説明

温室用栽培システム

【課題】 低コストで省エネルギーと高収量が達成できる温室用栽培システムを提供する。
【解決手段】 温室10内に、温室内空気と内部に充填された蓄熱体と間で熱交換を促す伝熱版32が側面に設けられている熱交換・蓄熱器30を配置すると共に、ヒートポンプ50を配置した構成である。熱交換・蓄熱器30の伝熱板32を介して、日中の温室内の余剰熱を、該熱交換・蓄熱器30内に充填された蓄熱体と温室内空気との温度差で効率よく熱交換できる。これにより、ヒートポンプ50の稼働率を減らし、日中の冷房に寄与でき、換気時間の短縮化に貢献できると共に、夜間は蓄熱された熱を暖房に供することができ、冷暖房コストを大きく削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室用栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
温室は、本来的に低温期における植物の生育促進を目的として設置されるもので、太陽エネルギーを熱に変える機能が極めて高い。このため、冬季でも、日射が強くなる日中は暖房の必要はなく、むしろ、天窓を開放して排気し換気により温室内温度を下げることが行われている。そして、気温が低下する夜間は暖房設備を稼働して温室内を暖房し、温度調節する。しかし、このような暖房制御に関しては、経費節減や環境保全の要請から、燃料費や電気代を低減することが求められている。一方、作物の栽培において、単位面積当たりの作物の収量増加、収益改善を図ることが常に求められている。
【0003】
このようなことに鑑み、例えば、非特許文献1に記載されているように、オランダでは、地下約100m前後に存在するほとんど動かない水域である帯水層(aquifer)を冷水と温水の蓄熱塊として利用することが行われている。夏季の太陽エネルギーで暖められた温室内の熱をヒートポンプで帯水層に蓄熱して温室内を冷房し、冬季にはこの帯水層の熱を使いヒートポンプで温室内を暖房する。このような構成とすることにより、年間を通して考えた場合に、暖房設備の運転時間の短縮化が図れ、暖房コストを低減することが可能となる。また、ヒートポンプによって帯水層の熱を利用することにより低コストで温度制御できるため、年間を通して換気を行う時間も短くてすみ、天窓や側窓などの換気設備による換気を一切行わない閉鎖型、あるいは、換気設備による換気を必要最小限に抑えた半閉鎖型の温室とすることができる。閉鎖型や半閉鎖型の温室とし、二酸化炭素を積極的に施用することにより、温室内の二酸化炭素濃度を大気中濃度の2倍〜4倍に維持でき、作物の光合成速度が増し、品質、収量の向上を図ることができる。二酸化炭素濃度を大気中濃度より高めることにより光合成速度が増すことは、例えば、非特許文献2にも記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「環境保全と高収量を目指すオランダの半閉鎖型ハウス」(斉藤 章)、施設と園芸 144号、p25〜31、2009年1月30日発行
【非特許文献2】「イチゴに対するCO2施用の理論」(織田弥三郎)、1997年度 イチゴセミナー紀要とその他、p6〜10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1の技術は、上記のような帯水層が近くに存在する場所でしか実施できず、そのような帯水層のほとんどない日本においては実用的ではない。また、非特許文献2では、二酸化炭素を施用して二酸化炭素濃度を上げ、日の出から放熱換気開始までの時間帯における光合成を促進させることができるが、換気開始後の日中において二酸化炭素濃度を高く維持することについては触れられていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、帯水層を利用することなく、冷暖房コストの低減、省エネルギー効果の向上を図ることができる温室用栽培システムを提供することを課題とする。ならびに、このような省エネルギー効果の向上に加え、日中においても二酸化炭素濃度及び湿度を適切に保つ事で作物の品質向上、収量向上を図ることができる温室用栽培システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の温室用栽培システムは、温室内に配置され、温室内空気と内部に充填された蓄熱体との間で熱交換を促す伝熱部が側面に設けられている熱交換・蓄熱器と、前記熱交換・蓄熱器内の蓄熱体に熱を授受するヒートポンプとを具備することを特徴とする。
【0008】
前記ヒートポンプが温室内に設置されるものであることが好ましい。前記伝熱部は、断面波状の板状部材からなり、各山谷部が床面と略水平となる向きで配置されていることが好ましく、しかも、前記伝熱部は、熱伝導率50W/(mk)〜300W/(mk)の範囲の素材から形成されていることが好ましい。
