説明

永久磁石回転機

【課題】永久磁石回転機の効率を向上させるとともに、コギングトルクを低減する。
【解決手段】回転子50の主磁極部50Aに設けられている磁石挿入孔51a1、51a4には、永久磁石52a1、52a2が挿入されている。回転子50の外周面は、d軸と交差する第1の外周面50aと、q軸と交差し、第1の外周面50aの曲率半径より大きい曲率半径を有する第2の外周面50da、50abにより構成されている。第2の外周面50da、50abには、磁石挿入孔51a1、51a4の回転子外周側端壁51a2、51a5と対向する箇所に、切欠部50a1、50a2が形成されている。第1の外周面50aの開角(機械角)をθ、回転子50の極対数をP、切欠部50a1、50a2の開角(機械角)をAとした時、[(74/P)≦θ≦(86/P)]、[(16/P)≦A≦(48/P)]を満足するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石回転機、特に、回転子に設けられている磁石挿入孔に永久磁石が挿入された永久磁石回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン(空調装置)や冷蔵庫等の圧縮機を駆動する電動機、車両を駆動する電動機や車両に搭載されている車載機器を駆動する電動機として、磁石挿入孔に永久磁石が挿入された回転子を有する永久磁石電動機が用いられている。このような永久磁石電動機は、通常、“永久磁石埋込型電動機(IPMモータ)”と呼ばれている。
永久磁石埋込型電動機では、固定子には、固定子巻線を収容するスロットを形成するティースが設けられている。回転子は、回転子外周面とティース先端面との間に間隙を持たせて、回転可能に配設されている。また、回転子には、主磁極部と補助磁極部が設けられている。主磁極部には、永久磁石を挿入する磁石挿入孔が設けられている。これにより、永久磁石の磁束によるマグネットトルクと、補助磁極部の突極性によるリラクタンストルクの両方を利用することができる。
【0003】
従来の永久磁石埋込型電動機の回転子の外周面は、回転子の軸方向に直角な断面で見て、円形形状に形成されている。このような回転子を用いた永久磁石埋込型電動機では、主磁極部と補助磁極部の境界部が、ティースが配置されている位置を通過する時に、ティースを流れる磁束が急激に変化することがある。ティースを流れる磁束の急激に変化することによって、音や振動が発生する。
ティースを流れる磁束が急激に変化するのを防止するために、図16〜図19に示されている回転子を有する永久磁石埋込型電動機が提案されている。なお、図16及び図17は、固定子のスロットに固定子巻線を分布巻方式で収容する形式の永久磁石埋込型電動機を示し、図17及び図18は、固定子のスロットに固定子巻線を集中巻方式で収容する形式の永久磁石埋込型電動機を示している。
図16に示す永久磁石埋込型電動機は、ティースT1〜Tnが設けられている固定子540と、回転子550を有している。回転子550の各主磁極部には、永久磁石552a〜552dが挿入される磁石挿入孔551a〜551dが設けられている。回転子550の外周面は、回転子550の軸方向に直角な断面で見て、円弧形状の外周面550a〜550dを有している。外周面550a〜550dは、回転子550の中心Oと主磁極部の周方向中央部とを結ぶ線(「d軸」という)上であって、中心Oより磁石挿入孔551a〜551d側にずれた位置Kを中心とする、半径R1の円弧形状に形成されている。
なお、図18に示す永久磁石埋込型電動機は、図16に示す回転子550と同様の構成の回転子750と、図16に示すティースの幅より大きい幅を有するティースが設けられている固定子740を有している。(特許文献1参照)
【0004】
図17に示す永久磁石埋込型電動機は、ティースT1〜Tnが設けられている固定子640と、回転子650を有している。回転子650の各主磁極部には、永久磁石652a1、652a2〜652d1、652d2を挿入する磁石挿入孔651a1、651a2〜651d1、651d2が設けられている。回転子650の外周面は、回転子650の軸方向に直角な断面で見て、外周面650a〜650dと外周面650ab〜650daにより構成されている。外周面650a〜650dは、主磁極部のd軸と交差し、回転子650の中心Oを中心とする、半径Rの円弧形状に形成されている。外周面650ab〜650daは、回転子550の中心Oと補助磁極部の周方向中央部とを結ぶ線(「q軸」という)に交差し、円弧形状の外周面650a〜650dからV字形状に切り欠かれた形状を有している。
なお、図19に示す永久磁石埋込型電動機は、図17に示す回転子650と同様の構成の回転子850と、図17に示すティースの幅より大きい幅を有するティースが設けられている固定子840を有している。(特許文献2参照)
図16〜図19に示す永久磁石埋込型電動機では、インバータ等の電源装置から固定子巻線に電力を供給することによって回転子が回転する。
【0005】
図16に示す回転子550では、主磁極部のd軸付近から離れると、回転子550の中心Oから回転子550の外周面までの距離が短くなる。すなわち、d軸付近から離れると、回転子550の外周面と、固定子540の各ティースT1〜Tnのティース先端面との間の距離(“間隙”)が大きくなる。このため、回転子550の外周面と各ティースのティース先端面との間の間隙が短いd軸付近(図16では、ティースT1と対向する箇所)に磁束が集中し(磁束X1)、磁気飽和し易い。d軸付近が磁気飽和すると、ティースT2、Tnを介して磁束が流れるようになる。ここで、回転子550の外周面とティースT2、Tnのティース先端面との間の間隙は、回転子550のd軸付近の外周面とティースT1のティース先端面との間の間隙より長いため、ティースT2、Tnを介して流れる磁束が減少する。
図18に示す回転子750においても、同様に、回転子750の外周面と各ティースのティース先端面との間の間隙が短いd軸付近に磁束が集中し、磁気飽和し易い。d軸付近が磁気飽和すると、ティースT1のティース先端面の周方向端部を介して磁束が流れるようになる。この場合、回転子750の外周面とティースT1のティース先端面との間の距離が長い間隙を介して磁束が流れるため、ティースT1を流れる磁束が減少する。
磁束が減少すると、固定子巻線の誘起電圧が低下する。固定子巻線の誘起電圧を増大させるためには、固定子巻線の巻数を増加させる必要がある。しかしながら、固定子巻線の巻数を増加させると、固定子巻線の銅損が増大するため、電動機の効率が低下する。
【0006】
図17に示す回転子650では、外周面650a〜650dが、回転子650の中心Oを中心とする半径Rの円弧形状に形成されている。このため、図16に示す回転子550のように、d軸付近に磁束が集中することはない。しかしながら、円弧形状に形成されている外周面650a〜650dと、V字状に切り欠かれている外周面650ab〜650daとの境界付近の箇所における磁束量の変化が大きくなる。このため、誘起電圧の波形に含まれる高調波成分が多くなる。
図19に示す回転子850においても、同様に、円弧形状に形成されている外周面850a〜850dと、V字状に切り欠かれている外周面850ab〜850daとの境界付近の箇所における磁束量の変化が大きくなる。このため、誘起電圧の波形に含まれる高調波成分が多くなる。
近年、永久磁石埋込型電動機の制御方式として、回転子の回転位置を検出するための回転子位置検出センサを用いないセンサレス制御方式が用いられている。このセンサレス制御方式では、例えば、誘起電圧の波形が正弦波形であると仮定し、入力電圧と入力電流を用いて回転子の回転位置を算出している。このようなセンサレス制御方式を用いている場合には、誘起電圧の波形に含まれる高調波成分が多くなると、回転子の回転位置の算出精度が低下する。この場合、最適な制御を行うことができなくなり、永久磁石埋込方電動機の効率が低下する。
