説明

水性ポリマー分散液の製造方法

【課題】本発明は、良好な防錆能を有する防食用のポリマー分散液の製造方法に関する。
【解決手段】このポリマー分散液は、ホスフェートおよび/またはホスホネート基を有する乳化剤を含有し、安定化剤として添加された(カルボン)酸基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびアンモニアから選択される1種以上の塩基の添加により、重合前に(部分的に)中和される。これにより、DIN50017の凝縮水試験のように改善された防錆性能および工業的規模で製造した場合の低凝集物濃度を有するポリマー分散液が得られる。このポリマー分散液は、さらに、それを用いて製造された防食プライマーの改善された安定性をもたらす。ポリマー分散液を使用することで、高光沢コーティング剤を調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な水性共重合体分散液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防食コーティング剤に使用する水性ポリマー分散液は、錆形成に対して充分な保護作用を保証するために監視すべき多数の境界条件下に置かれている。たとえば、水が腐食過程に決定的な成分であるので、基板とコーティング剤との間で水の境界面への拡散を防止するために、コーティング剤には充分な疎水性をもたせなければならない。さらに、水の防錆保護層への浸透により引き起こされる基板/コーティング剤の境界面での気泡(blisters)の形成を極小化するために、基板とコーティング剤との間での効果的な接着性が保証されるべきである。最終的に、防食層は二酸化炭素に対して良好な拡散遮断効果を有するべきである。文献に記載されている接着性を向上させるコモノマーとしては、不飽和β−ケトエステル化合物(たとえば、アリルアセトアセテートおよびアセトアセトキシエチルメタクリレートなど)があげられる。
【0003】
基板とコーティング剤との間の良好な接着性を保証する課題は、国際公開第99/14278号パンフレット(特許文献1)においてポリマー中のアセトアセトキシ基によって解決されている。ポリマー分散液にポリ(アルキレンイミン)が添加され、そしてフィルム形成過程で、エナミンを形成しながらアセトアセトキシ基と架橋する。アニオン性乳化剤の連続的な添加によって、ポリマー分散液中の未熟な架橋反応を抑制することができた。同様の方法で、ノニオン性乳化剤での架橋剤系の安定化が開示されている(たとえば、国際公開第99/14275号パンフレット(特許文献2)および同第99/14279号パンフレット(特許文献3))。国際公開第99/14279号パンフレット(特許文献3)においては、ノニオン性乳化剤が安定化剤として連続的に添加される。ホスフェート乳化剤が重合のために使用される。得られる分散液が発泡する傾向が少なくなる。
【0004】
これらのコーティング剤の欠点は、乳化剤の添加による、得られる分散液の連続的な安定化が必要なことである。この開示例によれば、要求される貯蔵安定性を達成するために、多量の乳化剤を添加する必要がある。したがって、ポリ(アルキレンイミン)乳化剤の連続的な添加は一方で高価であり、他方で、コーティング剤中の乳化剤含有量の増加により吸水が増し、これが防食作用を不利にする。さらに、乳化剤が基板/コーティング剤の境界面に移動し、基板の接着性を低下させる危険性がある。これは、増大した吸水と関連して、コーティング剤中に気泡形成を生じる。
【0005】
最後に、水溶液中のアミンは茶褐色の分解生成物を形成する傾向がある。この分解生成物は、それ自体望ましいものではなく、明らかにコーティング剤の変色をまた引き起こし得る。記載された連続的な添加による分散液の調製と、緩衝液系による最終pHの低下の必要性が、さらに生成物の製造に要する費用を増大させる。
【0006】
水性ポリマー分散液にもとづく、アセトアセトキシ基とポリアミンの架橋機構は、とくに国際公開第98/54256号パンフレット(特許文献4)に記載されている。
【0007】
米国特許第5,122,566号明細書(特許文献5)には、水性エマルジョン重合によってホスフェート乳化剤の存在下で、かつpH<3.5で実施されるラティス(lattices)の製造方法が開示されている。この文献に記載されている分散液は、さらに少なくとも1種の水不溶性のノニオン性界面活性剤を含有し、重合後にpH7〜10.5の範囲に調整される。接着性を向上させる(メタ)アクリル酸のアセトアセトキシ誘導体の使用は開示されていない。
【0008】
欧州特許公開第0476528号明細書(特許文献6)には、ラティスの(工業的)製造方法が開示されており、この方法においては、pH<3.5でシードポリマーの存在下、ならびにホスフェート乳化剤および水不溶性のノニオン性界面活性剤の存在下で、水性エマルジョン重合によってビニル芳香族化合物とアクリレートの共重合体が製造される。この方法は、少なくとも1種のシードポリマーの存在を除いて、米国第5,122,566号明細書(特許文献5)に開示された方法と同一である。欧州特許公開第0476528号明細書(特許文献6)によれば、工業的生産規模で、少なくとも1種のシードポリマーの非存在下、すなわち、米国特許第5,122,566号明細書(特許文献5)に記載の方法で得られるポリマーは非常に高い凝固物含量を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第99/14278号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/14275号パンフレット