【0009】
前記熱交換・蓄熱器は、断面幅に対する高さの比が1より大きいことが好ましい。前記熱交換・蓄熱器が、前記温室内に、地表から所定の高さに位置する栽培ベッドの下方に設けられたものであることが好ましい。前記熱交換・蓄熱器は、断面幅方向に所定間隔をおいて配置された一対の脚部材間の内側に配置されている共に、前記一対の脚部材間であって、前記熱交換・蓄熱器の上方にビーム部材が水平に掛け渡され、この水平に掛け渡されたビーム部材上に栽培ベッドが支持される構造であることが好ましい。
【0010】
前記熱交換・蓄熱器の側面に位置する伝熱部を被覆可能な反射シートが設けられていることが好ましい。前記反射シートは、前記伝熱部から所定間隔離間した位置において、前記伝熱部を覆った状態と覆わない状態とになるように開閉可能に設けられていることが好ましい。前記熱交換・蓄熱器と反射シートの間に、二酸化炭素を供給可能な送風導管が設けられていることが好ましい。
【0011】
前記温室内の地中に、地中蓄熱部が設けられていることが好ましく、前記熱交換・蓄熱器は、底面が地面に接して設けられ、この底面が前記地中蓄熱部との間で熱交換可能な伝熱部を構成していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、温室内に、温室内空気と内部に充填された蓄熱体との間で熱交換を促す伝熱部が側面に設けられている熱交換・蓄熱器を配置した構成である。熱交換・蓄熱器の側面に伝熱部が設けられているため、例えば栽培ベッドが配置される上面に伝熱部を設ける場合と比較して、温室内空気との接触面積を広く確保でき、日中の温室内の余剰熱を、この伝熱部を介し、該熱交換・蓄熱器内に充填された蓄熱体と温室内空気との温度差で効率よく熱交換できる。これにより、ヒートポンプの稼働率を減らし、日中の冷房に寄与でき、換気時間の短縮化に貢献できると共に、夜間は蓄熱された熱を暖房に供することができ、冷暖房コストを大きく削減できる。
【0013】
また、本発明は、上記熱交換・蓄熱器内の蓄熱体に熱を授受するヒートポンプも有している。従って、日中の室温に応じて、ヒートポンプを稼働させることにより、太陽熱を集熱して蓄熱体に保持しておくことができ、蓄熱体に蓄熱した熱を夜間の暖房に供することが可能となる。本発明は、ヒートポンプだけでなく、上記した熱交換・蓄熱器を有しているため、蓄熱体の温度が室温より低い場合は自然に集熱する。自然集熱だけでは所定の室温を保持できない場合にだけヒートポンプを稼働させればよく、また暖房によって蓄熱体が低温となった場合でも、伝熱部の温度と周辺空気の温度との熱落差により翌日の自然集熱効率が高くなるため、ヒートポンプによる集熱(冷房)時間を短くすることができ、大幅に冷暖房コストを削減できる。また、熱交換・蓄熱器及びヒートポンプとの組み合わせによって、冷房コストを抑えながら、日中の室温を所定温度に維持できるため、冷却のための換気を不要とすることができる。その結果、朝だけでなく、日中においても、室内の二酸化炭素濃度、湿度を適切に保つことを可能にし光合成速度を高めることができる。さらに、換気が不要になることで病害虫の進入防止効果が高くなり、農薬の使用量、散布時間を減らすことができる。
【0014】
また、熱交換・蓄熱器を栽培ベッドの下方に設けた構成とすることにより、熱交換・蓄熱器を配置するための特別なスペースを必要とせず、温室内の有効栽培面積を減少させることがない。また、夜間に室温が蓄熱温度よりも低下すると熱交換・蓄熱器の側面に位置する伝熱部からの対流と放射により、植物を暖める。栽培ベッドの下方に配置されることにより、熱交換・蓄熱器の蓄熱体の位置が、作物の作付け位置と平面的に重畳することになるため、室温の急激な変化による作物への影響を緩和することができる。
【0015】
また、熱交換・蓄熱器が栽培ベッドの下方にあるため、熱交換・蓄熱器の重量を直接地面に伝えることが可能となり、特別な支持構造物を必要としない。地面上に直接設置されるため、熱交換・蓄熱器の底部を介して地中と熱交換が行われる。これにより、地中の温度は安定するため、地中蓄熱部を設けた場合に、該地中蓄熱部を被覆する断熱構造を設けなくても済み、施工コストの低減に資する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の温室用栽培システムの一の実施形態を示す概念図である。
【図2】図2は、熱交換・蓄熱器の構成を示した斜視図である。
【図3】図3(a)は栽培ベッド下の熱交換・蓄熱器の構造の一例を示す断面図であり、(b)は結露トイ付近の構造を示した拡大図である。
【図4】図4は、栽培ベッド下に設けた熱交換・蓄熱器に加え、地中蓄熱部を設けた態様の一部を示した図である。
【図5】図5は、栽培ベッド下の熱交換・蓄熱器の構造の一例と地中蓄熱部とを示す断面図である。