【0007】
なお、集中巻方式では、分布巻方式に比べて、固定子巻線をスロット内に効率よく収容することができる。また、スロットからの固定子巻線のはみ出し量を少なくすることができる。スロットからの固定子巻線のはみ出し量が少ないと、固定子巻線の銅損が少なくなる。また、集中巻方式では、ティース端部(ティース本体部から周方向両側に突出している端部)の周方向に沿った長さが、分布巻方式に比べて長くなる。このため、分布巻方式に比べて、ティース端部が磁気飽和し易い。
分布巻方式では、集中巻方式に比べて、スロットからの固定子巻線のはみ出し量が多い。このため、分布巻方式に比べて固定子巻線の銅損が多い。また、集中巻方式に比べて、回転子の1極に対向する、固定子のティースの数が多い。このため、固定子のティースから回転子あるいは回転子から固定子のティースに流れる磁束が分散され、ティース端部への磁束の集中が減少する。したがって、分布巻方式では、集中巻方式に比べて、ティース端部での磁束の疎密差が小さくなり、音、振動が低い(例えば、10dB程度低い)。また、分布巻方式では、固定子のティース端部での磁束の集中が減少するため、永久磁石の局部的な減磁を考慮する必要がなくなる。これにより、磁化方向の磁石の厚みを薄くすることができ、永久磁石の使用量を低減することができる。
いずれの方式を採用するかは、永久磁石埋込型電動機が組み付けられる装置に要求される特性等に応じて選択される。
【0008】
分布巻方式あるいは集中巻方式のいずれを用いる場合でも、前述した永久磁石埋込型電動機では、回転子の特定箇所に磁束が集中しあるいは特定箇所の磁束量の変化が大きくなり、効率が低下する。
そこで、本出願人は、効率を向上させることができる永久磁石回転機を開発し、出願した、この永久磁石回転機では、回転子の外周面が、d軸と交差する第1の曲線形状の外周面と、q軸と交差し、第1の曲線形状の曲率半径より大きい曲率半径を有する第2の曲線形状の外周面により構成されている。
【特許文献1】特開平7−222384号公報
【特許文献2】特開2002−78255号公報
【特許文献3】特開2004−260972号公報
【特許文献4】特開2005−86955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、圧縮機等を駆動する永久磁石回転機に対する効率の向上だけでなく、音や振動の抑制に対する要望も高まっている。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、効率を向上させることができるとともに、音や振動の発生要因の一つであるコギングトルクを低減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの永久磁石回転機である。
本発明の永久磁石回転機は、典型的には、回転子の磁石挿入孔に永久磁石が挿入される永久磁石埋込型電動機として構成される。本発明は、固定子と、回転子を備えている。固定子には、回転子の外周面と対向するティース先端面を有するティースが設けられている。ティースによってスロットが形成され、スロット内に固定子巻線が収容される。固定子巻線は、例えば、分布巻方式や集中巻方式によってスロット内に収容される。回転子には、回転子の軸方向に直角な断面で見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されている。主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が、回転子の軸方向に設けられている。永久磁石は、周方向に交互に異なる極性の主磁極部が配置されるように、主磁極部毎に異なる極性に着磁される。
回転子を軸方向に直角な断面で見た時、回転子の外周面は、回転子の中心と主磁極部の周方向中心を結ぶ線(“d軸”)と交差する第1の曲線形状の外周面と、回転子の中心と補助磁極部の周方向中心を結ぶ線(“q軸”)と交差する第2の曲線形状の外周面を有している。第1及び第2の曲線形状は、外周方向に突状に形成されている曲線形状であり、第2の曲線形状の曲率半径R2は、第1の曲線形状の曲率半径R1より大きく設定されている(R2>R1)。第1の曲線形状及び第2の曲線形状は、突状に形成されている曲線形状であればよいが、典型的には、円弧形状が用いられる。
磁石挿入孔は、回転子外周側端壁が第2の曲線形状の外周面に対向するように設けられる。磁石挿入孔の形状や数は、種々変更可能である。そして、第2の曲線形状の外周面には、磁石挿入孔の回転子外周側端壁と対向する位置に切欠部が形成されている。切欠部の幅は、磁石挿入孔の回転子外周側端壁の幅より大きく設定される。切欠部は、種々の形状に形成することができる。例えば、第2の外周面あるいは第1の外周面に略平行な底面を有する溝形状に形成することができる。
本発明では、第1の曲線形状の外周面の幅をθ(開角;機械角)、回転子の極対数をP、切欠部の幅をA(開角;機械角)とした時、
(74/P)≦θ≦(86/P)
(16/P)≦A≦(48/P)
を満足するように構成されている。
なお、第1の曲線形状の外周面の幅θや切欠部の幅Aの長さ(例えば、回転子の周方向に沿った長さ)は、開角(機械角)と第1及び第2の曲線形状の曲率半径によって、一義的に定まる。したがって、第1の曲線形状の外周面の幅θや切欠部の幅Aを長さで表す態様は、第1の曲線形状の外周面の幅θや切欠部の幅Aを開角(機械角)で表す態様に包含される。
これにより、永久磁石回転機の効率を向上させることができるとともに、コギングトルクを低減することができる。すなわち、第1の曲線形状の外周面と第2の曲線形状の外周面を設けることにより、固定子のティースに流れる磁束の急激な変化を防止することができる。これにより、誘起電圧の波形に含まれる高調波成分を低減することができ、高調波成分に起因する効率の低下を防止することができる。また、回転子とティース端部との間の長い間隙がなくなるため、磁束の減少を防止することができる。これにより、固定子巻線の誘起電圧を維持するための固定子巻線の巻数の増加が不要となる。したがって、固定子巻線の銅損の増加を防止することができ、効率の低下を防止することができる。さらに、第2の曲線形状の外周面には、磁石挿入孔の回転子外周側端壁に対応する箇所に切欠部が形成されているため、永久磁石の磁束が、固定子のティースを介して短絡されるのを防止することができる。これにより、磁束の短絡によって発生するコギングトルクを低減することができる。
【0011】
本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの永久磁石回転機である。
本発明では、回転子の外周面とティース先端面との間の距離(間隙)の最小値をg、回転子の最外周面と、補助磁極部の外周面との間の距離の最大値をDとした時、
(0.5)≦(D/g)≦(1.6)
を満足するように構成されている。
回転子の最外周面は、回転子の中心から外周面までの距離の最大値を半径とする仮想外周面を意味する。例えば、第1の曲線形状が、回転子の中心を中心とする円弧形状である場合には、第1の曲線形状に対応する仮想外周面が回転子の最外周面である。
このように構成することにより、コギングトルクをより低減することができる。
【0012】
本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの永久磁石回転機である。
本発明では、回転子の外周面とティース先端面との間の距離の最小値をg、回転子の最外周面と、補助磁極部の外周面との間の距離の最大値をD、切欠部の深さの最小値をhとした時、
(0.08)×(g+D)≦h≦(0.6)×(g+D)
を満足するように構成されている。
切欠部の深さは、第2の曲線形状の外周面に対応する仮想外周面と切欠部の底面との間の距離を意味する。
