説明

洗濯機

【課題】洗濯物を出し入れする開口部を大きく取ることができる洗濯機を得る。
【解決手段】洗濯物を出し入れする円形状の開口部2を備えた洗濯機本体1と、洗濯機本体1の開口部2を開閉する蓋3と、蓋3を洗濯機本体1の一側に回動可能に連結するヒンジ機構10とを備えた洗濯機において、ヒンジ機構10は、一端が洗濯機本体1に回動可能に連結され、他端が蓋3に固定されたヒンジアーム部材12を有し、ヒンジアーム部材12は、蓋3の動きに連動して、開口部2の外側を開口部2の開口面に対してほぼ垂直方向に移動する曲面部14を有し、曲面部14が、薄板材を湾曲状に折曲して縦断面形状が湾曲状を成すとともに、横断面形状が開口部の開口形状に沿う円弧状を成すように形成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関し、さらに詳しくは洗濯機本体の開口部を大きくして洗濯物の出し入れを容易にする洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗濯機として、洗濯機本体の開口部を開閉する扉のヒンジ機構の設置位置を工夫することで、洗濯機本体の開口部を大きくするようにした技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−042291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、洗濯機本体に給水するための給水部を開口部の後方中央に前方へ張り出して設けていた。このため、開口部の開口面は正円形状を成さず、一部が給水部によって塞がれた形状となっており、衣類の出し入れに支障をきたしていた。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、 洗濯物を出し入れする開口部を大きく取ることができる洗濯機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯物を出し入れする円形状の開口部を備えた洗濯機本体と、洗濯機本体の開口部を開閉する蓋と、蓋を洗濯機本体の一側に回動可能に連結するヒンジ機構とを備えた洗濯機において、ヒンジ機構は、一端が洗濯機本体に回動可能に連結され、他端が蓋に固定されたヒンジアーム部材を有し、ヒンジアーム部材は、蓋の動きに連動して、開口部の外側を開口部の開口面に対してほぼ垂直方向に移動する曲面部を有し、曲面部が、薄板材を湾曲状に折曲して縦断面形状が湾曲状を成すとともに、横断面形状が開口部の開口形状に沿う円弧状を成すように形成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蓋を洗濯機本体の一側に回動可能に連結するヒンジ機構のヒンジアーム部材において、蓋の動きに連動して、開口部の外側を開口部の開口面に対してほぼ垂直方向に移動する曲面部の形状を、薄板材を湾曲状に折曲して縦断面形状が湾曲状を成し、横断面形状が開口部の開口形状に沿う円弧状を成す形状としたので、開口部の大きさを必要最大限に確保することが可能な洗濯機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の洗濯機において蓋が開いた状態を示す斜視図である。
図1に示すように、洗濯機本体1は、洗濯物が出し入れされる開口部2を有し、開口部2は、略円形状の蓋3によって開閉自在に覆われている。蓋3は、洗濯機本体1の一側にヒンジ機構10を介して回転自在に連結されており、洗濯機本体1の他側に設けられた開閉ロック機構30の操作によって、水平姿勢から縦姿勢方向へと回転動作し、開口部2を開放する。また、洗濯機本体1の開口部2の上面には、開口部2に対応する開口4aが形成されたトップカバー4が設けられている。
【0009】
図2は、図1のヒンジ機構の分解斜視図、図3は、図1のヒンジ機構とトップカバーとの設置関係の説明斜視図、図4は、蓋が開口部を閉塞した状態におけるヒンジ機構の拡大斜視図、図5は、蓋が開口部を開放した状態におけるヒンジ機構の拡大斜視図を示している。
【0010】
ヒンジ機構10は、洗濯機本体1に固定される台座11と、一端が台座11に連結され、他端が蓋3に固定されるヒンジアーム部材12と、台座11とヒンジアーム部材12とを互いに回転自在に連結するヒンジピン16と、蓋3を開放方向に付勢する3つ以上(ここでは3つ)のヒンジバネ17と、ダンパー部18と、蓋3の開放方向のヒンジアーム部材12の回転範囲を規制するストッパー19とを備えている。また、蓋3には開口部2を密閉するためのフタシール部材3aが設けられている。
