説明

浴室暖房乾燥機

【課題】施工による騒音や振動などの性能がばらついてしまわない浴室暖房乾燥機を提供することを目的とする。
【解決手段】フランジ7を備えた浴室暖房乾燥機本体8において浴室天井面5の天井開口6に下側から浴室暖房乾燥機本体8を入れ、浴室暖房乾燥機本体8のフランジ7を浴室天井面5に対して水平にまた、浴室天井面5に対して接触させない状態で浴室暖房乾燥機本体8の固定を行い、浴室暖房乾燥機本体8の固定を行った後に浴室天井面5とフランジ7をシールすることにより、浴室暖房乾燥機本体8の循環用ファン1などが回転することによって発生する振動が浴室天井面に伝播させるのを軽減、および施工による振動伝播のばらつきを少なくすることができる浴室暖房乾燥機を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内の暖房および浴室内に吊り下げた洗濯物等を乾燥せしめる浴室暖房乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浴室暖房乾燥機の施工の例として、浴室の天井とあらかじめシール材を貼られたフランジを接触させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
浴室暖房乾燥機の施工には、浴室空間の湿度を天井裏空間に漏らさないための工夫が必要となる。そこで、浴室暖房乾燥機の施工する方法には、浴室ユニットの浴室天井面を施工するよりも前に浴室暖房乾燥機本体を天井部分に設置しておく本体先付け方式と、浴室天井面の施工後に浴室暖房乾燥機本体を天井部分に設置する本体後付け方式の2種類がある。
【0004】
以下、浴室暖房乾燥機の施工方法について、図7および図8を参照しながら説明する。
【0005】
図7は、従来の浴室暖房乾燥機101の本体後付け施工後の内部構造を示す断面図、図8は、従来の浴室暖房乾燥機101の本体先付け施工後の内部構造を示す断面図である。
【0006】
図7に示すように、本体後付け施工後の構成は、浴室天井面102を開口102aして、浴室天井面102の下側から浴室暖房乾燥機本体103を吊ボルト104と浴室暖房乾燥機本体103に設けられた吊ボルト固定部106に吊ボルト104があうように入れ、吊ボルト104にて浴室暖房乾燥機本体103を吊り下げる。その時、浴室天井面102の開口102aの縁と浴室暖房乾燥機本体103との間の隙間による湿度漏れを防止するため、浴室暖房乾燥機本体103の下面に設けられたフランジ105を浴室天井面102の下面に当て、その後フロントパネル107と浴室暖房乾燥機本体103を固定している。
【0007】
また、図8に示すように、本体先付け施工後の構成は、開口102aされた浴室天井面102の上に浴室暖房乾燥機本体103を乗せ、浴室暖房乾燥機本体103下部のフランジ105を浴室天井面102の上面に当て、その後フロントパネル107と浴室暖房乾燥機本体103を固定している。
【特許文献1】特開2001−208413号公報(第図2、第図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の浴室暖房乾燥機101では、本体後付けの場合、浴室天井面102とフランジ105の接触の強さによって、浴室暖房乾燥機101の騒音や振動など性能がばらついてしまうとの弊害があった。
【0009】
また、フランジ105が妨害をし吊ボルト104と吊ボルト固定部106をあうように入れるのが困難であった。
【0010】
また、本体先付けの場合、加熱手段108で暖められた空気は、循環送風手段109を通り、本来ならば、フロントパネル107に取り付けられている吹出口110からでなければならないが、循環送風手段109を出た空気がそのまま加熱手段108に戻ってしまい暖房能力などを低下させてしまう恐れがあった。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、浴室暖房乾燥機本体の吊ボルト固定部と吊ボルトをあわせるのが容易で、かつ浴室天井面とフランジの接触の強さによって浴室暖房乾燥機の騒音や振動など性能がばらついてしまうのを生じないようし、かつ施工方法の違いにより暖房性能の差が出ないようにすることができる浴室暖房乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の浴室暖房乾燥機は上記目的を達成するために、浴室内の空気を循環させる循環送風手段と、この循環させる空気を温める加熱手段と、底面にパネルとフロントパネルとを備えた浴室暖房乾燥機において、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体との位置決めを行った後にシール材を用いて前記浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体をシールするものである。
