が押圧されることで、注出口から内容物を容易に注出できるものである。
近年、歯磨剤の香気の劣化を防止するため、チューブ容器には、基材層と、シーラント層と、基材層とシーラント層との間に設けられたバリア層とを備える積層体が用いられている。
従来、この積層体のバリア層としては、アルミニウム等の金属箔、金属蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、エチレン−ビニルアルコール重合体(EVOH)等が用いられている(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−191144号公報
【特許文献2】特公昭53−15432号公報
【特許文献3】特公昭53−12953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属箔、金属蒸着フィルム又はシリカ蒸着フィルムをバリア層とする場合、基材層とバリア層とシーラント層とを貼り合わせてシート状の積層体とし、この積層体の両端を張り合わせてチューブ状に成形して胴部とし、この胴部に注出部を接続するため、チューブ容器の製造が煩雑である。
EVOHをバリア層とする場合、ブロー成形によって、容器本体と注出部とを成形できるため、生産効率が高い。ただし、EVOHは、金属箔、金属蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルムに比べてガスバリア性に劣るため、内容物である歯磨剤の香気が変質しやすいという問題があった。
そこで、本発明は、ガスバリア性に優れ、容易に製造できる歯磨剤用チューブ容器を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の歯磨剤用チューブ容器は、筒状の積層体により形成され、その内部が歯磨剤を収納する収納部とされた胴部と、該胴部の一端に設けられた注出部とを備え、前記積層体は、基材層と、シーラント層と、前記基材層と前記シーラント層との間に設けられ、ポリグリコール酸を含有するバリア層とを備え、前記シーラント層が前記胴部の内側とされたことを特徴とする。
【0006】
本発明の歯磨剤入りチューブ容器は、前記の本発明の歯磨剤用チューブ容器に、香料を含む歯磨剤が収納されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の歯磨剤用チューブ容器の製造方法は、前記の本発明の歯磨剤用チューブ容器を製造する歯磨剤用チューブ容器の製造方法であって、ロータリー式ブロー成形機でブロー成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の歯磨剤用チューブ容器によれば、ガスバリア性に優れ、容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかる歯磨剤用チューブ容器の平面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の歯磨剤用チューブ容器の製造方法に用いられるダイレクトブロー成形機の模式図である。
【図4】本発明の歯磨剤用チューブ容器の製造方法に用いられるロータリー式ブロー成形機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の歯磨剤用チューブ容器の一例について、以下に図1〜2を参照して説明する。
図1に示す歯磨剤用チューブ容器(以下、単にチューブ容器ということがある)1は、内部に内容物を収納する略円筒状の胴部4と、胴部4の一端に設けられた注出部2と、胴部4の他端に形成されたシール部6とを備えるものである。
【0011】
注出部2は、内容物をチューブ容器1外に注出する略円筒状の口頸部20と、口頸部20の基端21から外方に広がり胴部4に続く肩部24とを備えるものである。口頸部20の外周には、蓋体(不図示)と螺合するネジ部22が形成されている。
【0012】
胴部4は、外面を形成する基材層12と、内面を形成するシーラント層16と、基材層12とシーラント層16との間に設けられたバリア層14とを備えるシート状の積層体(即ち、積層シート)10で構成されている。
胴部4の厚さ、即ち、積層体10の厚さTは、胴部4に求める可撓性等を勘案して決定でき、例えば、200〜800μmが好ましく、400〜600μmがより好ましい。
また、胴部4における積層体10の厚み精度は、±10%が好ましく、±5%がより好ましい。上記範囲内であれば、十分な強度及び耐水性と、内容物を注出するための十分な可撓性とを両立しやすい。
【0013】
積層体10の酸素ガス透過係数は、10cm/m・day・atom以下が好ましく、5cm/m・day・atom以下がより好ましい。上記上限値以下であれば、内容物の香気の変質をより抑制できる。酸素ガス透過係数は、JIS K−7126に準じ、温度23℃、相対湿度80%(80%RH)の条件下で測定される値である。
なお、積層体10の酸素ガス透過係数は、バリア層14の材質や厚みt2により調節できる。
【0014】
基材層12は、胴部4の外面を形成する層であり、耐水性を有すれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル等の樹脂が挙げられ、胴部4の可撓性を良好なものとする観点から、ポリオレフィンが好ましい。これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
基材層12の厚みt1は、材質等を勘案して決定でき、例えば、100〜300μmとされる。上記下限値未満では、耐水性が不十分になるおそれがあり、上記上限値超では、胴部4の可撓性が損なわれるおそれがある。
【0015】
バリア層14は、ポリグリコール酸(PGA)を含有するものである。PGAを含有することで、優れたガスバリア性を発揮し、内容物である歯磨剤の香気を長期に維持できる。
