説明

気体溶解モジュール

【課題】気体溶解モジュールにおいて、気体室に溜まる凝縮水を長期間にわたって安定的
に排出でき、凝縮水排出に伴うトラブルの発生がなく、所望濃度の気体溶解水を製造する
ことができる。
【解決手段】気体透過膜によって水室と気体室とに区画し、水室に被処理水を、気体室に
被処理水に溶解させる気体を供給する気体溶解モジュールであって、凝縮水排出管の一端
を該気体室に連通させ、他端を機械的駆動部がない減圧装置、例えば、アスピレーターに
連結させて気体室に溜まる凝縮水を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体溶解モジュールに関し、特に、気体溶解モジュールの気体室に溜まる凝
縮水を確実に排出できる気体溶解モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子材料のウェット洗浄工程では、従来は、濃厚な薬液を用いるRCA洗浄などが行わ
れていたが、近年、ウェット洗浄の革新が進み、特定の気体のみを所定量溶解した、いわ
ゆる機能性洗浄水が適用されるようになってきた。機能性洗浄水に用いられる気体として
は、水素ガス、酸素ガス、オゾン、炭酸ガス、希ガス、不活性ガスなどがある。これらの
気体を効率よく溶解するために、気体のみを透過させる性質を有する気体透過膜を内蔵し
た気体溶解モジュールが活用されている。気体溶解モジュールを用いると、気泡を含まな
い特定の気体溶解水を容易に製造することが出来る。
【0003】
水などの液体を通さないことが気体透過膜の特性であるが、水蒸気は気体透過膜を透過
する。このため、気体透過膜を介して水室から気体室への水蒸気の透過が起こり、結露を
起こして凝縮水として気体室内に溜まる。凝縮水が少量であれば、気体溶解モジュールの
性能に及ぼす影響は軽微であるが、凝縮水の量が増すと、気体室の底部から次第に上方へ
溜まっていき、気体の溶解に寄与する気体透過膜の有効面積が減少し、気体溶解モジュー
ルの性能が低下して、機能性洗浄水中に含まれる気体濃度が減少する。
【0004】
気体溶解モジュールの気体室に凝縮水が溜まった場合、従来は気体溶解モジュールの運
転を中断し、溜まった凝縮水を排出する作業を行う必要があった。運転を止めないために
は凝結水を真空ポンプを用いて排出する方法などが考えられている。例えば、特開200
0−189742号公報に開示されているように、気体溶解モジュールの気体室に所定量
の凝縮水が溜まったことを検知して、凝縮水を水封式ポンプ、真空ポンプを利用して減圧
吸引により排出することが知られている。
【0005】
通常の真空ポンプは水を通すとポンプ駆動部の劣化が促進され、吸引性能が低下し、故
障のリスクも高くなるため望ましくない。真空ポンプに凝縮水を通さないようにするため
、凝縮水と凝縮水を運ぶキャリアガスを分離し、凝縮水は真空ポンプを通さずに排水する
機構を設けることもある。この機構は、真空ポンプを保護するとともに、凝縮水は排水配
管に排水でき、キャリアガスは排気配管に排気できるメリットもある。しかし、減圧下で
凝縮水とキャリアガスを分離することは容易ではなく、複雑な機構が必要であった。
【0006】
このため、従来のような問題を生じることなく凝縮水を排出することができる気体溶解
モジュールが求められていた。
【特許文献1】特開2000−189742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、気体溶解モジュールにおいて、気体室に溜まる凝縮水を長期間にわたって連
続的、安定的に排出でき、凝縮水排出に伴うトラブルの発生がなく、所望濃度の気体溶解
水を安定して製造できる気体溶解モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)の気体溶解モジュールは、気体透過膜によって水室と気体室とに区
画し、水室に被処理水を、気体室に被処理水に溶解させる気体を供給する気体溶解モジュ
ールであって、凝縮水排出管の一端を該気体室に連通させ、他端を減圧装置に連結させて
該気体室に凝縮する凝縮水を排出するようにした気体溶解モジュールにおいて、該減圧装
置として機械的駆動部がない減圧装置を用いることを特徴とする。
【0009】
