説明

液体の容量を測定する方法及びその装置並びに燃料電池システム

【課題】液体の容量を測定する方法及びその装置並びに燃料電池システムを提供する。
【解決手段】液体保存所のさまざまな対応面それぞれに取り付けられた複数対の金属板間の静電容量を測定し、液体保存所の現在姿勢に基づいて、これらの静電容量に対応する複数個の液体容量を組み合わせることによって、液体保存所に残留する液体の容量を計算する液体容量測定方法である。該液体容量測定方法はまた、液体保存所の現在姿勢に基づいて、複数個の液体容量それぞれの加重値を計算する段階と、前記計算された加重値が適用された複数個の液体容量を組み合わせることによって、前記液体の容量を計算する段階と、を含む。これにより、該液体容量測定方法は、燃料電池システムの燃料残量測定に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の容量を測定する方法及びその装置に係り、特に、燃料電池システムでの燃料の残量を測定する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池(fuel cell)は、水素のような地球上に豊富に存在する物質から電気エネルギーを発生させる環境にやさしい代替エネルギー技術であって、太陽電池(solar cell)と共に脚光を浴びている。燃料電池の電力生産のためには、燃料電池に燃料、水、空気などが供給されねばならないが、かような物質の供給量が適正ではない場合、燃料電池が正常に動作しないことがある。特に、燃料電池に供給される燃料が枯渇(exhaust)した場合には、燃料電池の反応が正常になされないため、燃料電池システムの動作は、燃料の枯渇前に停止せねばならない。かような理由によって、燃料電池システム内部に残っている燃料の残量測定に関する研究が進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、液体保存所がいかなる姿勢でも、液体保存所内部のバブルに関係なく、液体保存所に保存された液体の容量を正確に測定することができる方法及びその装置を提供するものである。
【0004】
本発明はまた、かような測定方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供するものである。
【0005】
本発明はまた、かような測定方法または装置が適用された燃料電池システムを提供するものである。
【0006】
本実施形態がなそうとする技術的課題は、前記のような技術的課題に限定されるものではなく、本明細書から他の技術的課題が類推されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面による液体容量測定方法は、液体保存所に取り付けられた金属板間の第1静電容量と、前記液体保存所に取り付けられた他の金属板間の第2静電容量と、を入力される段階と、前記第1静電容量に対応する第1液体容量と、前記第2静電容量に対応する第2液体容量と、を獲得する段階と、前記第1液体容量と前記第2液体容量とを含む複数個の液体容量を組み合わせることにより、前記液体保存所に残留する液体の容量を計算する段階と、を含む。
【0008】
本発明の他の側面によると、前記の液体容量測定方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の側面による液体容量測定装置は、第1静電容量の測定のために、液体保存所に取り付けられている1対の金属板と、第2静電容量の測定のために、前記液体保存所に取り付けられている他の1対の金属板と、前記第1静電容量と前記第2静電容量とに基づいて、前記液体保存所に残留する液体の容量を計算するプロセッサと、を含む。
【0010】
本発明のさらに他の側面による燃料電池システムは、第1静電容量の測定のために、燃料保存所に取り付けられている1対の金属板と、第2静電容量の測定のために、前記燃料保存所に取り付けられている他の1対の金属板と、前記第1静電容量と前記第2静電容量とに基づいて、燃料保存所に残留する燃料の容量を計算する制御器と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体保存所の現在姿勢に基づいて、液体保存所に取り付けられた複数対の金属板間の複数個の静電容量を利用し、液体保存所に保存された液体の容量を計算することによって、液体保存所がいかなる姿勢でも、液体保存所内部のバブルに関係なく、液体保存所に保存された液体の容量を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による燃料電池システムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による液体容量測定装置の構成図である。
【図3A】図2に図示された液体保存所内でのポーチの設置形態を図示した図面である。
【図3B】図2に図示された液体保存所内でのポーチの設置形態を図示した図面である。
【図4A】図2に図示された液体保存所のさまざまな姿勢を図示した図面である。
【図4B】図2に図示された液体保存所のさまざまな姿勢を図示した図面である。
【図4C】図2に図示された液体保存所のさまざまな姿勢を図示した図面である。
【図5】図4Aないし図4Cに図示された液体保存所の三種の姿勢での、液体の容量変化によるチャンネルAの静電容量の測定値変化を示すグラフである。
【図6】図4Aないし図4Cに図示された液体保存所の三種の姿勢での、液体容量変化によるチャンネルBの静電容量の測定値変化を示すグラフである。
【図7】図4Aないし図4Cに図示された液体保存所の三種の姿勢での、バブルを有する液体の容量変化によるチャンネルAの静電容量の測定値変化を示すグラフである。
【図8】図4Aないし図4Cに図示された液体保存所の三種の姿勢での、バブルを有する液体の容量変化によるチャンネルBの静電容量の測定値変化を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態による液体容量測定方法のフローチャートである。
【図10A】図2に図示された液体容量測定装置の他の実施形態を図示した図面である。
【図10B】図2に図示された液体容量測定装置の他の実施形態を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態の特徴は、液体保存所内に残っている液体に対する新しい残量測定方式に関連している。以下の実施形態で提示される液体の新しい残量測定方式は、主に燃料電池システムでの燃料の残量を測定するための手段に応用可能であるため、液体の新しい残量測定方式の効用性及び役割などを説明するために、まず燃料電池システムについて説明する。
【0014】
燃料電池システムは、一般的に、燃料を利用して電力を生産する燃料電池、燃料電池に燃料、水、空気などを供給するための燃料電池の周辺機器(peripheral device)であるBOP(balance of plants)、及び燃料電池から出力された電力を変換して負荷に供給するコンバータ(converter)などから構成される。以下の実施形態の特徴は、燃料の残量検出に関連しており、その特徴が不明確になることを防止するために、BOP以外に燃料電池を構成するスタック(stack)、コンバータなどについては、詳細な説明を省略する。一般的に、燃料電池は、負荷が要求する電力に対応して、複数個のセルが直列または並列に組み合わされたスタック形態に設計される。以下では、1つのセル及び複数個のセルが結合されたスタックをいずれも包括し、簡単に燃料電池と呼ぶ。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による燃料電池システムの構成図である。図1を参照すれば、本実施形態による燃料電池システムは、燃料電池10、燃料保存所(fuel storage)20、制御器30、空気ポンプ(air pump)41、回収ポンプ(water recovery pump)42、循環ポンプ(recycle pump)43、供給ポンプ(feed pump)44、第1分離器(first separator)51、第2分離器(second separator)52、熱交換器(HEX:heat exchanger)60、弁モジュール(valve module)70及び混合器(mixer)80から構成される。前述のように、燃料電池10の電力生産に要求される物質、すなわち、燃料、水、空気などを燃料電池10に供給するための前記のような構成要素をBOPとする。図1に図示されたように、BOPの構成要素間には、それらを連結するさまざまな配管(pipe)が装着されている。
【0016】
また、図1に図示された燃料電池システムには、図1に図示された構成要素以外に、他の装置が存在しうる。例えば、図1に図示された熱交換器60以外に、他の熱交換器が、燃料電池システム内部で発生した熱を回収するために、熱交換器60が設置された地点とは異なる地点、例えば、循環ポンプ43と混合器80との間に設置されてもよい。また、燃料電池10と混合器80との間の配管には、燃料電池に供給される燃料の濃度を測定するための濃度センサが設置されてもよく、燃料電池10の表面には、燃料電池10の反応熱を測定するためのサーミスタ(thermistor)が設置されてもよい。
【0017】
