説明

水銀吸着剤、水銀吸着剤の製造方法及び水銀吸着除去方法

【課題】単体水銀、イオン状水銀、有機水銀等種々の形態の水銀と、水銀吸着に対して阻害作用をもたらす共存物質を含有する液状炭化水素や火力発電所燃焼排ガス、天然ガス、各種プロセスプラントのオフガス等から水銀を効率的に吸着除去することを可能にする水銀吸着剤、水銀吸着剤の製造方法、水銀吸着除去方法を提供する。
【解決手段】水銀吸着剤には、全吸着剤重量の27〜70%のヨウ化カリウムが担持されており、その水銀吸着剤の細孔径1μm以上の細孔容積は0.6mL/g以上となっている。この水銀吸着剤を例えば吸着塔10に充填し、ここへ炭化水素流体を通流する(水銀除去工程)。炭化水素流体に飽和水分の含まれている場合には、吸着塔10の手前に脱水ユニット9等を設置して脱水を行う(脱水工程)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水銀吸着剤、水銀吸着剤の製造方法及び水銀を含有する気体や液体、例えば、液状やガス状の炭化水素や燃焼排ガスから水銀を吸着除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸から産出される比較的軽質の炭化水素流体(原油、天然ガスコンデンセート(以下、コンデンセートという)、天然ガス等)や燃焼排ガス中には、水銀または水銀化合物が含有されることがある。しかしながら天然ガスの処理や石油精製、石油化学の各プラントにおいて、炭化水素流体中に含有される水銀はアルミニウム系材料製機器の腐食や、貴金属触媒に対する被毒を起こしやすいため、処理流体中の水銀濃度を極低濃度まで下げる必要がある。
【0003】
炭化水素流体中に含有される水銀の形態としては単体水銀の他に、イオン状水銀(例えば「RS−Hg−SR」等)や有機水銀(例えば「R−Hg−R」等)等を挙げることができるが、実際にはイオン状水銀の含有されている場合が多い。
【0004】
炭化水素流体中に含有される水銀の除去方法としては、水銀吸着剤を用いた吸着除去が最も簡易かつ現実的な方法である。ところが、炭化水素流体中に含有される水銀に対しては、(1)イオン状水銀や有機水銀は単体水銀と比較して水銀吸着剤に対する吸着能が大幅に劣る、(2)炭化水素流体中には水銀の吸着能を低下させる重質の炭化水素が存在する、(3)炭化水素流体中には、水銀吸着剤に対して非常に強い吸着力を発揮する第三の成分が存在し、その第三の成分の強い吸着作用により本来目的とする水銀吸着が阻害を受けることが多い。したがって、このような場合、硫化金属(硫化モリブデンや硫化銅等)を水銀吸着剤とする従来の吸着方では水銀濃度を1wtppbレベルの極低濃度まで下げることはかなり困難であり、仮にできたとしても吸着塔のライフが短いため実用的でない。そこで、このような難吸着性のイオン状水銀等も吸着法によって除去可能となれば商業的価値は大きい。
【0005】
こうした液状炭化水素中の水銀を吸着除去する試みとしては、活性炭にヨウ化カリウム等のハロゲン化金属を全吸着剤重量の0.5〜25重量%担持させた水銀吸着剤(特許文献1)や、保水率50〜70%の活性炭を利用することによりハロゲン化金属の担持量を全吸着剤重量の25重量%以上とした水銀吸着剤(特許文献2)が提案されている。
【0006】
一般に、上述したアルミニウム系材料の腐食や貴金属触媒の被毒を回避するためには、液状炭化水素中の水銀濃度を1wtppb以下にまで吸着除去することが要求されている。これに対して、上述したいずれの水銀吸着剤についても液状炭化水素中の水銀濃度1wtppb以下の仕様値を満足する試験結果を得ることはできなかった。なお、特許文献1では、この試験における水銀の検出下限界である3wtppb未満にまで炭化水素中の水銀を除去できた旨の報告がされているが、これは上記仕様値を何ら保証するものではない。
【特許文献1】特許第2602361号公報:第IV表、第V表
【特許文献2】特開2005−349364号公報:表1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、その目的は、単体水銀に限らず、通常の水銀吸着剤では吸着除去の困難なイオン状水銀や有機水銀等、種々の状態で含有される水銀を炭化水素流体や燃焼排ガス等の気体や液体から吸着除去することの可能な水銀吸着剤、水銀吸着剤の製造方法、水銀吸着除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、単体水銀のみならず反応性が低く除去されにくいイオン状水銀や有機水銀を吸着除去するあたり、イオン状水銀や有機水銀とも化学結合力の強いヨウ化カリウムを活性炭担体などに担持する手法に着目して検討した。一般に活性炭担体に担持するヨウ化カリウムの量を多くすれば、単位重量あたりの水銀吸着剤で吸着除去可能な水銀の量は多くなる傾向があるが、本発明者らは、その傾向と合致しない現象があることを発見し、その事象に着目してさらに検討を加え、担体の細孔容積と吸着能力との相関があることを見出し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち、従来の活性炭担体では、ヨウ化カリウムの担持量を増加させていくと活性担体の細孔が閉塞されてしまい、水銀の除去能を十分に発揮させることができなくなってしまうという事象を見出した。発明者らはこれらの問題を総合的に研究した結果、必要量のヨウ化カリウムを担持しても、担体の細孔容積が一定量以上あれば、そのように水銀の吸着量は減少しないことと、さらに吸着剤としてヨウ化カリウムの最適な担持量との関係があることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。別の視点でいえば、担持されるヨウ化カリウムによりミクロ孔が充満・閉塞しない活性炭担体を見出したものである。
【0010】
本発明に係る水銀を吸着除去するための水銀吸着剤は、活性炭担体にヨウ化カリウムを担持した、水銀を吸着除去するための水銀吸着剤において、
ヨウ化カリウムの担持量が全吸着剤重量の5〜70%であることと、
前記水銀吸着剤における細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上であることと、を特徴とする。ヨウ化カリウムの担持量は、全吸着剤重量の27〜70%であることがより好ましい。
【0011】
また、本発明の水銀吸着剤の製造方法は、活性炭担体にヨウ化カリウムを担持した、水銀を吸着除去するための水銀吸着剤の製造方法において、細孔径1μm以上の細孔容積が1.0mL/g以上である前記活性炭担体に、前記水銀吸着剤における細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上になるようにヨウ化カリウムを全吸着剤重量の5〜70%担持する工程を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の水銀吸着除去方法は、水銀を含有する液体または気体から当該水銀を吸着除去する方法において、上述の各水銀吸着剤を用いて気体または液体から水銀を吸着除去する水銀除去工程を含むことを特徴とする。ここで、水銀を含有する液体や気体としては、例えば原油やコンデンセート等やこれらの蒸留やストリッピングの過程で生成するLPGやナフサ等の留分等の炭化水素、燃焼排ガス等が挙げられる。
【0013】
