説明

液面レベル測定装置

【課題】 本発明の課題は、低コストであり且つ簡易な構成で、電子基板の熱による機能低下を防止できる液面レベル測定装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の液面レベル測定装置1は、釜3内の液面レベルを測定する測定器7と、釜上部に設けた測定器7の取付部5とを備え、測定器7はフロートと共に垂下した索条体13の繰出し量を算出すると共に算出値を電気信号に変換して発信する電子基板21を有しており、測定器7と取付部5との間に釜3から測定器7の距離を離し且つ索条体を通す円筒状スリーブ9を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール製造工程における仕込煮沸釜等の高温の液体を収納した釜内の液面レベルを測定する液面レベル測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気炉等の高温環境下において使用される温度センサを冷却水又は冷却ガスにより冷却し、温度センサの高温による機能低下を防止する技術が開示されている。
【0003】
一方、ビールの製造工程において使用される煮沸釜等において液面レベルを計測する液面レベル測定装置が用いられているが、係る液面レベ測定装置として、索条体にフロートを吊り下げて垂下し、フロートが液面に達するまでに繰り出した長さを測定するものがある。液面レベル測定装置は簡易で且つ安価であることが要求されると共に使用環境が約100℃程度の環境下であるため、特許文献1のような大掛かりな冷却水や冷却ガスによる冷却まで要求されることがない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−323377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、液面レベル測定器には、測定値の算出や表示のために、索条体の繰出し量を算出したり算出値を電気信号に変換して発信する電子基板が用いられているので、係る電子基板が熱による影響を受けて機能低下する場合がある。
【0006】
これに対して、特許文献1のような冷却水や冷却ガスを導入するのでは、装置が複雑になると共に設備が大掛かりになるという問題がある。
【0007】
本発明は、低コストであり且つ簡易な構成で、電子基板の熱による機能低下を防止できる液面レベル測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、釜内の液面レベルを測定する測定器と、釜上部に設けた測定器の取付部とを備え、測定器はフロートと共に垂下した索条体の繰出し量を算出すると共に算出値を電気信号に変換して発信する電子基板を有しており、測定器と取付部との間に釜から測定器の距離を離し且つ索条体を通す円筒状スリーブを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、スリーブは周囲に放熱フィンを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、電子基板には、冷却用空気を供給していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、冷却空気はオリフィスに圧縮空気を通過させて減圧させたものであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載の発明において、釜はビール製造工程における仕込煮沸釜であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、釜上部からフロートと共に繰出した索条体の長さを算出して釜内の液面レベルを測定するが、釜に測定器を取り付ける取付部と測定器との間にスリーブを設けて釜と測定器との間隔をあけているので、測定器が釜から直接熱を受けることを防止し、測定器に設けている電子基板の熱による機能低下を防止できる。また、スリーブを円筒状として索条体を通しているので、現行の液面レベル測定器をそのまま使用でき、簡易な構成で簡単に取り付けできると共に低コストである。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られると共に、スリーブでは放熱フィンにより釜から伝わる熱を放熱するので、更に測定器が受ける熱を低減できる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られると共に、電子基板を直接冷却でき、熱による機能低下を効果的に低減できる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、請求項3に記載された発明と同様の効果が得られると共に、流体の急激な減圧(膨張)により冷風を得ているので、電子基板の冷却を高めることができると共に、オリフィスに圧縮空気を供給するだけであるから、簡易な構成で設備コストも安価にできる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、請求項4に記載された発明と同様の効果が得られると共に、ビール製造工程における仕込煮沸釜は一般的に約100℃程度であり、係る煮沸釜の液レベル測定には有効に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る液面レベル測定装置1を取り付けた仕込煮沸釜の断面図であり、図2は図1に示す液面レベル測定装置のスリーブを抜き出して示す斜視図であり、図3は図1に示す液面レベル測定装置の電子基板に送風ユニットから空気を噴き付ける状態を示す概略図である。
