説明

水供給式家電装置、例えば食器洗浄機または洗浄機

本発明は、水供給式家電装置、例えば食器洗浄機または洗浄機に関するものであり、この装置は少なくとも1つの洗浄プログラム(I,II,III)、殊に低温度プログラムを実行するように構成されている。本発明では、スタート信号(SV)が発せられると、例えば洗浄液を供給することによって洗浄容器(1)をクリーニングするための特別クリーニングプログラム(S)が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載された水供給式家電装置、例えば食器洗浄機または洗浄機に関する。
【0002】
水供給式家電装置においてエネルギ消費を低減することは重要である。このようなエネルギ低減は、例えば処理温度を低下させることによって実現することが可能である。
【0003】
例えば、冒頭に述べた形式の食器洗浄機は、制御装置を有しており、この制御装置には少なくとも1つの洗浄プログラム、例えば、低い処理温度、例えば50℃以下で動作する低温度プログラムが記憶されている。この低温度プログラムは、ユーザ側で選択エレメントを手動で操作することによって開始される。この低温度プログラムにより、上記の制御装置は、洗浄物をクリーニングするための洗浄工程ないしは洗浄サイクルを実行する。
【0004】
例えば、最大温度が約50℃に達するいわゆるソフトウォッシュまたはガラスプログラムなどの低温度プログラムを持続的に使用することにより、洗浄容器の内部空間に脂肪を含有する汚れ被膜が固着する。このような脂肪を含有する汚れ皮膜を除去するためには、ユーザは専用の機械洗浄剤を使用しなければならない。この際には食器を入れることなく少なくとも65℃で食器洗浄機を作動させる。択一的にはユーザは時々自分で例えば65℃プログラムまたは強力な70℃プログラムを使用することができる。
【0005】
したがっていずれの場合も装置クリーニングはユーザの判断によっているのである。頻繁に装置クリーニングを行うとエネルギ消費が増大する。これに対して装置クリーニングがまれにしか行わない場合、洗浄物におけるクリーニング結果が損なわれてしまう。
【0006】
本発明の課題は、水供給式家電装置、殊に食器洗浄機または洗浄機を提供して、できる限り少ないエネルギコストで長期間にわたり、問題のないクリーニング結果が得られるようにすることである。
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部分に記載した特徴的構成によって解決される。本発明の有利な発展形態は従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明が出発点とするのは、水供給式家電装置、例えば食器洗浄機または洗浄機であり、ここでこれは少なくとも1つの洗浄プログラム、殊に低温度プログラムを実行するように構成されている。ここでこの少なくとも1つの洗浄プログラムは、例えば、前洗浄、クリーニング、中間洗浄、すすぎ洗浄および乾燥などの多数のプログラムステップを有しており、これらのプログラムステップは順次に実行されて洗浄物がクリーニングされて乾燥される。これらのプログラムステップを実行するため、個々の洗浄プログラムが記憶されている制御部を設けることができる。
【0009】
本発明では、スタート信号が発せられている場合、洗浄容器をクリーニングするための特殊クリーニングプログラムが実行され、ここでこれは例えば洗浄液を供給することによって行われる。したがって上記のスタート信号により、装置内部で上記の特別クリーニングプログラムが開始される。この際にユーザの決定は不要である。したがって上記の特別クリーニングプログラムは、上記の水供給式家電装置のハイドロリック循環路に汚れの堆積が実際にあるかないしは予測される場合につねに実行することができるのである。上記の洗浄容器をクリーニングするため、この洗浄容器の内側には加熱しかつ循環ポンプによって循環される洗浄液が供給される。この洗浄容器には、循環された洗浄液をクリーニングするためのふるいコンポーネントを有しかつ食器洗浄機の洗浄容器の底部領域に配置されたポンプポットも属している。上記の加熱された洗浄溶液は、上記のふるいコンポーネントを通って流れた後、ポンプポットに集められる。
【0010】