またここで、前記液体が炭化水素である場合には、この炭化水素から当該炭化水素に含まれる水分を除去する脱水工程を更に含み、前記水銀除去工程においては、前記脱水工程にて自由水を除去された炭化水素から水銀を吸着除去するとよい。特に、前記脱水工程において、炭化水素中の水分が、後工程である水銀除去工程の操作温度における飽和溶解度に近い水分濃度まで除去されることが好ましい。この他、前記活性炭担体に担持されているヨウ化カリウムを由来とし、前記水銀除去工程にて水銀吸着剤より炭化水素中に流出した流出分を除去するための流出分除去工程を更に含んでもよく、この場合には前記水銀除去工程にて水銀が吸着除去された炭化水素に対して、水銀吸着剤使用開始後の予め決めたタイミングまで前記流出分除去工程を行い、その後は前記流出分除去工程を行わないようにするとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、全吸着剤重量の5〜70%という大量のヨウ化カリウムを担持しても、その水銀吸着剤における細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上と十分に大きいので、担持されるヨウ化カリウムによりミクロ孔が充満・閉塞しておらず、水銀吸着剤の水銀除去能を十分に発揮することができる。この結果、吸着剤単位重量あたりの吸着除去可能な水銀の量を大幅に増大させることができるため、従来は吸着除去することが困難であったイオン状水銀や有機水銀を低濃度まで吸着除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の水銀吸着剤は、例えば次のようにして製造することができるが、特に以下の例に開示する方法に限定するものではない。本実施の形態に好適な活性炭担体の原料としては、例えば木質系材料や椰子殻等のセルロースを多く含む原料が挙げられる。このような原料に対して例えば、塩化亜鉛賦活法では塩化亜鉛濃度、賦活操作温度、賦活時間を適宜変えることにより細孔径1μm以上の細孔容積が1.0mL/g以上の細孔容積構造に活性炭を調製できる。
【0016】
そして、この活性炭担体を例えば常温で濃度15−30wt%のヨウ化カリウム水溶液に数時間浸漬して当該水溶液を含浸させ、液切り操作を経た後に、120〜150℃で数時間乾燥することにより、全重量に対して5〜70%のヨウ化カリウムを担持した水銀吸着剤を得ることができる。
【0017】
既述のように、原油やコンデンセート等の炭化水素流体に含有される水銀には、単体水銀だけでなく、従来の水銀吸着剤では比較的吸着されにくいイオン状水銀や有機水銀が含有されている。このようなイオン状水銀に対してハロゲンは水銀との化学結合力が強いため、ハロゲン化合物は炭化水素流体中からイオン状水銀を吸着除去する効果的な担持物となる。ハロゲン化合物のなかでも、特にヨウ化カリウムは、ヨウ素と水銀との反応性の高さだけでなく、材料腐食や毒性、水への溶解度やコスト等、炭化水素流体からの水銀の吸着除去を実用化するにあたって必要な諸条件を満たし、実用性に優れている。
【0018】
また、ヨウ化カリウムの担持量と水銀の吸着除去性能との関係は、ヨウ化カリウムの担持量が多いほど吸着可能な水銀量が増える一方で、担持量を増やすにつれて活性炭担体のミクロ孔、メソ孔が閉塞してしまい、細孔表面積が低下して水銀と水銀吸着剤との反応速度が大幅に低下してしまうという問題がある。この点について、その水銀吸着剤における細孔径1μm以上の細孔容積を0.6mL/g以上とすることにより、閉塞されていない細孔を残存させて、細孔の閉塞に起因する水銀の化学吸着速度の大幅な低下を起こさせない、優れた水銀吸着剤とすることができる。
【0019】
このように、ヨウ化カリウムは水銀に対して、強力な化学結合作用故にヨウ化水銀を生成する。好ましい活性炭担体はヨウ化カリウムと水銀とが接触して反応するのに十分な細孔表面積と担持物容量とを提供する。これらの作用が相俟って本実施の形態に係わる水銀吸着剤は、従来の水銀吸着剤では除去が困難であった炭化水素中のイオン状水銀についても良好な吸着除去性能を発揮するものと考えられる。また、炭化水素に含有される水銀の形態が有機水銀であっても、イオン状水銀の場合と同様の作用により、有機水銀を吸着除去することが可能になると考えられる。なお、イオン状水銀や有機水銀を効率よく吸着できる理由として、担体として使用する活性炭の触媒作用が重要であることはいうまでもない。
【0020】
ここで、ヨウ化カリウムの担持量が全吸着剤重量の27%未満であると水銀吸着剤の寿命が短くなって、水銀吸着剤を充填する吸着塔を大きくする必要があったり、水銀吸着剤の交換頻度が高くなったりして実用性に欠ける場合が多い。また、担持量が70%より多くなると、細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上のものであっても細孔のかなりの部分が閉塞されてしまう結果、細孔表面積が大幅に低下し、水銀除去性能を十分に発揮することができなくなってしまうものと考えられる。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る水銀吸着剤を用いて液状炭化水素に含有される水銀を吸着除去する方法の基本フローを概略的に示している。当該フローは、処理流体に含まれる自由水を除去する脱水ユニット9と、吸着塔10とから構成される。脱水ユニット9は、例えばコアレッサー等であって、後段の吸着塔10の操作温度における飽和溶解度に近い水分濃度にまで、液状炭化水素中の水分濃度を除去する役割を果たす(脱水工程)。ヨウ化カリウムは水溶性であるため、液状炭化水素に含まれる自由水を前工程にて除去しておくことにより、水銀吸着剤に担持したヨウ化カリウムが処理流体中に流出してしまう事態を防止することができる。
【0022】
吸着塔10は、例えば本実施の形態に係る水銀吸着剤を充填した充填塔として構成され、液状炭化水素に含有される水銀を吸着除去する役割を果たす(水銀除去工程)。このフローにおいて、水銀を含有する液状炭化水素は、脱水ユニット9に導入されて自由水を除去された後、吸着塔10に導入される。そして、吸着塔10に充填されている水銀吸着剤により水銀が吸着除去され、仕様値まで水銀濃度の低下した液状炭化水素(製品)を得ることができる。
【0023】
なお、フィードの液状炭化水素中に、吸着塔操作温度での飽和水分濃度以上の水分(自由水)が存在しない場合には、脱水ユニット9を設けなくてもよい。また、処理流体がガス状炭化水素や燃焼排ガスの場合は通常この脱水ユニット9を設けなくてもよい。吸着塔10は、は通常固定層(床)形式であるが、場合によっては流動層(床)形式、あるいは移動層(床)形式であってもよい。
【0024】
また例えば吸着塔10の運転開始直後等において、活性炭担体上のヨウ化カリウムのうち活性炭担体と結合していないものや結合力の弱いものがヨウ化カリウムの状態で、また遊離ヨウ素やヨウ素化合物の状態で液状炭化水素内に微量に流出し、脱硫プロセスの触媒毒となる等、下流側プロセスに悪影響を及ぼすおそれもある。そこで図2に示すように前記基本フローにおける吸着塔10下流側の製品配管を分岐させ、その一方側に流出物除去ユニット11を介設し、これらヨウ化カリウムを由来とする流出物を当該除去ユニット11にて除去してから製品の液状炭化水素を得るように構成してもよい(流出物除去工程)。流出物除去ユニット11には例えば活性炭が充填されており、液状炭化水素中に流出した流出物はこの活性炭によって吸着除去されるようになっている。この場合、流出物除去ユニット11の介設された製品配管と、除去ユニット11の設置されていない配管とには、これらの配管を切り替えるための切替バルブ12、13が設けられており、例えば運転開始直後の期間は流出物除去ユニット11に液状炭化水素を通流し、その後、予め決めたタイミング(例えば運転開始から相当時間が経過して液状炭化水素中への流出物の流出が見られなくなったタイミング)にて製品配管を切り替えて流出物除去ユニット11をバイパスして製品を得るようにするとよい。
【実施例】
【0025】
(液状炭化水素に含有される水銀の吸着除去試験)
イ.試験の前提条件
液状炭化水素としてはn−ヘキサンを用いた。この中に有機水銀(ジエチル水銀)、イオン状水銀(メルカプト水銀)、単体水銀を溶解させて各形態の水銀の吸着除去試験を行った。
【0026】
反応容器内で水銀を含んだ液状炭化水素と各種水銀吸着剤とを接触させるバッチ式の吸着除去試験を行った。表1に試験条件を示す。
(表1)
試験条件