このように構成することにより、コギングトルクをより低減することができる。
【0013】
本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの永久磁石回転機である。
本発明では、磁石挿入孔は、主磁極部の中央にブリッジ部が形成されるように設けられている。
主磁極部の中央にブリッジ部が設けられるように磁石挿入孔を配設することにより、遠心力に対する回転子強度が増大し、音や振動等の発生を防止することができる。
【0014】
本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの永久磁石回転機である。
本発明では、第1の曲線形状は、主磁極部のd軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成され、第2の曲線形状は、補助磁極部のq軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成されている。
第1の曲線形状は、回転子の中心を曲率中心とするのが好ましい。
第2の曲線形状の曲率中心は、q軸上の、回転子の中心より、第2の曲線形状の外周面と反対方向にずれている。
これにより、効率の向上及びコギングトルクの低減に有効な第1の曲線形状の外周面と第2の曲線形状の外周面を簡単に形成することができる。
【0015】
本発明の第6発明及び第7発明は、請求項6及び請求項7に記載されたとおりの圧縮装置及び自動車である。
圧縮機としては、冷蔵庫やエアコン等に用いられている種々の圧縮機が対応する。
車両には、自動車等が含まれる。車両に搭載される電動機としては、例えば、自動車等の車両を駆動する駆動用電動機、自動車等の車両に搭載されている機器(パワーウィンド、ワイパー、電動シート等)を駆動する電動機が対応する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜5に記載の永久磁石回転機を用いれば、効率を向上させることができるとともに、コギングトルクを低減することができる。
また、請求項6に記載の圧縮装置や請求項7に記載の自動車を用いれば、効率がよく、コギングトルクが小さい圧縮装置や自動車を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施の形態の永久磁石埋込型電動機20(以下、単に「永久磁石電動機30という)、を用いた圧縮機を図1、図2に示す。なお、図1は圧縮機10の縦断面図である。また、図2は、図1に示した永久磁石電動機30の回転子50の縦断面図である。
圧縮機10は、圧縮機構部20、永久磁石電動機30、アキュムレータ70用により構成されている。圧縮機構部20と永久磁石電動機30は、密閉容器11内に配置されている。密閉容器11には、吸入管71と、吐出管12が設けられている。
【0018】
アキュムレータ70は、冷却媒体(例えば、冷却ガス)と潤滑油を分離する。アキュムレータ70で分離された冷却媒体は、吸入管71を介して圧縮機構部20に戻る。また、アキュムレータ70で分離された潤滑油は、潤滑油溜め25に戻る。
圧縮機構部20は、シリンダ21と、回転軸60により駆動される偏心ロータ22を有している。圧縮機構部20は、偏心ロータ22が回転することによって、吸入管71から吸入された冷却媒体をシリンダ21内で圧縮する。
圧縮機構部20で圧縮された冷却媒体は、永久磁石電動機30の固定子40に形成された溝や孔、回転子50に形成された孔、固定子40と回転子50との間の空隙(ギャップ)等を通り、吐出管12から吐出される。
また、回転軸60の回転によって、潤滑油溜め25に貯留されている潤滑油が圧縮機構部20の摺動部に供給される。各摺動部を潤滑した潤滑油は、潤滑油留め25に戻される。
図1に示す圧縮機10では、冷却媒体と潤滑油が混在した媒体が吐出管12から吐出される。
【0019】
永久磁石電動機30は、固定子40と回転子50を有している。
本実施の形態の固定子40は、薄い板状の電磁鋼板を複数枚積層して形成される。固定子40は、例えば、図3に示すように、内周側にティースT1〜Tnが形成されている。また、固定子40には、冷却媒体を流す通路を形成するための溝や孔が形成される。固定子40の外周形状は、適宜決定される。
固定子40のティースT1〜Tnによって、スロットS1〜Snが形成されている。そして、スロットS1〜Sn内には、固定子巻線41(図1参照)が配設されている。固定子巻線41は、例えば、分布巻方式や集中巻方式によって、スロットS1〜Sn内に配設される。
なお、ティースT1の回転子50の外周面と対向する箇所には、ティース本体部から回転子50の回転方向の両側に延びるティース端部T1b及びT1c(図4参照)が設けられている。これにより、ティースT1には、回転子50と対向する箇所に、ティース端部T1bとT1cの間に延びるティース先端面T1aが形成されている。他のティースも同様である。
前述したように、固定子巻線41をスロットS1〜Sn内に配設する方式として分布巻方式が用いられるか集中巻方式が用いられるかによって、ティースT1〜Tnの形状が異なる。図3及び図4には、スロットS1〜Snに固定子巻線41が分布巻方式によって配設されるティースが示されている。
【0020】
回転子50は、筒形状を有し、固定子40の内周側に回転可能に配設される。この時、回転子50の外周面と固定子40のティースT1〜Tnのティース先端面との間の距離(ギャップ)は、所定範囲に設定される。
回転子50は、薄い板状の電磁鋼板を複数枚積層して形成される。回転子50には、図2に示すように、回転軸挿入孔59、磁石挿入孔51、カシメピン挿入孔55が、回転子50の軸方向に形成されている。
回転軸挿入孔59には、回転軸60が挿入される。回転軸60は、例えば、圧入方法や焼きばめ方法を用いて、回転軸挿入孔59に挿入される。
磁石挿入孔51には、永久磁石52が挿入される。永久磁石52は、例えば、隙間ばめ方法を用いて磁石挿入孔51に挿入される。
積層体の軸方向両端部には、端板53が配設される。そして、カシメピン挿入孔55に挿入されたカシメピン56によって、積層体と端板53が一体に固定される。なお、54は、バランスウェイトである。
【0021】
[第1の実施の形態]
次に、第1の実施の形態の永久磁石電動機30の構成を図3および図4を用いて詳しく説明する。なお、以下の各実施の形態では、磁極数が4(極対数が2)である回転子が用いられている。図3は、永久磁石電動機30を、軸方向に直角な方向から見た断面図(横断面図)であり、図4は、図3の要部の拡大図である。
また、回転子は、軸方向に直角な断面(横断面図)で見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されている。主磁極部には、磁石挿入孔が設けられている。以下では、各主磁極部を主磁極部A〜主磁極部Dで表し、各補助磁極部を補助磁極部AB〜補助磁極DAで表す。そして、各主磁極部A〜Dに設けられている要素の符号には、記号a〜dを付し、各補助磁極部AB〜DAに設けられている要素の符号には、記号ab〜daを付している。また、各主磁極部A〜D及び各補助磁極部AB〜DAの構成は同じであるため、以下では、主磁極部Aと補助磁極部DA、ABの構成について説明する。
主磁極部A〜Dと補助磁極部AB〜DAを周方向に交互に配置することにより、磁石挿入孔に挿入される永久磁石の磁束によるマグネットトルクと、補助磁極部AB〜DAの突極性によるリラクタンストルクの両方を利用することができる。補助磁極部AB〜DAの磁束通路幅を調整することによって、リラクタンストルクを調整することができる。
また、回転子の中心Oと主磁極部の周方向中心とを結ぶ線を「d軸」と表現し、回転子の中心Oと補助磁極部の周方向中心とを結ぶ線を「q軸」と表現する。
【0022】