上記のスタート信号を形成するため、水供給式家電装置の制御装置に信号形成装置が割り当てられており、この信号形成装置によってさまざまな仕方でスタート信号を生成することができる。
【0011】
殊に簡単な実施形態では、上記の信号形成装置は、カウンタユニットを有することができる。このカウンタユニットは、例えば、関連する所定の結果になった場合に少なくとも1つの数値だけカウントアップし、境界カウント状態に達した場合にはスタート信号を形成する。有効な信号生成を行うことができるのは、上記のカウンタユニットが、実行した洗浄工程の数に、および/または過去に行われた洗浄工程の温度プロフィールに、および/または洗浄物の汚染度に依存してカウントアップする場合である。ここでは一般的に上記の水供給式家電装置のハイドロック循環路の汚染に影響を与えるすべての影響量を考慮することができる。択一的には上記の水供給式家電装置に流入する水量を検出することにより、上記の選択されるプログラムを決定し、ひいては温度プロフィールを決定することもできる。
【0012】
上記の家電装置のハイドロリック循環路における汚染度を精確に判定するため、有利には上記の影響量のうちの複数の影響量を検出することが可能である。さらに、検出したこれらの影響量にはそれぞれ異なる数値を対応付けることができる。これによって装置の汚染に対するその意味にしたがって上記の影響量を互いに重み付けすることができる。例えば、高温度プログラムによって実行される洗浄工程には1の数値を対応付けることができる。これに対して低温度プログラムによって実行される洗浄工程には2の数値を対応付けることができる。それは、処理温度が低くなったことにより、家電装置の汚染が促進されるからである。
【0013】
上記のカウンタユニットにより、そのカウント状態が、実行された洗浄工程毎に数字1だけ増大し、また境界カウント状態が1から5の範囲、殊に3である場合に本発明は技術的に殊に簡単に実現可能である。この場合には、例えば洗浄プログラム−温度プロフィールまたは洗浄物−汚染度などの別の影響量を考慮することなく、実行した洗浄工程の数だけを検出する。例えば、通常の洗浄工程をすでに3回実行した後、上記の制御装置により、特別クリーニングプログラムに基づいて特別クリーニング洗浄工程を実行することができる。
【0014】
上記のカウンタユニットとは択一的にまたはこのカウンタユニットに加えて上記の信号形成装置は、汚染センサ、例えば薄層センサを有することができる。ここでこの薄層センサは、水供給式家電装置の汚れ易い領域において、脂肪を含有する汚れ被膜を検出することができる。このような汚れ易い領域は、食器洗浄機の場合には洗浄容器の底部領域ないしはポンプポット領域であり、例えばここに上記の汚染センサを配置することができる。境界汚染度を上回った場合には、汚染センサによってスタート信号を形成することができる。択一的にはふるいがどの程度覆われているかを検出することによって薄層形成を行うことができる。このためには循環ポンプを駆動する電動モータの負荷が検出されて評価される。
【0015】
上述したカウンタユニットとは異なり、ここでは上記の汚染センサおよび制御装置によって閉制御ループが設けられる。
【0016】
ふつう上記の水供給式家電装置は、ユーザ側で選択可能な異なる洗浄プログラムを有している。食器洗浄機の場合、これらの洗浄プログラムは、例えば、約50℃の範囲にまで洗浄液を加熱することのできる低温度プログラムと、洗浄液温度が65℃のオーダになる通常プログラムと、洗浄液温度が約70℃まで上昇し得る高温度プログラムとである。有利には上記の特別クリーニングプログラムと、ユーザ側で選択可能な高温度プログラムとを同じものとすることが可能である。これによって上記の制御装置におけるデータないしは記憶コストを全体として低減することができる。
【0017】
本発明では上記の制御装置により、特別クリーニングプログラムを自動で、すなわちユーザの手助けなしに開始することができる。つまり上記の制御装置により、ユーザ側で選択した洗浄プログラムとは無関係に間近に迫っている洗浄工程を特別クリーニングプログラムによって実行できるのである。したがって前記のスタート信号が発生している場合には上記の特別クリーニングプログラムは、ユーザによって選択された洗浄プログラムの上位に位置し、バックグランドで自動的に動作するのである。
【0018】