ここで活性炭担体や水銀吸着剤の細孔容積は水銀ポロシメータ法により、また表面積はBET法により夫々測定した。また、活性炭担体へのヨウ化カリウムの担持量は、ヨウ化カリウムを担持する前後での活性炭担体と水銀吸着剤との重量差、または、活性炭担体にヨウ化カリウムを担持させた後にヨウ化カリウム溶液に残ったヨウ化カリウム量を測定することにより定量した。水銀量は日本インスツルメンツ社製水銀分析計(SP−3)により計測した。
【0027】
水銀吸着剤の性能は、バッチ吸着とカラム吸着との間の相関関係に関する長年の経験を基にして、水銀濃度が1wtppb以下(仕様値)になるまでに要した時間の長さで評価した。水銀濃度が仕様値になるまでの時間が8時間以内の場合には「優良」、8時間〜24時間の場合には「良」、24時間以内に仕様値とならなかった場合には「不良」と評価することにした。
【0028】
ロ.実施例及び比較例
[実施例1]
試験に用いた液状炭化水素を表2に、水銀吸着剤の性状を表3に示す。実施例1では、(要件1)「細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上」、(要件2)「ヨウ化カリウムの担持量が全吸着剤重量の5〜70%」の各要件を満たす水銀吸着剤を使用している。試験結果を表4に示す。
表4によれば、従来の水銀吸着剤では除去しにくいとされる有機水銀も8時間以内に仕様値まで除去されており、評価は「優良」であった。