【0011】
台座11は、複数の軸受け部11aを有し、各軸受け部11aにはヒンジピン16が挿入されるピン穴11bが形成されている。また、ヒンジアーム部材12は、ヒンジピン16が挿入されるピン穴13aを有する複数の軸受け部13と、蓋3の動きに連動して、開口部2の外側を開口部2の開口面に対してほぼ垂直方向に移動する曲面部14と、蓋3が固定される固定面を上面に有する平面部15とを有し、これらが一体形成された構成となっている。
【0012】
上記構成のヒンジ機構10を組み立てる際には、台座11とヒンジアーム部材12とを、台座11のピン穴11bの軸心と、ヒンジアーム部材12のピン穴13aの軸心とが一致するように重ね合わせ、軸受け部11a,13間の3つの隙間部分にそれぞれヒンジバネ17を配置する。そして、その状態で、各ピン穴11b,13a及び各ヒンジバネ17にヒンジピン16を挿通させ、ヒンジピン16の先端部をダンパー部18に装着することにより全体が組み立てられる。
【0013】
以上のように構成されたヒンジ機構10は、台座111が洗濯機本体1に固定され、ヒンジアーム部材12の平面部15が、トップカバー4に設けられた円弧状のスリット4aを挿通してトップカバー4の表面に位置しており、その平面部15の表面に蓋3が固定されている。そして、開閉ロック機構30の押しボタンが押下されると、ヒンジバネ17の付勢力によりヒンジピン16を軸としてヒンジアーム部材12の曲面部14がスリット4aを通過しながら回転する。これにより蓋3が開放される。本例の蓋3は、ヒンジバネ17の付勢力により、例えば水平面に対して50゜程度まで開かれ、その後、使用者により手動で所望の位置まで開放されるようになっている。
【0014】
なお、本例ではヒンジバネ17を3つ設けるようにしているが、これは、例えば長期間の使用によりヒンジバネ17が腐食して壊れたりなどした場合の安全性確保のためである。すなわち、ヒンジバネ17が壊れて蓋3の開放方向の付勢力が弱まると、蓋3を開けて衣類の出し入れなどの作業をしている際に、蓋3が自重により閉まる方向に回転し、蓋3と洗濯機本体1の開口部2との間に手を挟んでけがをする可能性があった。このような事態を避けるため、3つ以上(本例では3つ)のヒンジバネ17を設け、仮に1つが壊れても安全性を確保できるようにしている。
【0015】
また、本例は、洗濯機本体1の開口部2を広くできることを一つの特徴としている。このための構造について以下に説明する。すなわち、ヒンジアーム部材12の曲面部14を、薄板材を湾曲状に折曲して縦断面形状が湾曲状を成し、横断面形状が開口部2の開口形状に沿う円弧状を成すように形成する。ここで、本例では、安全性の観点からヒンジバネ17を3つ以上用いるようにしており、曲面部14は、その複数のヒンジバネ17を一直線上に並べた幅と略等しい幅に形成しているため、開口部2の大きさに対してある程度の長さ(幅)を持っている。このため、曲面部14を通過させる領域が洗濯機本体1の外郭との関係から限られている場合に、その限られた領域内で、ある程度の幅のある曲面部14を通過させつつ開口部2の大きさを確保しようとすると、曲面部14の横断面形状を、開口部2の開口形状に沿う円弧状とすることが最適である。このように構成することで、開口部2を大きな正円開口とすることが可能となっている。さらに、開口部2の開口を大きくすることに寄与する構造として、蓋3にフタシール部3aを配設したことで、洗濯機本体1の開口部2にシール構造を設ける必要がなくなり、開口部2を大きな正円開口とすることができる。また、曲面部14が通過するスリット4aを開口部2の開口形状に沿う円弧状としたので、曲面部14を安定して通過させることが可能である。
【0016】
また、曲面部14の表面には、ヒンジピン16の軸方向と直交する方向に延びる突条部14aを、ヒンジピン16の軸方向に複数(ここでは3つ)設け、曲面部14の強度を高めるようにしている。また、蓋3を開く方向に必要以上の力が加わった場合に、突条部14aが後述のストッパー19の連結部21に接触することで、突条部14aを設けなかった場合に比べて曲面部14に加わる力を低減でき、曲面部14の耐久性を向上させることができる。
【0017】