本実施の形態の回転子50の主磁極部Aには、磁石挿入孔51a1と51a4が、回転子50の中心Oから見て、V字形状に形成されている。磁石挿入孔51a1と51a4の間(主磁極部Aの中央部)には、ブリッジ部51a7が設けられている。また、磁石挿入孔51a1、51a4の回転子外周側端壁51a2、51a5と、回転子外周面(後述する、切欠部50a1、50a2の底面)との間には、ブリッジ部51a8、51a9が設けられている。
ブリッジ部51a7〜51a9を設けることにより、遠心力に対する回転子強度を増加させることができ、音や振動の発生を防止することができる。特に、主磁極部Aの中央部に設けたブリッジ部51a7による効果が大きい。
磁石挿入孔51a1と51a4には、永久磁石が挿入される。本実施の形態では、製造の容易性の観点から、軸方向に直角な断面形状が長方形形状を有する(平板形状)永久磁石52a1と52a2が、磁石挿入孔51a1と51a4に挿入されている。
ここで、磁石挿入孔51a1、51a4には、回転子外周側端壁51a2、51a5の付近に、内側に突出する突部51a3、51a6が形成されている。この突部51a3、51a6によって、永久磁石52a1、52a2は、磁石挿入孔51a1、51a4内での移動が規制されている。これにより、永久磁石52a1、52a2と、磁石挿入孔51a1、51a4の回転子外周側端部51a2、51a5との間に空隙が形成される。永久磁石52a1、52a2の回転子外周側に空隙部を設けることによって、永久磁石52a1、52a2から磁束が漏れるのを防止することができる。空隙部には、樹脂等の非磁性体を充填してもよい。
永久磁石としては、フェライト磁石や希土類磁石等が用いられる。
他の主磁極部50B〜50Cにも、同様に、磁石挿入孔51b1、51b4〜51d1、51d4が、V字形状に形成されている。そして、磁石挿入孔51b1、51b4〜51d1、51d4に、それぞれ永久磁石52b1、52b2〜52d1、52d2が挿入されている。また、磁石挿入孔51b1、51b4〜51d1、51d4には、磁束の漏れを防止する空隙を形成するための突部51b3、51b6〜51d3、51d6が形成されている。さらに、ブリッジ部51b7、51b8、51b9〜51d7、51d8、51d9が設けられている。
【0023】
なお、主磁極部50A〜50Dの磁石挿入孔51a1、51a4〜51d1、51d4に挿入される永久磁石52a1、52a2〜52d1、52d2は、隣接する主磁極部同士が異極となるように磁化される。すなわち、周方向にS極とN極が交互に配置されるように磁化される。
例えば、回転子50の回転軸挿入孔59に回転軸60を挿入する。その後、回転子50と対向配置された固定子40の固定子巻線41に着磁用電流を流すことにより、永久磁石を磁化する。
【0024】
回転子50の外周面は、回転子50の軸方向に直角な断面で見て、第1の外周面50a〜50dと第2の外周面50ab〜50daにより構成されている。
第1の外周面50aは、回転子50の中心Oと主磁極部50Aの周方向中心とを結ぶ線(d軸)と交差し、外周方向に突状に形成されている第1の曲線形状を有している。また、第2の外周面50da、50abは、回転子50の中心Oと補助磁極部50DA、50ABの周方向中心とを結ぶ線(q軸)と交差し、外周方向に突状に形成されている第2の曲線形状を有している(図4参照)。第2の外周面50da、50abの曲線形状の曲率半径は、第1の外周面50aの曲率半径より大きく設定されている。第1の外周面50aと第2の外周面面50da、50abは、接続点A1、A2で接続されている。
ここで、第1の外周面50aの曲線形状及び第2の外周面50da、50abの曲線形状は、磁石挿入孔51a1、51a4の回転子外周側端壁51a2、51a5の外周側に、第2の外周面50da、50abが配置されるように設定される。すなわち、第1の外周面50aと第2の外周面50da、50abの接続点A1、A2は、磁石挿入孔51a1、51a4の回転子外周側端壁51a2、51a4に対向する外周面の位置よりd軸側に配置される。
本実施の形態では、第1の外周面50aは、回転子50の中心Oを中心とする半径R1の円弧形状に形成されている。また、第2の外周面50da、50abは、q軸上で、回転子50の中心Oより第2の外周面50da、50abと反対方向(第2の外周面から離れる方向)にずれた位置Pを中心とする、半径R2(R2>R1)の円弧形状に形成されている。他の第1の外周面50b〜50d、第2の外周面50bc、50cdも、同様に形成されている。
なお、第1の外周面50a〜50dや第2の外周面50ab〜50daの曲線形状は、円弧形状や楕円形状等の凸面形状であればよい。また、第1の外周面50a〜50dの曲率中心や第2の外周面50ab〜50daの曲率中心の位置は、適宜変更可能である。例えば、第1の外周面50a〜50dの曲率中心を、d軸上で、回転子50の中心Oより第1の外周面50a〜50dの方向(第1の外周面に近づく方向)にずれた位置に設定してもよい。
本実施の形態では、第1の外周面50a〜50dが本発明の「第1の曲線形状の外周面」に対応し、第2の外周面50ab〜50daが本発明の「第2の曲線形状の外周面」に対応する。
【0025】
本実施の形態では、回転子50の外周面を、d軸と交差する、第1の曲線形状を有する外周面50a〜50dと、q軸と交差し、第1の曲線形状の曲率半径より大きい曲率半径を有する第2の曲線形状の外周面50ab〜50daを交互に接続して構成している。これにより、固定子40のティースに流れる磁束の急激な変化を防止することができ、誘起電圧の波形に含まれる高調波成分を低減することができる。これにより、高調波成分に起因する効率の低下を防止することができる。また、回転子50とティース端部との間の長い間隙がなくなるため、磁束の減少を防止することができる。これにより、固定子巻線の誘起電圧を維持するための固定子巻線の巻数の増加が不要となる。したがって、固定子巻線の銅損の増加を防止することができ、効率の低下を防止することができる。
また、第1の外周面50a〜50dと第2の外周面50ab〜50daの接続部における磁束量の変化が小さいため、固定子巻線の誘起電圧の波形に含まれる高調波成分を低減することができる。これにより、センサレス制御方式を用いている場合でも、精度よく回転子の位置を検出することができ、最適な制御を行うことができる。したがって、回転子の位置検出精度の低下による効率の低下を防止することができる。
また、q軸と交差する第2の外周面50ab〜50daが、外周方向に突状に形成されている曲線形状に形成されているため、第2の外周面50ab〜50daとティース先端面T1a〜Tnaとの間の距離(間隙)の最大値(例えば、q軸に沿った距離)を従来例に比べて短くすることができる。これにより、リラクタンストルクも有効に利用することができる。
【0026】
ところで、永久磁石52a1、52a2と、磁石挿入孔51a1、51a4の回転子外周側端壁51a2、51a5との間に空隙が形成されているが、永久磁石52a1、52a2から発生する磁束が、固定子40に設けられているティースT1〜Tnを介して短絡されることがある。この場合、永久磁石52a1、52a2から発生する磁束は、ティースの本体部に対応するティース先端面や、ティース端部T1b、T1cに対応するティース先端面を介して短絡される。ここで、ティース端部T1b、T1cでは磁束が飽和し易い。このため、短絡磁束の変動によって、コギングトルクが発生することがある。コギングトルクは、音や振動を発生させるため、低減する必要がある。
そこで、本実施の形態では、回転子50の外周面を、第1の外周面50a〜50dと第2の外周面5ab〜50daにより構成するとともに、磁石挿入孔51a1、51a4〜51d1、51d4に挿入されている永久磁石52a1、52a2〜52d1、52d2から発生する磁束が、固定子40に設けられているティースT1〜Tnを介して短絡されることにより発生するコギングトルクを低減するための切欠部を設けている。