【0016】
PGAは、[−O−CH−CO]で表される繰り返し単位を有する単独重合体又は共重合体である。
PGAは、グリコール酸の脱水重縮合、グリコール酸アルキルエステルの脱アルコール重縮合、グリコリドの開環重合等により合成できる。中でも、グリコリドの開環重合法によれば、高分子量(高溶融粘度)のPGAを容易に製造できる。開環重合法では、グリコリドを触媒(例えば、有機カルボン酸錫、ハロゲン化錫、ハロゲン化アンチモン等のカチオン触媒)の存在下に、120〜250℃の温度で開環重合を行う。開環重合としては、塊状重合、溶液重合等が挙げられる。
【0017】
共重合体のPGAの合成には、コモノマーとして、例えば、シュウ酸エチレン、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、トリメチレンカーボネート、及び1,3−ジオキサン等の環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸又はそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物;又はこれらの2種以上を用いることができる。
【0018】
コモノマーは、全仕込みモノマー量を基準として、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下の割合で用いられる。上記上限値超であると、生成するPGAの結晶性が損なわれ、耐熱性、ガスバリヤー性、機械的強度等が低下するおそれがある。
【0019】
PGAの融点は、特に限定されないが、例えば、好ましくは200〜250℃、より好ましくは220〜230℃とされる。上記下限値以上であれば、十分な耐熱性を得られやすく、上記上限値以下であればチューブ容器1の成形が容易である。
【0020】
PGAは、本発明の効果を損なわない範囲で、無機フィラー、PGA以外の熱可塑性樹脂、可塑剤等の任意成分を含んでいてもよい。
【0021】
バリア層14の厚さt2は、バリア層14の材質や、胴部4に求める可撓性等を勘案して決定でき、例えば、5〜50μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。上記下限値未満であると、ガスバリア性が不十分となり、歯磨剤の香気の変質を十分に抑制できないおそれがあり、上記上限値超であると、胴部4の可撓性が不十分になるおそれがある。
【0022】
シーラント層16の材質は、熱溶着できるものであれば特に限定されず、例えば、PE、PP等のポリオレフィン等が挙げられる。
シーラント層16の厚さt3は、シーラント層16の材質等を勘案して決定でき、例えば、100〜300μmとされる。上記下限値未満であると、シール部6のシール強度が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、胴部4の可撓性が不十分になるおそれがある。
【0023】
基材層12とバリア層14との間、又はバリア層14とシーラント層16との間には、接着層を設けることができる。接着層を設けることで、各層間が剥離するのを防止できる。
接着層の材質としては、従来公知の材質のものが挙げられ、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、グリシジル基含有エチレンコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド・アイオノマー、ポリアクリルイミド樹脂等が挙げられる。
【0024】
注出部2は、胴部4と一体に成形されたものであってもよいし、胴部4から独立した部材であってもよい。注出部2が胴部4から独立した部材である場合、注出部2の材質としては、例えば、PE、PP等のポリオレフィン、PET等のポリエステル等の樹脂が挙げられる。
【0025】
チューブ容器1の製造方法は、例えば、ダイレクトブロー成形法、ロータリー式ブロー成形法等のブロー成形法により注出部2と胴部4とを一体に成形する方法、Tダイを備える共押出成形機で略円筒状の積層体である胴部4を成形し、この胴部4の一端に注出部2を接合する方法が挙げられる。チューブ容器1の製造方法としては、ブロー成形法が好ましく、ロータリー式ブロー成形法がより好ましい。ブロー成形法を適用することで、高い生産性でチューブ容器1を得られる。ロータリー式ブロー成形法を適用することで、胴部4の厚さがより均一なチューブ容器1を得られる。
【0026】
ダイレクトブロー成形法によるチューブ容器1の製造方法の一例について、図3を用いて説明する。
図3に示すダイレクトブロー成形機100は、パリソン形成部110と、金型120と、ブロー装置130とを備えるものである。
パリソン形成部110には、第一の材料供給管112と、第二の材料供給管114と、第三の材料供給管116とが接続されている。
金型120は、内部にチューブ容器1に対応する形状のキャビティ124と、このキャビティ124を囲むように形成された冷却水孔122とを備えるものである。
金型120は、開いた状態(図3中の符号120a)でパリソン形成部110の排出口111の下方に配置されている。ブロー装置130は、金型120が閉じた状態(図3中の符号120b)で、金型120の開口部126に接続される。
【0027】
次に、ダイレクトブロー成形機100を用いたチューブ容器1の製造方法を説明する。
第一の材料供給管112からパリソン形成部110内に、溶融した第一の材料を供給し、第二の材料供給管114からパリソン形成部110内に、溶融した第二の材料を供給し、第三の材料供給管116からパリソン形成部110内に、溶融した第三の材料を供給する。第一〜第三の材料を供給する装置としては、例えば、シリンダー内にスクリューを備え、任意の温度に加熱しながら材料を押し出す装置等が挙げられる。
