説明

湿式クラッチ摩擦板及び多板摩擦クラッチ装置

【課題】滑り状態におけるクラッチ締結、トルク伝達過程において、少ない潤滑油流量にて有効的に冷却することにより、クラッチの寿命を長くし、またクラッチの使用環境を拡大し、また少ない潤滑油の流量で冷却できるため、潤滑用ポンプを小さくすること。
【解決手段】ドライブプレート2の一方の摩擦面2aに、内周側から外周側へと回転方向に対して対抗する傾きを持ち、潤滑油を内周側から外周側へ放出する放出溝11aが形成してある。また、他方の摩擦面2bには、放出溝11aと互いに向き合って外周側から内周側へと潤滑油を取り込むための流入溝11bが形成してある。これら放出溝11aと流入溝11bとは、冷却手段を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り状態におけるクラッチ締結、トルク伝達過程において、少ない潤滑油流量にて有効的に冷却することにより、クラッチの寿命を長くし、またクラッチの使用環境を拡大する湿式クラッチ摩擦板及び多板摩擦クラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発進クラッチやデュアルクラッチトランスミッション(DCT)に使われる多板摩擦クラッチ装置では、ドリブンプレート(SP)とドライブプレート(FP)が交互に数枚重なり合い、ピストンの押圧力により作用と非作用とすることにより、締結又は解放されるように構成されている。
【0003】
また、特許文献1に於いては、摩擦板の回転時、摩擦板の内周側から外周側へオイルを排出する排出角を持つ複数条のオイル溝と、摩擦板の外周側から内周側へオイルを引き込む流入角を持つ複数のオイル溝とを略等間隔置きに混在させてある。
【0004】
すなわち、特許文献1では、ドラムの内部に配置されている摩擦材に溝を施すことにより、溝による潤滑油の放出と取り込みの効果を求めている。
【特許文献1】特開2004−76896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示した多板摩擦クラッチ装置に於いては、溝による潤滑油の放出と取り込みを目的とすると見られるが、放出と取り込みの溝が片面で存在し、互いの効力を示す溝同士が近郊に存在するため、潤滑油が片面で滞留することとなり、冷却するために良好な潤滑効果が発揮できない。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、滑り状態におけるクラッチ締結、トルク伝達過程において、少ない潤滑油流量にて有効的に冷却することにより、クラッチの寿命を長くし、またクラッチの使用環境を拡大し、また少ない潤滑油の流量で冷却できるため、潤滑用ポンプを小さくする事が出来る、湿式クラッチ摩擦板及び多板摩擦クラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る湿式クラッチ摩擦板は、駆動側に接続される芯金プレートと、その両面に固着した摩擦材層とからなり、一方の摩擦材層に形成され、内周側から外周側へと回転方向に対して対抗する傾きを持ち、潤滑油を内周側から外周側へ放出する放出溝と、他方の面に形成され、前記放出溝と互いに向き合っている外周側から内周側へと潤滑油を取り込むための流入溝と、
を有する冷却手段を、具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る湿式クラッチ摩擦板は、内周側から外周側へと傾きを有する前記放出溝に対して、内周側に潤滑油を取り込むための前記流入溝は、広い溝幅を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る湿式クラッチ摩擦板は、外周側から内周側へと傾きを有して潤滑油を取り込むための前記流入溝は、外周側が広く内周側が狭い溝幅を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る湿式クラッチ摩擦板は、潤滑油を外周側に放出する前記放出溝と、内周側に取り込むための前記流入溝とは、前面側又は背面側から見て互いにクロスしていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係る湿式クラッチ摩擦板は、前記流入溝は、前記放出溝より広い溝幅を有すると共に、前記双方の放出溝と流入溝は、前面側又は背面側から見て互いにクロスしてあり、又は、
