洗濯機
【課題】貯水槽の内面や洗濯槽の外面を洗浄することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】パルセータ40のベース40a下面に複数の羽根41が設置され、羽根41の下端には円環状の裏蓋42が設置され、これらによって複数の略角錐台状の加速流路43が形成される。洗濯槽30の内面には上下方向に循環水路50が形成され、洗濯円筒部33の循環水路50範囲には微細気泡(マイクロバブル)を発生させるエジェクタ部90が設けられている。パルセータ40の周囲は循環水路50の吐出口52を除いてケーシング60によって包囲されているから、パルセータ40の回転によって吐出された洗濯水は循環水路50に流れ込み、微細気泡(マイクロバブル)を含む洗濯水が洗濯円筒部33に形成された噴射孔70から貯水槽20に向かって噴射される。
【解決手段】パルセータ40のベース40a下面に複数の羽根41が設置され、羽根41の下端には円環状の裏蓋42が設置され、これらによって複数の略角錐台状の加速流路43が形成される。洗濯槽30の内面には上下方向に循環水路50が形成され、洗濯円筒部33の循環水路50範囲には微細気泡(マイクロバブル)を発生させるエジェクタ部90が設けられている。パルセータ40の周囲は循環水路50の吐出口52を除いてケーシング60によって包囲されているから、パルセータ40の回転によって吐出された洗濯水は循環水路50に流れ込み、微細気泡(マイクロバブル)を含む洗濯水が洗濯円筒部33に形成された噴射孔70から貯水槽20に向かって噴射される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯機は、パルセータ方式とドラム式とに大別される。パルセータ方式は、洗濯槽に配置されたパルセータを回転して、その回転によって「回流する水流」を発生させ、摩擦または振動などの機械的作用と洗剤による化学作用とによって汚れを除去するものである。そして、洗濯中に「泡」を発生するため、「泡」を洗濯槽の外部に流出しないようにしたり、洗濯槽の外部に流出した「泡」が、洗濯槽を収納する貯水槽の外部に流出しないようにしたりする発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−168589号公報(第4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、パルセータの裏面に設けた裏羽根のポンプアップ作用によって吐出された洗濯水を、泡が洗濯槽の外部に流出しないようにするため洗濯槽に散布したり、洗濯槽の外部に流出した泡が貯水槽の外部に流出しないように、洗濯槽と貯水槽の間に散布したりするものであるため、所定の消泡効果が得られるものの、消泡後に洗濯槽の外面や貯水槽の内面に「汚れ」が付着し、該汚れが除去されないという問題があった。また、洗濯水の飛沫による汚れについても除去されないという問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、洗濯槽の外面や貯水槽の内面に汚れが付着しないようにしたり、汚れが付着したとしても該汚れを除去したりすることができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納された洗濯槽と、
該洗濯槽の底部に配設されたパルセータと、
該パルセータのベースの下に形成されたポンプ室と、
前記洗濯槽に設置され、前記ポンプ室に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、該循環水路を流れる洗濯水に微細気泡を含ませる微細気泡生成手段と、
を有し、
前記循環水路から、微細気泡を含む洗濯水が前記貯水槽に向かって散布されることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において「洗濯槽」とは、洗濯および脱水に供するものでは「脱水兼洗濯槽」に同じであり、乾燥に供するものでは(たとえば、温風が供給される場合)「乾燥兼脱水兼洗濯槽」に同じである。また、「洗濯水」とは、洗濯に供する水であって、水道水、風呂水やこれらに洗剤が投入されたものを指し、特段限定するものではない。また、洗濯とは、「洗い」または「すすぎ」の一方または両方を指している。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明に係る洗濯機は、パルセータのベースの下に形成されたポンプ室によって洗濯水が吐出されるから、特別のポンプを設置する必要がなく、また、微細気泡を含む洗濯水が貯水槽に向けて噴射されるから、貯水槽の内面が洗浄される。
特に、噴射された洗濯水に含まれた微細気泡は洗濯水中を上昇するから、このとき、洗濯槽の外面を洗浄すると共に、貯水槽の内面の水面よりも高い範囲は洗濯水の飛沫によって汚れ易いところ、当該範囲が噴射された微細気泡を含む洗濯水によって洗浄されるから、貯水槽の内面および洗濯槽の外面が清浄になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施の形態1:洗濯機]
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係る洗濯機を説明する、図1は側面視の断面図、図2はA−A断面図(平面視)、図3はB−B断面図(平面視)である。なお、図中、各構成部材を模式的に示しているため、その寸法は正確でない。特に、薄板によって形成されている部材については、明りょうにするため、厚さを誇張して示している。また、各図において同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図1において、洗濯機100は、一連の洗い行程とすすぎ行程と脱水行程と乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程とすすぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。
【0010】
(筐体)
筺体10は断面矩形の筒状(略直方体に同じ)であって、天面にはトップカバー11が設置されている。トップカバー11には筐体開口部12が形成され、衣類の出し入れに供する衣類投入口となっている。そして、筐体開口部12には外蓋12a(たとえば、無色または有色の透明プラスチック等の光透過性のある部材で構成されている)が開閉自在に設置されている。
また、筺体10の筐体側壁13の四隅上端部近くにブラケット14が設置され、貯水槽20を吊り下げる4本の吊棒19の上端部がブラケット14に係止している。
【0011】
(貯水槽)
図1〜図3において、筺体10内に貯水槽20が収納されている。貯水槽20は天面が開放され、底面が閉塞されたコップ状であって、水槽円筒部23に設置されたブラケット24に吊棒19の下端部が係止し、吊棒19によって吊り上げられている。
貯水槽20の上端面(天面開口部の周囲に同じ)には内フランジ状に水槽カバー21が設置されている。すなわち、水槽カバー21はリング状であって、該リングの水槽開口部22を通過して衣類を投入したり取り出したりすることになる。
そして、筐体10の筐体開口部12と貯水槽20の水槽開口部22とを連通するフード15が設置されている。フード15は可撓性または伸縮性を具備するから、貯水槽20の傾斜に追従して変形する。
【0012】
(洗濯槽)
洗濯槽30は、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水とに供するものでは「洗濯兼脱水槽」と、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水と乾燥とに供するものでは「洗濯兼脱水兼乾燥槽」とも称呼されるものである。洗濯槽30は貯水槽20に回転自在に配置されている。
洗濯槽30は、天面が開放され、底面が閉塞された洗濯円筒部33を具備するコップ状で、洗濯円筒部33には脱水のための複数の通水孔(以下「脱水孔」と称す)34が形成されて、天面開口部31の周囲にはバランサー32が設置されている。したがって、バランサー32の内周で囲まれた範囲が開口部として、衣類を投入したり取り出したりするために供される。
【0013】
(パルセータ)
洗濯槽30の底面36の内側(槽内)には、パルセータ40が回転自在に配置されている。パルセータ40のベース40aの上面には羽根40bが形成され、投入された衣類および注入された水を効率的に攪拌するようになっている。ベース40aの下面には略半径方向に向かって複数の羽根41が設置され、複数の羽根41の下端部には、これらを連結する円環状板(以下「裏蓋」と称す)42が設置されている。したがって、ベース40aの下面と裏蓋42の上面との間には、一対の羽根41に仕切られた複数の略角錐台状の空間(以下「加速流路」と称す)43が形成されている。
【0014】
また、裏蓋42の内周縁とパルセータ40の駆動軸44との間には円環状の隙間(以下「吸引口」と称す)45が形成され、洗濯槽30の底面36には吸引口45に対峙する開口部(以下「循環口」と称す)35が形成されている。
