説明

水生生物の飼育装置および飼育容器

【課題】飼育容器の固定作業の簡素化を図り、飼育容器の固定手段の部品点数を削減するとともに、固定の確実性を向上して飼育容器の波による動揺防止を図る水生生物の飼育装置を提供する。
【解決手段】飼育装置1の浮体構造物2には、飼育容器5が上方から嵌合される係止受部43が設けられ、飼育容器5には、下方に向けて幅狭となるテーパ形状の係止部52が設けられるとともに、浮体構造物2の係止受部43には、係止部52が密着するテーパ面が形成され、飼育容器5は、係止部52が係止受部53に密着することで固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水生生物の飼育装置および飼育容器に係り、特に、カキ類、アサリ、ハマグリ、アカガイ、ミルクイ、トリガイ、ウチムラサキ、ホンビノス、エゾイシカゲガイ等(以下、アサリ等という。)や、ナマコ等の水生生物の飼育装置および飼育容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、二枚貝の中間育成方法として、海外では海面の天然餌料を効率よく飼育容器に供給することができるアップウェリング法が実用化されている。底面に網を張った飼育容器と排水路を連結して海面に筏で固定し、排水路に設けたポンプ等で排水路の水を排出することで排水路に連結した飼育容器を通じて水が流入する(例えば、特許文献1参照)。そのため、飼育容器は排水路にしっかり密着していなければならない。
【0003】
飼育容器底面に張った網が目詰まりし、生残率の低下や低成長を招くのを防ぐために、飼育容器の網は出来る限り洗浄することが必要であり、飼育容器と排水路との密着性を維持させながら脱着自在に取り付けられることが望ましい。
【0004】
しかし、海外でアップウェリング法が普及している海域は静穏域であるため飼育容器と排水路の固定方法はラフであり、例えば日本のように波のある海域で使用するためには飼育容器を排水路にボルトにより強固に締結固定することも考えられる。
【0005】
また、水生生物を飼育する装置としては、水上に浮かべた浮体構造物を備え、浮体構造物の内部には、上面及び下面に開口した籠収容部が形成され、貝が収容される網籠(飼育容器)が籠収容部内に着脱自在に取り付けられることで、網籠が浸水状態となるように構成されているものがある。網籠を籠収容部に取り付ける構造は、網籠の上部にフックを設け、このフックを籠収容部の設けられた支持部材に、自重により引っ掛けることにより、網籠を籠収容部に取り付けていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平2-24499
【特許文献2】特開2010−022231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献2に記載のように、網籠の上部に設けられたフックを、籠収容部の設けられた支持部材に自重により引っ掛ける場合には、網籠を固定することが困難となるために、網籠が波により動揺するおそれがある。このように網籠の波による動揺で養殖生物にストレスを与える問題があった。
【0008】
また、飼育容器を排水路にボルトにより固定する場合、ボルトによる固定作業は、海水に手を浸けて行わなければならない場合があるが、かかる場合、作業者にとって辛い作業である。また、ボルトによる固定部が海中に存在すると、かかる固定部(ネジ部)に付着生物が不用意に付着する。二枚貝の飼育期間等が経過すると、飼育容器を回収する必要があるが、ネジ部に付着生物が付着していると、ボルトを操作してスムーズに回動させるのが困難となる問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、飼育容器の固定作業の簡素化を図り、しかも、飼育容器の固定手段の部品点数を削減するとともに、固定の確実性を向上して飼育容器の波による動揺防止を図る水生生物の飼育装置及び飼育容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、水生生物の飼育装置としての特徴は、海面に浮かべられ且つ水路を備える浮体構造物に、水生生物が収容された飼育容器が着脱自在に取り付けられ、前記水路と前記飼育容器とが、連通路で連通されるとともに、前記海水に浸水された飼育容器の底から飼育容器内に海水が流入し、前記水路内の海水をポンプで排水することにより、前記飼育容器内の海水が、前記連通路および前記水路を通じて排水される水生生物の飼育装置において、前記浮体構造物には、前記飼育容器が上方から嵌合される係止受部が設けられ、前記飼育容器には、下方に向けて幅狭となるテーパ形状の係止部が設けられるとともに、前記浮体構造物の係止受部には、前記係止部が密着するテーパ面が形成され、前記飼育容器は、係止部が係止受部に密着することで固定されることにある。