燃料電池10は、燃料保存所20に保存された燃料が有している化学エネルギーを、電気化学的反応(electrochemical reaction)を利用して、直接電気エネルギーに変換することによって、DC(direct current)電力を生産する発電装置である。かような燃料電池の例としては、固体酸化物燃料電池(SOFC:solid oxide fuel cell)、高分子電解質膜燃料電池(PEMFC:polymer electrolyte membrane fuel cell)、直接メタノール燃料電池(DMFC:direct methanol fuel cell)などを挙げることができる。特に、図1に図示された実施形態は、直接メタノール燃料電池を運転するためのBOPが適用された燃料電池システムである。ただし、以下に記述される技術的手段は、他種の燃料電池にも適用可能である。
【0018】
一方、直接メタノール燃料電池は、メタノールを水素濃度が高まるように改質する間接メタノール燃料電池(indirect methanol fuel cell)とは異なり、メタノールを改質する過程なしに、燃料電池10のアノードで、メタノールと水とが直接反応して、水素イオンと電子とを生成する。このように、直接メタノール燃料電池は、メタノールを改質する過程が不要であるため、小型化が可能である。また、メタノールは、常温(room temperature)で液体状態であるため、燃料の保存と移動とが容易である。これにより、直接メタノール燃料電池は、携帯用燃料電池システムに適用されている。
【0019】
一般的に、直接メタノール燃料電池のアノードでは、CHOH+HO→6H+6e+COの反応(reaction)が起こり、カソードでは、3/2O+6H+6e→3HOの反応が起こる。陽子(H)は、燃料電池内部の陽子交換膜(proton exchange membrane)を介して伝送され、電子は、アノードからカソードに外部回路を介して伝送される。かような過程によって電力が生産される。そして、直接メタノール燃料電池では、直接メタノール燃料電池での反応を円滑に行わせるための触媒(catalyst)が存在する。一般的に触媒は白金から製造され、前記の反応過程での温度が高すぎる場合に劣化しうる。これにより、純粋なメタノールは燃料電池10に供給されず、適当量の水で希釈されたメタノール、すなわち、適正濃度のメタノール水溶液が燃料電池10に供給されねばならない。以下では、燃料電池10のアノードに供給されるメタノール水溶液と、燃料保存所20に保存されたメタノールとを、いずれも簡単に燃料と呼ぶ。
【0020】
このように、燃料電池10の劣化を防止しつつ、燃料電池10での反応を円滑に行わせるためには、燃料電池10に適正量のメタノール、水、空気が供給されねばならない。制御器30は、燃料電池10に供給される燃料、水、空気の量を調節するために、空気ポンプ41、供給ポンプ44、循環ポンプ43及び回収ポンプ42を制御する。そして、本発明の一実施形態から分かるように、制御器30は、燃料保存所20の内部に取り付けられた少なくとも2対の金属板(metal plate)間の静電容量(capacitance)を利用して、燃料保存所20内の燃料の残量を測定することができ、このように測定された燃料の残量によって、空気ポンプ41、供給ポンプ44、循環ポンプ43及び回収ポンプ42を制御することができる。燃料の残量測定については、以下でさらに詳細に説明する。燃料電池10は、混合器80から燃料電池10のアノードに供給された適正濃度の燃料を利用して、電力を生産する。燃料電池10の電力生産過程で、燃料電池10のアノードから、前記の反応過程の副産物である二酸化炭素、未反応の燃料などが排出され、燃料電池10のカソードから、前記の反応過程の副産物である水などが排出される。
【0021】
一般的に、第1分離器51は、燃料電池10のアノードから排出された副産物や、未反応燃料などから、メタノールと水とを分離することによって、メタノールと水とを回収する。燃料電池10のカソードから排出された副産物は、燃料電池10での反応熱などによる高温の流体であって、蒸気形態の水分を含んでいる。これは、熱交換器60を通過する間に、熱交換器60の熱交換過程(heat exchange process)によって冷却され、この過程で、一部の水が回収される。第2分離器52は、このように冷却された副産物から水を分離することによって水を回収し、かような回収過程後の残りの副産物である二酸化炭素などを外部に排出する。第1分離器51と第2分離器52は、遠心分離などを利用して、燃料電池10から排出された副産物や未反応燃料などから、メタノールと水とを分離することができる。回収ポンプ42は、第2分離器52によって回収された水を吸入し、第1分離器51に排出する。これによって、第1分離器51から、第1分離器51によって回収されたメタノールと、第1分離器51及び第2分離器52によって回収された水とが混ざった低濃度の燃料が排出される。
【0022】
燃料保存所20は、燃料が保存される容器であり、円筒形、ボックス型など、さまざまな形態の容器で製造される。燃料保存所20は、燃料がリフィル(refill)される形態に製造される。また、燃料保存所20は、図1に図示された燃料電池システムに、脱着可能な形態で製造され、一般的に、脱着が可能な形態の燃料保存所は、カートリッジと呼ばれる。燃料保存所20には、希釈されていない高濃度の燃料、例えば、100%のメタノールが保存されてもよい。そして、本発明の一実施形態から分かるように、燃料保存所20の内部には、燃料保存所20内の燃料残量測定のための静電容量の測定を可能にするために、少なくとも2対の金属板が取り付けられる。
【0023】
一般的に、弁モジュール70は、燃料循環ライン91と燃料供給ライン92とが連結される地点に挿入され、燃料循環ライン91を介して、燃料電池10から燃料電池10に循環される低濃度燃料のフローと、燃料供給ライン92を介して、燃料保存所20から燃料電池10に供給される高濃度燃料のフローと、を制御する。ここで、燃料循環ライン91は、燃料電池10から排出された未反応燃料が、再び燃料電池10に流れる経路にある配管を示し、燃料供給ライン92は、燃料保存所20から燃料電池10に新たに供給される燃料が流れる経路にある配管を示す。
【0024】
循環ポンプ43は、弁モジュール70の燃料フロー制御によって、弁モジュール70から燃料循環ライン91を介して輸送された低濃度燃料と、燃料供給ライン92を介して輸送された高濃度燃料とのうち、少なくとも一つを吸入して混合器80に排出する。混合器80は、循環ポンプ43から排出された低濃度燃料と高濃度燃料とを混合し、かような混合過程を経て生成された適正濃度の燃料を燃料電池10に供給することができる。
【0025】
一般的に燃料電池10は、一定の温度以上で正常な反応が起こり、正常に電力を生産する。これによって、燃料電池システムが始動された後、燃料電池10の温度が一定レベル以上になるとき、燃料電池10から出力された電力が負荷に供給される正常運転がなされる。燃料電池10の温度が一定レベル以上になるまで、燃料電池10に燃料が続けて供給されねばならない。燃料保存所20に保存された燃料の残量が、燃料電池10の温度を一定レベル以上に上げるほど十分ではない場合には、燃料電池システムは始動されないことがある。また、燃料保存所20に保存された燃料が枯渇(exhaust)した場合には、燃料電池10の反応が正常になされないために、燃料電池システムの動作は、燃料の枯渇前に停止されねばならない。
【0026】
前記のような理由によって、燃料電池システムは、燃料保存所20に保存された燃料の残量を測定することができる手段を具備しておらねばならず、その測定値により空気ポンプ41、供給ポンプ44、循環ポンプ43及び回収ポンプ42を制御することによって、燃料電池システムは始動されるか停止されなければならない。図1に図示された燃料電池システムでは、制御器30と燃料保存所20とに、燃料保存所20に保存された燃料の残量を測定するための要素が搭載されてもよい。また、燃料電池システムは、このように測定された燃料の残量に基づいて、ユーザに燃料の残量による燃料電池システムの残った動作時間を知らせることもでき、燃料保存所20に燃料をリフィルするか、または燃料カートリッジを交換せよというメッセージを出力することもできる。
【0027】
前述のように、小型化が可能な直接メタノール燃料電池は、主に携帯用燃料電池システムに適用されている。携帯用燃料電池システムでは、ユーザの携帯による移動性によって、燃料保存所20の姿勢(position)が一定に維持されないこともある。また、ユーザが燃料保存所20に燃料をリフィルしたり、燃料カートリッジを交換するときに、ユーザの不注意やユーザの使用環境によって、燃料保存所20の内部に空気が流入することもあり、燃料保存所20の内部に流入した空気によって、燃料保存所20の内部には、バブル(bubble)が発生したりもする。以下では、燃料保存所20の姿勢変動や、燃料保存所20の内部のバブルに関係なしに、燃料保存所20に保存された燃料の残量を正確に測定することができる技術的手段について説明する。
【0028】