請求項2の気体溶解モジュールは、該減圧装置はアスピレーターであることを特徴とす
る。
【0010】
請求項3の気体溶解モジュールは、凝縮水排出管が、その途中に、所定量の凝縮水の溜
まりを検知する検出装置と、該検出装置が所定量の凝縮水の溜まりを検出したときに開作
動する凝縮水排出自動弁を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の気体溶解モジュールは、減圧装置から排出される流体を気液分離する気液分
離槽を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、気体溶解モジュールの気体室に凝縮水排出管の一端を連通させ、他端
を機械的駆動部がない減圧装置に連結させて気体室に凝縮する凝縮水を排出するようにし
たので、従来の真空ポンプのような、機械的駆動部を有する減圧装置を用いないから凝縮
水によって駆動部が劣化することがなく、したがって吸引性能が低下することがなく、ま
た故障するリスクも小さく、気体溶解モジュールの気体室から、長期にわたって連続的に
、安定的に凝縮水を排出できる。凝縮水の排出が安定することにより、気体溶解モジュー
ルの気体室に凝縮水が許容範囲を超えて溜まることがなく、その結果、気体透過膜の有効
面積が減少することがなく、気体溶解性能は維持でき、溶解気体濃度が安定した特定ガス
溶解水を製造することができる。
【0013】
請求項2によれば、減圧装置としてアスピレーターを採用したから、機械的駆動部がな
く、上述の効果が確実に得られる。
【0014】
請求項3の気体溶解モジュールは、凝縮水排出管が、その途中に、所定量の凝縮水の溜
まりを検知する検出装置と、該検出装置が所定量の凝縮水の溜まりを検出したときに開作
動する凝縮水排出自動弁を備えているので、人手に頼るメンテナンスを行うことなく、気
体溶解モジュールの気体室に許容量を超えて凝縮水が溜まることがなく、連続的、安定的
に凝縮水を排出できる。
【0015】
請求項4の気体溶解モジュールは、減圧装置から排出される流体を気液分離する気液分
離槽を有するので、ガスと凝縮水とを別個に排出でき、それぞれを処分することがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の気体溶解モジュールは、気体透過膜によって水室と気体室とに区画し、水室に
被処理水を、気体室に被処理水に溶解させる気体を供給する気体溶解モジュールであって
、該気体室に凝縮水排出管の一端を連通させ、他端を減圧装置に連結させて気体室に凝縮
する凝縮水を排出するようにした気体溶解モジュールにおいて、該減圧装置として機械的
駆動部がない減圧装置を用いるものである。
【0017】
本発明の気体溶解モジュールを用いて溶解する気体に特に制限はなく、例えば、水素ガ
ス、酸素ガス、オゾン、希ガス、不活性ガス、炭酸ガスなどやこれらの気体の混合気体、
これらの気体と他の気体との混合気体などを挙げることができる。
【0018】
本発明の気体溶解モジュールの気体室にこれらの気体を供給し、水室に純水、好ましく
は超純水を供給して製造した特定気体の溶解水は、電子材料、例えば半導体基板、ガラス
基板などの洗浄水として好適に使用できる。
【0019】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の気体溶解モジュールの一態様の説明図である。符号10は気体溶解モ
ジュール、11は容器、12は気体透過膜、13は水室、14は気体室である。容器11
内に装着した気体透過膜12によって水室13と気体室14とに区画するとともに、容器
11内の上下両端部にそれぞれ仕切り板15、15を設けて流入室16、流出室17を形
成する。水室13は流入室16、流出室17と連通している。また、流入室16には所望
の気体が溶解される被処理水が供給されるように水供給管18が連結し、流出室17には
所望気体が溶解した気体溶解水を所定の場所へ送水する送水管19が連結している。一方
、気体室14には被処理水に溶解したい所望の気体を供給できるように給気管20と、気
体室14から気体を排出する排気管21が開口している。給気管20の開口と排気管21
の開口とは最も離れた位置に設けられ、供給された気体が短絡することなく気体透過膜1
2の全長にわたって接触するようにされている。