【0011】
かかる飼育装置は、前記浮体構造物の係止受部に、前記飼育容器の係止部を上方から嵌合させるという簡単な手段により、係止受部と係止部とがテーパ嵌合するため、前記浮体構造物の係止受部に前記飼育容器を横にずれたりしてガタ付くことなく、確実に固定できる。このため、前記飼育容器の波による動揺を防止できる。
【0012】
前記飼育装置において、前記飼育容器の係止部には、飼育容器内外に連通する開口が設けられるとともに、前記係止受部には、前記水路に導通する開口が設けられ、前記飼育容器が浮体構造物に固定された際に、前記開口同士が合致することにより、前記連通路を形成する構成であるのが好ましい。
【0013】
かかる場合には、前記飼育容器と浮体構造物間の水シール性が向上するとともに、簡単な構成により、前記水路と前記飼育容器とを連通させることが可能となる。
【0014】
前記飼育装置において、前記浮体構造物には、容器蓋が開閉自在に設けられ、前記容器蓋には、容器蓋を閉塞することにより、飼育容器を前記浮体構造物に固定させる押付部が設けられたことにある。かかる場合には、容器蓋が飼育容器の固定手段の機能を有しているため、専用の固定手段が不要となり、部品点数を減少することができる。
【0015】
前記水生生物の飼育装置に使用可能な飼育容器であって、容器本体の底部には、網取付部が、前記容器本体より径外方向に設けられ、前記容器本体の外側には、容器本体を引き上げる際に、前記網取り付け部が浮体構造物に引っ掛かるのを防止する防止ガイドが設けられ、容器本体の設置時に、網を前記網取付部に固定する底網固定具が直接荷重を受けないように、網取付部から脚部が下方に設けられたことにある。
【0016】
前記飼育容器であって、前記容器本体の周壁を外側に向け膨らみを持たせるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、浮体構造物の係止受部に、飼育容器の係止部を上方から嵌合させるという簡単な手段により、係止受部と係止部とがテーパ嵌合するため、飼育容器の固定作業の簡素化を図り、しかも、飼育容器の固定手段の部品点数を削減するとともに、固定の確実性を向上して飼育容器の波による動揺防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る水生生物の飼育装置を示した図5のA−A線断面図である。
【図2】同飼育装置を示した図5のB−B線断面図である。
【図3】同飼育装置の全体斜視図である。
【図4】同飼育装置の一部断面を含む正面図である。
【図5】同飼育装置の平面図である。
【図6】同飼育装置の一部断面を含む側面図である。
【図7】同飼育装置における飼育容器を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図8】同飼育装置における飼育容器を示す斜視図である。
【図9】同飼育装置における飼育容器を示し、(a)は飼育容器を取り付けた状態の一部断面を含む正面図、(b)は飼育容器を取り出す状態の一部断面を含む正面図である。
【図10】同飼育装置における飼育容器の要部を示す断面図である。
【図11】(a)はダミー容器を示す斜視図、(b)はダミー容器の使用状態を示す一部断面を含む正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1〜図11は、本発明の一実施形態を示す。
【0020】
先ず、水生生物としての二枚貝に使用される二枚貝の飼育装置1について説明する。本飼育装置1は、図1〜図6に示すように、海水に浮かべられる浮体構造物としての筏2と、この筏2に着脱自在に取り付けられる飼育容器5と、飼育容器5内に海水を流通させるための駆動装置としてのポンプ6とから主構成された海面筏式飼育装置である。
【0021】
筏2は、平面視矩形状の枠板からなる上部材としてのデッキ部材20と、下部材30とから構成されている。なお、デッキ部材20および下部材30は、それぞれFRPの型成形で形成されている。
【0022】
下部材30は、下部材30の略周囲に設けられたフロート部31と、下部材30の中央に設けられた排水路(水路)32とを備えている。すなわち、水路32は下部材30の長手方向に沿って両端まで設けられている。そして、デッキ部材20と下部材30とを一体的に接着することにより、フロート部31の上面に形成された開口は、デッキ部材20で閉塞されている。また、水路32両端には、水路32内の海水を排出するポンプ6が設けられている。
【0023】
水路32は、一対の縦壁32a、32bと、縦壁32a、32bの下端間を連結する底壁32cとから、断面略U字状に形成されている。両方の縦壁32a、32bの上部で且つ内側面には、載置部33が設けられており、この載置部33には、水路用蓋25が着脱自在に載置され、この水路用蓋25により、水路32の上面開口が閉塞されている。
【0024】