【特許文献3】国際公開第99/14279号パンフレット
【特許文献4】国際公開第98/54256号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,122,566号明細書
【特許文献6】欧州特許公開第0476528号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、防食コーティング剤中でDIN50017に準ずる凝縮水試験において腐食に高い耐性を示し、工業的に得ることができ、かつ先行技術に記載された高コストで不便な合成方法なしに製造され得る水性ポリマー分散液を提供することを目的としている。
【0011】
さらに、重合体のフィルムは、前記フィルムを透明コーティング材料にも使用できるように、高い透明性、すなわち重合中の凝縮物形成による妨害的な散乱中心の非存在により特徴づけられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、本発明にしたがい
a)フリーラジカルエマルジョン重合によって重合され得る1種以上のモノまたはオリゴエチレン性不飽和モノマーを、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、40〜99.95重量%、好ましくは60〜90重量%、
b)1種以上のエチレン性不飽和モノ−および/もしくはオリゴカルボン酸ならびに/またはこれらの塩を、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0.05〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、および
c)リン酸、ホスホン酸、硫酸および/もしくはスルホン酸ならびに/またはこれらの塩から誘導される、1種以上のその他のエチレン性不飽和モノおよび/またはオリゴ酸を、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%、
を共重合した形態で含む1種以上の共重合体Aを含有する固形分を20〜74重量%、好ましくは40〜70重量%含む水性ポリマー分散液であって、
該分散液が、ホスフェートおよび/またはホスホネート基を有する乳化剤を、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0.3重量%以上、好ましくは0.3〜5重量%含有し、かつ1種以上のモノマーb)および存在する場合は1種以上のモノマーc)を含有する少なくとも1つの開始モノマーエマルジョン充填物がpH≧4.7を有する水性ポリマー分散液によって達成される。
【0013】
本発明に使用される共重合体A)は、通常、−35〜80℃の範囲のガラス転移温度Tg、好ましくは0〜40℃の範囲のTg、または−30〜+20℃の範囲(第1Tg)および+40〜+80℃(第2Tg)の範囲のTgを有する。
【0014】
本発明に使用される共重合体A)のガラス転移温度は、コモノマーの性質と量の選択によって調整される。
【0015】
モノマーa)〜c)の重量割合は、好ましくは、前記モノマーのみから構成される共重合体が−35〜80℃の範囲のガラス転移温度Tgを有するように選択される。
【0016】
驚くべきことに、DIN50017に準ずる凝縮水試験により、本発明の水性分散液は、得られる防食コーティング剤において顕著に改善された耐性を有することが見出された。さらに、本発明の水性分散液は、重合中の凝固物形成が低減される。得られる分散液は、工業的規模で確実に製造することができ、そして前記分散液を用いて調製される防食プライマーコーティング剤は、(保存)安定性が増大する。最後に、本発明の分散液により高い光沢を有するコーティング剤を製造することができる。
【0017】
1種以上の共重合体の構成成分a)として、α,βエチレン性不飽和カルボン酸と1〜18の炭素原子を含有するアルカノールのエステル、好ましくはアクリル酸およびメタクリル酸とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、2−エチルヘキサノール、イソ−オクタノール、n−デカノールおよびn−ドデカノールとのエステルがあげられる。さらに好ましいモノマーとしては、ビニル芳香族モノマー(たとえば、スチレンおよびそのアルキル誘導体(たとえば、メチルスチレン、エチルスチレンおよびオリゴ(アルキル)スチレン))があげられる。同様に、アルケン類(たとえば、エテン、プロペン、イソブテンおよびこれらの化合物の誘導体(たとえば、塩化ビニル、ビニルエーテル))、ならびに(脂肪族)カルボン酸とアルケン、好ましくはビニルアセテートのエステル、あるいはバーサチック酸のエチレン性不飽和エステルがまた構成成分a)として使用され得る。
【0018】
