説明

海藻類飼料とその製造方法

【課題】成育促進に効果のある海藻類飼料とその製造技術の提供。
【解決手段】対象となる飼料は、特に養魚の成育を促進させるための養魚用飼料の配合飼料であって、この飼料の主体は海藻類である。この海藻類に海藻類の3倍量の真水と、海藻類と真水の合計量の3重量%の炭酸水素ナトリウムを加えて溶解液とし、この溶解液を煮沸させることによって海藻類を液体化し冷却させて液体海藻類を製造する。この液体海藻類は養魚用飼料に配合され、魚類等に投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に養魚等の養殖用に使用される飼料とその製造技術に関する。更に詳しくは、海藻類を液体化して他の飼料に配合し使用され、主に養殖用の海藻類飼料とその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年海面養殖が数多くの魚類に適用され広く行われている。この養殖においては、最適な養殖環境の設置と、養殖される対象物に与えられる飼料によって養殖の成否が左右される。特に与えられる飼料は、配合飼料として種々のものが開発され、調合撹拌されたものが普及し使用されている。これらはバイオマスの利用の1つとして、従来例えば水産廃棄物として処理されていたものを、魚粉や養魚用の餌等に利用され、又、機能的食品の研究対象ともなり注目されている。
【0003】
配合飼料は種々のものが調合撹拌されるが、この配合される飼料には、海藻類も含まれている。この海藻類においては、農林水産省の技術開発事業においても、大量養殖による食品添加物、家畜用飼料、エネルギー源への利用等のテーマに上げられている。しかし現状は、利用されているのは一部であって、漁場の水質浄化を目的に大量に養殖されたコンブ等の海藻類の大半は廃棄されている。又、この海藻類を配合するのは、粉末等の単独成分で配合される場合が多く、海藻類の性質を変えて配合するまでにいたっていない。
海藻類を配合すること自体は、それなりに効果があるものとして個々に多くの研究がなされている。例えば、魚類のヒラメに対して植物発酵産物に配合させて飼料を施すと、非特異的免疫機構の活性化に効果を有し、白血球の貧食能、殺菌能、リゾチーム活性で、配合のない場合に比較し優位差を認めているのはその例である。
【0004】
これらの開発に関しては、発酵処理生成物として飼料を得るのに、海藻類を含む混合物を発酵させて、発酵処理生成物を作り、これを乾燥させて飼料とするか、あるいは他の配合飼料に配合して使用する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。又、生餌を使用しない粉末飼料に海藻粉末を配合した養魚飼料用混合飼料が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−127795号公報
【特許文献2】特開平6−125715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、海中に存在する豊富な海藻類をいかに有効に活用すべきか研究努力を重ね、試行錯誤を繰り返した。海藻類に効果があるものとして前述のように種々研究がなされてはいるが、実用的な効果を期待するにはまだ尚改善の余地があった。前述のように他の飼料と混合して発酵させるための配合飼料として使用する例はあるものの、一般的には、前述のとおり海藻類を変質させず単独で、例えば海藻類を乾燥させ粉末に加工するなどして利用している。
【0006】
又、有効なエキス分を海藻類から抽出することも行なわれている。しかしながら、いずれの方法も海藻類を消化吸収をよくするために単独で性質を変えて使用する形態のものではない。しかも従来の方法は、いずれも高コストになり大量に処理する上では問題がある。本発明は、前述の背景のもとになされたものであり、特に海藻類に注目した飼料とし、下記の目的を達成する。本発明の目的は、養殖等の対象物の成育を促進させるため、海藻類を消化吸収のよいように液体に変質させ、成育効率を高める海藻類飼料とその製造方法の提供にある。本発明の他の目的は、低コストで、資源の有効利用を図った海藻類飼料とその製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
【0008】