両方のフロート部31と水路32との間には、板状の飼育容器取付部材40が設けられている。すなわち、飼育容器取付部材40は、フロート部31の内側壁31aと水路32の外側の縦壁32a、32bとの間に、断面L字状の連結部材34を介して水平に固定されている。また、飼育容器取付部材40は、フロート部31および水路32のそれぞれの上面よりも下方に設けられており、フロート部31、水路32および飼育容器取付部材40により、飼育容器収納部が形成されている。
【0025】
飼育容器取付部材40には、複数個の取付開口部41が飼育容器取付部材40を上下に貫通するように形成されている。
【0026】
それぞれの取付開口部41は、略矩形状に形成されており、飼育容器取付部材40の開口周縁から下方に向けて小径(小幅)となる筒状の係止受部43が突設されている。かかる係止受部43の内面43aは、テーパ状に形成されている。また、係止受部43の内面43aは、平面視において所定の曲率半径を有する凹面となっている。また、係止受部43と水路32との間には、係止受部43内と水路32内を連通する連通路45が形成されている。すなわち、連通路45は、縦壁32a、32b内面と、係止受部43の内面43aとに開口されている。
【0027】
なお、本実施形態では、飼育容器取付部材40を下部材30とは別部材から構成したが、飼育容器取付部材40を下部材30と一体的に型成形することも可能である。
【0028】
飼育容器5は、図7、図8および図10に示すように、デッキ部材20の係止受部43に着脱自在に取り付けられる容器本体50と、網具60とから構成されている。容器本体50は上下端が開口された筒状体からなり、容器本体50上部には下方に向けて小径(幅狭)となるテーパ状の係止部52が設けられている。
【0029】
容器本体50は、係止部52も含めて所定曲率半径で凸状に湾曲形成(容器本体50の周壁を外側に向け膨らみを持たせて形成)されている。具体的には、容器本体50は、前記デッキ部材20に形成された係止受部43に対応する形状となっており、係止部52は、前記係止受部43と同様の曲率半径で凸状に湾曲形成されている。従って、容器本体50の係止部52が、係止受部43に上方から嵌合された際に、互いに密着するようになっている。
【0030】
また、係止部52の一面(水路32側の面)には、飼育容器5の内外に連通する開口53が形成されている。この開口53は、前記係止受部43の内面43aに形成された開口43bと合致するようになっている。さらに、係止部52から傾斜環状部55を介して下方に向けて小径となる胴部56が設けられている。この胴部56の下端から網取付部57が径外方向に形成され、網取付部57から下方に筒状の脚部58が延設されている。
【0031】
網具60は、網61の周囲に網枠62が固定されたものである。そして、網枠62は脚部58内に収納されるとともに、底網固定具63を介してボルト64により、網取付部57に固定されている。なお、脚部58の下端は、底網固定具63よりも下方に突出しており、飼育容器5を立設させるべく脚部58を設置させた際に、底網固定具63が直接荷重を受けないようになっている。また、脚部58の上端から容器本体50の周面には、飼育容器5を引き上げる際に、前記網取り付け部が筏2の係止受部43に引っ掛かるのを防止するための三角形状の防止ガイド65が、放射状に複数個設けられている。
【0032】
前記デッキ部材20には、飼育容器収納部を閉塞するように、ヒンジ23を介して容器蓋(ハッチ)26が、開閉自在に連結されている。この容器蓋26の下面には、閉塞時に飼育容器5を上方から押圧するための押付部27が突設されている。この押付部27は、容器蓋26を閉塞した際に、飼育容器取付部材40に取り付けられた飼育容器5が上方に浮き上がるのを阻止するためのものである。
【0033】
容器蓋26は、ロック部材28により解除自在に閉塞状態を維持することが可能である。ロック部材28は、デッキ部材20に移動自在に設けても、あるいは、ボルトで着脱自在に設けることも可能である。
【0034】
本実施形態の飼育装置1は以上の構成からなり、次に、かかる飼育装置1を使用したアサリ等の二枚貝7の養殖方法について説明する。
【0035】
先ず、飼育容器5の上面に形成された開口から、複数個の二枚貝7としてのアサリ種苗を収容する。かかる、アサリ種苗の収容作業は、例えば、陸上、飼育装置1に横付けされた船舶または飼育装置1のデッキ上面等で行なう。このとき、飼育容器5は、脚部58を有しているため、それぞれ立脚させた状態でアサリ種苗の収容作業を行なうことが可能となる。
【0036】
なお、必要に応じて、飼育容器5内に粒状の養殖基質も収容することが可能である。
【0037】