よって、水中に没した状態で、パルセータ40を回転すると、加速流路43内の水は遠心力によって半径方向の外側に飛ばされるから、貯水槽20の底部に貯まった水は、循環口35および吸引口45を通過して、加速流路43に吸い込まれることになる。このとき、加速流路43は回転する部材のみ(いわゆるロータ)によって形成されるから、回転する部材と回転しない部材と(いわゆるロータとステータと)から形成されるものよりも、ポンプ性能(吸引/吐出性能に同じ)が優れている。
【0015】
(循環水路)
洗濯槽30の洗濯円筒部33の内面側には、所定厚さ(半径方向の距離に同じ)で、所定幅(円周方向の距離に同じ)の循環水路50が、底面36から略上端にまで、鉛直方向(図中、上下方向)に形成されている。循環水路50は、洗濯円筒部33の一部と循環水路壁53とによって囲まれ、上端部は上蓋部51によって塞がれ、洗濯槽30の底面36と循環水路壁53との間には開口部(以下「吐出口」と称す)52が形成されいる。なお、循環水路50が円周方向で3箇所配置されたものを示しているが、その数量を限定するものではない。
【0016】
また、洗濯槽30の底面36の循環水路50を除く範囲には、ケーシング60が設置されている。すなわち、ケーシング60は外周61が洗濯円筒部33および循環水路壁53に接続され、内周開口部62にパルセータ40が回転自在に収納されている。そして、内周開口部62の内周とパルセータ40の外周46との隙間63は狭いため、パルセータ40を回転すると、貯水槽20の底部に貯まった水は、循環口35および吸引口45を通過して加速流路43に吸い込まれ、吐出口52を通過して循環水路50に流入することになる。
したがって、パルセータ40の下面と羽根41と裏蓋42とケーシング60とによって、ポンプ室が形成されることになる。
【0017】
なお、ベース40aの外周46に沿って、その下面に円環状の突条(正確には、複数の羽根41によって分断されているから、複数の円弧状の突条)47が設置されている。このため、加速流路43内でパルセータ40の下面に沿って流れた流れは、外周46において突条47によって下方向に曲げられる。
また、パルセータ40に設置されて突条47の下縁は、循環水路50の吐出口52の上縁(吐出口52における循環水路壁53の下面に同じ)54よりも低い位置になっている。このため、パルセータ40の回転によって加速流路43から吹き出される水が、吐出口52の端面(吐出口52における循環水路壁53の内周面に同じ)55に直接衝突することがない。
したがって、加速流路43から吹き出される水は、吐出口52の端面55とパルセータ40の外周46との隙間56から、洗濯槽30内に侵入しないよう(または侵入困難)になっている。
【0018】
さらに、洗濯円筒部33の循環水路50を形成する範囲には、複数の貫通孔(以下「噴射孔」と称す)70a、70b、70c、70d(以下、まとめて「噴射孔70」と称する場合がある)が形成され、それぞれに微細気泡を含んだ洗濯水を吐出するエジェクタ部90a、90b、90c、90d(以下、まとめて「エジェクタ部90」と称する場合がある)が設置されている(これについては別途詳細に説明する)。
よって、貯水槽20の洗濯水が飛沫する範囲に向けても洗濯水が勢いよく噴射されるから、貯水槽20の当該範囲が洗浄されることになる。
なお、噴射孔70(エジェクタ部90に同じ)が4箇所形成されたものを示しているが、その数量を限定するものではない。
【0019】
(回転モータ)
貯水槽20の底面26に洗濯槽30およびパルセータ40を回転駆動するための共通の回転モータ80が設置されている。また、回転モータ80の回転をパルセータ40または洗濯槽30に振り分ける回転分配手段(図示しない)が設置されている。
そして、回転モータ80および前記回転分配手段は、制御手段の指令によって、洗濯行程と脱水行程(あついは乾燥行程)において、それぞれ所定の回転/停止および振り分けをするものである。
【0020】
(給排水機構)
貯水槽20の天面(正確には、水槽カバー21の下面側)には給水機構が設置されている。給水機構は、一端が筺体10の外に導出されて外部の水道に接続される給水経路と、給水経路の途中に設置されて水の流通を開閉する給水弁とを有している。また、貯水槽20の底面には排水口が形成され、排水口には排水ホースが連結されている。なお、排水口または排水ホースに水の流通を開閉する排水弁が設けられている(いずれも図示しない)。
【0021】
(微細気泡生成手段)
図4は、図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す側断面図である。エジェクタ部90は、ベンチュリー管状に形成されたノズルであって、除々に縮径するノズル部91と、ノズル部91の出口に繋がり、最も内径の小さいスロート部(絞り部に同じ)92と、スロート部92の出口に繋がり除々に拡径するディフューザ部93とを有している。
スロート部92は、ノズル部91から洗濯水が噴射されて負圧になる吸引部94(ノズル部91の出口を環状に覆う)と、吸引部94に連なって形成され、流路を環状に包囲する空気供給溝(以下「空気導入部」と称す)95と、空気導入部95に連なって形成された混合部96と、を有している。
すなわち、混合部96では、ノズル部91から噴出された洗濯水(負圧)のエジェクタ効果によって、空気導入部95から空気が洗濯水中に吸引され混合される。
そして、ディフューザ部93において、混合部96において混合された空気を拡散させることによって昇圧し、空気は小さく砕かれ微細気泡(マイクロバブル)が発生する。
【0022】
図5および図6は、図4に示す微細気泡生成手段の性能を示す相関図であって、縦軸は空気吸込流量および圧力損失である。
図5において、横軸は、ノズル部91の流れ方向の長さ(L1)に対するディフューザ部93の流れ方向の長さ(L3)との比(L3/L1)である。長さの比(L3/L1)が変化しても、圧力損失はほとんど変動しないのに対し、長さの比(L3/L1)が1未満ではその値が大きい程、空気吸込流量が急激に増大する。そして、長さの比(L3/L1)が1以上では、空気吸込流量は大きな値になり、その後長さの比(L3/L1)が増大しても、空気吸込流量の増加は少なくなっている。よって、長さの比(L3/L1)は1以上であることが望ましい。
【0023】
図6において、横軸は、ノズル部91の入口の断面積(A1)に対するディフューザ部93の出口の断面積(A3)との比(A3/A1)である。断面積の比(A3/A1)が変化しても、圧力損失はほとんど変動しないのに対し、その比が0.25未満では空気吸込流量が急激に減少する。よって、断面積の比(A3/A1)は0.5以上であることが望ましい。
なお、流路形状が円形なものについて説明したが、角形や矩形や楕円形などでもよく、同様な効果がある。また、角形や矩形や楕円形の最適形状についても円形なものと同様である。
【0024】
(洗濯水の噴射効果)
以上のように、洗濯機100は、パルセータ40の回転によって、エジェクタ部90を通過した微細気泡を含む洗濯水が、噴射孔70から貯水槽20の水槽円筒部23に向けて噴射されるから、別途ポンプ手段を設置することなく、水槽円筒部23の内面は洗浄される。特に、洗濯水の水面よりも高い範囲にも洗濯水が噴射されるから、飛沫による汚れを洗浄することができる。
【0025】
図7〜図9は、図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図である。図7において、エジェクタ部790は、断面円形のスロート部792と、円錐台状のノズル部791およびディフューザ部793とを有している。そして、スロート部792に形成された空気導入部に向けて空気を供給する円形の送気管796が設置されている。
図8において、エジェクタ部890は、断面矩形のスロート部892と、四角錐台状のノズル部891およびディフューザ部893とを有している。そして、スロート部892に形成された空気導入部(スリット状)に向けて空気を供給する矩形の送気管896が設置されている。
図9において、エジェクタ部990は、断面長円状のスロート部992と、これに滑らかに連なって除々に縮小するノズル部991と、除々に拡大するディフューザ部993とを有している。そして、スロート部992には、これを包囲するスリット状の空気導入部995が形成され、空気導入部995を包囲するように送気管996が設置されている。
【0026】
なお、エジェクタ部790(断面円形)、エジェクタ部890(断面矩形)、およびエジェクタ部990(断面長円)のいずれにおいても、図3および図4に示す特性が得られている。すなわち、断面円形、断面矩形、断面長円あるいは断面楕円の最適形状についても、断面円形のものと同様である。
このとき、いずれの断面形状であっても、ノズル部の出口における断面積に等しい面積の真円の直径(dd1)と、ディフューザ部の出口における断面積に等しい面積の真円の直径(dd3)とを求め、両者の比(dd3/dd1)を0.5以上にするのが好ましい。
さらに、ノズル部の断面積は、ちり、ほこり、糸くずによる詰まりが懸念されるため、目詰まりの発生を抑制することができる大きさとし、直径7mm以上であるのが好ましい。断面が円でないものにおいては、ノズル部の断面積が38.5mm2(π×72/4)以上であることが望ましい。
【0027】
(微細気泡生成手段:循環水路一体型)
図10〜図12は、図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す、図10は断面にした斜視図、図11は外観図、図12は一部断面にした外観図である。