上ですでに述べたように上記の特別クリーニング洗浄工程では、水供給式家電装置の少なくとも汚れ易い領域に洗浄液が供給され、その温度は脂肪堆積物ないしは汚れ被膜を溶かすのに十分に高い温度である。上記の洗浄液温度は有利には、脂肪分解を可能にするオーダ、すなわち約65〜70℃の範囲である。
【0019】
したがって上記の特別クリーニングプログラムは、少なくとも1つまたは複数の部分プログラム部分において処理温度が格段に高いことによって通常の洗浄プログラムと区別できるのである。
【0020】
しかしながらハイドロリック循環路における洗浄液の流れ供給の点で上記の特別クリーニングプログラムと、通常の洗浄プログラムとを別することも可能である。食器洗浄機の場合には公知のようにクリーニングプログラムステップ開始時に洗浄液にクリーニング剤が添加され、また洗浄液は高いクリーニング温度にまで加熱される。ここでこのクリーニング温度は、通常時には洗浄容器の洗浄スペースにおいて50℃のオーダで混合物温度が得られるように選択される。この混合物温度は、洗浄物の温度と、洗浄液の温度と、洗浄容器の温度とによって得られる。
【0021】
これに対して特別クリーニングプログラムでは、有利な処理実行においては、例えばクリーニング温度までの加熱フェーズ中、上側の噴霧レベルは作動停止状態にされる。したがって上記のハイドロリックサイクル全体は、洗浄容器の底部に近い下側の噴霧レベルだけを介して行われるのである。したがって上側の噴霧レベルにある洗浄物は、上記の加熱フェーズ中にハイドロリック循環路には組み込まれないのである。これに相応して上記の上側の洗浄物は、洗浄液の温度低減に寄与することがなくなり、これによって洗浄容器の底部近くで生じる混合物温度が上昇する。しかも通常の洗浄プログラムにおいて得られる混合物温度よりも温度が高くなるのである。
【0022】
択一的および/または付加的には1つまたは複数の噴霧レベルにおいて循環ポンプ−回転数を増大させることによって一層大きなハイドロリックないしは機械的な削り取り出力を得ることもできる。循環ポンプ−回転数を増大させる際には洗浄液量を相応に適合させる。
【0023】
上で述べた低温度プログラムとは、一方では例えばいわゆるソフトウォッシュまたはグラスプログラムのことであり、これは低減された処理温度で動作する。その一方で本発明において低温度プログラムとは付加的には、食器洗浄機の場合に外部の乾燥システムと共に使用可能な洗浄プログラムのことでもあると解することができる。
【0024】
このような食器洗浄機では、乾燥ステップ中に水分を伴った空気が、洗浄スペースから例えばゼオライト剤を有する外部のソープション列に導かれ、ここで空気から水分が除去される。つぎにこのようにして乾燥させた空気は、再び上記の洗浄スペースに戻される。
【0025】
このような外部の乾燥過程において、加熱された洗浄液は、前に行われるすすぎ洗浄ステップにおいて約60〜70℃に低下にする。すすぎ洗浄ステップにおけるこのような洗浄液の加熱により、公知のように凝縮原理にしたがって洗浄物の乾燥がサポートされる。これに対し、外部の乾燥システムを有する食器洗浄機の場合、すすぎステップ中の洗浄液は加熱されず、洗浄物それ自体の温度によって約30℃のオーダの混合物温度が設定される。
【0026】
以下では本発明の2つの実施例を添付の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の洗浄方法を実行する食器洗浄機を示す概略ブロック回路図である。
【図2】上記の第1実施例による食器洗浄機の制御装置の詳細図である。
【図3】第2実施例による制御装置を示す図2に相応する図である。
【図4】通常の洗浄プログラムならびに特別洗浄プログラムを示す温度−時間線図である。
【0028】
図1には水供給式家電装置の実施例として、食器洗浄機が概略的に示されており、この食器洗浄機は、洗浄スペースを区切る洗浄容器1を有する。この洗浄容器1の洗浄スペースでは、洗浄しようとする図示しない洗浄物を食器バスケット3,5に配置することができる。図示した洗浄容器1には、例えば、異なる2つの噴霧レベルに設けられた噴霧アーム7,8が配置されており、これらの噴霧アームを介して洗浄物に洗浄液が供給される。洗浄容器底部には、大まかにしか示していないふるい装置10を有するポンプポット11が設けられている。ポンプポット11から、循環ポンプ13を有する循環管路9が延びている。
