説明

温水器用排水ホッパー

【課題】温水器の排水管経路において縁切りを行うことができ、それでいて温水器から排出される排水の飛散を防止できる温水器用排水ホッパーを提供することを目的とする。
【解決手段】温水器の排水管と接続される複数の受口を有する排水管ホルダー部と、温水器外部の下流側排水管と接続される受口又は差口を有する排水管継手部と、そして逆流水をオーバーフローさせるため、側壁に網目部材を用いた開口部を有し、かつ前記排水管ホルダー部と排水管継手部との間に着脱可能に装着される円筒状の胴部と、からなる温水器用排水ホッパーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設置される温水器から排出される膨張水および水抜き水などを集水して温水器外部の下流側排水管へ流すための温水器用排水ホッパーに関し、特に貯湯式温水器から延びた複数の排水管に対し排水の飛散がないように接続可能な排水管ホルダー部を備え、かつ逆流水をオーバーフローさせるため、該排水管ホルダー部と下流側排水管と接続される排水管継手部との間に網目部材が適用された開口部を有する円筒状の胴部を備えていることを特徴とする温水器用排水ホッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、家庭用貯湯式温水器では、湯水の沸し上げを行う際に内部の圧力上昇により発生する膨張水や貯湯タンクの点検する際の水抜き水を機器本体の外部へ排出する必要がある。このため機器本体の下部には、これらの排水を排出するための複数の排水管が配置されており、さらに機器本体の据え付け基礎には、これらの複数の排水管から排出される膨張水や水抜き水を集水するための排水ホッパーが配置される。
【0003】
また、空気調和衛生工学会の規格によれば、温水器を設置する際に膨張水排水管や水抜き水排水管の排出口と排水ホッパーの受口との間には、温水器排水管の管径が25mm以下の場合は最小50mm、温水器排水管の管径が30〜50mmの場合は最小100mm、温水器排水管の管径が65mm以上の場合は最小150mmの空間を設けることが必要とされる。これは排水経路の途中で縁切りを行うことにより、空気の流出入を許容して自然落下による膨張水や水抜き水の排水ホッパー受口へのスムーズな排水を実現するためであり、また、下流側排水管の詰まりや下流側排水管から排水の逆流が生じた場合に、排水管の排出口と排水ホッパー受口との間でこれらの不用水をオーバーフローさせて温水器内へ排水が逆流しないようにするためである。
【0004】
ところが、実際の温水器本体の下部スペースは、機器の基礎への据え付け後の安定性を確保するために必要最小限の高さに抑えられており極めて小スペースである。このため、温水器本体の下部に設置できる排水ホッパーの大きさは自ずと限られており、排出される膨張水や水抜き水の勢いが強い時、これらの排水が排水ホッパー受口に入らずに周囲へ飛散したり、あるいは排水管にフレキシブルホースが用いられている場合は、排水ホースが暴れて所定の位置から離脱してしまうことがあった。
【0005】
そこで、近年では、上記のような問題点を解決するために種々の改良が施された排水ホッパーや貯湯式温水器における排水管システムが提案されている。
【0006】
例えば、特開2003−194417号公報および特開2005−2624号公報では、排水ホッパー受口に円筒状の側壁を備えた仕切り板を設け、この円筒形の仕切り板が温水器の排水管の排出口を取り囲むことにより膨張水や水抜き水の飛散を防止する排水ホッパーが開示されている。
【0007】
しかしながら、これらのタイプの排水ホッパーは実質上排水ホッパーの受口を排水管の排出口レベルまで嵩上げした構造に等しく、それ故、排水管の排出口と排水ホッパーの受口との間の縁切りが不十分で、50mm以上の空間を確保することができないでいた。このため、下流側排水管の詰まりなどにより排水の急激な逆流が生じた場合は、逆流水を排水管の排出口の手前でオーバーフローさせ、温水器内へ排水が逆流するのを防止するのが困難であった。
【0008】
また、特開2003−172549号公報では、温水器から延びた排水管の排出口へ排水ホッパー内に設置されたフロートの動きと連動して作動する閉塞手段を設けることにより、排水ホッパー内の排水が異常水位となった時、排出口から流出する膨張水や水抜き水の排出を閉塞させてこれらの排水の飛散を防止する排水ホッパーが開示されている。
【0009】
しかしながら、このタイプの排水ホッパーは下流側排水管に詰まりが生じた時のみに有効に機能するものであって、正常運転時においても生じる強い勢いの膨張水や水抜き水の流れに対して、排水を排水ホッパー外部へ飛散しないようにすることはできなかった。また、閉塞手段はその構造が複雑であり、かつ排水管の排出口に1対1対応で取り付けなければならないため、実際には現地(寸法)合わせで施工される排水ホッパーの場合や温水器が複数の排水管を有する場合にまったく対応できないという問題があった。
