説明

浴室暖房システム

【課題】ボディドライヤーに適した風向や風量の温風を吹き出すことのできる第2の端末としてのボディドライヤーを備えた浴室暖房システムを得る。
【解決手段】熱源機10と、温風を送風ファン42により浴室に送り出して浴室暖房を行う浴室暖房ユニット40を第1の端末として備える浴室暖房システムAであって、浴室暖房システムAはさらにボディドライヤーとして機能する第2の端末50を備える。第2の端末50は、熱源機10からの循環する温水と熱交換して得られる温風を、浴室暖房ユニット40の送風ファン42で送り出される温風の風速よりも早い流速でありかつ方向性を備えた温風として吹き出すことのできる第1の吹き出し手段54備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディドライヤーを第2の端末として備える浴室暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱源機を備え、熱源機からの循環する温水と熱交換し、得られる温風を送風ファンにより浴室と脱衣室の双方またはいずれか一方に送り出し浴室あるいは脱衣室の暖房または乾燥を行う浴室暖房ユニットは知られている(特許文献1,2,3等参照)。また、それらの特許文献には、浴室側の状態に応じて、脱衣室側を前もって暖めておくようにした運転態様も記載されている。
【0003】
浴室や脱衣室を暖房することとは別に、浴室から出てくる人に温風を吹き付けて、体から水滴を取り除くようにしたボディドライヤーも提案されている(特許文献4,5等参照)。特許文献4に記載のボディドライヤーは、発熱源として電気ヒーターを用い、電気ヒーターと熱交換した温風を送風機で体に吹き付けるようにしている。特許文献5に記載のボディドライヤーは、浴室内の空気をコンプレッサにより除湿器と暖熱器を通過させ、圧縮された乾燥温風を浴室出口に設置した吹き出し口から体に向けて吹き出すようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−201524号公報
【特許文献2】特開2002−130715号公報
【特許文献3】特開2006−234224号公報
【特許文献4】特開2001−46277号公報
【特許文献5】特開2006−122420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、熱源機からの循環温水を利用して浴室や脱衣室を暖房する浴室暖房システムは既に知られており、また、浴室あるいは脱衣室にボディドライヤーを配置することも知られている。しかし、浴室や脱衣室の暖房に適した風向や風量と、ボディドライヤーに適した風向や風量とが異なることから、従来、2つのものは、それぞれ独立した形で浴室あるいは脱衣室に配置されており、設置コストや設置スペースの点で、改善すべき点が残っている。また、熱源として電気ヒーターを持つボディドライヤーは、一般的に温風能力が充分でなく、水滴の付いた体を短時間で乾かすことは容易でない。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、従来知られている循環温水を利用する浴室暖房システムの一つの端末としてボディドライヤーを備えるようにし、それにより、浴室廻りでの設置コストや設置スペースを改善するとともに、ボディドライヤーに対してボディドライヤーに適した風向や風量を持つ温風を与えることを可能とした、より改良された浴室暖房システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による浴室暖房システムは、熱源機と、熱源機からの循環する温水と熱交換して得られる温風を送風ファンにより浴室と脱衣室の双方またはいずれか一方に送り出し浴室およびまたは脱衣室の暖房または乾燥を行う浴室暖房ユニットを第1の端末として備える浴室暖房システムであって、前記浴室暖房システムはさらにボディドライヤーとして機能する第2の端末を備えており、該第2の端末は、前記第1の端末の送風ファンから送り出される温風の風速よりも早い流速でありかつ方向性を備えた温風を吹き出すことのできる第1の吹き出し手段を少なくとも備えることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