図10〜図12において、微細気泡生成手段200は、洗濯槽30の内面に接着される外槽側部材200aと、外槽側部材200a接着される中心側部材200bとから、形成されている。外槽側部材200aの接合面202aと中心側部材200bの接合面202bには、それぞれ対称に、循環水路250a、250bと、循環水路250a、250bに連なったエジェクタ部290a、290bとが形成されている。
【0028】
図10において、中心側部材200bの接合面202bには、下面203bに開口して上方程狭くなる三角形状の第1循環水路251bと、第1循環水路251bに連通して上方に向かう扁平半円状の第2循環水路252bと、第1循環水路251bに連通して上方に向かった後、略逆J字状または略逆U字状に方向が変えられた扁平半円状の第2循環水路252bと、が形成され、両者によって循環水路250bが形成されている。
そして、第2循環水路252bの終端にノズル部291bの始端が繋がり、ノズル部291bは下方に行くに従って縮径し、スロート部292bは上下方向に形成され、ディフューザ部293bは下方に行くに従って拡径している。そして、スロート部292bを包囲するようにスリット状の空気導入部295bが形成され、空気導入部295bを包囲して、空気導入部295bへの給気を均一にするための空気分配路296bが設けられ、空気分配路296bに外気を供給する溝状の空気供給路297bが上下方向に形成され、空気供給路297bは上面201bにおいてスリット状に開口している(該開口部を空気吸引口298bと称す)。すなわち、これらの部位によって循環水路250bが構成されている。
【0029】
一方、外槽側部材200aの接合面202aにも、同様に、循環水路250aおよびエジェクタ部290aが形成されている(図示しない)。これらを形成する各部位は、循環水路250bおよびエジェクタ部290bを形成する各部位に対称で、それぞれの符号の数字は同じであって、添え字「b」を「a」に読み替えたものに同じであるから、図示を省略する。
したがって、外槽側部材200aの接合面202aと中心側部材200bの接合面202bとを当接して、両者を接合すると、循環水路250aと循環水路250bとによって循環水路250が、エジェクタ部290aとエジェクタ部290bとによってエジェクタ部290が、それぞれ形成される(図示しない)。
なお、前記接合されたものを微細気泡生成手段200と称呼している。また、以下の説明において、接合された各部位の符号については添え字「a、b」の付記を省略する。
【0030】
なお、中心側部材200bのディフューザ部293bの終端には、接合面202b側になる程浅くなる噴射口斜面210bが形成され、外槽側部材200aのディフューザ部293aの終端には、外槽側面204a(接合面202aの反対面)に開口する噴射口220aが開口し、噴射口220aの下面は、外槽側面204aに近づく程低くなる(下面に近づく)噴射口斜面210aが形成されている。
そして、中心側の噴射口斜面210bと外槽側の噴射口斜面210aとは連続した斜面を形成しているから、微細気泡生成手段200において、エジェクタ部290から吐出された微細気泡を含む洗濯水は、噴射口斜面210b、210aに案内され、噴射口220aから斜め下方に向かって噴射されることになる。
【0031】
図13〜図15は、図10に示す微細気泡生成手段(循環水路一体型)のバリエーションを模式的に示す側面視の断面図である。
図13に示す微細気泡生成手段200は、図10に示すものに同じである。すなわち、第1循環水路251と、第2循環水路252と、上下方向に配置されたエジェクタ部290(ノズル部291、スロート部(図示しない)、ディフューザ部293、空気分配路296、空気供給路297等)、噴射口220a、を有している。
したがって、図示しないパルセータによって吐出された洗濯水は、上方向に流れた後、下向きに方向を変えてエジェクタ部290に供給され、微細気泡を含む洗濯水は下向きに送り出された後、図示しない噴射口斜面に案内され噴射口220aから、斜め下方向に噴射される。よって、下向きの微細気泡拡散に好適である。ただし、第2循環水路252の曲がり部(R部)における圧損がある。また、空気溜まりをなくすため、パルセータの運転制御を実施するのが好ましい。
【0032】
特に高濃度の洗剤が存在する場合に気泡を含む洗濯水を噴射させると、発泡によって洗剤成分を残留させることにもなりかねない。エジェクタのガス吸引特性はくびれ部にかかる水圧と流速によって決まる。従って、パルセータの回転数に大きく依存する。
そこで、洗濯工程におけるパルセータ回転数による水流ではエジェクタは気体をほとんど吸い込まないようにし、すすぎ工程においてパルセータの回転数を増加させ、その際に形成される水流によって気体を吸い込むようにしておけば、より効果を発揮させることが可能となる。
パルセータは一般的に反転運動を行うが、その反転運動のインターバルを短くするとガス吸引の効率が向上する。また洗濯槽内の水位にも効率は強く影響するので、水位を調整する機構をつけることも有効である。
【0033】
また長期使用の観点からは、エジェクタの詰まり、特にガス吸引部は径が小さいためにその詰まりを防ぐことが重要である。この対策として、ガス吸引部に逆止弁をつけることが有効である。また詰まった場合の検出手段を設け、所定ガス量以下になった場合にはエラー信号を出すことも有効である。さらにノズルあるいは水路構造を着脱可能としておき、つまったごみを取り除くことを可能としておくことも有効である。
【0034】
図14において、微細気泡生成手段300は、第1循環水路251終端(上端)に、水平方向に配置されたエジェクタ部290が連結されている。したがって、図示しないパルセータによって吐出された洗濯水は、上方向に流れた後、水平方向を流れ方向を変え、微細気泡を含む洗濯水は、図示しない噴射口斜面に案内され噴射口220aから、水平方向に噴射される。よって、水平方向の広い範囲に微細気泡噴射するのに好適である。ただし、第2循環水路252の終端において流れが折れ曲がるため、当該部位の圧損を低減するのが好ましい(たとえば、円弧状にする等)。なお、噴射口斜面の傾きを調整することによって、水平方向に対して傾斜した方向に、微細気泡を含む洗濯水を噴射することができる。
【0035】
図15において、微細気泡生成手段400は、第1循環水路251終端(上端)に、上下方向に配置されたエジェクタ部290が連結されている。したがって、図示しないパルセータによって吐出された洗濯水は、流れの方向を変更することなく、上方向に流れ、微細気泡を含む洗濯水は、図示しない噴射口斜面に案内され噴射口220aから、斜め上方向に噴射される。よって、エジェクタ部290に流れ込む洗濯水の圧損が少ないため、エジェクタ効果が促進され、微細気泡の生成量が増大すると共に、貯水槽20の高い位置に向けた噴射に好適である。
なお、微細気泡生成手段200、300に比較して、エジェクタ部290の配置が低くなるため、洗濯水の水位がエジェクタ部290よりも高い場合、パルセータの回転が停止した際(エジェクタ効果がなくなった際)、洗濯水が空気供給路297に逆流するおそれがある。このため、空気供給路297に逆止弁を設置したり、パルセータの運転制御を実施したりするのが好ましい。なお、噴射口斜面の傾きを調整することによって、上方向に対して傾斜した方向に、微細気泡を含む洗濯水を噴射することができる。
【0036】
(微細気泡生成手段:洗濯槽一体型)
図16は、図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段(図10に示された微細気泡生成手段に同じ)のバリエーシンを模式的に示す平面視の断面図である。図16において、微細気泡生成手段200を構成する外槽側部材200aが洗濯槽30の洗濯円筒部33と一体的に形成されている。すなわち、洗濯円筒部233の円周方向3箇所に、それぞれ循環水路250aおよびエジェクタ部290aが形成され、これに対し、中心側部材200b(循環水路250bおよびエジェクタ部290bが形成されている)が接合されている。なお、図中、理解を容易にするため、各部材の記載を省略している。また、特記しない部位については洗濯円筒部33に同じである。
したがって、外槽側部材200aを別体とし、これを洗濯槽30に設置する必要がなくなるから、製造が容易になり、製造コストが安価になる。なお、循環水路250aおよびエジェクタ部290aの配置は3箇所に限定するものではない。また、微細気泡生成手段200に替えて、前記要領で微細気泡生成手段300、400を設置したり、微細気泡生成手段200、300、400を混在させてもよい。
【0037】
[実施の形態2:洗濯機]
図17は本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する側面視の断面図である。図17において、洗濯機500は、実施の形態1に説明した洗濯機100の貯水槽20を傾斜自在にしたものである。
すなわち、貯水槽20は、前面側(図中、左側)に配置されたものを前面側吊棒19aと、後面側吊棒19bと、によって吊り下げられ、後面側吊棒19bの上端には、吊棒引き上げ手段510(ブラケット14に設置されている)が連結されている。したがって、吊棒引き上げ手段510が後面側吊棒19bを引き上げると、貯水槽20は前面に向かって傾斜する。なお、吊棒引き上げ手段510に替えて、後面側吊棒19bの下端に吊棒引き下げ手段(ブラケット24に設置されている)を連結してもよい。