【0010】
さらに、特開平8−159564号公報や実開平2−20056号公報では、排水ホッパーの物理的制約条件を緩和すべく、機器側において膨張水排水配管や水抜き水排水管を1つの排出口へ統合した温水器が開示されている。
【0011】
しかしながら、このタイプの温水器は排水管の構造が複雑となり、また排水のスムーズな排出に対する信頼性も低いという問題があった。
【特許文献1】特開2003−194417号公報
【特許文献2】特開2005−2624号公報
【特許文献3】特開2003−172549号公報
【特許文献4】特開平8−159564号公報
【特許文献5】実開平2−20056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、空気調和衛生工学会の規格を考慮して温水器の排水管の排出口と排水ホッパーの受口との間に50mm以上の空間を設けること可能であり、それでいて、温水器の複数の排水管から排出される膨張水や水抜き水などの排水を確実に集水することができ、かつ排出される膨張水や水抜き水の勢いが強い時であっても、これらの排水の飛散を防止できる温水器用排水ホッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、排水ホッパーの改良や貯湯式温水器の排水特性について鋭意検討を重ねた結果、排水管とホッパーとの間で排水が周囲へ飛散することがないように、温水器から延びた複数の排水管を排水ホッパーの受口まで延長して接続及び固定できる構造とし、温水器の排水管と排水ホッパーとの縁切りは、前記排水ホッパー受口の下部に、50mm以上の高さを有し側壁に網目状の開口部を有する円筒形の胴部を配置することによりその目的を達成することが最も効果的であるとの結論に達し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明によれば、温水器の膨張水や水抜き水の排水管と接続される複数の受口を有する排水管ホルダー部と、温水器外部の下流側排水管と接続される受口又は差口を有する排水管継手部と、そして逆流水をオーバーフローさせるため、側壁に網目部材を用いた開口部を有し、かつ前記排水管ホルダー部と排水管継手部との間に着脱自在に装着される円筒状の胴部と、からなる温水器用排水ホッパーが提供される。
【0015】
排水管ホルダー部は、その上部に温水器から延びた複数の排水管を接続することが可能な受口を備えているため、従来のように排水管排出口から排水ホッパー受口までの間で外部に露出される排水の流れがなくなる。また、排水管ホルダー部の受口は、温水器から延びた複数の排水管をそれぞれ個別に固定することができるため、排出される膨張水や水抜き水の勢いが強い時であっても、これらの排水が排水ホッパーの受口に入らずに周囲へ飛散したり、あるいは排水管にフレキシブルホースが用いられている場合、排水ホースが暴れて排水ホッパーの受口から離脱してしまうことがない。
【0016】
受口の形状は、差し込まれる排水管や排水ホースを摩擦等により確実に固定できる口径及び深さがあればよく、特に限定されることなく公知の受口形状を適用することができる。また、受口の個数も排水管ホルダー部の上部に配置スペースがある限りは特に限定されるものではないが、通常は温水器1台に対して2〜4個の受口があれば足り、それぞれの受口の形状が異なっていてもよい。
【0017】
さらに、受口の内部には、接続される排水管や排水ホースの指し込み過ぎを防止するためのストッパー手段が設けられていることが好ましい。ストッパー手段は、排水管や排水ホースの先端部分と当接することによりその更なる侵入を防止するような構造であればよく、例えば受口内部に設けられた段差部や受口の内部奥底を横断する網目状の仕切りなどがある。
【0018】
排水管ホルダー部の下部には、側壁に網目部材を用いた開口部を有する円筒状の胴部(筒体)が配置される。排水管ホルダー部により、受口を介して集水された膨張水や水抜き水は自然落下により円筒状の胴部の中を通過するが、網目部材が抵抗となるため、排水が網目部材を通過して外部へ飛散することは殆んどない。また、従来の排水ホッパーでは排水流路内に網目部材等からなる目皿を設けて害虫や枯葉等のゴミの侵入を防止していたが、本発明では網目部材を用いた開口部を排水流路内ではなく排水流路の外側に配置したため、従来のように開口部から枯葉等が侵入して目詰まりを起こすことなく害虫や枯葉等のゴミの侵入を確実に防止することができる。
【0019】
また、円筒状の胴部は、下流側排水管で詰まりや排水の逆流が生じた場合に、その側壁に設けられた開口部を通じて逆流水をオーバーフローさせるため、下流側排水管から排水が温水器および温水器の排水管内へ逆流するのを確実に防止する。
【0020】