本発明1の海藻類飼料は、動物の成育を促進させるために使用される飼料であって、前記飼料は海藻類を液体化処理された液体海藻類飼料であることを特徴とする。原料として用いる海藻類は、褐藻類に属するマコンブ、ワカメ、モズク、ヒジキ等が好ましい。
【0009】
本発明2の海藻類飼料は、本発明1において、前記餌料は、養魚用に使用される飼料であることを特徴とする。
【0010】
本発明3の海藻類飼料は、本発明1において、前記液体化処理は、前記海藻類を真水と炭酸水素ナトリウムの溶解液に浸して液体化処理することを特徴とする。
【0011】
本発明4の海藻類飼料は、本発明3において、前記液体化処理は、前記海藻類を前記溶解液とともに煮沸処理し液体化する処理であることを特徴とする。
【0012】
本発明5の海藻類飼料は、本発明3において、前記液体化処理は、前記海藻類の200〜400重量%の真水と、前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の1〜10重量%の炭酸水素ナトリウムとを含む溶解液に海藻類を浸し液体化する処理であることを特徴とする。好ましくは、前記溶解液を前記海藻類の300重量%の真水と、前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の3重量%の炭酸水素ナトリウムとを含む溶解液にするのがよい。
【0013】
本発明6の海藻類飼料の製造方法は、海藻類の水切りを行う工程と、真水に炭酸水素ナトリウムを加え溶解液とする工程と、前記溶解液に前記水切りされた海藻類を浸す工程と、前記海藻類の浸された前記溶解液を煮沸して前記海藻類を液体化する工程と、前記煮沸された液体海藻類を冷却する工程とからなることを特徴としている。
【0014】
本発明7の海藻類飼料の製造方法は、本発明6において、前記溶解液とする工程は、前記真水を前記海藻類の200〜400重量%とし、前記炭酸水素ナトリウムを前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の1〜10重量%として溶解させた溶液とする工程であることを特徴とする。好ましくは、前記真水を前記海藻類の300重量%とし、前記炭酸水素ナトリウムを前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の3重量%として溶解させた工程にするとよい。
【0015】
本発明は、基本的に、海藻類を液体化することにある。従来から海藻類を飼料に使用することは、前述のとおり効果があることは個々の研究結果からも認められている。本発明の効果を裏付ける意味で、魚類等の養殖及び人畜に対する効果について、本発明に関する海藻類の配合効果として最近の研究結果の一例を説明する。
【0016】
1)腸内ビフィズ菌の増殖による腸内環境の改善。褐藻由来のラミナラン及びアルギン酸ナトリウムが腸内のビフィズ菌を増加させ、腸内環境を改善させる。
2)盲腸内の有害アンモニア及び遊離脂肪酸量の軽減。褐藻に含まれるラミナラン及びアルギン酸が糞便培養液のPHを低下させる。食用海藻ヒジキ、アオノリ等をラットに投与し、ラット血清中脂肪レベル及び盲腸内微生物フローラに及ぼす影響について、盲腸内のアンモニア量が減少している。
3)高脂血症及び高血圧症の改善。ラットに海藻類を投与した結果、血圧、総コレステロール、遊離コレステロール、低比重リポタンパクの低下が認められた。
4)血清及び肝臓中のコレステロール量の軽減。海藻は粒度が小さい方が分解されやすく、例えば、粒度を超微小(7μm)にすると、アルギン酸の消化率が向上すること。
5)脂質の酸化抑制効果によるストレスの軽減。植物発酵産物の効果として、魚類赤血球に対し、ラジカル消去活性と脂質過酸化抑制があるとしている。
6)肝臓中の過酸化脂質量の軽減。植物発酵産物が肝臓組織内の脂質の過酸化量を低下させる。
7)抗ウイルス作用の向上。植物発酵産物の経口投与により、ヒラメの非特異的免疫機構の活性化に効果。白血球の貧食能、殺菌能、リゾチーム活性で効果。コンブ抽出物を給餌した結果、疫病による死亡率が減少。
【0017】
これらの研究結果の詳細は、公知文献である水産学会発行の学会誌、講演要旨集等の資料、月刊誌「食の科学」、月刊誌「養殖」等に記載されている。従来の効果的な配合方法は、
1)乳酸菌及び酵母による発酵物の配合。
2)微粉末(単細胞レベル、7μm程度)粉体の配合。
3)酢酸エチル、70重量%アセトン・エタノール等での抽出。