本実施形態の第一の材料は、基材層12を構成する樹脂であり、第二の材料は、バリア層14を構成する樹脂であり、第三の材料は、シーラント層を構成する樹脂である。
【0028】
第一の材料の温度は、第一の材料の材質に応じて決定でき、例えば、PEを主成分とする場合、190〜220℃とされる。
第二の材料の温度は、PGAの溶融温度以上とされ、例えば、250〜350℃とされる。
第三の材料の温度は、第三の材料の材質に応じて決定でき、例えば、PEを主成分とする場合、190〜220℃とされる。
【0029】
パリソン形成部110内に供給された第一〜第三の材料は、内側から第三の材料、第二の材料、第一の材料の順で積層されたチューブ状のパリソン140として排出される。
パリソン形成部110から排出されたパリソン140は、鉛直方向下方に配置された金型120a内に流下し、キャビティ124内に充填される。パリソン140がキャビティ124内に充填された後、金型120aは閉じられて、金型120bの状態となる。そして、ブロー装置130から、パリソン140内に気体を吹き込み、その後、金型120bを冷却する。こうして、パリソン140は、キャビティ124の形状に成形され、内側からシーラント層16と、バリア層14と、基材層12とが形成されたチューブ容器1となる。
【0030】
ロータリー式ブロー成形法によるチューブ容器1の製造方法の一例について、図4を用いて説明する。
図4のロータリー式ブロー成形機200は、回転体210と、回転体210の外周縁に略等間隔で設けられた金型220と、パリソン形成部110とを備えるものである。
金型220内には、チューブ容器1に対応する形状のキャビティ224が形成されている。
【0031】
ロータリー式ブロー成形機200を用いたチューブ容器1の製造方法について説明する。なお、図4中、矢印Xは、鉛直方向上方を示すものとする。
回転軸212を中心に、回転体210を矢印Aの方向に回転させる。パリソン形成部110からパリソン140を排出し、任意の量のパリソン140を開いた金型220(符号220a)内に流下させる。回転体210の回転速度は、パリソン140の引取速度がパリソン140の排出速度と同等以上となる速度とされる。パリソン140の引取速度がパリソン140の排出速度と同等以上であれば、パリソン140がキャビティ224内に均一な太さで充填される。そして、得られるチューブ容器1の胴部4の厚みが均一になり、胴部4が部分的に薄くなることによって生じる強度や耐水性の低下、胴部4の外観不良の発生を防止できる。
任意の量のパリソン140をキャビティ224内に充填した後、金型220を閉じ(符号220b)、パリソン140内に気体230を吹き込み、冷却する。冷却後、金型220を開き(符号220c)、チューブ容器1がバリ202で連結された仕掛品201を取り出す。この仕掛品201のバリ202を除去することで、チューブ容器1が得られる。
【0032】
ダイレクトブロー成形法では、パリソン140を金型120内に自由落下させて充填するため、パリソン140は自重で伸び(ドローダウン)、下部が厚く、上部が薄い形状となりやすい。このような形状のパリソン140をブロー成形すると、得られるチューブ容器1は、上部と下部とで厚さが異なるものとなる。
ドローダウンは、基材層12及びシーラント層16をPEで構成する場合に顕著に現れる。基材層12及びシーラント層16をPEで構成する場合、第一の材料及び第三の材料の溶融温度は、第二の材料の溶融温度に比べて60〜150℃程度低い。このため、パリソン140は、第一の材料及び第三の材料が第二の材料の温度の影響を受け、さらに流動性が高まった状態で、パリソン形成部110から排出される。そして、パリソン140を金型120に充填しようとすると、第一の材料及び第三の材料が第二の材料に比べて速やかに流下する。このため、ドローダウンがより顕著に現れ、下部と上部との厚みが顕著に異なる胴部4が形成されやすい。
胴部4の厚みが不均一になると、例えば、肩部24寄りの胴部4における基材層12の厚みが不十分となって胴部4の強度が損なわれたり、シール部6寄りの胴部4における基材層12及びシーラント層16が厚くなりすぎて、胴部4の可撓性が損なわれたりするおそれがある。
これに対し、ロータリー式ブロー成形機200は、パリソン140の流下速度と同等以上の引取速度となるように回転体210を回転させることで、パリソン140は、第一の材料、第二の材料及び第三の材料がそれぞれ均一の厚みとなって、金型220に充填される。このため、得られチューブ容器1は、胴部4の厚み精度が高く、耐水性、可撓性に優れ、かつ外観不良のないものとなる。
【0033】
歯磨剤入りチューブ容器は、チューブ容器1に歯磨剤を収納することで得られるものである。
チューブ容器1に収納される歯磨剤としては、液体又はペースト等の流動性を有するものである。
歯磨剤の組成は、特に限定されず、例えば、香料、清掃剤、界面活性剤、粘結剤、湿潤剤、色素、pH調整剤、甘味剤、有効成分等、従来公知の材料を組み合わせたものが挙げられ、中でも香料を含有するものが好ましい。香料を含有する歯磨剤を内容物とすることで、本発明の効果が顕著に発揮されるためである。
【0034】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれらの天然香料に加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)を施した香料、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の香料成分、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等の香料素材、これらの香料素材をエタノール、トリエチルシトレート、ジプロピレングリコール、ベンジルベンゾエート等の溶剤(香料用溶剤)に分散又は溶解させた香料製剤等、歯磨剤に用いられる公知の香料を用いることができる。これらの香料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