【0021】
排気管21には弁が設けられ、溶解させるガスによって、排気管21内をガスが流れて
いてもいなくても良い。例えば、水素ガスを溶解させる場合、経済性と安全性を考慮して
、給気管20から溶解させる量の水素ガスを供給し、排気管21の弁は閉じて排気管21
に水素ガスを流さないが、オゾンガスを溶解させる場合などは、膜にかかるガス圧力を調
整するために、排気管21の弁の開度を調整して排気管21にガスを流すことが通常であ
る。
【0022】
また、気体室14のなるべく低い位置において凝縮水排出管30の一端が開口し、気体
室14の凝縮水が凝縮水排出管30を介して排出できるように連結されている。凝縮水排
出管30の他端は減圧装置31に連結され、気体室14、凝縮水排出管30の内部の凝縮
水は減圧による吸引作用によって排出されるように形成されている。図1においては減圧
装置としてアスピレーターが採用されている。
【0023】
本発明の気体溶解モジュールでは、気体室に溜まる凝縮水量を検知する凝縮水検知装置
を設けることが望ましい。凝縮水検知装置に特に制限はなく、溜まった凝縮水の重量を測
定する装置、溜まった凝縮水の液面を検知する液面計などが使用できる。液面計は構造が
簡単で正確に検知できるので好適に使用できる。使用する液面検知機構は任意のものを使
用でき、例えば、光、超音波、静電容量等を利用する液面計を挙げることができる。溜ま
った凝縮水の検知は、気体室14内で行ってもよいが、凝縮水排出管30の途中に凝縮水
検知装置を設ける方が構成が簡単であり、正確に検知できるので好ましい。図1で採用し
た凝縮水検知装置は、液面計32と、液面計より下方に位置する凝縮水排出自動弁33と
を凝縮水排出管30に設けることによって形成されている。凝縮水排出自動弁33を閉と
した状態で、気体室14の凝縮水が凝縮水排出管30に入り、自動弁33上方の凝縮水排
出管30に溜まり、液面計32に達すると所定量(許容量内)の溜まりとなったことを検
知し、信号により凝縮水排出自動弁33を開となるように形成されている。
【0024】
符号34は気体制御自動弁であり、凝縮水排出管30に設けられる気体制御自動弁34
の位置は凝縮水排出自動弁33より高い位置に設けられ、液面計32より低い位置でも高
い位置でもよい。気体制御自動弁34は通常時は開であり、凝縮水排出自動弁33が開に
なっているときは気体制御自動弁34は閉となって、気体溶解モジュールの気体室14が
減圧状態となって気体溶解作用が停止されるのを防止する。
【0025】
減圧装置としてアスピレーター31を採用した例を図示しているが、温度変化に基づく
体積収縮作用を利用した減圧装置など、機械的駆動部、例えば、回転駆動部、往復駆動部
がない減圧装置であれば使用することができる。本発明ではアスピレーターと称している
が、このアスピレーターには同じ作用、機能を奏するエゼクターも包含される。アスピレ
ーターに駆動流体を流し、アスピレーターの生成する負圧部に凝縮水排出管の他端を連結
することにより、凝縮水を吸引排出できる。駆動流体が流れる流体配管36には減圧制御
自動弁37が設けられ、その開閉で減圧作用の起動、停止を制御する。減圧度合は駆動流
体の流量と圧力で調整することがきる。アスピレーターの減圧駆動流体は気体、液体のど
ちらでもよいが、アスピレーターの一次側を高圧にしやすい気体の方が好ましく、気体と
しては空気、窒素などが使用でき、特に制限はない。
【0026】
アスピレーターの出口配管38は、気液分離槽40に連結されている。気液分離槽40
は底部に排水管41、頂部に排気管42が設けられ、排気管42にはガス無害化装置43
が設けられている。排水管41は気体の流出を防ぐためのU字配管部を有している。気液
分離槽40は内部に空間部を有し、空間部は、流入した駆動流体が空間部に滞留中に駆動
流体から凝縮水が分離できる程度の容量を有する。
【0027】
上述のような本発明の気体溶解モジュールにおいて、水供給管18から被処理水、例え
ば、超純水を流入室16を介して水室13に供給し、一方、気体室14には給気管20か
ら所望の気体、例えば、オゾンガスを供給し、気体透過膜12を介してオゾンが超純水に
溶解し、生成したオゾン溶解水は流出室17を経て送水管19により所定の場所、例えば
