説明

水中撮影可能な撮像装置

【課題】水中におけるレリーズ動作に支障を与えることなく同じボタンを使用することができるレリーズスイッチを有した撮像装置を提供する。
【解決手段】水中使用可能な撮像機器は、合焦手段と、上記撮像機器が水中にあるかないかを検出する水中検出手段と、手動押圧操作により変位する変位釦の変位により第1の信号を出力する第1のスイッチと上記変位釦の変位よりさらなる変位による第2の信号を出力する第2のスイッチとを有するレリーズ手段と、上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にないと判断されたときには上記第1の信号により上記合焦手段により自動合焦を行わせ、その後上記第2の信号により露光動作を行わせ、上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にあると判断されたときには上記第2の信号のみを用いて上記自動合焦を行わせ、その後上記第2の信号が検出されず再度の上記第2の信号があれば露光動作を行わせる制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中撮影可能な光学機器、撮像装置等に関する。さらに詳しくは陸上においても水中においても撮影可能なカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学機器としてのカメラが水中で手軽に楽しめるように製品化されている。それに従ってさらに深い水中での撮影操作性の向上も要求されるようになってきている。
【0003】
これに関連し特許文献1においては、カメラに設けられた押しボタンが水圧により押圧されたままになるとこの押しボタンの機能を無視するという技術が開示されている。また、特許文献2には、水中スイッチが水圧により勝手にオン、オフせぬように、例えばズームスイッチのような一対のスイッチ部材に対しシーソー式の部材等を設け水圧による押圧を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−100270号公報
【特許文献2】特開2006−156114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2001−100270号公報の「水圧により押圧されたままになるとこの押しボタンの機能を無視する」というものでは、他のボタンにその機能を転化させなければならず、機能転化されたボタンは本来の機能を、そのとき失うことになり場合によってはボタン操作の混乱を招き操作性が必ずしもよくない。また特開2001−100270号公報におけるシーソー式部材等の部材利用は余計なスペースを必要とし、小さなカメラ等に使用するには不適当な場合もある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、水圧による比較的弱い力量でスイッチ釦が押圧されてオンしても、この弱い力量より大きい力量で始めてオンされるスイッチ釦を用いて、一方で本来の機能を犠牲にしながら残った機能を有効に利用し、その操作性を劣化させないようしたレリーズスイッチシステムを有する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の水中使用可能な撮像機器は、合焦手段と、上記撮像機器が水中にあるかないかを検出する水中検出手段と、手動押圧操作により押圧方向に変位する変位釦と、上記変位釦に掛かる第1の力量により変位して第1の信号を出力する第1のスイッチと上記変位釦に掛かる上記第1の力量より大きい第2の力量によりさらに変位して第2の信号を出力する第2のスイッチとを有するレリーズ手段と、上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にないと判断されたときには上記第1の信号により上記合焦手段により自動合焦を行わせ、その後上記第2の信号により露光動作を行わせ、上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にあると判断されたときには上記第2の信号のみを用いて、上記自動合焦を行わせ、その後上記第2の信号が検出されず、再度の上記第2の信号があれば露光動作を行わせる制御手段と、を具備する。
【0008】
また、本発明の上記撮像機器は、上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にあると判断され、初めての上記第2の信号が出力されてから該信号出力が一定の期間維持された場合は再度上記合焦を行う。