【0013】
この手段により、浴室天井面とフランジの接触の強さによって、浴室暖房乾燥機の騒音や振動など性能がばらついてしまうとの弊害をなくした浴室暖房乾燥機が得られる。
【0014】
また、他の手段は、浴室暖房乾燥機本体から取り外されたパネルを用いて、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体をシールするものである。
【0015】
この手段により、フランジが妨害をし吊ボルトと吊ボルト固定部をあうように入れるのが困難ということをなくした浴室暖房乾燥機が得られる。
【0016】
また、他の手段は、パネルに、吸込み気流と吹出し気流を仕切るものである。
【0017】
この手段により、循環送風手段を出た空気がそのまま加熱手段に戻ってしまい暖房能力などを低下させてしまう恐れをなくすことができる浴室暖房乾燥機が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、浴室天井面とフランジの接触の強さによって、浴室暖房乾燥機の騒音や振動など性能がばらついてしまうとの弊害をなくしたという効果のある浴室暖房乾燥機の施工方法を提供できる。
【0019】
また、フランジが妨害をし吊ボルトと吊ボルト固定部をあうように入れるのが困難ということをなくしたことができるという効果のある浴室暖房乾燥機を提供できる。
【0020】
また、循環送風手段を出た空気がそのまま加熱手段に戻ってしまい暖房能力などを低下させてしまう恐れをなくしたことができるという効果のある浴室暖房乾燥機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の請求項1記載の浴室暖房乾燥機は、浴室内の空気を循環させる循環送風手段と、この循環させる空気を温める加熱手段と、底面にパネルとフロントパネルとを備えた浴室暖房乾燥機において、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体との位置決めを行った後にシール材を用いて前記浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体をシールする構成としたものであり、浴室暖房乾燥機本体下面に設けられたフランジと浴室天井面との接触のバラツキがなくなり、浴室暖房乾燥機より浴室天井面に伝わってくる、騒音や振動などに施工によるバラツキがなくなるという作用を有する。
【0022】
また、本発明の請求項2記載の浴室暖房乾燥機は、浴室暖房乾燥機本体から取り外されたパネルを用いて、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体をシールする構成としたものであり、後付施工時に本体と、天井開口面のすきまから吊ボルト位置が見やすくなることによって浴室暖房乾燥機と吊ボルトを接続することが容易になり、また、本体を吊り下げた後、パネルを用いて浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体を容易にシールすることができるという作用を有する。
【0023】
また、本発明の請求項3記載の浴室暖房乾燥機は、パネルに、吸込み気流と吹出し気流を仕切る構成としたものであり、循環送風手段を出た空気がそのまま加熱手段に戻ってしまい暖房能力などを低下させてしまう恐れをなくしたことができるという作用を有する。
【0024】
また、本発明の請求項4記載の浴室暖房乾燥機は、パネルに、フロントパネル取り付ける構成としたものであり、パネルにフロントパネルを固定するという作用を有する。
【0025】
また、本発明の請求項5記載の浴室暖房乾燥機は、パネルに、浴室暖房乾燥機本体に組み込まれた電装ボックスにシールを設ける構成としたものであり、電装ボックスにシールするという作用を有する。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、箱の中に循環用ファン1を回転させる循環用モータ2と、浴室内の空気を循環させる循環用ファン1と空気を加熱する加熱手段3としてのヒーターとで構成している循環送風手段4と、浴室天井面5に開口している天井開口6より大きなフランジ7を備えた浴室暖房乾燥機本体8において、浴室天井面5の天井開口6に下側から浴室暖房乾燥機本体8を入れ、浴室暖房乾燥機本体8のフランジ7を浴室天井面5に対して水平にまた、浴室天井面5に対して接触させない状態で浴室暖房乾燥機本体8の固定を行い、浴室暖房乾燥機本体8の固定を行った後に浴室天井面5とフランジ7をシール材9としてシリコン、または、テープなどを用いてシールすることにより、浴室暖房乾燥機本体8の循環用ファン1などが回転することによって発生する振動を浴室天井面5に伝播させるのを軽減、および施工による振動伝播のバラツキを少なくすることができる。
【0028】
(実施の形態2)