一方、以下で説明する技術的手段は、燃料電池システムの燃料供給環境からその必要性が提起されたが、燃料電池システム以外に、燃料を含む任意の液体の残量検出が要求される多様な装置に適用されてもよい。従って、以下では、燃料を液体に一般化して、液体の残量を測定するための装置と方法とについて詳細に説明する。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による液体容量測定装置の構成図である。図2を参照すれば、本実施形態による液体容量測定装置は、液体保存所200、測定回路310、姿勢センサ(position sensor)230、プロセッサ320及びメモリ330から構成される。以下で説明する液体容量測定装置が、図1に図示された燃料電池システムに適用される場合、前記のような構成要素は、燃料保存所20と制御器30とに搭載される。例えば、燃料保存所20には、以下で説明する液体保存所200と姿勢センサ230とが搭載され、制御器30には、測定回路310、プロセッサ320及びメモリ330が搭載されてもよい。
【0030】
液体保存所200は、液体が保存される容器であり、ボックス型、円筒形などさまざまな形態の容器によって製造可能である。図2に図示された一実施形態から分かるように、液体保存所200は、少なくとも2対の導電性性金属板2211,2212及び2221,2222が取り付けられるように、少なくとも4面の内部面を有する容器であってもよい。図2を参照すれば、液体保存所200は、絶縁性のハウジング210、並びに、このハウジングの内部面のうち、互いに平行に対面している一対応面に取り付けられた1対の金属板2211,2212、及び互いに平行に対面している他の対応面に取り付けられた他の1対の金属板2221,2222から構成される。各対の金属板2211,2212または2221,2222は、それらの間の静電容量が、液体保存所200の姿勢に関係なしに一定の静電容量を有するように、互いに同一であるか、あるいは類似した大きさを有してもよい。すなわち、互いに同一であるか、あるいは類似したサイズを有する金属板2211,2212または2221,2222間の静電容量は、それらの間に存在する媒質によって決定される。
【0031】
図2に図示されたように、金属板2211,2212または2221,2222の面積は、金属板2211,2212及び2221,2222間の絶縁のために、ハウジング210の取り付け面の面積より小さいが、必要によっては、取り付け面の面積と同じ大きさを有してもよい。金属板2211,2212または2221,2222間の静電容量は、ハウジング210内部で、金属板2211,2212または2221,2222の面積が広いほど、正確に測定することができる。従って、金属板2211,2212または2221,2222のそれぞれは、その面積が、隣接している金属板2211,2212及び2221,2222間で絶縁可能である範囲内で、最大限広いように製造される。
【0032】
測定回路310は、1対の金属板2211,2212と連結された電線を介して、この金属板2211,2212を帯電させることによって、この金属板2211,2212間の静電容量を測定する。以下では、この金属板2211,2212間の静電容量を、チャネルAの静電容量と称することにする。また、測定回路310は、他の1対の金属板2221,2222と連結された電線を介して、金属板2221,2222を帯電させることによって、この金属板2221,2222間の静電容量を測定する。以下では、この金属板2221,2222間の静電容量を、チャネルBの静電容量と称することにする。図2に図示されたような平行金属板間の静電容量を測定する方式としては、さまざまな方式があるが、すでに公知されている事項であるから、詳細な説明を省略する。図2に図示されたような平行金属板間の静電容量は、次の数式1によって計算される。数式1で、εは、金属板間に存在する媒質、すなわち、液体の誘電率(permittivity)を示し、Sは、各金属板の面積を示し、dは、金属板間の距離を示す。
【0033】
【数1】

【0034】
図2に図示された各対の金属板2211,2212または2221,2222は、それらの面積と、金属板間の距離とが固定されているため、金属板間に存在する媒質、例えば、液体と空気との誘電率によってのみ静電容量が変わる。従って、図2に図示された液体保存所200が、携帯用燃料電池システムのような携帯用装置内に搭載される場合、液体保存所200の姿勢は、ユーザによる携帯用装置の使用方式、使用環境などによって変動しうる。その場合、図2に図示された各対の金属板2211,2212または2221,2222間に存在する媒質の誘電率は、それらの間に存在する液体の量と傾度とによって変動しうる。
【0035】
本発明の一実施形態で、図3A及び図3Bは、図2に図示された液体保存所200内でのポーチの設置形態を図示した図面である。液体保存所200のハウジング210は、その内部の物質保護のために、剛性のプラスチックのように、容易に変形しない(non-flexible)絶縁性物質から製造されてもよい。一般的に、液体保存所200の内部保存空間は、液体の流出防止のための構造を有することができる(一例として、密封された状態でありうる)。液体保存所200の内部保存空間が、液体の流出防止のための構造を有する場合、液体保存所200から液体を吸入したり、あるいは液体保存所200に液体を注入するときに、液体保存所200内部の液体容量変化によって液体保存所200の内部の保存空間が収縮したり膨脹したりできなければならない。しかし、本発明の一実施形態のように、液体保存所200のハウジング210が剛性の物質から製造される場合、液体容量変化によるハウジング210自体の変形は困難である。従って、ハウジング210の内部には、図3A及び図3Bに図示されたようにポーチ241が位置するか、またはハウジング210が、その内部の液体容量変化によって、ガス(例えば、空気、非活性ガスなど)の出入りを可能にする構造を有してもよい。
【0036】
図3A及び図3Bに図示されたように、ポーチ241が、ハウジング210の内部に位置する場合、ポーチ241は、伸縮性素材から製造され、ポーチ241の大きさは、ハウジング210の内部サイズと同じであるか、あるいはハウジング210の内部サイズより大きく、このポーチ241に液体が保存される。また、ポーチ241は、ハウジング210の内部サイズより大きい面積を有する薄膜形態の非伸縮性素材によって製造されてもよい。例えば、ポーチ241は、液体のない状態でバブルが存在しないように、ポーチ241のあらゆる面が互いに密着しうる大きさの面積を有する薄膜形態の非伸縮性素材によって製造される。
【0037】
ポーチ241は、ハウジング210の内部空間の形態と類似した形態に、ビニール、ゴムのような伸縮性の防水(waterproofing)物質から製造されてもよい。ポーチ241の開口部242を介して、ポーチ241に液体が注入されるか、あるいはポーチ241から液体が排出され、これによって、ポーチ241は膨脹または収縮する。ハウジング210には、ポーチ241の円滑な膨脹、収縮のために、空気が出入り可能である間隙または孔が存在しうる。ハウジング210は、図3A及び図3Bに図示されたように、1つの開口部242を有することも可能であり、多数の開口部(図示せず)を有してもよい。一方、液体保存所200の内部保存空間が収縮するか、または膨脹しないように、液体保存所200内部の液体容量変化によって空気が出入りする場合、かようなポーチ241は不要でもある。例えば、ハウジング210が空気透過性であり、かつ液体不透過性である物質から製造されるならば、かようなポーチ241は不要でもある。
【0038】
図3A及び図3Bに図示された本発明の一実施形態を参照すれば、ポーチ241の表面のうち一部分は、ハウジング210内の4枚の金属板のうち、3枚の金属板2211,2221,2222に接して固定されており、ポーチ241の表面のうち残りの部分は、固定されていない。ポーチ241が伸縮性素材からなっている場合、この形態を固定するために、3枚の金属板2211,2221,2222に取り付けられるが、ポーチ241の膨脹、収縮を容易にするために、残り1枚の金属板2212には取り付けられない。ポーチ241内部の液体が枯渇(exhaust)する場合には、ポーチ241が完全に収縮され、3枚の金属板2211,2221,2222の表面に圧着された形態になり、ポーチ241内部に液体が流入してポーチ241が完全に膨脹した場合には、液体保存所200の内部空間形態を有する。一例として、ポーチ241は、図3A及び図3Bに図示されたような四角ボックス状の内部空間形態を有してもよい。
【0039】
図3A及び図3Bに図示された実施形態によれば、チャネルBに該当する1対の金属板2221,2222それぞれでは、ハウジング210の両側の全体面が常にポーチ241と接しており、それぞれの一面全体は、常にポーチ241に取り付けられている。一方、チャネルAに該当する他の1対の金属板2211,2212それぞれでは、1枚の金属板2211の一面全体のみが常にポーチ241の一部分に取り付けられており、他の金属板2212の一面は、ポーチ241内部の液体の容量によって、ポーチ241の一部分との接触面が決定される。ポーチ241に液体が完全に充填された状態では、ポーチ241と金属板2212との全体面が接するが、ポーチ241に充填された液体の容量が減少するにつれ、ポーチ241と金属板2212との接触面積はだんだん縮小する。ポーチ241に充填された液体の容量が、ある臨界値以下に低減すれば、ポーチ241と金属板2212は、完全に離れる。かようなチャネルAとチャネルBとの構造的な差は、チャネルAとチャネルBとの静電容量の特性差に示される。
【0040】