【0009】
また、本発明の上記撮像機器は、上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にあると判断され、初めての上記第2の信号が出力されてから一定の期間内に該信号出力が無くなり、その後に再度該信号出力が発生した場合には上記露光動作を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、不必要にスペースを採らずに、陸上での撮影(撮像)は勿論、水中の撮影においても水圧の影響を排除して水中におけるレリーズ動作に支障を与えることなく同じレリーズボタンを使用することができるレリーズスイッチを有した撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を搭載した撮像機器であるカメラの外観斜視図である。
【図2】本発明を搭載した撮像機器であるカメラの背面外観図である。
【図3】本発明のカメラの電気的構成の概略を示す電気ブロック図である。
【図4】第1の実施例である本発明を説明するためのフローチャート図である。
【図5】第1の実施例の未合焦時における表示装置に表示される表示画面および第2の実施例の合焦、撮影前における表示装置に表示される表示画面を示す。
【図6】第1の実施例の合焦時における表示装置に表示される表示画面を示す。
【図7】第1の実施例の合焦、撮影前における表示装置に表示される表示画面を示す。
【図8】第2の実施例である本発明を説明するためのフローチャート図である。
【図9】第2の実施例の未合焦時における表示装置に表示される表示画面を示す。
【図10】第2の実施例の合焦時における表示装置に表示される表示画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施例について、図1、図2、図3を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明を搭載した撮像機器(光学機器)であるカメラの外観斜視図で、図2は本発明のカメラの電気的構成の概略を示す電気ブロック図で、図3は第1の実施形態である本発明を説明するためのフローチャート図である。
【0014】
図1に示すカメラ1はその上面に、レリーズ手段の要素を構成するレリーズ釦(レリーズスイッチ釦、変位釦)1aと、カメラ1の電源スイッチとしてのメインスイッチ釦1cとが設けられている。またカメラ前面には被写体を撮影(撮像)するため、被写体光束が入射するための撮影窓1bが設けられている。
【0015】
カメラ1の内部には撮影窓1bを通して進入してきた被写体光束を取り込み撮像素子に被写体像を結像させる撮影光学系が設けられている。また、この撮影光学系には当然に合焦のための合焦光学系を含み、この合焦光学系と伴にカメラ内部の電気回路系を含み公知の合焦手段を構成している。
【0016】
図2はカメラ1の背面を見た図を示す。該背面には液晶表示画面からなる画像表示装置の表示画面1dを有し、撮影された画像若しくは動画像として、撮像素子が撮像している現在の被写体像を表示する。また、カメラ背面の表示画面1dの側方には後述するAF解除スイッチ80aを作用させるためのAF解除スイッチ釦80が配置されている。
【0017】
図3には本発明を達成するためのカメラ1が有する電気的な構成を示すブロック図が示されている。ブロック図は、撮影プログラムと伴に制御手段としてのCPUと周辺装置を内部に含むASIC(特定用途向け集積回路)10と、メインスイッチ20と、合焦手段を構成するフォーカスモータ30aを駆動するためのモータドライバ30と、撮像素子40aからの画像信号を処理する画像処理回路40と、撮影プログラムを記憶した外部メモリ50と、水中検出手段を構成する要素である水圧センサ60と、レリーズ手段の要素を構成し第1の信号を出力する第1のスイッチ70aと、レリーズ手段の要素を構成し第2の信号を出力する第2のスイッチ70bと、AF解除スイッチ釦80が押圧されることによって作用し、信号を出力するAF解除スイッチ80aと、カメラ外部に画像を表示する画像表示装置90aを駆動するための表示処理回路90と、を具備し、それぞれは該ASIC10に電気的に接続されている。
【0018】
メインスイッチ20はASIC10内のCPUを立ち上げるためのスイッチであり、このスイッチがオンされるとCPUはHALTあるいはスリープ状態となっていた状態から立ち上がり(起動)され動作状態に入る。