【0038】
(洗濯水の噴射効果)
図18は、図17に示す洗濯機における洗浄の様子を模式的に説明する部分断面図である。図18において、洗濯機500の貯水槽20は傾斜自在であるから、傾斜した状態で洗濯を実行(パルセータ40を回転)すると、噴射口220aから噴射された微細気泡を含んだ洗濯水は、貯水槽20の水槽円筒部23の内面に衝突した後、周囲に拡散する。このとき、微細気泡(図中、「B」にて示す)は洗濯水中を上昇(正確には乱流中をジグザグしながら移動)するから、洗濯槽30の洗濯円筒部33の外面も洗浄されることになる。
すなわち、洗濯機500において、貯水槽20(洗濯槽30に同じ)を傾斜することによって洗濯性能の向上を図ることができると共に、微細気泡を含む洗濯水を噴出されることによって貯水槽20および洗濯槽30の洗浄を促進させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は以上の構成であるから、微細気泡を含む洗濯水によって貯水槽の洗浄ができるから、各種家庭および業務用の洗濯機として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係る洗濯機を説明する側面視の断面図。
【図2】図1に示す洗濯機を説明するA−A断面図(平面視)。
【図3】図1に示す洗濯機を説明するB−B断面図(平面視)。
【図4】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す側断面図。
【図5】図4に示す微細気泡生成手段の性能を示す相関図。
【図6】図4に示す微細気泡生成手段の性能を示す相関図。
【図7】図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図。
【図8】図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図。
【図9】図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図。
【図10】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す斜視図。
【図11】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す外観図。
【図12】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す断面図。
【図13】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図14】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図15】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図16】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図17】本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する側面視の断面図。
【図18】図17に示す洗濯機における洗浄の様子を模式的に説明する部分断面図。
【符号の説明】
【0041】
10:筺体、11:トップカバー、12:筐体開口部、12a:外蓋、13:筐体側壁、14:ブラケット、15:フード、19:吊棒、19a:前面側吊棒、19b:後面側吊棒、20:貯水槽、21:水槽カバー、22:水槽開口部、23:水槽円筒部、24:ブラケット、26:底面、30:洗濯槽、31:天面開口部、32:バランサー、33:洗濯円筒部、35:循環口、36:底面、38:断面積が、40:パルセータ、40a:ベース、40b:羽根、41:羽根、42:裏蓋、43:加速流路、44:駆動軸、45:吸引口、46:外周、47:突条、50:循環水路、51:上蓋部、52:吐出口、53:循環水路壁、55:端面、56:隙間、60:ケーシング、61:外周、62:内周開口部、63:隙間、70:噴射孔、80:回転モータ、90:エジェクタ部、91:ノズル部、92:スロート部、93:ディフューザ部、94:吸引部、95:空気導入部、96:混合部、100:洗濯機、200:微細気泡生成手段、200a:外槽側部材、200b:中心側部材、201b:上面、202a:接合面、202b:接合面、203b:下面、204a:外槽側面、210a:噴射口斜面、210b:噴射口斜面、220a:噴射口、233:洗濯円筒部、250:循環水路、250a:循環水路、250b:循環水路、251:循環水路、251b:循環水路、252:循環水路、252b:循環水路、290:エジェクタ部、290a:エジェクタ部、290b:エジェクタ部、291:ノズル部、291b:ノズル部、292b:スロート部、293:ディフューザ部、293a:ディフューザ部、293b:ディフューザ部、295b:空気導入部、296:空気分配路、296b:空気分配路、297:空気供給路、297b:空気供給路、298b:空気吸引口、300:微細気泡生成手段、400:微細気泡生成手段、500:洗濯機、510:吊り下げ手段、600:ドラム型洗濯機、610:循環ポンプ、620:水配管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯機は、パルセータ方式とドラム式とに大別される。パルセータ方式は、洗濯槽に配置されたパルセータを回転して、その回転によって「回流する水流」を発生させ、摩擦または振動などの機械的作用と洗剤による化学作用とによって汚れを除去するものである。そして、洗濯中に「泡」を発生するため、「泡」を洗濯槽の外部に流出しないようにしたり、洗濯槽の外部に流出した「泡」が、洗濯槽を収納する貯水槽の外部に流出しないようにしたりする発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−168589号公報(第4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、パルセータの裏面に設けた裏羽根のポンプアップ作用によって吐出された洗濯水を、泡が洗濯槽の外部に流出しないようにするため洗濯槽に散布したり、洗濯槽の外部に流出した泡が貯水槽の外部に流出しないように、洗濯槽と貯水槽の間に散布したりするものであるため、所定の消泡効果が得られるものの、消泡後に洗濯槽の外面や貯水槽の内面に「汚れ」が付着し、該汚れが除去されないという問題があった。また、洗濯水の飛沫による汚れについても除去されないという問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、洗濯槽の外面や貯水槽の内面に汚れが付着しないようにしたり、汚れが付着したとしても該汚れを除去したりすることができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納された洗濯槽と、
該洗濯槽の底部に配設されたパルセータと、
該パルセータのベースの下に形成されたポンプ室と、
前記洗濯槽に設置され、前記ポンプ室に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、該循環水路を流れる洗濯水に微細気泡を含ませる微細気泡生成手段と、
を有し、
前記循環水路から、微細気泡を含む洗濯水が前記貯水槽に向かって散布されることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において「洗濯槽」とは、洗濯および脱水に供するものでは「脱水兼洗濯槽」に同じであり、乾燥に供するものでは(たとえば、温風が供給される場合)「乾燥兼脱水兼洗濯槽」に同じである。また、「洗濯水」とは、洗濯に供する水であって、水道水、風呂水やこれらに洗剤が投入されたものを指し、特段限定するものではない。また、洗濯とは、「洗い」または「すすぎ」の一方または両方を指している。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明に係る洗濯機は、パルセータのベースの下に形成されたポンプ室によって洗濯水が吐出されるから、特別のポンプを設置する必要がなく、また、微細気泡を含む洗濯水が貯水槽に向けて噴射されるから、貯水槽の内面が洗浄される。
特に、噴射された洗濯水に含まれた微細気泡は洗濯水中を上昇するから、このとき、洗濯槽の外面を洗浄すると共に、貯水槽の内面の水面よりも高い範囲は洗濯水の飛沫によって汚れ易いところ、当該範囲が噴射された微細気泡を含む洗濯水によって洗浄されるから、貯水槽の内面および洗濯槽の外面が清浄になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施の形態1:洗濯機]