ストッパー19は、ヒンジアーム部材12の回転範囲を規制するもので、洗濯機本体1側に固定される一対の脚部20と脚部20を連結する連結部21とで構成されて断面略コ字状に形成され、連結部21が曲面部14と対向するように洗濯機本体1に取り付けられている。ここで、本例の蓋3は、上述したようにヒンジバネ17の付勢力により、例えば水平面に対して50゜程度まで開くように構成されており、その後、使用者により手動で所望の位置まで開放されるが、その際、必要以上の力で蓋3が開放されると、蓋3が開きすぎて蓋3の表面が洗濯機本体1の意匠部品に衝突する可能性がある。このような蓋3の開きすぎをストッパー19によって規制するため、蓋3が意匠部品に衝突することなく、意匠部品が破損するのを未然に防ぐことが可能となっている。
【0018】
ダンパー部18は、ダンパー受け18aとダンパー18bとダンパーホルダー18cとから構成されており、上述したように、ダンパー部18にはヒンジピン16の先端部が装着されている。さらに、ダンパー部18にはヒンジアーム部材12の切り欠き部分12aも装着されている。これによりダンパー部18の軸心がヒンジアーム部材12の回転軸と同じになる。そして、ダンパーホルダー18cが洗濯機本体1に固定されているため、ダンパー18bのダンパー効果が発揮し、ヒンジアーム部材12と連結された蓋3が閉じる方向の力を吸収するもので、例えばヒンジバネ17が壊れるなどして蓋3の開放方向の付勢力が弱まった場合に作用するものである。このようにダンパー部18を設けたことにより、蓋3の開放方向の付勢力が弱まった場合に、蓋3が急激に閉まって蓋3と洗濯機本体1の開口部2との間に手を挟んでけがをするなどの危険性を防止することが可能となっている。
【0019】
また、ヒンジ機構10には、蓋3の開閉操作による曲面部14の回転動作に伴って、使用者にクリック感を与えるクリック機構が設けられている。このクリック機構は、曲面部14の両側の縁部に間隔を空けて設けられた複数のクリック用突起14bと、ストッパー19の脚部20において曲面部14の両側の縁部と対向する面に上下方向に間隔を空けて形成された複数の突部20aとから構成されている。このような構成により、蓋3を開閉する際に曲面部14が回転すると、クリック用突起14b及び突部20aが相互に順次乗り上げるように作用し、クリック感が得られるようになっている。
【0020】
図6は、蓋の開閉ロック機構を示す分解斜視図、図7は、図6のロックユニットを組み立てた状態の斜視図、図8は、蓋の開閉ロック機構全体を組み立てた状態の斜視図、図9は、図6のロックスライドの動作説明図で、図9(a)は蓋が閉まった状態を示し、図9(b)は蓋が開かれた状態を示している。図10は、ロック装置の動作説明図である。
開閉ロック機構30は、ボタンユニット40と、ロックユニット50と、ロック装置60とから構成されている。70は、洗濯機本体1側ではなく、蓋3側に連結固定されたロック受け部材である。
ボタンユニット40は、ロックユニット50の後述のロックベース51に着脱自在に装着されるボタンベース41と、ボタンベース41に対して一端側が回動自在に取り付けられ他端が押圧部となる押しボタン42と、ボタンベース41の一端側に装着されるキャップ43と有している。押しボタン42の一端側の奥行き方向の両端からは軸ピン(図示せず)が突出され、軸ピンがボタンベース41の一端側(図示右側)に設けられた一対の軸受け41aの軸孔41bにそれぞれ回転自在に軸支されることにより、押しボタン42はボタンベース41に軸ピンを回転軸として回転自在に取り付けられている。
【0021】
また、押しボタン42の下面には、ボタンベース41に向けて突出する突片44が設けられており、突辺44は、押しボタン42をボタンベース41に装着した際に、ボタンベース41に設けたスリット45を介してボタンベース41の下方に突出し、突片44に設けた傾斜面44aが後述のロックスライド52に設けた傾斜面57に当接するようになっている。
【0022】
ロックユニット50は、洗濯機本体1に固定されるロックベース51と、ロックベース51内をスライド可能に設けられ、押しボタン42の押し込みに連動してロックベース51の内方向へスライド動作するロックスライド52と、ロックスライド52に接続されたバネ53と、ロックベース51内をスライド可能に設けられ、蓋3の開閉状態に応じて停止位置が変化する検知スライド54と、検知スライド54に接続されたバネ55と、検知スライド54の停止位置に応じて蓋3の開閉状態を検知する検知センサ56とを備えている。