(表2)
実施例1の液状炭化水素性状


(表3)
実施例1の水銀吸着剤の性状


(表4)
実施例1の試験結果

【0029】
[実施例2]
実施例1とはメーカの異なる活性炭担体を使用し、(要件1)、(要件2)を満たす水銀吸着剤を調製して試験を行った。試験条件は実施例1と同様である。実施例2に使用した水銀吸着剤の性状を表5に、試験結果を表6に示す。
試験の結果、24時間以内に有機水銀を仕様値まで除去することができ、評価は「良」であった。

(表5)
実施例2の水銀吸着剤の性状


(表6)
実施例2の試験結果

【0030】
[実施例3]
スチーム賦活により調製した活性炭担体を使用した水銀吸着剤を用いた点が実施例1とは異なっている。本水銀吸着剤は(要件1)、(要件2)を満たしており、試験条件は実施例1と同様である。実施例3に使用した水銀吸着剤の性状を表7に、試験結果を表8に示す。
試験の結果、8時間で有機水銀濃度を仕様値とすることができ、評価は「優良」であった。

(表7)
実施例3の水銀吸着剤の性状


(表8)
実施例3の試験結果

【0031】
[実施例4]
椰子殻原料を塩化亜鉛賦活して得られた活性炭担体を使用した水銀吸着剤を用いた点が実施例1とは異なっている。本水銀吸着剤は(要件1)、(要件2)を満たしている。液状炭化水素中の有機水銀濃度は45.4wtppbとした。実施例4に使用した水銀吸着剤の性状を表9に、試験結果を表10に示す。
[実施例1−4]
実施例4の試験結果と対比するため、実施例1で用いた水銀吸着剤にて実施例4と同濃度の有機水銀を含む液状炭化水素について試験を行った。試験結果を表10に示す。
実施例4では、5時間という短時間で有機水銀を仕様値近くまで除去することができ、評価は「優良」であった。また、実施例1−4と比較して木質系の活性炭担体を用いた水銀吸着剤よりも水銀の除去速度は速かったが、試験中に粉化する等の機械的な脆さが観察された。

