説明

浴槽水位検出装置

【課題】圧力検出部を不要として、設置の自由度の高い浴槽水位検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の無線式ICタグ13〜15とリーダーまたはライター12を備え、前記無線式ICタグ13〜15が水没することにより電波が遮断され、1個もしくは複数の無線式ICタグが水没していることを検出し浴槽の水位を特定するようにしたものである。これにより、設置の自由度の高い浴槽水位検出装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式ICタグが水没していることをリーダーまたはライターで検出し浴槽の水位を特定する浴槽水位検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の開口部が水没する最低水位を基準として圧力による水位検出を行い設定水位に給湯する水位制御方式が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平09−324949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、圧力検出による水位検出精度を上げるための配管内補助給水や圧力検出部の配線が必要であるという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、圧力検出部を不要として、設置の自由度の高い浴槽水位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の浴槽水位検出装置は、複数の無線式ICタグとリーダーまたはライターを備え、前記無線式ICタグが水没する事により電波が遮断され、1個もしくは複数の無線式ICタグが水没していることをリーダーまたはライターで検出し特定するようにしたものである。これにより、圧力検出部を不要として、設置の自由度の高い浴槽水位検出装置が提供できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の浴槽水位検出装置は、圧力検出部を不要として、設置の自由度の高い浴槽水位検出装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、たとえば2.5GHz帯を使用する識別可能な複数の無線式ICタグとリーダーまたはライターを備え、2.5GHz帯が水分に吸収されやすい特性を利用し、前記無線式ICタグが水没する事により電波が遮断され、1個もしくは複数の無線式ICタグが水没していることをリーダーまたはライターで検出し特定する浴槽水位検出装置としたことにより、圧力検出部を不要として、設置の自由度の高い浴槽水位検出装置が提供できる。
【0008】
第2の発明は、特に、第1の発明において、無線式ICタグを浴槽内面に配置する代わりに浴槽と連結し垂直に配置された開放管の中に無線式ICタグを垂直方向に配置したことにより、配置の自由度を大きくしたものである。
【0009】
第3の発明は、特に、第1,2の発明において、水に代えて電波遮蔽手段を有し、水位の検出をするようにしたことにより、配置の自由度を大きくしたものである。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における浴槽水位検出装置を示すものである。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態における浴槽水位検出装置は、浴槽11と、無線式ICタグリーダーまたはライター12と、複数の無線式ICタグ13、14、15とを備えている。
【0013】
前記無線式ICタグ13、14、15は前記無線式ICタグリーダーまたはライター12から放射される無線電波により非接触で給電されると同時に任意の識別データを前記前記無線式ICタグリーダーまたはライター12と通信している。
【0014】
以上のように構成された浴槽水位検出装置において、以下その動作、作用を説明する。
【0015】
まず、定常時には無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13、14、15の識別データを通信しており無線式ICタグ13、14、15の存在を検出している。次に無線式ICタグ13が水没した場合、水中の無線式ICタグから発射されている2.5GHz帯の電波は水分に吸収される。無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13からの識別信号を受信できなくなり無線式ICタグ13が通信不可能であることを検出する。
【0016】
なお、本発明の実施の形態においては、無線式ICタグ13、14、15は水没しても以後の動作に支障の無いように防水処理されていなくてはならない。
【0017】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における浴槽水位検出装置の断面図を示すものである。
【0018】
図に示すように、本実施の形態においては、実施の形態1の無線式ICタグが水没する代わりに電波遮蔽物22により電波遮蔽されるようにしたものである。浮き21は電波遮蔽物22と水面との距離を一定に保持するためのものである。
【0019】
以上のように構成された浴槽水位検出装置において、以下その動作、作用を説明する。
【0020】
まず、定常時には無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13の識別データを受信しており無線式ICタグ13の存在を検出している。次に水面が上昇し電波遮蔽物22が無線式ICタグ13から発射されている電波を遮蔽する。無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13からの識別信号を受信できなくなり無線式ICタグ13が通信不可能であることを検出する。