【0029】
この循環管路9は、管路14,15を介して噴霧アーム7,8に流体力学的に接続されている。循環ポンプ13には、温水器と称される加熱エレメント12、例えば通過型ヒータが後置接続されている。
【0030】
さらにポンプポット11にはフレッシュウォータ管路16と、排出管路17が接続されており、ここには洗浄容器1から洗浄液を汲み上げて排出する吐出しポンプ18が配置されている。
【0031】
加熱エレメント12の下流では循環管路9に分岐個所21が設けられており、ここで2つの管路14,15が分岐する。分岐個所21には、流路3方切替弁25として構成された水路切替器が設けられている。水路切替器25により、図1に示したその切替位置において循環管路9と管路14とが接続される。水路切替器25の図示しない第2の切替位置において、循環管路9と管路15とが接続され、また管路14はハイドロリック循環路から断絶される。したがって洗浄工程中の相応の切替操作により、交互動作が行われ、ここでは洗浄液が、上側の噴霧アーム7および下側の噴霧アーム8を介して洗浄物ないしは洗浄容器−側壁に供給される。
【0032】
上記の温度−時間線図に示したプログラムの流れは、洗浄工程の個々の部分プログラムステップ、すなわち前洗浄V,クリーニングR,中間洗浄Z,すすぎ洗浄Kならび乾燥Tを有する。これらの部分プログラムステップは、制御装置27によって実行され、この制御装置は、破線で示した信号線路26を介して各装置コンポーネントに接続されている。
【0033】
また制御装置27には3つの操作エレメント28,29,30が割り当てられている。これらの操作エレメント28,29,20によってユーザ側で選択できるのは、制御装置27により、洗浄工程ないしは洗浄サイクルを低温度プログラムI,通常プログラムIIまたは高温度プログラムIIIによって実行すべきであるかである。
【0034】
図2には第1実施例による制御装置27がブロック回路図で示されている。制御装置27は入力ユニット31を有しており、この入力ユニットは、洗浄プログラムを選択するため、操作エレメント28,29,30に接続されて信号をやりとりする。入力ユニット31の他には記憶ユニット33が設けられており、この記憶ユニットには、低温度プログラムI,通常プログラムIIおよび高温度プログラムIIIが記憶されている。さらに記憶ユニット33には特別洗浄プログラムSが記憶されている。記憶ユニット33は、制御装置35と接続されて信号をやりとりし、この制御装置は、食器洗浄機をスタートさせた後、洗浄プログラムI,II,IIIまたはSを用いて洗浄工程を実行する。
【0035】
図2によれば、制御装置27は付加的に信号形成装置37を有しており、食器洗浄機のハイドロリック循環路が汚れている場合、スタート信号SVを形成してこれを記憶ユニット33に供給する。この実施例では信号形成装置37は、カウンタユニット39と、これに後置接続された比較ユニット41とを有する。カウンタユニット39のカウント状態nが、あらかじめ定めた境界カウント状態nGに達すると、比較ユニット41により、スタート信号SVが記憶ユニット33に送信される。
【0036】
技術的に殊に簡単に実現可能な実施形態では、カウンタユニット39は、入力ユニット31だけに接続されて信号をやりとりする。実行した洗浄工程毎にカウンタユニット39は、そのカウント状態nを数字「1」だけ増大させる。上記の境界カウント状態nGは、例えば3とすることが可能である。すなわち、3番目の洗浄工程毎に比較ユニット41はスタート信号SVを形成するのである。
【0037】
スタート信号SVが発生している場合、ユーザ側で選択した洗浄プログラムI,IIまたはIIIとは無関係に制御ユニット35に特別クリーニングプログラムSが格納される。したがってユーザによる特別な選択なしに、特別クリーニング洗浄工程がスタートされる。ここでこの工程は、ユーザ側で選択可能な洗浄プログラムとは、処理温度および/または洗浄液の流れの供給ないしは流れの量が異なり得る。
【0038】
汚れ被膜の発生は、実行した洗浄工程の数の他に別のファクタに依存し、例えば、洗浄工程にそれぞれ使用した洗浄プログラムI,II,IIIの温度プロフィールに、または洗浄物の汚染度に依存する。
【0039】
