説明

殺虫性タンパク質をコードするヌクレオチド配列

本発明は、鱗翅目抑制活性を示す殺虫性タンパク質をコードするヌクレオチド配列、および本明細書でCry1A.105殺虫因子と称される新規な殺虫性タンパク質、この殺虫因子を発現するトランスジェニック植物、および生物試料におけるこのヌクレオチド配列またはこの殺虫因子の存在を検出する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物において用いるための新規なコード配列を提供する。このコード配列は、広範囲の鱗翅目種作物害虫に有毒なキメラ殺虫性タンパク質をコードする。
【背景技術】
【0002】
自然発生的なビー・チューリンゲンシス分離株の市販製剤が、農業害虫の生物的防除のために長く用いられてきた。バチルス・チューリンゲンシス種の発酵から得られるBt胞子およびBt結晶は、従来の農作業による葉面処理用に濃縮され、製剤化される。
【0003】
Cry1結晶タンパク質のファミリーのメンバーは、鱗翅目昆虫の幼虫に対して生物活性を示すことが知られており、鱗翅目害虫を防除するための薬剤として有用である。Cry1 δ−内毒素の前駆体型は、2つのほぼ等しい大きさのセグメントからなる。前駆体タンパク質のカルボキシ末端部分、またはプロ毒素セグメントは、結晶形成を安定化し、殺虫活性を示さない。前駆体タンパク質のアミノ末端半分は、Cry1タンパク質の毒素セグメントを含み、Cry1ファミリーメンバー内の保存配列または実質的な保存配列のアラインメントに基づくと、3つの構造ドメインにさらに細分できる。これらの3つのサブドメインは、Cry1A δ−内毒素の3次元結晶学的構造モデルに基づいており、このモデル内でこれらの3つのサブドメインは、タンパク質毒素セグメントのアミノ末端から区分して、それぞれドメインI、ドメインII、およびドメインIIIと称される。ドメインIは、活性毒素セグメントの最初の3分の1付近を含み、チャネル形成に必須であることが示されてきた(Thompsonら、1995年)。ドメインIIおよびIIIは、それぞれ、活性毒素部分の中央セグメント付近およびカルボキシ末端セグメント付近を含む。ドメインIIおよびIIIはともに、試験されている昆虫およびδ−内毒素に応じて、受容体結合および昆虫種特異性に関係づけられてきた(Thompsonら、1995年)。
【0004】
当技術分野で知られている多数の自然殺虫性結晶タンパク質のドメイン構造の再集合から、増強された特性を有するキメラタンパク質を任意に創造する可能性はわずかである。これは、タンパク質構造、折り畳み構造、オリゴマー形成、およびキメラ前駆体の形態で発現される場合、殺虫性毒素セグメントを遊離するための、キメラ前駆体の正確なタンパク質分解プロセシングを含めた活性化の複雑な性質の結果である。キメラ構造中に含めるために、各親タンパク質内の特定の標的領域を慎重に選択することによってのみ、キメラが誘導される親タンパク質と比較して改善された殺虫活性を示す、機能的な殺虫性毒素を構築することができる。経験により、毒素ドメインの再組立て、すなわち互いに異なる任意の2種以上の毒素のドメインI、II、およびIIIからなるキメラ毒素の組立ては、不完全な結晶形成および/または好ましい標的害虫種に向けられた任意の検出可能な殺虫活性の完全な欠如を示すタンパク質の構築という結果になることが示されてきた。いくつかの例では、キメラ毒素は、良好な結晶形成特性を示すが、検出可能な殺虫活性を示さないだろう。試行錯誤によってのみ、有効な殺虫キメラが構築されるが、その場合にも、熟練した研究者は、キメラの成分が誘導されてきた可能性のある任意の単一の親毒素タンパク質と比較して、等価であるかまたは改善された殺虫活性を示すキメラに至ることを確信していない。
【0005】
文献では、2種以上のBt殺虫性結晶タンパク質前駆体からのキメラタンパク質の構築または組立ての例が報告されているが、すべてが、キメラが誘導された前駆体タンパク質と比較して、等価であるかまたは改善された殺虫特性または結晶形成特性を示したわけではない。(Boschら(WO95/06730);ThompsonらWO95/30753);Thompsonら(WO95/30752);Malvarら(WO98/22595);Gilroyら(米国特許第5128130号);Gilroy(米国特許第5055294号);Leeら(1992年)Gene 267:3115〜3121;Honeeら(1991年)Mol.Microbiol.5:2799〜2806;Schnepfら(1990年)J.Biol.Chem.265:20923〜20930;Perlakら(1990年)Bio/Technol.8:939〜9943;Perlakら(1993年)Plant Mol.Biol.22:313〜321).
【0006】
トランスジェニックトウモロコシ植物におけるビー・チューリンゲンシスδ−内毒素の発現は、農業上重要な害虫を防除する有効な手段であることが証明されてきた(Perlakら 1990年;1993年)。ビー・チューリンゲンシスδ−内毒素を発現するトランスジェニック作物は、栽培者が、局所適用する化学殺虫剤の適用に関係する時間および費用を著しく低減できるようにする。ビー・チューリンゲンシスδ−内毒素をコードするトランスジーンの使用は、特に有利である。高い昆虫圧力下の範囲でビー・チューリンゲンシスδ−内毒素を発現する作物植物は、他の点では同様の非トランスジェニック商用植物品種よりも良好な改善された収率を示す。しかし、昆虫が、トランスジェニック植物において発現されたビー・チューリンゲンシスδ−内毒素に対して耐性に進化する場合のあることが予期される。このような耐性は、広範囲に及んだ場合、このようなビー・チューリンゲンシスδ−内毒素をコードする遺伝子を含有する生殖質の商業的価値を明らかに限定するだろう。標的害虫に対するトランスジェニック殺虫因子の有効性を増加させ、同時に殺虫剤耐性害虫の発生を低減させる1つの可能な方法は、トランスジェニック作物が、高レベルのビー・チューリンゲンシスδ−内毒素を発現することを確実にすることであろう(McGaugheyおよびWhalon 1993年;Roush 1994年)。さらに、害虫群に対して有効であり、様々な作用様式を通じてその効果を現す殺虫遺伝子の貯蔵場所を有することにより、任意の耐性の発生から保護することができる。それぞれの殺虫剤が、耐性の発生を有効に遅延させるのに十分に高いレベルで発現されている、同じ昆虫種に毒性である2種以上の殺虫組成物の植物における発現は、耐性の発生の制御を達成する別の方法となるだろう。そのような組合せに有用な殺虫因子の例として、それだけに限らないが、Bt毒素、ゼノラブダス種またはフォトラブダス種殺虫性タンパク質、脱アレルゲン化(deallergenized)および脱グリコシル化パタチンタンパク質および/またはペルムテイン(permutein)、植物レクチンなどが挙げられる。同じ植物における複数の殺虫活性タンパク質の同時発現、および/または望まれない植物形態学的効果を生じないでそれらの殺虫性タンパク質の高発現レベルを達成することは、とらえどころのないものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バチルス・チューリンゲンシス種から同定されてきた250種超の個々の殺虫性タンパク質のうちのごく少数しか、植物における発現について試験されていない。いくつかのCry1、Cry3、Cry2AaおよびCry2Ab、2成分毒素Cry33/34およびCry23/37、およびCry9を植物において発現されることに成功している。Cry1タンパク質は、植物において発現されてきた最も大きな分類のタンパク質であるが、どれも高レベルで発現されていない。望まれない植物毒性効果を回避するために、葉緑体を標的としてCry2Abを送り込むことが必要であった。組換え植物中に植え込まれた大部分の領域は、Cry1Aタンパク質を発現する。標的害虫種によるCry1Aタンパク質に対する耐性の発生の可能性は、耐性管理対立遺伝子もcry1対立遺伝子とともに発現される場合、またはcry1対立遺伝子が高レベルで発現される場合の可能性よりもかなり高い。したがって、第1および第2世代のトランスジェニック昆虫耐性植物において現在用いられているものに対する補充および置換として、代替の毒素遺伝子が、植物における発現のために開発されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、鱗翅目昆虫抑制特性を示す殺虫性タンパク質をコードする、植物における発現のための単離されたヌクレオチド配列を提供する。配列番号1は、cry1A.105遺伝子からなるそのようなヌクレオチド配列の例であり、昆虫抑制性Cry1A.105タンパク質をコードする。配列番号1は、配列番号3と類似しており、ともにCry1A.105タンパク質をコードしている。配列番号1は、双子葉細胞での使用に好ましく、配列番号3は、単子葉細胞での使用に好ましい。配列番号4は、配列番号3からコードされ、配列番号2に対するアミノ酸配列と同一である。単離されたヌクレオチド配列は、配列番号1に記載の配列に対して少なくとも約88%から約90%以上のヌクレオチド配列同一性を示すか、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1とハイブリダイズする配列を含むように意図されている。単離されたヌクレオチド配列はまた、配列番号3に記載の配列に対して少なくとも約90%のヌクレオチド配列同一性を示すか、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号3とハイブリダイズする配列を含むように意図されている。