、オゾン溶解水を電子材料用洗浄水として用いる洗浄装置のあるユースポイントに送られ
る。
【0028】
このような本発明の気体溶解モジュールを用いた気体溶解水の製造において、通常時は
、凝縮水排出管30に設けた気体制御自動弁34を開とし、凝縮水排出自動弁33を閉と
した状態で被処理水への気体の溶解を行い、気体室14において凝縮水が発生すると、凝
縮水は凝縮水排出自動弁33の上方の凝縮水排出管30内に溜まる。
【0029】
凝縮水の溜まりが液面計32に達すると、液面計32が検知し、気体制御自動弁34に
信号を送って開→閉と作動させ、気体室14とアスピレーター31との連通を遮断する。
そして遮断と同時に、または、遮断した後に、凝縮水排出自動弁33および減圧制御自動
弁37に信号を送って閉→開と作動させ、駆動流体が流体配管36、アスピレーター31
、出口配管38を流れ、生成したアスピレーターの負圧部に接続した凝縮水排出管が減圧
されて、気体制御自動弁34と凝縮水排出自動弁33との間の溜まっている凝縮水を、ア
スピレーター31に吸引させ、出口配管38から気液分離槽40へ排出させる。凝縮水は
駆動流体と合流してアスピレーターから排出されるが、アスピレーター内には機械的駆動
部がないので凝縮水によるトラブルは発生することはない。気液分離槽40で駆動流体と
凝縮水が混じった気液混合流体は、気液分離され、凝縮水はU字配管部を有する排水管4
1を介して系外へ排水され、駆動流体は排気管42と無害化装置43を介して系外へ排気
される。凝縮水の排出が終わったとき、凝縮水排出自動弁33は開→閉と作動させ、気体
制御弁34は閉→開と作動させて、凝縮水排出自動弁33の上方に凝縮水の貯留を再開す
る。減圧制御自動弁37は開でも閉でもどちらでも良いが、無駄がないよう閉にしたほう
が望ましい。
【0030】
上述の例では、凝縮水排出自動弁33と気体制御自動弁34との間に溜まった凝縮水を
排出するようにしたが、気体制御自動弁34を液面計32より上方(上流側)に設け、凝
縮水排出自動弁33と液面計との間に溜まった凝縮水を排出するようにしてもよい。
【0031】
また、1回の排出操作で排出する凝縮水の量は任意であり、1回の排出量が少ない場合
は排出頻度が多くなる。1回の排出量は、凝縮水排出自動弁33と気体制御自動弁34と
の間の距離を任意に設定してもよい。
【0032】
さらに、凝縮水は凝縮水排出管30に溜まるようにしたが、凝縮水排出管30に凝縮水
貯留部を設け、貯留部に液面計を設けて凝縮水の溜まりを検知するようにしてもよい。
【0033】
また、本発明の気体溶解モジュールにおいて、水に溶解する気体として水素ガスを用い
る場合、気体室14で凝縮水は水素ガスと接触して水素溶存凝縮水となる。この凝縮水が
アスピレーター31に吸引され、駆動流体で撹拌されると水素ガスが凝縮水から分離し、
そして気液分離槽40に導かれて水素ガスを含む気体と、凝縮水とに気液分離されること
になる。水素ガスは排気管42から放出されるが、その際、ガス無害化装置43で水素ガ
ス濃度を所定濃度以下にすることにより、爆発等の危険を回避することができる。水素ガ
スの無害化装置としては、パラジウムや白金などの貴金属を担持した触媒を充填した触媒
反応塔を利用でき、水素は触媒の存在下酸素と反応して水となり、除去される。
【0034】
また、オゾンを溶解した凝縮水を気液分離してオゾンガスを無害化する場合は、無害化
装置として、活性炭や還元材を充填した還元反応塔を利用できる。
【0035】
大量の駆動流体で凝縮水中に含まれる気体が十分に希釈される場合や、排出される凝縮
水中に含まれる気体がもともと無害な場合などは無害化装置43は設けなくてもよい。
【0036】
本発明の気体溶解モジュールによれば、気体室に溜まる凝縮水を機械的駆動部を有しな
い減圧装置によって吸引排出するので、従来の真空ポンプを減圧装置に用いたときのよう
な凝縮水の混入によるトラブルの発生がなく、安定して、連続的にガス溶解を継続するこ
とができる。
【0037】
本発明においては、凝縮水の溜まりを検知する装置を設け、検知信号で気体室に溜まる
凝縮水を自動的に排出することが好ましく、人手に頼るメンテナンスを行うことなく、安
定して気体溶解水を製造できる。
【0038】
凝縮水検知装置を凝縮水排出管に液面計と自動弁を設けて構成したので、簡易な構成で
