説明

浴室

【課題】 狭小浴室であっても浴槽内で足を充分に伸ばすことができ、洗い場での動作に支障を来たしにくいように、浴槽と洗い場のレイアウトを工夫した浴室を提供する。
【解決手段】 平面視で略長方形状の浴室10内を略対角線aで区画して、一方に浴槽11を配置し、他方を洗い場12とする。
好ましくは、浴槽11の足側に、浴槽11側と洗い場12側とに首振り可能なカラン13を配設する。浴槽11の背中側に、腰掛け部17を形成する。腰掛け部17の下方に、ジェットバス等のポンプ18を収納する。浴槽11の背中側に、半身浴用の腰掛けを兼ねる肘掛け部16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽と洗い場のレイアウトを工夫した浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に示すように、平面視で略正方形の浴室1内に設置される浴槽2であって、浴槽2の平面視で短辺となる一辺3が平面視で略正方形の浴室1の一辺4の半分より長く、短辺となるもう一辺5が浴室1の一辺6の半分より短く、これら短辺3,5をつなぐ洗い場8を臨む辺7が略正方形の浴室1に対して略傾斜辺となっているものがある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、1坪(例えば1600mm×1600mm角)サイズ程度の浴室1を想定していることから、浴槽2も洗い場8も比較的に広くレイアウトすることができる。
【特許文献1】特開2003−265342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、1坪サイズよりもさらに狭い約0.75坪(例えば1600mm×1200mm角)サイズの狭小浴室の要望があり、このような狭小浴室では、浴槽も洗い場もより狭いレイアウトとなって、特許文献1のようなレイアウトであっても、浴槽内で足を充分に伸ばせないとともに、洗い場での動作に支障をきたすことがある。
【0005】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、狭小浴室であっても浴槽内で足を充分に伸ばすことができ、洗い場での動作に支障を来たしにくいように、浴槽と洗い場のレイアウトを工夫した浴室を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、平面視で略長方形状の浴室内を略対角線で区画して、一方に浴槽を配置し、他方を洗い場としたことを特徴とする浴室を提供するものである。
【0007】
また、浴槽の足側の狭いデッドスペースを合理的に利用するために、前記浴槽の足側に、浴槽側と洗い場側とに首振り可能なカランを配設することが好ましい。
【0008】
さらに、浴槽の背中側のデッドスペースを合理的に利用するために、前記浴槽の背中側に、腰掛け部を形成することが好ましい。
【0009】
さらにまた、腰掛け部の下方のデッドスペースを合理的に利用するために、前記腰掛け部の下方に、少なくともジェットバス等のポンプを収納することが好ましい。
【0010】
また、浴槽内の背中側の広いデッドスペースを合理的に利用するために、前記浴槽の背中側に、半身浴用の腰掛けを兼ねる肘掛け部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、略対角線で区画した浴室内の一方に配置した浴槽は、略対角線方向および浴室の長辺方向に沿った三角形状となるから、狭小浴室(例えば約0.75坪)であっても、幅の広い方を背中側とし、幅の狭い方を足側として入浴すれば、浴槽内で足を充分に伸ばせるようになる。また、略対角線方向および浴室の長辺方向に視線が向くので、広い視野を確保できるようになる。さらに、浴槽の足側に近い洗い場の幅の広い方に椅子を置いて座れるから、洗い場での動作に支障を来たしにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、浴室(ユニットバスやシステムバス)10内は、長辺部10A,10Bと短辺部10C,10Dとで、平面視で略長方形状に形成して、長辺部10Aと短辺部10Dの角部分付近と、長辺部10Bと短辺部10Cの角部分付近とを結ぶ略対角線aで2つに区画している。
【0014】
そして、略対角線aと長辺部10Aと短辺部10Cとの三角形状のほぼ全区画に浴槽11を配置し、略対角線aと長辺部10Bと短辺部10Dとの三角形状のほぼ全区画を洗い場12としている。なお、浴室10の出入り口や扉等は、洗い場12側の長辺部10Bか短辺部10Dのいずれかに設けることができる。
【0015】
図2にも示すように、前記浴槽11の足側の上部位置には、浴槽11側と洗い場12側とに首振り可能なカラン(混合水栓)13を配設している。このカラン13は、浴槽11の上部位置に取付けるデッキ式であるが、浴室10の壁に取付ける壁付け式であっても良い。また、カラン13は、埋め込み式であってもホース格納式であっても良い。
【0016】
前記浴槽11の足側の洗い場12には、略対角線aと短辺部10Dとのデッドスペースとなるコーナー部分を利用して、洗い場12よりもやや高くした円弧状の洗面器置き部14を設けている。この洗面器置き部14は、浴槽の背中側に設けても良い。また、洗面器置き部14は、洗い場12や浴槽11と一体で形成されていても、分割で形成されていても良い。
【0017】
前記洗面器置き部14の上部に位置する浴槽11の外壁面部に、給湯・給水配管や排水配管の施工やメンテナンスをするために、開閉蓋(具体的に図示せず。)を有する点検口部15(ハッチング参照)を設けている。なお、点検口部15は、洗面器置き部14の下部の外壁面部に設けても良い。
【0018】
図3にも示すように、前記浴槽11内の背中側で長辺部10A側には、平面視で三角形状で、浴槽深さの約半分程度の高さを有する半身浴用の腰掛けを兼ねる肘掛け部16を設けている。前記浴槽11内の背中部分は、大きな円弧形状に形成している。