【0009】
本発明は、鱗翅目昆虫種に向けられる抑制活性を示す、単離精製された殺虫性タンパク質も提供する。この殺虫性タンパク質は、本明細書では、少なくともCry1A.105の毒素部分と称され、配列番号2に記載のアミノ酸配列を示す。配列番号2に記載の約1177個のアミノ酸からなる全長前駆体タンパク質も殺虫性Cry1A.105タンパク質と称されるが、殺虫性生物活性を示す前駆体タンパク質の任意のフラグメントは、殺虫性Cry1A.105タンパク質と称されることを意図されており、少なくとも配列番号2に記載の約アミノ酸1から約アミノ酸612までのアミノ酸配列セグメントに対応するCry1A.105殺虫性タンパク質を含み、約アミノ酸2から約アミノ酸610までのセグメントも含むことができる。殺虫有効量の殺虫性タンパク質からなる任意の組成物は、本発明の範囲内であることが意図されている。
【0010】
本発明は、宿主細胞において配列番号2に記載の殺虫性タンパク質を発現することにおける使用のための発現カセットも提供する。この発現カセットは、Cry1A.105タンパク質の殺虫性セグメントをコードするヌクレオチド配列の発現に関連し、この発現を調節する、意図された宿主細胞中で機能的であるプロモーターを含有することが好ましい。例示的な発現カセットは、それぞれ双子葉植物細胞または単子葉植物細胞での使用のために意図された、配列番号5および配列番号7に記載されるように、本明細書に提供されている。プロモーターおよびコード配列は、作動可能に連結され、宿主細胞において一緒に機能する。この発現カセットは、任意の宿主細胞における使用のために意図され得るが、好ましくは、細菌細胞、真菌細胞、哺乳動物細胞、または植物細胞における使用のために意図される。細菌細胞は、好ましくは、バチルス種細胞、エンテロバクテリアカエ(Enterobacteriacae)種細胞、シュードモナス種細胞、クロストリジウム種細胞、およびリゾビウム種細胞、およびアグロバクテリウム種細胞よりなる群から選択される。宿主細胞が植物細胞である場合、それは、作物種の植物細胞、好ましくは双子葉植物細胞または単子葉植物細胞から選択される細胞であることが好ましい。双子葉植物細胞の例は、アルファルファ、リンゴ、アンズ、アスパラガス、マメ、ベリー、クロイチゴ、ブルーベリー、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、サクラ、ヒヨコマメ、柑橘類樹木、ワタ、ササゲ、クランベリー、キュウリ、ウリ科植物、ナス、果実樹木、ブドウ、レモン、レタス、亜麻仁、メロン、カラシナ、堅果結実樹木(nut bearing tree)、オクラ、オレンジ、エンドウマメ、モモ、ピーナッツ、セイヨウナシ、セイヨウスモモ、ジャガイモ、ダイズ、カボチャ、イチゴ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブ、および野菜である。単子葉植物細胞の例は、トウモロコシ、コムギ、カラスムギ、イネ、モロコシ、ミロ、ソバ、ライムギ、草(ウシノケグサ、オオアワガエリ、スズメノチャヒキ(brome)、カモガヤ(orchard)、セントオーガスティン、バミューダ、ベントグラス)、およびオオムギである。植物細胞における使用のために意図された発現カセットは、Cry1A.105殺虫性タンパク質などの意図された物質の発現のレベルおよび効率を調節する配列を作動可能に連結した形で一般に含有する。そのような配列は、発現エンハンサー配列、非翻訳リーダー配列、イントロン配列、葉緑体標的化ペプチドコード化配列、ならびに転写終結およびポリアデニル化配列とすることができる。
【0011】
発現カセットは、宿主細胞内でCry1A.105コード配列の維持を安定化することに使用するためのベクター中に組み込まれていることが好ましい。ベクターは、当技術分野で知られている任意の数の構造とすることができるが、典型的にはプラスミドまたはレプリコンであり、その中に発現カセットが、構築されるかまたは挿入された後、宿主細胞中に組み込まれる。ベクターは、それだけに限らないが、プラスミド、コスミド、バクミド(bacmid)、ファージミド、YAC、BAC、自殺ベクター、挿入配列、トランスポゾン、またはさらに発現カセットが連結されているかもしくは発現カセットが包埋されている線状ヌクレオチド配列を含むように意図されている。
【0012】
鱗翅目昆虫の侵襲に耐性であるトランスジェニック植物は、本発明の実施形態である。そのような植物は、配列番号2に記載の、少なくとも約アミノ酸2から約アミノ酸612の、Cry1A.105殺虫性タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。トランスジェニック植物は、ハマキムシ、ネキリムシ、アーミーワーム、穿孔虫、ミノムシ、および任意のフォーリッジフィーダー(forage feeder)などの昆虫によってもたらされる、鱗翅目昆虫の侵襲を制御することにおいて有効である。好ましい害虫は、フォールアーミーワーム、ヨーロピアンコーンボーラー、コーンイヤーワーム(コットンボールワーム)、サウスウエスタンコーンボーラー(southwestern corn borer)、およびブラックカットワームである。本発明は、Cry1A.105殺虫性セグメントをコードする本発明のヌクレオチド配列が、植物、その子孫、種子などの細胞の遺伝性および/またはプラスチドゲノム内で維持される限り、本発明のトランスジェニック植物から得られる子孫および種子または果実または産物を含むように意図されている。
【0013】
本発明は、害虫の餌に殺虫有効量の殺虫性Cry1A.105タンパク質を含有する組成物を提供することによって、鱗翅目昆虫の植物への侵襲を制御するための1つまたは複数の方法も提供する。そのような一組成物は、配列番号2に記載のCry1A.105アミノ酸配列の殺虫性セグメントをコードする核酸配列で形質転換された植物細胞に由来してきた、または由来する植物細胞だろう。配列番号5および配列番号7に記載のように例示され、Cry1A.105殺虫性アミノ酸配列をコードする配列を含有する発現カセットを含むように形質転換された植物細胞から作製されたトランスジェニック植物は、昆虫の餌中に殺虫性組成物を提供する1つの手段であろう。別の手段は、細菌または真菌細胞において殺虫有効量のCry1A.105タンパク質を産生し、この細菌細胞もしくは真菌細胞または精製した量のCry1A.105タンパク質を、Cry1A.105タンパク質に感受性である1種または複数種の標的害虫の餌中に提供することだろう。
【0014】
生物試料においてCry1A.105アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を同定する方法が提供される。この方法は、Cry1A.105コード配列の存在について試験される試料を、Cry1A.105コード配列に特異性を伴って結合するポリヌクレオチドプローブと接触させることからなる。特に、このプローブ配列は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でCry1A.105コード配列に結合またはハイブリダイズする。反応混合物中において結合を検出することは、Cry1A.105コード配列の存在に対する診断となる。
【0015】
試料中で、Cry1A.105タンパク質の殺虫性フラグメントを同定する方法も提供される。この方法は、Cry1A.105殺虫性フラグメントの存在について試験される試料を、殺虫性フラグメントに特異的に結合する抗体と接触させることからなる。反応混合物中において結合を検出することは、試料中のCry1A.105タンパク質の存在に対する診断となる。