使用される構成成分b)としては、モノまたはオリゴエチレン性不飽和モノまたはオリゴカルボン酸ならびにこれらの無水物および/またはこれらの塩があげられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸および/またはフマル酸ならびにこれらの塩が使用される。構成成分b)およびc)を含有する水性開始モノマーエマルジョン充填物のpH値が<4.7である場合、pH値が少なくともpH≧4.7にされるべきである。これは、水性開始モノマーエマルジョン充填物中に、水中の構成成分b)および(使用される場合)c)、好ましくは構成成分d)、ならびに乳化剤および任意に開始剤と一緒に導入され、そして開始モノマーエマルジョン充填物を、塩基を用いるpH調整により、pH≧4.7に中和し、その後、残りのモノマーを添加することによってなされる。水溶性の構成成分d)(たとえば、AAEMAなど)の一部は、あらかじめ水性開始モノマーエマルジョン充填物中に導入され得る。
【0019】
本明細書において開始モノマーエマルジョン充填物とは、モノマーエマルジョンを製造するための供給容器内の以下の物質の混合物をいう:水、構成成分b)、構成成分c)(存在する場合)、乳化剤ならびに任意に構成成分d)および好ましくは開始剤。
【0020】
開始モノマーエマルジョン充填物のpH上昇のために、好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが使用される。とくに好ましくは、塩基がポリマーのフィルム形成後に揮発し、これがポリマーの吸水性を減少させるので、開始モノマーエマルジョン充填物の中和にはアンモニアが使用される。
【0021】
好ましい構成成分c)としては、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩の形態の、硫酸、スルホン酸、リン酸および/またはホスホン酸のエチレン性不飽和誘導体があげられる。とくに好ましくは、ナトリウムエテンスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸((登録商標)AMPS)塩ならびにカリウムスルホプロピルメタクリレートがあげられる。とくに好ましくは、フィルム形成後のポリマーが遊離酸を含むので、アンモニウム塩が使用される。遊離酸は、対応する塩の場合に比べてポリマー部分の吸水性を低下させる。
【0022】
少なくとも1種の共重合体中の比率としての、個々の(コモノマー)構成成分の開始時の重量割合は、使用されるコモノマーのすべてが共重合体に100%組み込まれると仮定される。
【0023】
本発明の水性ポリマー分散液は、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、さらにホスフェートおよび/またはホスホネート基を有する乳化剤を少なくとも0.3重量%、好ましくは0.3〜5重量%を含有する。乳化剤は、好ましくは、リン酸エステルおよび/またはホスホン酸エステルのアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩の形態で使用される。しかし、これらの化合物と別の塩基の塩を使用することもできる。遊離リン酸エステルおよび/またはホスホン酸エステルが原料として使用される場合、前記エステルは、インサイチュで、塩基、好ましくはアンモニアと乳化剤の水溶液の反応によってpH≧7に(部分的に)中和され得る。
【0024】
好ましくは、ホスフェート基を有する乳化剤、とくにリン酸とアルコールおよびフェノールのエステル(リン酸のモノエステル、ジエステルおよびトリエステルの混合物の形態でも)、リン酸と、アルコールおよび/または(アルキル)フェノールとエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドとの付加物のエステル、ならびにこれらの化合物のナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩が使用される。この化合物は、たとえば商品名(登録商標)Berol 522(アルキルリン酸カリウム塩)、(登録商標)Hostaphat 1306(アルキルオリゴエトキシレートリン酸エステル)および(登録商標)Berol 733(アルキルフェノールオリゴエトキシレートホスフェートカリウム塩)で市販されている。ホスフェート基を有する乳化剤としては、リン酸と炭化水素のエチレン性不飽和エステルおよびそれから誘導される塩基での中和生成物を使用することもできる。
【0025】
1つの好ましい実施態様において、水性分散液の少なくとも1種の共重合体は、付加的に、共重合した形態で、少なくとも1種のアセトアセトキシ基を含むフリーラジカル重合性モノマーd)を、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0.05〜10重量%、より好ましくは0.5〜3重量%含有する。
【0026】
好ましいモノマーd)としては、好ましくはアセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEMA)およびアセトアセトキシエチルアクリレート(AAEA)が使用される。アセト酢酸ビニルエーテルもまた使用され得る。本発明においては、モノマーd)が、たとえば、AAEMAのように部分的に水溶性である場合、開始モノマーエマルジョン充填物中にモノマーb)およびc)とともに含まれ得る。
【0027】
