説明

洗濯機

【課題】洗濯機が水を大量に使用する家電であることに着目して、洗濯機に配設されている電源基板からの発熱を効率よく簡単な構造で確実に冷却できる洗濯機を得る。
【解決手段】外箱1内に水槽2を揺動自在に吊支し、水道栓などの水源14に接続される給水手段である給水ホース18を水槽2に開口するとともに水槽2に排水手段である排水ホース13を設け、外箱1内に基板例えば電源基板12を配設した洗濯機において、前記給水手段と排水手段とに接続される水冷手段である水冷装置20を前記電源基板12に付設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の特に電源基板の冷却手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗濯機は、例えば図5の特許文献1に示すように外箱1内に水槽2を揺動自在に配設し、この水槽2の内部に洗濯兼脱水槽3を配設し、外箱1の上部の開口にフタ4を設けたトップカバー5を取付け、このトップカバー5の後部に後面電装品パネル6を、前部に前面電装品パネル7をそれぞれ取付ける。
【0003】
後面電装品パネル6は例えば給水弁、水位センサ、安全スイッチなどを配設し、前面電装パネル7には基板のうち低電圧基板を取付ける。
【0004】
外箱1は、金属製の外枠本体8の周囲に形成される開口部9を、同じく金属製のパネルで覆うものであり、少なくとも前面パネル10と側面パネル11のいずれか一方、図示の例では前面パネル10を外枠本体8に対して着脱自在に取付ける。
【0005】
そして、前面パネル10が着脱自在に取り付く外枠本体8に、100V基板の取付ボックスを設けて、ここに100V基板である電源基板12を取付ける。
【0006】
図中13は、水槽2の底部に開口する排水手段である排水ホースを示す。
【特許文献1】特開平8−57190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記電源基板には、電流が流れることによって発熱する電子部品が取付けられており、この電子部品は発熱温度が一定の温度以上になると変形したり、焦げたりする。そこで、発熱温度の高い電子部品については放熱板を設けたり、ファンを取付けたりして放熱性を高め、電子部品の高温化を防ぐようにしていた。
【0008】
しかしながら、近年、洗濯容量の増大化や、乾燥機能の追加によって電子部品の負荷が増大するとともに、使用時間も長時間化し、その結果、従来の放熱板を設けるなどの手段では電子部品の発熱に対して放熱を十分に行えなくなっている。
【0009】
なお、パソコンなどにおいては、放熱手段として、情報を記録するハードディスクドライブ装置(HDD)を水冷式の冷却装置で冷却する手段が特開2007−287212号公報などに開示されているが、洗濯機においては水冷方式で電源基板の放熱を行う手段として確立されたものはない。
【0010】
本発明は前記従来例の不都合を解消するものとして、洗濯機が水を大量に使用する家電であることに着目して、洗濯機に配設されている電源基板からの発熱を効率よく簡単な構造で確実に冷却できる洗濯機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、外箱内に水槽を揺動自在に吊支し、水源に接続される給水手段を水槽に開口するとともに水槽に排水手段を設け、外箱内に基板を配設した洗濯機において、前記給水手段と排水手段とに接続される水冷手段を前記基板に付設したことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように本発明の洗濯機は、洗濯機が水を大量に使用する家電であることに着目して、この水と洗濯機に備わっている給水および排水の手段を利用して洗濯機に配設されている電源基板からの発熱を効率よく簡単な構造で確実に冷却できるものである。よって、電子部品などの熱による破損を防止でき、電子部品の発熱を抑制できるから電子部品にさらに負荷をかけることができて洗濯容量や使用時間、機能の増大化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の洗濯機の実施形態を示す説明図で、洗濯機の全体構成は図5について既に説明した従来例と同様であるからここでの詳細な説明は省略する。
【0014】
本発明の洗濯機も従来と同様に給水手段と排水手段とを備えるものであり、給水手段は、水道栓などの水源14に接続される給水管15が給水弁16を介して給水ホース18に接続され、この給水ホース18が洗濯兼脱水槽3に開口している。
【0015】
また、排水手段は途中に排水弁17を設けた排水ホース13が水槽2の底部に開口している。
【0016】
そして、図5の従来例と同様に面パネル10が着脱自在に取り付く外枠本体8に、100V基板の取付ボックスを設けて、ここに100V基板である電源基板12が取付けられており、この電源基板12には図2に示すように電流が流れることによって発熱する電子部品や放熱板19が取付けられている。
【0017】
本発明はかかる構成の洗濯機において、前記電源基板12の発熱する電子部品や放熱板19に冷却装置として水冷装置20を取付けた。
【0018】
この水冷装置20は、洗濯機に従来から備わっている前記給水手段と排水手段とに接続されるもので、水冷装置20の水の流入側は、給水ホース18および三方給水弁16、給水管15を介して水源14に接続される。
【0019】