【0023】
ロックスライド52及び検知スライド54は、それぞれ対応のバネ53,55による付勢力が作用していない状態にあるとき、それぞれの先端部52a,54aがロックベース51の端面51aより突出した状態にある。そして、通常状態(蓋閉塞状態)において、ロックスライド52は、図9(a)に示すように、その先端部52aが、蓋3側に連結固定されたロック受け部材70の係止開口71に係止した状態となっており、蓋3の閉塞を保持している。一方、検知スライド54は、通常状態(蓋閉塞状態)において、その先端部54aがロック受け部材70に当接してバネ55の付勢力に抗してロックベース51の内方向へ押し込まれた状態となっている。
【0024】
ロックスライド52は、押しボタン42の突片44の傾斜面44aに当接する傾斜面57を有しており、図9(b)に示すように蓋3を開放すべく押しボタン42が下方に押し込まれると、押しボタン42の傾斜面44aとロックスライド52の傾斜面57との当接により後方(図9(a)右側方向)にスライド移動する。これによりロック受け部材70の係止開口71とロックスライド52の先端部52aとの係止が外れ、蓋3がヒンジ機構10によって開放される。
【0025】
また、ロックスライド52の下面には、下方に突出する係止片58が設けられており、後述のロック装置60のロックピン61が突出した状態にあるとき、ロックピン61と係止片58の面が当接してロックスライド52の後方へのスライド動作が規制されるようになっている。
【0026】
検知スライド54は、上述したように、ロックベース51内をスライド可能に設けられており、蓋3が閉塞されてロックベース51内の後方に押し込まれた位置にあるとき後述の検知センサ56の光路を遮断し、蓋3が開放されてロックベース51から突出する方向に移動した位置にあるとき検知センサ56の光路を開放する遮蔽板59を備えている。
【0027】
検知センサ56は、具体的には例えばフォトカプラで構成されており、検知スライド54の位置を検知することで蓋3の開閉状態を検知する。すなわち、検知スライド54の遮蔽板59によって光路が遮断されたとき蓋3が閉じられたことを検知し、光路が開放されたときに蓋3が開かれたことを検知する。検知センサ56の検知信号は図示しない制御部に出力され、制御部からの制御信号により後述のロック装置60が制御されるようになっている。
【0028】
図10は、ロック装置の動作説明図である。図において、図6と同一部分は同一符号を付し、説明を省略する。
ロック装置60は、脱水運転中、蓋3を開放不能にロックするための装置で、開閉ロック機構30の下方側に配置されており、棒状のロックピン61と、ロックピン61を出没動作させる駆動部62とから構成されている。そして、ロックピン61が突出した状態にあるとき、その側面がロックスライド52の突片44の後方側の面に当接することで、ロックスライド52の後方へのスライド動作を規制し、蓋3を開放不能にロックする。一方、ロックピン61が没入した状態にあるとき、その側面が突片44の後方側の面から離れることによりロックを解除し、ロックスライド52をスライド動作可能として蓋3を開放可能な状態とする。
【0029】
駆動部62は、図示しない制御部からの制御信号に応じてロックピン61の出没動作を制御するもので、制御部から蓋3を開放不能にロックする旨の制御信号が入力されると、駆動部62は、図に示すようにロックピン61をロックスライド52の突片44に向けて突出させ、ロックを解除する旨の制御信号が入力されると、ロックピン61を没入させる制御を行う。
【0030】
次に上記構成における開閉ロック機構30の動作を説明する。
押しボタン42が押されると、押しボタン42の傾斜面44aがロックスライド52の傾斜面57に当接し、ロックスライド52がバネ53の付勢力に抗して後方にスライドする。これにより、ロックスライド52の先端部52aが、ロック受け部材70の係止開口71から離れて係合状態が解除され、蓋3がヒンジ機構10の付勢力によって開放される。
【0031】
蓋3が開放されてロック受け部材70がロックスライド52及び検知スライド54の対向位置からいなくなると、検知スライド54の先端部54aに作用していたロック受け部材70による押し込み力が解除され、これにより検知スライド54はバネ55の付勢力により押し出される。すると、検知スライド54に設けられた遮蔽板59によって遮断されていた検知センサ56の光路が、検知スライド54の移動によって開放され、これにより検知センサ56は、蓋3が開放されたことを検知する。
