説明

海藻増養殖のための幹綱への種糸の自動撚り装置

【課題】海藻増養殖のための養成幹綱と種糸の撚りおよび解きを自動で行う装置を提供する。
【解決手段】養成幹綱の巻出しと同時にその外周に螺旋状に種糸を撚ることができるウインチを配置することで自動的に養成幹綱と種糸の展張ができると共に、その逆操作で養成幹綱の巻込みと同時に種糸を解くことができることで効率化並びに就労漁民に対する過重労働からの緩和を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海藻増養殖のための養成幹綱と種糸を自動で撚ったり、解いたりできる省力化機械装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現状、海藻増養殖のための養成幹綱及び種糸の展張及び回収は就労漁民の手作業で行われており、効率的な面からも労働条件的な面からも厳冬の海上での過酷な作業である。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】特開2004−65113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、厳冬の海上で就労漁民の手作業で行われてきた養成幹綱及び種糸の展張や回収は、就労漁民の高年齢化並びに海象条件の厳しさから、ますます従事者が減少し衰退傾向である。
【0005】
また、前記先行技術(特開2004−65113号公報)においても、展張回収方法の改善ではなく、問題は解決しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、養成幹綱と種糸を人手ではなく機械装置を使って自動的に撚りながら巻き出すと共に、回収も同様に行うことにより省力化を計り就労漁民の肉体的負担の軽減と安全性の向上を目指すものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、就労漁民の負担軽減及び安全操業に資すると共に、養成幹綱及び種糸の敷設回収のスピードアップが計られ、ひいては収穫量の増大が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本装置の実施の形態として図1〜図2に基づいて説明する。
【0009】
図1に示すように、共通台床(0)上に幹綱巻込ウインチ(1)、大歯車(2)、大歯車を支持する外接ギア(6)、外接ギア(6)を取り付けるギアケース(5)、大歯車を駆動する大歯車駆動モーター(3)、大歯車の片側面上に取り付けられた種糸ウインチ(7)、ギアケース面上に取り付けられた環状ギア(8)、環状ギアと種糸ウインチとの間の伝動装置(9、10)が設置される。
【0010】
養成幹綱(13)は幹綱巻込みウインチ(1)のドラムに収納されており、大歯車(2)の中心穴である幹綱貫通穴(14)を貫いて巻き出される。
【0011】
大歯車(2)は大歯車駆動モーター(3)によって大歯車駆動用ギア(4)を介して駆動される。
大歯車駆動モーター(4)は回転数の制御が可能な方式であり、大歯車(2)の回転数を増減出来る。
【0012】
大歯車はギアケース(5)に取り付けた3箇所の外接ギア(6)によって支持されている。
【0013】
大歯車(2)片側面上に種糸ウインチ(7)を設置する。種糸ウインチ(7)のドラムは丸鋼にて組み立てられ、取外し可能な構造である。
【0014】
大歯車(2)を収納したギアケース(5)の片側に、環状ギア(8)が貼り付けてある。
【0015】
ラックとピニオンの方式で、環状ギア上を動くピニオン(9)から2箇の傘歯車(10)を介して種糸ウインチ(7)に伝達され、大歯車(2)が回転することで種糸ウインチ(7)が回転する。
【0016】
種糸ウインチ(11)のドラムに巻き込まれた種糸(15)は大歯車本体にあけられた種糸貫通穴(11)を通り、大歯車(2)本体の種糸ウインチ(7)の反対側に取り付けた、こさぎ器を兼用した種糸案内器(12)を介し幹綱に結ばれる。
【0017】
あらかじめ幹綱巻込ウインチ(1)のドラムに巻込まれた養成幹綱(13)の端末を幹綱貫通穴(14)から出しておく。
同様に、種糸ウインチ(7)のドラムから種糸貫通穴(11)を通して種糸(15)の端末を引き出し、
養成幹綱(13)に結ぶ。
【0018】
上記養成幹綱(13)の端末を展張しようとする起点の浮玉に結束するなど張力を掛けながら幹綱巻込ウインチを巻き出して行く。
同時に大歯車駆動モーター(3)を種糸ウインチ(7)が巻き出し側になるような回転方向で
駆動させる。
【0019】
上記要領で連続運転すると、養成幹綱(13)外周に種糸(15)が螺旋状に巻かれながら巻き出されて行く。螺旋の撚りのピッチは大歯車駆動モーター(3)の回転数の変化で制御できる。
また、養成幹綱の巻き出し速度も幹綱巻込みウインチ(1)の駆動モーターの回転数変化で制御できる。
【0020】
前述の手順と逆工程で養成幹綱(13)及び種糸(15)を巻込み、それぞれのドラムに収納する。
なお、種糸こさぎ兼用案内器で海藻類の根の部分をこさいだ後、種糸ウインチのドラムに
巻込まれる。
【0021】
養成幹綱巻込ウインチ及び種糸ウインチのドラムは軸受け部分を開放することにより取付取外しができ、別のドラムと入れ替えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本装置の側面図
【図2】本装置のA〜A断面図
【符号の説明】
【0023】
0 本装置の共通台床
1 養成幹綱巻込ウインチ
2 大歯車、養成幹綱の周囲を公転する種糸ウインチを取り付けるための歯車。
3 大歯車駆動用モーター
4 大歯車駆動用ギア
5 ギアケース、外接ギアと環状ギアを取り付けるための枠
6 外接ギア、大歯車を支持する歯車
7 種糸ウインチ
8 環状ギア、種糸ウインチを駆動させるためにギアケースに取り付けた環状の歯
9 ピニオン、環状ギア上を移動する歯車
10 傘歯車、上記ピニオンと連結された方向を変えるための歯車
11 種糸貫通穴、種糸が大歯車を貫通するための長穴
12 種糸こさぎ兼用案内器、種糸を螺旋状に養成幹綱に巻くためのガイドであり収穫時には海藻の根部分をこさぎ落とす装置
13 養成幹綱
14 養成幹綱貫通穴、大歯車の中心に開けれた養成幹綱用の穴
15 種糸




【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹綱周囲に種糸を螺旋状に撚りながら幹綱と種糸を同時に巻き出すことが出来き、逆に螺旋状に幹綱周囲に撚っている種糸をはがしながら幹綱の巻き込み回収と種糸回収が同時にできる幹綱回収ウインチ及び種糸撚り装置。
【請求項2】
幹綱及び種糸の収納ドラムを取外すことの出来る請求項1記載の幹綱回収ウインチ及び種糸撚り装置。
【請求項3】
種糸をドラムに巻き込んだ状態で胞子槽に浸漬し、種糸にドラム側内面からも充分着床するよう丸鋼で組んだ種糸収納ドラムとした請求項1記載の幹綱回収ウインチ及び種糸撚り装置。
【請求項4】
幹綱回収ドラム及び種糸回収ドラムのそれぞれの最適速度に調整が出来るような速度制御装置をもつ請求項1記載の幹綱回収ウインチ及び種糸撚り装置。

【図1】
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【図2】
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