前記飼育容器5には、ロープやフック等の吊上手段59が適宜設けられており、この吊上手段59を介して飼育容器5を、筏2に設けられたクレーン10によって吊り上げる(図4参照)。そして、クレーン10によって吊り上げられた飼育容器5を、所定の位置(係止受部43の上方位置)において下降させる。飼育容器5の胴部56の下端に設けられた脚部58は、係止受部43下端の開口よりも小径となっているため、係止受部43内を容易に通過させることができる。さらに、飼育容器5の係止部52を、係止受部43に上方から嵌合させる。
【0038】
飼育容器5の係止部52のテーパ面は、係止受部43のテーパ面に上方から密着することとなり、これにより、飼育容器5は、ガタ付くことなく嵌合される。このとき、飼育容器5の係止部52に形成された開口53と、係止受部43に形成された開口43bとが合致するため、飼育容器5内部と水路32とが、連通路45を介して連通する。
【0039】
さらに、容器蓋26を閉じて、飼育容器5を閉塞する。このように、容器蓋26を閉じることにより、容器蓋26下面に設けられた押付部27が、飼育容器5の上周面に上方から当接するため、飼育容器5が上方に移動するのを規制する。この結果、飼育容器5は、上下の移動が規制された状態で固定される。
【0040】
飼育容器取付部材40に取り付けられた飼育容器5は、浸水状態となっており、飼育容器5内に収容された二枚貝7が水中に配置される。海水の水面は、飼育容器取付部材40よりも若干上部に位置する。
【0041】
次に、ポンプ6を作動させると、ポンプ6は水路32内の海水を排水する。このことにより、飼育容器5の下部に設けられた網61を介して、海水が飼育容器5内に流入する。そして、飼育容器5内の海水は、飼育容器5の上部に位置する連通路45を流れて水路32に流入し、水路32に流入した海水は、ポンプ6により、飼育装置1外の海面に排出される。このように、飼育容器5の底面、飼育容器5内部、連通路45、水路32および海面へと海水が流れる水流を強制的に発生させるため、かかる水流により、二枚貝7の餌の補足を促進させることができ、効率よく育成することができる。
【0042】
水路32内の海水は、ポンプ6により強制的に排出されるため、水路32内および飼育容器5内の水面が、飼育装置1外の海面よりも低下する(図1参照)。このとき、水路32内および飼育容器5内の水面が、飼育装置1外部の海面と一定になろうとするため、飼育容器5に浮力が作用する。この浮力により飼育容器5は上昇しようとするが、飼育容器5は、容器蓋26に上方から固定されているため、浮き上がることはなく、容器蓋26が固定手段の機能を有している(図9(a)参照)。
【0043】
飼育容器5の洗浄、水生生物の選別、水生生物の収穫を目的として頻繁に飼育容器5を着脱する必要がある。そこで、飼育容器5を着脱する場合について説明する。
【0044】
先ず、それぞれの容器蓋26を開放する。そして、容器蓋26を開放した状態でポンプ6を作動させる。飼育容器5の下に生じている上昇流により、飼育容器5が浮上する(図9(b)参照)。さらに、クレーン10によって、浮上した飼育容器5を吊り上げる。飼育容器5は浮上して嵌合が解除されているので、クレーン10によって容易且つ迅速に上昇させて取り出すことができる。
【0045】
なお、前記のように、飼育容器4は上方から係止受部43にテーパ嵌合しているだけなので、ポンプ6を作動させることなく、クレーン10によって上昇させて取り出すことも可能であるが、前記のように、ポンプ6を作動させて上昇流により、飼育容器5を浮上させるのが好ましい。
【0046】
飼育容器5の吊り上げ時に、飼育容器5が水平方向に片寄りした場合であっても、飼育容器5には、防止ガイド65が適宜設けられているため、この防止ガイド65が係止受部43の下端に当接することとなる。このため、飼育容器5下部の網取付部57が係止受部43に当接することはなく、防止ガイド65の先端が係止受部43を摺動するため、飼育容器5をスムーズに引き上げることができる。
【0047】
本実施形態は、飼育容器5壁面を外側に向けて膨らみを持たせている。従って、飼育容器5内の飼育面積効率が高くなり、また、飼育容器5は凹み難くなるため、強度が高くなる。このように、飼育容器5に強度を持たせているため、飼育容器5を係止受部43に嵌合させた際に、飼育容器5が横ずれするのが防止できるとともに、飼育容器5の係止部52と係止受部43との良好な密着性が維持され。係止部52と係止受部43との開口間の水シール性が向上する。
【0048】
また、二枚貝7の飼育量が少ない場合には、すべての飼育容器5を使用する必要がない。かかる場合には、図11に示すようなダミー容器12を採用する。かかるダミー容器12は、係止受部43に上方から嵌合するテーパ部12aを有する環状体からなる。そして、ダミー容器12を係止受部43に嵌合させることにより、係止部43の開口43bを閉塞させることができる。このように、ダミー容器12で係止部43の開口43bを閉塞させることにより、海水が連通路45を流れるのを防止できる。従って、排水量を下げることができることとなるため、ポンプ6の負荷を下げることができる。なお、容器蓋26により、ダミー容器12を固定するのは、前記飼育容器5と同様である。