前記流入溝は、外周側が広く内周側が狭い溝幅を有すると共に、前記双方の放出溝と流入溝は、前面側又は背面側から見て互いにクロスしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に係る湿式クラッチ摩擦板は、外周側から内周側に傾きを有して潤滑油を取り込むための前記流入溝は、潤滑油を外周側に放出する前記放出溝より、深く形成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7に係る多板摩擦クラッチ装置は、
入力側もしくは出力側何れか一方に接続されるクラッチドラムと、
該クラッチドラムと径方向に対向し間に環状室を形成し入力側もしくは出力側何れか他方に接続されるクラッチハブと、
前記環状室内に交互に配置され、クラッチドラムとクラッチハブのうち出力側にスプライン接続するドリブンプレートとクラッチドラムとクラッチハブのうち入力側にスプライン接続するドライブプレートとから成り、ピストンの作用により締結又は解放される多板摩擦クラッチ装置に於いて、
前記クラッチドラムの排出孔の直径は、ドリブンプレートの厚さとドライブプレートの厚さとの和以下であり、
前記排出孔の軸方向の数は、ドライブプレートの枚数の半分以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項8に係る多板摩擦クラッチ装置は、前記排出孔の位置は、スプライン大径に位置することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項9に係る多板摩擦クラッチ装置は、前記排出孔の位置は、スプライン小径に位置することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項10に係る多板摩擦クラッチ装置は、前記排出孔の位置は、摩擦クラッチの締結時のドライブプレートの位置と同位置であり、1枚以上の間隔を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項11に係る多板摩擦クラッチ装置は、
入力側もしくは出力側何れか一方に接続されるクラッチドラムと、
該クラッチドラムと径方向に対向し間に環状室を形成し入力側もしくは出力側何れか他方に接続されるクラッチハブと、
前記環状室内に交互に配置され、クラッチドラムとクラッチハブのうち出力側にスプライン接続する複数のドリブンプレートとクラッチドラムとクラッチハブのうち入力側にスプライン接続する複数のドライブプレートとから成り、ピストンの作用により締結又は解放される多板摩擦クラッチ装置に於いて、
前記ドライブプレートはそれぞれ芯金プレートと、その両面に固着した摩擦材層とからなり、一方の摩擦材層に形成され、内周側から外周側へと回転方向に対して対抗する傾きを持ち、潤滑油を内周側から外周側へ放出する放出溝と、他方の面に形成され、前記放出溝と互いに向き合っている外周側から内周側へと潤滑油を取り込むための流入溝と、を有する冷却手段を、具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力側のクラッチ摩擦板は芯金プレートの両面に摩擦材層を固着し、一方の面の摩擦材層に、内周側から外周側へと回転方向に対して対抗する傾きを持った溝であり、潤滑油を内周側から外周側へ放出する放出溝と、他方の面の摩擦材層には、放出溝と互いに向き合っている外周側から内周側へと潤滑油を取り込むための流入溝と、を有する冷却手段を、具備している。
【0019】
すなわち、潤滑油の放出と取り込みの互いの放出溝と流入溝をハの字形、即ち径方向内向きに拡がるように向かい合わせ、潤滑油の放出と取り込みを表面と裏面の各片面で行う事を特徴としており、潤滑効果を発揮することの出来る溝である。又、放出溝とドラムの排出孔を組み合わせることにより、より効果を高めるものである。
【0020】