であり、いずれも海藻類の利用形態は粉末化や抽出技術に関わるものであり、海藻類を液体化させる本発明の技術は記載されていない。前述のように、本発明の液体化は所定割合の真水と炭酸水素ナトリウムとを海藻類とともに煮沸して液体化するものである。
【0018】
この液体化は、真水に溶解した炭酸水素ナトリウムは浸透力が強いので、この炭酸水素ナトリウムは浸漬された海藻類の細胞内に容易に浸透することができる。これを煮沸し加熱することにより細胞内に浸透した炭酸水素ナトリウムはガス化し、体積が膨張する。これにより海藻類の細胞膜は破れ、細胞内の内容物が溶け出し液体化するのである。このように液体化した海藻類は消化のよい飼料に変質する。このことは、内臓の弱い魚類においても容易に消化しやすくなり、栄養分を体内に吸収されることになり成長を促進させる。
【0019】
液体にしたことによる海藻配合の効能は次のとおりである。
1)養魚等の摂取動物に有益な水溶性のミネラル分や多糖類の吸収に障壁となる細胞膜が破壊され、吸収が容易になる。
2)消化され難い山菜や海藻をスープにして摂ると、グルタチオン等の抗酸化物が有効に吸収される。この関係で海藻類を液体化することは大きな効果を生む。
3)養殖業の漁村環境において、水揚げされた生鮮海藻類の水切り保存、液化作業、飼料等への配合利用が容易であるため、関連経費が軽減される。特別な設備を要することなく、どの漁場においても海藻類の鮮度を落とすことなく、容易に液体化できる。漁場において処理できる有利な点は、一時的に大量の生鮮海藻類の水切りや袋詰め等を行う場所を確保できることと、保管用の冷蔵設備も近隣に確保できること、又、煮沸用の釜が同様に容易に確保できること等である。
【0020】
本発明者らは前述の液体海藻類をトラフグに適用した結果として、次の結論を得ている。
1)トラフグの腸管壁が肥厚し、腸・体長比が増大した。
2)ストレスによる咬み合いで短くなり易い尾鰭が維持又は再生され、尾鰭率が高まった。
3)肝臓の表面にたびたび見られる流れ星状の充血斑が消滅又は減少した。
4)魚体の背部にたびたび見られる表皮色素の脱落や組織の損傷が軽減した。
【発明の効果】
【0021】
以上詳記したように、本発明は、海藻類を液体化して消化のよい状態のものとした。これを他の養殖用飼料と配合、浸潤等で追加混合し養魚等の養殖対象物に与えることで、養殖対象物は従来に比し、著しく成長し養殖効果を高めることとなった。又、従来大量に廃棄処分されていた海藻類を有効に利用できるものとなり、環境を悪化させることなく資源の有効利用となり、低コストで大量に製造、保管ができ、海藻類の有効利用に寄与することとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の構成を養魚用飼料製造に適用しフローで示した図である。このフロー図に従い本発明の製造構成を具体的に説明する。海藻類は緑藻類、紅藻類、褐藻類等である。又、その形体は生鮮物、乾燥物、塩蔵物、冷凍物等が対象であり、従来からの粉末海藻類も含まれ、種々雑多であるが、本実施の形態例において、海藻類はコンブを適用するものとする。コンブはどの漁場においても大量に養殖採取されるものであり、魚類養殖場の水質浄化作用もあるため、各地で採取されるものでもある。これらのコンブは取りまとめ後、網干し場に広げまたロープに吊り下げて水切りを行う(1)。
【0023】
処理に長時間を要する場合は乾燥させることもある。又、すぐ次の処理ができない場合は、冷凍保管されることもある。これは採取後短時間で海藻類が腐敗してしまうことを防ぐためである。この水切りされた海藻類は予め準備されている溶解液に浸される(2)。この溶解液は真水(3)に炭酸水素ナトリウム(4)を溶解させたものである。又、溶解液は予め準備しなくても、海藻類、真水、炭酸水素ナトリウムを順序不順に混合させて溶解液としてもよい。現場の状況に応じて処理されればよい。
【0024】
更に具体的に説明すると、海藻類が浸された溶解液は、海藻類に、海藻類の200〜400重量%の真水と、海藻類と真水を合計した混合液の1〜10重量%の炭酸水素ナトリウムを加えたものである。海藻類の重量は海水から引き上げられて水切りされた後のものを基準とする。コンブにおいて好ましくは、海藻類に、海藻類の300重量%の真水と、海藻類と真水を合計した混合液の3重量%の炭酸水素ナトリウムを加えたものがよい。
【0025】