姿勢センサ230は、液体保存所200の現在姿勢を検出する。一例として、姿勢センサ230は、ある基準面に対する姿勢センサ230が取り付けられた面の傾度を検出することによって、液体保存所200の現在姿勢を検出することができる。かような姿勢センサ230は、加速度センサ(acceleration sensor)などで具現されもする。図2に図示された実施形態では、姿勢センサ230が、金属板2212が取り付けられたハウジング210の外面に取り付け可能であることを示している。姿勢センサ230の位置は、ハウジング210の外面に制限されず、必要によって、さまざまな他の位置に取り付けられてもよい。
【0041】
図4Aないし図4Cは、図2に図示された液体保存所200のさまざまな姿勢を図示した図面である。図4Aは、4枚の金属板2211,2212及び2221,2222いずれも立っているスタンド姿勢(stand position)を示している。図4Bは、4枚の金属板2211,2212及び2221,2222のうち、チャネルAに該当する1対の金属板2211,2212は横たわっており、チャネルBに該当する他の1対の金属板2221,2222は立っているフェース姿勢(face position)を示している。図4Cは、4枚の金属板2211,2212及び2221,2222のうち、チャネルAに該当する1対の金属板2211,2212は立っており、チャネルBに該当する他の1対の金属板2221,2222は横たわっているサイド姿勢(side position)を示している。一方、各チャネルに該当する1対の金属板2211,2212または2221,2222は、互いに対称になるために、どちらが上側または下側に位置するかということは、それらの間の静電容量値に影響を与えない。
【0042】
一般的に、姿勢センサ230に対してある基準面が設定されれば、姿勢センサ230は、この基準面に位置するとき、0°に該当する値を出力する。かような姿勢センサ230の基準面は、姿勢センサ230を製造する工場で設定することもでき、ユーザが姿勢センサ230に入力することも可能である。一方、姿勢センサ230の基準面が、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、スタンド姿勢において姿勢センサ230が取り付けられた面、すなわち、地球重力方向に設定されれば、このスタンド姿勢で、姿勢センサ230によって検出された値は、0°になる。フェース姿勢では、姿勢センサ230が取り付けられた面の方向が、地球重力方向と90°をなすので、姿勢センサ230によって検出された値は、90°になり、サイド姿勢では、姿勢センサ230が取り付けられた面の方向が、地球重力方向であるから、姿勢センサ230によって検出された値は、0°になる。
【0043】
図5は、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢での液体の容量変化によるチャネルAの静電容量の測定値変化を示すグラフである。図5に図示されたグラフは、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢それぞれで、液体保存所200内部に残存するメタノールの容量、すなわち、ポーチ241に保存されたメタノールの容量を一定間隔で変化させつつ、チャネルAの静電容量を測定した後、メタノールの容量に係わる静電容量測定値をxy平面に表示し、それらを連結したものである。ただし、図5に図示された測定値は、ある特定実験環境での静電容量の測定値の例示に過ぎず、静電容量の測定環境の変化によって、異なる値が測定されもすることは、図2に図示された実施形態が属する技術分野での当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0044】
前述のように、図2に図示された各対の金属板2211,2212または2221,2222間の静電容量は、この金属板間に存在する媒質によってのみ静電容量が変わる。一般的に、空気の誘電率は約1と知られており、メタノールの誘電率は約30と知られている。数式1によれば、この金属板間に空気のみ存在する場合に比べ、メタノールのみ存在する場合、静電容量は30倍ほど高くなる。従って、各対の金属板2211,2212または2221,2222のいずれか一側のみにメタノールが接しており、他の側には空気が接しているならば、この空気の遮断効果によって、この金属板間の電荷の保存能は大きく低下する。
【0045】
ポーチ241にメタノールが残っていないか、あるいは非常に少ないメタノールだけ残っている場合、ポーチ241は完全に収縮することになり、液体保存所200の姿勢が変わっても、ポーチ241の形態は変わらない。ポーチ241にメタノールが充満している場合、ポーチ241は完全に膨脹することになり、同様に、液体保存所200の姿勢が変わっても、ポーチ241の形態は変わらない。前記の場合では、液体保存所200の姿勢が変わっても、金属板2211,2212間に存在する媒質の形態は変動しない。図5を参照すれば、ポーチ241に保存されたメタノールの容量が、ある下限値未満であるか、あるいはある上限値以上であるならば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢いずれでも、チャネルAの静電容量は、ほぼ同一に検出されるということが分かる。
【0046】
図5の右側には、液体保存所200の全体保存容量の半分ほどポーチ241にメタノールが注入された場合における、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢でのチャネルAに該当する金属板2211,2212間に存在する媒質の断面形態が図示されている。この場合、ポーチ241は、完全に収縮された場合と、完全に膨脹された場合との中間ほどの形態を有している。図5を参照すれば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、スタンド(stand)姿勢とサイド(side)姿勢とでは、液体保存所200でのメタノール容量変化に係わって、チャネルAに該当する金属板2211,2212の両側いずれにもメタノールが接していることになり、ポーチ241に残存するメタノールの容量変化に対して、全区間でほぼ線形的(linear)にこの金属板2211,2212間の静電容量が変化するということを観察することができる。しかし、フェース(face)姿勢では、ポーチ241と金属板2212とは離れ、金属板2211にのみメタノールが接しており、金属板2212には空気が接している。すなわち、フェース姿勢の中間区間では、この金属板間の電荷の保存能が大きく低下する。従って、フェース姿勢では、ポーチ241に残存するメタノールの容量変化に対して、中間区間では非線形的(non-linear)に、この金属板2211,2212間の静電容量が変化するということを観察することができる。
【0047】
図6は、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢での液体容量変化によるチャネルBの静電容量の測定値変化を示すグラフである。特に、図6に図示されたグラフは、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢それぞれで、液体保存所200内部に残存するメタノールの容量、すなわち、ポーチ241に保存されたメタノールの容量を一定間隔で変化させつつ、チャネルBの静電容量を測定した後、メタノールの容量に係わる静電容量測定値をxy平面に表示し、それらを連結したものである。ただし、図6に図示された測定値は、ある特定実験環境での静電容量の測定値の例示に過ぎず、静電容量の測定環境の変化によって、異なる値が測定されもすることは、図2に図示された実施形態が属する技術分野での当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0048】
ポーチ241にメタノールが残っていないか、あるいは非常に少量のメタノールだけ残っている場合、ポーチ241は完全に収縮することになり、液体保存所200の姿勢が変わっても、ポーチ241の形態は変わらない。ポーチ241にメタノールが充満している場合、ポーチ241は完全に膨脹することになり、同様に、液体保存所200の姿勢が変わっても、ポーチ241の形態は変わらない。前記の場合では、液体保存所200の姿勢が変わっても、金属板2211,2212間に存在する媒質の形態は変動しない。図6を参照すれば、ポーチ241に保存されたメタノールの容量が、ある下限値未満であるか、あるいはある上限値以上であるならば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢いずれでも、チャネルBの静電容量は、ほぼ同一に検出されるということが分かる。
【0049】
図6の右側には、液体保存所200の全体保存容量の半分ほどポーチ241にメタノールが注入された場合における、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢でのチャネルBに該当する金属板2221,2222間に存在する媒質の形態が図示されている。その場合、ポーチ241は、完全に収縮された場合と、完全に膨脹された場合との中間ほどの形態を有する。図6を参照すれば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢いずれでも、液体保存所200でのメタノール容量変化に対して、チャネルBに該当する金属板2221,2222の両側いずれにもメタノールが接していることになり、ポーチ241に残存する液体の容量変化に係わって、全区間でほぼ線形的に、この金属板2221,2222間の静電容量が変化するということを観察することができる。ポーチ241が、チャネルBに該当する金属板2221,2222いずれにも接して固定されているために、液体保存所200の姿勢変化に関係なく、常にチャネルBに該当する金属板2221,2222の両側いずれにもメタノールが接している。
