説明

温度調節器等の電子機器

【課題】エコロジー技術を達成しつつ夜間等照度の低い工場内等においても操作が容易に行えるようになした温度調節器等の電子機器を提供する。
【解決手段】制御ユニットを収容する電子機器筐体2の前面部4aに表示板6を貼付して構成する場合、記表示板6は、設定値等を表示する表示領域部6aと前記制御ユニット等を操作するための操作領域部6bとを有して構成し、操作領域部6bに前記制御ユニットを制御するためのボタン部6b−1を形成して構成しており、ボタン部6b−1に対向する表示板6の裏面側に、蓄光剤塗布部10を形成し、蓄光剤塗布部10を前面部4aにおけるボタン部6b−1の前面側に透過表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御ユニットを収容する電子機器筐体の前面部に表示板を貼付して構成する温度調節器等の電子機器に関するものである。
【0002】
本発明に係る電子機器は、温度調節器のほかに、タイマーあるいはデジタルパネルメータ等の電子機器が含まれ、複数台を制御パネルに設置して使用される電子機器として特に開発されたものである。
【背景技術】
【0003】
この種の従来の電子機器は、制御ユニットを構成する子基板や外部機器に接続する端子などを収容するリアケースと、リアケースの表面部に配置されて表示器ユニットを構成するメイン基板が収容されたフロントケースとからなる電子機器筐体を有して構成している。
【0004】
フロントケースの前面部には、樹脂板材からなる表示板が貼付されている。当該表示板は、前記表示ユニットから出力された設定値等を表示する表示領域部と、前記制御ユニット等を操作するための操作領域部とを有して構成しており、前記表示領域部を透明にすると共に、前記操作領域部は前記制御ユニットを制御するためのボタン部が形成されている。
【0005】
そして、このように構成する電子機器は、工場等に設置された制御パネルに複数個配置されて、使用されることになる。
【0006】
すなわち、制御パネルには、予め複数個の取付け孔が形成されて、この取付け孔に電気機器筐体のリアケース側から挿通させると共に、フロントケースの前面部の周壁部に膨出フランジ部を形成して、該膨出フランジ部を前記制御パネルの前面壁に当接した状態で、前記リアケースに固定用のフィックスチャーを嵌合して、前記制御パネルに複数個の電子機器を配置装着するようにしていた(特許文献1−3参照)。
【特許文献1】特開2004−128137号公報
【特許文献2】特開2000−174446号公報
【特許文献3】特開2000−208951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように制御パネルに配置された各電子機器は、工場等において、作業者が表示領域部に表示された設定値等を見ながら、操作領域部のボタン部を押しながら、当該作業に適合した制御状態を設定することにより、工場等の設備の運転制御を行うことになる。
【0008】
そして、このような電子機器は、工場における照度が常に適正な状態で使用されるものとは限らず、夜間等照度が非常に低い状態において使用されることがあり、このために、従来では表示領域部にLCD等を用いると共に、電子機器筐体内に操作領域部のボタン部を照明するバックライト装置を備えて、たとえ工場内の照度が低い状態であったとしても、当該バックライト装置により操作領域部のボタン部を照明して、ボタン部をみやすくしかも操作をしやすくするように構成されていた。
【0009】
しかしながら、このようにバックライト装置を使用する結果、電子機器の消費電力をその分増加させることになり、エコロジー技術が求められている現代においては、必ずしも好ましいとはいい切れない。
【0010】
又、この種の電子機器は、例えば食品工場などにおいて多く使用されていることから、生活環境の衛生状態の保持のためには、常に殺菌等の処置をしなければならないが、必ずしも、常時好ましい衛生状態に保持するのは面倒で、図らずも、微生物を発生・生育・増殖させてしまうことにもなりかねない。
【0011】
そこで、本発明は、第1の目的として、エコロジー技術を達成しつつ夜間等照度の低い工場内等においても操作が容易に行えるようになした温度調節器等の電子機器を提供することにあり、第2の目的として、生活環境の衛生状態を保持するために常に抗菌状態を確保できるように構成した温度調節器等の電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る温度調節器等の電子機器は、上記第1の目的を達成するために、制御ユニットを収容する電子機器筐体の前面部に表示板を貼付して構成する温度調節器等の電子機器であって、前記表示板は、設定値等を表示する表示領域部と前記制御ユニット等を操作するための操作領域部とを有し、に前記操作領域部に前記制御ユニットを制御するためのボタン部を形成して構成しており、前記ボタン部に対向する前記表示板の裏面側に、蓄光顔料からなる蓄光剤塗布部を形成し、該蓄光剤塗布部を前記表示板における前記ボタン部前面側に透過表示したことを特徴とする。
【0013】
