説明

点灯装置及びそれを用いた照明器具

【課題】負荷接続の有無を確実に検出可能とした点灯装置を提供する。
【解決手段】入力端子A−B間の直流電圧を電圧変換して出力端子C−D間に直流電圧を出力するDC−DC変換回路1と、前記出力端子C−D間に接続された直流通電要素(抵抗R3)と、前記出力端子C−Dから供給される直流電流により点灯する半導体発光素子4を接続される負荷端子3と、前記入力端子A−Bから前記負荷端子3と半導体発光素子4を介して直流電流を通電する経路を形成する負荷接続検出回路2と、前記負荷端子3と前記直流通電要素(抵抗R3)の間に接続されて、前記入力端子A−Bから前記直流通電要素(抵抗R3)を介して前記負荷接続検出回路2に直流電流を通電する経路を遮断する整流素子(ダイオードD3)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)等の直流で点灯する半導体発光素子を直流点灯制御するための点灯装置及びそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2008−278641号公報)に開示されているように、入力直流電源からスイッチング電源回路を介して半導体発光素子に直流電流を供給する点灯装置において、電源投入時に、半導体発光素子を介して入力直流電源から供給される直流電流により、スイッチング電源回路の制御電源回路に起動電流を与えて、スイッチング電源回路のスイッチング動作を開始させ、その後、スイッチング電源回路からの帰還電流により制御電源回路に給電することにより、半導体発光素子が接続されている場合にはスイッチング動作を開始し、半導体発光素子が接続されていない場合にはスイッチング動作を開始しないように制御する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−278641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスイッチング電源回路は、出力端に平滑コンデンサを備えている。光出力を安定化させるには、平滑コンデンサの容量は大きくした方が良い。その反面、消灯制御時や調光制御時には、この平滑コンデンサに電荷が残っている間は、半導体発光素子の光出力が低下せず、制御の応答性が悪いという印象をユーザーに与える恐れがある。そこで、平滑コンデンサと並列に残留電荷放電用の抵抗を並列接続することが考えられる。
【0005】
ところが、平滑コンデンサと並列に残留電荷放電用の抵抗を並列接続すると、半導体発光素子が接続されていなくても、残留電荷放電用の抵抗を介する直流電流によりスイッチング動作が開始する恐れがある。
【0006】
また、特許文献1の構成では、スイッチング電源回路の出力端の平滑コンデンサを大容量化した場合、電源投入時に平滑コンデンサを介して流れる充電電流によりスイッチング電源回路が起動してしまう恐れがある。この場合、半導体発光素子が接続されていなくても、スイッチング電源回路からの帰還電流によりスイッチング動作が継続してしまうという問題がある。さらに、特許文献1の構成では、スイッチング動作の開始後に半導体発光素子が外れた場合でも、スイッチング電源回路からの帰還電流によりスイッチング動作が継続してしまうという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題を解決しようとするものであり、負荷接続の有無を確実に検出可能とした点灯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1の点灯装置は、図1に示すように、入力端子A−B間の直流電圧を電圧変換して出力端子C−D間に直流電圧を出力するDC−DC変換回路1と、前記出力端子C−D間に接続された直流通電要素(抵抗R3)と、前記出力端子C−Dから供給される直流電流により点灯する半導体発光素子4を接続される負荷端子3と、前記入力端子A−Bから前記負荷端子3と半導体発光素子4を介して直流電流を通電する経路を形成する負荷接続検出回路2と、前記負荷端子3と前記直流通電要素(抵抗R3)の間に接続されて、前記入力端子A−Bから前記直流通電要素(抵抗R3)を介して前記負荷接続検出回路2に直流電流を通電する経路を遮断する整流素子(ダイオードD3)とを有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の点灯装置において、図3(a)に示すように、前記負荷接続検出回路2aは、前記半導体発光素子4を介する直流電流を検出したときに前記DC−DC変換回路1を起動する起動回路であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の点灯装置において