【0032】
そして、蓋3を閉塞する場合には、蓋3を閉塞方向に押し下げる。これにより蓋3とともにロック受け部材70も下降し、ロック受け部材70の下端部70aがロックスライド52の先端部52aに当接してロックスライド52をバネ53の付勢力に抗して一旦後方に移動させる。そして、ロック受け部材70が更に下降して係止開口71がロックスライド52の先端部52aと対向する位置に到達すると、ロックスライド52が、バネ53の付勢力により押し戻されてロック受け部材70の係止開口71に係止する位置に復帰する。これにより蓋3の閉塞が保持される。一方、検知スライド54は、蓋3が閉塞されることにより先端部54aがロック受け部材70に当接し、ロックベース51内に押し込まれる。これにより、検知センサ56の光路が、検知スライド54の遮蔽板59によって遮蔽され、検知センサ56は、蓋3が閉塞されたことを検知する。
【0033】
なお、検知センサ56の検知信号は、図示しない制御部に出力され、脱水運転の際に利用される。すなわち、蓋3が閉じたことが確認されてから、脱水運転を開始し、また、脱水運転中はロック装置60により蓋3が開かないようにしている。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ヒンジ機構10において、ヒンジアーム部材12の曲面部14を、薄板材を湾曲状に折曲して縦断面形状が湾曲状を成し、且つ、横断面形状が開口部2の開口形状に沿う円弧状を成すように形成したので、開口部2の大きさを必要最大限に確保でき、また、開口部2を覆うことなく正円開口とすることができ、衣類の出し入れが容易で使い勝手のよい洗濯機を得ることができる。
さらに、蓋3にフタシール部材3aを設けることで、開口部2を密閉するためのシール部材を開口部2の周縁などに設ける必要がないため、開口部2を大きく確保することができる。
【0035】
また、本例では、ヒンジバネ17を3個用いているため、仮に一つが壊れて蓋3を開放する方向の付勢力が弱まっても、他の2つが作用することにより、蓋3が使用者の操作や蓋3の自重により蓋3が急に閉められても、蓋3が急激に閉まるのを防止でき、蓋3と洗濯機本体1の開口部2との間に手を挟んでけがをするなどの不都合を防止することが可能である。
【0036】
また、ヒンジ機構10にダンパー部18を設け、蓋3が閉まる方向の力を吸収するようにしたので、上記と同様に、ヒンジバネ17が壊れるなどして蓋3を開放する方向の付勢力が弱まっても、蓋3が急激に閉まったり、蓋3と洗濯機本体1の開口部2との間に手を挟んでけがをするなどの危険性を防止することが可能である。
【0037】
また、蓋3の開放方向のヒンジアーム部材12の回転範囲を規制するストッパー19を設けたので、蓋3が開きすぎて蓋3の表面が洗濯機本体1の意匠部品に衝突して意匠部品が破損するのを未然に防ぐことが可能である。
【0038】
また、クリック機構を設けたので、使用者に蓋3の開閉操作のクリック感を与えることができる。また、このクリック機構を構成するクリック用突起14bと突部20aは、蓋3の開閉動作の際に摩擦接触するため、ヒンジアーム部材12の回転速度を減速させる手段としても機能し、使用者により蓋3が必要以上の力で閉じられた際の抵抗力としても作用し、急激に閉まるのを防止する効果もある。
【0039】
また、開閉ロック機構30において押しボタン42とボタンベース41とを着脱自在に装着しているので、蓋3がロック装置60によりロック状態で停電などによりロックが解除できなくなった場合に、トップカバー4を取り外し、ボタンベース41のスリット4aを介して針金等でロックピン61を押し込むことにより、容易にロックを解除することができる。
【0040】
なお、本例ではヒンジバネ17を3個用いるようにしており、真ん中のヒンジバネ17を蓋3を開放する方向とは逆方向に付勢するように配置して、ダンパーの役割を持たせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態の洗濯機において蓋が開いた状態を示す斜視図である。
【図2】図1のヒンジ機構の分解斜視図である。
【図3】図1のヒンジ機構とトップカバーとの設置関係の説明斜視図である。
【図4】蓋が開口部を閉塞した状態におけるヒンジ機構の拡大斜視図である。
【図5】蓋が開口部を開放した状態におけるヒンジ機構の拡大斜視図である。