【0019】
モータドライバ30はフォーカスモータ30aを駆動してカメラの諸機能の一つである合焦を行うための回路である。
【0020】
画像処理回路40は撮像素子40aからの画像信号を処理するための回路である。
【0021】
外部メモリ50はカメラの制御を司るためのプログラムが記憶されていている。
【0022】
水圧センサ60は水圧を検出してカメラ1が水中にあるか無いかを検出するためのセンサである。このセンサは必ずしも圧力検出のセンサである必要はなく、単に水、海水を検出できる手段をもちいてもよい。
【0023】
第1のスイッチはカメラの上記合焦を行うためのスイッチであり、上記レリーズ釦1aがカメラ操作者によって押され変位し、この変位初期段階にてカメラ1に内蔵されたスイッチ部材が第1の力量である一定の押圧力にてオンしてスイッチ開からスイッチ閉を形成する。
【0024】
第2のスイッチはカメラ操作者によって第1のスイッチのオンから引き続き、上記レリーズ(スイッチ)釦1aが押圧され、さらに変位を続けると第1の力量より大きい第2の力量でオンするスイッチである。このスイッチも同様に第2の力量にてスイッチ開からスイッチ閉を形成するスイッチ部材からなる。
【0025】
上記電気ブロック図の構成による電気回路は、図5、図6、図7と伴に、次に説明する図4によるフローチャートにより第1の実施例としてカメラ1の制御を行う。
【0026】
まず、メインスイッチ20がオンされると、外部メモリ50に記憶されているプログラムが開始され、ステップS10に入る。ステップS10ではカメラ1が水中にあるかどうかを判断する。
【0027】
水中のあると判断されると、ステップS10aaに進み、表示処理回路90を介しカメラの背面にある被写体像を表示している画像表示装置90aの表示画面1dには図5に示すように非合焦状態の被写体1gと伴に合焦状態を表示する「未合焦」表示1faaと、合焦枠1e(測距枠、AF枠)と、「レリーズ釦深押し→合焦」という、操作を補助、指示する表示とが重畳して表示され、ステップS11に進む。
【0028】
ステップS10aaのこの表示で、被写体が合焦されているのかどうかを表示し、次に何をすればよいのかが上記表示により撮影操作者にはよく理解できる。すなわちレリーズ釦を深押しすれば合焦動作に入ることができる。ここで「深押し」とは後述する第2のスイッチをオンすることである。
【0029】
ステップS11では深押しされるとオンする第2のスイッチ(2ndレリーズ)が撮影操作者によりオンされたかどうかを判断する。通常、第1のスイッチをオンするための力量は第2のスイッチをオンする力量より非常に軽く、水中における水圧によって勝手にオンしてしまう可能性があるため、本発明では第1のスイッチのオン動作は読み取らずに第2のスイッチの動作だけを検出する。つまり第1のレリーズのオンは無視される。
【0030】
ステップS11で第2のスイッチがオンされていると判断されるとステップS12に進み、カメラ1は不図示の合焦用センサの出力若しくは撮像素子に結像された被写体像のコントラスト評価値と、公知の駆動手段によりモータ30aを駆動する。これにより表示画面1dの合焦枠1eと重畳表示された被写体1gに対し合焦動作(AF)を開始しその動作を完了させる。
【0031】
ステップS11で第2のスイッチがオフのままであると判断されると後述するステップS18に進む。
【0032】
ステップS11からステップS12aに進むと、表示画面1dには図6に示すように合焦状態の被写体1gと伴に合焦状態を表示する「合焦」表示1fbaと、合焦枠1e(測距枠、AF枠)と、「再合焦→レリーズ釦から指を離し、AF解除スイッチを押す。撮影→レリーズ釦から指を離し、深押しする。」という、操作を補助、指示する表示とが画面内に重畳して表示される。
【0033】
後述するように撮影操作者はこの表示を見て、再度、被写体に対し合焦をやり直ししたければ、現状の合焦状態を無視してレリーズ釦から指を離し、AF解除スイッチ釦80(AF解除キー)を押した後に再度、レリーズ釦の深押しをして合焦を行うことができるし、又は、後述するように現状の合焦状態で撮影(露光)を行いたければレリーズ釦から指を離し、再度、深押しして撮影(露光)を行うことができる。
【0034】
次にステップS13に進む。ステップS13では第2のスイッチがオフされたかどうかを判断し、オフされていなければこのステップS13を繰返し、第2のスイッチがオフされるまで待つ。このステップS13の繰返しは撮影操作者がレリーズ釦1aを押圧した状態であるということを意味する。
