説明

流動層乾燥装置

【課題】 被乾燥粒状物層に残留する例えば藁屑のように細くて長い侠雑物を、被乾燥粒状物の流動案内路の終端側で被乾燥粒状物層から効果的に分離除去することができる流動層乾燥装置を提供する。
【解決手段】 流動層乾燥装置1は、被乾燥粒状物を流動案内路2の多孔面上において層状に流動させて通風乾燥する。多孔面からなる被乾燥粒状物の流動案内路2には、その終端側に被乾燥粒状物の流動層の表面に浮遊する夾雑物を引っ掛け上げる回転櫛13を設ける。回転櫛13は、回転軸に多数の櫛歯14を取り付けたものである。流動案内路2の上方には、流動案内路2上の被乾燥粒状物に遠赤外線を照射する遠赤外線放射体8を備える。遠赤外線放射体8には、その一端にバーナ25を、他端に排気筒26を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物等の被乾燥粒状物を多孔面上において層状に流動させて通風乾燥する流動層乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面状をなした流動盤を乾燥機本体内に敷設して上部に流動室を、下部に送風室を構成すると共に流動盤の表面には乾燥風が噴気する噴気孔を多数開口させ、流動盤上に供給された乾燥物を噴気孔から一斉に噴気する乾燥風で一定厚さの流動層を形成させながら排出側へ移行する間に乾燥を終了させる流動乾燥機は既に公知である。
【0003】
また、乾燥室内の空気を減圧状態に保持しながら乾燥機室内に遠赤外線を放射し、この乾燥室内の空気を循環させながら乾燥室内に配設された通気性のある搬送装置上の籾を層状に分散状態で搬送し、循環空気流を籾層の下方から上方に貫流させて籾と循環空気流とを接触させることにより籾を乾燥する方法は特開平11―172997号公報に記載されている。
【0004】
さらに特開2002―22362公報では、乾燥室内部の水平方向に設けられた穀粒保持体の穀粒支持面を多数の小孔を開口した気体噴出面で形成し、気体噴出面の一方に堰部材を、他方の上流から穀粒を供給して穀粒層を形成し、この穀粒層の上方に遠赤外線ヒータを配置して穀粒に遠赤外線を放射しながら、穀粒保持体の支持面の小孔を開口した気体噴出面から気体を貫入して撹拌、流動化させ、気体噴出面の堰部材の高さによって穀物層の厚さを調節しながら穀粒を乾燥する構成も既に公知である。
【0005】
なお、自動塵芥収集装置において回転櫛歯により塵芥を取込む手段は、実開平6−8314号公報に記載されている。
【特許文献1】特開平11―172997号公報
【特許文献2】特開2002―22362公報
【特許文献3】実開平6−8314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前掲の特開平11―172997号公報または特開2002―22362公報に紹介されている穀物乾燥手段によれば、被乾燥穀物の層に乾燥風を流通させるので、被乾燥穀物に混在している夾雑物のうち細塵は流動過程において乾燥風の流通により風選除去されるが、例えば藁屑のように細くて長い塵埃は、被乾燥粒状物層の表面付近に残留することが多く、その効果的な除去手段の開発が期待されていた。
【0007】
そこで、本発明は、被乾燥粒状物を多孔面上において層状に流動させて通風乾燥する流動層乾燥装置において、多孔面からなる被乾燥粒状物の流動案内路上の被乾燥粒状物の流動層の表面に浮遊する夾雑物を引っ掛け上げる回転櫛を設けたことにより、被乾燥粒状物層に残留する例えば藁屑のように細くて長い塵埃を、被乾燥粒状物の流動案内路の終端で被乾燥粒状物層から効果的に分離除去することができる流動層乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は請求項1ないし請求項4に係わる流動層乾燥装置を提案するものである。
【0009】
請求項1に係わる流動層乾燥装置は、被乾燥粒状物を多孔面上において層状に流動させて通風乾燥する流動層乾燥装置であって、多孔面からなる被乾燥粒状物の流動案内路には、被乾燥粒状物の流動層の表面に浮遊する夾雑物を引っ掛け上げる回転櫛を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に係わる流動層乾燥装置は、請求項1の構成において、被乾燥粒状物の流動案内路の上方には流動案内路の始端から終端にわたって流動案内路上の被乾燥粒状物に遠赤外線を照射する遠赤外線放射体を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係わる流動層乾燥装置は、請求項1または2の構成において、被乾燥粒状物の流動案内路の終端の略上方直近に回転櫛を複数設けたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係わる流動層乾燥装置は、請求項1または2の構成において、被乾燥粒状物の流動案内路の終端の略上方直近に、互いに逆回転する回転櫛を上下2段に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被乾燥粒状物を多孔面上において層状に流動させて通風乾燥する流動層乾燥装置において、多孔面からなる被乾燥粒状物の流動案内路に、その終端側に被乾燥粒状物の流動層の表面に浮遊する夾雑物を引っ掛け上げる回転櫛を設けたことにより、被乾燥粒状物層に残留する例えば藁屑のように細くて長い塵埃を、被乾燥粒状物の流動案内路の終端で被乾燥粒状物層から効果的に分離除去することができる効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係わる流動層乾燥装置を一部破断して示す斜視図、図2は同上側断面図、図3は同上正断面図、図4は同上要部の詳細側断面図である。
【0015】
