説明

消火設備の流水検知装置

【課題】 消火設備の流水検知装置において、弁体のような可動部をなくして小型化する。
【解決手段】 消火設備の配管に設けられた流水検知装置であって、差圧による流水を検知することで、配管内の消火剤の流水を検知する。この流水検知装置の本体10には、流路13の一部に、内径が狭くなった狭小流路14aと広幅流路14bとが形成されている。それぞれの流路14a,14bは、接続配管16を介して差圧スイッチ20に接続されている。
差圧スイッチ20は、磁石21と、磁石が近づくことにより動作する近接スイッチ22とから構成される。磁石21は、差圧検出用流路24内を移動し、この差圧検出用流路と絶縁部材を介して近接スイッチは設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火設備の流水検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラ消火設備などの消火設備は、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管の基端側に流水検知装置を備えている。この流水検知装置は、配管内の消火剤(水)の流れを検知するもので、スプリンクラヘッドが動作したときに、配管内の水の流れを検知して、制御盤に流水信号を出力するものである。
【特許文献1】実開平6−72069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
流水検知装置は、特許文献1に示すように、クラッパという弁体を使用したものが一般的であるが、このタイプのものは、流水時に弁体が可動部分となるので、本体内が小型化しにくく、また弁体により配管内を流れるゴミを噛むなどの問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、弁体のような可動部がなく小型化できる、消火設備の流水検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、消火設備の配管に設けられ、差圧を検知することで、該配管内の消火剤の流水を検知する消火設備の流水検知装置において、流水検知装置は、流路の一部に、内径が狭くなった狭小流路が形成された本体と、狭小流路及び該狭小流路よりも広い流路とそれぞれ接続配管を介して接続され、それぞれの流路の差圧を検知する差圧スイッチとを備え、差圧スイッチは、磁石と、磁石が近づくことにより動作する近接スイッチとから構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は以上のように構成され、流水検知装置は、流路の一部に、内径が狭くなった狭小流路が形成された本体と、流路における差圧を検知する差圧スイッチとから構成されている。
【0007】
このため、弁体のような可動部を無くすことができ、本体を小型化することができる。また、可動部をなくすことで、弁体がゴミ等を噛むという不具合もなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は本実施形態の流水検知装置の断面図である。図2は差圧スイッチの断面図である。図において、10は流水検知装置の本体で、20は差圧スイッチである。本体10は、内部に流路13を有したストレートの円筒状に形成されている。この本体10は消火設備の配管に設けられて、差圧を検知することで、配管内の消火剤の流水を検知する消火設備の流水検知装置である。
【0009】
本体10は、両端部にフランジ11、フランジ12を有する。また、フランジ11,12は、ボルトの挿通穴11a、12aを有し、図示しない消火設備の配管のフランジ部分と本体10のフランジ11,12を合わせて、挿通穴11a、12aにボルトを挿入して、ナットで締めて消火設備の配管に固定するようにしてある。
【0010】
14aは本体10の流路13の一部に形成された狭小流路である。狭小流路14aは、本体10のほぼ中間部に設けられ、流路13の内径が狭くなった部分である。このように、本体10の流路13は、フランジ12のある一次側が、径の大きい広幅流路14bとなっており、その広幅流路14bに対して径の小さい狭小流路14aが本体10の中央に形成された、ベンチュリー型の形状となっている。
【0011】
15a、15bは貫通路で、本体10を互いに平行に貫通して設けられた2つの通路である。貫通路15aは、狭小流路14aのある部分から外部と通じるように設けられ、貫通路15bは、流路13が広くなっている部分(広幅流路14b)から外部と通じるように設けられている。
【0012】
貫通路15a、15bの出口部分は、接続配管16a、16bを介して差圧スイッチ20と接続されている。つまり、差圧スイッチ20は、狭小流路14a及びその狭小流路14aよりも広い流路14bとそれぞれ接続配管16a、16bを介して接続され、
それぞれの流路13の差圧を検知する。より正確に言えば、流路13の流水による差圧を検知する。
【0013】
図2に示すように、差圧スイッチ20は、ボール状の磁石21と、磁石21が近づくことより動作する近接スイッチ22とから構成されている。ボール状の磁石21は、例えば円柱状の磁石でもよく、この磁石は上面側が例えばN極になっており、近接スイッチ22であるリードスイッチに近づくと、近接スイッチ22が動作するようになっている。
【0014】
