説明

滴下中栓

【課題】簡単な構造で液体のボタ落ち防止と、中栓への裏漏れ防止を図る滴下中栓を提供する。
【解決手段】小孔4を備えたことによりボトル1倒立直後の滴下中栓2からの液体滴下を防止し、液体吐出口8が噴水状形状6を成し、その液体吐出口8の最大径端面をエッジ形状とするとともに、液体が回り込まないようエッジ部7端面から懐部9を形成していることから液切れが良く、且つ、液体吐出口8のエッジ部7と滴下中栓2の中栓側面3との距離を取ることにより、液体が中栓側面3接触し、流れ落ちる裏漏れを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動可能な医薬品や化粧品、食品その他の流動性材料を容器本体に収容し、容器本体を傾けて瞬時に液体が滴下するボタ落ちを防止するとともに、容器の胴体を指で軽く押しながら流動性材料を一滴ずつ排出させることを可能とし、且つ、液体排出後容器本体を正立状態に戻す時、最後の液が中栓の外側に流れ出し、中栓の側面に液体が付着する液ダレ現象を防止した中栓の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の医薬品や化粧品、食品その他の流動性材料を有する容器は、流動を制限する中栓と、保管収納を目的としたキャップから構成されている。
【0003】
通常、容器内の液体を排出するためにキャップを外し、容器を傾け中栓を介して必要量の液体を排出後、容器を成立方向に戻すが、その時に中栓吐出口に付着している最後の滴が垂れて容器及び中栓、キャップを汚さないように、中栓の液体排出部分に液ダレ防止形状に工夫されている中栓付き容器類が市販されている。
【0004】
この種の容器は食品の調味料等に対応した容器に多く、通常は吐出口である口内径が大きく、連続排出で必要量を目感で使用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の、中栓の液体排出部分は液体を瞬時に排出させることもあり、液体吐出口の口径はある程度大きく取ってあるが、不用意な使用で衣服等に液体を付着させ汚すことも多々あった。
【0006】
また、中栓の液体排出部分に液ダレ防止形状を施した中栓でも、液体排出後容器を正立方向に戻す瞬間、中栓の吐出口部に残った最後の一滴が中栓の吐出口内に戻らず、中栓の外側に零れ出てしまうことから、中栓の側面に液体が流れ落ち、繰り返し使用している間に容器のネジ部まで汚してしまい、恰も液漏れを発生させているようで見苦しく感じる。
【0007】
更には、液体の原液等の少量な計量を必要とするならば、目盛り機能付きのカップ等が必要であった。
【0008】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な中栓先端形状を備えた中栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体を収容し押圧変形可能胴部を保有する容器本体と、前記容器本体の開口部に圧嵌されるガイド部と、中栓の上側が窄まった形状がガイド部と連結する中栓で、窄まった液吐出口形状部分は噴水状形を呈し、天面は外周側にカールした形状となっている。その中栓先端中心には、液体を容器本体から排出するための貫通する小孔が奥に設けられている。小孔は容器本体を傾けながら倒立させても容器本体内の液体が瞬間連続的に流れ出ないほどの小内径で、その状態で容器本体胴部を軽く加圧することにより一滴ずつの滴下が可能である。また、容器本体胴部を強く加圧することにより連続的に噴流状態を醸し出すことも可能である。
【0010】
容器本体を倒立させることにより、小孔を通して容器本体に収容された液体は排出され、必要量を排出した後容器本体を元に戻そうとする時、カールさせた噴水状形状の位置にある最後の液体は中栓の小孔に戻る場合と、カールさせた噴水状形状の外側へ垂れ落ちていく場合がある。カールさせた噴水状形状の終端部形状は尖ったエッジとして構成してあるため、外側に垂れた液は中栓の側面を伝うことはないとともに、エッジの端面から抉るように懐形状としているためカールさせた噴水状形状の終端部形状のエッジには液が滴として留まれないことを意味し、その終端部にて液は噴水状の懐にも潜り込めなく、液体は確実に最後の一滴として噴水状形状の終端部形状のエッジ先端から切れ落ちる。
【0011】
また、カールさせた噴水状形状終端部に残る最後の液が、滴下寸前に中栓の側面に接触しない空間を保持することにより、液はカールさせた噴水状形状終端部エッジ部分から切り離され、中栓に接触することなく滴下する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図6はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の滴下中栓2は、内容物である液体を収容するボトル1のフランジ部に嵌合されている。滴下中栓2の液体吐出口8は、ボトル1を傾けながら倒立の状態にした時、液体が連続して吐出しないような小孔4を滴下中栓2の吐出口孔奥に有し、液体吐出側に続く嵌合孔5は液体を止栓するためのキャップ11の嵌合ボス12が圧入される止栓部分であり、液体吐出口8は嵌合孔5から連なる天面カール状の噴水状形状6を成している。噴水状形状6の最外径の端面は、液体の切れを良くするためエッジ部7を構成しており、且つ、最後の液体が中栓側面3に伝っていかないように液切れを実行する懐部9を構成している。
【0013】
ボトル1に滴下中栓2を嵌合せしめ、滴下中栓2の嵌合孔5にキャップ11の嵌合ボス12が圧入された密栓保管状態を図5で示している。