すなわち、側壁に網目部材を用いた開口部を有する円筒状の胴部(筒体)は、温水器の排水管と排水ホッパー下流側に接続された排水管との間で実質的に縁を切る役目を果たす。このため、原理的には、胴部側壁の開口部は必ずしも網目部材から形成されている必要はなく、単なる開口やスリット、丸穴又は角穴の集合体を有する薄板部材から形成されていてもよい。また、樹脂からなる胴部側壁自体にスリット、丸穴又は角穴の集合体からなる開口部を設けてもよい。ただし、胴部の中を流れる排水の飛散や害虫、枯葉等のゴミの侵入を強力に防止するためには、開口部を網目部材で形成するか又は網目部材で覆うことが最も効果的である。
【0021】
これは、網目部材が、部材に対して略平行または鋭角に衝突してくる排水および液滴に対して実質上の障壁となって跳ね返し効果を生じるからであり、一方、逆流水のようにレベルの上昇と共に網目部材に対して略直交するように流れる排水に対しては何らの抵抗にはならず、スムーズな逆流水の排出を許容するからである。
【0022】
なお、円筒状の胴部の開口部の高さは、排水経路における縁切り機能の確実性や空気調和衛生工学会の規格を考慮して、通常、温水器等の排水管の管径が25mm以下の場合の最小高さである50mm以上に設定されていることが好ましい。
【0023】
また、円筒状の胴部は、排水ホッパーの点検や内部の清掃、施工時の作業性を考慮して排水管ホルダー部と後述される排水管継手部との間に着脱自在に装着されることが好ましい。
【0024】
次に円筒状の胴部の下部には、温水器外部の下流側排水管と接続される受口又は差口を有する排水管継手部が配置される。この排水管継手部は、温水器から鉛直方向に自然落下する排水を排水管継手部内のインバート部で受け止め、該インバート部で受け止めた排水を、通常は水平方向に横引きされている温水器外部の下流側排水管へ方向変換して排出するために機能する。したがって、排水管継手部は、排水の流れを鉛直方向から水平方向へ変換するエルボ形状を有していることが好ましい。
【0025】
また、排水管継手部は、温水器から鉛直方向に自然落下する膨張水や水抜き水の跳ね返りを防止して、排水管継手部の上部に配置されている網目部材を用いた胴部開口部から液滴が飛散しないようにすることが重要である。このため、排水管継手部のインバート部は、排水の落下地点において殆んど水平面を有さないような複合球面形状から構成されていることが好ましい。
【0026】
さらに、排水管継手部の底部に泥輪と呼ばれる円形のパイプを一体的に接続しておくと、排水ホッパーは該パイプの切断のみにより接地面との高さ調整が可能となるため、施工時の作業性および施工後の排水ホッパーの据付安定性が向上する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、温水器から延びた複数の排水管を接続し固定することができる受口を備えた排水管ホルダー部を設置しているため、排出される膨張水や水抜き水の勢いが強い時であっても、これらの排水が排水ホッパーの受口に入らずに周囲へ飛散したり、あるいは排水管にフレキシブルホースが用いられている場合、排水ホースが暴れて排水の受口から離脱してしまうことがない。
【0028】
また、本発明によれば、排水管ホルダー部と排水管継手部との間に側壁に網目部材を用いた開口部を有する円筒状の胴部を配置したため、自然落下により胴部の中を通過する膨張水や水抜き水が外部へ飛散することが殆んどなくなり、それでいて、下流側排水管から排水の逆流が生じた場合、側壁に設けられた開口部を通じて逆流水がオーバーフローされるため、下流側排水管から排水が温水器および温水器の排水管内へ逆流することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る温水器用排水ホッパーについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【実施例】
【0030】
図1は、本発明の一実施例を示す温水器用排水ホッパー1の模式的接続図であり、温水器用排水ホッパー1は、温水器2から排出される膨張水や水抜き水を温水器外部の下流側排水管3へ排水するように接続される。
【0031】
具体的には、図1に示されるように本発明による温水器用排水ホッパー1は、温水器2の下部に据え付けられ、温水器2から延びた3本の排水ホース20が排水ホッパー上部に設置された排水管ホルダー部4の3つの受口40へそれぞれ個別に接続される。また、排水ホッパー1の排水管継手部6はエルボ形状をしており、その排出側受口60は温水器外部の下流側排水管3へ接続される。
【0032】