本発明による浴室暖房システムは、一つの熱源機から得られる循環温水を、第1と第2の2つの端末、すなわち浴室暖房ユニットとボディドライヤーの双方の吹き出し温風のための熱源として利用しており、浴室暖房システムが全体として簡素化され、浴室廻りでの設置コストや設置スペースを改善することができる。
【0009】
また、第2の端末であるボディドライヤーは第1の吹き出し手段を備えており、該第1の吹き出し手段は、第1の端末である浴室暖房ユニットの送風ファンで送り出される温風の風速よりも早い流速でありかつ方向性を備えた温風を吹き出すことができるので、浴室暖房システムにおける一端末としてのボディドライヤーは、短時間で水滴の付いた体を乾かすというボディドライヤー本来の機能を効果的に果たすことができる。
【0010】
前記第1の吹き出し手段の具体例としては、第1の端末である浴室暖房ユニットの送風ファンから送り出される温風の吹き出し口よりも流路断面を狭くした吹き出しノズルを用いる手段、温風が体近傍まで到達する間に拡散することを防止するためにフレキシブルダクト等を用いる手段、あるいは送風ファンの回転数を第1の端末に比べて1.5倍程度以上増加させる手段、のような手段を例としてあげることができる。これらの手段を組み合わせて用いることも有効である。
【0011】
なお、本発明において、「浴室暖房システム」というときの「浴室」の語は、浴槽を含む浴室と脱衣室の双方を含む言葉として用いており、単に「浴室」と言うときは浴室そのものを意味する言葉として用いている。
【0012】
本発明による浴室暖房システムにおいて、第2の端末であるボディドライヤーは浴室内の出入り口近傍に配置するようにしてもよいが、好ましくは、脱衣室内に、より好ましくは脱衣室内の浴室への出入り口近傍に備えられる(請求項2)。
【0013】
本発明による浴室暖房システムにおいて、前記第2の端末であるボディドライヤーは、温風を実質的に方向性を持たない温風として吹き出すことのできる第2の吹き出し手段と、温風の吹き出しを前記第1または第2の吹き出し手段のいずれで行うかを選択する温風吹き出し選択手段とをさらに備えることもできる(請求項3)。
【0014】
この態様では、第2端末としてのボディドライヤーを、前記第1の吹き出し手段を選択するときには本来のボディドライヤーとして、また前記第2の吹き出し手段を選択するときには従来知られた浴室暖房ユニットと同等のものとして、選択的に使用することができる。第2の吹き出し手段を選択する場合には、第2の端末であるボディドライヤーは、第1の端末である浴室暖房ユニットに対する付加的な第2の浴室暖房ユニットとして使用することができる。また、第1の端末である浴室暖房ユニットの使用を停止して、第2の端末であるボディドライヤーを唯一の浴室暖房ユニットとして使用することもできる。
【0015】
この態様において、前記第1の吹き出し手段と第2の吹き出し手段とを別々に備えるようにしてもよく、その場合、第2の吹き出し手段の吹き出し口面積を、前記第1の吹き出し手段の吹き出し口面積よりも例えば5倍程度大きなものとすることにより、第2の吹き出し手段から実質的に方向性のない温風を吹き出すことが可能となる。1つの吹き出し口のみを備え、前記温風吹き出し選択手段の作動により、その吹き出し口の有効吹き出し面積が例えば5倍程度まで変化するような手段であってもよい。なお、本発明において「実質的に方向性のない」の言葉は、方向性が全くない状態ばかりでなく、人が温風として強く意識しない程度のわずかな方向性を有している状態も含むものとして用いている。
【0016】
好ましくは上記した第2の吹き出し手段を備えた態様の第2の端末を持つ浴室暖房システムにおいて、前記第2の端末には、前記第2の吹き出し手段が選択されたときに、温風の持つ熱量を、前記第1の吹き出し手段が選択されたときよりも低くする手段がさらに備えられる(請求項4)。この態様の浴室暖房システムでは、第2の端末であるボディドライヤーが前記した浴室暖房ユニットとしての機能を果たす使用態様ときに、熱源機の負荷を少なくすることができ、省エネルギー運転が可能となる。
【0017】
本発明による浴室暖房システムにおいて、前記熱源機からの温水を第1の端末である室暖房ユニットと第2の端末であるボディドライヤーに供給する態様に制限はなく、前記熱源機からの温水が循環する独立した温水回路がそれぞれ備えられる態様(請求項5)、前記熱源機からの温水が循環する直列した温水回路が備えられる態様(請求項6)、または前記熱源機からの温水が循環する並列した温水回路が備えら態様(請求項7)を挙げることができる。設置しようとする浴室暖房システムに求められる場所的なあるいは運転上の環境等を考慮して、適宜選択する。