【0035】
ステップS13で第2のスイッチがオフされたと判断されれば、撮影操作者がレリーズ釦1aから指を離したか、第2の力量より軽い力量でレリーズ釦1aに指をかけている状態であると判断したことになる。
【0036】
そしてステップS13aに進み、表示画面1dには図7に示すように合焦状態の被写体1gと伴に合焦状態を表示する「合焦」表示1fcaと、合焦枠1e(測距枠、AF枠)と、「再合焦→AF解除スイッチを押し、レリーズ釦深押しする。撮影→レリーズ釦深押しする。」という操作を補助、指示する表示とが重畳して表示される。
【0037】
ここからステップS14に進み、ステップS12で行った合焦状態を撮影操作者が保持するかしないかを再度、ステップS14で判断する。すなわち、カメラ1上で、例えば、AF解除操作のためのAF解除スイッチ釦80の操作がなければステップS12で行った合焦結果を保持するとの意図を撮影操作者が持ったとしてステップS15に進む。
【0038】
ステップS14で、AF解除スイッチ釦80の操作があればステップS10aaに戻って続けてステップS12で、前に合焦された状態を無視し再度の合焦を行う。このステップS14からステップS10aa、ステップS12に戻る行程は図7における表示の「再合焦(のためには)→AF解除スイッチを押し、レリーズ釦深押しする。」を実行しようとするものである。
【0039】
ステップS14でAF解除スイッチ釦80が操作されていないと判断されればステップS15に飛ぶ。ステップS15では再度、第2のスイッチがオンされたかどうかを繰返し判断する。すなわち、第2のスイッチがオンされていなければ再度、ステップS14を経て第2のスイッチのオンを待つ。
【0040】
ステップS15で第2のスイッチがオンされればステップS16に進み、シャッタを通過した被写体光束が撮像素子40aの撮像面に結像する。つまり撮影が行われる。すなわちステップS15からステップS16までが「撮影→レリーズ釦深押しする。」を実行しようとするものである。そしてステップS17において画像処理回路40等を介して画像処理の取り込み、記録媒体に書き込み等、その他必要な処理を施し露光後処理を完了させる。その後、ステップS18に進み、メインスイッチ20がオフであるかどうかの検出をする。メインスイッチ20がオフであれば、ASIC10はHALT若しくはスリープ状態となる。
ステップS18でメインスイッチ20がONのままであると判断されればステップS10に戻る。ステップS10で水中にない、すなわち陸上においてカメラが操作されていると判断されればステップS10aに飛び、通常使用されるように、カメラが陸上で普通に動作するように制御される。すなわち、ステップS10aでは第1のレリーズスイッチがオンであるかどうかを検出し、オンされれば、ステップS10bに移り、合焦動作を行い完了させる。
その後、ステップS10cに移り、第2のスイッチがオンしているかどうかを検出し、オン検出がなければ再度、ステップS10aに飛ぶ。ステップS10cで第2のスイッチがオンが検出されればステップS16に飛び露光が開始され以降の処理が上記の通り行われる。またステップS10aにて第1のスイッチがオフのままであれば、ステップS18に飛ぶ。以降は上記の通りである。
【0041】
このように本発明の第1の実施形態に用いられる構成と制御によれば、第1のスイッチである第1のレリーズスイッチ(1stレリーズ)と第2のスイッチである第2のレリーズスイッチ(2ndレリーズ)は陸上において公知、公用の構成で通常の使い方、すなわち,第1のスイッチでは合焦動作を開始し、完了させ、第2のスイッチで撮像素子に記録をしようとする被写体光を露光するという制御が行われる。
【0042】
そして、一旦、カメラが水中で用いられる状態(場合)では、水圧センサがこれを検出して第1のスイッチのオン、オフを無視し、第2のスイッチのオンから検出される信号に基づいて合焦動作を行い完了させ、この第2のスイッチのオンからオフを検出して後、この第2のスイッチのオンを検出して露光を行う。
【0043】
また合焦動作の後、AF解除スイッチを操作すれば任意の被写体を対象に何度でも再度の合焦動作を行える。これによれば従来から弱い力量でオンしてしまう第1レリーズを使用せずとも第2のレリーズのみで従来の第1、第2のレリーズの機能を代替させることができる。また、これに伴い、撮影操作者が次に何を行うべきかを画像表示画面により指示ができ撮影操作者が迷うこと無く撮影に専念できることになる。