【0016】
キメラまたはハイブリッド殺虫性タンパク質も提供される。そのようなハイブリッドは、2種以上の異なる殺虫性タンパク質からなり、それぞれが、同じ昆虫種の少なくとも1つのメンバーに向けられた殺虫活性を示す。ハイブリッド殺虫性タンパク質は、異なる殺虫性タンパク質のそれぞれの部分で構成されている。ハイブリッドを構築するのに用いられる殺虫性タンパク質のセグメントは、異なる殺虫性タンパク質のいずれか1つを構成している、近接するアミノ酸から選択された少なくとも約50個から少なくとも約200個の近接するアミノ酸からなる。配列番号2に記載の、約アミノ酸ポジション2から約アミノ酸ポジション612までのCry1A.105殺虫性タンパク質は、異なる殺虫性タンパク質の群の中に含められるように意図されており、この群からハイブリッド殺虫性タンパク質を構築するために、セグメントを選択することができる。
【0017】
本発明の様々な利点および特徴が明白であるので、本発明の本質は、以下の詳細な説明、実施例、および添付の特許請求の範囲を参照して、より明瞭に理解することができる。
【0018】
配列の簡単な説明
配列番号1は、好ましくは双子葉細胞における、Cry1A.105殺虫性タンパク質の発現のための合成配列である。
【0019】
配列番号2は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列からコードされるCry1A.105タンパク質である。
【0020】
配列番号3は、好ましくは単子葉細胞における、Cry1A.105殺虫性タンパク質の発現のための合成配列である。
【0021】
配列番号4は、配列番号3に記載のヌクレオチド配列からコードされるCry1A.105タンパク質である。
【0022】
配列番号5は、植物細胞において、好ましくは双子葉植物細胞において、Cry1A.105殺虫性タンパク質を発現するために機能する発現カセットからなるヌクレオチド配列を表す。
【0023】
配列番号6は、配列番号5に記載の発現カセット内のセグメントによってコードされるCry1A.105殺虫性タンパク質を表す。
【0024】
配列番号7は、植物細胞において、好ましくは単子葉植物細胞において、Cry1A.105殺虫性タンパク質を発現するために機能する発現カセットからなるヌクレオチド配列を表す。
【0025】
配列番号8は、配列番号7に記載の発現カセット内のセグメントによってコードされるCry1A.105殺虫性タンパク質を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明によって、本発明者らは、本明細書でCry1A.105タンパク質として識別される新規な殺虫性タンパク質をコードするヌクレオチド配列を構築した。配列番号2に記載のCry1A.105アミノ酸配列は、鱗翅目昆虫種に有毒な自然発生的なBt殺虫性タンパク質に対して利点を提供する特性を示すことが確認されてきた。特に、Cry1A.105タンパク質は、自然発生的なCry1が、植物において発現される場合に観察される効果と比較して増大したレベルの発現の結果、植物毒性効果を示すほとんどのトランスジェニック事象を伴わないで、単子葉および双子葉植物において高いレベルで発現され得る。さらに、Cry1A.105タンパク質は、バチルス・チューリンゲンシスにおいて発現される場合、安定な結晶を形成するが、これはおそらくキメラCry1A.105タンパク質の毒素部分に連結したCry1Acプロ毒素セグメントの安定効果のためである。さらに、Cry1A.105殺虫性タンパク質は、現在までに同定されてきた他の自然発生的Cry1タンパク質で観察されていない、鱗翅目種に向けられた様々な殺虫性生物活性を示す。したがって、トランスジェニック植物におけるCry1A.105タンパク質の発現は、商業開発用に選択される任意の事象に対して、鱗翅目害虫種の様々な防除を示す、高レベルのCry1毒素の類似体を発現する、形態学的に正常なトランスジェニック事象の数の増加をもたらす。そのような事象は、Cry1A毒素類似体に対する耐性の発生を遅延させるという利点をもたらすはずであり、Cry1A類似体も有毒である、1種または複数種の害虫種に対して有毒であり、Cry1A類似体の方法と異なる方法での作用様式を発揮する第2の毒素を組み合わせる場合、いずれかの毒素に対する耐性の発生の任意の可能性は、極端に小さいと予測される。
【0027】
本発明者らは、それぞれのヌクレオチド配列が同じCry1A.105殺虫性タンパク質をコードする、植物において用いるための少なくとも2種の異なるヌクレオチド配列を構築した。Cry1A.105タンパク質の殺虫性部分の最初の(またはアミノ末端)約3分の2は、Cry1Abアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列からなる。この配列は、毒素部分のカルボキシ終端およびEcogenのBtアイザワイ系統EG6346から得られた殺虫性Cry1タンパク質に由来するアミノ酸配列のプロ毒素ドメインの一部に連結される(Chambersら、1991年、J.Bacteriol.173:3966〜3976)。次いでCry1A.105毒素セグメントは、実質的にCry1Acプロ毒素ペプチド配列であるセグメントに連結される。本発明者らは、この構築物が、キメラが誘導されるタンパク質によって示される特性と比較した場合、驚くほど改善された殺虫特性を示す独特のアミノ酸配列を提供することを実証した。さらに、Cry1A.105前駆体タンパク質は、優れた結晶形成特性を示し、特定の標的鱗翅目害虫の腸において効率的に可溶化され、活性毒素形態に加工される。
【0028】
本明細書で具現されるヌクレオチド配列は、米国特許第5500365号および第5689052号に記載された方法を用いて、特に植物細胞における異種遺伝子配列の発現にとって問題であると認められてきた、コード配列中の特定の好ましくない配列を回避することによって構築されてきた。Cry1A.105タンパク質の毒素部分をコードするセグメントは、配列番号1および配列番号3に記載の、おおよそ約位置1から約位置1830までのヌクレオチドからなる。配列番号1に記載の配列は、双子葉植物種、特にワタ植物における使用のために構築された。配列番号3に記載の配列は、単子葉植物、特にトウモロコシ(maize)またはトウモロコシ(corn)植物種における発現のために構築された。
【0029】
本発明のヌクレオチド配列は、互いに約94.3%の全体的同一性を示し、約ヌクレオチド位置1330から約ヌクレオチド位置3534まで同一である。Cry1A.105タンパク質の毒素部分をコードするそれぞれのこれらのヌクレオチド配列のセグメントは、約ヌクレオチド位置1から約ヌクレオチド位置1830まで、互いに約88.9%の同一性を示す。Cry1A.105タンパク質の最初の2つのドメイン構造をコードするこれらのヌクレオチドのセグメントは、かなりより多様であり、互いに84.7%の同一性しか示さない。
【0030】
本発明者らは、これらの配列を用いてトランスジェニック植物事象を構築した。
【0031】
配列番号1は、ペチュニア(Petunia hybrida)Hsp70非翻訳リーダー配列(Ph.Hsp70、a.k.a.、DnaK)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ小サブユニット葉緑体標的化ペプチドコード配列、ならびにエンドウマメ(Pisum sativum)E9リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ小サブユニット遺伝子転写終結およびポリアデニル化配列に作動可能に連結した、増強されたゴマノハグサモザイクウイルスプロモーター(eFMV)配列からなる発現カセットを含有するプラスミドベクター中に導入された。配列番号1に記載のCry1A.105コード配列は、この発現カセット中に、標的化ペプチドコード配列の3’端コード配列とインフレームにかつ直接隣接して、かつE9終結配列の上流に挿入された。得られた発現カセットのヌクレオチド配列は、配列番号5に記載されている。植物が発現できるGUSマーカーを含有する第2の発現カセットに連結された、Cry1A.105発現カセットを含むベクターのセグメントは、切り取られ、遺伝子銃法を用いてトランスジェニックワタ事象を作製するために用いられた。トランスジェニック事象は、いくつかの異なる鱗翅目害虫種に対する殺虫活性についてバイオアッセイで試験され、Cry1Acタンパク質のみか、またはCry1AcおよびCry2Abタンパク質の組合せを含有する、以前から存在する昆虫耐性ワタ植物よりも、著しく良好な昆虫防除特性を示すことが確認された。さらに、いくつかのCry1A.105トランスジェニックワタ事象は、ワタのボウルにおいてでも、植物または生殖組織に何の植物毒性効果を示すことなく、生育期にわたって100万分の10から20部を超えるCry1A.105タンパク質蓄積のレベルを示した。これは、以前に試験されてきた他のCry1タンパク質と対照的であり、これらは通常、葉緑体を標的としたかどうかにかかわらず、約100万分の10部未満の蓄積のレベルが可能であるだけであった。他のCry1タイプのタンパク質をワタにおいて試験したとき、特にCry1蓄積のレベルが、約10ppmに接近するか、または約10ppmを超えたとき、植物毒性効果が観察された。