【0018】
本発明による浴室暖房システムにおいて、第2の端末であるボディドライヤーから吹き出る温風の熱源として温水を利用しており、電気ヒーターでは困難な、大きい熱量による大風量温風の送り出しが可能となる。しかし、温水式の場合、循環水の温度が希望する温度にまで立ち上がるのにある程度の時間が必要となり、その間は、第2の端末であるボディドライヤーから冷風が吹き出る恐れがある。それを回避するために、本発明による浴室暖房システムの好ましい態様では、前記第1およびまたは第2の吹き出し口から温風を吹き出すことなく温水を第2の端末に循環させる手段をさらに備える。より具体的には、入浴中に、あるいは入浴している人が浴室から脱衣室に移動することを予測する何らかの現象をシステムが検知したときに、第2の端末であるボディドライヤー側に予め温水を循環させるような手段をさらに備えるようにする。
【0019】
入浴中、あるいは入浴している人が浴室から脱衣室に移動することを予測する何らかの現象としては、浴室照明の有無、浴室内の温度あるいは湿度の変化、浴槽の水位変動の検知、浴槽の湯張り検知、あるいは給湯量の増加、等を例として挙げることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、設置コストや設置スペースを大きく変化させることなく、ボディドライヤーに適した風向や風量の温風を吹き出すことのできる第2の端末としてのボディドライヤーを備えた、より改良された浴室暖房システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は本発明による浴室暖房システムの一例を示す概略図であり、図2はボディドライヤーとして機能する第2の端末の一例を示す概略的斜視図および断面図である。図3および図4は本発明による浴室暖房システムの他の例を示す概略図である。図5はボディドライヤーとして機能する第2の端末の他の例を分解して示す概略的斜視図である。
【0022】
図1に示す例において、本発明による浴室暖房システムAは、例えばガス給湯器である熱源機10と、浴室20と、浴室20に隣接する脱衣室30と、浴室20側に配置された第1の端末である浴室暖房ユニット40と、脱衣室30側に配置された第2の端末であるボディドライヤー50とを備える。
【0023】
浴室20は浴槽21を備え、浴槽21には熱源機10からの温水が図示しない配管を介して供給される。浴室20内には、この浴室暖房システムAの制御装置(不図示)のための操作パネル60が取り付けられ、さらに照明器具22や温湿度センサ23も取り付けられる。浴室20と脱衣室30とは仕切り31で仕切られており、仕切り31には図示しない扉が取り付けてある。なお、この例において、操作パネル60は脱衣室30にも取り付けてある。
【0024】
第1の端末である浴室暖房ユニット40は、この例では浴室20の天井側に取り付けてあり、気液熱交換器41と送風ファン42を備える。気液熱交換器41には熱源機10からの温水が第1の配管11を通して供給され、熱交換後の温水は第2の配管12を通して熱源機10に戻される。浴室20内の空気は送風ファン42で吸引されて気液熱交換器41に送られ、熱交換して高温となった温風はゆっくりとした速度で浴室20内に戻される。この空気の循環により、浴室20内は暖房される。なお、第1の端末である浴室暖房ユニット40は浴室20の側壁側に取り付けることもできる。
【0025】
第2の端末であるボディドライヤー50は、この例では全体として箱形形状であり、図2に示すように、箱形ケーシング51の一つの側壁側に気液熱交換器52と送風ファン53が取り付けてある。他の側壁のいずれかには第1の温風吹き出し口54が形成され、別の側壁には第2の温風吹き出し口55が形成されている。また、図示しないが、好ましくは、気液熱交換器52の熱交換容量や送風ファン53の送風出力を調整するための従来知られた制御手段が備えられる。
【0026】