【0050】
一方、図6に図示されたサイド姿勢での媒質の最初のA1側断面形態は、金属板2211に近接して切断された形態であり、金属板2221,2222両側いずれにも、メタノールが接しているということを示している。また、図6に図示されたサイド姿勢での媒質の2番目のA2側断面形態は、金属板2212に近接して切断された形態であり、金属板2221,2222両側いずれにも空気が接しているということを示す。このように、ポーチ241と金属板2212は、離れた状態にあるために、サイド姿勢での媒質の断面形態は、金属板2211から金属板2212に行くほどメタノールが減り、空気の比率が高まる。金属板2211側で、チャネルBに該当する金属板2221,2222の両側いずれにもメタノールが接していることになり、ほぼ線形的にこの金属板2221,2222間の静電容量が変化することになるが、他の姿勢に比べて、空気の遮断効果が高く、線形的特性が若干低く図示されていることを観察することができる。
【0051】
図7は、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢でのバブルを有する液体の容量変化によるチャネルAの静電容量の測定値変化を示すグラフである。特に、図7に図示されたグラフは、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢それぞれで、液体保存所200の内部、すなわち、ポーチ241に一定量の空気を注入し、ポーチ241に保存されたメタノールの容量を一定間隔で変化させつつ、チャネルAの静電容量を測定した後、メタノールの容量に係わる静電容量測定値をxy平面に表示し、それらを連結したものである。ただし、図7に図示された測定値は、ある特定実験環境での静電容量の測定値の例示に過ぎず、静電容量の測定環境の変化によって、異なる値が測定されもすることは、図2に図示された実施形態が属する技術分野での当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0052】
ポーチ241にメタノールが残っていないか、あるいは非常に少量のメタノールだけ残っている場合、ポーチ241は完全に収縮することになり、チャネルAに該当する金属板2211,2212間には、若干のメタノール及び空気、または空気のみ存在する。この場合には、液体保存所200の姿勢が変わっても、金属板2211,2212間に存在する媒質の形態は変動しない。図7を参照すれば、ポーチ241に保存されたメタノールの容量が、ある下限値未満であるならば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢いずれでも、チャネルAの静電容量はほぼ同一に検出されるということが分かる。一方、ポーチ241が完全に膨脹するまでポーチ241にメタノールを注入すれば、液体保存所200の姿勢が変わっても、ポーチ241の形態は変わらない。しかし、図5に図示されているところとは異なり、ポーチ241には、あらかじめ注入された空気とメタノールとが同時に存在するために、液体保存所200の姿勢変化によって、ポーチ241内部で、軽い空気と重いメタノールとの移動が起こる。図7を参照すれば、図5に図示されたグラフに比べ、メタノールがあらかじめ注入された空気の容量程度少なく注入されることが分かり、ポーチ241に保存されたメタノールの容量がある上限値以上である場合にも、図5に図示されたグラフとは異なり、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢で、チャネルAの静電容量が類似して検出されないということが分かる。
【0053】
図7の右側には、液体保存所200の全体保存容量の半分ほどポーチ241に空気とメタノールとが注入された場合における、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢でのチャネルAに該当する金属板2211,2212間に存在する媒質の断面形態が図示されている。その場合、ポーチ241は、完全に収縮された場合と、完全に膨脹された場合との中間ほどの形態を有する。図7を参照すれば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、スタンド姿勢とサイド姿勢とでは、液体保存所200でのメタノール容量変化に対して、チャネルAに該当する金属板2211,2212の両側いずれにも、メタノールが接していることになり、ポーチ241に残存するメタノールの容量変化に対して、全区間でほぼ線形的に、この金属板2211,2212間の静電容量が変化するということを観察することができる。しかし、フェース姿勢では、ポーチ241と金属板2212とは離れることになり、金属板2211にのみメタノールが接しており、金属板2212には、空気が接している。すなわち、フェース姿勢の中間区間では、この金属板間の電荷の保存能が大きく低下する。従って、フェース姿勢では、ポーチ241に残存するメタノールの容量変化に対して、中間区間では非線形的に、この金属板2211,2212間の静電容量が変化するということを観察することができる。
【0054】
図8は、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢でのバブルを有する液体の容量変化によるチャネルBの静電容量の測定値変化を示すグラフである。図8に図示されたグラフは、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢それぞれで、液体保存所200の内部、すなわち、ポーチ241に一定量の空気を注入し、ポーチ241に保存されたメタノールの容量を一定間隔で変化させつつ、チャネルBの静電容量を測定した後、メタノールの容量に係わる静電容量測定値をxy平面に表示し、それらを連結したものである。ただし、図8に図示された測定値は、ある特定実験環境での静電容量の測定値の例示に過ぎず、静電容量の測定環境の変化によって、異なる値が測定されもすることは、図2に図示された実施形態が属する技術分野での当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0055】
ポーチ241にメタノールが残っていないか、あるいは非常に少量のメタノールだけ残っている場合、ポーチ241は完全に収縮することになり、チャネルBに該当する金属板2221,2222間には、若干のメタノール及び空気、または空気のみ存在することになる。その場合には、液体保存所200の姿勢が変わっても、金属板2221,2222間に存在する媒質の形態は変動しない。図8を参照すれば、ポーチ241に保存されたメタノールの容量が、ある下限値未満であるならば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢いずれでも、チャネルBの静電容量はほぼ同一に検出されるということが分かる。一方、ポーチ241が完全に膨脹するまで、ポーチ241にメタノールを注入すれば、液体保存所200の姿勢が変わっても、ポーチ241の形態は変わらない。しかし、図6に図示されているところとは異なり、ポーチ241には、あらかじめ注入された空気とメタノールとが同時に存在するために、液体保存所200の姿勢変化によって、ポーチ241の内部で、軽い空気と重いメタノールとの移動が起こる。図8を参照すれば、図6に図示されたグラフに比べ、メタノールがあらかじめ注入された空気の容量程度少なく注入されるということが分かり、ポーチ241に保存されたメタノールの容量がある上限値以上である場合にも、図6に図示されたグラフとは異なり、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢で、チャネルBの静電容量が類似して検出されないということが分かる。
【0056】
図8の右側には、液体保存所200の全体保存容量の半分ほどポーチ241に空気とメタノールとが注入された場合における、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢でのチャネルBに該当する金属板2221,2222間に存在する媒質の形態が図示されている。この場合、ポーチ241は、完全に収縮された場合と、完全に膨脹された場合との中間ほどの形態を有する。図8を参照すれば、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、スタンド姿勢とフェース姿勢とでは、液体保存所200でのメタノール容量変化に対して、チャネルBに該当する金属板2221,2222の両側いずれにもメタノールが接していることになり、ポーチ241に残存する液体の容量変化に対して、全区間でほぼ線形的に、この金属板2221,2222間の静電容量が変化するということを観察することができる。ポーチ241が、チャネルBに該当する金属板2221,2222いずれにも接して固定されているために、液体保存所200の姿勢変化に関係なしに、常にチャネルBに該当する金属板2221,2222の両側いずれにもメタノールが接している。
【0057】