より詳しく説明すれば、差圧スイッチ20は、接続配管16a,16b同士が接続される差圧検出用流路24を有するスイッチ本体25から構成されている。差圧検出用流路24は、断面コ字状に形成され、ボール状の磁石21は、その垂直流路24c内を移動するように設けられる。垂直流路24cの下方には、径が小さくなったストッパ部26が形成され、ボール状の磁石21は、ストッパ部26で止まっている。垂直流路24cの上部には、絶縁部材27を介して近接スイッチ22が設けられている。なお、ボール状の磁石21の外径と垂直配管24cの内径はほぼ等しく形成され、ボール状の磁石21が回転して、絶縁部材27と接触する磁石の極性が変化することを制限するようにしてある。
【0015】
なお図1において、17は本体10に設けられたボール弁であり、スプリンクラヘッドの交換などをする際、水の流れを停止させたい場合に回転させて、二次側(フランジ11側)に水が流れるのを防止するためのものである。このボール弁17に形成した開口17cには、本体10に設けた貫通路を介して配管が接続される。この配管にはテスト用の排水弁30と圧力計31とが接続されている。
【0016】
次にこの流水検知装置の動作について説明する。まず、この流水検知装置の本体10は、フランジ11,12を介して、例えばスプリンクラ消火設備の配管に接続されているものする。配管内および流水検知装置の流路13内は、消火剤としての水が充水されている。
【0017】
ここで、火災が発生し、図示しないスプリンクラヘッドが動作すると、スプリンクラヘッドから水が放水され、配管内および流水検知装置の流路13内に水が流れることになる。
【0018】
流路13内に水が流れると、流路13は、その中間部が、内径が狭くなった狭小流路14aとなっていることから、狭小流路14aでの水の流れは早くなり、その流速は、径の広い広幅流路14bに比べて早くなる。このため、狭小流路14aでの圧力は、広幅流路14bの圧力よりも小さくなって差圧により発生する流水が生じる。
【0019】
このことから、狭小流路14a及び広幅流路14bとそれぞれ接続配管16a、16bを介して接続された差圧スイッチ20は、それぞれの流路14a、14bにおける差圧により発生する流水を検知することになる。つまり、差圧検出用流路24を構成する垂直配管24cには、下方から上方に向かって水が流れることになる。このため、ストッパ部26で停止していたボール状の磁石21は、垂直配管24cの流水によって上方へと持ち上げられ、絶縁部材27と接触する。この磁石21が近づくことにより、近接スイッチ22が動作して、図示しない制御盤に流水信号を出力する。このようにして、差圧を検知することで、流路13内の消火剤の流水を検知することができる。
【0020】
火災鎮火後、ボール弁17を90°回転させて、水の流れを停止させてから、動作したスプリンクラヘッドを新しいものに交換する。このようにして、消火設備を初期状態に復旧させて、再び配管内に水を満たす。水の流水がなくなれば、ボール状の磁石21は、その重みで、垂直配管24cを落下して、絶縁部材27及び近接スイッチ22から離れるので、流水信号の出力はなくなる。
【0021】
本発明では、流水検知装置は、流路の一部に、内径が狭くなった狭小流路14aが形成されて、流路13に水が流れるときに、狭小流路14aにおける水の流れを早くして、他の部分との差圧を生じさせて、差圧を検知することで、流水を検知している。このため、弁体のような可動部を無くすことができ、本体10を小型化することができる。また、可動部をなくすことで、弁体がゴミ等を噛むという不具合もなくすことができる。また差圧スイッチ20のスイッチ本体25は、接続配管16a,16bにねじ込むだけで取り付けられ、着脱が容易なので、流水検知装置の流水検知部の交換などのメンテナンス作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の流水検知装置の断面図である。
【図2】差圧スイッチの断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 本体、 11 フランジ、 12 フランジ、 13 流路、
14a 狭小流路、 14b 広幅流路、 15 貫通路、
16 接続配管、 17 ボール弁、 20 差圧スイッチ、
21 磁石、 22 近接スイッチ、 24 差圧検出用流路、
25 スイッチ本体、 26 ストッパ部、 27 絶縁部材、 tt
30 排水弁、 31 圧力計、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火設備の配管に設けられ、差圧を検知することで、該配管内の消火剤の流水を検知する消火設備の流水検知装置において、
前記流水検知装置は、流路の一部に、内径が狭くなった狭小流路が形成された本体と、前記狭小流路及び該狭小流路よりも広い流路とそれぞれ接続配管を介して接続され、それぞれの流路の差圧を検知する差圧スイッチとを備え、
該差圧スイッチは、磁石と、該磁石が近づくことにより動作する近接スイッチとから構成されることを特徴とする消火設備の流水検知装置。
【請求項2】
該差圧スイッチは、前記接続配管同士が接続される差圧検出用流路を有するスイッチ本体と、該差圧検出用流路内を移動するボール状の磁石と、該差圧検出用流路と絶縁部材を介して設けられた近接スイッチとから構成されることを特徴とする請求項1記載の消火設備の流水検知装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−244219(P2009−244219A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93853(P2008−93853)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】