すなわち、図3及び図4に示すように、第2の外周面50ab〜50daには、磁石挿入孔51a1、51a4〜51d1、51d4の回転子外周側端壁51a2、51a5〜51d2、51d5と対向する箇所に、切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2が形成されている。切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の幅(周方向に沿った長さ)は、磁石挿入孔51a1、51a4〜51d1、51d4の回転子外周側端壁51a2、51a5〜51d2、51d5の幅(周方向に沿った長さ)より大きく設定されている。これにより、ティースT1〜Tnを介して流れる短絡磁束の量を低減することができ、短絡磁束の変動に起因するコギングトルクを低減することができる。
【0027】
以下に、効率を向上させるとともにコギングトルクを低減するための、回転子50の各部の値をについて説明する。
切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2は、種々の形状に形成することができる。例えば、第2の外周面50da、50abと略平行な底面を有する溝状、あるいは、第1の外周面50aに略平行な底面を有する溝状に形成することができる。本実施の形態では、切欠部50a1、50a2は、第2の外周面50da、50abと略平行な底面を有する溝状に形成されている。
切欠部50a1、50a2は、幅Aと深さを有している。切欠部50a1、50a2の幅Aは、第2の外周面50da、50abと切欠部50a1、50a2との接続点間の、周方向の長さである。また、切欠部50a1、50a2の深さは、第2の外周面50da、50abに対応する仮想外周面と切欠部50a1、50a2の底面との間の距離である。図4では、切欠部50a1、50a2の幅Aは、回転子50の中心Oに対する開角で表されている。
なお、本実施の形態では、切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2が本発明の「切欠部」に対応する。
【0028】
まず、切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の幅Aと効率及びコギングトルクとの関係を図5に示す。
図5は、図3及び図4に示す永久磁石電動機30の回転子50の磁極数が4極(極対数が2)、回転子50の第1の外周面50aの半径R1が29.9mm、回転子50の外周面と固定子40のティースT1〜Tnのティース先端面との間の距離(間隙)の最小値(例えば、d軸に沿った距離)gが0.6mm、回転子50の最外周面(例えば、半径R1の仮想外周面)と第2の外周面50da、50abとの間の距離の最大値Dが0.425mm、切欠部50a1、50a2の深さの最小値hが0.2mmである場合のものである。
なお、図5では、切欠部50a1、50a2の幅Aを、回転子50の中心Oに対する開角(機械角)で表している。
図5では、横軸に切欠部50a1、50a2の幅A(開角;機開角)を示し、縦軸に効率(%)及びコギングトルク(g/m)を示している。また、二点差線は、第1の外周面50aの幅θ(開角;機械角)を34度に設定した時のものであり、長い破線は、θを37度に設定した時のものであり、実線は、θを40度に設定した時のものであり、一点鎖線は、θを43度に設定した時のものであり、短い破線は、θを46度に設定した時のものである。なお、第1の外周面50aの幅θは、長さで表すこともできる。
図5から、θを34度、37度、40度、43度、46度のいずれに設定した場合も、切欠部50a1、50a2の幅Aが24度を越えると、効率が、切欠部50a1、50a2が設けられていない場合より低下していることが分かる。これにより、[0<切欠部の幅A(開角;機械角)≦24度]に設定することにより、効率を向上させることができる。
また、図5から、切欠部の幅Aが8度を越えると、コギングトルクが、切欠部50a1、50a2が設けられていない場合より低減されていることがわかる。ここで、θを34度、46度に設定した時のコギングトルクの低減効果は、θを37度、40度、43度に設定した時の低減効果より小さい。
これにより、[37度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦43度]、[8度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦24度]、に設定することにより、コギングトルクを効果的に低減することができる。
なお、第1の外周面50aの曲率半径R1が、22mm〜32.5mmの範囲内、回転子の外周面とティース先端面との間の間隙の最小値gが、0.45mm〜0.7mmの範囲内、切欠部の深さの最小値hが、0.1mm〜0.4mmの範囲内、回転子50の最外周面と第2の外周面50da、50abとの間の距離の最大値Dが、0.3mm〜0.7mmの範囲内あれば、切欠部の幅Aと効率及びコギングトルクの関係を示すグラフは、図5に示すグラフと略等しい。
以上のことから、[37度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦43度]、[8度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦24度]を満足するように構成することにより、効率を向上させることができるとともに、コギングトルクを低減することができる。
【0029】
ここで、回転子50の極対数が2の場合の前記条件[37度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦43度]、[8度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦24度]は、回転子50の極対数に応じて変更される。
例えば、回転子50の極対数が1の場合には、極対数が2の場合の条件の2倍、すなわち、[74度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦86度]、[16度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦48度]に対応する。また、回転子50の極対数が3の場合には、極対数が2の場合の条件の2/3倍、すなわち、[(74/3)度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦(86/3)度]、[(16/3)度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦(48/3)度]に対応する。
したがって、回転子50の極対数をPとした場合、第1の外周面50aの幅θ(開角;機械角)が[(74/P)度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦(86/P)度]を満足し、切欠部50a1、50a2の幅A(開角;機械角)が[(16/P)度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦(48/P)度]を満足するように構成することにより、効率を向上させることができるとともに、コギングトルクを低減することができる。
【0030】
次に、回転子50の最外周面(第1の外周面50a〜50dに対応する、半径R1の仮想外周面)と第2の外周面50ab〜50daとの間の距離の最大値D、回転子50の外周面と固定子40のティースT1〜Tnのティース先端面との間の距離(間隙)の最小値gと効率及びコギングトルクとの関係を図6に示す。