【0014】
滴下中栓2の液体吐出奥孔の小孔4を小さくすることで、滴下中栓2を嵌合させたボトル1を傾けた時にボトル1に収容されている液体は直ぐには吐出されず、狙う所にボトル1の胴部を軽く押すことにより小孔4から嵌合孔5を通して液体吐出口8から液体が吐出される。傾けることにより直ぐに液体が吐出しないことで、液体で衣服を汚す事故も防止できるという利点もある。
【0015】
滴下中栓2を嵌合させたボトル1を図4のように倒立状態とし、ボトル1の胴部を軽く押すことによりボトル1内に収容された液体は一滴ずつ吐出させることが可能で、この一滴は滴下中栓2の噴水状形状6の最外径寸法で決まり、ほぼ一定量の液体を吐出できる。よって一滴の滴下量を知っておけば、うがい薬等のような原液を希釈して使用する薬液に対して計量カップを使用しないで滴下数により計量が可能となる。また、用途に応じてボトル1の胴部を強く押すことにより液体の連続噴流も可能である。
【0016】
液体を収容し滴下中栓2を嵌合させたボトル1を傾けていくと、ボトル1内の液体が滴下中栓2の中央に設けられた小孔4、嵌合孔5を通して液体吐出口8より噴水状形状6を伝って噴水状形状6最外径のエッジ部7端部から切れ落ちるように液体が吐出される。エッジ部7の終端位置から抉るように懐部9を形成し、より液体の切れ性能を向上させる構成としている。
【0017】
吐出される液体は滴下寸前にはエッジ部7部分ではある程度の大きさの滴10となっており、裏漏れ防止にはその滴10が滴下中栓2の中栓側面3に接触しないことが必要であり、エッジ部7とその近傍相当位置での中栓側面3の径差寸法は大きく取っておくことが必要である。また、液体吐出口8でほぼ決る滴10を滴下中栓2から速やかに切り離すためにもエッジ部7および懐部9の存在は重要な要素となる。
【0018】
ボトル1から滴下中栓2を通じて液体を吐出し、吐出後ボトル1を元の正立位置に戻す際、液体吐出口8に残った液体は外へ滴10の一滴として吐出するか、一滴未満として噴水状形状6の面を逆流して嵌合孔5、小孔4を介してボトル1内に戻るが、中栓に液体の切れを良くするエッジ部7がない場合や、液体吐出口8の最外径位置のエッジ部7との中栓側面3の外径寸法差がない場合、外に零れ落ちる滴10が中栓側面3に接触し、中栓側面3を伝い落ちてボトル1のネジ部まで液体が垂れていくこととなる。そこに保管密栓のためキャップ11を締めてもキャップ11のネジ部も汚れ、液漏れを生じた状態のように見え見苦しくなる。
【0019】
この実施形態の滴下中栓2は簡単な中栓構成で、小孔4を小さくすることによりボトル1の傾けで直ぐに生じる液体のボタ落ちがなく、ボタ落ちによる衣服等の汚れもなく、一滴ずつの定量滴下で計量器も不要となる。更に、液体吐出口8がカール状に外周に向かって開き、外周端面がエッジとなっているとともに、液体吐出口8径と中栓側面3径の寸法差を設けることにより、最後の切れ落ちた滴10が中栓側面3を汚さない裏漏れ防止を達成している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態の滴下中栓嵌合を示す一部縦断面図である。
【図2】この実施形態の滴下中栓の滴下瞬間を示す一部縦断面図である。
【図3】この実施形態の滴下中栓の滴下を示す一部縦断面図である。
【図4】この実施形態の滴下中栓の定量滴下を示す側面図である。
【図5】この実施形態の滴下中栓の組立て断面図である。
【図6】この実施形態の滴下中栓の斜視図である。
【符号の説明】
1 ボトル
2 滴下中栓
3 中栓側面
4 小孔
5 嵌合孔
6 噴水状形状
7 エッジ部
8 液体吐出口
9 懐部
10 滴
11 キャップ
12 嵌合ボス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容した容器本体と、前記容器本体の一端部に形成された容器開口部に圧嵌される中栓において、容器本体開口部に流量を制限する中栓を嵌合するが、その中栓の上部が窄まった形状を成し、その窄まった部分の液体を排出させる中栓天面の形状が、噴水状形状を成すことにより、排出を終え容器本体を正立の状態に戻す時に排出される液体が噴水状形状の終端部で断ち切られ、中栓の側面を液体が伝って流れることはないことを特徴とする滴下中栓。
【請求項2】
液体を排出する中栓天面の噴水状形状の終端部形状に、懐状に形成された円周空間を有することを特徴とする請求項1記載の滴下中栓。
【請求項3】
液体を排出する中栓天面の噴水状形状の終端部形状が、液体が切れやすくなるように端面周縁部が尖っていることを特徴とする請求項1又は2記載の滴下中栓。
【請求項4】
噴水状形状直径の張り出し量は、根元の直径より2mm以上の張り出し量であることを特徴とする請求項1又は2記載の滴下中栓。
【請求項5】
容器開口部に圧嵌される中栓の液体排出部貫通孔径が、φ0.2mmからφ0.7mmの範囲内の小径孔であることで、容器倒立の状態で直ちに液体が連続して滴下しないことを特徴とする請求項1又は2記載の滴下中栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−249036(P2009−249036A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117849(P2008−117849)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
【Fターム(参考)】