水性分散液の少なくとも1種の共重合体は、さらに、それぞれ、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、1種以上の(モノ)または(オリゴ)エチレン性不飽和反応性架橋モノマーe)を、共重合した形態で10重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは0.05〜1重量%、および、その他の共重合性(モノ)または(オリゴ)エチレン性不飽和モノマーf)を、共重合した形態で0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、ならびに重合類似反応(polymer-analogous reactions)によってポリマーと反応する分子g)を0〜5重量%、好ましくは0〜2重量%、より好ましくは0〜0.5重量%含み得る。
【0028】
反応性架橋モノマーe)、すなわちフィルム形成の過程において架橋するモノマーとしては、好ましくは、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス−(2−メトキシエトキシ)シランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリス−(2−メトキシエトキシ)シランなどのシランのエチレン性不飽和誘導体が使用される。
【0029】
さらに適切なモノマーe)としては、グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはその他のグリシドールのエチレン性不飽和誘導体(たとえば、グリシジルビニルエーテルなど)があげられる。
【0030】
同様に、モノマーe)として、ジアセトンアクリルアミドを使用してもよい。しかしながら、この場合は、共架橋剤としてジヒドラジドを添加しれなければならない。また、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−メチロールアクリルアミドのマスキング誘導体が架橋して使用され得る。
【0031】
その他のモノマーf)としては、たとえばメタクリルアミドおよびジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和チッ素含有モノマー、β−ウレイドエチルアクリレート、β−ウレイドビニルエーテルなどの尿素誘導体、およびφ−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを使用することができ、メタクリルアミドが好ましい。
【0032】
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの二官能性(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンおよびブタジエンなどの二官能性エチレン誘導体、ならびにトリメチロールプロパントリメタクリレートなどの三官能性(メタ)アクリレートは、コーティング剤の弾性を向上させるために、その他の不飽和モノマーf)として使用され得る。
【0033】
構成成分g)として、一般的に重合類似反応によりポリマーの官能基と反応する物質を使用することができる。好ましくはエポキシシラン、より好ましくはグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、およびオリゴ官能性シラン(たとえば、1−(トリエトキシシリル)−2−(ジエトキシメチルシリル)エタンまたはトリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート)が使用される。
【0034】
別の実施態様において、本発明の水性ポリマー分散液は、エチレン性不飽和でないUV架橋物質を、共重合体の調製に使用するモノマーの重合を基準にして、0〜5重量%、好ましくは0〜0.5重量%およびより好ましくは0〜0.3重量%含む。好ましいUV架橋剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノンならびにエチレン性不飽和重合性基を有さないアセトフェノン誘導体もしくはベンゾフェノン誘導体である。とくに好ましくは、室温で、好ましくは、適切な補助物質を添加して液体混合物の形態で存在するベンゾフェノン誘導体が好ましい。ベンゾフェノン誘導体は有利な性質を有する。酸化ホスフィン誘導体もまた使用され得る。
【0035】
さらに、本発明の水性ポリマー分散液は、ホスフェートおよび/またはホスホネート基を有する乳化剤のほかに別の乳化剤を含有してもよい。乳化剤の全量は、共重合体のモノマーの全量を基準にして、好ましくは0.3〜10重量%、より好ましくは0.3〜3.5重量%の範囲である。好ましい別の乳化剤は、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基を有する乳化剤である。炭化水素ラジカル基と極性頭基との間のスペーサとして、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(プロピレンオキサイド)またはポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)からなり得る。ホスフェートおよび/またはホスホネート乳化剤と並行して、サルフェート、スルホネートおよび/またはカルボキシレートベースのさらなるイオン性乳化剤を使用することはあまり好ましくない。同様に、ホスフェートおよび/またはホスホネート乳化剤に加え、ノニオン性共乳化剤も使用され得る。乳化剤は、好ましくは、重合前および/または重合中に添加される。しかし、これらの安定性を高めるために、イオン性およびノニオン性の乳化剤を最終分散液に添加することもできる。使用する乳化剤の量は、コーティング剤の吸水率を最小にするため、できる限り少なくされるべきである。