図6は、前述した、効率を向上させることができるとともに、コギングトルクを低減することができる条件[(74/P)度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦(86/P)度]、[(16/P)度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦(48/P)度]に対して、D/gと効率及びコギングトルクの関係を示している。また、図6は、図3及び図4に示す永久磁石電動機30の回転子50の磁極数が4極(極対数が2)、回転子50の第1の外周面50aの曲率半径R1が29.9mm、切欠部50a1、50a2の深さの最小値hが0.2mm、第1の外周面50aの幅θ(開角;機械角)が41.5度である場合のものである。
図6では、横軸にD/gを示し、縦軸に効率(%)及びコギングトルク(g/m)を示している。また、破線は、第1の外周面50aの幅θ(開角;機械角)を37度に設定した時のものであり、実線は、θを40度に設定した時のものであり、一点鎖線は、θを43度に設定した時のものである。なお、第1の外周面50aの幅θは、長さで表すこともできる。
図6から、D/gが1.6を越えると、効率が、第2の外周面50da、50abが設けられていない場合の効率より低下していることがわかる。これにより、[0<D/g≦1.6]に設定することにより、効率を向上させることができる。
また、図6から、D/gが0.5〜1.6の範囲内である場合に、コギングトルクが、第2の外周面50da、50abが設けられていない場合より大幅に低減されていることがわかる。これにより、[0.5≦D/g≦1.6]に設定することにより、コギングトルクを低減することができる。
なお、第1の外周面50a曲率半径R1が、22mm〜32.5mmの範囲内、回転子の外周面とティース先端面との間の間隙の最小値gが、0.45mm〜0.7mmの範囲内、切欠部の深さの最小値hが、0.1mm〜0.4mmの範囲内、回転子50の最外周面と第2の外周面50da、50abとの間の距離の最大値Dが、0.3mm〜0.7mmの範囲内あれば、D/gと効率及びコギングトルクの関係を示すグラフは、図6に示すグラフと略等しい。
以上のことから、[(74/P)度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦(86/P)度]、[(16/P)度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦(48/P)度]、[0.5≦D/g≦1.6]という条件を満足するように構成することにより、コギングトルクをより低減することができる。
【0031】
次に、切欠部50a1、50a2の深さの最小値hとコギングトルクとの関係を図7に示す。切欠部50a1、50a2の深さの最小値hとしては、例えば、q軸に沿った深さを用いることができる。
図7は、前述した、効率を向上させることができるとともに、コギングトルクを低減することができる条件[(74/P)度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦(86/P)度]、[(16/P)度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦(48/P)度]に対して、hとコギングトルクの関係を示している。また、図7は、図3及び図4に示す永久磁石電動機30の回転子50の磁極数が4極(極対数が2)、回転子50の第1の外周面50aの曲率半径R1が29.9mm、回転子50の外周面とティース先端面との間の距離(間隙)の最小値gが0.6mm、第1の外周面50aの幅θ(開角;機械角)が41.5度である場合のものである。
図7では、横軸にhを示し、縦軸にコギングトルク(g/m)を示している。
図7から、hが、[0.08×(g+D)]と[0.6×(g+D)]の範囲内で、コギングトルクが低減していることがわかる。すなわち、切欠部50a1、50a2の深さが浅い場合には、第2の外周面50da、50abとティース先端面との間の磁気抵抗と、切欠部の底面とティース先端面との間の磁気抵抗との差が殆どない。このため、切欠部50a1、50a2によるコギングトルクの低減効果が低い。また、切欠部50a1、50a2の深さが深い場合には、切欠部50a1、50a2の底面とティース先端面との間の磁気抵抗が大きくなりすぎる。この場合には、第2の外周面50da、50abと切欠部50a1、50a2の境界付近で磁気抵抗が急激に変化することによって、コギングトルクが発生する。
なお、第1の外周面50a曲率半径R1が、22mm〜32.5mmの範囲内、回転子の外周面とティース先端面との間の間隙の最小値gが、0.45mm〜0.7mmの範囲内、切欠部の深さの最小値hが、0.1mm〜0.4mmの範囲内、回転子50の最外周面と第2の外周面50da、50abとの間の距離の最大値Dが、0.3mm〜0.7mmの範囲内あれば、hとコギングトルクの関係を示すグラフは、図7に示すグラフと略等しい。
以上のことから、[(74/P)度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦(86/P)度]、[(16/P)度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦(48/P)度]、[0.08×(g+D)≦h≦0.6×(g+D)]という条件を満足するように構成することにより、コギングトルクをより低減することができる、あるいは、[(74/P)度≦第1の外周面の幅θ(開角;機械角)≦(86/P)度]、[(16/P)度≦切欠部の幅A(開角;機械角)≦(48/P)度]、[0.5≦D/g≦1.6]、[0.08×(g+D)≦h≦0.6×(g+D)]という条件を満足するように構成することにより、コギングトルクをさらに低減することができる。
【0032】
図3及び図4に示す永久磁石電動機では、回転子50の最外周面と第2の外周面50da、50abとの間の距離の最大値Dを、回転子50のみで確保した。この距離Dは、回転子50と固定子40で確保することもできる。
第1の実施の形態の変更例の部分拡大図を図8に示す。図8に示す実施の形態では、ティースTのティース先端面Taには、回転子50の回転方向の両側に切欠部Tdが設けられている。切欠部Tdは、回転子50の回転方向に沿って、端部側の切欠長(回転子50の外周部との間の距離)が大きくなるように傾斜状に形成されている。切欠部Tdの最大切欠長はD2であり、幅はWである。
なお、切欠部Tdは、永久磁石から発生する磁束がティース端部Tb、Tcに対応するティース先端面Taを介して短絡されるのを低減するために設けられている。このため、切欠部Tdの幅Wは、磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の幅(あるいは磁石挿入孔の幅)より長く設定するのが好ましい。
図8に示す変更例では、回転子50の最外周面(第1の外周面50aに対応する、半径R1の仮想外周面)と第2の外周面50da、50abとの間の距離の最大値D1(例えば、q軸に沿った距離)と、ティース先端面に形成されている切欠部Tdの最大切欠長D2の和(D1+D2)が前述した距離Dに対応する。
この距離(D1+D2)を、前記した条件のDに代えて用いることにより、前記した効果と同様の効果を達成することができる。
このように、ティース先端面の両端部に切欠部を設けることにより、磁束がティース端部で急激に変化するのを防止することができる。これにより、コギングトルクをより低減することができる。
【0033】
以上では、磁石挿入孔51a1、51a4〜51d1、51d4の回転子外周側端壁51a2、51a5〜51d2、51d5と対向する箇所に形成された切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の幅Aを、第2の外周面50ab〜50daの曲率中心Oに対する開角(機械角)で表した。