(表9)
実施例4の水銀吸着剤の性状


(表10)
実施例4、実施例1−4の試験結果

【0032】
[実施例5]
液状炭化水素中の水銀をイオン状水銀(メルカプト水銀)とした点が実施例4と異なっている。イオン状水銀濃度は56.2wtppbとした。試験結果を表11に示す。
実施例5では、5時間という短時間でイオン状水銀を仕様値まで除去することができ、評価は「優良」であった。また、同じ椰子殻活性炭の担体を使って有機水銀の吸着除去を行った実施例4(試験開始時の水銀濃度が実施例5と同じ値となるように濃度換算してある)と比較すると、イオン状水銀の方が有機水銀よりも吸着しやすいことが分かる。
一方、実施例1にて使用した木質系活性炭担体にてイオン状水銀の吸着除去を行った後述の実施例6(同様の濃度換算をしてある)と比較すると、イオン状水銀の吸着除去については、木質系の活性炭担体を用いた水銀吸着剤よりも水銀の除去速度が速かった。

(表11)
実施例5の試験結果及び実施例4、実施例6との比較

【0033】
[実施例6]
液状炭化水素中の水銀をイオン状水銀(メルカプト水銀)とした点が実施例1と異なっている。イオン状水銀濃度は51.0wtppbとした。試験結果を表12に示す。
表12によれば、8時間以内にイオン状水銀を仕様値まで除去することができており、評価は「優良」であった。実施例1の試験結果(表4参照)と比較して、同じ水銀吸着剤を使用した場合には、イオン状水銀の方が有機水銀よりも吸着しやすいことが分かる。

(表12)
実施例6の試験結果

【0034】
[実施例7]
液状炭化水素中の水銀を単体水銀とした点が実施例1と異なっている。単体水銀濃度は52.0wtppbとした。試験結果を表13に示す。
表13によれば、4.5時間で単体水銀を仕様値まで除去することができており、評価は「優良」であった。実施例1の試験結果(表4参照)と比較して、同じ水銀吸着剤を使用した場合には、単体水銀の方が有機水銀よりも吸着しやすいことが分かる。

(表13)
実施例7の試験結果

【0035】
[実施例8]
ヨウ化カリウムの担持量を、(要件2)を満たす範囲内で全吸着剤重量の45%とした点が実施例1と異なっている。試験結果を表14に示す。
試験結果によれば試験開始後8時間で有機水銀濃度が仕様値の半分以下となり、評価は「優良」であった。実施例1と比較して水銀吸着速度に大きな差はなかった。水銀吸着剤と液状炭化水素との接触時に水銀吸着剤の粉化現象が観察された。
[実施例9]
ヨウ化カリウムの担持量を、(要件2)を満たす範囲内で全吸着剤重量の52%とした点が実施例1と異なっている。試験結果を表14に示す。
試験結果、試験開始後8時間で有機水銀濃度が仕様値以下となり、評価は「優良」であった。実施例1と比較して水銀吸着速度に大きな差はなかった。水銀吸着剤の粉化現象は実施例8と比較して顕著になった。
[実施例10]
ヨウ化カリウムの担持量を、(要件2)を満たす範囲内で全吸着剤重量の60%とした点が実施例1と異なっている。試験結果を表14に示す。
試験結果、試験開始後10時間で有機水銀濃度が仕様値に達し、評価は「良」であった。実施例1と比較して水銀吸着速度はやや低下した。水銀吸着剤の粉化現象は実施例9よりも顕著になった。
[実施例11]
ヨウ化カリウムの担持量を、(要件2)を満たす範囲内で全吸着剤重量の70%とした点が実施例1と異なっている。試験結果を表14に示す。
試験結果、試験開始後20時間で有機水銀濃度が仕様値に達し、評価は「良」であった。実施例1と比較して水銀吸着速度は低下した。水銀吸着剤の粉化現象は実施例10よりも顕著になった。
[比較例12]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の80%とした点が実施例1と異なっており、(要件2)も満たしていない。試験結果を表14に示す。
試験結果、試験開始後20時間経過しても有機水銀濃度は仕様値以下とならず、評価は「不良」であった。実施例1と比較して水銀の吸着速度も大幅に低下し、水銀吸着剤の粉化現象も顕著であった。