かかる構成を有することにより、表示板の操作領域部におけるボタン部に対向する裏面に蓄光材塗布部を形成したことにより、たとえば昼間等の工場内の照度が比較的高い時間帯に当該蓄光材塗布部には、光が蓄積されることになり、蓄積された光は夜間等工場内が暗くなった場合には、バックライト装置等を用いなくても、ボタン部を照光することができ、作業者によるボタン操作を容易にしかも誤りのないように行なわしめると共に、エコロジー技術として、好適であるといえる。
【0014】
更には、蓄光材塗布部は、表面板の裏側に形成したことにより、ボタン部の操作のために表示板に作業者の手等によって繰り返し触れられたとしても、表示板から剥離することはない。
【0015】
又、本発明に係る温度調節器等の電子機器は、上記第2の目的を達成するために、前記表示板の前面に、透明体からなる抗菌剤被覆層部を形成したことを特徴とする。
【0016】
従って、表示板は、抗菌剤被覆層により微生物の発生・生育・増殖を抑制して、常時生活環境の衛生状態を保持することができることになる。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成する本発明によれば、表示板の操作領域部におけるボタン部に対向する裏面に蓄光材塗布部を形成したことにより、たとえば昼間等の工場内の照度が比較的高い時間帯に当該蓄光材塗布部には、光が蓄積されることになり、蓄積された光は夜間等工場内が暗くなった場合には、バックライト装置等を用いなくても、ボタン部を照光することができ、作業者によるボタン操作を容易にしかも誤りのないように行なわしめると共に、エコロジー技術として、好適であるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係る実施の形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る電子機器のうち温度調節器に適用した場合の実施例を描画した斜視図、図2は図1における表示板を描画した正面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図3における要部拡大断面図、図5は図1に示す実施例の使用状態を描画した斜視図である。
【0020】
図1において、電子機器としての温度調節器1は、電子機器筐体2を有して構成している。電子機器筐体2は、制御ユニットを構成する子基板(不図示)や外部機器に接続する端子2などを収容するリアケース3と、リアケース3の表面部側に配置されて表示器ユニットを構成するメイン基板5を収容するフロントケース4とで構成している。
【0021】
フロントケース4の前面部4aには、薄板製の表示板6が貼付されている。
【0022】
表示板6は、図2に示すように、前記表示ユニットから出力された設定値等を表示する表示領域部6aと、前記制御ユニット等を操作するための操作領域部6bとを有して構成している。
【0023】
表示領域部6aは、透明にすることによってメイン基板5から出力された制御値等をLCD等の不図示の表示装置を介して透過表出するように構成されている。
【0024】
操作領域部6bは前記制御ユニットを制御するためのボタン部6b−1が複数個形成されている。
【0025】
ボタン部6b−1は、表示板6を少量膨出させた状態で、対向配置したプランジャ6bを押動操作して、メイン基板5側に設けたスイッチ部5aを操作できるように構成されている。
【0026】
そして、表示板6は、PET等の樹脂材料からなる基材7と、基材7の表面部側の前面に形成した抗菌剤被覆層部8と、基材7の裏面側に印刷された黒色塗装部9と、やはり基材7の裏面側におけるボタン部6b−1の外周部等を形取るように形成された蓄光剤塗布部10と、黒色塗装部9におけるフロントケース4の前面部4aに対向する面に貼付された接着剤層部11とを有して構成され、接着剤層部11を用いて、フロントケース4の前面部4aにシール材11aを介して貼付設置されるようになっている。
【0027】
基材7は、表示領域部6aおよび操作領域部6bにおけるボタン部6b−1を除いて、黒色塗装部9が透過して、黒色になっており、ボタン部6b−1の部分は、たとえば薄灰色となって、領域を明確化している。
【0028】
抗菌剤被覆層部8は、基材7の前面部全体に抗菌剤を含有したインクを印刷することにより構成しており、表示領域部6b及び操作領域部6bが透過表出するように、透明になっている。
【0029】
抗菌剤槽被覆層部8を構成する抗菌剤は、生活環境の衛生状態を保持するために、微生物の発生・生育・増殖を抑制する透明材料、例えば銀イオン剤等を使用するものである。
【0030】
又、蓄光剤塗布部10は、硫化亜鉛に銅を賦活させた蓄光顔料(ZnS:Cu)や酸化アルミニウムと酸化ストロンチウムの結晶化した蓄光材料(SrAl204)などで太陽光や蛍光灯等の光の刺激によりエネルギーを吸収して、吸収したエネルギーを可視光に変換して、外部光がなくなってもある時間内光を出し続ける特性を有する顔料を塗布することにより構成しており、に図2に明示するように、ボタン部6b−1の外周部やボタン部6b−1の機能を表示するマーク形状を呈しており、図4に詳細に示すように、黒色塗装部9の切欠き部9a内に埋設するように基材7に印刷形成されており、基材7のボタン部6b−1を透過してフロントケース4の前面部4aに表出するようになっている。