一方、図8に図示されたサイド姿勢での媒質の最初の断面形態は、金属板2211に近接して切断された形態であり、金属板2222にのみメタノールが接しており、金属板2221には空気が接しているということを示している。図6に図示されたサイド姿勢での媒質の最初の断面形態とは異なり、あらかじめ注入された空気によって、金属板2221に空気が接している。また、図8に図示されたサイド姿勢での媒質の2番目の断面形態は、金属板2212に近接して切断された形態であり、金属板2221,2222の両側いずれにも空気が接しているということを示している。このように、ポーチ241と金属板2212とは離れており、一定量の空気が注入された状態にあるために、金属板2221には、常に空気が接しているということが分かる。従って、サイド姿勢では、ポーチ241に残存するメタノールの容量変化に対して、ポーチ241は、完全に収縮された区間を除いては、ほぼあらゆる区間で非線形的に、この金属板2221,2222間の静電容量が変化するということを観察することができる。
【0058】
図5から図8までに図示された液体の容量変化による各チャネルの静電容量の測定値変化の観察結果を整理すれば、次の通りである。まず、ポーチ241にメタノールが残っていないか、あるいは非常に少量のメタノールだけ残っている場合には、ポーチ241は完全に収縮することになり、液体保存所200の姿勢が変わっても、ポーチ241の形態は変わらない。この場合、液体保存所200がいかなる姿勢でも、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量と、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量とがいずれも正確に測定される。一般的に、液体の残量測定は、液体保存所200に残っている液体の容量が少ない場合にさらに重要である。
【0059】
次に、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、スタンド姿勢では、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量と、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量とが、全区間にわたっていずれも正確に測定されるということが分かる。次に、フェース姿勢では、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量が、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量よりさらに線形に近いという特性を有することがわかる。最後に、サイド姿勢では、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量が、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量より、液体保存所200に注入された空気などのバブル影響をさらに少なく受けるということが分かる。以上で説明したように、かようなチャネルAとチャネルBとの特性差は、液体保存所200の姿勢変化によって、液体保存所200内部の液体、空気が移動するときに発生する金属板間の媒質変化に起因すると見ることができる。
【0060】
図2に図示された本発明の一実施形態では、液体保存所200がいかなる姿勢でも、液体保存所200に保存された燃料の容量が正確に測定されるようにするために、プロセッサ320は、姿勢センサ230によって検出された液体保存所200の現在姿勢に基づいて、液体保存所200の現在姿勢に最も適したチャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量とに対応する液体容量の組み合わせを求め、液体保存所200に保存された液体の容量を計算する。例えば、プロセッサ320は、液体保存所200の現在姿勢で、さらに正確な静電容量値を提供するチャネルの静電容量に対応する液体容量の加重値を高めることができる。プロセッサ320の具体的な動作については、図9を参照しつつ、以下で説明する。
【0061】
図9は、本発明の一実施形態による液体容量測定方法のフローチャートである。図9を参照すれば、本実施形態による液体容量測定方法は、プロセッサ320で、時系列的に処理される段階から構成されてもよい。従って、以下で省略された内容であっても、図2に図示された液体容量測定装置について以上で説明された内容は、本実施形態による液体容量測定方法にも適用される。以下で説明する液体容量測定方法が、図1に図示された燃料電池システムに適用される場合、以下の段階は、燃料電池システムの制御器30によって遂行される。制御器30は、図2に図示されたプロセッサ320の機能を含み、以下の段階以外に、BOPを制御するための動作を共に遂行することもできる。
【0062】
91段階で、プロセッサ320は、測定回路310から、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量と、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量とを入力される。92段階で、プロセッサ320は、姿勢センサ230から、液体保存所200の現在姿勢を示す値を入力される。例えば、液体保存所200の現在姿勢を示す値は、地球重力方向を基準とするチャネルAに該当する平行金属板2211,2212の傾度、すなわち、この平行金属板2211,2212が取り付けられたハウジング210の面の傾度になる。
【0063】
93段階で、プロセッサ320は、液体保存所200の液体残量変化によるチャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量との変化に基づいて、91段階で入力されたチャネルAの静電容量に対応する液体容量と、チャネルBの静電容量に対応する液体容量とを獲得する。例えば、プロセッサ320は、液体保存所200の液体残量変化によるチャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量との変化値によって構築されたデータベースから、91段階で入力されたチャネルAの静電容量に対応する液体容量と、チャネルBの静電容量に対応する液体容量とを読み取ることによって、チャネルAの静電容量に対応する液体容量と、チャネルBの静電容量に対応する液体容量とを獲得することができる。あるいは、プロセッサ320は、液体保存所200の液体残量変化によるチャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量との変化を示す関数に、91段階で入力されたチャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量とを代入することによって、チャネルAの静電容量に対応する液体容量と、チャネルBの静電容量に対応する液体容量とを獲得することもできる。
【0064】
図5及び図6に図示されたように、図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200のさまざまな姿勢で、液体保存所200に保存された液体の容量を一定単位で変化させつつ、その液体の容量別に、チャネルAの静電容量とチャネルBの静電容量とを測定する。このように測定された静電容量値は、一定単位で変化する液体の容量別に、チャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量とがマッピング(mapping)されたテーブル状のデータベースに構築することができる。かようなデータベースに保存された値は、離散的な値であるために、プロセッサ320は、91段階で入力されたチャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量とがデータベースから見つからない場合、チャネルAの静電容量及びチャネルBの静電容量と最も類似した静電容量に対応する液体容量から、91段階で入力されたチャネルAの静電容量と、チャネルBの静電容量とに対応する液体容量を予測することもできる。例えば、プロセッサ320は、91段階で入力されたチャネルAの静電容量を中間に置いている2つの静電容量に対応する液体容量の平均値から、チャネルAの静電容量に対応する液体容量を計算することができる。
【0065】
あるいは、このように測定された静電容量値は、液体保存所200の液体残量変化によるチャネルAの静電容量の変化を示す関数、及びチャネルBの静電容量の変化を示す関数として表現されてもよい。図7及び図8に図示された測定値は、液体保存所200にバブルが存在する状態で測定された値である。かようなバブルは、ほとんどユーザの不注意や使用環境の特性によって発生するために、その容量を予測することができない。従って、図7及び図8に図示された測定値は、液体保存所200に存在するバブルの容量によって可変的である流動的な値である。本実施形態では、バブルのない最適の状態で測定された値を利用し、データベースを構築するか、あるいは関数を決定することができる。
【0066】