第1実施例の1変化形態によれば、上記のカウンタユニット39におけるカウント状態nをすでに実行した洗浄工程の数に依存させて増大させるだけでなく、上記の付加的な影響量に依存して増大させることもできる。このため、図2によれば、例えばクリーニングすべき洗浄物の汚染度を検出する汚染センサ43を設けることができる。検出した汚染度が境界値を上回った場合、カウンタユニット39のカウント状態nを第1数値だけ増大させることができる。また同様に洗浄工程を実行した後、カウンタユニット39のカウント状態nを第2数値だけ増大させることができる。
【0040】
上で説明した変形実施形態ではカウンタユニットのカウント状態nを増大させる場合に影響量「洗浄工程の数」も、影響量「洗浄物の汚染度」も共に考慮する。ここで上記の第1数値および第2数値の大きさは異なっていてもよく、これによって2つの影響量の重み付けが行われる。
【0041】
以下では例示的に境界カウント状態nGが3である場合に装置クリーニング法を説明する。ここではカウンタユニット39により、すでに行った洗浄工程の数だけを検出し、その際、さらに使用する洗浄プログラムの種類、すなわち低温度プログラムI,通常プログラムIIまたは高温度プログラムもまたは別の影響量を検出することもない。
【0042】
第1洗浄工程に対してユーザにより、操作エレメント28が用いられて低温度プログラムIが選択されてこれが制御ユニット35に格納される。この制御ユニットより、洗浄工程が低温度プログラムIによって実行される。同時にカウンタユニット39ではカウント状態nが0から1にセットされる。これに続く洗浄工程では、ユーザは、例えば操作エレメント29を用いて通常プログラムIIを選択することができる。したがってカウンタユニット39は、そのカウント状態nを1から2に増大する。同時に記憶ユニット33により、通常プログラムIIが制御ユニット35の制御ユニットIIに格納されるため、洗浄工程は、ユーザによって選択された通常プログラムIIによって行われる。
【0043】
これに続く第3の洗浄工程に対し、ユーザは高温度プログラムIIIを選択することができる。したがってカウンタユニット39は、そのカウント状態nを2から3に増大させ、これによって比較ユニット41はスタート信号SVを生成して記憶ユニット33に供給する。この場合、記憶ユニット33には、ユーザによって選択された高温度プログラムIIIが制御ユニット35に格納されるのではなく、これに代わって特別クリーニングプログラムSが格納される。したがってここでは第3洗浄工程(ユーザによる特別な選択なしに)が特別クリーニングプログラムSによって行われる。
【0044】
図3には図2とは択一的に第2実施例による制御装置27が示されている。図3の制御装置27の構造および機能の仕方は、第1実施例の制御装置27に相応する。ここまでの点については第1実施例の説明を参照されたい。
【0045】
しかしながら第2実施例の制御装置27は、実現の仕方の異なる信号形成装置37を有する。これにはカウンタユニットが設けられているのではなく、汚染センサ43だけを有する。この汚染センサは、例えば洗浄容器の汚れ易い底部領域において、脂肪を含有する汚れ被膜を検出するための薄層センサとして設けられている。薄層センサ43は、制御ユニット35と共に閉制御ループに組み込まれており、ここでは薄層センサ43により、実際スタート信号が検出されて比較ユニット41に供給される。比較ユニット41では上記の検出した実際スタート信号と境界値とが比較され、この境界値を上回った場合にスタート信号SVが形成されてこれが記憶ユニット33に送信される。
【0046】
この制御ループにより、食器洗浄機のハイドロリック循環路における実際の汚染度が検出される。
【0047】
図4の温度−時間−線図では低温度プログラムIおよび特別クリーニングプログラムSのプログラムフローが示されている。低温度プログラムIは、従来の食器洗浄機プログラムに相応し、ここでは、前洗浄を実行した後、クリーニングステップRの開始時に洗浄液温度を温水ヒータ12によってクリーニング温度TRまで加熱する。クリーニング温度TRは50℃の領域にある。後続の後洗浄工程において洗浄液温度は再び冷却する。すすぎ洗浄ステップK中、洗浄液温度はもう一度温水ヒータ12によってすすぎ洗浄温度TKまで上げられる。このすすぎ洗浄温度は65℃の領域にありまたこの温度によって後続の乾燥処理Tがサポートされる。この乾燥処理は、(実線で示したように)公知の凝縮原理によって行われ、ここで湿り気を含んだ空気が洗浄容器の側壁において凝縮される。択一的には(破線で示したように)外部の乾燥システム、例えばソープション列が設けられており、ここでは乾燥すべき空気は、洗浄容器1から外部のソープション列に供給され、そこで除湿が行われる。これによってすすぎ洗浄ステップK中の洗浄液の加熱を省略することができる。