図1ないし図4において、1は流動層乾燥装置である。この流動層乾燥装置1は、多孔面からなる被乾燥粒状物の流動案内路2を境にして、その上部が乾燥室3、下部が送風室4となっている。被乾燥粒状物の流動案内路2は、水平方向に始端から終端にわたって凹溝をなしていて全体または底面が通気孔5を多数開口した気体噴出面体となっており、底面に開口した通気孔5は被乾燥粒状物の送り方向に向けて斜めに開口されていて、流動案内路2上の被乾燥粒状物は通気孔5からの噴出気流によって流動される。なお、被乾燥粒状物の流動案内路2は、その始端から終端方向に傾斜させて被乾燥粒状物の流動を促進させるように構成するとよい。7は投入樋であって、この投入樋7から流動案内路2の始端6に被乾燥粒状物を連続的または間欠的に投入するようになっている。また、乾燥室3内において流動案内路2の上方には、流動案内路2の方向に沿って遠赤外線放射体8が備えられており、送風室4から送風装置9によって流動案内路2の底面から被乾燥粒状物層に通風するとともに遠赤外線放射体8により遠赤外線を照射して、流動案内路2上を流動する被乾燥粒状物を通風乾燥と遠赤外線乾燥との併用により効率よく乾燥する構成にしてある。
【0016】
流動案内路の終端10には、堰11とそれを越えて溢出する被乾燥粒状物の排出樋12が設けられており、流動案内路の終端10の略上方直近には、上記堰11を跨ぐように回転櫛13が設けられている。この回転櫛13は多数の櫛歯14を有しており、15はその回転軸である。16はスクレーパである。回転櫛13はその回転により、多数の櫛歯14に被乾燥粒状物の流動層の表面に浮遊する例えば藁屑のように細長い夾雑物を引っ掛けて、被乾燥粒状物層から掬い上げたうえ、スクレーパ16による掻き外し作用により機外に排出する機能を有するものである。
【0017】
図3に示すように、乾燥室3と送風室4は、循環路17によって連通しており、送風室4の送風装置9に流動案内路2の底面から乾燥室3に流通する気流は、循環路17を経て循環するようになっている。そして、上記循環路17の上部には気流加速のための狭窄路18が形成されていて、それより下方に気流を案内する湾曲面19の下方に塵埃収集路20を設けてある。塵埃収集路20は流動案内路2のほぼ全長にわたっていて、塵埃移送のためのスクリューコンベア21を内装している。22はサイクロン集塵機であって、前記塵埃収集路20は送風機23を介しダクト24によりサイクロン集塵機22に接続されている。遠赤外線放射体8にはその一端にバーナ25を備えており、他端には排気筒26が取り付けられている。
【0018】
図5、図6は、それぞれ本発明の他の実施の形態を示す要部の側断面図である。図5は被乾燥粒状物の流動案内路の終端10側に、被乾燥粒状物の排出方向に回転櫛13を2基設けた構成であって、これら2基の回転櫛13はともに同方向に回転するものである。また、図6は被乾燥粒状物の流動案内路の終端10側に、互いに逆回転する回転櫛13を上下2段に設けた構成である。
【0019】
本発明係わる以上の構成によれば、被乾燥粒状物の流動案内路2に、被乾燥粒状物の流動層の表面に浮遊する夾雑物を引っ掛け上げる回転櫛13を設けたので、被乾燥粒状物層に残留する例えば藁屑のように細くて長い塵埃を、流動案内路2の被乾燥粒状物層から効果的に分離除去することができる。
また流動案内路の終端10側の流動層の表面には浮遊した夾雑物が多く滞留する為、被乾燥粒状物の流動案内路の終端10側に回転櫛13を設けることにより更に効果的に分離除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係わる流動層乾燥装置を一部破断して示す斜視図である。
【図2】同上側断面図である。
【図3】同上正断面図である。
【図4】同上要部の詳細側断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す要部の側断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態を示す要部の側断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 流動層乾燥装置
2 流動案内路
3 乾燥室
4 送風室
5 通気孔
6 流動案内路の始端
7 投入樋
8 遠赤外線放射体
9 送風装置
10 流動案内路の終端
11 堰
12 排出樋
13 回転櫛
14 櫛歯
15 回転軸
16 スクレーパ
17 循環路
18 狭窄路
19 湾曲面
20 塵埃収集路
21 スクリューコンベア
22 サイクロン集塵機
23 送風機
24 ダクト
25 バーナ
26 排気筒
27 排出案内路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥粒状物を多孔面上において層状に流動させて通風乾燥する流動層乾燥装置であって、
多孔面からなる被乾燥粒状物の流動案内路には、被乾燥粒状物の流動層の表面に浮遊する夾雑物を引っ掛け上げる回転櫛を設けたことを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項2】
被乾燥粒状物の流動案内路の上方には流動案内路の始端から終端に渡って流動案内路上の被乾燥粒状物に遠赤外線を照射する遠赤外線放射体を備えたことを特徴とする請求項1記載の流動層乾燥装置。
【請求項3】
被乾燥粒状物の流動案内路の終端の略上方直近に回転櫛を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の流動層乾燥装置。
【請求項4】
被乾燥粒状物の流動案内路の終端の略上方直近に、互いに逆回転する回転櫛を上下2段に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の流動層乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−300450(P2006−300450A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124725(P2005−124725)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】