説明

減圧弁

【課題】 ピストンが傾斜することを防止できる減圧弁を提供する。
【解決手段】 弁ケーシング1で入口2と弁口5と出口3を形成する。弁口5に対向して主弁6を配置する。主弁6がピストン7と協働して弁口5を開閉せしめる。弁口5とピストン7の間の出口側空間8と出口3とを隔てる隔壁筒10を設ける。隔壁筒10に総開口面積が弁口面積と同等となる連通孔11を等間隔に複数個形成する。連通孔11は出口3と直角方向の両側のみに形成する。弁口5から出口3に向かう高圧流体が隔壁筒10内でピストン7に均等に作用しながら連通孔11から出口3に排出されるので、ピストン7が傾斜することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気や圧縮空気や液体等の流体配管系に取り付けて、弁の出口側すなわち弁の二次側の流体圧力を一定の設定圧力に保つ減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の減圧弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、弁ケーシングで入口と弁口と出口を形成し、弁口に対向して主弁を配置し、主弁がピストンと協働して弁口を開閉せしめるようにしたものであって、弁口とピストンの間の出口側空間と出口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が弁口面積と同等となる連通孔を等間隔に複数個形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−100514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の減圧弁は、弁口とピストンの間の出口側空間と出口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が弁口面積と同等となる連通孔を等間隔に複数個形成することにより、ピストンの傾斜を防止するものであるが、出口に対面する連通孔から流体が優先的に流出するためにピストンの傾斜を完全に防止することができず、改善の余地を残すものであった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、ピストンが傾斜することを防止できる減圧弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の減圧弁は、弁ケーシングで入口と弁口と出口を形成し、弁口に対向して主弁を配置し、主弁がピストンと協働して弁口を開閉せしめるようにしたものであって、弁口とピストンの間の出口側空間と出口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が弁口面積と同等となる連通孔を等間隔に複数個形成したものにおいて、出口と直角方向の両側のみに連通孔を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、隔壁筒に形成する複数個の連通孔を出口と直角方向の両側のみに形成したことにより、弁口から出口に向かう高圧流体が隔壁筒内でピストンに均等に作用しながら連通孔から出口に排出され、ピストンが傾斜することを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる減圧弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。弁ケーシング1に入口2と出口3を形成し、弁ケーシング1にねじ結合した弁座部材4に弁口5を形成する。弁口5を開閉する主弁6をコイルバネ17で閉弁方向に付勢して配置する。主弁6の下部弁軸6aを弁ケーシング1の底壁1aの案内孔1bにより軸方向に案内する。主弁6の上面にピストン7の下部弁軸7aの下面が当接する。ピストン7は下部弁軸7aの中心軸上の上端に下方に突出した半球部7bを有する。ピストン7の上部のピストン室9を連通路13を介してパイロット弁室14と接続する。パイロット弁室14は入口圧連通路32を介して入口2と接続する。弁口5とピストン7の間の出口側空間8と出口3とを隔てる隔壁筒10を設け、隔壁筒10に総開口面積が弁口面積と同等となる連通孔11を出口3と直角方向の両側に紙面では手前側と向こう側に形成する。
【0010】
入口圧連通路32と連通路13の間のパイロット弁室14に入口圧連通路32と連通路13とを連通遮断するパイロット弁12を配置する。パイロット弁12の上端は受圧応動部としてのダイヤフラム21の下面中央部に当接する。ダイヤフラム21の上下動に応じてパイロット弁12を開閉して入口圧連通路32と連通路13とを連通遮断する。ダイヤフラム21の一面にはダイヤフラム押え22を介して圧力設定バネ23の弾性力が作用している。圧力設定バネ23の上端には鋼球25を介して圧力調節ねじ24を取り付ける。ダイヤフラム21の他面の下面室30には弁口5の二次側から連通する二次圧検出通路31からの二次側圧力が作用している。
【0011】
上記の減圧弁の動作は次の通りである。出口3側の圧力が圧力設定バネ23で設定した設定圧力よりも低下すると、圧力設定バネ23のバネ力によりダイヤフラム21を介してパイロット弁12が開弁され、入口2側の高圧流体が連通路32,13を通ってピストン7の上面に作用してピストン7が下方へ変位する。ピストン7の変位により主弁6が弁座部材4から離座し弁口5を開口して出口3側に入口2側の高圧流体を補給することにより、出口3側の圧力が設定圧力まで上昇する。弁口5から出口3に向かう高圧流体が隔壁筒10内でピストン7に均等に作用しながら連通孔11から出口3に排出されるので、ピストン7が傾斜することを防止できる。設定圧力に達するとダイヤフラム21を上方へ押し上げる荷重と、圧力設定バネ23による押し下げ荷重がバランスしてパイロット弁12が閉弁し、ピストン室9の高圧流体がオリフィス27から出口3側に抜けてピストン7が上方へ変位する。ピストン7の変位により主弁6が弁座部材4に着座して弁口5を閉止する。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、流体配管系に取り付けて、弁の出口側すなわち弁の二次側の流体圧力を一定の設定圧力に保つ減圧弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 弁ケーシング
2 入口
3 出口
4 弁座部材
5 弁口
6 主弁
7 ピストン
8 出口側空間
10 隔壁筒
11 連通孔
12 パイロット弁
21 ダイヤフラム
23 圧力設定バネ
24 圧力調節ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ケーシングで入口と弁口と出口を形成し、弁口に対向して主弁を配置し、主弁がピストンと協働して弁口を開閉せしめるようにしたものであって、弁口とピストンの間の出口側空間と出口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が弁口面積と同等となる連通孔を等間隔に複数個形成したものにおいて、出口と直角方向の両側のみに連通孔を形成したことを特徴とする減圧弁。

【図1】
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【公開番号】特開2013−109409(P2013−109409A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251890(P2011−251890)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】