前記第1の吹き出し口54は、図2(b)の断面図に示すように、下流側に向けて断面積が次第に狭くなるノズル形状をなしており、好ましくは吹き出し方向が可変とされている。一方、前記第2の温風吹き出し口55の開口面積は当該側壁のほぼ全面にわたっており、第1の吹き出し口54の先端開口部の面積と比較して充分に大きい。また、第1の吹き出し口54の先端開口部の面積は、前記した浴室暖房ユニット40の温風吹き出し口の面積と比較して充分に小さい。
【0027】
従って、第1の吹き出し口54と第2の温風吹き出し口55から同じ風量の温風を吹き出す場合、第1の吹き出し口54からは、第2の温風吹き出し口55からの場合と比較して流速が早くかつ方向性を持った温風が吹き出される。一方、第2の温風吹き出し口55からは比較して流速も遅くかつ実質的に方向性のない状態で温風が吹き出される。また、第1の吹き出し口54から吹き出す温風は、前記浴室暖房ユニット40の送風ファン40で送り出される温風の風速よりも早くかつ方向性を備えた温風となる。
【0028】
第1の吹き出し口54および第2の吹き出し口55には、そこを選択的に開閉できるシャッター56が取り付けてあり、シャッター56を手動によりあるいは制御装置により操作することにより、第1の吹き出し口54および第2の吹き出し口55のいずれか一方が開き他方が閉じた状態を選択的に設定することができる。なお、前記第1の吹き出し口54は本発明でいう「第1の吹き出し手段」の一例に相当し、第2の吹き出し口55は本発明でいう「第2の吹き出し手段」の一例に相当する。また、前記シャッター56は本発明でいう「温風吹き出し選択手段」の一例に相当する。
【0029】
ボディドライヤー50の気液熱交換器52には、前記第1の配管11から分岐する第1の分岐管13を通して熱源機10からの温水が供給可能であり、熱交換後の温水は前記第2の配管12から分岐する第2の分岐管14および第2の配管12を通して熱源機10に戻るようにされている。そのために、第1の配管11と第1の分岐管13の分岐部には第1の3方向切替弁15が取り付けられ、第2の配管12と第2の分岐管14との分岐部にも第2の3方向切替弁16が取り付けられている。
【0030】
そして、前記第1の3方向切替弁15を操作することにより、熱源機10からの温水は、浴室暖房ユニット40の気液熱交換器41にのみ供給される第1の態様、ボディドライヤー50の気液熱交換器52にのみ供給される第2の態様、および双方の気液熱交換器41,52に供給される第3の態様、とを選択的に取ることができるようになっており、前記第2と第3の態様において、浴室暖房ユニット40とボディドライヤー50には、熱源機10からの温水が循環する並列した温水回路が形成される。好ましくは、前記第3の態様において、気液熱交換器41と気液熱交換器52への温水の配分量を調整できるようにされる。第1の3方向切替弁15の切り替え操作は、手動により行ってもよく、あるいは適宜の制御装置により行うようにしてもよい。前記第2の3方向切替弁16は、第1の3方向切替弁15の切り替え態様に応じて、所要の戻り温水が熱源機10に戻されるように選択的に切り替えられる。
【0031】
上記浴室暖房システムAの作動について説明する。入浴するに際し、浴槽21に湯を張るとともに、必要に応じて、浴室暖房ユニット40を操作して浴室暖房を行い、さらにはボディドライヤー50を操作して脱衣室30の暖房を行う。いずれを暖房するか、あるいは双方を暖房するかは、前記第1の3方向切替弁15および第2の3方向切替弁16の切り替え操作により設定できる。暖房を行わないときは、浴室暖房ユニット40およびボディドライヤー50のいずれにも温水の供給を行わない。また、脱衣室30の暖房のためにボディドライヤー50に温水を送るときには、好ましくは、シャッター56の開閉操作を行い、ボディドライヤー50の第1の吹き出し口54を閉じ、第2の吹き出し口55のみを開いた状態とする。また、脱衣室暖房には大きな熱量を必要としないので、制御手段を操作して、気液熱交換器52の熱交換容量を少なくしたり、送風ファン53の送風出力を小さくする制御を行うことが望ましい。
【0032】