したがって、本発明では、入力側のクラッチ摩擦板の表裏両面で潤滑油の放出と取り込みをそれぞれ行う為、冷却に最良の放出溝と流入溝を提供し、ドラムの排出孔を組み合わせることにより、より効果を高めることが出来るものである。又、そのことにより潤滑油を供給するポンプ容量を小さくすることが出来る事により、燃費向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る湿式クラッチ摩擦板及び多板摩擦クラッチ装置を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る多板摩擦クラッチ装置を備えた発進クラッチユニットの模式的断面図であり、エンジンと変速機との間に接続される。
【0023】
多板摩擦クラッチ装置では、変速機側に接続されたクラッチドラム5とエンジン側に接続されたクラッチハブ7との間に形成された環状室内にドリブンプレート1(SP)とドライブプレート2(FP)が交互に数枚重なり合って配置されている。ドリブンプレート1は、外周側にスプラインを有する金属製のプレートでありクラッチドラム5の内周スプラインと軸方向に摺動可能に係合しており、ドライブプレート2は、内周側にスプラインを有する金属板で、クラッチハブ7の外周スプラインに軸方向に摺動可能に係合している。ドライブプレート2(FP)は芯金プレートを形成し、その両面にフェーシング材もしくはライニングである摩擦材2a,2bを貼り付けて摩擦板を構成している。ドリブンプレート1(SP)とドライブプレート2(FP)とは、クラッチドラム5とピストン4との間に形成された圧力室に油圧が供給されピストン4が移動してその押圧力により軸方向に摺動しリテーナプレート8に押し付けられてクラッチが締結し、逆に油圧が圧力室から解放されるとピストン4の押圧は解除されクラッチは解放されるように構成されている。
【0024】
図2(a)乃至(f)は、それぞれ、本発明の実施の形態に係る多板摩擦クラッチ装置に装着するドライブプレートの部分切欠き模式図である。
【0025】
図3(a)は、本発明の実施の形態に係る多板摩擦クラッチ装置の部分断面図であり、(b)は、(a)の要部の拡大断面図である。
【0026】
本実施の形態では、図2(a)に示すように、ドライブプレート2の片面に固着された摩擦材層2aには、内周側から外周側へと回転方向に対して対抗する傾きを持った溝であって、潤滑油を内周側から外周側へ放出する放出溝11aが形成してある。また、ドライブプレート2の裏面に固着された摩擦材層2bには、放出溝11aと互いに向き合っている外周側から内周側へと潤滑油を取り込むための流入溝11bが形成してある。これら放出溝11aと流入溝11bとは、冷却手段を構成している。
【0027】
すなわち、潤滑油の放出と取り込みの互いの放出溝11aと流入溝11bをハの字形、即ち径方向内向きに拡大するように向かい合わせ、潤滑油の放出と取り込みを表面と裏面の各片面で行う事を特徴としており、潤滑効果を発揮することの出来る溝である。又、放出溝11aとクラッチドラム5の排出孔10を組み合わせることにより、より効果を高めるものである。
【0028】
したがって、本実施の形態では、ドライブプレート2の表裏両面でそれぞれ潤滑油の放出と取り込みを行う為、冷却に最良の放出溝11aと流入溝11bを提供し、クラッチドラム5の排出孔10を組み合わせることにより、より効果を高めることが出来るものである。又、そのことにより潤滑油を供給するポンプ容量を小さくすることが出来る事により、燃費向上を図ることが出来る。
【0029】
別言すれば、滑り状態におけるクラッチ締結、トルク伝達過程において、少ない潤滑油流量にて有効的に冷却することにより、クラッチの寿命を長くし、またクラッチの使用環境を拡大し、また少ない潤滑油の流量で冷却できるため、潤滑用ポンプを小さくする事が出来る。
【0030】
また、図2(b)に示すように、内周側から外周側へと傾きを有する放出溝11aに対して、内周側に潤滑油を取り込むための流入溝11bは、広い溝幅を有していてもよい。
【0031】
さらに、図2(c)に示すように、外周側から内周側へと傾きを有して潤滑油を取り込むための流入溝11bは、外周側が広く内周側が狭い溝幅を有していてもよい。
【0032】
さらに、図2(d)に示すように、潤滑油を外周側に放出する放出溝11aと、内周側に取り込むための流入溝11bとは、ドライブプレートの前面側又は背面側から見て互いにクロスしていてもよい。
【0033】
さらに、図2(e)に示すように、流入溝11bは、放出溝11aより広い溝幅を有すると共に、双方の放出溝11aと流入溝11bは、ドライブプレートの前面側又は背面側から見て互いにクロスしてあってもよい。
【0034】