図3〜図6に示すように、箱の中に循環用ファン1を回転させる循環用モータ2(図示せず)と、浴室内の空気を循環用ファン1と空気を加熱する加熱手段3としてのヒーターとで構成している循環送風手段4を備えた浴室暖房乾燥機本体8において、浴室天井面5に開口している天井開口6と、浴室暖房乾燥機本体8の下面10が浴室天井面5の厚み11の範囲で浴室天井面5と平行に固定する。浴室暖房乾燥機本体8の固定を行った後に、吸込み気流11aの通り道12と、加熱手段3を使って加熱された空気で構成されている吹出し気流12aの通り道13と、天井開口6より大きなパネル側フランジ部14と四角形状をした壁15で構成されるパネル16のパネル側フランジ部14を浴室天井面5に接触させ、浴室暖房乾燥機本体8の四角形状した壁17とパネル16の四角形状した壁15をそれぞれ対向させ接触させた状態で、パネル16を浴室暖房乾燥機本体8に固定、もしくはパネル16を浴室天井面5に固定させることにより、浴室暖房乾燥機本体8と浴室天井面5をシールすることができる。
【0029】
また、パネル16より吹出し気流12aの通り道13と、吸込み気流11aの通り道12を仕切っているパネル側仕切り板18と循環側仕切り板19を対向させることにより、吸込み気流11aと吹出し気流12aとのショートサーキットを防止することができる。
【0030】
また、パネル16より垂直に立たせた四角形状をした電装蓋壁25を浴室暖房乾燥機本体8の中にある箱形状した電装ボックス20の電装ボックス壁21と対向させることにより、電装ボックス20のシールを行うことができる。
【0031】
また、パネル16、もしくは浴室暖房乾燥機本体8に吸込み気流11aの通り道である吸込み口22、吹出し気流12aの通り道である吹出し口23を供えたフロントパネル24を固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明にかかわる浴室暖房乾燥機は、浴室暖房乾燥機とパネルとを取り付ける構造によって、浴室に取り付ける換気扇や空気調和機等のパネルを取り付ける構造にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1の浴室暖房乾燥機を設置した状態を示す側面構成図
【図2】同浴室暖房乾燥機の底面を示す底面構成図
【図3】本発明の実施の形態2の浴室暖房乾燥機のパネルを示す斜視図
【図4】同浴室暖房乾燥機の設置前の状態を示す側面構成図
【図5】同浴室暖房乾燥機を設置後の状態を示す側面構成図
【図6】同浴室暖房乾燥機の底面を示す底面構成図
【図7】従来の浴室暖房乾燥機の本体後付け施工後の状態を示す断面図
【図8】同浴室暖房乾燥機の本体先付け施工後の状態を示す断面図
【符号の説明】
【0034】
3 加熱手段
4 循環送風手段
5 浴室天井面
8 浴室暖房乾燥機本体
9 シール材
11a 吸込み気流
12a 吹出し気流
16 パネル
20 電装ボックス
24 フロントパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の空気を循環させる循環送風手段と、この循環させる空気を温める加熱手段と、底面にパネルとフロントパネルとを備えた浴室暖房乾燥機において、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体との位置決めを行った後にシール材を用いて前記浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体をシールする構成を特徴とした浴室暖房乾燥機。
【請求項2】
浴室暖房乾燥機本体から取り外されたパネルを用いて、浴室天井面と浴室暖房乾燥機本体をシールする構成を特徴とした請求項1記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項3】
パネルに、吸込み気流と吹出し気流を仕切る構成を特徴とした請求項1または2記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項4】
パネルに、フロントパネル取り付ける構成を特徴とした請求項1〜3のいずれかに記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項5】
パネルに、浴室暖房乾燥機本体に組み込まれた電装ボックスにシールを設ける構成を特徴とした請求項1〜4のいずれかに記載の浴室暖房乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−322072(P2007−322072A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153405(P2006−153405)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】