94段階で、プロセッサ320は、姿勢センサ230によって検出された液体保存所200の現在姿勢に基づいて、93段階で獲得されたチャネルAの液体容量と、チャネルBの液体容量とを組み合わせることによって、液体保存所に現在残留する液体の容量を計算する。さらに詳細に説明すれば、プロセッサ320は、姿勢センサ230によって検出された液体保存所200の現在姿勢に基づいて、チャネルAの液体容量の加重値と、チャネルBの液体容量の加重値とを計算し、このように計算された加重値が適用されたチャネルAの液体容量と、チャネルBの液体容量とを組み合わせることによって、液体保存所に現在残留する液体の容量を計算することができる。チャネルAの液体容量及びチャネルBの液体容量それぞれの加重値は、チャネルAに該当する金属板2211,2212の傾度と、チャネルBに該当する金属板2221,2222の傾度とから計算することができる。
【0067】
例えば、プロセッサ320は、次の数式2によって、チャネルAの液体容量V1に加重値k1を乗じ、チャネルBの液体容量V2に加重値k2を乗じ、加重値k1が乗じられたチャネルAの液体容量V1と、加重値k2が乗じられたチャネルBの液体容量V2とを合算することによって、液体保存所に現在残留する液体の容量を計算することができる。数式2で、θは、垂直面に対するチャネルAに該当する金属板2211,2212の傾度を示し、θは、垂直面に対するチャネルBに該当する金属板2221,2222の傾度を示す。
【0068】
【数2】

【0069】
図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、スタンド姿勢で、θとθは、いずれも0°となる。すなわち、スタンド姿勢では、チャネルAの液体容量V1の加重値k1が0.5になり、チャネルBの液体容量V2の加重値k2が0.5になり、プロセッサ320は、同じ加重値が乗じられたチャネルAの液体容量とチャネルBの液体容量とを合算することによって、液体保存所に現在残留する液体の容量を計算することができる。これは、スタンド姿勢で、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量と、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量とが、全区間にわたっていずれも正確に測定されるということを反映したものである。
【0070】
図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、フェース姿勢で、θは90°になり、θは0°となる。すなわち、フェース姿勢では、チャネルAの液体容量V1の加重値k1が0になり、チャネルBの液体容量V2の加重値k2が1になり、プロセッサ320は、チャネルBの液体容量だけで、液体保存所に現在残留する液体の容量を計算することができる。これは、フェース姿勢で、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量が、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量より、さらに線形に近い特性を有することを反映したものである。
【0071】
図4Aないし図4Cに図示された液体保存所200の3種の姿勢のうち、サイド姿勢で、θは0°になり、θは90°となる。すなわち、サイド姿勢では、チャネルAの液体容量V1の加重値k1が1になり、チャネルBの液体容量V2の加重値k2が0になり、プロセッサ320は、チャネルAの液体容量だけで、液体保存所に現在残留する液体の容量を計算することができる。これは、サイド姿勢で、チャネルAに該当する金属板2211,2212間の静電容量が、チャネルBに該当する金属板2221,2222間の静電容量より、液体保存所200に注入された空気などのバブル影響をさらに少なく受けるということを反映したものである。
【0072】
数式2によれば、プロセッサ320は、液体保存所200の姿勢が、ある姿勢から他の姿勢に変化することによって連続的に変化する金属板2211,2212の傾度θと、金属板2221,2222の傾度θとの変化によって、チャネルAの液体容量V1の加重値k1を増加させたり低減させ、チャネルBの液体容量V2の加重値k2を反対に低減させたり増加させる。例えば、液体保存所200の姿勢が、フェース姿勢からサイド姿勢に変化することによって、チャネルAの液体容量V1の加重値k1が増加することになり、チャネルBの液体容量V2の加重値k2は反対に低減することになる。このように、プロセッサ320は、連続的に変化するチャネルAの金属板2211,2212の傾度θと、チャネルBの金属板2221,2222の傾度θとを考慮し、チャネルAの液体容量V1の加重値k1と、チャネルBの液体容量V2の加重値k2とを調節するため、液体保存所200がいかなる姿勢でも、液体保存所200に残留する液体の容量を正確に計算することができる。
【0073】
図10A及び図10Bは、図2に図示された液体容量測定装置の他の実施形態を図示した図面である。前述のように、図2に図示された液体容量測定装置は、2対の金属板2211,2212及び2221,2222から測定された2つのチャネルの静電容量を利用して、液体保存所200に残留する液体の容量を測定する。図2に図示された液体容量測定装置は、2つのチャネルの静電容量のうち、液体保存所200の現在姿勢に対してより正確な液体残量値を提供するチャネルの静電容量に高い加重値を付与することによって、液体保存所200がいかなる姿勢でも、液体の残量が正確に測定される。従って、液体保存所200から、さらに多くのチャネルの静電容量が獲得されうるならば、液体保存所200の現在姿勢に対してより正確な液体残量値を計算することができる。図10Aは、図2に図示された液体容量測定装置のチャネルAの静電容量とチャネルBの静電容量とに、チャネルCの静電容量、すなわち、第3静電容量を追加するために、液体保存所の上面及び下面それぞれに、新しい1対の金属板2231,2232が取り付けられた実施形態である。
【0074】
図2に図示された液体容量測定装置の液体保存所200の形態は直方体であり、第1静電容量測定のための金属板が取り付けられた第1対応面と、第2静電容量測定のための他の1対の金属板が取り付けられた第2対応面は、図2に図示されたように垂直に位置している。しかし、複数チャネルの静電容量を利用して、液体保存所200に残留する液体の容量を測定するために、必ずしもかような形態が要求されるものではない。図2に図示された液体保存所200の内部面に取り付けられた1対の金属板は、平行板キャパシタ(parallel plate capacitor)に該当する。図2に図示された平行板キャパシタ以外に、多様な形態のキャパシタが存在する。例えば、図10Bに図示された円筒状の液体保存所の内部曲面に取り付けられた金属板2241と、この液体保存所内部の円柱の外部曲面に取り付けられた金属板2242は、チャネルDに該当する円筒形キャパシタを構成する。図10Bに図示された円筒状の液体保存所の上下面それぞれに取り付けられた金属板2251,2252は、チャネルEに該当する平行板キャパシタを構成する。
【0075】
以上で説明した実施形態から、図2ないし図10に図示されたキャパシタ形態以外に、さらに多様な形態のキャパシタを利用し、液体保存所200に残留する液体の容量を測定する装置を設計することができるということは、以上の実施形態が属する技術分野での当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0076】
以上で説明した実施形態によれば、液体保存所200の現在姿勢に基づいて、液体保存所200に取り付けられた複数対の金属板間の複数個の静電容量を利用して、液体保存所200に保存された液体の容量を計算することによって、液体保存所200がいかなる姿勢でも、液体保存所200に保存された液体の容量を正確に測定することが可能である。液体保存所200の現在姿勢に最も適した複数個の静電容量に対応する液体容量の組み合わせを求め、液体保存所200に保存された液体の容量を計算することができるが、1つの静電容量を利用する場合に比べて、液体保存所200に保存された液体の容量をさらに正確に測定することができる。さらに、液体保存所200内の液体の残量が少ない場合、液体保存所200に保存された液体の容量をさらに正確に測定することができる。また、複数個の静電容量のうち、液体保存所200の現在姿勢で液体保存所200の内部のバブルによる影響を受けないか、あるいはより少なく受ける静電容量に対応する液体容量の加重値を高めることによって、液体保存所200の内部に存在しうるバブルの影響なしに、または最小限の影響で、液体保存所200に保存された液体の残量を正確に測定することができる。
【0077】
このように、以上の実施形態は、液体保存所200がいかなる姿勢でも、液体保存所200の内部のバブルによる影響を受けないか、あるいはより少なく受けて、液体保存所200に保存された液体の残量を正確に測定することができるために、ユーザによる姿勢の大きな変動、及び燃料カートリッジ交換などによる大量のバブル発生における携帯用燃料電池システムでの燃料残量測定に非常に適している。
【0078】
一方、プロセッサ320によって実行される液体容量測定方法は、コンピュータで実行可能なプログラムで作成可能であり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を利用して、前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現されてもよい。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、マグネチック記録媒体(例えば、ROM(read-only memory)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的判読媒体(例えば、CD−ROM、DVDなど)のような記録媒体を含む。