これにより、温水器2の湯水の沸し上げを行う際、内部の圧力上昇により発生する膨張水や貯湯タンクの点検する際に生じる水抜き水が、機器本体の下部に設けられた排水管を介し排水ホース20へ排出される。排水ホース20へ排出された排水は、排水管ホルダー部4の3つの受口40を介して排水ホッパー1内へ集水され、自然落下により円筒状の胴部5の中を通過して排水管継手部6内のインバート部60へ落下する。そして、落下した排水はインバート部60で約90°方向変換され、排水管継手6の排出側受口60に接続された下流側排水管3へ排出される。
【0033】
図2,3には、図1に示される本発明による排水ホッパー1を拡大した図が示されており、図2は排水ホッパー1の平面図であり、図3は縦断面図である。また、図4には、他の実施形態に係る排水ホッパー1であって、図3に示される実施例とは異なるインバート形状を有する排水管継手部の縦断面図が示されている。
【0034】
図3を参照して理解されるように、本発明による排水ホッパー1は、排水管ホルダー部4と円筒状の胴部5と排水管継手6との3つの主要な部品から構成されており、排水管ホルダー部4と排水管継手6との間に配置される胴部5の側壁には、網目部材50で覆われた高さd=50mmの開口部51が設けられている。開口部51の高さをd=50mmとしたのは、排水経路における縁切り機能の確実性や空気調和衛生工学会の規格における温水器等の排水管の管径が25mm以下の場合の最小高さ(50mm)を考慮したからである。したがって、この高さは、温水器排水管の管径が25mm以下の場合は最小50mm、温水器排水管の管径が30〜50mmの場合は最小100mm、温水器排水管の管径が65mm以上の場合は最小150mmのように温水器等の排水管の管径により適宜設定され、50mmに限定されるものではない。
【0035】
図2より、本発明の排水ホッパー1の排水管ホルダー部4は、その上部に温水器2から延びた3本の排水管を接続することができる受口40を備えているため、従来のように排水管排出口から排水ホッパーの受口までの間で外部に露出される排水の流れがなくなる。また、排水管ホルダー部4の受口40は、受口内面の摩擦力または接着剤の使用により温水器2から延びた排水ホース20を固定することができるため、排出される膨張水や水抜き水の勢いが強い時でも、これらの排水が排水ホッパー1の受口40に入らずに周囲へ飛散したり、あるいは排水ホース20が暴れて受口40から離脱してしまうことがない。
【0036】
排水管ホルダー部4に適用される受口40の形状は、差し込まれる排水管や排水ホースを摩擦または接着剤により確実に固定できる口径及び深さがあればよく、特に限定されることなく通常の受口形状を採用することができる。また、受口の個数も本実施例のように60°間隔で3個配置されている必要はなく、排水管ホルダー部4の上部に配置スペースがある限りはその個数および配置も自由に設計することができ、通常は温水器1台に対して2〜4個の受口があれば足りる。また、それぞれの受口は形状が異なるものを配置してもよい。
【0037】
さらに、図3を参照して理解されるように、排水管ホルダー部4の受口40の内部には、接続される排水ホース20の指し込み過ぎを防止するための段差部からなるストッパー手段41が設けられる。ストッパー手段40は、排水ホース20の先端部分と当接することにより所定の位置より更に深く挿入されるのを防止し、狭小スペースにおける排水管の接続性および作業性を容易化する。また、同じような目的で、段差部の代わりに受口40の同じ位置に内部を横断する網目状の仕切り(図示せず)を設けてもよい。
【0038】
排水管ホルダー部4の下部には、側壁が網目部材50で覆われた開口部51を有する円筒状の胴部5が配置される。排水管ホルダー部4により、受口40を介して集水された膨張水や水抜き水は自然落下により円筒状の胴部5の中を通過するが、網目部材50が抵抗となるため、排水が網目部材50を通過して外部へ飛散することは殆んどない。また、従来の排水ホッパーでは排水流路内に網目部材等からなる目皿を設けて害虫や枯葉等のゴミの侵入を防止していたが、本発明では網目部材50を用いた開口部51を排水流路内ではなく排水流路の外側に配置したため、従来のように開口部から枯葉等が侵入して目詰まりを起こすことなく害虫や枯葉等のゴミの侵入を確実に防止することができる。
【0039】
また、円筒状の胴部5は、下流側排水管3で詰まりや排水の逆流が生じた場合、その側壁に設けられた開口部51を通じて逆流水をオーバーフローさせるため、下流側排水管3から排水が温水器2および温水器の排水ホース20内へ逆流するのを確実に防止する。
【0040】
換言すれば、本発明の排水ホッパー1において網目部材50で覆われた開口部51を有する胴部5は、温水器2の排水ホース20と排水ホッパー下流側に接続された排水管3との間で実質的に縁を切るために機能する。このため、胴部5の側壁に形成される開口部51は、図3に示されるように必ずしも網目部材50から形成されている必要はなく、図4a,bに示されるように単なる開口やスリットを有する薄板部材、若しくは図5a、bに示されるような丸穴又は角穴の集合体を有する薄板部材から形成されていてもよい。また、樹脂からなる胴部5側壁自体にスリット、丸穴又は角穴の集合体からなる開口部51を設けてもよい。ただし、胴部5の中を流れる排水の飛散や害虫、枯葉等のゴミの侵入を強力に防止するためには、開口部51を網目部材50で形成するか又は網目部材50で覆うことが最も効果的である。