【0032】
配列番号3は、コムギ(Triticum aestivum)主要クロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子非翻訳リーダー配列ならびにイネ(Oryza sativa)アクチンイントロン配列、ならびにコムギhsp17遺伝子転写終結およびポリアデニル化配列に作動可能に連結した、増強されたカリフラワーモザイクウイルスプロモーター(eCaMV)配列からなる発現カセットを含有するプラスミドベクター中に導入された。配列番号3に記載のCry1A.105コード配列は、この発現カセット中に、イントロン配列の3’側に直接隣接して、かつ終結配列の上流に挿入された。得られた発現カセットのヌクレオチド配列は、配列番号7に記載されている。ベクターは、Cry1A.105発現カセットで形質転換された事象を選択するために用いられたグリフォセート除草剤選択可能マーカーも含有する。Cry1A.105発現カセットでの形質転換後に選択されたトウモロコシ事象は、いくつかの鱗翅目害虫種に対してバイオアッセイで試験され、Cry1Abなどの他のBt殺虫性タンパク質で形質転換された事象で普及していなかった様々な殺虫活性を示すことが確認された。Cry1Abを発現する事象の殺虫レベルと等しいかまたはこの殺虫レベルより高い、コーンイヤーワームおよびコーンボーラーに向けられたCry1A.105殺虫活性を伴った殺虫レベルのCry1A.105を発現する事象によって示されるフォールアーミーワームおよびブラックカットワームの活性は、Cry1A.105事象について幅広い殺虫活性を提供する。
【0033】
本発明のヌクレオチド配列は、例示的なものである。他のヌクレオチド配列は、植物細胞においてCry1A.105殺虫性タンパク質フラグメントを発現することができ、他のタイプの宿主細胞において十分に発現する、さらに他のヌクレオチド配列が、設計されることができる。本開示の範囲を限定することなく、Cry1A.105殺虫性フラグメントの発現に用いるためのヌクレオチド配列は、本明細書に例示されたヌクレオチド配列に対して、少なくとも85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%以上のヌクレオチド配列同一性を示すことが意図されている。植物細胞以外の宿主細胞におけるCry1A.105殺虫性フラグメントの発現のために意図された他のヌクレオチド配列は、例示されたヌクレオチド配列に対して任意の割合の同一性または類似性とすることができる。ヌクレオチド配列は、遺伝暗号の冗長性のために変化することができ、したがって配列番号2に記載のアミノ酸配列の任意の部分をコードする、任意の数の核酸配列を合成することが可能であり、すべてのこれらの配列は、本発明の範囲内であるように意図されている。少なくともCry1.105タンパク質の殺虫性フラグメントをコードする、任意の単離精製された核酸配列は、核酸が、抗体によって、核酸プローブによって、またはそのような配列からなる単位複製配列を産生するように設計された1つまたは複数の対のプライマーによって検出され得る任意の組成物と同様に、本開示の範囲内であるように意図されている。
【0034】
本明細書で例示され、トウモロコシにおいて発現される核酸配列は、Cry1A.105前駆体タンパク質コード配列のみからなり、ワタにおいて発現される配列は、葉緑体標的Cry1A.105前駆体タンパク質コード配列からなる。植物におけるCry1タンパク質の発現は、問題のあることが判明した。任意の特定のCry1タンパク質が、任意の特定の植物において十分に発現されることとなるかどうかは知られておらず、したがって試行錯誤実験が必要とされる。トウモロコシにおいて発現されるいくつかのCry1タンパク質は、植物毒性効果をもたらすこととなり、したがって葉緑体を標的としてこのタンパク質を送り込むことは、時としてそのような効果を軽減する。同様の状況が、ワタ植物のCry1タンパク質の発現で観察される。本明細書の実施例は、Cry1A.105発現は、細胞質空間に局在化される場合、トウモロコシにおいてのみ可能であることを教示することを意図されておらず、同様に、Cry1A.105発現は、プラスミドに局在化される場合、ワタにおいてのみ可能であることを教示することを意図されていない。実施例は、タンパク質局在化のいずれの方法も、このタンパク質を用いて機能することによって、高レベルのCry1A.105タンパク質の発現および蓄積を示し、アンチカルシア、プソイドプルシア、ラキプルシア、ヘリコベルパ、ヘリオチス、スポドプテラ、エピノチア、およびアルミゲラ(Armigera)よりなる群から選択される属における様々な鱗翅目昆虫の植物害虫に対して商業レベルの耐性を示す、形態学的に正常な植物を達成することを教示するよう意図されている。任意のプラスミド標的化ペプチドコード配列は、前駆体Cry1A.105タンパク質をプラスチド/葉緑体に向けることに対して効果的に機能するであろうと考えられている。
【0035】
非翻訳リーダー配列、イントロンおよび3’転写終結およびポリアデニル化配列は、当技術分野で知られており、熟練した研究者は、ある状況では、発現は、これらの配列を発現カセット中に組み込むことによって増強されるか、または安定化されることができることを理解するだろう。いくつかのそのような配列は、当技術分野で知られており、本開示の範囲内に含められるように意図されている。同様に、連結された配列の調節された発現を達成するために機能するプロモーターが、当技術分野で知られており、これも本開示の範囲内に含められるように意図されている。プロモーターは、それだけに限らないが、発現の時間的制御、発現の空間的または組織特異的制御を含めた、任意の数のパラメーターの組合せにおける連結された配列の発現を促進するため、および特定の植物細胞または組織内に蓄積されることを望まれた、特定の遺伝子産物の量を制御するための使用に対して選択され得る。
【0036】
Cry1A.105アミノ酸配列の殺虫性フラグメントを含む単離精製されたタンパク質も、本発明の範囲内であるように意図されている。変異体も、変異を生じさせる1つまたは複数のアミノ酸置換が、置換されるアミノ酸(複数も)に関して一般に保存的であり、置換(複数も)が、殺虫性生物活性または種特異性の範囲の低減をもたらさない限り、本発明の範囲内であるように意図されている。Cry1A.105タンパク質の殺虫性フラグメントは、配列番号2に記載の、約アミノ酸ポジション1から約アミノ酸ポジション650まで、または約アミノ酸ポジション2から約アミノ酸ポジション612まで、または約アミノ酸ポジション5から約アミノ酸ポジション610まで、または約アミノ酸ポジション10から約アミノ酸ポジション600までのアミノ酸配列のセグメントであることが意図されている。あるいは、Cry1A.105タンパク質の殺虫性フラグメントは、配列番号2に記載のアミノ酸残基1から約650までよりなる群から選択される、約550個から約650個の近接するアミノ酸からなることが意図されている。アミノ酸残基1から約残基3534までからなる全長前駆体タンパク質は、優れた結晶形成特性を示し、単子葉および双子葉植物種の両方によって十分に許容されている。この前駆体タンパク質は、結晶形態である場合、優れた安定性も示し、アルカリpH、特に約8.0から約12.0、または約8.5から約11.5、または約pH9.0から約pH11.0の範囲内のアルカリpHで優れた溶解性も示す。
【0037】