【図6】図6は、上記実施形態の温室用栽培システムの1日における栽培環境の制御過程を示した図である。
【図7】図7は、上記実施形態の温室用栽培システムの年間を通した栽培環境制御方法の一例を説明するための図である。
【図8】図8(a),(b)はヒートポンプを温室外に設置した態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の温室用栽培システムの実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1の実施形態に示すように、本実施形態の温室用栽培システム1は、温室10の内部に設けられる。温室10は、例えば、鋼材を躯体とし、合成樹脂のフィルム又はガラスで外壁を被覆されてなり、天窓や側窓等が設けられ、天窓等を開閉することにより換気できるようになっている。
【0019】
温室10内には、栽培ベッド20が設けられる。本実施形態では、図3に示したように、地面から1〜1.5m程度の高さに設置した架台21上に栽培ベッド20を支持させている。架台21は、後述の熱交換・蓄熱器30を間に挟むように、すなわち、熱交換・蓄熱器30の幅方向に所定間隔をおいて配置される一対の脚部材21a,21bと、この脚部材21a,21b間に掛け渡されるビーム部材23cとを有し、これらが、熱交換・蓄熱器30の長手方向に所定間隔毎に設けられる。ビーム部材23cは、断面略コ字状に形成され、そのうちの上下に向かい合う各板部における各端部付近に上下方向に貫通する孔部が設けられており、この孔部に脚部材21a,21bが挿通される。架台21がこのような構成であるため、施工の際には、ビーム部材23cを定規として地面上に位置させておき、その孔部に脚部材21a,21bを挿通して打ち込み、その後、ビーム部材23cを上方にずらし、水準器(図示せず)を用いてビーム部材23cを水平にセットする。これにより、脚部材21a,21bを垂直に立設できるため、容易に施工できると共に、ビーム部材23cが断面略コ字状であるため、外力に対する抵抗力が強く、架台21全体が変形しにくい。栽培ベッド20は、このようにして配置された架台21のビーム部材23c上に、長手方向に沿って載置される。このようないわゆる高設ベッドは、作業者の姿勢が楽になる等のメリットがあると共に、本実施形態の架台21は上記のような簡易な構成でありながら、栽培ベッド20の重量によるゆがみや撓み等の変形が生じにくい。
【0020】
栽培ベッド20は、地面から所定の高さとなるように、温室10内に吊り下げ支持してもよい。また、本出願人が特開2004−254688号公報等において提案しているように、作業性、日照等を考慮して栽培ベッド20を上下動可能に吊り下げ支持したものであってもよい。
【0021】
本実施形態の温室用栽培システム1は、このような栽培ベッド20を有する温室10の中に設けられ、熱交換・蓄熱器30とヒートポンプ50とを備えてなる。熱交換・蓄熱器30は温室10のいずれの場所に設置しても良いが、本実施形態のように、所定高さに設置した栽培ベッド20の下方に設置することが好ましい。つまり、上記した架台21を構成する一対の脚部材21a,21bの内側であって、ビーム部材21cの下方に配置することが好ましい。熱交換・蓄熱器30を栽培ベッド20の下方に配置することにより、熱交換・蓄熱器30を設けても、温室20内における有効栽培面積を減少させることがなく、空間の有効利用を図ることができる。
【0022】
熱交換・蓄熱器30は、図3及び図4(a)に示したように、架台21の下方空間に設置され、蓄熱体が充填された断面略四角形状に形成されている。本実施形態の熱交換・蓄熱器30は、蓄熱体(熱媒体)として水を利用している。熱交換・蓄熱器30の側面には、放射熱を散乱しやすいように伝熱部が設けられている。伝熱部は、熱交換・蓄熱器30を構成する枠体そのものであってもよいし、熱交換・蓄熱器30を構成する枠体とは別に、該枠体の外面を取り囲むように設けたものであってもよい。本実施形態では、熱交換・蓄熱器30の側面を形成する部材自体を断面波状の伝熱板32から構成し、側面全体を伝熱部として構成している。
【0023】
熱交換・蓄熱器30は、幅0.3〜1m、長さ30〜50m、高さ1〜1.5mの範囲で形成されることが好ましい。これにより、温室面積1000m当りにつき10セット程度を例えば並列に配置すれば、全体で100t以上の水を保持でき、僅かな水温上昇でも大きな熱エネルギーを確保できる。このような形状であるため、対向する2つの側面を伝熱部とすることで、温室内空気との熱交換に要する接触面積を大きく確保できる。
【0024】
但し、熱交換・蓄熱器30は、幅に対する高さの比が1より大きい関係、すなわち、高さよりも幅が狭い寸法で形成されていることが好ましい。幅の方が狭いことにより、蓄熱体である水の自然対流が生じやすくなり、水温がムラなく均等化され、熱交換効率も高まる。
