説明

浴槽用マット

【課題】体型や好みに合わせて一部の形状や枕の位置を調節して浴槽内でのリラックス度を高めることができ、また半身浴にも好適な浴槽用マットの提供を目的とする。
【解決手段】発泡体シートに複数の本体貫通孔13が形成された本体マット11と、前記本体貫通孔13に挿入及び取り外し可能な棒状発泡体からなる固定棒21とを備え、前記複数の本体貫通孔13のうち少なくとも2つが重なるように前記本体マット11が曲げられ、前記重なった本体貫通孔13,13に挿入された前記固定棒21により前記本体マット11の曲げ状態が維持される。また、発泡体ブロックに前記固定棒21の挿入及び取り外し可能な枕貫通孔33が形成された枕部材31を、前記固定棒21で本体マット11に着脱可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に配置される浴槽用マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背もたれ部及び頭部支持部が一体に形成された柔軟性を有する発泡樹脂製のマットに複数の吸盤を取り付けた浴槽背もたれマットや、軟弾性素材からなる板状のマット本体に縦横方向に所定間隔で多数の貫通孔が形成され、前記貫通孔に吸盤を着脱可能に嵌合させるようにした滑り防止用浴用マットなどがある。
【0003】
しかし、従来の浴槽背もたれマットにおいては、一定の形状からなるため、使用者の体型や、浴槽内での好みの姿勢が異なっていても、一部を最適な形状に変更することができず、我慢して使用しなければならなかった。その結果、十分にリラックスできないことがあった。一方、従来の滑り防止用浴用マットは、入浴者の滑り防止を目的とするものであり、リラックス度を高めるものではなかった。
【0004】
さらに、最近では、ぬるめの温度の風呂に略上半身を出して長時間入浴する半身浴が人気となっている。しかし、家庭の風呂においては、身長などの異なる家族が入浴するため、半身浴を効果的に行うには、入浴者ごとに最適な上半身が浴槽から出るように浴槽の湯を捨てたり、増量したりする必要があり、湯が無駄になる問題がある。また、浴槽内に配置される半身浴用腰掛けも提案されているが、この場合、半身浴用腰掛けの高さが一定のため、身長などの体型や好みに応じて最適な上半身を浴槽から出すのが難しい問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−169950号公報
【特許文献2】特開2004−24388号公報
【特許文献3】特開2004−248698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、入浴者の体型や好みに合わせて一部の形状や枕の位置を調節して浴槽内でのリラックス度を高めることができ、また半身浴にも好適な浴槽用マットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、発泡体シートに複数の本体貫通孔が形成された本体マットと、前記本体貫通孔に挿入及び取り外し可能な棒状発泡体からなる固定棒とよりなり、前記複数の本体貫通孔のうち少なくとも2つが重なるように前記本体マットが曲げられ、前記重なった本体貫通孔に挿入された前記固定棒により前記本体マットの曲げ状態が維持されることを特徴とする浴槽用マットに係る。なお、本発明における「曲げ」は、「折りたたみによる曲げ」と「巻き取りによる曲げ」の何れをも意味する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、発泡体ブロックに前記固定棒の挿入及び取り外し可能な枕貫通孔が形成された枕部材を備え、前記本体マットの本体貫通孔と前記枕部材の枕貫通孔の位置を合わせて前記本体マットの表面に前記枕部材が配置され、前記位置合わせされた本体貫通孔と枕貫通孔に挿入された前記固定棒により前記枕部材が前記本体マットに固定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記複数の本体貫通孔が前記本体マットの長さ方向に沿って配設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記複数の本体貫通通孔が前記本体マットの幅方向両端部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2から4の何れか一項において、前記枕貫通孔が前記枕部材の幅方向両端部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、例えば本体マットを本体貫通孔の少なくとも2つが重なるように一端側で曲げ、重なった本体貫通孔に固定棒を挿入することにより、本体マットの一端側において前記曲げを固定して本体マットの厚みを大に維持することができ、前記厚み大の部分を浴槽内において入浴者の膝の裏やふくらはぎ又は腰等に位置させることにより、入浴者のリラックス度を高めることができる。しかも、固定棒は、棒状発泡体からなるため、入浴者が触れても、入浴者を傷つけたりするおそれがない。