【0021】
なお、本発明の実施の形態においては、電波遮蔽物22は電波を遮蔽するのに十分必要な任意の大きさでよい。また電波遮蔽物22は例えば蛇腹としたりして、浴槽の床面から水面までを遮蔽するようにしてもよい。
【0022】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における浴槽水位検出装置の断面図を示すものである。
【0023】
図に示すように、本実施の形態においては、無線式ICタグを浴槽内面に配置する代わりに浴槽と連結し垂直に配置された開放管31の中に無線式ICタグを垂直方向に配置したものである。
【0024】
以上のように構成された浴槽水位検出装置において、以下その動作、作用を説明する。
【0025】
まず、定常時には無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13、14、15の識別データを通信しており無線式ICタグ13、14、15の存在を検出している。次に無線式ICタグ13が水没した場合、無線式ICタグから発射されている2.5GHz帯の電波は水分に吸収される。無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13からの識別信号を受信できなくなり無線式ICタグ13が通信不可能であることを検出する。
【0026】
なお、本発明の実施の形態においては、浴槽11と開放管31の配置は任意の距離を確保してよい。
【0027】
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4における浴槽水位検出装置の断面図を示すものである。
図に示すように、本実施の形態においては、無線式ICタグを浴槽内面に配置する代わりに浴槽と連結し垂直に配置された開放管31の中に無線式ICタグを垂直方向に配置し無線式ICタグが水没する代わりに電波遮蔽物22により電波遮蔽されるようにしたものである。浮き21は電波遮蔽物22と水面との距離を一定に保持するためのものである。
【0028】
以上のように構成された浴槽水位検出装置において、以下その動作、作用を説明する。
【0029】
まず、定常時には無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13の識別データを受信しており無線式ICタグ13の存在を検出している。次に水面が上昇し電波遮蔽物22が無線式ICタグ13から発射されている電波を遮蔽する。無線式ICタグリーダーまたはライター12は無線式ICタグ13からの識別信号を受信できなくなり無線式ICタグ13が通信不可能であることを検出する。
【0030】
なお、本発明の実施の形態においては、浴槽11と開放管31の配置は任意の距離を確保してよい。
【0031】
なお、各実施の形態において、無線式ICタグリーダーまたはライター12と無線式ICタグ13、14、15との通信が確保できる範囲は約1mであり小型のものだけでなく通信が確保できる範囲で大型のものを構成してもよい。
【0032】
また、無線式ICタグリーダまたはライターを兼用するリーダー/ライターを用いてもよい。無線式ICタグの利用する周波数は2.5GHz帯に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明における浴槽水位検出装置は、圧力検出部を不要とし、無線式ICタグとそのリーダーまたはライターを任意の位置に配置できるので小型化を要求される水位検出装置全般に適用することができる。
【0034】
また浴槽に限らず、容器に入った水の水位を測る装置にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1における浴槽水位検出装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態2における浴槽水位検出装置の断面図
【図3】本発明の実施の形態3における浴槽水位検出装置の断面図
【図4】本発明の実施の形態4における浴槽水位検出装置の断面図
【符号の説明】
【0036】
11 浴槽
12 無線式ICタグリーダーまたはライター
13 無線式ICタグ1
14 無線式ICタグ2
15 無線式ICタグ3
16 水面
21 浮き
22 電波遮蔽物(電波遮蔽手段)
31 開放管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯を使用する識別可能な複数の無線式ICタグと、前記無線式ICタグのリーダーまたはライターを備え、前記複数の無線式ICタグを浴槽内面に垂直方向に配置し、前記無線式ICタグが水没することにより電波が遮断され、1個もしくは複数の無線式ICタグが水没していることを前記リーダーまたはライターで検出し浴槽の水位を特定する浴槽水位検出装置。
【請求項2】
無線式ICタグを浴槽内面に配置する代わりに浴槽と連結し垂直方向に配置された開放管の中に無線式ICタグを垂直方向に配置し、1個もしくは複数の無線式ICタグが水没していることを前記リーダーまたはライターで検出し浴槽の水位を特定する請求項1に記載の浴槽水位検出装置。
【請求項3】
無線式ICタグ自身が水没することに代えて水位に連動した電波遮蔽手段を有し、1個もしくは複数の無線式ICタグが遮蔽されていることを前記リーダーまたはライターで検出し浴槽の水位を特定する請求項1または2に記載の浴槽水位検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−98109(P2006−98109A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281807(P2004−281807)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】