【0036】
別の実施態様において、本発明の水性ポリマー分散液は、保護コロイドを、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0〜5重量%、好ましくは0〜1重量%含む。使用され得る保護コロイドは、当業者に公知および本発明の目的に適切なすべての保護コロイドである。しかし、水不溶性カルボキシメチルセルロース、より好ましくはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩の形態を使用することが好ましい。市販の製品の例としては、(登録商標)Blanose7M、(登録商標)Blanose7UL、(登録商標)Blanose7ELおよび(登録商標)Ambergum3021(アクアロン)があげられる。カルボキシメチルセルロースは、好ましくは、たとえば、アルキルラジカルまたはヒドロキシアルキルラジカル、アルキルオキシラジカルなどのさらなる置換基およびジアルキルアミノ基を付加的に有し得る。その例としては、メチルカルボキシメチルセルロース、エチルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、メトキシエチルカルボキシメチルセルロースおよびエトキシエチルカルボキシメチルセルロースがあげられる。
【0037】
保護コロイドとしては、さらに、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドまたはポリカルボン酸などの高分子化合物ならびにこれらのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩を使用することもできる。
【0038】
別の好ましい実施態様において、本発明の水性ポリマー分散液は、分散剤、好ましくはポリマー分散剤を、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0〜10重量%、好ましくは0.05〜3重量%含む。分散剤としては、当業者に公知および本発明の目的に適切であれば、いかなる分散剤でも使用することができる。分散剤の例としては、水溶性のポリ(メタ)アクリル酸および/またはそれらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩があげられる。しかし、好ましくは、疎水性成分(たとえば、ビニル芳香族の水溶性共重合体、とくにスチレンとエチレン性不飽和カルボン酸および/またはその無水物、とくに無水マレイン酸)を有する分散剤が使用される。とくに好ましくは、これらの共重合体は、対応するアンモニウム塩およびアルカリ金属塩の形態で使用される。これらは、全部または一部が重合中または重合前に添加され得る。とくに、たとえば、Cray Valleyの(登録商標)SMA3000HNaなどの(登録商標)SMA樹脂が使用され得る。
【0039】
さらに、本発明の水性ポリマー分散液は、所望の場合、フィルム形成助剤(たとえば、ブチルジグリコールおよび揮発油(white spirit))、可塑剤(たとえば、ジメチルフタレートおよびジブチルフタレート)および/またはその他の補助物質(たとえば、腐食抑制剤、ポリウレタン増粘剤、ポリアクリレート増粘剤、防食剤、消泡剤(たとえば、ミネラルオイル消泡剤またはシリコーンオイル消泡剤)、湿潤剤、および、たとえば、通常コーティング材料の処方に使用されるその他の添加剤)を含み得る。
【0040】
本発明は、水性ポリマー分散液だけでなく、それらの製造方法および使用、とくに防錆コーティング剤における使用を提供する。
【0041】
共重合体は、当業者に公知の、ラジカル懸濁重合、ミニエマルジョン重合、マイクロエマルジョン重合およびエマルジョン重合の方法によって製造可能である。しかし、好ましい製造方法は水中エマルジョン重合である。そこから製造される水性ポリマー分散液は、本発明の共重合体の好ましい供給形態である。
【0042】
したがって、少なくとも1種の共重合体は、好ましくは、当業者に公知のエマルジョン重合条件下で、ラジカル形成開始剤および乳化剤、好ましくは、保護コロイド、調節剤およびさらなる補助物質の存在下で、水性溶媒中でのフリーラジカルエマルジョン重合によって製造される。
【0043】
エマルジョン重合の結果、モノマーは、乳化剤、開始剤および好ましくは保護コロイドの存在下で水相において乳化される。そして、このエマルジョンは、好ましくは25〜95℃の範囲の温度で重合される。このエマルジョン重合は、当業者に公知の方法(たとえば、バッチまたはエマルジョン供給方法)、好ましくは、モノマーエマルジョンの一部が開始充填物として含まれ、そして重合を終えた後に、残存する水性モノマーエマルジョン形態のモノマーが計量されるエマルジョン供給方法によって行われ得る。好ましくは、異なる組成の2以上のモノマー(エマルジョン)供給物が連続計量される。これにより多段ポリマーが生成され、それから得られるポリマーフィルムは異種形態(heterogeneous morphology)を有する。このような多段ポリマーの製造は、たとえば、欧州特許公開第0795568号明細書に記載されている。適切な多段ポリマーは、同一のモノマー組成の均一(homogeneous)ポリマーよりも低い最低フィルム形成温度(MFFT)を有し、そのために好ましい。この低いMFFTによって、環境に有害な揮発性のフィルム形成助剤の消費量を大幅に低減することができる。さらに、多段ポリマーはとくにブロッキング形態で製造され得る。あるいは、モノマーはまた、一定または急変化で、公知の自動送り(power-feed)技術によってモノマー組成物において計量され得る。乳化剤だけではなく、好ましくは、使用される保護コロイドが(一部)反応器への初期充填物に含まれ、そして/またはモノマーエマルジョンと共に(一部)計量され得る。