【0025】
伝熱板32は、断面波形状に形成されていることが好ましく、それにより、温室内空気との熱交換に要する接触面積をさらに大きく確保できる。この場合、伝熱板32は、各山谷部が床面(地面)に略水平となる向きで配置される。上記のように内部には多量の水が保持されるが、このような向きで配置することにより水圧による伝熱板の変形を抑制している。
【0026】
伝熱板32としては、熱伝導率50W/(mk)〜300W/(mk)の範囲のものが好ましい。熱交換・蓄熱器30は、温室内空気と蓄熱体との熱交換を促すことができると共に、夜間の暖房に供するための蓄熱性とのバランスを図る必要があり、この範囲を下回ると、温室内空気との熱交換が行われにくくなり、この範囲を上回ると、保温効率が低下する。熱交換効率と保温効率とのバランスを考慮すると、上記熱伝導率は、60W/(mk)〜100W/(mk)の範囲がより好ましく、70W/(mk)〜90W/(mk)の範囲がさらに好ましい。上記範囲の熱伝導率の伝熱板32としては、例えば、鉄板やアルミニウム板からなる厚さ0.25〜1.5mmの板状部材等が挙げられる。但し、水圧による変形防止に加え、コストを考慮すると、厚さ0.25〜0.8mmの鉄板が好ましい。
【0027】
伝熱板32はまた、厚さ0.25〜0.8mmの鉄板から構成した場合、所望の耐水圧性を持たせるために、山谷部における隣接する山部の頂点間の間隔が30〜80mm、山部の頂点と谷部の頂点(谷底)との距離が7〜20mmの範囲で形成されたものが好ましい。
【0028】
熱交換・蓄熱器30は、伝熱板32から構成される側面と、長手方向の両端部に設けられる端壁部材35とにより取り囲まれて形成され、伝熱板32の内面、端壁部材35の内面、及び伝熱板32間に位置する地面はプラスチックシートによって被覆され、そのプラスチックシートの内側に、蓄熱体としての水が充填される。従って、熱交換・蓄熱器30の底面36は、地面上に位置するプラスチックシートにより形成されることになる。底面36がプラスチックシートであるため、熱伝導率が高く、後述する地中蓄熱部60との間での熱交換が促される。すなわち、本実施形態では底面36も伝熱部を構成している。
【0029】
また、熱交換・蓄熱器30の側面を形成する伝熱板32の下部には、該熱交換・蓄熱器30の側面に沿って結露トイ40が配置されている(図3(b)参照)。伝熱板32の表面温度が空気の露点温度以下になると水蒸気が結露するため、伝熱板32を設けることにより除湿作用を担わせることができると共に、結露トイ40によって結露水を回収することにより再蒸発を防ぎ、結露水の再利用を図ることができる。
【0030】
伝熱部は、熱交換・蓄熱器30の少なくとも側面(伝熱板32)に設けることが好ましいが、これに限らず上記したように底面36を伝熱部として構成することもできるし、さらに、熱交換・蓄熱器30の上面も伝熱部として構成することもできる。側面や上面を伝熱部とした場合には、その上部の栽培ベッド20の作物に放射熱を作用させやすくなる。
【0031】
伝熱板32の外側には、該伝熱板32を覆う反射シート33が設けられている。例えば、架台21を構成するビーム部材23cの側方に、熱交換・蓄熱器30に略平行に配置した巻き取り軸33aを設け、この巻き取り軸33aに反射シート33の上縁を巻き付け、該巻き取り軸33aを回転させて巻き取ったり巻き戻したりすることにより、上下方向に開閉可能に設けられている。反射シート33によって熱交換・蓄熱器30の側面を覆った状態とすると、熱交換・蓄熱器30の水が太陽光によって急激に温度上昇したり、熱交換・蓄熱器30からの余分な放射がなされたりするのを抑えられる。
【0032】
伝熱板32と反射シート33との間には、送風導管70が設けられている。この送風導管70は、好ましくは、二酸化炭素発生器(図示せず)に連結されると共に、送風ファン(図示せず)の駆動により二酸化炭素を供給する。反射シート33を閉鎖状態(熱交換・蓄熱器30の側面を覆った状態)にしておくことにより、二酸化炭素は、伝熱板32と該反射シート33との隙間を通じて、栽培ベッド20側に誘導されやすくなるため、作物近傍における二酸化炭素濃度を大気中濃度よりも高い濃度で維持することが可能である。なお、二酸化炭素濃度は、大気中濃度の2倍〜4倍の濃度とすることが好ましい。また、送風ファンを設けることにより、伝熱板32の放熱促進、高温高湿度の状態での伝熱板32への結露発生を促進し、作物の最適環境作りに貢献する。
【0033】