さらに、図2(f)に示すように、流入溝11bは、外周側が広く内周側が狭い溝幅を有すると共に、双方の放出溝11aと流入溝11bは、ドライブプレートの前面側又は背面側から見て互いにクロスしてあってもよい。
【0035】
さらに、外周側から内周側に傾きを有して潤滑油を取り込むための流入溝11bは、潤滑油を外周側に放出する放出溝11aより、深く形成してあってもよい。
【0036】
また、図3(b)に矢印で示すように、クラッチドラム5に於いて、排出孔10を設けていない箇所では、放出溝11aに沿って内周側から外周側に流れる潤滑油は、滞留する一方、排出孔10が設けてある箇所では、放出溝11aに沿って内周側から外周側に流れる潤滑油は、排出孔10を介して外部に放出される。また、潤滑油は、流入溝11bに沿って、外周側から内周側に取り込まれる。
【0037】
さらに、図3(b)に示すように、好適には、クラッチドラム5の排出孔10の直径は、ドリブンプレート1の厚さとドライブプレート2の厚さとの和以下であり、排出孔10の軸方向の数は、ドライブプレート2の枚数の半分以下である。
【0038】
さらに、好適には、排出孔10の位置は、摩擦クラッチの締結時のドライブプレート2の位置と同位置であり、1枚以上の間隔を有している。
【0039】
図4(a)乃至(f)は、それぞれ、本発明の実施の形態の変形例に係る多板摩擦クラッチ装置に装着するドライブプレートの部分切欠き模式図である。
【0040】
図4(a)に於いては、放出溝11aと流入溝11bは、それぞれ、弓状(円弧状)に形成してあり、流入溝11bは、放出溝11aより広い溝幅を有する。
【0041】
図4(b)に於いては、放出溝11aと流入溝11bは、それぞれ、弓状(円弧状)に形成してあり、流入溝11bは、外周側が広く内周側が狭い溝幅を有する。
【0042】
図4(c)のように、放出溝11aの個数は、流入溝11bより多くなるように設けてあっても良い。
【0043】
図4(d)のように、流入溝11bは、外周側が広くなるように、R形状に設けてあってもよい。なお、図5は、図4(d)に示したドライブプレートの拡大部分切欠き模式図である。
【0044】
図4(e)、図4(f)のように、放出溝11a、流入溝11b以外に、他の溝を組み合わせて成形してあってもよい。
【0045】
また、図6(a)(b)は、それぞれ、クラッチドラム(ハウジング)の変形例に係る部分断面図である。
【0046】
図6(a)の例では、クラッチドラム5の排出孔10がスプライン大径側にあることにより、外側に放出された潤滑油を積極的に排出孔10から排出する事を目的とする。
【0047】
図6(b)の例では、クラッチドラム5の排出孔10がスプラインの小径側にあることにより、外側に放出された潤滑油を塞き止め、大径スプラインに溜まった潤滑油が小径スプライン部にオーバーする時、小径スプライン部にある排出孔10から潤滑油を排出する消極的排出方法を目的とする。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る多板摩擦クラッチ装置を備えた発進クラッチユニットの模式的断面図である。
【図2】(a)乃至(f)は、それぞれ、本発明の実施の形態に係る多板摩擦クラッチ装置に装着するドライブプレートの部分切欠き模式図である。
【図3】(a)は、本発明の実施の形態に係る多板摩擦クラッチ装置の部分断面図であり、(b)は、(a)の要部の拡大断面図である。
【図4】(a)乃至(f)は、それぞれ、本発明の実施の形態の変形例に係る多板摩擦クラッチ装置に装着するドライブプレートの部分切欠き模式図である。
【図5】図4(d)に示したドライブプレートの拡大・部分切欠き模式図である。
【図6】(a)(b)は、それぞれ、クラッチドラム(ハウジング)の変形例に係る部分断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ドリブンプレート
2 ドライブプレート
2a,2b 摩擦材
4 ピストン
5 クラッチドラム(ハウジング)
6 リテーナプレート
7 ハブ
10 排出孔
11a 放出溝
11b 流入溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側に接続される芯金プレートと、その両面に固着した摩擦材層とからなり、一方の摩擦材層に形成され、内周側から外周側へと回転方向に対して対抗する傾きを持ち、潤滑油を内周側から外周側へ放出する放出溝と、他方の面に形成され、前記放出溝と互いに向き合っている外周側から内周側へと潤滑油を取り込むための流入溝と、