【0044】
本発明の方法において、1種以上の開始モノマーエマルジョン充填物を使用することができる。本発明によれば、1種以上のモノマーb)および、好ましくは1種以上のモノマーc)を含有する開始モノマーエマルジョン充填物のpH値は≧4.7、好ましくは4.7〜11、より好ましくは4.7〜8、および非常に好ましくは5〜7である。
【0045】
乳化剤は、通常、開始モノマーエマルジョン充填物と共に添加され、種々の開始モノマーエマルジョン充填物には種々の乳化剤を含有してよい。
【0046】
好ましくは、1種以上のモノマーb)を含有する開始モノマー充填物は、ホスフェート基を有する乳化剤を含有する。
【0047】
とくに好ましくは、モノマーa)、b)および使用する場合はc)ならびにホスフェート基を有する乳化剤を含有する開始モノマー充填物が使用される。
【0048】
2種以上の開始モノマーエマルジョン充填物の場合は、好ましくは全てがpH値≧4.7、好ましくは4.7〜11、およびより好ましくは5〜7を有する。
【0049】
重合は、通常、pH値≧4.7、好ましくは4.7〜11、およびより好ましくは5〜7で行われる。
【0050】
重合は、油溶性および/もしくは水溶性のフリーラジカル開始剤またはレドックス開始剤系を用いて開始および実施される。好ましくは、たとえば、カリウム、ナトリウムまたはアンモニウムペルオキシドサルフェート、過酸化水素、ジベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、tert−ブチルハイドロペルオキシド、アゾイソブチロニトリルおよびその他のアゾ開始剤が、好ましくは、還元試薬(たとえば、二硫酸ナトリウム、(登録商標)Rongalit、グルコース、アスコルビン酸または酒石酸)と一緒に用いられる。重合開始剤は、一般的に、共重合体の調製に使用するモノマーの全重量を基準にして、それぞれ0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%の範囲の量で使用される。
【0051】
さらに、たとえばチオールなどの調節剤を使用することができ、好ましくは、n−ドデシルメルカプタン、チオフェノールならびに2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノールが用いられる。調節剤は、一般的に共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0〜1重量%の量で使用される。
【0052】
水性分散液の最終pH値は、一般的にアンモニア水溶液または水酸化アルカリ金属溶液でpH6〜10に調整される。
【0053】
本発明の水性分散液は、通常の添加剤、顔料、可塑剤ならびに好ましくはさらなる添加剤(たとえば、充填剤、分散剤、増粘剤、防食顔料、腐食抑制剤、湿潤剤、UV阻害剤、UV開始剤および/またはさらなるポリマー性結合剤)を添加することによって、コーティング組成物に調製され得る。本発明の水性分散液は、とくに、上昇した基板接着が要求される非顔料または顔料コーティング剤(たとえば防錆コーティング剤、透明塗料材料、光沢ワニス(gloss varnishes)および装飾(decorative)コーティング剤など)を製造するため、および使用するために適している。向上された基板接着は、リン酸基の存在、好ましくは、合成樹脂調製において存在し得るウェット接着プロモーター(たとえば、アセトキシ基)によって確実なものとされる。とくに好ましくは、少なくとも1種の共重合体の官能性モノマーとして、AAEMAおよび/またはAAEAが使用される。適切な基板としては、好ましくは金属、より好ましくは鋼があげられるが、無機ケイ素表面および木材もまた好ましい。さらに、任意のアセトアセトキシ基の存在によって、本発明のコーティング剤が低いブロッキング傾向を有する、すなわち、コーティング剤により処理された2つの乾燥表面が互いに圧着される場合にブロッキングすることが少ないことが確実にされる。効果的な基板接着はまた、モノマーd)の代わりに反応性架橋モノマーe)が使用される場合にも達成される。ポリマーの最小フィルム形成温度(MFFT)は、DIN−ISO2115にしたがって測定された。ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定された。加熱および冷却速度は、それぞれ20℃/分であり、そして温度範囲は−60〜+130℃であった。ポリマーについてのガラス転移温度は、第2加熱サイクル(2nd heating cycle)で測定された(中点評価)。Fox式の使用により、ポリマーのガラス転移温度を良好な近似で評価することができる(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II),1,123[1956]参照)。モノマーa)、b)およびc)から構成されるホモポリマーのガラス転移温度は大部分が公知であり、そして、たとえば、J.Brandrup,E.H.Immergut,PolymerHandbook,第2版.,J.Wiley,New York,1975に列挙されている。