【0013】
請求項2の発明によれば、枕部を着脱することができるため、好みに応じて枕部を使用することができる。しかも、枕部の位置を変更できるため、入浴者の頭部位置に応じて枕部を配置固定することができ、さらには、枕部を入浴者の頭部以外の位置、例えば膝の裏や背中等、好みの位置に配置固定することもできる。
【0014】
請求項3の発明によれば、複数の本体貫通孔が本体マットの長さ方向に沿って配設されているため、入浴者の体型や好みに応じて本体マットを長さ方向の一部で曲げて本体貫通孔を重ね合わせ、その状態で本体貫通孔に固定棒を挿入して本体マットの形状を固定することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、複数の本体貫通通孔が本体マットの幅方向両端部に設けられているため、本体貫通孔に挿入された固定棒を入浴者に触れ難い位置とすることができ、違和感を減少させることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、枕貫通孔が枕部材の幅方向両端部に設けられているため、枕貫通孔に挿入された固定棒を入浴者に触れ難い位置とすることができ、違和感を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る浴槽用マット10の斜視図、図2は同実施形態の浴槽用マットの分解斜視図、図3は第1使用例を示す図、図4は第2使用例を示す図、図5は第3使用例を示す図、図6は第4使用例を示す図である。
【0018】
図1及び図2に示す浴槽用マット10は、本体マット11と固定棒21とよりなり、さらに本実施例では枕部材31を備え、浴槽内に配置されて使用されるものである。
【0019】
前記本体マット11は、発泡体シート12に複数の本体貫通孔13が形成されたものからなり、曲げ(折りたたみによる曲げや、巻き取りによる曲げ)が可能となっている。前記発泡体シート12は、オレフィンやポリウレタン等の各種発泡体からなる。また、前記発泡体シート12は一層品に限られず、複層の積層品であってもよい。前記発泡体シート12の一例として、3層のオレフィン発泡体を熱融着で一体としたものを挙げる。前記本体貫通孔13は、前記固定棒21が挿入されるものであって、前記本体マット11における適宜の位置に設けられ、特には、図示の例のように、前記本体マット11の長さ方向L1に沿って所定間隔で配置され、かつ幅方向W1の両端部に設けられるのが好ましい。
【0020】
前記本体マット11及び本体貫通孔13の寸法は適宜とされる。本実施例では、前記本体マット11が、長さ方向L1の寸法1500mm、幅方向W1の寸法450mm、厚み15mmの長方形シートからなり、前記本体貫通孔13が直径30mmで、前記長さ方向L1に沿って間隔150mmで形成されている。
【0021】
前記固定棒21は、前記本体貫通孔13に挿入及び取り外し可能なものであって、棒状発泡体からなる。前記棒状発泡体の材質は、オレフィンやポリウレタン等の各種発泡体からなり、本実施例では一層のオレフィン発泡体からなる。なお、前記棒状発泡体は一層品に限られず、複層の積層品であってもよい。また、前記固定棒21の寸法は、前記本体貫通孔13に挿入係止可能、及び取り外し可能な寸法からなる。本実施例では、前記固定棒21が弾性変形によって前記本体貫通孔13に挿入係止可能、及び取り外し可能なように、直径35mm、長さ70mmからなる。なお、前記固定棒21は、適宜の本数が用いられる。
【0022】
前記枕部材31は、前記本体マット11の表面に配置固定されるものであって、発泡体ブロック32に前記固定棒21の挿入及び取り外し可能な枕貫通孔33が形成されたものからなる。前記発泡体ブロック32は、オレフィンやポリウレタン等の各種発泡体からなり、本実施例では一層のオレフィン発泡体からなる。なお、前記発泡体ブロック32は一層品に限られず、複層の積層品であってもよい。前記発泡体ブロック32の形状及び寸法は適宜とされる。本実施例では、断面半円形状からなり、幅方向W2の寸法420mm、奥行き方向D2の寸法80mm、高さ50mmである。前記枕貫通孔33は、適宜の位置に形成されるが、前記本体マット11における幅方向両端部の本体貫通孔13に合わせて、前記枕部材31の幅方向W2両端部に形成されるのが好ましい。また、前記枕貫通孔33の寸法は、前記固定棒21の挿入及び取り外し可能な寸法であればよく、適宜の寸法とされるが、本実施例では直径35mmからなる。
【0023】
前記浴槽用マット10の使用例を示す。図3に示す第1使用例では、まず図1に示すように、前記本体マット11の一端側を前記本体貫通孔13の少なくとも2つが重なるようにして巻き取り、前記重なった本体貫通孔13に前記固定棒21を挿入することにより、前記本体マット11の一端側における巻き取りによる曲げを維持し、前記本体マット11の厚み(高さ)を大に維持する。また、前記本体マット11の本体貫通孔13に前記枕部材31の枕貫通孔33を位置合わせして、前記本体マット11の表面に前記枕部材31を配置し、前記位置合わせした本体貫通孔13と枕貫通孔33に前記固定棒31を挿入することにより、前記枕部材31を前記本体マット11に取り外し可能に固定する。次に、前記浴槽用マット10を、図3に示すように浴槽51内に配置する。これにより、入浴者の膝の裏に前記本体マット11の曲げられた部分を配置し、また前記枕部材31を入浴者の頭部あるいは首の裏に配置することができる。