入浴後に、体についた水滴を飛散させかつ皮膚の迅速な乾燥を望む場合には、ボディドライヤー50の気液熱交換器52に温水を循環させた状態として、操作パネル60を操作し、あるいは手作業により、シャッター56を操作して、ボディドライヤー50の第2の吹き出し口55を閉じ、第1の吹き出し口54を開く。また、望ましくは、制御手段を操作して気液熱交換器52の熱交換容量と送風ファン53の送風出力を大きくする。それにより、送風ファン53で送り込まれ、気液熱交換器52で熱交換して高温となった脱衣室30内の空気は、第1の吹き出し口54から、速い流速でかつ方向性を持った状態で吹き出されるようになり、第2の端末であるボディドライヤー50は、その前に立つ人に対して、ボディドライヤーとしての本来の機能を奏するようになる。好ましくは、第1の吹き出し口54の温風吹き出し方向を浴室20内への出入り口に向けるようにする。それにより、飛散した水滴が脱衣室30内に飛散するのを避けることができる。
【0033】
入浴中に、ボディドライヤー50への温水の供給を止めておいたときには、ボディドライヤー50の使用を開始すると同時または直前に温水の供給を開始しても、しばらくは所望の温風が得られない。入浴を開始したときから、ボディドライヤー50への温水の供給を継続させておくことにより、それを回避することができる。しかし、入浴中に継続してボディドライヤー50に温水を循環させておくことは、エネルギーの無駄となる恐れがある。そのために、湯から上がる少し前から、ドライヤー50に温水を循環させるようにすることが望ましい。
【0034】
そのための具体的手段として、例えば、湯から出ようとする少し前に、入浴者が浴室20内に取り付けてある操作パネル60を操作して、ドライヤー50に温水が循環するように、前記第1と第2の3方向切替弁15,16を切り替える。他の例として、入浴中に生じる浴室内の事象から入浴がまもなく終了することを予測できる終了予測プログラムを制御装置に組み込んでおき、該終了予測プログラムが、まもなく入浴が終了することを予測したときに、制御装置がドライヤー50に温水が循環するように前記第1と第2の3方向切替弁15,16を切り替える指令を出すようにしてもよい。
【0035】
入浴の終了を予測できる前記入浴中に生じる浴室内の事象としては、例えば、浴室内の照明点灯の継続時間、浴室内の温度あるいは湿度がしきい値を越えている継続時間、湯張り量の変動回数、あるいは給湯量の増加量等が挙げられる。家庭での入浴パターンにおける前記各事象にかかるデータを蓄積しかつ分析することによって、適切な終了予測プログラムを構築することができ、そのプログラムを利用することにより、ドライヤー50への温水供給の開始時を自動化することが可能となる。
【0036】
上記した浴室暖房システムAは、前記したように、使用者が前記した第1と第2の3方向切替弁15,16の切り替え操作を選択的に行うことにより、第1の端末である浴室暖房ユニット40のみを使用することもでき、第2の端末であるボディドライヤー50のみを使用することもできる。また、第1の端末である浴室暖房ユニット40と第2の端末であるボディドライヤー50とを同時に使用することもできる。
【0037】
図3は本発明による浴室暖房システムAの他の例を示す概略図である。この例では、第1の端末である浴室暖房ユニット40と第2の端末であるボディドライヤー50には、熱源機10からの温水が循環する直列した温水回路が形成されている点で、図1に示したものと相違する。すなわち、熱源機10からの温水は、第1の配管11から浴室暖房ユニット40の気液熱交換器41に送られ、そこからの戻り温水は第2の配管12を通してボディドライヤー50の気液熱交換器52に送られ、そこからの戻り温水は第3の配管17を通して熱源機10に戻される。温水の循環は上記と逆方向であっても差し支えない。温水循環系を除き、他の構成は図1に示したものと同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。
【0038】
この形態は、図1に示した形態のものと比較して、浴室20あるいは脱衣室30の暖房運転を行った時点でボディドライヤー50へ温水が供給されるために、ボディドライヤー50に予め温水を循環させるための前記した操作機能や検知機能が不要であるという利点がある。一方、第1の端末あるいは第2の端末の両方を同時運転した場合にどちらか一方に供給される温水温度が低くなる不都合が起こる場合がある。
【0039】