を有する冷却手段を、具備することを特徴とする湿式クラッチ摩擦板。
【請求項2】
内周側から外周側へと傾きを有する前記放出溝に対して、内周側に潤滑油を取り込むための前記流入溝は、広い溝幅を有していることを特徴とする請求項1に記載の湿式クラッチ摩擦板。
【請求項3】
外周側から内周側へと傾きを有して潤滑油を取り込むための前記流入溝は、外周側が広く内周側か狭い溝幅を有していることを特徴とする請求項1に記載の湿式クラッチ摩擦板。
【請求項4】
潤滑油を外周側に放出する前記放出溝と、内周側に取り込むための前記流入溝とは、前面側又は背面側から見て互いにクロスしていることを特徴とする請求項1に記載の湿式クラッチ摩擦板。
【請求項5】
前記流入溝は、前記放出溝より広い溝幅を有すると共に、前記双方の放出溝と流入溝は、前面側又は背面側から見て互いにクロスしてあり、又は、
前記流入溝は、外周側が広く内周側か狭い溝幅を有すると共に、前記双方の放出溝と流入溝は、前面側又は背面側から見て互いにクロスしてあることを特徴とする請求項1に記載の湿式クラッチ摩擦板。
【請求項6】
外周側から内周側に傾きを有して潤滑油を取り込むための前記流入溝は、潤滑油を外周側に放出する前記放出溝より、深く形成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の湿式クラッチ摩擦板。
【請求項7】
入力側もしくは出力側何れか一方に接続されるクラッチドラムと、
該クラッチドラムと径方向に対向し間に環状室を形成し入力側もしくは出力側何れか他方に接続されるクラッチハブと、
前記環状室内に交互に配置され、クラッチドラムとクラッチハブのうち出力側にスプライン接続するドリブンプレートとクラッチドラムとクラッチハブのうち入力側にスプライン接続するドライブプレートとから成り、ピストンの作用により締結又は解放される多板摩擦クラッチ装置に於いて、
前記クラッチドラムの排出孔の直径は、ドリブンプレートの厚さとドライブプレートの厚さとの和以下であり、
前記排出孔の軸方向の数は、ドライブプレートの枚数の半分以下であることを特徴とする多板摩擦クラッチ装置。
【請求項8】
前記排出孔の位置は、スプライン大径に位置することを特徴とする請求項7に記載の多板摩擦クラッチ装置。
【請求項9】
前記排出孔の位置は、スプライン小径に位置することを特徴とする請求項7に記載の多板摩擦クラッチ装置。
【請求項10】
前記排出孔の位置は、摩擦クラッチの締結時のドライブプレートの位置と同位置であり、1枚以上の間隔を有することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の多板摩擦クラッチ装置。
【請求項11】
入力側もしくは出力側何れか一方に接続されるクラッチドラムと、
該クラッチドラムと径方向に対向し間に環状室を形成し入力側もしくは出力側何れか他方に接続されるクラッチハブと、
前記環状室内に交互に配置され、クラッチドラムとクラッチハブのうち出力側にスプライン接続する複数のドリブンプレートとクラッチドラムとクラッチハブのうち入力側にスプライン接続する複数のドライブプレートとから成り、ピストンの作用により締結又は解放される多板摩擦クラッチ装置に於いて、
前記ドライブプレートはそれぞれ芯金プレートと、その両面に固着した摩擦材層とからなり、一方の摩擦材層に形成され、内周側から外周側へと回転方向に対して対抗する傾きを持ち、潤滑油を内周側から外周側へ放出する放出溝と、他方の面に形成され、前記放出溝と互いに向き合っている外周側から内周側へと潤滑油を取り込むための流入溝と、を有する冷却手段を、具備することを特徴とする湿式多板摩擦クラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−40525(P2007−40525A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166538(P2006−166538)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000102784)NSKワーナー株式会社 (149)
【Fターム(参考)】