【0019】
図4にも示すように、前記浴槽11の背中側の上部位置には、略対角線aと長辺部1010Bとのデッドスペースとなる洗い場12のコーナー部分にも一部が張り出した腰掛け部17を形成している。この腰掛け部17の下方のデッドスペースは、ジェットバス等のポンプ18の収納部19として利用して、腰掛け部17の下部の外壁面部に、ポンプ18等の施工やメンテナンスをするために、開閉蓋21を有する点検口部20(ハッチング参照)を設けている。
【0020】
この点検口部20の開閉蓋21には、図5に示すように、内方に窪ませた窪み部21aを形成して、この窪み部21aを清掃用具やシャンプーボトル等の収納部として利用することができる。なお、腰掛け部17は、浴槽11の足側に設けても良い。また、腰掛け部17は、洗い場12や浴槽11と一体で形成されていても、分割で形成されていても良い。さらに、収納部19は、前記洗面器置き部14の下方のデッドスペースに設けても良い。
【0021】
上記のように浴室10を構成すれば、略対角線aで区画した浴室10内の一方に配置した浴槽11は、略対角線a方向および浴室10の長辺10Aの方向に沿った三角形状となるから、狭小浴室(例えば0.75坪)であっても、入浴者Mは、幅の広い方を背中側とし、幅の狭い方を足側として入浴すれば、浴槽11内で足を充分に伸ばせるようになる。
【0022】
また、略対角線aの方向および浴室10の長辺10Aの方向に入浴者Mの視線が向くので、広い視野を確保できるようになる。さらに、浴槽11の足側に近い洗い場12の幅の広い方に椅子22を置いて座れるから、洗い場12での動作に支障を来たしにくくなる。
【0023】
さらに、浴槽11の足側の狭いデッドスペースを合理的に利用してカラン13を配設できるとともに、カラン13を首振り(スィング)させることで、浴槽11に給湯・給水したり、洗い場12の洗面器置き部14に置いた洗面器23に給湯・給水したりすることができる。また、浴槽11の足側に近い洗い場12の幅の広い方に椅子22を置いて座れば、カラン13は右手の直ぐ横にあるから、カラン13の操作がし易くなる。
【0024】
さらに、浴槽11の背中側のデッドスペースを合理的に利用した腰掛け部17に腰を掛けて足を浴槽11側にひねると、腰を掛けたままで足を洗い場12から浴槽11内に入れることができ、逆に、腰掛け部17に腰を掛けて足を洗い場12側にひねると、腰を掛けたままで足を浴槽11内から洗い場12に出すことができるから、足腰の弱い者(老人や幼児等)が浴槽11を跨がなくても良くなるので、入浴時の安全性が向上するようになる。
【0025】
さらにまた、腰掛け部17の下方のデッドスペースを収納部19として合理的に利用して、ジェットバス等のポンプ18を収納できるようになる。
【0026】
また、浴槽11内の背中側の広いデッドスペースを合理的に利用して、狭小の浴室10では困難であった半身浴用の腰掛けを兼ねる肘掛け部16も付加することができ、肘掛け部16に腰を掛けて半身浴をすることができる。
【0027】
前記実施形態では、浴室10内は、長辺部10Aと短辺部10Dの角部分付近と、長辺部10Bと短辺部10Cの角部分付近とを結ぶ略対角線aで2つに区画しているが、図6に示すように、長辺部10Aと短辺部10Dの角部分付近から長辺部10Bの方向に例えば100mm程度で片寄せた角部分付近pと、長辺部10Bと短辺部10Cの角部分付近から長辺部10Aの方向に例えば100mm程度で片寄せた角部分付近qとを結ぶ略対角線aで2つに区画することもできる。
【0028】
このように区画すると、前記浴槽11の足側の洗い場12には、短辺部10Dと長辺部10Aのデッドスペースとなるコーナー部分を利用して、洗い場12よりもやや高くした円形状の洗面器置き部14を設けることができる。なお、点検口部15は、洗面器置き部14の下部の外壁面部に設けることが好ましい。また、カラン13は、前記実施形態と同様の位置に配設するものであり、図示は省略した。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る浴室内の平面図である。
【図2】図1の浴室内のカランと洗面器置き部の斜視図である。
【図3】図1の浴室内の半身浴用の腰掛けを兼ねる肘掛け部の斜視図である。
【図4】図1の浴室内の腰掛け部の斜視図である。
【図5】図1の浴室内の点検口部の開閉蓋の斜視図である。
【図6】本発明の別実施形態に係る浴室内の略画的平面図である。
【図7】従来の浴室内の平面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 浴室
11 浴槽
12 洗い場
13 カラン
14 洗面器置き部
16 半身浴用の腰掛けを兼ねる肘掛け部
17 腰掛け部
18 ポンプ
19 収納部
20 点検口部
a 略対角線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で略長方形状の浴室内を略対角線で区画して、一方に浴槽を配置し、他方を洗い場としたことを特徴とする浴室。
【請求項2】
前記浴槽の足側に、浴槽側と洗い場側とに首振り可能なカランを配設したことを特徴とする請求項1記載の浴室。
【請求項3】
前記浴槽の背中側に、腰掛け部を形成したことを特徴とする請求項1記載の浴室。
【請求項4】
前記腰掛け部の下方に、少なくともジェットバス等のポンプを収納したことを特徴とする請求項3記載の浴室。
【請求項5】
前記浴槽内の背中側に、半身浴用の腰掛けを兼ねる肘掛け部を設けたことを特徴とする請求項1記載の浴室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−141851(P2006−141851A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338733(P2004−338733)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】