図4は本発明による浴室暖房システムAのさらに他の例を示す概略図である。この例では、第1の端末である浴室暖房ユニット40と第2の端末であるボディドライヤー50には、熱源機10からの温水が循環する独立した温水回路がそれぞれ備えられている点で、図1に示したものと相違する。すなわち、熱源機10からの温水の一部は、第1の配管11から浴室暖房ユニット40の気液熱交換器41に送られ、そこからの戻り温水は第2の配管12を通して熱源機10に戻される。また、熱源機10からの温水の他の一部は、第4の配管18からボディドライヤー50の気液熱交換器52に送られ、そこからの戻り温水は第5の配管19を通して熱源機10に戻される。温水循環系を除き、他の構成は図1に示したものと同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。
【0040】
この形態は、図1に示した形態のものと比較して、第1の端末と第2の端末を同時運転した場合においても双方の性能を十分に確保できる利点がある。
【0041】
図5はボディドライヤーとして機能する第2の端末の他の例を示している。このボディドライヤー70は全体として円筒形であり、脱衣室30の壁面等に固定される本体部71と、その上端部と下端部に回転可能に取り付けられている温風吹き出し部75、76とを備える。本体部71は、円筒状の周壁72とその内周壁に沿って固定された複数個の気液熱交換器73を有し、周壁72には多数の吸気口74が形成されている。各気液熱交換器73には、前記した熱交換器10から第1の配管11と第1の分岐管13を介して温水が供給され、熱交換後の温水は第2の分岐管14と第2の配管12を介して熱交換器10に戻される。
【0042】
温風吹き出し部75と76は実質的に同じ形状であり、ともに、底面を閉鎖した円筒状ケーシング77を有し、その内部にシッロコファンやターボファンのような送風ファン78が組み込まれている。また、円筒状ケーシング77の周壁面には温風吹き出し口79が形成されている。2つの温風吹き出し部75と76を繋ぐようにして適宜のハンドル80が取り付けてあり、ハンドル80を人が操作することにより、温風吹き出し部75と76は、壁面に固定されている本体部71に対して相対的に回動する。それにより、温風吹き出し口79からの温風吹き出し方向を任意に調整することができる。
【0043】
ボディドライヤー70を使用する際には、前記したボディドライヤー50の場合と同様にして、各気液熱交換器73に熱交換器10からの温水を循環させておく。その状態で、操作パネル60を操作して送風ファン78を駆動する。送風ファン78の作動により、脱衣室30内の空気は本体部71に形成した吸気口74から本体部71内に吸い込まれ、気液熱交換器73で温水と熱交換して昇温する。高温となった室内空気は、送風ファン78の作用により温風吹き出し口79から、前記第1の端末である浴室暖房ユニット40から送り出される温風の風速よりも早い流速でありかつ方向性を備えた温風となって吹き出される。その時に、温風を受けようとする人は、前記したハンドル80を操作して、温風吹き出し口79の向きを適切な方向に調整する。
【0044】
上記のボディドライヤー70において、熱交換器10からの温水を複数個ある気液熱交換器73に選択的に循環させる手段を組み込むこともできる。また、送風ファン78の回転数を調節できる回転数調節手段を組み込むこともできる。そのような手段を組み込むことにより、ボディドライヤー70を、例えば脱衣室暖房に利用するときには、複数個の気液熱交換器73のうちのいつくかの気液熱交換器73にのみ温水を循環させ、かつ送風ファン78の回転数を小さくするといった運転態様を選択し、また、ボディドライヤー70をボディドライヤーとしての本来の機能を発揮させる場合には、複数個の気液熱交換器73のすべてに温水を循環させ、かつ送風ファン78の回転数を大きくするといった運転態様を選択する、といった選択的な使用態様を1つのボディドライヤー70で取ることが可能となる。
【0045】
なお、上記では、上下に2つの温風吹き出し部75、76を取り付けているが、いずれか一方であってもよいことは当然である。また、温風吹き出し部75、76も開口部の大きさが一定のものとして示したが、大きさおよび形状を変えられるように設計することもできる。さらに、一方を暖房用として、他方のボディドライヤー用として用いるように、2つの温風吹き出し部75、76の開口の大きさや形状を設定することもできる。
【0046】
上記の説明から分かるように、本発明による第2の端末としてのボディドライヤー50は、第1の端末である浴室暖房ユニット40と機器としては独立している。従って、浴室暖房ユニット40を備えた既存の浴室に対して、ボディドライヤー用の新たな温水循環路を配管して第2の端末としてのボディドライヤー50を取り付けるのみで、簡単にボディドライヤーを備えた浴室にリフォームできる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による浴室暖房システムの一例を示す概略図。