水冷装置20の水の排出側は排水ホース13aを介して排水弁17および排水ホース13に接続される。
【0020】
また、発熱する電子部品や放熱板19の温度を検出する温度センサ21を電子部品や放熱板19の近傍位置に配設する。
【0021】
水冷装置20の具体的構成としては、例えば図3に示すように箱形タイプとし、ボックス20aの上部に給水ホース18を開口し、下部に排水ホース13aを開口して、内壁の左右から複数のフィン20bを互い違いに水平に突設して、水との接触面積を大きくし上方から下方に向けて蛇行する水の流れを形成する。
【0022】
この場合、水が流れやすいようにフィン20bの上面は下方に向けて傾斜させる。
【0023】
他の例としては図4に示すようにパイプタイプとし、給水ホース18と排水ホース13aとの間を波状に蛇行するパイプ22で構成する。発熱する電子部品や放熱板19が大きい場合は、パイプタイプとしたほうが放熱効果が高くなる。
【0024】
次に作用について説明すると、運転時には、水槽への給水と独立し冷却手段へ給水する給水弁16を開いて給水ホース18から冷却装置20に水を流し、この水で発熱する電子部品や放熱板19を冷却し、熱を冷ます。給水弁16を設けることで給水のタイミングを制御できる。よって、熱による電子部品などの破損を防止できる。
【0025】
冷却装置20内を流れた水は排水弁17を開くことで排水ホース13aから排出される。排水弁17を設けることで水冷装置20に水を貯留することが可能となり、水の使用量を減らすことができる。
【0026】
水冷装置20に水を注入するタイミングは、運転中、常時流し続けてもよいが、制御装置にプログラムを予め設定しておき、例えば洗濯運転の給水行程と連動させて、給水行程で給水弁16を開くときに給水して水冷装置20に水を注入してボックス20aやパイプ22の中に水を貯留し、洗濯運転の排水行程で排水弁17を開くときに排水することもできる。水の貯留は前記ボックス10aなどのほかに、別途、貯留装置23を給水弁16と電源基板12との間に位置させて給水ホース18に設けて、ここに貯留することもできる。かかる給水制御や水を貯留することにより水の使用量を減らすことができる。
【0027】
また、温度センサ21で発熱する電子部品や放熱板19の温度を検出し、検出温度が予め設定してある所定温度以上になったときに給水を開始して、冷却を行い、所定の設定温度以下になれば給水を停止することもできる。かかる給水制御により水の使用量を減らすことができる。
【0028】
さらに、水冷装置20にファンを取付けて、冷却時にはファンを作動することもでき、この場合は、ファンとの併用によってより高い放熱性を得ることができる。
【0029】
なお、前記実施形態は冷却装置20を設ける対象を電源基板としたが、これに限定されるものではなく制御基板にも実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の洗濯機の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の洗濯機の実施形態を示す要部の電源基板の正面図である。
【図3】本発明の洗濯機の実施形態を示す要部の冷却装置の第1例を示す縦断正面図である。
【図4】本発明の洗濯機の実施形態を示す要部の冷却装置の第2例を示す縦断正面図である。
【図5】従来の洗濯機の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 外箱 2 水槽
3 洗濯兼脱水槽 4 フタ
5 トップカバー 6 後面電装品パネル
7 前面電装品パネル 8 外枠本体
9 開口部 10 前面パネル
11 側面パネル 12 電源基板
13 排水ホース 13a 排水ホース
14 水源
15 給水管 16 給水弁
17 排水弁 18 給水ホース
19 発熱する電子部品や放熱板 20 冷却装置
20a ボックス 20b フィン
21 温度センサ 22 パイプ
23 貯留装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱内に水槽を揺動自在に吊支し、水源に接続される給水手段を水槽に開口するとともに水槽に排水手段を設け、外箱内に基板を配設した洗濯機において、前記給水手段に接続される水冷手段を前記基板に付設したことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記水冷手段に水が貯留可能となるよう、水の通過経路に水の貯留空間と弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記水源に給水弁を設けることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
前記基板に温度検出手段を設け、この温度検出手段からの出力で水源からの給水開始および停止を制御することを特徴とする請求項1または請求項3記載の洗濯機。
【請求項5】
水源からの給水開始および停止を制御プログラムで行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−268798(P2009−268798A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123542(P2008−123542)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】