本発明のタンパク質は、精製し、鱗翅目害虫防除剤としての使用のために意図された任意の数の組成物において、殺虫有効量で単独で用いることができるか、またはCry1A.105タンパク質と異なる任意の数の他の殺虫因子と、殺虫有効量で組み合わせることができる。そのような他の殺虫因子は、それだけに限らないが、他のBt Cry、または化学殺虫剤、殺真菌剤または静真菌剤、抗生物質、抗菌剤、静菌剤、および殺線虫剤もしくは静線虫(nematostatic)剤を含めて、鱗翅目種に対して有毒であるか有毒でないかを問わず、他の殺虫性組成物を含むように意図されている。任意の数の他の殺虫因子とともにCry1A.105を含むそのような殺虫性組合せ物は、トランスジェニック細胞によって産生されるか、または精製された、もしくは実質的に精製された殺虫因子を用いて、ダスト、顆粒状物質、油懸濁液、水懸濁液、油エマルジョンおよび水エマルジョンの混合物、もしくは水和剤からなる形態での殺虫剤組成物に製剤化され、次いで葉面処理用の農業的に許容可能な担体中に提供されることができる。この組成物はその上、種子処理物中に含めることを目的とした組成物中のCry1A.105とともに、または殺虫有効量のCry1A.105を発現するために形質転換されたトランスジェニック植物に由来する種子に適用される組成物として、種子処理物に製剤化されることができ、その結果、殺虫剤を含有する種子処理組成物が、殺虫有効量のCry1A.105タンパク質を産生している種子から成長した植物の細胞とともに、標的鱗翅目害虫に提供される。それぞれが、同じ昆虫種に対して有毒であり、しかもその毒性効果を異なる作用様式を通じて顕在化させる、殺虫性タンパク質の組合せは、鱗翅目種を防除するために、または特定の鱗翅目種に対して他の点で有効である任意の1つの殺虫剤に対する耐性の開始を遅延させるために、特に有用な殺虫剤の組合せとなるだろう。そのようなタンパク質の例示的な組合せは、第1の殺虫性タンパク質と異なる少なくとも第2の殺虫性タンパク質を伴った、本発明のCry1A.105タンパク質、すなわち、第1の殺虫性タンパク質であろう。このような異なる殺虫性タンパク質には、それだけに限らないが、鱗翅目のBt.結晶タンパク質(他のCry1、Cry2、Cry5、Cry9)、VIPタンパク質、TICタンパク質と称される鱗翅目の殺虫性タンパク質、および細菌のゼノラブダス種およびフォトラブダス種によって産生される殺虫性タンパク質が含まれる。害虫の餌中に、昆虫の生存に必須である1種または複数種の遺伝子のdsRNA媒介遺伝子抑圧を達成するために設計された剤とともに1種または複数種の殺虫性タンパク質の組合せを提供することは、鱗翅目種を防除するか、または特定の鱗翅目種に対して他の点で有効である任意の1つの殺虫剤に対する耐性の開始を遅延させるために、特に有用な殺虫剤の組合せとなるだろう。
【0038】
本発明のヌクレオチド配列で形質転換された植物は、本発明の別の実施形態として提供される。植物細胞中にDNAを安定に導入する方法は、当技術分野で知られており、それだけに限らないが、減圧浸潤、アグロバクテリウムまたはリゾビウム媒介形質転換、電気穿孔、および様々な弾丸導入法(ballistic method)を含む。植物中に導入されたDNAは、一般に核染色体への挿入の標的とされるが、葉緑体またはプラスミドDNAへの挿入も達成され得る。植物中に導入されたDNAは、それだけに限らないが、蛍光または発光遺伝子などのスコアラブル(scoreable)マーカーおよび適切な基質の存在において、形質転換された1個または複数個の細胞に比色分析特性を付与する色素または酵素をコードする遺伝子を含めて、または形質転換された細胞および組織の正の選択を可能にする選択可能マーカーを含めることによって、対象となっているDNAで安定に形質転換されてきた1個または複数個の細胞を同定または選択する手段を提供する配列に、一般に連結されるかまたは付随しており、形質転換された細胞に成長利点を提供し、非形質転換細胞または組織が静止状態になるかまたは死亡することを本質的に生じさせている。そのような選択可能マーカーには、それだけに限らないが、バスタ(basta)、バー、メトトレキセート耐性、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、グリフォセート非感受性EPSPS酵素、グリフォセートオキシドレダクターゼ(GOX)酵素、イー・コリ phnOまたはその等価物などをコードする遺伝子が含まれる。
【0039】
研究室で操作されながら、例示されたヌクレオチド配列を維持、操作、および/または監視するために、または宿主細胞への導入のために設計されたベクターおよび他のタイプの配列も、本発明の範囲内に含められ、それだけに限らないが、ファージ、プラスミド、バクミド、ヤクミド(yacmid)、コスミドなどを含むように意図されている。
【0040】
形質転換された植物も、本発明の範囲内である。Cry1A.105タンパク質の少なくとも殺虫性フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含有するように形質転換された植物は、本開示によって具体的に可能にされる。単子葉および双子葉植物の両方が、本発明の範囲内であるように想定されている。単子葉植物は、それだけに限らないが、トウモロコシ、コムギ、カラスムギ、イネ、モロコシ、ミロ、ソバ、ライムギ、草(ウシノケグサ、オオアワガエリ、スズメノチャヒキ、カモガヤ、セントオーガスティン、バミューダ、ベントグラス)、およびオオムギを含むように意図され、双子葉植物は、少なくともアルファルファ、リンゴ、アンズ、アスパラガス、マメ、ベリー、クロイチゴ、ブルーベリー、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、サクラ、ヒヨコマメ、柑橘類樹木、ワタ、ササゲ、クランベリー、キュウリ、ウリ科植物、ナス、果実樹木、ブドウ、レモン、レタス、亜麻仁、メロン、カラシナ、堅果結実樹木、オクラ、オレンジ、エンドウマメ、モモ、ピーナッツ、セイヨウナシ、セイヨウスモモ、ジャガイモ、ダイズ、カボチャ、イチゴ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブ、および野菜を含むように意図されている。これらの植物ならびにこれらの植物から産生された種子および組織からの産物は、種子、組織、または産物が、Cry1A.105タンパク質の殺虫性フラグメントをコードするトランスジーンを含有する限り、本発明に具体的に含められる。
【0041】
生物試料において、Cry1A.105タンパク質またはCry1A.105タンパク質の殺虫性フラグメントをコードするヌクレオチド配列を検出する方法は、本発明によって提供される。Cry1A.105は、Cry1A.105エピトープに特異的な抗体を産生するために、動物を免疫するのに用いることができる。Cry1A.105特異的抗体は、生物試料中のCry1A.105の存在を検出するために用いることができる。抗体の抗原への結合を検出する方法は、当技術分野で知られている。生物試料において、抗体のCry1A.105エピトープへの結合を検出することは、試料中のタンパク質の存在に対する診断となる。
【0042】
Cry1A.105殺虫性フラグメントをコードするヌクレオチド配列も、同様に検出され得る。合成ヌクレオチドプローブを、標的配列、すなわちCry1A.105殺虫性フラグメントをコードするヌクレオチド配列に結合させるために用いることができる。プローブの標的配列への結合を検出する方法は、当技術分野で知られている。プローブの標的Cry1A.105コード配列への結合を検出することは、試料中のコード配列の存在に対する診断となる。
【0043】
合成ヌクレオチドプライマーを熱増幅反応(thermal amplification reaction)において用いることによって、Cry1A.105タンパク質の殺虫性フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含有すると疑われる生物試料から、単位複製配列を産生することができる。そのような熱増幅反応において産生された単位複製配列の存在は、試料中のこのヌクレオチド配列の存在に対する診断となる。生物試料において、本発明のCry1A.105コード配列の存在を検出することに対する診断となるプローブとして特に有用な配列は、(1)配列番号1または配列番号3に記載のヌクレオチド位置1401〜1420、または(2)配列番号1または配列番号3に記載のヌクレオチド位置1821〜1840に対応するか、または完全に相補的である配列である。これらの配列は、(1)本発明のタンパク質の殺虫性部分を構築するために用いられる、異なる殺虫性タンパク質のセグメントのドメインIIとドメインIIIの間の接合部をコードする配列にまたがっている20個のヌクレオチド、および(2)プレプロ毒素Cry1Ab.105タンパク質のコード配列を構築するために用いられる、異なるタンパク質コードセグメントのドメインIIIとプロ毒素コードセグメントの間の接合部をコードする配列にまたがっている20個のヌクレオチドに対応する。