温室内のもう一つの集熱装置として本実施形態の温室用栽培システム1に組み込まれたヒートポンプ50は室内空気を低温熱源とし、熱交換・蓄熱器30の蓄熱体(熱媒体)である水を高温側熱源とすることに特徴がある。熱交換・蓄熱器30とヒートポンプ50の熱交換部53は配管51で連結され、日中のヒートポンプ集熱作動時は温室内を冷却し、除去した熱は熱交換・蓄熱器30に貯留される。なお、本実施形態では、配管51内を熱交換・蓄熱器30の蓄熱体である水が流通するようにしているが、配管51を、熱交換・蓄熱器30内を通過するループ状ブラインパイプとして構成し、該ブラインパイプ内の熱媒体(水)を熱交換器53において加熱し、その熱が熱交換・蓄熱器30内の蓄熱体(水)に伝達される構成とすることも可能である。
【0034】
温室10は、本来的に太陽エネルギーを熱に変換する高い機能を備えており、日中には設定温度を超えた余剰熱が発生し、通常は換気窓よりその余剰熱を排出することによって温室10内の空気を換気して過度の温度上昇を抑制している。これに対し、本実施形態では、設定温度に達するまでは熱交換・蓄熱器30が自然集熱し、設定温度を超えた余剰熱はヒートポンプ50を作動させて冷房することで、換気にて排出すべき余剰熱をヒートポンプ50で集熱し、さらに、この熱を、ヒートポンプ50を介して熱交換・蓄熱器30の蓄熱体(水)に蓄熱している。暖房が必要な夜間には、熱交換・蓄熱器30からの自然放熱により暖房され、さらに、必要な場合には、ヒートポンプ50を作動させ、熱交換・蓄熱器30から熱を汲み取り、ヒートポンプ50から暖かい空気を温室10内へ導入して暖房する。特に夜間暖房では、熱交換・蓄熱器30内の蓄熱体(水)がヒートポンプ50の熱源であることから、温室外の空気を熱源とするヒートポンプのような蒸発器の結霜による加温性能低下もなく、ヒートポンプの非効率な除霜運転の必要もない。夜間の暖房負荷の増大は必然的に蓄熱体(水)の温度低下となる。この温度低下分は翌日の晴天の場合の熱交換・蓄熱器30の伝熱板32の伝熱面温度と周辺空気温度の熱落差の増大になり、集熱量が増大し、ヒートポンプの負担を減らす連動効果となる。なお、本発明者の実験によれば、熱交換・蓄熱器30とヒートポンプ50の蓄熱体(水)を共用し連動させているため、システムに投入したエネルギーと、システムによって獲得したエネルギーの比より、成績係数は個々の要素を単独に運転した場合に比較して著しく向上した。実施運転成績係数データはヒートポンプだけの運転の5に対し、約11となった。
【0035】
本実施形態の温室用栽培システム1は、熱交換・蓄熱器30とヒートポンプ50を用いているため、温室10の冷房及び暖房に必要な電気エネルギーを極めて少なくすることができ、省エネルギーとなる。また、換気窓等を開放して換気により温室10内の温度を下げる場合であっても、換気窓等を開放するタイミングを遅くしたり、トータルの開放時間を短くしたり、さらには、季節(冬季)によっては、1日中、完全に閉鎖したりすることもできる。この結果、従来と比較し、光合成に必要な温室内二酸化炭素濃度及び湿度を大気中濃度よりも高く維持でき、換気窓等からの病害虫の侵入も少なくなり、作物の品質、収量の向上を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態では、熱交換・蓄熱器30が、上記したように、栽培ベッド20の下方に配置されている。このため、伝熱板32の放射及び対流熱が作物に作用しやすい。特に、反射シート33を閉鎖状態にしておけば、伝熱板32の放射及び対流熱を熱交換・蓄熱器30の上方に位置する栽培ベッド20で生育する作物により作用させやすい。この結果、例えば、冬季夜間において、温室10内全体が所定の温度に至っていなくても、作物及びその周辺を直接温度制御できるため、本実施形態の伝熱板32を備えた熱交換・蓄熱器30を用いると、省エネルギー化の点で好ましいと共に、作物の高品質化、高収量化の達成にさらに寄与する。
【0037】
本実施形態の温室用栽培システム1は、図4及び図5に示したように、熱交換・蓄熱器30に加えて地中蓄熱部60を設けた構成とすることが好ましい。熱交換・蓄熱器30を配置する栽培ベッド20の下方空間の設置スペースには限度があるため、熱交換・蓄熱器30の蓄熱量のみでは容量的に不十分である場合、本実施形態のように地中蓄熱部60を設けることが好ましい。また、夏季において冷房により集めた熱を蓄熱する際にはその熱が作物に作用しないように地中蓄熱部60に蓄熱することが適する。
【0038】
地中蓄熱部60は、温室10の床面(温室10の設置面積の範囲)外に設けることも可能であるが、ヒートポンプ50を温室10内に設置しており、配管51の配設位置等を考慮すると温室10の床面内に設けることが好ましく、図4及び図5に示した態様では、熱交換・蓄熱器30の真下に設けている。温室10の床面内に設けた場合、地中蓄熱部60から温室10内への放熱も自然に作用させることができるという利点もある。また、本実施形態では、熱交換・蓄熱器30の底面36は、熱伝導率の高いプラスチックシートにより形成され、底面36も伝熱部を構成している。従って、地中蓄熱部60を熱交換・蓄熱器30の直下に設けると、両者間での熱交換を促進することができる。このため、地中蓄熱部60に蓄熱された熱を熱交換・蓄熱器30の蓄熱体が集熱して夜間暖房等に利用することができる。