、図3(a)に示すように、前記負荷接続検出回路2aは、前記半導体発光素子4を介する直流電流が検出されないときに前記DC−DC変換回路1を停止させる停止回路であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の点灯装置において、図3(b)に示すように、前記負荷接続検出回路2bは、前記半導体発光素子4を介する直流電流の有無に応じて前記DC−DC変換回路1への制御電源電圧Vccの供給の有無を切り替える回路であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の点灯装置において、図3(c)に示すように、前記負荷接続検出回路は、前記半導体発光素子4を介する直流電流を電源として前記DC−DC変換回路1に制御電源電圧Vccを供給する制御電源回路2cであることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5記載の点灯装置において、前記制御電源回路2cは、図3(d)に示すように、前記DC−DC変換回路1からの帰還電流(巻線n3の出力)を電源とし、前記DC−DC変換回路1の動作中に前記半導体発光素子4を介する直流電流が検出されなくなったときに前記帰還電流を遮断する手段(トランジスタTr3)を有することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の点灯装置において、図4、図5に示すように、前記入力端子A−B間の直流電圧は昇圧チョッパ回路7の出力電圧であり、前記負荷接続検出回路2は、前記半導体発光素子4を介する直流電流の有無に応じて前記昇圧チョッパ回路7の起動/停止を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の点灯装置を備えることを特徴とする照明器具である(図6)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、半導体発光素子を介して流れる直流電流の有無により負荷接続の有無を検出する点灯装置において、DC−DC変換回路の出力端子間に接続された直流通電要素を介して回り込む直流電流を阻止する整流素子を設けたことで、負荷接続の有無を確実に検出できる効果がある。これにより、DC−DC変換回路の出力端子間に大容量の平滑コンデンサやその放電抵抗が並列接続されている場合でも、これらの回路素子を介して負荷接続検出回路に直流電流が回り込むことは無いので、誤検出を防止できる。
【0017】
請求項2、3の発明によれば、DC−DC変換回路が自励式であっても他励式であっても本発明を適用できる。
【0018】
請求項4、5の発明によれば、DC−DC変換回路の制御回路が発振停止と発振許可の切替制御端子を有していない場合でも、制御電源電圧の供給/遮断を切り替えることによりDC−DC変換回路の起動/停止を制御できる。
【0019】
請求項6の発明によれば、DC−DC変換回路が動作を開始した後に、半導体発光素子が外れた場合でも、DC−DC変換回路からの帰還電流を遮断することにより、制御電源電圧の供給が継続されることを防止できる。
【0020】
請求項7の発明によれば、負荷接続が検出されない場合に回路中の電圧を低減できる。また、昇圧チョッパ回路を停止させることで電力ロスを低減できる。
【0021】
請求項8の発明によれば、負荷接続が検出されない場合に点灯装置を確実に停止できる照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1の点灯装置の回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の点灯装置に用いるDC−DC変換回路の構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態1の点灯装置に用いる負荷接続検出回路の構成例を示す回路図である。
【図4】本発明の実施形態2の点灯装置の概略構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の点灯装置の具体的構成を示す回路図である。
【図6】本発明の実施形態3の照明器具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の点灯装置の回路図である。この点灯装置は、入力直流電源となるコンデンサC1の直流電圧を電圧変換するDC−DC変換回路1を備えている。ここで、入力直流電源となるコンデンサC1は、例えば、商用交流電源(100V、50/60Hz)を全波整流器により整流し、力率改善用の昇圧チョッパ回路により数百Vに昇圧された直流電圧が充電されているものとする。
【0024】