【0048】
特別クリーニングプログラムSを実行する際には、上で示した低温度プログラムIとは異なり、65〜75℃の範囲にあるクリーニング温度TRSまで洗浄液温度を上げることができる。これによって循環サイクル中に上記の増大させたクリーニング温度TRSによって固着した汚れ被膜を分解することができ、食器洗浄機のハイドロリック循環路の汚れ易い領域から取り除くことができる。上記の特別クリーニングプログラムSにおける加熱フェーズΔtH中、上記のクリーニング温度TRSを増大させるのとは択一的および/または付加的に上側の噴霧アーム7を作動停止状態にする。
【0049】
このために図1の水路切替路25を図示しない第2の切替位置に移動させ、この切替位置において上側の噴霧アーム7への流れの接続が断絶される。これによってハイドロリックサイクル全体が下側の噴霧アーム8だけを介して行われ、この噴霧アームにより、底部領域および下側の食器バスケット5に配置された洗浄物だけに洗浄液が供給される。この特別な洗浄液供給により、洗浄容器底部の近くに発生する混合物温度が、通常洗浄プログラムに比べて上昇する。
【符号の説明】
【0050】
1 洗浄容器、 3 食器バスケット、 5 食器バスケット、 7 噴霧アーム、 8 噴霧アーム、 9 循環管路、 10 ふるい装置、 11 ポンプポット、 12 加熱エレメント、 13 循環ポンプ、 14 管路、 15 管路、 16 フレッシュウォータ管路、 17 排出管路、 18 吐き出しポンプ、 21 分岐個所、 25 流路3方切替弁、 26 信号線路、 27 制御装置、 28 操作エレメント、 29 操作エレメント、 30 操作エレメント、 31 入力ユニット、 33 記憶ユニット、 35 制御ユニット、 37 信号形成装置、 39 カウンタユニット、 41 比較ユニット、 43 汚染センサ、 I 低温度プログラム、 II 通常プログラム、 III 高温度プログラム、 n カウント状態、 nG 境界カウント状態、 V 前洗浄、 R クリーニング、 T 乾燥、 Z 中間洗浄、 K すすぎ洗浄、 ΔtH 加熱フェーズ、 TK すすぎ洗浄温度、 TR クリーニング温度、 TRS クリーニング温度、 SV スタート信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの洗浄プログラム(I,II,III)、例えば低温度プログラムを実行するように構成されている水供給式家電装置、例えば食器洗浄機また洗浄機において、
スタート信号(SV)が発せられている場合に例えば洗浄液を供給することによって洗浄容器(1)をクリーニングするための特別クリーニングプログラム(S)が実行されることを特徴とする
水供給式家電装置。
【請求項2】
制御装置(27)に信号形成装置(37)が割り当てられており、
該信号形成装置によって前記のスタート信号(SV)が形成可能である、
請求項1に記載の水供給式家電装置。
【請求項3】
前記の信号形成装置(37)はカウンタユニット(39)を有しており、
該カウンタユニットにより、境界カウント状態(nG)に達した場合に前記のスタート信号(SV)が形成される、
請求項2に記載の水供給式家電装置。
【請求項4】
前記のカウンタユニット(39)は、前記の家電装置の汚染度に影響する少なくとも1つの影響量に依存してカウントアップする、
請求項3に記載の水供給式家電装置。
【請求項5】
前記の影響量として、実行した洗浄工程の数および/または過去に行った洗浄工程にて使用した洗浄プログラム(I,II,III)の温度プロフィールおよび/または洗浄物の汚染度が前記の制御装置(27)によって検出可能である、
請求項4に記載の水供給式家電装置。
【請求項6】
前記の信号形成装置(37)は、汚染センサ(43)、例えば薄層センサを有しており、
該センサにより、境界汚染度を上回った際に前記のスタート信号(SV)が形成される、