ここで、切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の開角(機械角)と第2の外周面50ab〜50daの曲率半径R2が定まれば、切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の長さは一義的に決定される。
したがって、切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の幅Aは、図9に示すように、開角(機械角)に対応する長さで表すこともできる。例えば、周方向に沿った長さで表すことができる。切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の幅Aを長さで表す態様は、切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2の幅Aを開角(機械角)で表す態様に包含される。
【0034】
また、磁石挿入孔51a1、51a4〜51d1、51d4の回転子外周側端壁51a2、51a5〜51d2、51d5と切欠部50a1、50a2〜50d1、50d2との配置関係は適宜選択可能である。
例えば、図10に示すように、切欠部50a1の回転方向側の位置に回転子外周側端壁51a2を配置してもよい。あるいは、図11に示すように、切欠部50a1の中央の位置に回転子外周側端壁51a2を配置してもよい。あるいは、図12に示すように、切欠部50a1の反回転方向側の位置に回転子外周側端壁51a2を配置してもよい。
すなわち、切欠部50a1に対向する位置に回転子外周側端壁51a2が配置されていれば、永久磁石から発生する磁束がティース、特に、ティース端部を介して流れるのを防止することができる。
【0035】
以上の実施の形態では、V字形状に配設した磁石挿入孔に、断面形状が長方形形状の(平板形状)永久磁石を挿入したが、磁石挿入孔や永久磁石の形状、数等は種々変更可能である。
以下に、他の実施の形態で用いる回転子を図13〜図15を参照して説明する。なお、図13〜図15は、回転子の軸方向に直角な断面(横断面)を示している。
【0036】
図13に示す第2の実施の形態の回転子150は、磁石挿入孔の回転子外周側端壁と切欠部との間に空隙部を形成している点が第1の実施の形態の回転子50と異なっている。
第2の実施の形態では、主磁極部150Aには、磁石挿入孔151a1、151a3が、回転子150の中心Oから見て、略V字形状となるように配設されている。
磁石挿入孔151a1、151a3には、それぞれ断面形状が長方形形状を有する(平板形状の)永久磁石152a1、152a2が挿入されている。
ここで、永久磁石152a1、152a2と、磁石挿入孔151a1、151a3の回転子外周側端壁151a2、151a4との間に空隙が形成されないように、永久磁石152a1、152a2が磁石挿入孔151a1、151a3に挿入されている。そして、磁石挿入孔151a1、151a3の回転子外周側端壁151a2、151a4と第2の外周面150da、150ab(切欠部150a1、150a2の底面)との間に空隙部151a5、151a6が形成されている。この時、磁石挿入孔151a1、151a3の回転子外周側端壁151a2、151a4と空隙部151a5、151a6との間、空隙部151a5、151a6と第2の外周面150da、150ab(切欠部150a1、150a2の底面)との間にブリッジ部151a8、151a9、151a10、151a11が設けられている。このように複数のブリッジ部を設けることにより、遠心力に対する回転子強度を増加させることができる。
本実施の形態の回転子150では、第2の外周面150da、150abには、空隙部151a5、151a6と対向する箇所に切欠部150a1、150a2が形成されている。
【0037】
図14に示す第3の実施の形態の回転子250は、磁石挿入孔及び永久磁石の形状が第1の実施の形態の回転子50と異なっている。
第3の実施の形態では、主磁極部250Aには、円弧形状の断面形状を有する磁石挿入孔251a1が設けられている。円弧形状は、回転子の中心方向に突状に形成されている。
磁石挿入孔251a1には、磁石挿入孔251a1と略同じ断面形状を有する永久磁石252aが挿入されている。
本実施の形態の回転子では、永久磁石252aと第2の外周面250da、250ab(切欠部250a1、250a2の底面)との間には空隙部が設けられていない。
【0038】
図15に示す第4の実施の形態の回転子350は、磁石挿入孔の形状が第1の実施の形態の回転子50と異なっている。
第4の実施の形態では、主磁極部350Aには、d軸に略直角な方向に磁石挿入孔351a1が設けられている。
磁石挿入孔351a1には、断面形状が長方形形状を有する(平板形状)永久磁石352aが挿入されている。
ここで、永久磁石352aと、磁石挿入孔351a1の回転子外周側端壁351a2、351a3との間に空隙が形成されないように、永久磁石352aが磁石挿入孔351a1に挿入されている。そして、磁石挿入孔351a1の回転子外周側端壁351a2、351a3と第2の外周面350da、350ab(切欠部350a1、350a2の底面)との間に空隙部351a4、351a5が形成されている。この時、磁石挿入孔351a1の回転子外周側端壁351a2、351a3と空隙部351a4、351a5との間、空隙部351a4、351a5と第2の外周面350da、350ab(切欠部350a1、350a2の底面)との間にブリッジ部351a6、351a7、351a8、351a9が設けられている。
【0039】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されることなく、種々の変更、追加、削除が可能である。
例えば、回転子の主磁極部に、永久磁石を径方向に1層だけ配置して、単層構造の回転子を構成したが、永久磁石を径方向に複数層配置して、多層構造の回転子を構成することもできる。
また、磁石挿入孔の形状や永久磁石の形状、数等は種々変更可能である。さらに、永久磁石の材料も種々変更可能である。
また、固定子のスロット数と回転子の極対数の組み合わせとしては、種々の組み合わせが可能である。
また、永久磁石埋込型電動機について説明したが、本発明は種々の構造の永久磁石電動機等として構成することができる。
また、永久磁石回転機をエアコン(空調装置)や冷蔵庫等に設けられている圧縮装置の圧縮機を駆動する電動機として用いた場合について説明したが、本発明の永久磁石回転機は、これ以外の種々の機器を駆動する電動機として用いることができる。例えば、自動車等の車両に搭載される電動機として用いることができる。自動車等の車両に搭載される電動機としては、例えば、車両を駆動する電動機、車両に搭載されている車載機器(例えば、パワーウィンドー、ワイパー、電動シート等)を駆動する電動機等が対応する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に対応する永久磁石回転機を用いた圧縮装置の縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に対応する永久磁石回転機の回転子の縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に対応する永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【図4】図3の要部の拡大図である。
【図5】A(切欠部の幅)と効率・コギングトルクとの関係を示す図である。