DC−DC変換回路1は、入力端子A−B間の直流電圧を降圧して出力端子C−D間に出力する降圧型のコンバータ(ダウンコンバータ)である。その具体的な回路構成については、図2(a)〜(c)の説明において後述するが、一般的に出力端子C−D間に平滑用の出力コンデンサC2を備えている。また、この出力コンデンサC2の電荷を消灯制御時や調光制御時に速やかに放電させて応答性を高めるために、出力端子C−D間に適切な抵抗値の抵抗R3が並列接続されている。
【0025】
出力端子C−D間には、逆流防止用のダイオードD3を介して負荷端子3が接続されている。負荷端子3には、半導体発光素子4が接続されている。半導体発光素子4は複数個のLEDを直列または並列または直並列接続したLEDモジュールであっても良い。LED1個当たりの順電圧をVf、LEDの直列個数をnとすると、半導体発光素子4の両端電圧は、n×Vfとなる。半導体発光素子4が出力端子3に適正に接続されていれば、負荷端子3の両端電圧はn×Vfとなる。上述のように、DC−DC変換回路1は降圧型のコンバータ(ダウンコンバータ)であるから、入力直流電源となるコンデンサC1の直流電圧はn×Vfよりも高くなるように設定されている。
【0026】
入力端子Aと出力端子Cの間に接続された抵抗R1,R2の直列回路は、DC−DC変換回路1が図2(a),(b)に示すような入出力絶縁型のコンバータである場合に、入出力間に直流電流が流れる経路を確保するための高インピーダンスの直流通電回路である。DC−DC変換回路1として、図2(c)に示すような降圧チョッパ回路を用いる場合には、入力端子Aと出力端子Cは短絡しても構わない。
【0027】
負荷端子3と逆流防止用ダイオードD3の接続点(端子E)と入力端子Bの間には、負荷接続検出回路2が接続されている。この負荷接続検出回路2は、負荷接続検出端子Eと入力端子Bの間に直流電圧が検出されるか否かに応じて、負荷接続の有無を検出する回路である。その具体的な回路構成については、図3(a)〜(d)の説明において後述するが、要するに、入力直流電源となるコンデンサC1の正極から入力端子A→(抵抗R1,R2→)出力端子C→負荷端子3→半導体発光素子4→負荷端子3→負荷接続検出端子E→負荷接続検出回路2→入力端子B→コンデンサC1の負極の経路で直流電流経路が確立されていれば、DC−DC変換回路1の発振動作を起動し、前記直流電流経路が遮断されると、DC−DC変換回路1の発振動作を停止させる機能を備えていれば良い。
【0028】
図1の回路では、逆流防止用ダイオードD3を出力端子Dと負荷端子3の間に接続しているが、出力端子Cと負荷端子3の間に接続しても構わない。この逆流防止用ダイオードD3が無いと、抵抗R3を介する直流電流が端子E−B間に供給されてしまう。逆流防止用ダイオードD3を設けることで、端子E−B間に直流電流を供給する経路は、負荷端子3と半導体発光素子4を介する経路に限定され、この経路の接続不良や断線の有無を確実に検出できるのである。
【0029】
図1のDC−DC変換回路1の具体的な回路構成を図2(a)〜(c)に例示する。図2(a)はフライバックコンバータ回路1a、図2(b)はフォワードコンバータ回路1b、図2(c)は降圧チョッパ回路1cである。これらは例示であり、入力端子A−B間の直流電圧を降圧して出力端子C−D間に出力できる構成であれば、どのような回路構成を用いても構わない。また、図2(c)に例示するように、入力端子A、Bのいずれか1つと出力端子C、Dのいずれか1つは共通の端子であっても良い。
【0030】
図2(a)のフライバックコンバータ回路1aは、トランスT1とスイッチング素子Q1、ダイオードD1、コンデンサC2を備えている。入力端子AにはトランスT1の1次巻線の一端が接続されている。トランスT1の1次巻線の他端はスイッチング素子Q1を介して入力端子Bに接続されている。トランスT1の2次巻線の一端はダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のカソードは出力端子Cに接続されている。出力端子C−D間にはコンデンサC2が接続されている。トランスT1の2次巻線の他端は出力端子Dに接続されている。トランスT1の1次巻線と2次巻線は、図中の黒丸で示す方向に巻かれている。
【0031】
フライバックコンバータ回路1aの動作は周知であり、スイッチング素子Q1のオン時にトランスT1の1次巻線に入力直流電圧が印加されると、2次巻線には巻数比に応じた電圧が発生するが、ダイオードD1が遮断状態となる極性に接続されているので、コンデンサC2に充電電流は流れず、トランスT1に電磁エネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q1がオフすると、トランスT1に蓄積された電磁エネルギーによる逆起電力が発生する。この逆起電力はダイオードD1を導通させる方向に発生するので、トランスT1の電磁エネルギーはコンデンサC2に放出される。スイッチング素子Q1のオン・オフ周期やオン時間幅を可変制御することにより、出力側への供給電力を適切に制御できる。