また、図5、図9、図10と伴に、上記電気的構成による電気回路は次に説明する図8のフローチャートにより第2の実施例としての以下に説明するカメラ1の制御を行うことができる。尚、カメラ本体は上記第1の実施例と同じ構成を用い説明を行う。よって同じ構成には同じ番号(符号)を付して説明をする。
【0044】
メインスイッチ20がオンされると、外部メモリ50に記憶されているプログラムが開始され、ステップS21に入る。ステップS21ではカメラが水中にあるかどうかを判断する。
【0045】
水中にあると判断されると、ステップS22に進み、カメラ背面にある被写体像を表示している画像表示装置90aの表示画面1dには表示処理回路90を介して図5に示すように非合焦の被写体1gと共に合焦枠1eと、合焦状態を表示する「未合焦」表示1faaと、「レリーズ釦深押し→合焦」という、操作を補助、指示する表示とが重畳して表示される。この表示で、被写体が合焦されているのかどうかを表示し、次に何をすればよいのかが撮影操作者にはよく理解できる。すなわち「レリーズ釦を深押し→合焦」という表示でレリーズ釦を深押しすれば合焦動作に入ることができる。次にステップS23に進む。
【0046】
ステップS23では深押しである第2のスイッチ(2ndレリーズ)が撮影操作者によりオンされたかどうかを判断する。ステップS23で第2のスイッチがオンされていると判断されるとカメラ1はステップS24において不図示の合焦用センサの出力若しくは撮像素子に結像された被写体像のコントラスト評価値と、公知の駆動手段によりモータ30aを駆動し表示画面1dの合焦枠1eと重畳表示された被写体1gに対し合焦動作(AF)を開始しその動作を完了させる。
【0047】
ステップS23で第2のスイッチ(2ndレリーズ)がオフであれば、後述するステップS36に進む。
【0048】
ステップS23からステップS25に進むと、表示画面1dには図9に示すように合焦状態の被写体1gと伴に合焦状態を表示する「合焦」表示1fbaと、合焦枠1e(測距枠、AF枠)と、「一定時間後自動再合焦」、「撮影→レリーズ釦から指を離し、レリーズ釦深押しする。」という、カメラ動作と、操作を補助、指示する表示とが画面内に重畳して表示される。撮影操作者はこの表示を見て、後述するようにレリーズ釦を深押ししたままであると一定時間後に再度、カメラは自動的に合焦動作に入る(後述ステップS26からステップS29、ステップS29a、ステップS29b、ステップS23、ステップS24のループ)ことができる。
【0049】
そして次に説明するように現状の合焦状態で撮影(露光)を行いたければ一旦レリーズ釦から指を離すか若しくは第1の力量まで指の押圧力を落とし、再度、深押しして撮影(露光)を行うことができる。
【0050】
ステップS25の処理が終わればステップS26に進み第1の計時を開始する。この第1の計時は後述する図9の表示における「一定時間後自動再合焦」の「一定時間」を計時するための計時を開始する工程であり、例えば、3秒を計時するものとする。
【0051】
次にステップS27に進み、第2の計時を開始する。この第2の計時は後述する図10の「一定時間後自動再合焦」を行うためのものであり、撮影のためレリーズ釦の深押しが一定時間内にされたかどうかを計時するためのものである。
【0052】
この計時時間内に撮影のための深押しがない場合は再度のカメラの自動合焦動作に入るための計時を開始する工程であり、例えば、第1の計時時間より長い時間である6秒を計時するものとする。
【0053】
次にステップS28に進み第3の計時を開始する。この第3の計時は後述するように図10の「撮影→レリーズ釦深押しする」を実行させるため、合焦を終えた後の一定時間内にこのレリーズ釦の深押しがされたかどうかを検出するためのものである。例えば9秒を計時するものとする。
【0054】
次にステップS29に進み、深押しである第2のスイッチが撮影操作者によりオフされているかどうかを判断する。すなわち操作者の指がレリーズ釦1aから離れているか、離れてはいないが第1のスイッチをオンしているだけの状態であるのかを判断する。
【0055】
第2のスイッチが撮影操作者によりオフされているならば、ステップS30に進み、ASIC10は表示処理回路を介して画像表示装置に図10で示すような表示を行う。すなわちその表示画面1dには被写体1gと、合焦枠1eと、合焦状態を表示する「合焦」表示1fcaと、「一定時間後自動再合焦」、「撮影→レリーズ釦深押しする。」というカメラ動作と、操作を補助、指示する表示とが画面内に重畳して表示される。