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係る洗濯機を説明する、図1は側面視の断面図、図2はA−A断面図(平面視)、図3はB−B断面図(平面視)である。なお、図中、各構成部材を模式的に示しているため、その寸法は正確でない。特に、薄板によって形成されている部材については、明りょうにするため、厚さを誇張して示している。また、各図において同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図1において、洗濯機100は、一連の洗い行程とすすぎ行程と脱水行程と乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程とすすぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。
【0010】
(筐体)
筺体10は断面矩形の筒状(略直方体に同じ)であって、天面にはトップカバー11が設置されている。トップカバー11には筐体開口部12が形成され、衣類の出し入れに供する衣類投入口となっている。そして、筐体開口部12には外蓋12a(たとえば、無色または有色の透明プラスチック等の光透過性のある部材で構成されている)が開閉自在に設置されている。
また、筺体10の筐体側壁13の四隅上端部近くにブラケット14が設置され、貯水槽20を吊り下げる4本の吊棒19の上端部がブラケット14に係止している。
【0011】
(貯水槽)
図1〜図3において、筺体10内に貯水槽20が収納されている。貯水槽20は天面が開放され、底面が閉塞されたコップ状であって、水槽円筒部23に設置されたブラケット24に吊棒19の下端部が係止し、吊棒19によって吊り上げられている。
貯水槽20の上端面(天面開口部の周囲に同じ)には内フランジ状に水槽カバー21が設置されている。すなわち、水槽カバー21はリング状であって、該リングの水槽開口部22を通過して衣類を投入したり取り出したりすることになる。
そして、筐体10の筐体開口部12と貯水槽20の水槽開口部22とを連通するフード15が設置されている。フード15は可撓性または伸縮性を具備するから、貯水槽20の傾斜に追従して変形する。
【0012】
(洗濯槽)
洗濯槽30は、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水とに供するものでは「洗濯兼脱水槽」と、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水と乾燥とに供するものでは「洗濯兼脱水兼乾燥槽」とも称呼されるものである。洗濯槽30は貯水槽20に回転自在に配置されている。
洗濯槽30は、天面が開放され、底面が閉塞された洗濯円筒部33を具備するコップ状で、洗濯円筒部33には脱水のための複数の通水孔(以下「脱水孔」と称す)34が形成されて、天面開口部31の周囲にはバランサー32が設置されている。したがって、バランサー32の内周で囲まれた範囲が開口部として、衣類を投入したり取り出したりするために供される。
【0013】
(パルセータ)
洗濯槽30の底面36の内側(槽内)には、パルセータ40が回転自在に配置されている。パルセータ40のベース40aの上面には羽根40bが形成され、投入された衣類および注入された水を効率的に攪拌するようになっている。ベース40aの下面には略半径方向に向かって複数の羽根41が設置され、複数の羽根41の下端部には、これらを連結する円環状板(以下「裏蓋」と称す)42が設置されている。したがって、ベース40aの下面と裏蓋42の上面との間には、一対の羽根41に仕切られた複数の略角錐台状の空間(以下「加速流路」と称す)43が形成されている。
【0014】
また、裏蓋42の内周縁とパルセータ40の駆動軸44との間には円環状の隙間(以下「吸引口」と称す)45が形成され、洗濯槽30の底面36には吸引口45に対峙する開口部(以下「循環口」と称す)35が形成されている。
よって、水中に没した状態で、パルセータ40を回転すると、加速流路43内の水は遠心力によって半径方向の外側に飛ばされるから、貯水槽20の底部に貯まった水は、循環口35および吸引口45を通過して、加速流路43に吸い込まれることになる。このとき、加速流路43は回転する部材のみ(いわゆるロータ)によって形成されるから、回転する部材と回転しない部材と(いわゆるロータとステータと)から形成されるものよりも、ポンプ性能(吸引/吐出性能に同じ)が優れている。
【0015】
(循環水路)
洗濯槽30の洗濯円筒部33の内面側には、所定厚さ(半径方向の距離に同じ)で、所定幅(円周方向の距離に同じ)の循環水路50が、底面36から略上端にまで、鉛直方向(図中、上下方向)に形成されている。循環水路50は、洗濯円筒部33の一部と循環水路壁53とによって囲まれ、上端部は上蓋部51によって塞がれ、洗濯槽30の底面36と循環水路壁53との間には開口部(以下「吐出口」と称す)52が形成されいる。なお、循環水路50が円周方向で3箇所配置されたものを示しているが、その数量を限定するものではない。
【0016】
また、洗濯槽30の底面36の循環水路50を除く範囲には、ケーシング60が設置されている。すなわち、ケーシング60は外周61が洗濯円筒部33および循環水路壁53に接続され、内周開口部62にパルセータ40が回転自在に収納されている。そして、内周開口部62の内周とパルセータ40の外周46との隙間63は狭いため、パルセータ40を回転すると、貯水槽20の底部に貯まった水は、循環口35および吸引口45を通過して加速流路43に吸い込まれ、吐出口52を通過して循環水路50に流入することになる。
したがって、パルセータ40の下面と羽根41と裏蓋42とケーシング60とによって、ポンプ室が形成されることになる。
【0017】
なお、ベース40aの外周46に沿って、その下面に円環状の突条(正確には、複数の羽根41によって分断されているから、複数の円弧状の突条)47が設置されている。このため、加速流路43内でパルセータ40の下面に沿って流れた流れは、外周46において突条47によって下方向に曲げられる。
また、パルセータ40に設置されて突条47の下縁は、循環水路50の吐出口52の上縁(吐出口52における循環水路壁53の下面に同じ)54よりも低い位置になっている。このため、パルセータ40の回転によって加速流路43から吹き出される水が、吐出口52の端面(吐出口52における循環水路壁53の内周面に同じ)55に直接衝突することがない。
したがって、加速流路43から吹き出される水は、吐出口52の端面55とパルセータ40の外周46との隙間56から、洗濯槽30内に侵入しないよう(または侵入困難)になっている。
【0018】
さらに、洗濯円筒部33の循環水路50を形成する範囲には、複数の貫通孔(以下「噴射孔」と称す)70a、70b、70c、70d(以下、まとめて「噴射孔70」と称する場合がある)が形成され、それぞれに微細気泡を含んだ洗濯水を吐出するエジェクタ部90a、90b、90c、90d(以下、まとめて「エジェクタ部90」と称する場合がある)が設置されている(これについては別途詳細に説明する)。
よって、貯水槽20の洗濯水が飛沫する範囲に向けても洗濯水が勢いよく噴射されるから、貯水槽20の当該範囲が洗浄されることになる。
なお、噴射孔70(エジェクタ部90に同じ)が4箇所形成されたものを示しているが、その数量を限定するものではない。
【0019】
(回転モータ)
貯水槽20の底面26に洗濯槽30およびパルセータ40を回転駆動するための共通の回転モータ80が設置されている。また、回転モータ80の回転をパルセータ40または洗濯槽30に振り分ける回転分配手段(図示しない)が設置されている。
そして、回転モータ80および前記回転分配手段は、制御手段の指令によって、洗濯行程と脱水行程(あついは乾燥行程)において、それぞれ所定の回転/停止および振り分けをするものである。
【0020】
(給排水機構)
貯水槽20の天面(正確には、水槽カバー21の下面側)には給水機構が設置されている。給水機構は、一端が筺体10の外に導出されて外部の水道に接続される給水経路と、給水経路の途中に設置されて水の流通を開閉する給水弁とを有している。また、貯水槽20の底面には排水口が形成され、排水口には排水ホースが連結されている。なお、排水口または排水ホースに水の流通を開閉する排水弁が設けられている(いずれも図示しない)。
【0021】
(微細気泡生成手段)
図4は、図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す側断面図である。エジェクタ部90は、ベンチュリー管状に形成されたノズルであって、除々に縮径するノズル部91と、ノズル部91の出口に繋がり、最も内径の小さいスロート部(絞り部に同じ)92と、スロート部92の出口に繋がり除々に拡径するディフューザ部93とを有している。
スロート部92は、ノズル部91から洗濯水が噴射されて負圧になる吸引部94(ノズル部91の出口を環状に覆う)と、吸引部94に連なって形成され、流路を環状に包囲する空気供給溝(以下「空気導入部」と称す)95と、空気導入部95に連なって形成された混合部96と、を有している。
すなわち、混合部96では、ノズル部91から噴出された洗濯水(負圧)のエジェクタ効果によって、空気導入部95から空気が洗濯水中に吸引され混合される。
そして、ディフューザ部93において、混合部96において混合された空気を拡散させることによって昇圧し、空気は小さく砕かれ微細気泡(マイクロバブル)が発生する。
【0022】
図5および図6は、図4に示す微細気泡生成手段の性能を示す相関図であって、縦軸は空気吸込流量および圧力損失である。