【0036】
(表14)
実施例8〜比較例12の試験結果

【0037】
[実施例13]
実施例1の水銀吸着剤をカラムに充填し(内径22mm、層長1,200mm)、イオン状水銀と単体水銀との両方を含み、総水銀濃度が30〜650wtppbで変動するヘビーナフサを空塔速度0.4cm/秒で通油する試験を行った。
約6ヶ月間の期間中、カラムから流出するヘビーナフサ中の総水銀濃度は1wtppb未満であり、試験結果は良好でであった。
【0038】
[実施例14]
ヨウ化カリウムの担持量を、(要件2)を満たす範囲内で全吸着剤重量の25%とした点が実施例1と異なっている。試験結果を表15に示す。
試験結果によれば試験開始後16時間で有機水銀濃度が仕様値未満となり、評価は「良」であった。実施例1と比較して水銀吸着速度の低下が見られた。
【0039】
[実施例15]
ヨウ化カリウムの担持量を、(要件2)を満たす範囲内で全吸着剤重量の15%とした点が実施例1と異なっている。試験結果を表15に示す。
試験結果によれば試験開始後16時間で有機水銀濃度が仕様値未満となり、評価は「良」であった。水銀吸着速度は実施例14よりも低下した。
【0040】
[実施例16]
ヨウ化カリウムの担持量を、(要件2)を満たす範囲内で全吸着剤重量の5.5%とした点が実施例1と異なっている。試験結果を表15に示す。
試験結果によれば試験開始後16時間で有機水銀濃度が仕様値未満となり、評価は「良」であった。水銀吸着速度は実施例15よりも低下した。
【0041】
(表15)

【0042】
[比較例1]
(要件1)を満たしていない石炭系の活性炭担体を使用した点が、実施例1と異なっている。また液状炭化水素中の有機水銀濃度は52.4wtppbとした。比較例1に使用した水銀吸着剤の性状を表16に示し、試験結果を表17に示す。
表17によれば、比較例1にて使用した水銀吸着剤では24時間以内に有機水銀濃度を仕様値まで低下させることができず、評価は「不良」であった。使用した活性炭担体の細孔径1μm以上の細孔容積が小さいため、担持したヨウ化カリウムにより細孔を閉塞してしまっているためと、石炭系原料の活性炭が効果的な触媒作用を発揮しないためであると考えられる。

(表16)
比較例1の水銀吸着剤の性状


(表17)
比較例1の試験結果

【0043】
[比較例2]
(要件1)を満たしていない比較例1とは別種の石炭系の活性炭担体を使用した点が、実施例1と異なっている。さらに別種の石炭系活性炭担体を試験した理由は次の通りである。すなわち、活性炭では石炭系活性炭が最も多く使われる為、石炭系活性炭の中には高い水銀吸着性能を発揮する担体素材があるかもしれないと考えたためである。また液状炭化水素中の有機水銀濃度は比較例1と同様である。比較例2に使用した水銀吸着剤の性状を表18に示し、試験結果を表19に示す。
表19によれば、比較例2にて使用した水銀吸着剤では24時間以内に有機水銀濃度を仕様値まで低下させることができず、評価は「不良」であった。なお、煩雑を避けるため割愛したがさらに別種の石炭系活性炭を担体として試験したが結果は比較例1、2と類似のものであった。石炭系活性炭が担体として不適である理由は比較例1の項において記述したものと同様と考えられる。

(表18)
比較例2の水銀吸着剤の性状


(表19)
比較例2の試験結果

【0044】
[比較例3]
(要件1)を満たしていない、スチーム賦活を行った椰子殻系の活性炭担体を使用した点が実施例1と異なっている。また液状炭化水素中の有機水銀濃度は比較例1と同様である。比較例3に使用した水銀吸着剤の性状を表20に示し、試験結果を表21に示す。
表21によれば、比較例3にて使用した水銀吸着剤では24時間以内に有機水銀濃度を仕様値まで低下させることができず、評価は「不良」であった。賦活方法の異なる木質系活性炭を使用した実施例1、実施例3ではいずれも「優良」の評価となったのに対して、賦活方法の異なる椰子殻系活性炭を用いた実施例4と比較例3とでは夫々「優良」と「不良」とに評価が分かれた。これらの結果は、水銀吸着剤の性能が活性炭担体の賦活方法により決まるのではなく、(要件1)を満たしているか否かの影響が大きいことを示している。