【0079】
以上、本発明についてその望ましい実施形態を中心に説明した。本発明が属する技術分野での当業者であるならば、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態で具現可能であるということを理解することができるであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれたものであると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の液体の容量を測定する方法及びその装置並びに燃料電池システムは、例えば、電力供給システム関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 燃料電池
20 燃料保存所
30 制御器
41 空気ポンプ
42 回収ポンプ
43 循環ポンプ
44 供給ポンプ
51 第1分離器
52 第2分離器
60 HEX
70 弁モジュール
80 混合器
91 燃料循環ライン
92 燃料供給ライン
200 液体保存所
210 ハウジング
2211,2212,2221,2222,2231,2232,2241,2242,2251,2252 金属板
230 姿勢センサ
241 ポーチ
242 開口部
310 測定回路
320 プロセッサ
330 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体保存所に取り付けられた金属板間の第1静電容量と、前記液体保存所に取り付けられた他の金属板間の第2静電容量と、を入力される段階と、
前記第1静電容量に対応する第1液体容量と、前記第2静電容量に対応する第2液体容量と、を獲得する段階と、
前記第1液体容量と前記第2液体容量とを含む複数個の液体容量を組み合わせることによって、前記液体保存所に残留する液体の容量を計算する段階と、を含む液体容量測定方法。
【請求項2】
前記計算する段階は、
前記保存所の現在姿勢に基づいて、前記複数個の液体容量それぞれの加重値を計算する段階と、
前記計算された加重値が適用された複数個の液体容量を組み合わせることによって、前記液体の容量を計算する段階と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体容量測定方法。
【請求項3】
前記計算する段階は、前記計算された加重値が乗じられた複数個の液体容量を合算することによって、前記液体の容量を計算する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の液体容量測定方法。
【請求項4】
前記計算する段階は、前記第1静電容量の金属板の傾度と、前記第2静電容量の他の金属板の傾度とから、前記保存所の現在姿勢を計算する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の液体容量測定方法。
【請求項5】
前記第1静電容量の金属板は、前記保存所の第1対応面のそれぞれに取り付けられており、
前記第2静電容量の他の金属板は、前記保存所の第2対応面のそれぞれに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体容量測定方法。
【請求項6】
前記計算する段階は、前記第1対応面のそれぞれに取り付けられた金属板の傾度と、前記第2対応面のそれぞれに取り付けられた金属板の傾度とから、前記第1液体容量及び前記第2液体容量それぞれの加重値を計算する段階を含むことを特徴とする請求項5に記載の液体容量測定方法。
【請求項7】
前記獲得する段階は、前記液体保存所の液体残量変化による第1静電容量と第2静電容量との変化に基づいて、前記第1液体容量と前記第2液体容量とを獲得する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体容量測定方法。
【請求項8】
前記獲得する段階は、前記液体保存所の液体残量変化による第1静電容量と第2静電容量との変化値によって構築されたデータベースから、前記第1液体容量と前記第2液体容量とを獲得する段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の液体容量測定方法。
【請求項9】
前記獲得する段階は、前記液体保存所の液体残量変化による第1静電容量と第2静電容量との変化を示す関数から、前記第1液体容量と前記第2液体容量とを獲得する段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の液体容量測定方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
第1静電容量の測定のために液体保存所に取り付けられている1対の金属板と、
第2静電容量の測定のために前記液体保存所に取り付けられている他の1対の金属板と、
前記第1静電容量と前記第2静電容量とに基づいて、前記液体保存所に残留する液体の容量を計算するプロセッサと、を含む液体容量測定装置。
【請求項12】
前記液体保存所は、絶縁性のハウジングを含み、
前記第1静電容量の1対の金属板は、前記ハウジングの内部面のうち、第1対応面に取り付けられており、
前記第2静電容量の他の1対の金属板は、前記ハウジングの内部面のうち、第2対応面に取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の液体容量測定装置。
【請求項13】
前記第1対応面と前記第2対応面は、垂直に位置していることを特徴とする請求項12に記載の液体容量測定装置。
【請求項14】
前記第1対応面と前記第2対応面とのうち、少なくとも一面は曲面であることを特徴とする請求項12に記載の液体容量測定装置。
【請求項15】
第3静電容量の測定のために、他の1対の金属板を前記液体保存所にさらに取り付けたことを特徴とする請求項12に記載の液体容量測定装置。
【請求項16】
前記液体保存所は、
絶縁性のハウジングと、
前記ハウジングの内部に位置して、液体が保存される伸縮性のポーチと、をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の液体容量測定装置。
【請求項17】
前記ポーチの表面のうち一部分は、前記金属板のうち一部の金属板に接して固定されており、前記ポーチの表面のうち残りの部分は、固定されていないことを特徴とする請求項16に記載の液体容量測定装置。
【請求項18】
前記ポーチは、前記ハウジングの内部サイズより大きいことを特徴とする請求項16に記載の液体容量測定装置。
【請求項19】
前記液体保存所の現在姿勢を検出する姿勢センサをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の液体容量測定装置。
【請求項20】
前記姿勢センサは、前記液体保存所の面のうち一面に取り付けられ、基準面に対する前記取り付け面の傾度を検出することによって、前記液体保存所の現在姿勢を検出することを特徴とする請求項19に記載の液体容量測定装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記液体保存所の現在姿勢に基づいて、前記第1静電容量及び第2静電容量に対応する液体容量を含む複数個の液体容量を組み合わせることによって、前記液体保存所内の液体残量を測定することを特徴とする請求項19に記載の液体容量測定装置。
【請求項22】
第1静電容量の測定のために燃料保存所に取り付けられている1対の金属板と、
第2静電容量の測定のために前記燃料保存所に取り付けられている他の1対の金属板と、
前記第1静電容量と前記第2静電容量とに基づいて、燃料保存所に残留する燃料の容量を計算する制御器と、を含む燃料電池システム。
【請求項23】
前記燃料保存所は、絶縁性のハウジングを含み、
前記第1静電容量の1対の金属板は、前記ハウジングの内部面のうち、第1対応面に取り付けられており、
前記第2静電容量の他の1対の金属板は、前記ハウジングの内部面のうち、第2対応面に取り付けられていることを特徴とする請求項22に記載の燃料電池システム。
【請求項24】
前記燃料保存所は、
絶縁性のハウジングと、
前記ハウジングの内部に位置し、燃料が保存される伸縮性のポーチと、をさらに含み、
前記ポーチの表面のうち一部分は、前記金属板のうち一部の金属板に接して固定されていることを特徴とする請求項22に記載の燃料電池システム。
【請求項25】
前記燃料保存所の現在姿勢を検出する姿勢センサをさらに含み、
前記制御器は、前記燃料保存所の現在姿勢に基づいて、前記第1静電容量及び第2静電容量に対応する液体容量を含む複数個の燃料容量を組み合わせることによって、前記燃料保存所内の燃料残量を測定することを特徴とする請求項22に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2012−220498(P2012−220498A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88103(P2012−88103)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】