【図6】蓋の開閉ロック機構を示す分解斜視図である。
【図7】図6のロックユニットを組み立てた状態の斜視図である。
【図8】蓋の開閉ロック機構全体を組み立てた状態の斜視図である。
【図9】図6のロックスライドの動作説明図である。
【図10】ロック装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 洗濯機本体、2 開口部、3 蓋、4 トップカバー、4a スリット、10 ヒンジ機構、12 ヒンジアーム部材、14 曲面部、14a 突条部、14b クリック用突起、17 ヒンジバネ、18 ダンパー部、19 ストッパー、20 押ボタン、20 脚部、20a 突部、21 連結部、30 開閉ロック機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を出し入れする円形状の開口部を備えた洗濯機本体と、該洗濯機本体の開口部を開閉する蓋と、該蓋を前記洗濯機本体の一側に回動可能に連結するヒンジ機構とを備えた洗濯機において、
前記ヒンジ機構は、一端が洗濯機本体に回動可能に連結され、他端が蓋に固定されたヒンジアーム部材を有し、該ヒンジアーム部材は、前記蓋の動きに連動して、前記開口部の外側を前記開口部の開口面に対してほぼ垂直方向に移動する曲面部を有し、該曲面部が、薄板材を湾曲状に折曲して縦断面形状が湾曲状を成すとともに、横断面形状が前記開口部の開口形状に沿う円弧状を成すように形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記洗濯機本体の開口部に対応する開口が形成されたトップカバーに前記開口部の形状に沿うスリットを形成し、該スリットに前記曲面部を挿通させ、前記蓋の開閉操作に応じて前記曲面部が前記スリットを通過するようにしたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記洗濯機本体の開口部を開閉する蓋は、前記開口部を密閉するためのフタシール部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記ヒンジ機構は、前記蓋を開放方向に付勢するヒンジバネを複数備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記ヒンジバネを4個以上設けたことを特徴とする請求項4記載の洗濯機。
【請求項6】
前記ヒンジ機構の前記蓋の開放方向の付勢力が弱まった場合に作用し、前記蓋を閉じる方向の力を吸収するダンパー部を備えたことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の洗濯機。
【請求項7】
前記蓋の開放方向の前記ヒンジアーム部材の回転範囲を規制するストッパーを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記ストッパーは、前記洗濯機本体側に固定される一対の脚部と該一対の脚部を連結する連結部とで構成されて断面略コ字状に形成され、前記連結部が前記曲面部と対向するように前記洗濯機本体に取り付けられていることを特徴とする請求項7記載の洗濯機。
【請求項9】
前記ヒンジ機構は、前記蓋の開閉操作による前記ヒンジアーム部材の回転動作に伴って、使用者にクリック感を与えるクリック機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8記載の洗濯機。
【請求項10】
前記クリック機構は、前記ヒンジアーム部材の前記曲面部の両側の縁部に形成された複数のクリック用突起と、前記ストッパーの前記脚部において前記曲面部の両側の縁部と対向する面に形成された複数の突部とから構成されていることを特徴とする請求項9記載の洗濯機。
【請求項11】
前記洗濯機本体の前記一側と相対向する他側に、前記蓋の前記洗濯機本体への係止・係止解除による蓋の開閉を行うとともに、脱水運転中に蓋を開放不能にロックする開閉ロック機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−161549(P2008−161549A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356136(P2006−356136)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】