【0056】
この「一定時間後自動再合焦」は、ステップS24で行われた合焦動作完了時から一定時間が立つとカメラが自動的に再度の合焦を行うということを操作者に示すものである。また、「撮影→レリーズ釦深押しする。」は、操作者がレリーズ釦を深押しすると撮影動作に入ることを意味する。
【0057】
ステップS29で第2のスイッチがまだ深押しである状態であればステップS29aに飛び、ステップS26の計時開始から第1の計時時間を経過したかを判断する。
【0058】
第1の計時時間が経過していれば図9での表示「一定時間後自動再合焦」を実行するためステップS29bに移り、第1、第2、第3の計時を停止し、これら計時状態をクリア(リセット)する。そしてステップS23、ステップS24に戻り再度の合焦動作を行う。 ステップS29aで、まだ第1の計時時間が経過していなければ再びステップS29に戻る。
【0059】
ステップS30から次にステップS31に進み、2ndレリーズ(レリーズ釦の深押し)の状態を判断し、オフのままであれば第2の計時を行うステップS31aに進み、ステップS27から第2の計時時間が経過したかどうかを判断する。
【0060】
この第2の計時時間が経過していなければステップS31に戻る。この第2の計時時間が経過したとステップS31aで判断されればステップS29bに進み、それ以降は上記の通りである。
【0061】
ステップS31において2ndレリーズ(レリーズ釦の深押し)がオンであると判断されると、ステップS32に移り、第3の計時時間が経過したかを判断する。第3の計時時間が経過したと判断されるとステップS29bに進み、それ以降は上記の通りである。ステップS32でまだ第3の計時時間が経過していなければステップS33で第1、第2、第3の計時を停止し、これら計時状態をクリア(リセット)する。そして次のステップS34で露光を開始する。
【0062】
ステップS34に進み、シャッタを通過した被写体光束が撮像素子40aの撮像面に結像する。つまり撮影が行われる。すなわちステップS31からステップS34までが「撮影→レリーズ釦深押しする。」という表示の意味する「レリーズ釦深押しで撮影を行う」を実行しようとするものである。
【0063】
そしてステップS35において画像処理回路40等を介して画像処理の取り込み、記録媒体に書き込み等、その他必要な処理を施し露光後処理を完了させる。
【0064】
その後、ステップS36に進み、メインスイッチ20がオフであるかどうかの検出をする。メインスイッチ20がオフであれば、ASIC10はHALT若しくはスリープ状態となる。
【0065】
ステップS36でメインスイッチ20がONのままであると判断されればステップS21に戻る。
【0066】
ステップS21でカメラが水中にない、すなわち陸上においてカメラが操作されていると判断されればステップS21aに飛び、通常使用されるように、カメラが陸上で普通に動作するように制御される。すなわち、ステップS21aでは第1のスイッチがオンであるかどうかを検出し、オンされれば、ステップS21bに移り、合焦動作を行い完了させる。
【0067】
その後、ステップS21cに移り、レリーズ釦が深押しされて第2のスイッチがオンしているかどうかを検出し、オン検出がなければ再度、ステップS21aに飛ぶ。ステップS21cで第2のスイッチのオンが検出されればステップS34に飛び、露光が開始され以降の処理が上記の通り行われる。
【0068】
またステップS21aにて第1のスイッチがオフのままであれば、ステップS36に飛ぶ。以降は上記の通りである。
【0069】
上記第1の計時は、第2のレリーズスイッチがオン、すなわちレリーズ釦が深押しされたままであるとカメラは一定の時間毎(例えば上記3秒毎に)に合焦を繰り返す。
【0070】
また、第2の計時時間は、レリーズ釦から操作者の指が離れている、若しくは第1のレリーズスイッチだけがオンされている状態での時間を計時し、この計時により被写体の構図を変更する可能性もあるという判断もあり得るので、このときもカメラが自動で合焦を行う機会を与えることになる。
【0071】
そして第3の計時は、第1の計時時間、第2の計時時間よりも長い時間を計時しているので被写体の移動で被写体に対する焦点合わせがずれている可能性があるのでカメラがまた自動で合焦動作を行う機会を与えることになる。このように第2の実施例では水中においてレリーズ釦以外の釦操作は必要なく、操作性の向上を図ることができる。