図5において、横軸は、ノズル部91の流れ方向の長さ(L1)に対するディフューザ部93の流れ方向の長さ(L3)との比(L3/L1)である。長さの比(L3/L1)が変化しても、圧力損失はほとんど変動しないのに対し、長さの比(L3/L1)が1未満ではその値が大きい程、空気吸込流量が急激に増大する。そして、長さの比(L3/L1)が1以上では、空気吸込流量は大きな値になり、その後長さの比(L3/L1)が増大しても、空気吸込流量の増加は少なくなっている。よって、長さの比(L3/L1)は1以上であることが望ましい。
【0023】
図6において、横軸は、ノズル部91の入口の断面積(A1)に対するディフューザ部93の出口の断面積(A3)との比(A3/A1)である。断面積の比(A3/A1)が変化しても、圧力損失はほとんど変動しないのに対し、その比が0.25未満では空気吸込流量が急激に減少する。よって、断面積の比(A3/A1)は0.5以上であることが望ましい。
なお、流路形状が円形なものについて説明したが、角形や矩形や楕円形などでもよく、同様な効果がある。また、角形や矩形や楕円形の最適形状についても円形なものと同様である。
【0024】
(洗濯水の噴射効果)
以上のように、洗濯機100は、パルセータ40の回転によって、エジェクタ部90を通過した微細気泡を含む洗濯水が、噴射孔70から貯水槽20の水槽円筒部23に向けて噴射されるから、別途ポンプ手段を設置することなく、水槽円筒部23の内面は洗浄される。特に、洗濯水の水面よりも高い範囲にも洗濯水が噴射されるから、飛沫による汚れを洗浄することができる。
【0025】
図7〜図9は、図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図である。図7において、エジェクタ部790は、断面円形のスロート部792と、円錐台状のノズル部791およびディフューザ部793とを有している。そして、スロート部792に形成された空気導入部に向けて空気を供給する円形の送気管796が設置されている。
図8において、エジェクタ部890は、断面矩形のスロート部892と、四角錐台状のノズル部891およびディフューザ部893とを有している。そして、スロート部892に形成された空気導入部(スリット状)に向けて空気を供給する矩形の送気管896が設置されている。
図9において、エジェクタ部990は、断面長円状のスロート部992と、これに滑らかに連なって除々に縮小するノズル部991と、除々に拡大するディフューザ部993とを有している。そして、スロート部992には、これを包囲するスリット状の空気導入部995が形成され、空気導入部995を包囲するように送気管996が設置されている。
【0026】
なお、エジェクタ部790(断面円形)、エジェクタ部890(断面矩形)、およびエジェクタ部990(断面長円)のいずれにおいても、図3および図4に示す特性が得られている。すなわち、断面円形、断面矩形、断面長円あるいは断面楕円の最適形状についても、断面円形のものと同様である。
このとき、いずれの断面形状であっても、ノズル部の出口における断面積に等しい面積の真円の直径(dd1)と、ディフューザ部の出口における断面積に等しい面積の真円の直径(dd3)とを求め、両者の比(dd3/dd1)を0.5以上にするのが好ましい。
さらに、ノズル部の断面積は、ちり、ほこり、糸くずによる詰まりが懸念されるため、目詰まりの発生を抑制することができる大きさとし、直径7mm以上であるのが好ましい。断面が円でないものにおいては、ノズル部の断面積が38.5mm2(π×72/4)以上であることが望ましい。
【0027】
(微細気泡生成手段:循環水路一体型)
図10〜図12は、図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す、図10は断面にした斜視図、図11は外観図、図12は一部断面にした外観図である。
図10〜図12において、微細気泡生成手段200は、洗濯槽30の内面に接着される外槽側部材200aと、外槽側部材200a接着される中心側部材200bとから、形成されている。外槽側部材200aの接合面202aと中心側部材200bの接合面202bには、それぞれ対称に、循環水路250a、250bと、循環水路250a、250bに連なったエジェクタ部290a、290bとが形成されている。
【0028】
図10において、中心側部材200bの接合面202bには、下面203bに開口して上方程狭くなる三角形状の第1循環水路251bと、第1循環水路251bに連通して上方に向かう扁平半円状の第2循環水路252bと、第1循環水路251bに連通して上方に向かった後、略逆J字状または略逆U字状に方向が変えられた扁平半円状の第2循環水路252bと、が形成され、両者によって循環水路250bが形成されている。
そして、第2循環水路252bの終端にノズル部291bの始端が繋がり、ノズル部291bは下方に行くに従って縮径し、スロート部292bは上下方向に形成され、ディフューザ部293bは下方に行くに従って拡径している。そして、スロート部292bを包囲するようにスリット状の空気導入部295bが形成され、空気導入部295bを包囲して、空気導入部295bへの給気を均一にするための空気分配路296bが設けられ、空気分配路296bに外気を供給する溝状の空気供給路297bが上下方向に形成され、空気供給路297bは上面201bにおいてスリット状に開口している(該開口部を空気吸引口298bと称す)。すなわち、これらの部位によって循環水路250bが構成されている。
【0029】
一方、外槽側部材200aの接合面202aにも、同様に、循環水路250aおよびエジェクタ部290aが形成されている(図示しない)。これらを形成する各部位は、循環水路250bおよびエジェクタ部290bを形成する各部位に対称で、それぞれの符号の数字は同じであって、添え字「b」を「a」に読み替えたものに同じであるから、図示を省略する。
したがって、外槽側部材200aの接合面202aと中心側部材200bの接合面202bとを当接して、両者を接合すると、循環水路250aと循環水路250bとによって循環水路250が、エジェクタ部290aとエジェクタ部290bとによってエジェクタ部290が、それぞれ形成される(図示しない)。
なお、前記接合されたものを微細気泡生成手段200と称呼している。また、以下の説明において、接合された各部位の符号については添え字「a、b」の付記を省略する。
【0030】
なお、中心側部材200bのディフューザ部293bの終端には、接合面202b側になる程浅くなる噴射口斜面210bが形成され、外槽側部材200aのディフューザ部293aの終端には、外槽側面204a(接合面202aの反対面)に開口する噴射口220aが開口し、噴射口220aの下面は、外槽側面204aに近づく程低くなる(下面に近づく)噴射口斜面210aが形成されている。
そして、中心側の噴射口斜面210bと外槽側の噴射口斜面210aとは連続した斜面を形成しているから、微細気泡生成手段200において、エジェクタ部290から吐出された微細気泡を含む洗濯水は、噴射口斜面210b、210aに案内され、噴射口220aから斜め下方に向かって噴射されることになる。
【0031】
図13〜図15は、図10に示す微細気泡生成手段(循環水路一体型)のバリエーションを模式的に示す側面視の断面図である。
図13に示す微細気泡生成手段200は、図10に示すものに同じである。すなわち、第1循環水路251と、第2循環水路252と、上下方向に配置されたエジェクタ部290(ノズル部291、スロート部(図示しない)、ディフューザ部293、空気分配路296、空気供給路297等)、噴射口220a、を有している。
したがって、図示しないパルセータによって吐出された洗濯水は、上方向に流れた後、下向きに方向を変えてエジェクタ部290に供給され、微細気泡を含む洗濯水は下向きに送り出された後、図示しない噴射口斜面に案内され噴射口220aから、斜め下方向に噴射される。よって、下向きの微細気泡拡散に好適である。ただし、第2循環水路252の曲がり部(R部)における圧損がある。また、空気溜まりをなくすため、パルセータの運転制御を実施するのが好ましい。
【0032】
特に高濃度の洗剤が存在する場合に気泡を含む洗濯水を噴射させると、発泡によって洗剤成分を残留させることにもなりかねない。エジェクタのガス吸引特性はくびれ部にかかる水圧と流速によって決まる。従って、パルセータの回転数に大きく依存する。
そこで、洗濯工程におけるパルセータ回転数による水流ではエジェクタは気体をほとんど吸い込まないようにし、すすぎ工程においてパルセータの回転数を増加させ、その際に形成される水流によって気体を吸い込むようにしておけば、より効果を発揮させることが可能となる。
パルセータは一般的に反転運動を行うが、その反転運動のインターバルを短くするとガス吸引の効率が向上する。また洗濯槽内の水位にも効率は強く影響するので、水位を調整する機構をつけることも有効である。
【0033】
また長期使用の観点からは、エジェクタの詰まり、特にガス吸引部は径が小さいためにその詰まりを防ぐことが重要である。この対策として、ガス吸引部に逆止弁をつけることが有効である。また詰まった場合の検出手段を設け、所定ガス量以下になった場合にはエラー信号を出すことも有効である。さらにノズルあるいは水路構造を着脱可能としておき、つまったごみを取り除くことを可能としておくことも有効である。