この各々の混合割合は海藻類の種類によって異なってくる。各々の海藻類に応じて経験的に定められた最適値に合わせるようにする。次にこのコンブの浸漬けされた溶解液を煮沸させる(5)。これは、漁場においては、生鮮海藻類を採取した状態で水切りされたものをそのまま釜の中に入れ攪拌しながら煮沸することになる。
【0026】
1〜2トン容量の釜であると、2時間で完全に溶解し、海藻類は液体化する。次に煮沸された溶解液は、液体海藻類として冷却させる(6)。この冷却は、例えば3〜4時間放置して熱を冷ますようにして冷却する。又、大量生産で早く処理させる必要のあるときは、冷却設備等で強制的に短時間で冷却させるようにしてもよい。冷却された液体海藻類は、例えば20リットル程度のポリ容器に分割して入れ保管する(7)。このポリ容器保管は、人手での持ち運びができ運搬が容易である。冷却された液体海藻類はすぐそのまま利用される場合と保管後一定期間をおいてから利用される場合がある。
【0027】
このように、完成した液体海藻類は、養魚用の場合、他の養魚用飼料に配合させて使用される(8)。この配合割合は、養魚用の場合、投与する飼料の量の3〜10重量%が目安である。又、この配合期間は、1回当たり連続して1〜3ヶ月間であり、1年間でみた場合、2〜3回で6ヶ月以内がその目安である。この配合の方法は、例えば、市販のペレット商品に浸潤吸着させるとかあるいは、現場調合のモイストペレットの場合は攪拌造粒の際に配合する。
【0028】
養魚以外に例えば家畜に与えるような場合には、家畜の飲料水に入れ希釈させて飲ませることもでき、養魚用同様に他の飼料に混ぜて投与することもできる。又、詳細は説明していないが、養魚用、他の養殖用、あるいは家畜の飼料以外に、新鮮で安全面が考慮されれば食品用の加工食品として利用することもできる。これらの効用は前述したとおりで、研究結果に沿う内容が人間の食品用にも期待できる。
【0029】
以上種々説明したが、本発明は実施の形態例に限定されないことはいうまでもない。尚、本発明で完成した製品を液体海藻類と称したが、液状海藻類と称しても同様であり、本発明の要旨に含まれる範囲においては他の表現でもよいことはいうまでもない。
【0030】
[実施例1]
図2は、本発明の液体海藻類(コンブ)を実際に製造した過程をフローで示した図である。基本的には図1と同様である。本実施例の飼育実験地は、長崎県の橘湾奥に位置する長崎市戸石漁業協同組合管理の魚類養殖用区画漁業権内である。また、コンブ養殖地は、前記実験地の漁業権に隣接した同組合の共同漁業権内であり、コンブの種類はマコンブである。
このマコンブを収穫した後水切りし、圧縮させ袋詰めして冷凍した。通常収穫してすぐ全てを処理するようなことはしないので、一般的には冷凍して倉庫に保管する。使用するときに需要に応じて必要量を解凍する。一方予め、炭酸水素ナトリウムと真水、実際は水道水とを所定の割合の溶解液として準備しておいた。
【0031】
これに解凍したコンブ等を一緒に混合させ煮沸釜に入れる。この煮沸釜は既存のいわし等の煮干釜を使用した。煮沸釜には、コンブと水道水とを1対3の割合で、これに全量の3重量%の炭酸水素ナトリウムを入れ混合体とし、蒸気ボイラーで煮沸した。この混合割合は、海藻の状態で調整されるが、今回の場合は冷凍品を解凍して使用したので前述の割合とした。約2時間煮沸させこの混合体全体を液状に溶解させた。これを60〜65℃まで放熱して冷却させた。これが本発明の液体海藻類である。これを複数の18リットルのポリ容器に分配して入れ、予冷庫で冷暗保存した。
【0032】
このようにして製造した本発明の液体海藻類(コンブ)をトラフグ養魚用飼料へ配合して試験し、その効果を確認した。トラフグの成長過程を、液体海藻類を配合しない場合(従来の方法)と配合した場合(本発明の方法)で各々飼料を投与してその比較をした。液体海藻類を配合しない場合の飼料は、抗酸化剤やビタミン等をモイストペレット(MP)ヘ0.5重量%の重量割合で配合している。液体海藻類の配合した飼料は、液体コンブをモイストペレット(MP)ヘ5重量%の重量割合で配合した。
【0033】
表1のA,B,Cは同一配合条件で、異なる人が異なるトラフグに投与したことを示している。表の測定値は、配合なし、あり、ともに同一所定期間(2ヶ月間)での結果である。以下に示す表1は、トラフグの成長状態を魚体の変化を測定して表示したものである。
【表1】

3者に若干のバラツキがあるものの、平均で体長と実体重が配合なしの場合に比し配合ありの方が伸びていることを確認した。又、特異的変化として、腸管の状態を推定できる腸・体長比も確実に伸びており、さらに尾鰭率も伸びていることを確認した。