歯磨剤中の香料の含有量は、特に限定されないが、例えば、香料素材として、0.000001〜1質量%が好ましい。また、歯磨剤中の香料の含有量は、香料製剤として0.1〜2質量%が好ましい。
【0036】
清掃剤としては、シリカゲル、沈降シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。これらの清掃剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
歯磨剤中の清掃剤の含有量は、特に限定されないが、0〜60質量%の範囲で適宜決定される。
【0037】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、N−ミリストリルザルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタルミン酸ナトリウム、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム等のアニオン界面活性剤;塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のカチオン界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエーテル型の活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類等の非イオン性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシン等のN−アルキルジアミノエチルグリシンあるいはN−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等の両イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
歯磨剤中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類を勘案して決定でき、例えば、0.1〜10質量%の範囲で適宜決定される。
【0038】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース系粘結剤、カラギーナン、キサンタンガム、グアガム、アルギン酸ナトリウム、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、寒天、ジェランガム、ペクチン等が挙げられる。これらの粘結剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
歯磨剤中の粘結剤の含有量は、粘結剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜5質量%の範囲で適宜決定される。
【0039】
湿潤剤としては、例えば、プロピレングリコ−ル、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコ−ル、エチレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコール、還元でんぷん糖化物、ソルビット、グリセリン、キシリトール、エリスリトール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの湿潤剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。歯磨剤中の湿潤剤の含有量は、湿潤剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、5〜70質量%の範囲で適宜決定される。
【0040】
色素としては、青色1号、責色4号、緑色3号等の法定色素、カラメル等の天然色素及び酸化チタン等が挙げられる。これらの色素は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
歯磨剤中の色素の含有量は、色素の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.000001〜1質量%の範囲で適宜決定される。
【0041】
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩類;塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機化合物等が挙げられる。これらのpH調整剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
歯磨剤中のpH調整剤の含有量は、pH調整剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.000001〜5質量%の範囲で適宜決定される。
【0042】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。これらの甘味剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
歯磨剤中の甘味剤の含有量は、甘味剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.000001〜2質量%の範囲で適宜決定される。
【0043】