【0019】
本実施の形態に係る液面レベル測定装置1は、ビール製造工程における仕込煮沸釜3に装着されており、係る仕込煮沸釜3は麦汁にホップを加えて煮沸するもので、一般的に約100℃程度の温度である。
【0020】
液面レベル測定装置1は、仕込煮沸釜3の上部3aに設けた取付部5と、測定器7と、取付部5と測定器7との間に介在されるスリーブ9と、送風ユニット11とから構成されている。
【0021】
取付部5は円筒形状であり、円筒を釜上部3aから立ち上げて設けていると共に取付部5の内部5aは釜3内に連通している。
【0022】
測定器7は、索条体13と、索条体13の下端に取り付けたフロート15と、索条体13を繰出し又は巻き取る繰出部17と、測定値を電気信号に変換する変換器19とが設けられており、変換器19内には電子基板21が収納されている。電子基板21は、繰出部17から垂下した索条体13の繰出し量を算出して液面レベルを演算し、演算値を電気信号に変換発信して表示部20に表示すると共に、コントロール制御室にある制御装置(図示せず)に送信するものである。
【0023】
変換器19には、電子基板21を収納した内部にエアーを導入する送風ユニット11が接続されている。
【0024】
スリーブ9は、下端のフランジ23が取付部5にボルト固定されており、上端のフランジ25が測定器7にボルト固定されている。スリーブ9は円筒形状であり、円筒状の取付部5の内部と測定器7の内部とが重力方向に一直線状を成して連通してあり、索条体13を垂直に通すようになっている。
【0025】
スリーブ9の周囲には放熱フィン27が取り付けてあり、スリーブ9の熱を放出するようになっている。放熱フィン27は円筒状スリーブ9の長手方向に沿って多数設けてあり、放熱面積を大きくしている。
【0026】
送風ユニット11は、圧縮空気をオリフィス29に通して、急激に減圧(膨張)させており、減圧することで約10℃程度温度を下げている。送風ユニット11は圧縮空気をオリフィス29に通すだけであるから、構成が簡易である。しかも、電子基板21に冷却した空気を直接送風するものであるから、冷却効率を高めることができる。
【0027】
次に、上記した構成に基づき、本実施の形態の作用を説明する。
【0028】
液面レベル測定装置1による液面レベルの測定は、繰出部17から索条体13を繰出して下端に設けたフロート15が液面に到達するまでの距離を測定する。索条体13の繰出し量は電子基板21において演算し、演算値を電気信号に変換して表示部20に表示すると共に、コントロール制御室にある制御装置(図示せず)に送信する。
【0029】
一方、仕込煮沸釜3では温度が約100℃程度に達しており、特に夏場等には気温も高いことから、測定器7の電子基板21が係る熱の影響を受けやすい。しかし、本実施の形態では、取付部5を立ち上げて釜から測定器7を離していると共に、測定器7と取付部5との間に放熱フィン27を備えたスリーブ9を設けて更に測定器7を釜3から離しているので、測定器7が釜から熱を受け難い。
【0030】
従って、測定器7に設けてある電子基板21が受ける熱を低減でき、熱による機能低下を防止できる。また、スリーブ9を円筒状として索条体13を通しているので既存の測定器7をそのまま用いることができ、しかも簡単に釜3に取り付けできるので低コストである。
【0031】
また、本実施の形態では、電子基板21に送風ユニット11から冷風を直接吹き付けているので、熱による機能低下を効果的に防止できると共に、送風ユニット11はオリフィス29に圧縮空気を供給するだけであるから、簡易な構成で設備コストも安価にできる。
【0032】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0033】
例えば、電子基板21を有する変換器19は測定器7に外付けしても良いし、測定器7の内部に収納するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る液面レベル測定装置の装着した仕込煮沸釜の断面図である。
【図2】図1に示す液面レベル測定装置のスリーブを抜き出して示す斜視図である。
【図3】図1に示す液面レベル測定装置の電子基板に送風ユニットから冷却空気を噴き付ける状態を示す概略図。
【符号の説明】
【0035】
1 液面レベル測定装置
3 仕込煮沸釜
5 取付部
7 測定器
9 スリーブ
11 送風ユニット
13 索条体
21 電子基板
27 放熱フィン
29 オリフィス




【特許請求の範囲】
【請求項1】
釜内の液面レベルを測定する測定器と、釜上部に設けた測定器の取付部とを備え、測定器はフロートと共に垂下した索条体の繰出し量を算出すると共に算出値を電気信号に変換して発信する電子基板を有しており、測定器と取付部との間に釜から測定器の距離を離し且つ索条体を通す円筒状スリーブを設けたことを特徴とする液面レベル測定装置。
【請求項2】
スリーブは周囲に放熱フィンを備えることを特徴とする請求項1に記載の液面レベル測定装置。
【請求項3】
電子基板には、冷却用空気を供給していることを特徴とする請求項2に記載の液面レベル測定装置。
【請求項4】
冷却空気はオリフィスに圧縮空気を通過させて減圧させたものであることを特徴とする請求項3に記載の液面レベル測定装置。
【請求項5】
釜はビール製造工程における仕込煮沸釜であることを特徴とする請求項4に記載の液面レベル測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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