【0041】
これは、網目部材50が部材に対して略平行または鋭角に衝突してくる排水および液滴に対して実質上の障壁となって跳ね返し効果を生じるからであり、一方、逆流水のようにレベルの上昇と共に網目部材50に対して略直交するように流れる排水に対しては、何らの抵抗にはならずスムーズな逆流水の排出を許容するからである。
【0042】
なお、円筒状の胴部5は、排水経路における縁切り機能の確実性や温水器メーカーの施工基準などを考慮して、その開口部高さdを少なくとも50mm以上に設定することが好ましく、本実施例においては50mmの高さに設定している。
【0043】
また、円筒状の胴部5は図示されるように、排水ホッパー1の点検や内部の清掃、施工時の作業性を考慮して排水管ホルダー部4と後述される排水管継手部6との間に着脱可能に装着される。
【0044】
さらに、円筒状の胴部5の下部には、温水器外部の下流側排水管3と接続される受口60を有する排水管継手部6が配置される。この排水管継手部6は、温水器2から鉛直方向に自然落下する排水を排水管継手部6内のインバート部61で受け止め、該インバート部61で受け止めた排水を、通常は水平方向に横引きされている温水器外部の下流側排水管3へ方向変換して排出するために機能する。このため排水管継手部6は、通常、本実施例のように排水の流れを鉛直方向から水平方向へ変換するエルボ形状を有している。
【0045】
また、排水管継手部6は、温水器2から鉛直方向に自然落下する膨張水や水抜き水の跳ね返りを防止して、排水管継手部6の上部に配置されている網目部材50で覆われた胴部開口部51から液滴が飛散しないように設計することが重要である。このため、本実施例においては、排水管継手部のインバート部61は、排水の落下地点において殆んど水平面を有さない複合球面形状から構成されており(図3参照)、図6に示されるような他のタイプの異なるインバート形状を有する排水管継手部を適用することもできる。
【0046】
さらに、排水管継手部6の底部には泥輪62と呼ばれる円形のパイプが一体的に接続されており、これにより、本発明の排水ホッパー1は該パイプの切断のみにより接地面との高さ調整をすることができるため、施工時の作業性および施工後の排水ホッパー1の据付安定性が向上している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による一実施例に係る温水器用排水ホッパーの模式的接続図である。
【図2】図1に示す本発明による温水器用排水ホッパーの平面図である。
【図3】図1に示される本発明による温水器用排水ホッパーの縦断面図である。
【図4】開口部に適用される開口又はスリットを有する薄板部材の展開図である。
【図5】開口部に適用される丸穴又は角穴の集合体を有する薄板部材の展開図である。
【図6】本発明による他の実施例に係る温水器用排水ホッパーの排水管継手部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 温水器用排水ホッパー
2 温水器
3 下流側排水管
4 排水管ホルダー部
5 胴部
6 排水管継手
20 排水ホース
40 受口
41 ストッパー手段
50 網目部材
51 開口部
60 受口
61 インバート部
62 泥輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水器の排水管と接続される複数の受口を有する排水管ホルダー部と、
温水器外部の下流側排水管と接続される受口又は差口を有する排水管継手部と、そして
逆流水をオーバーフローさせるため、側壁に網目部材を用いた開口部を有し、かつ前記排水管ホルダー部と排水管継手部との間に着脱自在に装着される円筒状の胴部と、からなる温水器用排水ホッパー。
【請求項2】
前記胴部の開口部高さは、少なくとも50mm以上である請求項1に記載の温水器用排水ホッパー。
【請求項3】
前記排水管ホルダー部の受口は、その内部に排水管ストッパー手段を備えている請求項1又は2に記載の温水器用排水ホッパー。
【請求項4】
前記排水管継手部はエルボ形状である、請求項1ないし3のいずれかに記載の温水器用排水ホッパー。
【請求項5】
前記排水管継手部は、排水の跳ね返りを防止するために複合球面形状からなるインバート部を有する請求項4に記載の温水器用排水ホッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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