【図6】[D(回転子の最外周面と補助磁極部の外周面との間の距離の最大値)/g(回転子の害す風面とティース先端面との間のギャップの最小値)]と効率・コギングトルクとの関係を示す図である。
【図7】h(切欠部の深さ)とコギングトルクとの関係を示す図である。
【図8】固定子のティースの変更例を示す図である。
【図9】切欠部を長さで表した図である。
【図10】磁石挿入孔の回転子外周側端壁と切欠部との配置関係を説明する図である。
【図11】磁石挿入孔の回転子外周側端壁と切欠部との配置関係を説明する図である。
【図12】磁石挿入孔の回転子外周側端壁と切欠部との配置関係を説明する図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に対応する永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に対応する永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に対応する永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【図16】従来の永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【図17】従来の永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【図18】従来の永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【図19】従来の永久磁石回転機の回転子の横断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 圧縮機
20 圧縮機構部
11 密閉ケース
12 吐出口
30 永久磁石電動機
40 固定子巻線
T1〜Tn ティース
Ta ティース先端面
Tb、Tc ティース端部
S1〜Sn スロット
40、140、240、340、540、640、740、840 固定子
50、150、250、350、550、650、750、850 回転子
50A、50B、50C、50D、150A、150B、150C、150D、250A、250B、250C、250D、350A、350B、350C、350D 主磁極部
50AB、50BC、50CD、50DA、150AB、150BC、150CD、150DA、250AB、250BC、250CD、250DA、350AB、350BC、350CD、350DA 補助磁極部
50a、50b、50c、50d、150a、150b、150c、150d、250a、250b、250c、250d、350a、350b、350c、350d 第1の外周面(第1の曲線形状の外周面)
50ab、50bc、50cd、50da、150ab、150bc、150cd、150da、250ab、250bc、250cd、250da、350ab、350bc、350cd、350da 第2の外周面(第2の曲線形状の外周面)
50a1、50a2、50b1、50b2、50c1、50c2、50d1、50d2、150a1、150a2、150b1、150d2、250a1、250a2、250b1、250d2、350a1、350a2、350b1、350d2 切欠部
51a1、51a4、51b1、51b4、51c1、51c4、51d1、51d4、151a1、151a3、251a1、351a1 磁石挿入孔
51a2、51a5、51b2、51b5、51c2、51c5、51d2、51d5、151a2、151a4、251a2、251a3、351a2、351a3 回転子外周側端壁
52a1、52a2、52b1、52b2、52c1、52c2、52d1、52d2、152a1、152a2、252a、352a 永久磁石
51a7〜51a9、51b7〜51b9、51c7〜51c9、51d7〜51d9、151a7〜151a11、251a4、251a5、351a6〜351a9 ブリッジ部
53 端板
54 バランスウェイト
55 カシメピン挿入孔
56 カシメピン
59 回転軸挿入孔
60、160、260、360 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、回転子を備え、前記固定子には、前記回転子の外周面と対向するティース先端面を有するティースが設けられており、前記回転子には、軸方向に直角な断面で見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されており、前記主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が設けられている永久磁石回転機であって、
前記回転子を軸方向に直角な断面で見た時、前記回転子の外周面は、主磁極部のd軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第1の曲線形状の外周面と、補助磁極部のq軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第2の曲線形状の外周面を有し、前記第2の曲線形状の外周面の曲率半径は、前記第1の曲線形状の外周面の曲率半径より大きく設定されており、前記第2の曲線形状の外周面には、前記磁石挿入孔の回転子外周側端壁と対向する位置に切欠部が形成されており、
前記第1の曲線形状の外周面の開角(機械角)をθ、前記回転子の極対数をP、前記切欠部の開角(機械角)をAとした時、
(74/P)≦θ≦(86/P)
(16/P)≦A≦(48/P)
を満足するように構成されている、
ことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項2】
請求項1に記載の永久磁石回転機であって、
前記回転子の外周面と前記ティース先端面との間の距離の最小値をg、前記回転子の最外周面と前記補助磁極部の外周面との間の距離の最大値をDとした時、
(0.5)≦(D/g)≦(1.6)
を満足するように構成されている、
ことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の永久磁石回転機であって、
前記回転子の外周面と前記ティース先端面との間の距離の最小値をg、前記回転子の最外周面と前記補助磁極部の外周面との間の距離の最大値をD、前記切欠部の深さの最小値をhとした時、
(0.08)×(g+D)≦h≦(0.6)×(g+D)
を満足するように構成されている、
ことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石回転機であって、
磁石挿入孔は、主磁極部の中央部にブリッジ部が形成されるように設けられている、
ことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の永久磁石回転機であって、
前記第1の曲線形状は、主磁極部のd軸上に曲率中心を有する円弧形状であり、前記第2の曲線形状は、補助磁極部のq軸上に曲率中心を有する円弧形状である、
ことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の永久磁石回転機を、圧縮機を駆動する電動機として用いた圧縮装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかの永久磁石回転機を、車両に搭載される電動機として用いた自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−159197(P2007−159197A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347741(P2005−347741)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】