凝縮水の検知を行うことができる。
【0039】
気液分離槽を設け、凝縮水とガスとを分離するようにしたので、ガスに有害または危険
成分を含んでいたとしても、ガス無害化装置に導き浄化できる。
[実施例]
【0040】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〔実施例〕
図1に示す気体溶解モジュールを用いた。脱気した超純水を気体溶解モジュールの水室
に毎時1mで超純水を供給し、気体室に毎時1.2gの水素ガスを供給して、水素ガス溶解水を3ヶ月間連続して製造した。
【0041】
3ヶ月間の運転期間中を通じて、水素ガス濃度1.2mg/リットルの水素ガス溶解水を毎時1m製造することができた。凝縮水の排出は約60分に1回の頻度で自動的に行われ、凝縮水はアスピレーターで吸引排出され、気液分離槽で気体と液体に分離され、系外へ排出された。
〔比較例〕
図1の凝縮水排出管からアスピレーター、減圧制御自動弁、気液分離槽、排水管、排気
管を除き、凝縮水排出自動弁の二次側に真空ポンプを接続し、真空ポンプに凝縮水を吸引
させる凝縮水排出機構を気体溶解モジュールに接続し、実施例と同様にして、3ヶ月間連
続して水素ガス溶解水の製造を行った。
【0042】
運転開始から2ヶ月は、水素ガス濃度1.2mg/リットルの水素ガス溶解水を毎時1mで製造することができた。しかしながら、凝縮水とキャリアガスの分離は行われていない。また、2ヶ月が経過したころから、真空ポンプの吸引能力が落ち、凝縮水の吸引を行わなくなったことにより、凝縮水の排出が行われなくなった。その後、運転を継続したところ、水素ガス濃度が徐々に低下し、運転開始3ヶ月後には水素ガス濃度は0.9mg/リットルまで低下した。運転を停止して、気体溶解モジュールを開くと、気体室の下部4分の3まで凝縮水が溜まっていた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の気体溶解モジュールの一態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
10 気体溶解モジュール
11 容器
12 気体透過膜
13 水室
14 気体室
15 仕切り板
16 流入室
17 流出室
18 水供給管
19 送水管
20 給気管
21 排気管
30 凝縮水排出管
31 アスピレーター
32 液面計
33 凝縮水排出自動弁
34 気体制御自動弁
36 流体配管
37 減圧制御自動弁
38 出口配管
40 気液分離槽
41 排水管
42 排気管
43 ガス無害化装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体透過膜によって水室と気体室とに区画し、水室に被処理水を、気体室に被処理水に
溶解させる気体を供給する気体溶解モジュールであって、凝縮水排出管の一端を該気体室
に連通させ、他端を減圧装置に連結させて該気体室に凝縮する凝縮水を排出するようにし
た気体溶解モジュールにおいて、該減圧装置として機械的駆動部がない減圧装置を用いる
ことを特徴とする気体溶解モジュール。
【請求項2】
請求項1において、該減圧装置はアスピレーターであることを特徴とする気体溶解モジ
ュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、凝縮水排出管は、その途中に、所定量の凝縮水の溜ま
りを検知する検出装置と、該検出装置が所定量の凝縮水の溜まりを検出したときに開作動
する凝縮水排出自動弁を備えていることを特徴とする気体溶解モジュール。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、減圧装置から排出される流体を気液分離する気液分離
槽を設けたことを特徴とする気体溶解モジュール。



【図1】
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【公開番号】特開2007−319843(P2007−319843A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156404(P2006−156404)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】