【0039】
また、熱交換・蓄熱器30は、上記のように日中と夜間という日単位での蓄熱に利用しているが、地中蓄熱部60はそれよりも長いサイクル(例えば、週単位)での蓄熱も可能である。地中蓄熱部60として、本態様では土壌蓄熱方式を採用している。土壌蓄熱は、土壌(地盤)を蓄熱体とする固体顕熱蓄熱である。地盤は半無限連続固体であり、そのままの形で用いる場合もあるし、断熱囲いを設けて蓄熱範囲を限定する方法を採用することもできる。本実施形態では、ヒートポンプ50にブラインパイプ52を接続し、このブラインパイプ52を熱交換・蓄熱器30の真下の地下に配置し、ブラインパイプ52内の熱媒体(水)とその周囲の土壌との間で熱交換できるようになっている。もちろん、蓄熱方式は限定されるものではなく、地下に水槽を設けて水に蓄熱するようにしてもよい。但し、コストの点からは、土壌蓄熱方式が好適である。なお、地中蓄熱部60用のブラインパイプ52は、熱交換・蓄熱器30用の配管51と切り換え弁55を介して接続されている。
【0040】
ヒートポンプ50により集めた熱を熱交換・蓄熱器30と地中蓄熱部60のいずれに蓄熱するかは、上記した切り換え弁55により行う。例えば、ヒートポンプ50により集めた熱を、所定の温度に至るまでは熱交換・蓄熱器30に蓄熱し、所定温度を超えた場合には、地中蓄熱部60に蓄熱するように切り換える。ヒートポンプ50により温室10内を暖房する場合、熱交換・蓄熱器30の水温が所定の温度に至るまでは該熱交換・蓄熱器30の熱を放出し、所定温度以下になったならば、地中蓄熱部60の熱を放出するように切り換える。なお、切り替え弁55の操作は、人手により行うことも可能であるが、温室10内の温度、熱交換・蓄熱器30の蓄熱体(水)の温度、地中蓄熱部60の蓄熱体の温度を測定し、それらの温度に基づき自動切り替えするコンピュータ管理を行うことも可能である。
【0041】
本実施形態の温室用栽培システム1による栽培環境制御方法の一例について図6に基づき説明する。まず、前提として、ヒートポンプ50による冷房運転開始温度を例えば室温25℃に設定しておくとする。この状態で、日中においては、室温25℃に至るまでは、熱交換・蓄熱器30の伝熱板32を介して温室内空気との熱交換(パッシブ集熱)が行われ、蓄熱体に集熱される。蓄熱体は徐々に水温上昇するが、このパッシブ集熱により、室温の上昇速度は、熱交換・蓄熱器30を設置していない場合よりも遅くなる。室温が25℃を超えたならば、ヒートポンプ50が冷房運転を開始し、集熱(アクティブ集熱)し、室温をできるだけ25℃に保つように制御する。ヒートポンプ50による集められた熱は、熱交換・蓄熱器30の蓄熱体に蓄熱され、蓄熱体の水温がさらに上昇する。
【0042】
室温が25℃を下回るとヒートポンプ50の冷房運転が停止される。夜間になり、室温が熱交換・蓄熱器30の蓄熱体の水温を下回ると、蓄熱体に蓄熱されている熱が伝熱板32を介して放熱される(パッシブ放熱)。それにより、室温の低下速度が、熱交換・蓄熱器30を設置していない場合よりも遅くなる。室温が予め設定したヒートポンプ50による暖房運転開始温度(例えば15℃)を下回るとヒートポンプ50による暖房運転が開始され、熱交換・蓄熱器30から熱を汲み取り、ヒートポンプ50から暖かい空気を温室10内へ放出し暖房する(アクティブ放熱)。これにより、室温が所定の温度に保たれる。アクティブ放熱により、蓄熱体の水温はさらに低下する(図6のΔtがアクティブ放熱により低下した水温)。この温度低下Δtが生じることにより、上記のように、熱交換・蓄熱器30の伝熱板32の伝熱面温度と周辺空気温度の熱落差による集熱量の増大をもたらし、ヒートポンプ50の負担を減らす。
【0043】
上記したように、日中のヒートポンプ50による冷房運転により室温が所定温度の範囲に制御される場合には、日中の換気が不要となる。これにより、閉鎖型栽培が実行できるため、二酸化炭素を供給することで、温室10内の二酸化炭素濃度を大気中の二酸化炭素濃度よりも高く維持でき、天窓等からの病害虫の侵入も少なくなり、作物の品質及び収量の増加を図ることができる。
【0044】
一方、ヒートポンプ50を稼働させても室温を所定温度(例えば、30℃)に制御できない場合には、この所定温度を超えたならば天窓等を開放動作させて換気を行うように設定する。本実施形態によれば、このような換気を行う場合でも、上記したように、熱交換・蓄熱器30による熱交換により室温制御を行い、次に、ヒートポンプ50を稼働させ、それでも室温を所定温度以下に制御できない場合に限って換気を行う構成であり、従来と比較して換気時間の少ないいわゆる半閉鎖型の栽培環境を達成できる。
【0045】