(表20)
比較例3の水銀吸着剤の性状


(表21)
比較例3の試験結果

【0045】
[比較例4]
比較例4は、比較例3とは別種の椰子殻系の活性炭担体(スチーム賦活)を使用した。この場合(要件1)のみを満たしていない。比較例4の水銀吸着剤の性状を表22に示し、試験結果を表23に示す。
表23によれば、比較例4にて使用した水銀吸着剤では24時間以内に有機水銀濃度を仕様値まで低下させることができず、評価は「不良」であった。

(表22)
比較例4の水銀吸着剤の性状


(表23)
比較例4の試験結果

【0046】
[比較例5]
ヨウ化カリウムに代えてヨウ化ナトリウムを活性炭担体に担持させ、(要件2)のみを満たしていない点が実施例1と異なっている。また液状炭化水素中の有機水銀濃度は52.0wtppbとした。比較例5に使用した水銀吸着剤の性状を表24に示し、試験結果を表25に示す。
表25によれば、比較例5に使用した水銀吸着剤では24時間以内に有機水銀濃度を仕様値まで低下させることができず、評価は「不良」であった。使用した活性炭担体は(要件1)を満たしているにもかかわらず評価は「不良」であったことから、「優良」な水銀吸着剤を得られるか否かについては水銀との化学結合力の強いヨウ化カリウムの担持(要件2)が重要な役割を果たしているといえる。なお、ヨウ化ナトリウムはヨウ化カリウムと比較して、水への溶解度が高いため、微量な水への溶解・流出という面でも不利であると考えられる。

(表24)
比較例5の水銀吸着剤の性状


(表25)
比較例5の試験結果

【0047】
[比較例6]
活性炭担体に代えてアルミナ担体にヨウ化カリウムを担持した点が実施例1と異なっている。また液状炭化水素中の有機水銀濃度は比較例1と同様である。比較例6に使用した水銀吸着剤の性状を表26に示し、試験結果を表27に示す。
表27によれば、比較例6にて使用した水銀吸着剤では24時間以内に有機水銀濃度を仕様値まで低下させることができず、評価は「不良」であった。表26に示すように、細孔径1μm以上の細孔容積が0.1mL/gと実施例1の10%程度しかない。この結果、ヨウ化カリウムを全吸着剤重量の8wt%しか担持できないこと、および担体の細孔がかなり閉塞されることが理由になって水銀除去性能が大きく劣るものと考えられる。また、アルミナ担体と比較すると活性炭担体は化合物水銀の吸着に有利な触媒作用を有しているものと考えられる。
(表26)
比較例6の水銀吸着剤の性状


(表27)
比較例6の試験結果

【0048】
[比較例7]
比較例6と同様のアルミナ担体に、従来、商業的な水銀吸着除に実績のある硫化金属(主成分:硫化モリブデン)を担持させた水銀吸着剤を用いた点が比較例6と異なっている。また液状炭化水素中の水銀は有機水銀とし、濃度を52.0wtppbとした。比較例7に使用した水銀吸着剤の性状を表28に示し、試験結果を表29に示す。
表29によれば、比較例7にて使用した水銀吸着剤では24時間以内に水銀濃度を仕様値まで低下させることができず、評価は「不良」であった。主として単体水銀除去向けに商業実績のある担持物であっても、有機水銀のような形態の水銀除去には適していないことが分かる。

(表28)
比較例7の水銀吸着剤の性状


(表29)
比較例7の試験結果

【0049】
[比較例8]
アルミナ担体に硫化銅を担持した水銀吸着剤をカラムに充填してヘビーナフサの通油試験をおこなった。使用したカラムおよびヘビーナフサについては実施例13と同一である。試験に使用した水銀吸着剤性状を表30に示す。本比較例で用いたアルミナ担体に硫化銅を担持した吸着剤は単体水銀の除去用によく使用されるものである。
約6ヶ後、カラムから流出するヘビーナフサの水銀濃度は、1wtppmであったが、実施例13と比較して、カラム内における破過点(処理流体中の水銀濃度が仕様値に達する位置)の移動する速度が2倍以上速く実用的でなかった。

(表30)
比較例8の水銀吸着剤の性状

【0050】
ハ.試験結果及び考察
実施例及び比較例の試験結果を表31にまとめて示す。
(表31)



表31にまとめた結果からも分かるように、活性炭担体にヨウ化カリウムを全吸着剤重量の5〜70%担持し、且つその水銀吸着剤の細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上である場合には、有機水銀やイオン状水銀等の水銀の状態にかかわらず、評価が「優良〜良」の水銀吸着剤を得ることができることができる。ここで、ヨウ化カリウムの担持量が全吸着剤重量の5%未満となると、十分な水銀吸着能を得られなくなると考えられる。
【0051】
(水銀吸着剤の寿命評価試験)
イ.試験の前提条件
ヨウ化カリウムの担持量を変化させた水銀吸着剤をカラムに充填し、水銀を含む液状炭化水素を通油して吸着剤層内における破過点(処理流体中の水銀濃度が仕様値に達する位置)がカラムの下流へと移動する速度(以下、破過点移動速度という)を計測することにより水銀吸着剤の寿命評価を行った。試験条件を表32に示す。試験に使用した水銀吸着剤は、ヨウ化カリウムの担持量を変化させた点を除いて表3に示したもの同様のものを使用した。
(表32)
試験条件