【0049】
前記実施形態では、容器蓋26に飼育容器5を固定する押付部27を設けたので、飼育容器5を固定する専用の固定手段が不要となり、飼育容器5の固定作業の容易化と、部品点数の削減を図ることができる。なお、押付部27は飼育容器5側に設けることも可能である。
【0050】
また、網具60は、底網固定具63を介してボルト64により、容器本体50の底面より外側に突出する網取付部57に固定されているため、ボルト64等の取付部の錆びが発生しても、容器本体50内に侵入することはほとんどなく、水生生物の生育に害の防止を図れる。また、容器本体50の底部には脚部58が設けられているため、飼育容器5を接地させる際の安定性向上と網部損傷防止を図れる。
【0051】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、ダミー容器12は、必ずしも設ける必要はない。かかるダミー容器12に代えて、飼育容器5を90°回転させて、取り付けることにより、開口43bを閉塞させるようにしてもよい。かかる場合には、ダミー容器12が不要となる。
【0052】
また、飼育容器5の形状も矩形状に限らず、任意の多角形とすることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 飼育装置
2 筏(浮体構造物)
5 飼育容器
6 ポンプ
7 二枚貝
12 ダミー容器
12a テーパ部
20 デッキ部材(上部材)
25 水路用蓋
26 容器蓋
27 押付部
30 下部材
31 フロート部
32 水路
40 飼育容器取付部材
43 係止受部
43a 内面
43b 開口
45 連通路
50 容器本体
52 係止部
53 開口
56 胴部
58 脚部
60 網具
61 網
62 網枠
63 底網固定具
65 防止ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海面に浮かべられ且つ水路を備える浮体構造物に、水生生物が収容された飼育容器が着脱自在に取り付けられ、前記水路と前記飼育容器とが、連通路で連通されるとともに、前記海水に浸水された飼育容器の底から飼育容器内に海水が流入し、前記水路内の海水をポンプで排水することにより、前記飼育容器内の海水が、前記連通路および前記水路を通じて排水される水生生物の飼育装置において、
前記浮体構造物には、前記飼育容器が上方から嵌合される係止受部が設けられ、前記飼育容器には、下方に向けて幅狭となるテーパ形状の係止部が設けられるとともに、前記浮体構造物の係止受部には、前記係止部が密着するテーパ面が形成され、前記飼育容器は、係止部が係止受部に密着することで固定されることを特徴とする水生生物の飼育装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の水生生物の飼育装置において、前記飼育容器の係止部には、飼育容器内外に連通する開口が設けられるとともに、前記係止受部には、前記水路に導通する開口が設けられ、前記飼育容器が浮体構造物に固定された際に、前記開口同士が合致することにより、前記連通路を形成する構成であることを特徴とする水生生物の飼育装置。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の水生生物の飼育装置において、前記浮体構造物には、容器蓋が開閉自在に設けられ、前記容器蓋には、容器蓋を閉塞することにより、飼育容器を前記浮体構造物に固定させる押付部が設けられたことを特徴とする水生生物の飼育装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3の何れか一つに記載の水生生物の飼育装置に使用可能な飼育容器であって、容器本体の底部には、網取付部が、前記容器本体より径外方向に設けられ、前記容器本体の外側には、容器本体を引き上げる際に、前記網取り付け部が浮体構造物に引っ掛かるのを防止する防止ガイドが設けられ、容器本体の設置時に、網を前記網取付部に固定する底網固定具が直接荷重を受けないように、網取付部から脚部が下方に設けられたことを特徴とする飼育容器。
【請求項5】
前記請求項4に記載の飼育容器であって、前記容器本体の周壁を外側に向け膨らみを持たせたことを特徴とする飼育容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−244960(P2012−244960A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120601(P2011−120601)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】