【0034】
図14において、微細気泡生成手段300は、第1循環水路251終端(上端)に、水平方向に配置されたエジェクタ部290が連結されている。したがって、図示しないパルセータによって吐出された洗濯水は、上方向に流れた後、水平方向を流れ方向を変え、微細気泡を含む洗濯水は、図示しない噴射口斜面に案内され噴射口220aから、水平方向に噴射される。よって、水平方向の広い範囲に微細気泡噴射するのに好適である。ただし、第2循環水路252の終端において流れが折れ曲がるため、当該部位の圧損を低減するのが好ましい(たとえば、円弧状にする等)。なお、噴射口斜面の傾きを調整することによって、水平方向に対して傾斜した方向に、微細気泡を含む洗濯水を噴射することができる。
【0035】
図15において、微細気泡生成手段400は、第1循環水路251終端(上端)に、上下方向に配置されたエジェクタ部290が連結されている。したがって、図示しないパルセータによって吐出された洗濯水は、流れの方向を変更することなく、上方向に流れ、微細気泡を含む洗濯水は、図示しない噴射口斜面に案内され噴射口220aから、斜め上方向に噴射される。よって、エジェクタ部290に流れ込む洗濯水の圧損が少ないため、エジェクタ効果が促進され、微細気泡の生成量が増大すると共に、貯水槽20の高い位置に向けた噴射に好適である。
なお、微細気泡生成手段200、300に比較して、エジェクタ部290の配置が低くなるため、洗濯水の水位がエジェクタ部290よりも高い場合、パルセータの回転が停止した際(エジェクタ効果がなくなった際)、洗濯水が空気供給路297に逆流するおそれがある。このため、空気供給路297に逆止弁を設置したり、パルセータの運転制御を実施したりするのが好ましい。なお、噴射口斜面の傾きを調整することによって、上方向に対して傾斜した方向に、微細気泡を含む洗濯水を噴射することができる。
【0036】
(微細気泡生成手段:洗濯槽一体型)
図16は、図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段(図10に示された微細気泡生成手段に同じ)のバリエーシンを模式的に示す平面視の断面図である。図16において、微細気泡生成手段200を構成する外槽側部材200aが洗濯槽30の洗濯円筒部33と一体的に形成されている。すなわち、洗濯円筒部233の円周方向3箇所に、それぞれ循環水路250aおよびエジェクタ部290aが形成され、これに対し、中心側部材200b(循環水路250bおよびエジェクタ部290bが形成されている)が接合されている。なお、図中、理解を容易にするため、各部材の記載を省略している。また、特記しない部位については洗濯円筒部33に同じである。
したがって、外槽側部材200aを別体とし、これを洗濯槽30に設置する必要がなくなるから、製造が容易になり、製造コストが安価になる。なお、循環水路250aおよびエジェクタ部290aの配置は3箇所に限定するものではない。また、微細気泡生成手段200に替えて、前記要領で微細気泡生成手段300、400を設置したり、微細気泡生成手段200、300、400を混在させてもよい。
【0037】
[実施の形態2:洗濯機]
図17は本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する側面視の断面図である。図17において、洗濯機500は、実施の形態1に説明した洗濯機100の貯水槽20を傾斜自在にしたものである。
すなわち、貯水槽20は、前面側(図中、左側)に配置されたものを前面側吊棒19aと、後面側吊棒19bと、によって吊り下げられ、後面側吊棒19bの上端には、吊棒引き上げ手段510(ブラケット14に設置されている)が連結されている。したがって、吊棒引き上げ手段510が後面側吊棒19bを引き上げると、貯水槽20は前面に向かって傾斜する。なお、吊棒引き上げ手段510に替えて、後面側吊棒19bの下端に吊棒引き下げ手段(ブラケット24に設置されている)を連結してもよい。
【0038】
(洗濯水の噴射効果)
図18は、図17に示す洗濯機における洗浄の様子を模式的に説明する部分断面図である。図18において、洗濯機500の貯水槽20は傾斜自在であるから、傾斜した状態で洗濯を実行(パルセータ40を回転)すると、噴射口220aから噴射された微細気泡を含んだ洗濯水は、貯水槽20の水槽円筒部23の内面に衝突した後、周囲に拡散する。このとき、微細気泡(図中、「B」にて示す)は洗濯水中を上昇(正確には乱流中をジグザグしながら移動)するから、洗濯槽30の洗濯円筒部33の外面も洗浄されることになる。
すなわち、洗濯機500において、貯水槽20(洗濯槽30に同じ)を傾斜することによって洗濯性能の向上を図ることができると共に、微細気泡を含む洗濯水を噴出されることによって貯水槽20および洗濯槽30の洗浄を促進させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は以上の構成であるから、微細気泡を含む洗濯水によって貯水槽の洗浄ができるから、各種家庭および業務用の洗濯機として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係る洗濯機を説明する側面視の断面図。
【図2】図1に示す洗濯機を説明するA−A断面図(平面視)。
【図3】図1に示す洗濯機を説明するB−B断面図(平面視)。
【図4】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す側断面図。
【図5】図4に示す微細気泡生成手段の性能を示す相関図。
【図6】図4に示す微細気泡生成手段の性能を示す相関図。
【図7】図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図。
【図8】図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図。
【図9】図1に示す洗濯機に設置されたエジェクタ部の一例を模式的に示す外観図。
【図10】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す斜視図。
【図11】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す外観図。
【図12】図1に示す洗濯機に設置された微細気泡生成手段を模式的に示す断面図。
【図13】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図14】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図15】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図16】図10に示す微細気泡生成手段のバリエーシンを模式的に示す断面図。
【図17】本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する側面視の断面図。
【図18】図17に示す洗濯機における洗浄の様子を模式的に説明する部分断面図。
【符号の説明】
【0041】
10:筺体、11:トップカバー、12:筐体開口部、12a:外蓋、13:筐体側壁、14:ブラケット、15:フード、19:吊棒、19a:前面側吊棒、19b:後面側吊棒、20:貯水槽、21:水槽カバー、22:水槽開口部、23:水槽円筒部、24:ブラケット、26:底面、30:洗濯槽、31:天面開口部、32:バランサー、33:洗濯円筒部、35:循環口、36:底面、38:断面積が、40:パルセータ、40a:ベース、40b:羽根、41:羽根、42:裏蓋、43:加速流路、44:駆動軸、45:吸引口、46:外周、47:突条、50:循環水路、51:上蓋部、52:吐出口、53:循環水路壁、55:端面、56:隙間、60:ケーシング、61:外周、62:内周開口部、63:隙間、70:噴射孔、80:回転モータ、90:エジェクタ部、91:ノズル部、92:スロート部、93:ディフューザ部、94:吸引部、95:空気導入部、96:混合部、100:洗濯機、200:微細気泡生成手段、200a:外槽側部材、200b:中心側部材、201b:上面、202a:接合面、202b:接合面、203b:下面、204a:外槽側面、210a:噴射口斜面、210b:噴射口斜面、220a:噴射口、233:洗濯円筒部、250:循環水路、250a:循環水路、250b:循環水路、251:循環水路、251b:循環水路、252:循環水路、252b:循環水路、290:エジェクタ部、290a:エジェクタ部、290b:エジェクタ部、291:ノズル部、291b:ノズル部、292b:スロート部、293:ディフューザ部、293a:ディフューザ部、293b:ディフューザ部、295b:空気導入部、296:空気分配路、296b:空気分配路、297:空気供給路、297b:空気供給路、298b:空気吸引口、300:微細気泡生成手段、400:微細気泡生成手段、500:洗濯機、510:吊り下げ手段、600:ドラム型洗濯機、610:循環ポンプ、620:水配管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納された洗濯槽と、
該洗濯槽の底部に配設されたパルセータと、