DNAのこれらのセグメント(1401〜1420または1821〜1840)のいずれかであるか、またはいずれかに相補的であるヌクレオチド配列は、生物試料中のこれらのコード配列の存在を検出するためのプローブとして用いることができる。そのような結合を検出することは、生物試料中のそのようなコード配列の存在に対する診断となる。熟練した研究者によって認識されることとなるように、DNAのこれらのセグメントのいずれかの側に隣接する他の配列は、そのような生物試料由来の様々な大きさの単位複製配列セグメントを増幅するためのプライマーとして用いることができ、そのような単位複製配列は、試料中のそのようなコード配列の存在に対する診断となる。例えば、配列番号1に記載の、位置1201〜1220のヌクレオチド配列に対応する第1のプライマー配列は、配列番号1に記載の、位置1581〜1600のヌクレオチド配列の逆補体に対応する第2のプライマー配列との熱増幅反応において順方向プライマーとして用いることができるだろう。熱増幅反応において、配列番号1を含有する生物試料と一緒に用いられる場合、そのようなプライマーは、配列番号1のヌクレオチド位置1201から1600までに対応する単位複製配列、すなわち、配列番号1に記載のヌクレオチド位置1401〜1420からの20個のヌクレオチドセグメントを含有すると思われる400個のヌクレオチド単位複製配列の合成をもたらし、したがってそのような試料中のCry1A.105コード配列の存在に対する診断となるだろう。
【0044】
試料中のCry1A.105の存在を検出するか、またはCry1A.105をコードするヌクレオチド配列の存在を検出するためのキットが提供される。このキットは、目的とする因子を検出する方法を実行するために必要なすべての試薬および対照試料、ならびに使用説明書とともに提供される。
【0045】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明する。特許請求の範囲内の他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の明細事項または実践の考慮から、当業者にとって明らかとなろう。実施例とともに、明細事項は、実施例に続く特許請求の範囲によって示されている本発明の範囲および精神を伴った、例示的なものにすぎないとみなされるべきであることが意図されている。
【実施例】
【0046】
実施例1
本実施例は、殺虫性Cry1A.105タンパク質をコードする合成ヌクレオチド配列を例示する。
【0047】
Cry1A.105殺虫性タンパク質をコードする、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を、双子葉植物において用いるために構築した。アミノ酸配列の翻訳は、配列番号2に記載されている。毒素をコードしているセグメントは、おおよそ約位置1から約位置1830までのヌクレオチドからなる。
【0048】
Cry1A.105アミノ酸配列をコードする、配列番号3に記載のヌクレオチド配列を、単子葉植物における発現のために構築した。アミノ酸配列の翻訳は、配列番号4に記載されている。毒素をコードしているセグメントは、おおよそ約位置1から約位置1830までのヌクレオチドからなる。
【0049】
配列番号1および配列番号3に記載のヌクレオチド配列は、互いに実質的な等価物である。配列番号1および配列番号3は、約94.3%の全体的同一性を示す。この2つのコード配列は、約ヌクレオチド位置1330からヌクレオチド位置3534まで同一である。各配列の毒素をコードしている部分は、約ヌクレオチド位置1からヌクレオチド位置1830までからなり、これらのセグメントは、互いに88.9%の同一性を示す。2つの配列間の実質的な差異は、約ヌクレオチド位置1から約ヌクレオチド位置1329まで、すなわちCry1A.105タンパク質の毒素部分をコードするセグメントのおよそ最初の3分の2の中にある。この2つの配列は、このセグメント全体にわたって約84.7%の同一性を示す。
【0050】
β−ラクタマーゼ選択可能マーカーを含有するpMON70522と称されるプラスミドで形質転換されたイー・コリ系統(TOP10、Invitrogen,Inc.)およびCry1A.105をコードする配列番号3に記載の配列を、特許手続きのための微生物寄託の国際認識に関するブダペスト条約(Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purpose of Patent Procedures)に従って、1815 North University Street、in Peoria、Illinois 61604 U.S.Aにある、Agriculture Research Culture Collection(NRRL) International Depository Authorityに、2005年8月31日に寄託し、NRRL B−30873と命名した。
【0051】
実施例2
この実施例は、Cry1A.105タンパク質を発現するトランスジェニックワタ植物を例示する。
【0052】
Delta and PinelandのDP50ワタ種子を、表面滅菌し、一晩発芽させた。分裂組織の外植体を単離し、初生葉を微小切開によって除去した。切開した外植体を、分裂組織が、粒子送達の方向と垂直に向けられるように標的化培地(targeting medium)中に置いた。形質転換ベクターであるpMON47740は、配列番号9に記載のヌクレオチド配列を有する発現カセットを含む。e35Sプロモーターの制御下のGUSマーカー遺伝子を含有するKpnIフラグメントおよびeFMVプロモーターの制御下の葉緑体標的Cry1A.105コード配列を、このプラスミドから切り取り、HPLCによって単離し、ワタ分裂組織の外植体の銃形質転換に用いた。Cry1A.105発現カセットおよびGUSマーカーの両方を含有する精製したDNAを、微小金ビーズ上に沈殿させ、マイラーシート上に薄層として被覆した。DNAを、部分真空下で放電粒子送達によって、分裂組織中に加速して入れた。ボンバードメントの後に、外植体を標的解除して、選択剤なしのホルモンフリー培地上に移した。再生された小植物からの葉組織を試料採取し、GUSマーカーの発現についてアッセイした。高レベルのGUS発現を示すトランスジェニック植物は、さらなる選別のために温室に送った。これらの植物を、再びGUSの発現について試験し、植物の陰性部分を剪定した。この試料採取およびGUS陰性組織の剪定のサイクルを、各植物からのすべてのセクターが、GUSマーカーに対して陽性となるまで繰り返した。次いでこの植物を、種子を収穫するまで、標準的な温室条件下で維持した。
【0053】
F1 GUS陽性のトランスジェニックワタ植物から得た組織を、コットンボールワーム(CBW)およびフォールアーミーワーム(FAW)に対する殺虫活性についてバイオアッセイで試験した。殺虫レベルのCry1AcまたはCry1AcとCry2Abの組合せを発現する、以前に産生された同質遺伝子ワタ植物を陽性対照として用い、非トランスジェニック同質系統(isoline)を陰性対照として用いた。
【0054】
CBW正方形アッセイ(square assay)を、トランスジェニックワタ植物の殺虫活性を判定するための一手段として用いた(Adamczyckら、(2001年)J.Econ.Entomol.94:284〜90;Kranthiら(2005年)Current Science 89:291〜298)。正方形の葉組織(マッチの先の大きさ以上)を採取し、アッセイウェル中に個々に置いた。各正方形には、1匹の第3齢のCBW幼虫をつけた。生存している昆虫の数を、侵襲後5日目に記録した。
【0055】
CBWボウルアッセイも、トランスジェニック植物から採取したボウル組織の殺虫活性を判定するために用いた。各事象から8個の未成熟のボウル(開花後)を採取し、個々のカップ中に置き、第3齢のCBW幼虫をつけた。生存している昆虫の数を、侵襲後5日目に記録した。
【0056】
葉アッセイを、FAWに対するトランスジェニック葉組織の殺虫活性を判定するために行った。新葉をワタ植物の頂生部から採取した。それぞれ直径3/4”の2個の穿孔した葉を採取し、16個の個々のアッセイウェルのそれぞれに置いた。各ウェルには、1匹の第2齢または第3齢のFAW幼虫をつけた。生存している昆虫の数を、侵襲後5日目に記録した。
【0057】
バイオアッセイの結果を表1に示す。結果は、FAWおよびCBWの両方に対して、Cry1A.105を発現するトランスジェニックワタ事象は、Cry1AcまたはCry1AcとCry2Abの組合せのいずれかを発現するトランスジェニック事象より大きな殺虫活性を示したことを示す。