【0052】
ロ.実施例及び比較例
[実施例2−1]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の27%とした。試験結果を表33に示す。
[実施例2−2]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の33%とした。試験結果を表33に示す。
[実施例2−3]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の40%とした。試験結果を表33に示す。
[比較例2−1]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の15%とした。試験結果を表34に示す。
[比較例2−2]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の20%とした。試験結果を表34に示す。
[比較例2−3]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の23%とした。試験結果を表34に示す。
[比較例2−4]
ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の25%とした。試験結果を表34に示す。

(表33)
実施例2−1〜実施例2−3の試験結果


(表34)
比較例2−1〜比較例2−4の試験結果

【0053】
ハ.試験結果及び考察
表33の試験結果より、実施例2−1〜実施例2−3では、ヨウ化カリウムの担持量を増加させるにしたがって破過点の移動速度が小さくなり水銀吸着剤の寿命が伸びていることが分かる。これに対して表34に示した比較例の試験結果によると、実施例2−1よりもヨウ化カリウムの担持量が2%少ない比較例2−4にて破過点移速度が急激に上昇し、ヨウ化カリウムの担持量を更に小さくしていくと、破過点移動速度は更に上昇した(比較例2−1〜比較例2−3)。以上より、水銀吸着剤の寿命の観点からは、ヨウ化カリウムの担持量を全吸着剤重量の27%以上とすることがより好ましいといえる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態に係る水銀吸着剤を用いて液状炭化水素に含有される水銀を吸着除去する方法の基本フローを表す概略図である。
【図2】液状炭化水素中に流出したヨウ化カリウムを除去するための流出物除去ユニットを備えたフローを表す概略図である。
【符号の説明】
【0055】
9 脱水ユニット
10 吸着塔
11 流出物除去ユニット
12、13 切替バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭担体にヨウ化カリウムを担持した、水銀を吸着除去するための水銀吸着剤において、
ヨウ化カリウムの担持量が全吸着剤重量の5〜70%であることと、
前記水銀吸着剤における細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上であることと、を特徴とする水銀を吸着除去するための水銀吸着剤。
【請求項2】
前記ヨウ化カリウムの担持量が全吸着剤重量の27〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の水銀吸着剤。
【請求項3】
活性炭担体にヨウ化カリウムを担持した、水銀を吸着除去するための水銀吸着剤の製造方法において、
細孔径1μm以上の細孔容積が1.0mL/g以上である前記活性炭担体に、前記水銀吸着剤における細孔径1μm以上の細孔容積が0.6mL/g以上になるようにヨウ化カリウムを全吸着剤重量の5〜70%担持する工程を含むことを特徴とする水銀吸着剤の製造方法。
【請求項4】
水銀を含有する液体または気体から当該水銀を吸着除去する方法において、
請求項1または2に記載の水銀吸着剤を用いて気体または液体から水銀を吸着除去する水銀除去工程を含むことを特徴とする水銀吸着除去方法。
【請求項5】
前記液体は、炭化水素であって、
この炭化水素から当該炭化水素に含まれる水分を除去する脱水工程を更に含み、
前記水銀除去工程においては、前記脱水工程にて水分を除去された炭化水素から水銀を吸着除去することを特徴とする請求項4に記載の水銀吸着除去方法。
【請求項6】
前記脱水工程において、炭化水素中の水分が、後工程である水銀除去工程の操作温度における飽和溶解度に近い水分濃度まで除去されることを特徴とする請求項5に記載の水銀吸着除去方法。
【請求項7】
前記活性炭担体に担持されているヨウ化カリウムを由来とし、前記水銀除去工程にて水銀吸着剤より炭化水素中に流出した流出分を除去するための流出分除去工程を更に含むことを特徴とする請求項5または6に記載の水銀吸着除去方法。
【請求項8】
前記水銀除去工程にて水銀が吸着除去された炭化水素に対して、水銀吸着剤使用開始後の予め決めたタイミングまで前記流出分除去工程を行い、その後は前記流出分除去工程を行わないことを特徴とする請求項7に記載の水銀吸着除去方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−168288(P2008−168288A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315024(P2007−315024)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000004411)日揮株式会社 (94)
【Fターム(参考)】