有効成分としては、例えば、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素;モノフルオロリン酸ナトリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート;フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ等のフッ化物;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、塩化ナトリウム、ビタミン類等の抗炎症剤;塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤;ポリリン酸塩類等の歯石予防剤;ポリビニルピロリドン等のタバコヤニ除去剤;グリシン、プロリン等のアミノ酸類等が挙げられる。これらの有効成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
歯磨剤中の有効成分の含有量は、有効成分の種類を勘案して適宜決定される。
【0044】
上述の通り、本実施形態のチューブ容器は、PGAを含有するバリア層を備える積層体により胴部が構成されているため、ガスバリア性に優れたものである。このため、内容物として香料を含有する歯磨剤を収納した場合、歯磨剤の香気の変質を防止できる。
本実施形態のチューブ容器の製造方法によれば、ロータリー式ブロー成形機でブロー成形することで、耐水性、可撓性に優れ、かつ外観不良のないチューブ容器を得られる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0046】
(製造例1〜7)香料a〜gの調製
表1の組成に従い、各原料を混合して、香料a〜gを得た。なお、表1中の調合香料(フルーツミックスフレーバーFM3000)は、表2の組成に従い、各原料を混合したものである。
【0047】
(製造例8〜14)歯磨剤A〜Gの調製
表3に示す組成に従い、各原料を混合して、歯磨剤A〜Gを得た。なお、歯磨剤Aは香料aが配合され、歯磨剤Bは香料bが配合され、歯磨剤Cは香料cが配合され、歯磨剤Dは香料dが配合され、歯磨剤Eは香料eが配合され、歯磨剤Fは香料fが配合され、歯磨剤Gは香料gが香料として配合されたものである。
【0048】
(実施例1〜7、比較例1〜7)
表4の構成となるように、ロータリー式ブロー成形機を用い、図1のチューブ容器1と同様のチューブ容器(胴部の長さ200mm、胴部の最大内径33mm、容量120cm)を作製した。得られたチューブ容器に、上述の製造例8〜14で得られた歯磨剤A〜Gを100g充填して、歯磨剤入りチューブ容器を得た。得られた歯磨剤入りチューブ容器について、香気の維持効果を評価した。
【0049】
(比較例8〜14)
200μm厚のPEフィルムと、12μm厚のPETに酸化珪素を蒸着したフィルム(PET−SiOXフィルム)とをそれぞれ作製した。PET−SiOXフィルムの両面に、PEフィルムをドライラミネート法で貼り合わせて、積層体を得た。得られた積層体の両端を貼り合わせて筒状に成形し、この筒状のフィルムの一端に注出体を溶着し、他端をヒートシールで封止して、図1のチューブ容器1と同様のチューブ容器(胴部の長さ200mm、胴部の最大内径33mm、容量120cm)を得た。得られたューブ容器に、上述の製造例8〜14で得られた歯磨剤A〜Gを100g充填して、歯磨剤入りチューブ容器を得た。得られた歯磨剤入りチューブ容器について、香気の維持効果を評価した。
【0050】
(評価方法)
<香気の維持効果>
各例の歯磨剤入りチューブ容器を40℃で3ヶ月保管した。保管後の内容物(歯磨剤)の香気と、調製直後の歯磨剤の香気とを官能で比較し、下記評価基準に基づいて香気の維持効果を評価した。
≪評価基準≫
○:保管後の歯磨剤と調製直後の歯磨剤との香気に、差異が感じられない。
△:保管後の歯磨剤と調製直後の歯磨剤との香気に、僅かな差異が感じられる。
×:保管後の歯磨剤と調製直後の歯磨剤との香気に、著しい差異が感じられる。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
表4に示すように、本発明を適用した実施例1〜7は、香気の維持効果に優れるものであった。加えて、実施例1〜7は、ロータリー式ブロー成形機で製造できるため、生産性に優れていた。
バリア層をEVOHとした比較例1〜7、バリア層をPET−SiOXとした比較例8〜14は、いずれも香気の維持効果が「△」であった。
これらの結果から、本発明を適用した歯磨剤用チューブ容器は、ガスバリア性に優れ、歯磨剤の香気の変質を抑制できることが判った。さらに、本発明を適用した歯磨剤用チューブ容器は、ロータリー式ブロー成形機を用いることで、容易に製造できることが判った。
【符号の説明】
【0056】
1 歯磨剤用チューブ容器
2 注出部
4 胴部
10 積層体
12 基材層
14 バリア層
16 シーラント層
200 ロータリー式ブロー成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の積層体により形成され、その内部が歯磨剤を収納する収納部とされた胴部と、該胴部の一端に設けられた注出部とを備え、
前記積層体は、基材層と、シーラント層と、前記基材層と前記シーラント層との間に設けられ、ポリグリコール酸を含有するバリア層とを備え、前記シーラント層が前記胴部の内側とされたことを特徴とする歯磨剤用チューブ容器。
【請求項2】
請求項1に記載の歯磨剤用チューブ容器に、香料を含む歯磨剤が収納されていることを特徴とする歯磨剤入りチューブ容器。
【請求項3】
請求項1に記載の歯磨剤用チューブ容器を製造する歯磨剤用チューブ容器の製造方法であって、
ロータリー式ブロー成形機でブロー成形することを特徴とする歯磨剤用チューブ容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−60216(P2013−60216A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199406(P2011−199406)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】