図7は、本実施形態の温室用栽培システム1を用いて温室の室内環境を制御する際の年間を通した制御の具体例を示した図である。例えば、6月上旬ないし7月上旬〜9月下旬ないし10月中旬の暑い季節は、日中、冷房だけでは温度調節しきれないため、通常の栽培方法と同様に、天窓の開放等による換気を併用する。まず、熱交換・蓄熱器30による熱交換によって室内温度を下げ、所定温度以上になったならば、ヒートポンプ50の冷媒を熱交換器53を介してブラインパイプ52側の水と熱交換をするよう切り換え制御する。これにより、ヒートポンプ50を稼働させて冷房すると、冷房により集められる熱は、地中蓄熱部60に蓄熱される。イチゴ等の作物の場合には、この季節において夜冷を行う。そのため、夜間も冷房を動作させる。なお、夜冷を効率的に行うためには、熱交換・蓄熱器30の蓄熱体の温度は日中高くしない方が好ましい。そのため、日中のヒートポンプ50の冷房に伴って集められた熱は地中蓄熱部60に優先して蓄熱させる。夜間冷房を動作させると、熱交換・蓄熱器30自体も冷やされるため、水温が下がり伝熱板32の表面温度も低下する。伝熱板32の表面温度が低下すると、熱交換・蓄熱器30の直上に配置された栽培ベッド20の作物が放射及び対流熱によっても冷却される。従って、夜冷効果を高めることができる。また、伝熱板32の放射により直接作物を冷やすことができるため、温室10内全体を冷やすためのヒートポンプ50の稼働時間を短くしたり、制御温度を従来行われている夜冷制御温度よりも高めに設定したりすることができ、省エネルギー化に寄与する。また、熱交換・蓄熱器30に充填している水を低水温の地下水などと入れ替えることでも上記と同じ効果がえられる。しかも、熱交換・蓄熱器30の伝熱板32の表面温度が露点温度を下回る場合には、水蒸気が伝熱板32表面に凝縮し、水が結露トレイ40に流下し、水を回収して再利用できる。なお、地中蓄熱部60に蓄熱した熱は、この季節であっても、異常な低温状態になった場合等、必要に応じて暖房の熱源として利用できる。
【0046】
一方、10月中旬〜6月下旬の寒い季節では次のように制御する。まず、日中は、温室10が太陽エネルギーを熱に変える高い機能を備え、この季節でも室温がかなり高くなるため、特に、10月中旬〜11月下旬、及び、3月上旬〜6月下旬では、天窓等を換気せざるを得ない時間帯が生じる。
【0047】
しかしながら、午前中、まずは熱交換・蓄熱器30による熱交換により蓄熱体に温室10内の熱が集熱され、そして所定温度を超えると、ヒートポンプ50を稼働させて温室10の余剰熱を集熱して冷房し、熱交換・蓄熱器30にその熱を蓄熱させる。熱交換・蓄熱器30の熱容量だけでは不足する場合には、具体的には、熱交換・蓄熱器30の温度が一定温度を超えた場合(例えば25℃)に、配管51からブラインパイプ52に熱媒体の流路を切り換えて地中蓄熱部60へ蓄熱させる。このようにして、温室10内を冷房し、熱交換・蓄熱器30及び地中蓄熱部60に蓄熱していくことで、天窓等を開放して換気を始める時間を遅らせる。これにより、二酸化炭素を積極的に供給して、温室10内の二酸化炭素濃度が大気中の二酸化炭素濃度よりも高く(好ましくは、大気中の2倍〜4倍)維持する時間、また所定の湿度を維持する時間が従来よりも長くすることができる。
【0048】
一方、夜間は、熱交換・蓄熱器30の伝熱板32からの自然放熱で温室10内を暖房する。室温が設定温度以下になると、ヒートポンプ50を稼働する。ヒートポンプ50の熱源は熱交換・蓄熱器30又は地中蓄熱部60に蓄熱した熱を利用し、この熱を温室10内へ放出して温室10内を暖房する。熱交換・蓄熱器30又は地中蓄熱部60に蓄熱した熱を利用するため、ヒートポンプ50の電気エネルギーの消費量は極めて低くすることができる。また、熱交換・蓄熱器30の伝熱板32の放射熱により、作物が直接温められる。従って、温室10内全体を暖房する際の温度を従来よりも低めにしても、作物にとって十分な温度環境とすることができ、この点からも、ヒートポンプ50の電気エネルギー消費量はさらに低くすることができる。
【0049】
また、12月上旬〜2月下旬の最も寒い季節においては、熱交換・蓄熱器30による熱交換による集熱とヒートポンプ50による冷房を行うことで、日中でも全く換気を行わないようにすることができる。これにより、12月上旬〜2月下旬の最も寒い季節においては、二酸化炭素を積極的に供給することで、温室10内の二酸化炭素濃度は、作物の光合成が活発な日照のある時間帯においても、大気中濃度よりも高い濃度で維持されることになる。
【0050】