請求項2から5までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項7】
前記の薄層センサは、水供給式家電装置のハイドロリック循環路に配置されている、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項8】
前記の制御装置(27)に低温度プログラム(I)、通常プログラム(II)および/または高温度プログラム(III)が記憶されており、
当該のプログラムは、ユーザ側で選択可能である、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項9】
前記の特別洗浄プログラム(S)は、前記の高温度プログラム(III)と同じである、
請求項7または8に記載の水供給式家電装置。
【請求項10】
前記のカウンタユニット(39)は、実行した洗浄工程毎にカウント状態(n)を数値「1」だけカウントアップし、および/または
前記の境界カウント状態(nG)は、1から5までの範囲、殊に3である、
請求項3から9までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項11】
前記の検出した影響量を重み付けするため、前記の制御装置(27)により、大きさの異なる数値が当該の影響量に割り当てられている、
請求項5から10までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項12】
前記の制御装置(27)は自動でおよび/またはユーザ側で選択した洗浄プログラム(I,II,III)に依存せずに前記の特別洗浄プログラム(S)を実行する、
請求項1から11までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項13】
前記の特別洗浄プログラム(S)では、前記の水供給式家電装置の少なくとも汚れ易い領域に洗浄液を供給することができ、
当該の洗浄液の温度は、有利には脂肪堆積物を溶解するのに十分に高く、殊に65ないし75℃の範囲である、
請求項1から12までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項14】
食器洗浄機の場合に前記の洗浄液は、部分プログラムステップ(R)にて加熱フェーズ(Δt)中に洗浄温度(TR)まで加熱可能であり、
前記の特別洗浄プログラム(S)を実行するため、例えば前記の加熱フェーズ(ΔtH)に上側の噴霧レベル(7)は作動停止状態にされ、全体ハイドロリックサイクルが下側の噴霧レベル(8)を介して行われる、
請求項1から13までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項15】
前記の特別洗浄プログラム(S)にて、前記のハイドロリック循環路に接続される循環ポンプ(13)が一層高い回転数で作動可能である、
請求項1から14までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の水供給式家電装置、例えば食器洗浄機または洗浄機に対する洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528596(P2011−528596A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519123(P2011−519123)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059028
【国際公開番号】WO2010/010015
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(390040578)ベーエスハー ボッシュ ウント ジーメンス ハウスゲレーテ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (71)
【氏名又は名称原語表記】BSH Bosch und Siemens Hausgeraete GmbH
【住所又は居所原語表記】Carl−Wery−Strasse 34, D−81739 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】