【図2】ボディドライヤーとして機能する第2の端末の一例を示す概略図。
【図3】本発明による浴室暖房システムの他の例を示す概略図。
【図4】本発明による浴室暖房システムのさらに他の例を示す概略図。
【図5】ボディドライヤーとして機能する第2の端末の他の例を示す概略図。
【符号の説明】
【0048】
A…浴室暖房システム、10…熱源機、11…第1の配管、12…第2の配管、13…第1の分岐管、14…第2の分岐管、15…第1の3方向切替弁、16…第2の3方向切替弁、17…第3の配管、18…第4の配管、19…第5の配管、20…浴室、21…浴槽、22…照明器具、23…温湿度センサ、30…脱衣室、40…第1の端末である浴室暖房ユニット、41…熱交換器、42…送風ファン、50…第2の端末であるボディドライヤー、51…箱形ケーシング、52…気液熱交換器、53…送風ファン、54…第1の温風吹き出し口(第1の温風吹き出し手段)、55…第2の温風吹き出し口(第2の温風吹き出し手段)、56…シャッター(温風吹き出し選択手段)、60…操作パネル、70…第2の端末である他の態様のボディドライヤー、71…本体部、75、76…温風吹き出し部、72…本体部の周壁、73…気液熱交換器、74…吸気口、77…ケーシング、78…送風ファン、79…温風吹き出し口、80…ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、熱源機からの循環する温水と熱交換して得られる温風を送風ファンにより浴室と脱衣室の双方またはいずれか一方に送り出し浴室およびまたは脱衣室の暖房または乾燥を行う浴室暖房ユニットを第1の端末として備える浴室暖房システムであって、
前記浴室暖房システムはさらにボディドライヤーとして機能する第2の端末を備えており、該第2の端末は、前記第1の端末の送風ファンから送り出される温風の風速よりも早い流速でありかつ方向性を備えた温風を吹き出すことのできる第1の吹き出し手段を少なくとも備えることを特徴とする浴室暖房システム。
【請求項2】
前記第2の端末は浴室に隣接する脱衣室に備えられていることを特徴とする請求項1のいずれかに記載の浴室暖房システム。
【請求項3】
前記第2の端末は、温風を実質的に方向性を持たない温風として吹き出すことのできる第2の吹き出し手段と、温風の吹き出しを前記第1または第2の吹き出し手段のいずれで行うかを選択する温風吹き出し選択手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の浴室暖房システム。
【請求項4】
前記第2の端末は、前記第2の吹き出し手段が選択されたときに、温風の持つ熱量を、前記第1の吹き出し手段が選択されたときよりも低くする手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の浴室暖房システム。
【請求項5】
前記第1の端末と前記第2の端末には、前記熱源機からの温水が循環する独立した温水回路がそれぞれ備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浴室暖房システム。
【請求項6】
前記第1の端末と前記第2の端末には、前記熱源機からの温水が循環する直列した温水回路が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浴室暖房システム。
【請求項7】
前記第1の端末と前記第2の端末には、前記熱源機からの温水が循環する並列した温水回路が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浴室暖房システム。
【請求項8】
前記第1およびまたは第2の吹き出し口から温風を吹き出すことなく温水を第2の端末に循環させる手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の浴室暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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