【0054】
本発明は、以下、実施例により詳しく説明するが、これによって何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0055】
実施例1〜10:
水性共重合体分散液の製造:
a)開始剤溶液の製造:
カリウムペルサルフェート3.75gを脱イオン化水(DI水)96.25gに溶解する。
b)重合
モノマーエマルジョンの製造
モノマーエマルジョン液(開始モノマーエマルジョン充填物):491.2gのDI水、記載量のモノマーエマルジョン用乳化剤(表1参照)、19.2gのメタクリル酸および好ましくは28.8gのAAEMAを、順次、プロペラ式撹拌器を装備した撹拌装置を用いて1000rpmで完全に混合する。その後、必要な場合、記載量(表1)の12.5%濃度のNH4OHを用いてpHを5に調整する。
【0056】
最終モノマーエマルジョン:その後、480gのメチルメタクリレートおよび480gのn−ブチルアクリレートの混合物を加え、そして得られた混合物を、1000rpmで10分間乳化する。
【0057】
アンカー撹拌器を備えた3リットルガラス反応器において、526.4gのDI水および記載量の開始充填物用の乳化剤(表1参照)を、120rpmで撹拌しながら80℃に加熱し、次いで、15.1gの開始剤溶液および37gのモノマーエマルジョン37gを加え、その混合物を15分間撹拌する。ここで、重合の徴候は発熱により明らかである。反応器の内部温度は、外部水槽によって常に80〜82℃に維持される。その後、残存モノマーエマルジョンを180分以内に、残存開始剤溶液を195分以内に、連続的に別個の滴下漏斗を通して計量する。計量供給の終了後、さらに1時間80℃で加熱し、その後、エマルジョンを室温まで冷却する。30℃で、そのエマルジョンを12.5%濃度アンモニア水を用いてpH7〜8に調整する。
【0058】
【表1】

【0059】
モノマーエマルジョン液のpHを5への上昇、および共重合によるポリマーへのAAEMAの組み込みによって、180μmふるいでのろ過によって除去されるべき凝集各分(撹拌器に付着した凝集物を含む)を顕著に減少する。このことは、実施例1と2および1と6の比較によって示される。
【0060】
実施例11
実施例1〜10の共重合体分散液による防錆プライマー調製物の調製
【0061】
【表2】

【0062】
Borchigel L75の5%濃度水溶液4.4gを、8gの水に撹拌しながら入れる。ついで、そこに、AMP90、スルフィノールSE−F、アディトールVXW4973、SerAd FA 179を入れる。ついで、Heucophos ZP10、マイクロタルク
AT エキストラ、Bayferrox 130 Mおよびミリカーブを、表2の記載量で順次入れ、この混合物を、5000rpmで20分間溶媒中で剪断する。
【0063】
室温で1日保存後、記載量の実施例1〜10の分散液(固形分約47%)、水およびテキサノールをペーストに加え、そして、最終コーティング剤を、500rpmで10分間撹拌する。実施例11kおよび11l(表3参照)においては、総ポリマー分散液量を基準にして、1.44重量%のSMA(登録商標)3000HNa溶液(Cray Valley、供給形態 約25%固形分)を、それぞれの分散液に加えて、塗料を調製した。
【0064】
【表3】

【0065】
実施例12
防錆コーティング剤のDIN50017による凝縮水定常気候試験およびプライマー調製物の保存安定性の試験
実施例11のプライマーを、100μm巻き線型ドクターブレード(湿フィルム厚、約100μm、乾燥フィルム厚、約50μm)を用いて、鋼板にめっきを施し、次いで、23℃および相対湿度50%で14日間乾燥させた。次いで、乾燥フィルム厚を測定し、その板を、引っかき針を用いて、板の角から30mmの間隔が残るように、その試験片の全長にわたって縦軸に平行に、そして中心に基板まで傷を付ける。この試験を、Weissの気候変動試験装置において、40℃で相対湿度100%で864時間の暴露時間で実施する。本明細書中で示される腐食指数(CCI)は以下のとおり算出される:
CCI=(4×気泡量+1×気泡の大きさ+1×錆率)/6
ここで、個別評価を、それぞれ0(非常に良好)〜5(非常に粗悪)のスケールで行う。したがって、最良のCCIは0であり、最悪は5.0である。気泡量、気泡の大きさおよび錆率を、DIN53209およびDIN53210に準じて測定した。
【0066】
保存安定性を、密閉したPE容器中に室温で3ヵ月間のプライマーの貯蔵によって測定する。この判定は1〜5のスケールで行い、1は充填剤および顔料のいかなる沈殿も生じない極めて優れた保存安定性を示し、5は乳清の凝縮水形成を生じ、著しい沈殿を意味する。
【0067】
【表4】

【0068】
pH5のモノマーエマルジョン液と共に(部分)中和したカルボン酸モノマー基で製造する本発明の分散液の使用は、防錆プライマーの安定性を増大させる。プライマー11iはプライマー調製中に添加される結合剤で直ちに凝集するが、本発明の調製物11jは安定である。
【0069】