【0058】
【表1】

【0059】
タバコバッドワームおよびコーンイヤーワームも、同様のバイオアッセイで試験した。それぞれの場合において、Cry1A.105植物は、同様にこれらの害虫に対して殺虫活性を示した。
【0060】
実施例3
この実施例は、Cry1A.105タンパク質を発現するトランスジェニックトウモロコシ植物を例示する。
【0061】
トランスジェニックトウモロコシ植物を、ベクターpMON40232で形質転換した細胞から再生した。pMON40232は、増強されたCAMV 35Sプロモーター、コムギCABリーダー配列、イネアクチン1イントロン、Cry1A.105コード配列ならびにコムギhsp17遺伝子3’転写終結およびポリアデニル化配列を、作動可能な連結において含有する、配列番号7に記載のヌクレオチド配列を有する発現カセットを含む。シロイヌナズナEPSPS葉緑体標的化配列(At.EPSES−CTP2)をコードするヌクレオチド配列は、Cry1A.105コード配列の上流に、かつCry1A.105コード配列とインフレームで位置する。pMON40232は、トランスジェニック事象の選択に用いるための、除草剤グリフォセートに非感受性であるEPSPSをコードする組換え遺伝子を含有する。pMON40232で形質転換された組織から生じるトランスジェニック事象は、LAJ 105と命名した。トランスジェニック事象は、任意のベクターバックボーンの非存在に関して、1個の単純な挿入された配列の存在に関して、およびCry1A.105タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する発現カセットの無傷性に関してスクリーニングした。
【0062】
事象選別の制約を満たした事象にバイオアッセイを行った。LAJ105トランスジェニックトウモロコシ植物を、同質遺伝子的なLH198陰性対照およびCry1Abタンパク質の殺虫性部分を発現する陽性対照のMON810変種とバイオアッセイで比較した。それぞれが直径約1センチメートルの、5枚の葉ディスクを、10個の個々のCry1A.105トランスジェニック事象のそれぞれから、および対照から得た。葉ディスクを寒天で満たしたウェル上に置くことによって、植物材料を膨張した状態に保持した。次いでディスクを、FAW、ブラックカットワーム(BCW)、ヨーロピアンコーンボーラー(ECB)、コーンイヤーワーム(CEW)、およびサウスウエスタンコーンボーラー(SWCB)の新生幼虫による採餌に曝した。1匹の新生FAW幼虫、1匹のCEW幼虫、2匹の新生BCW、2匹の新生SWCB幼虫、または4匹の新生ECB幼虫を、各ウェルに適用した。4日後に、0〜11のスケールの葉損傷格付け(leaf damage rating)(LDR)を用いて食害を評価した。0は、目に見える食害のないことを示し、11は、少なくとも50%のディスクが食べられたことを示し、0と11の間のスケール上の各点は、観察下の葉ディスクに観察される食害の5%の増加を示す。
【0063】
バイオアッセイの結果は、Cry1A.105タンパク質を発現する事象は、FAW、ECBおよびCEWに対して、同じ害虫の幼虫に対してCry1Ab対照によって示されるLDRよりも、大きな殺虫活性を示すことを示した。Cry1A.105事象でのこれらの3種の害虫に対するLDRは、1未満であり、一方Cry1Ab対照は、約8から約10の範囲のLDRを示した。SWCBに対する活性を試験した場合、LDRは、Cry1A.105事象およびCry1Ab対照の両方に対して一貫して1と2の間であり、Cry1A.105タンパク質は、Cry1Abと同じく、SWCBに対して有毒ではなかったことを示している。このバイオアッセイの結果は、Cry1Abが、BCWを防除することにおいて効果のないことを示した以前の結果を支持した。Cry1A.105事象は、Cry1Ab対照と同じく、BCWに対して有効ではなかった。したがって、in plantaでのCry1A.105タンパク質の発現のレベルで、これらの植物は、それだけに限らないが、アンチカルシア、プソイドプルシア、ラキプルシア、ヘリオチス、ヘリコベルパ、スポドプテラ、エピノチア、およびアルミゲラを含めた、他の鱗翅属(lepidopteran genus)植物害虫を防除することに有効であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2に記載の、アミノ酸ポジション10からアミノ酸ポジション600までのアミノ酸配列を含む、殺虫性タンパク質をコードする単離されたヌクレオチド配列。
【請求項2】
配列番号1および配列番号3よりなる群から選択される、請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項3】
作物植物において前記殺虫性タンパク質を発現させるのに使用するための、請求項2に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項4】
前記作物植物が、単子葉作物植物および双子葉作物植物よりなる群から選択される、請求項3に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項5】
前記単子葉植物が、トウモロコシ、コムギ、カラスムギ、イネ、モロコシ、ミロ、ソバ、ライムギ、草(ウシノケグサ、オオアワガエリ、スズメノチャヒキ、カモガヤ、セントオーガスティン、バミューダ、ベントグラス)、およびオオムギからなる植物の群から選択される、請求項4に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項6】
前記双子葉植物が、アルファルファ、リンゴ、アンズ、アスパラガス、マメ、ベリー、クロイチゴ、ブルーベリー、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、サクラ、ヒヨコマメ、柑橘類樹木、ワタ、ササゲ、クランベリー、キュウリ、ウリ科植物、ナス、果実樹木、ブドウ、レモン、レタス、亜麻仁、メロン、カラシナ、堅果結実樹木、オクラ、オレンジ、エンドウマメ、モモ、ピーナッツ、セイヨウナシ、セイヨウスモモ、ジャガイモ、ダイズ、カボチャ、イチゴ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブ、および野菜からなる植物の群から選択される、請求項4に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項7】
配列番号2に記載の、アミノ酸ポジション10からアミノ酸ポジション600までのアミノ酸配列を含む、単離精製された殺虫性タンパク質。
【請求項8】
殺虫有効量の、請求項7に記載の単離精製されたタンパク質を含む組成物。
【請求項9】
宿主細胞において、配列番号2に記載の殺虫性タンパク質を発現させるのに使用するための発現カセットであって、前記宿主細胞中で機能的なプロモーター配列および前記タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、作動可能に連結した形で含む発現カセット。
【請求項10】
前記宿主細胞が、細菌細胞、真菌細胞、哺乳動物細胞、および植物細胞よりなる群から選択される、請求項9に記載の発現カセット。
【請求項11】
(a)前記細菌細胞が、バチルス種細胞、エンテロバクテリアカエ種細胞、シュードモナス種細胞、クロストリジウム種細胞、およびリゾビウム種細胞、およびアグロバクテリウム種細胞よりなる群から選択され、
(b)前記植物細胞が、双子葉植物および単子葉植物からなる植物の群から選択され、前記双子葉植物が、アルファルファ、リンゴ、アンズ、アスパラガス、マメ、ベリー、クロイチゴ、ブルーベリー、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、サクラ、ヒヨコマメ、柑橘類樹木、ワタ、ササゲ、クランベリー、キュウリ、ウリ科植物、ナス、果実樹木、ブドウ、レモン、レタス、亜麻仁、メロン、カラシナ、堅果結実樹木、オクラ、オレンジ、エンドウマメ、モモ、ピーナッツ、セイヨウナシ、セイヨウスモモ、ジャガイモ、ダイズ、カボチャ、イチゴ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブ、および野菜からなる群からさらに選択されており、前記単子葉植物が、トウモロコシ、コムギ、カラスムギ、イネ、モロコシ、ミロ、ソバ、ライムギ、草(ウシノケグサ、オオアワガエリ、スズメノチャヒキ、カモガヤ、セントオーガスティン、バミューダ、ベントグラス)、およびオオムギからなる群からさらに選択されている、
請求項10に記載の発現カセット。