【0024】
図4に前記浴槽用マット10の第2使用例を示す。この第2使用例では、前記枕部材31を、前記本体マット11において入浴者の背中と当接する部位に、前記本体貫通孔13と前記枕貫通孔33の位置を合わせて配置し、前記位置合わせした本体貫通孔13と枕貫通孔33に前記固定部材21を挿入して固定した例である。
【0025】
図5に前記浴槽用マット10の第3使用例を示す。第3使用例は、半身浴に使用する例である。この例では、前記本体マット11の一端側を折りたたみにより曲げ、その折りたたみ部位において本体貫通孔13が重なるようにし、前記重なった本体貫通孔13に前記固定棒21を挿入することにより、前記本体マット11の一端側を折りたたみによる曲げ状態に維持する。これにより、前記本体マット11の一端側で厚み(高さ)が大に維持されるため、浴槽51内で前記厚み(高さ)が大の部分に入浴者が座ることにより、入浴者の上半身を湯から露出させ、半身浴に適した状態にすることができる。なお、前記折りたたみに代え、図3や図4のように巻き取りにより前記マット本体11の厚み(高さ)を大にしてもよい。
【0026】
図6に前記浴槽用マット10の第4使用例を示す。第4使用例は、半身浴に使用する他の例である。この例では、前記枕部材31を前記本体マット11において入浴者の臀部と当接する部位に、前記本体貫通孔13と前記枕貫通孔33の位置を合わせて配置し、前記位置合わせした本体貫通孔13と枕貫通孔33に前記固定部材21を挿入して固定した例であり、浴槽51内で前記枕部材31の部分に入浴者が座ることにより、入浴者の上半身を湯から露出させ、半身浴に適した状態にすることができる。また、前記本体マット11において前記浴槽51の湯から露出している端部11aを巻き取り等によって曲げ、前記巻き取りによる曲げを前記固定棒21で維持して前記曲げ部分を枕に使用してもよい。
【0027】
なお、前記説明においては、枕部材を使用する場合を説明したが、入浴者の好み等によっては枕部材を使用しないこともある。さらに、前記説明においては、本体マットの長さ方向一端を曲げる場合を説明したが、本体マットの長さ方向の途中を折りたたんで曲げ、その曲げ状態を固定棒で維持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る浴槽用マットの斜視図である。
【図2】同実施形態の浴槽用マットの分解斜視図である。
【図3】浴槽用マットの第1使用例を示す図である。
【図4】浴槽用マットの第2使用例を示す図である。
【図5】浴槽用マットの第3使用例を示す図である。
【図6】浴槽用マットの第4使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10 浴槽用マット
11 本体マット
12 発泡体シート
13 本体貫通孔
21 固定棒
31 枕部材
32 発泡体ブロック
33 枕貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体シートに複数の本体貫通孔が形成された本体マットと、前記本体貫通孔に挿入及び取り外し可能な棒状発泡体からなる固定棒とよりなり、
前記複数の本体貫通孔のうち少なくとも2つが重なるように前記本体マットが曲げられ、前記重なった本体貫通孔に挿入された前記固定棒により前記本体マットの曲げ状態が維持されることを特徴とする浴槽用マット。
【請求項2】
発泡体ブロックに前記固定棒の挿入及び取り外し可能な枕貫通孔が形成された枕部材を備え、
前記本体マットの本体貫通孔と前記枕部材の枕貫通孔の位置を合わせて前記本体マットの表面に前記枕部材が配置され、前記位置合わせされた本体貫通孔と枕貫通孔に挿入された前記固定棒により前記枕部材が前記本体マットに固定されることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用マット。
【請求項3】
前記複数の本体貫通孔が前記本体マットの長さ方向に沿って配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽用マット。
【請求項4】
前記複数の本体貫通通孔が前記本体マットの幅方向両端部に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の浴槽用マット。
【請求項5】
前記枕貫通孔が前記枕部材の幅方向両端部に設けられていることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載の浴槽用マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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