結果が示すように(表4参照)、コーティング剤の保存安定性は、重合体中のAAEMAの存在によってさらに増し、そして、分散液へのスチレン−無水マレイン酸共重合体の添加により、結合剤含有防錆プライマーの保存安定性がさらに改善される。この後添加によって、防錆プライマーの安定性が著しく増大する。
【0070】
防錆プライマーにおいて、本発明の分散液は、驚くべきことに、カルボン酸基b)を含む開始モノマーエマルジョン充填物が最小pH≧4.7に調整されなかったポリマーと比較して、凝縮水定常気候試験における防錆効果の著しい増大をもたらす。
ホスフェート乳化剤の存在の特徴と、構成成分b)を含み、かつpH≧4.7を有する開始モノマーエマルジョン充填物の使用の組み合わせを介してのみ、本発明の分散液が得られる。本発明の分散液は凝縮物含量が低く、かつプライマーにおいて、良好で充分な保存安定性および凝縮水定常気候試験において非常に良好な防錆効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)フリーラジカルエマルジョン重合によって重合され得る1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、40〜99.95重量%、
b)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸および/またはフマル酸ならびにこれらの塩から選択される1種以上を、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0.05〜10重量%、および
c)ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩の形態の、硫酸、スルホン酸、リン酸および/またはホスホン酸のエチレン性不飽和誘導体を、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、0〜5重量%、
を、遊離ラジカル懸濁重合、ミニエマルジョン重合、マイクロエマルジョン重合またはエマルジョン重合により、共重合した形態で含む1種以上の共重合体Aを含有する水性ポリマー分散液の製造方法であって、
i)モノマーa)と、1種以上の上記モノマーb)および、存在する場合は、1種以上の上記モノマーc)を含む1種以上の開始モノマーエマルジョン充填物とを重合反応器内に充填する工程、
ii)共重合体Aを構成するコモノマーをさらに含有する1種以上の開始モノマーエマルジョン充填物を任意に添加する工程、および
iii)慣用的な方法で重合する工程からなり、
iv)重合が、共重合体の調製に使用するモノマーの重量を基準にして、少なくとも0.3重量%のホスフェートおよび/またはホスホネート基を有する乳化剤の存在下で実施され、そして
v)1種以上のモノマーb)および、存在する場合は、1種以上のモノマーc)を含む1種以上の開始モノマーエマルジョン充填物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびアンモニアから選択される1種以上でpH値≧4.7に調整される水性ポリマー分散液の製造方法。
【請求項2】
1種以上の開始モノマーエマルジョン充填物のpH値が5.0〜7.0の範囲の値に調整される請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
共重合体A)が、ラジカル形成開始剤および乳化剤の存在下で、水性溶媒中の遊離ラジカルエマルジョン重合によって製造される請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
モノマーが、乳化剤、開始剤の存在下で、水相中で乳化され、25〜95℃の温度範囲で重合される請求項1記載の製造方法であって、該エマルジョン重合が、バッチ方法で行われる請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
異なる組成の2種以上のモノマー(エマルジョン)供給物が連続計量される請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
重合開始剤が、共重合体A)の調製に使用するモノマーの全重量を基準にして、それぞれ0.1〜10重量%の量で使用される請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
エマルジョン重合が、さらに調節剤を用いて実施される請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
水性分散液の最終pH値が、アンモニア水溶液またはアルカリ金属ヒドロキシド溶液で、pH値6〜10の範囲に調整される請求項1記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−225893(P2011−225893A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172235(P2011−172235)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2004−531809(P2004−531809)の分割
【原出願日】平成15年7月21日(2003.7.21)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】