【0031】
このように構成した温度調節器1は、図5に示すように、電子機器筐体2のリアケース3側を、制御パネル12に設けた取付け孔(不図示)に嵌合挿通し、フロントケース4の前面部4aの周壁部に形成した膨出フランジ部4a−1を制御パネル12の前面壁に密着させた状態にして、リアケース3に不図示のフィックスチャーを嵌合することによって、制御パネル12に配置装着されている。
【0032】
そして、このように構成する温度調節器1は、通常、工場等においては、制御パネル12に複数個配置した状態で、使用に供することになる。
【0033】
上記のように構成することによって、表示板6の操作領域部6bにおけるボタン部6b−1に対向する基材7の裏面に蓄光材塗布部10を形成したことにより、たとえば昼間等の工場内の照度が比較的高い時間帯に当該蓄光材塗布部10には、光が蓄積されることになり、蓄積された光は夜間等工場内が暗くなった場合には、バックライト装置等を用いなくても、ボタン部を照光することができ、作業者によるボタン操作を容易にしかも誤りのないように行なわしめることができると共に、エコロジー技術として好適であるといえ、しかも、たとえ、制御パネル12に多くの温度調節器1が配置装着されているとしても、操作すべき温度調節器1を見誤ることなく、操作制御の確実性を保持することができる。
【0034】
更には、蓄光材塗布部10は、表面板6の裏側に形成したことにより、ボタン部6b−1の操作のために表示板6に作業者の手等が繰り返し触れたとしても、表示板6から剥離することはない。
【0035】
又、表示板6における基材7の前面部側は、前面に渡って抗菌剤被覆層部8によって被覆されていることから、例えば作業者によるボタン部6b−1の操作によりたとえ微生物等が付着したとしても、微生物等の発生・生育・増殖が抑制されて、常時生活環境の衛生状態を保持することができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明は、表示板の操作領域部におけるボタン部に対向する裏面に蓄光材塗布部を形成したことにより、たとえば昼間等の工場内の照度が比較的高い時間帯に当該蓄光材塗布部には、光が蓄積されることになり、蓄積された光は夜間等工場内が暗くなった場合には、バックライト装置等を用いなくても、ボタン部を照光することができ、作業者によるボタン操作を容易にしかも誤りのないように行なわしめることができると共に、エコロジー技術として、好適であるといえる。しかも、蓄光材塗布部は、表面板の裏側に形成したことにより、ボタン部の操作のために表示板に作業者の手等が繰り返し触れたとしても、表示板から剥離することはない。
【0037】
このために、本発明は、制御ユニットを収容する電子機器筐体の前面部に表示板を貼付して構成する温度調節器等の電子機器等に好適であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る電子機器のうち温度調節器に適用した場合の実施例を描画した斜視図である。
【図2】図1における表示板を描画した正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3における要部拡大断面図である。
【図5】図1に示す実施例の使用状態を描画した斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 温度調節器(電子機器)
2 電子機器筐体
3 リアケース
4 フロントケース
4a 前面部
6 表示板
6a 表示領域部
6b 操作領域部
6b−1 ボタン部
7 基材
8 抗菌剤被覆層部
10 蓄光剤塗布部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニットを収容する電子機器筐体の前面部に表示板を貼付して構成する温度調節器等の電子機器であって、
前記表示板は、設定値等を表示する表示領域部と前記制御ユニット等を操作するための操作領域部とを有し、前記操作領域部に前記制御ユニットを制御するためのボタン部を形成して構成しており、前記ボタン部に対向する前記表示板の裏面側に、蓄光顔料からなる蓄光剤塗布部を形成し、該蓄光剤塗布部を前記表示板における前記ボタン部前面側に透過表示したことを特徴とする温度調節器等の電子機器。
【請求項2】
前記表示板の前面に、透明体からなる抗菌剤被覆層部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の温度調節器等の電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−263145(P2008−263145A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106440(P2007−106440)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】