該パルセータのベースの下に形成されたポンプ室と、
前記洗濯槽に設置され、前記ポンプ室に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、該循環水路を流れる洗濯水に微細気泡を含ませる微細気泡生成手段と、
を有し、
前記循環水路から、微細気泡を含む洗濯水が前記貯水槽に向かって散布されることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記微細気泡生成手段が、スリット状の空気供給溝が形成されたスロート部と、該スロート部に近づく程縮径するノズル部と、前記スロート部から遠ざかる程拡径するディフューザ部と、前記洗濯槽の上部に開口して前記空気供給溝に空気を供給する空気供給路と、を有することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ノズル部の洗濯水の流れ方向の長さがL1、前記ディフューザ部の洗濯水の流れ方向の長さがL3と、前記ノズル部の入口の内径をd1、前記ノズル部の内径をd2、前記ディフューザ部の出口の内径をd3、とするとき、
L3/L1≧1
d3/d1≧0.5
であることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記微細気泡生成手段が、前記循環水路に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記貯水槽が、傾動自在であって、
鉛直方向に対して傾斜した前記貯水槽に向かって散布された微細気泡を含む洗濯水中の微細気泡が、前記洗濯槽の側壁に沿って上昇することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記循環水路に洗濯水の流通が不能になったことを検知する水路詰まり検知手段が設置され、該水路詰まり検知手段が、洗濯水の流通が不能であることを検知した際、これを報知する水路詰まり報知手段を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記空気供給路に空気の流通が不能になったことを検知する空路詰まり検知手段が設置され、該空路詰まり検知手段が、空気の流通が不能であることを検知した際、これを報知する空路詰まり報知手段を有することを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記洗濯槽の側壁に、前記微細気泡を含む洗濯水が流通自在な散布孔が形成され、
前記循環水路が、前記洗濯槽に着脱自在であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の洗濯機。
【請求項9】
前記空気供給路が前記洗濯槽の上部において開口する空気吸込口を具備し、該空気吸込口が前記洗濯槽の外面に開口または下方に向かって開口することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記ポンプ手段が停止した際、前記空気供給路への洗濯水の流入を防止するための逆止弁または異物捕捉手段が、前記空気供給路に設置されることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の洗濯機。
【請求項11】
前記スロート部の下方に前記ディフューザ部が形成され、前記ディフューザ部が下方に向かって拡径することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の洗濯機。
【請求項12】
前記ポンプ室が、前記パルセータのベースと、該ベースの下面に設置された複数の羽根と、該複数の羽根の下端部を連結する円環状板と、前記貯水槽に設置され前記パルセータを回転自在に包囲するケーシングと、を具備し、
前記円環状板の中央開口部が洗濯水の吸入口を形成すると共に、前記ケーシングに前記循環水路に連通する吐出口が形成されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の洗濯機。
【請求項13】
前記パルセータのベースの下面の外周縁に沿って前記円環状板に向かって突出する突条が設置されていることを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【請求項1】
洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納された洗濯槽と、
該洗濯槽の底部に配設されたパルセータと、
該パルセータのベースの下に形成されたポンプ室と、
前記洗濯槽に設置され、前記ポンプ室に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、該循環水路を流れる洗濯水に微細気泡を含ませる微細気泡生成手段と、
を有し、
前記循環水路から、微細気泡を含む洗濯水が前記貯水槽に向かって散布されることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記微細気泡生成手段が、スリット状の空気供給溝が形成されたスロート部と、該スロート部に近づく程縮径するノズル部と、前記スロート部から遠ざかる程拡径するディフューザ部と、前記洗濯槽の上部に開口して前記空気供給溝に空気を供給する空気供給路と、を有することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ノズル部の洗濯水の流れ方向の長さがL1、前記ディフューザ部の洗濯水の流れ方向の長さがL3と、前記ノズル部の入口の内径をd1、前記ノズル部の内径をd2、前記ディフューザ部の出口の内径をd3、とするとき、
L3/L1≧1
d3/d1≧0.5
であることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記微細気泡生成手段が、前記循環水路に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記貯水槽が、傾動自在であって、
鉛直方向に対して傾斜した前記貯水槽に向かって散布された微細気泡を含む洗濯水中の微細気泡が、前記洗濯槽の側壁に沿って上昇することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記循環水路に洗濯水の流通が不能になったことを検知する水路詰まり検知手段が設置され、該水路詰まり検知手段が、洗濯水の流通が不能であることを検知した際、これを報知する水路詰まり報知手段を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記空気供給路に空気の流通が不能になったことを検知する空路詰まり検知手段が設置され、該空路詰まり検知手段が、空気の流通が不能であることを検知した際、これを報知する空路詰まり報知手段を有することを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記洗濯槽の側壁に、前記微細気泡を含む洗濯水が流通自在な散布孔が形成され、
前記循環水路が、前記洗濯槽に着脱自在であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の洗濯機。
【請求項9】
前記空気供給路が前記洗濯槽の上部において開口する空気吸込口を具備し、該空気吸込口が前記洗濯槽の外面に開口または下方に向かって開口することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記ポンプ手段が停止した際、前記空気供給路への洗濯水の流入を防止するための逆止弁または異物捕捉手段が、前記空気供給路に設置されることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の洗濯機。
【請求項11】
前記スロート部の下方に前記ディフューザ部が形成され、前記ディフューザ部が下方に向かって拡径することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の洗濯機。
【請求項12】
前記ポンプ室が、前記パルセータのベースと、該ベースの下面に設置された複数の羽根と、該複数の羽根の下端部を連結する円環状板と、前記貯水槽に設置され前記パルセータを回転自在に包囲するケーシングと、を具備し、
前記円環状板の中央開口部が洗濯水の吸入口を形成すると共に、前記ケーシングに前記循環水路に連通する吐出口が形成されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の洗濯機。
【請求項13】
前記パルセータのベースの下面の外周縁に沿って前記円環状板に向かって突出する突条が設置されていることを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−154863(P2008−154863A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348186(P2006−348186)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
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