【0072】
尚、以上の第1の計時時間t1、第2の計時時間t2、第3の計時時間t3それぞれは適宜設定されればよいし、それぞれが操作者の好みで時間設定できるようになっていても構わない。またt1=t2=t3と設定されてもよい。また、第3の計時を省略しても構わない。
【0073】
そして、第1の計時は、ステップS26と、ステップS29とステップS29aとで形成されるフローチャート中のループとで行われ、第1の計時手段を構成する。
【0074】
また、第2の計時は、ステップS27と、ステップS31とステップS31aとで形成されるフローチャート中のループとで行われ、第2の計時手段を構成する。
【0075】
第3の計時はステップS28からステップS32に至るまでの時間を計時し、第3の計時手段を構成する。
【0076】
尚、第1の実施例、第2の実施例ともに、カメラの制御のためのフローチャートの他の要素であるステップを省略して説明をしたが当然に、本発明における各ステップは実際のフローチャート中に適宜組み込まれることになる。尚、画像表示画面内における上記文字表示は、その代りに画面内の一部分に点灯マークとして表示してもよい。また、文字表示そのものを点滅させてもよい。
【0077】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0078】
1 ・・・カメラ、
1a・・・レリーズ釦、
1b・・・撮影窓、
1c・・・メインスイッチ釦、
1d・・・画像表示画面(表示画面)、
1e・・・AF枠(合焦枠)、
1f・・・操作状態表示(指示表示)、
1g・・・被写体、
10・・・ASIC(特定用途向け集積回路)、
20・・・メインスイッチ、
30・・・モータドライバ、
30a・・・モータ(合焦用モータ、AFモータ)、
40・・・画像処理回路、
40a・・・撮像素子、
50・・・外部メモリ、
60・・・水圧センサ、
70・・・レリーズ手段(レリーズ用2段スイッチ)、
70a・・・第1のレリーズスイッチ
70b・・・第2のレリーズスイッチ
80・・・AF解除スイッチ釦(AF解除手段)、
80a・・・AF解除スイッチ(AF解除手段)、
90・・・画像表示処理回路、
90a・・・画像表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中使用可能な撮像機器において、
合焦手段と、
上記撮像機器が水中にあるかないかを検出する水中検出手段と、
手動押圧操作により押圧方向に変位する変位釦と、
上記変位釦の変位により変位して第1の信号を出力する第1のスイッチと上記変位釦の上記変位よりさらなる変位により変位して第2の信号を出力する第2のスイッチとを有するレリーズ手段と、
上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にないと判断されたときには上記第1の信号により上記合焦手段により自動合焦を行わせ、その後上記第2の信号により露光動作を行わせ、上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にあると判断されたときには上記第2の信号のみを用いて、上記自動合焦を行わせ、その後上記第2の信号が検出されず、再度の上記第2の信号があれば露光動作を行わせる制御手段と、
を具備する水中使用可能な撮像機器。
【請求項2】
上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にあると判断され、初めての上記第2の信号が出力されてから該信号出力が一定の期間維持された場合は再度上記合焦を行うことを特徴としたを上記請求項1記載の撮像機器。
【請求項3】
上記水中検出手段により上記撮像機器が水中にあると判断され、初めての上記第2の信号が出力されてから一定の期間内に該信号出力が無くなり、その後に再度該信号出力が発生した場合には上記露光動作を行うことを特徴としたを上記請求項1、2記載の撮像機器。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−37325(P2013−37325A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175746(P2011−175746)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】