以上のことから、トラフグのコンディションに多少の相違はあるものの、傾向として本発明の液体海藻物(コンブ)の有効性は確認できた。
【0034】
[実施例2]
次に示す表2は、前述同様の図2のフローにより製造した液体海藻類にもとづくトラフグの成長過程を調査したものである。使用した階層は、実施例1のものと同一のものを使用した。2才魚のトラフグへ本発明になる液体コンブをモイストペレット(MP)に配合して約40時間投与飼育した結果のものである。表2のA〜Dは異なる配合者を示しているが、配合条件は全て同一である。尚、測定開始時は10月10日で、測定終了時は11月24日である。
【表2】

肝比重は真水の水温15℃に換算した比重で、0.970以下は脂肪肝症が懸念される
実施対象のトラフグへは秋に投与している。秋は一般に海水温の降下とともに食欲が高まり摂餌量が増え、成長量も急増する。本実施例の場合も1日当たり平均で6.14g、1ヶ月で平均185g、最大237gと順調に成長した。
しかも、食い込みによる肝・体重比が約25重量%増大したにもかかわらず、肝比重の軽減は見られず、脂肪肝症への移行がほとんどなく健康な成長状態にあると判断された。結果として、4者とも成長率の向上がみられ、2才魚は出荷時期の魚になるが、本発明の液体海藻類(液体コンブ)の有効性は確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、海藻類を液体化する製造過程を示したフロー図である。
【図2】図2は、コンブを液体化した製造過程を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0036】
1:水切り処理
2:溶解液浸漬処理
3:真水
4:炭酸水素ナトリウム
5:煮沸処理
6:冷却処理
7:保管処理
8:他の養魚用餌料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の成育を促進させるために使用される飼料であって、
前記飼料は海藻類を液体化処理された液体海藻類飼料であることを特徴とする海藻類飼料。
【請求項2】
請求項1に記載の海藻類飼料において、
前記飼料は、養魚用に使用される養魚用飼料であることを特徴とする海藻類飼料。
【請求項3】
請求項1に記載の海藻類飼料において、
前記液体化処理は、前記海藻類を真水と炭酸水素ナトリウムの溶解液に浸して液体化処理することを特徴とする海藻類飼料。
【請求項4】
請求項3に記載の海藻類飼料において、
前記液体化処理は、前記海藻類を前記溶解液とともに煮沸処理し液体化する処理であることを特徴とする海藻類飼料。
【請求項5】
請求項3に記載の海藻類飼料において、
前記液体化処理は、前記海藻類の200〜400重量%の真水と、前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の1〜10重量%の炭酸水素ナトリウムとを含む溶解液に海藻類を浸し液体化する処理であることを特徴とする海藻類飼料。
【請求項6】
海藻類の水切りを行う工程と、
真水に炭酸水素ナトリウムを加え溶解液とする工程と、
前記溶解液に前記水切りされた海藻類を浸す工程と、
前記海藻類の浸された前記溶解液を煮沸して前記海藻類を液体化する工程と、
前記煮沸された液体海藻類を冷却する工程と
からなる海藻類飼料の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の海藻類飼料の製造方法において、
前記溶解液とする工程は、前記真水を前記海藻類の200〜400重量%とし、前記炭酸水素ナトリウムを前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の1〜10重量%として溶解させた溶液であることを特徴とする海藻類飼料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−254905(P2006−254905A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38502(P2006−38502)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(504141551)
【Fターム(参考)】