【請求項12】
前記宿主細胞が植物細胞であり、前記発現カセットが、発現エンハンサー配列、非翻訳リーダー配列、イントロン配列、葉緑体標的化ペプチドコード化配列、ならびに転写終結およびポリアデニル化配列よりなる群から選択される配列を、作動可能な連結においてさらに含む、請求項9に記載の発現カセット。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれかに記載の発現カセットを含むベクター。
【請求項14】
配列番号2に記載の、アミノ酸ポジション10からアミノ酸ポジション600までの、殺虫活性を示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、鱗翅目昆虫の侵襲に耐性があるトランスジェニック植物または植物細胞。
【請求項15】
前記トランスジェニック植物が、双子葉植物および単子葉植物よりなる群から選択され、前記双子葉植物が、アルファルファ、リンゴ、アンズ、アスパラガス、マメ、ベリー、クロイチゴ、ブルーベリー、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、サクラ、ヒヨコマメ、柑橘類樹木、ワタ、ササゲ、クランベリー、キュウリ、ウリ科植物、ナス、果実樹木、ブドウ、レモン、レタス、亜麻仁、メロン、カラシナ、堅果結実樹木、オクラ、オレンジ、エンドウマメ、モモ、ピーナッツ、セイヨウナシ、セイヨウスモモ、ジャガイモ、ダイズ、カボチャ、イチゴ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブ、および野菜からなる群からさらに選択されており、前記単子葉植物が、トウモロコシ、コムギ、カラスムギ、イネ、モロコシ、ミロ、ソバ、ライムギ、草(ウシノケグサ、オオアワガエリ、スズメノチャヒキ、カモガヤ、セントオーガスティン、バミューダ、ベントグラス)、およびオオムギからなる群からさらに選択されている、請求項14に記載のトランスジェニック植物または植物細胞。
【請求項16】
ハマキムシ、ネキリムシ、アーミーワーム、穿孔虫、ミノムシ、およびフォーリッジフィーダーよりなる群から選択される鱗翅目昆虫の侵襲に耐性である、請求項15に記載のトランスジェニック植物または植物細胞。
【請求項17】
前記鱗翅目昆虫が、フォールアーミーワーム、ヨーロピアンコーンボーラー、コーンイヤーワーム(コットンボールワームと同じ)、サウスウエスタンコーンボーラー、およびブラックカットワームからなる群からさらに選択される、請求項16に記載のトランスジェニック植物または植物細胞。
【請求項18】
請求項15に記載のトランスジェニック植物または植物細胞の子孫または種子であって、前記ヌクレオチド配列を含む子孫または種子。
【請求項19】
植物機能性プロモーター、および鱗翅目殺虫活性を示す、配列番号2に記載の、アミノ酸ポジション10からアミノ酸ポジション600までのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を、作動可能な連結において含む核酸配列で形質転換された1つまたは複数の植物細胞を、昆虫の餌中に提供することによる、鱗翅目昆虫の植物への侵襲を抑制する方法。
【請求項20】
配列番号5および配列番号7よりなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載の発現カセット。
【請求項21】
生物試料において、Cry1A.105アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を同定する方法であって、前記試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触させること、および前記ポリヌクレオチドの前記ヌクレオチド配列との結合を検出することを含み、前記結合が、前記試料中の前記ヌクレオチド配列に対する診断となる方法。
【請求項22】
試料においてCry1A.105タンパク質を同定する方法であって、前記試料を、前記タンパク質に特異的に結合する抗体と接触させること、および結合を検出することを含み、前記結合が、前記試料中の前記タンパク質の存在に対する診断となる方法。
【請求項23】
配列番号2に記載の、約アミノ酸1から約アミノ酸612までの殺虫性タンパク質をコードする単離されたヌクレオチド配列。
【請求項24】
配列番号2に記載の、約アミノ酸1から約アミノ酸610までの殺虫性タンパク質をコードする単離されたヌクレオチド配列。
【請求項25】
配列番号1に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも約90%の同一性を示す、請求項23に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項26】
配列番号3に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも約90%の同一性を示す、請求項23に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項27】
配列番号2に記載の、約アミノ酸ポジション10から約アミノ酸ポジション600までのアミノ酸セグメントから選択される約500個から約600個の近接するアミノ酸を含むアミノ酸セグメントを含む、ハイブリッド殺虫性タンパク質。
【請求項28】
殺虫有効量のCry1A.105タンパク質を含む組成物であって、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞、コロイド、エマルジョン、種子被覆剤、ベイト、および粉末よりなる群から選択される組成物。
【請求項29】
前記Cry1A.105タンパク質が、100万分の約0.5から約200部(PPM)の量で存在する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記Cry1A.105タンパク質が、約0.5から約20PPMの量で存在する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
植物細胞または一群の植物細胞である、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
殺虫有効量の前記Cry1A.105タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド位置1401〜1420および配列番号1のヌクレオチド位置1821〜1840よりなる群から選択される配列であるか、またはこの配列に相補的であるプローブを用いて検出可能な量で存在する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記殺虫有効量の前記タンパク質が、鱗翅属植物害虫の餌中に提供される場合、前記害虫を防除するのに十分であり、前記害虫が、アンチカルシア、プソイドプルシア、ラキプルシア、ヘリオチス、ヘリコベルパ、スポドプテラ、エピノチア、およびアルミゲラよりなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
鱗翅目昆虫の侵襲から田畑の作物を保護する方法であって、鱗翅目昆虫の餌中に、殺虫有効量のCry1A.105タンパク質殺虫因子を含むトランスジェニック作物植物を成長させることによって、昆虫が前記トランスジェニック作物植物上で生存することを抑制することを含む方法。
【請求項35】
前記トランスジェニック作物植物が、Cry1A.105のように、同じ昆虫種に対して有毒であり、バチルス毒素、ゼノラブダス毒素、フォトラブダス毒素、および前記昆虫種における1種または複数種の必須遺伝子の抑制に特異的なdsRNAよりなる群から選択される追加の殺虫因子をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記作物の収率が、前記1つまたは複数の殺虫因子を欠いている同質遺伝子作物の収率と比較して改善される、請求項34または35に記載の方法。

【公表番号】特表2009−505679(P2009−505679A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529233(P2008−529233)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/033868
【国際公開番号】WO2007/027777
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】