すなわち、本実施形態によれば、12月上旬〜2月下旬の最も寒い時期は夜間だけでなく日中も換気を全く行わない閉鎖型環境で栽培でき、その前後の時期である10月中旬〜11月下旬及び3月上旬〜6月下旬では、換気時間を従来よりも短縮化した半閉鎖型環境で栽培でき、それにより、光合成に必要な二酸化炭素濃度を大気中濃度よりも高濃度で維持し、天窓からの病害虫の侵入も少なくなり、作物の品質及び収量の増加を図ることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、熱交換・蓄熱器30だけでなく、ヒートポンプ50も温室10内に設けている。これにより、温室10内の熱を汲み上げて熱交換できるため熱交換効率の点で優れている。しかしながら、熱交換効率の点では劣るものの、例えば、図8(a)に示したように、ヒートポンプ50を温室10の外部に設置し、送風部50aを温室10に接続して冷房する構成とすることもできる。なお、熱交換・蓄熱器30とヒートポンプ50の熱交換部との間は、上記実施形態と同様に配管51を設け、その内部を蓄熱体(水)が通過できるようにする。この場合、ヒートポンプ50は、外気を集熱して配管51内の水に熱を付与し、送風部50aから温室10内に冷気を供給する。
【0052】
また、図8(b)に示したように、ヒートポンプ50を温室10の外部に設置すると共に、送風部50aだけでなく集熱部50bも温室10に接続することもできる。この場合には、集熱部50bを介して温室10内の熱を汲み上げる構成であるため、熱交換効率の点では、上記実施形態と同等であるが、送風部50a及び集熱部50bと温室10との接続に伴う設備コスト等が上記実施形態よりも増加する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の温室用栽培システムは、温室を省エネルギーで冷暖房できるため、作物を収益性良く生産する施設園芸分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 温室用栽培システム
10 温室
20 栽培ベッド
30 熱交換・蓄熱器
32 伝熱板
33 反射シート
50 ヒートポンプ
51 配管
52 ブラインパイプ
60 地中蓄熱部
70 送風導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室内に配置され、温室内空気と内部に充填された蓄熱体との間で熱交換を促す伝熱部が側面に設けられている熱交換・蓄熱器と、
前記熱交換・蓄熱器内の蓄熱体に熱を授受するヒートポンプと
を具備することを特徴とする温室用栽培システム。
【請求項2】
前記ヒートポンプが温室内に設置されるものである請求項1記載の温室用栽培システム。
【請求項3】
前記伝熱部は、断面波状の板状部材からなり、各山谷部が床面と略水平となる向きで配置されている請求項1又は2記載の温室用栽培システム。
【請求項4】
前記伝熱部は、熱伝導率50W/(mk)〜300W/(mk)の範囲の素材から形成されている請求項1〜3のいずれか1に記載の温室用栽培システム。
【請求項5】
前記熱交換・蓄熱器は、断面幅に対する高さの比が1より大きい請求項1〜4のいずれか1に記載の温室用栽培システム。
【請求項6】
前記熱交換・蓄熱器が、前記温室内に、地表から所定の高さに位置する栽培ベッドの下方に設けられたものである請求項1〜5のいずれか1に記載の温室用栽培システム。
【請求項7】
前記熱交換・蓄熱器は、断面幅方向に所定間隔をおいて配置された一対の脚部材間の内側に配置されている共に、前記一対の脚部材間であって、前記熱交換・蓄熱器の上方にビーム部材が水平に掛け渡され、この水平に掛け渡されたビーム部材上に栽培ベッドが支持される構造である請求項6記載の温室用栽培システム。
【請求項8】
前記熱交換・蓄熱器の側面に位置する伝熱部を被覆可能な反射シートが設けられている請求項1〜7いずれか1に記載の温室用栽培システム。
【請求項9】
前記反射シートは、前記伝熱部から所定間隔離間した位置において、前記伝熱部を覆った状態と覆わない状態とになるように開閉可能に設けられている請求項8記載の温室用栽培システム。
【請求項10】
前記熱交換・蓄熱器と反射シートの間に、二酸化炭素を供給可能な送風導管が設けられている請求項8又は9記載の温室用栽培システム。
【請求項11】
前記温室内の地中に、地中蓄熱部が設けられている請求項1〜10のいずれか1に記載の温室用栽培システム。
【請求項12】
前記熱交換・蓄熱器は、底面が地面に接して設けられ、この底面が前記地中蓄熱部との間で熱交換可能な伝熱部を構成している請求項11記載の温室用栽培システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−4739(P2011−4739A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122536(P2010−122536)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(390010814)株式会社誠和 (31)
【Fターム(参考)】