【0032】
図2(b)のフォワードコンバータ回路1bは、図2(a)のトランスT1の2次巻線の巻き方向を逆方向としたものであり、スイッチング素子Q1のオン時にダイオードD1が導通する。スイッチング素子Q1のオン時にトランスT1の1次巻線に入力直流電圧が印加されると、2次巻線には巻数比に応じた電圧が発生し、ダイオードD1が導通状態となり、コンデンサC2に充電電流が流れる。スイッチング素子Q1のオフ時にはダイオードD1は遮断状態となる。スイッチング素子Q1のオン・オフ周期やオン時間幅を可変制御することにより、出力側への供給電力を適切に制御できる。
【0033】
図2(c)の降圧チョッパ回路1cは、スイッチング素子Q1とインダクタL1、ダイオードD1、コンデンサC2を備えている。入力端子Aと出力端子CにはダイオードD1のカソードとコンデンサC2の正極が接続されている。出力端子DにはコンデンサC2の負極とインダクタL1の一端が接続されている。インダクタL1の他端はダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のアノードとインダクタL1の接続点はスイッチング素子Q1を介して入力端子Bに接続されている。
【0034】
降圧チョッパ回路1cの動作は周知であり、スイッチング素子Q1がオンすると、入力端子A→コンデンサC2→インダクタL1→スイッチング素子Q1→入力端子Bの経路で直流電流が流れて、インダクタL1に電磁エネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1の電磁エネルギーによる逆起電力が発生し、インダクタL1→ダイオードD1→コンデンサC2→インダクタL1の経路で回生電流が流れて、インダクタL1の電磁エネルギーが放出される。この動作を繰り返すことで、入力端子A−B間の直流電圧を降圧した直流電圧が出力端子C−D間に得られる。スイッチング素子Q1のオン・オフ周期やオン時間幅を可変制御することにより、出力側への供給電力を適切に制御できる。
【0035】
次に、図1の負荷接続検出回路2の具体的な回路構成を、図3(a)〜(d)に例示する。図中のスイッチング素子Q1は、DC−DC変換回路1のスイッチング素子(図2(a)〜(c)参照)を意味している。
【0036】
図3(a)の負荷接続検出回路2aは、トランジスタTr1と抵抗R4よりなる。トランジスタTr1のベースは、抵抗R4を介して負荷接続検出端子Eに接続されている。トランジスタTr1のエミッタは、制御用集積回路5aのグランド端子GNDとDC−DC変換回路1の入力端子Bに接続されている。端子E−B間に直流電圧が印加されている場合、トランジスタTr1はオンとなる。端子E−B間に印加されていた直流電圧が無くなると、トランジスタTr1はオフとなる。トランジスタTr1のオンが制御用集積回路5aに対する起動信号となり、トランジスタTr1のオフが制御用集積回路5aに対する停止信号となる。
【0037】
図3(a)の制御用集積回路5aは、高周波の発振動作を低周波で間欠的にオンオフさせるためのPWM端子を備えている。このPWM端子は、常時は制御電源電圧Vccのレベルにプルアップされており、外付けされたトランジスタTr1のオン時にLowレベルになると発振許可、トランジスタTr1のオフ時にHighレベルになると発振停止となる。PWM端子がLowレベルである場合、ゲートドライブ端子GDには、高周波のオンオフ制御信号が出力され、DC−DC変換回路1のスイッチング素子Q1が高周波でオンオフ駆動される。制御用集積回路5aは、スイッチング素子Q1がオンのとき、電流検出抵抗Rsの両端電圧を監視するピーク電流検出端子Ipを備え、所定の電流値に達すると、スイッチング素子Q1をオフ制御するピーク電流制御機能を備えていても良い。このような機能を備える制御用集積回路5aの一例として、例えば、フィリップス社製のUBA3070などを用いることができる。図3(a)の制御電源電圧Vccとしては、図示しない制御電源回路から安定した直流低電圧が供給されているものとする。
【0038】
図3(b)の負荷接続検出回路2bは、トランジスタTr1,Tr2と抵抗R4,R5よりなる。トランジスタTr1のベースは、抵抗R4を介して負荷接続検出端子Eに接続されている。トランジスタTr1のエミッタは、制御回路5のグランド端子とDC−DC変換回路1の入力端子Bに接続されている。トランジスタTr1のコレクタは抵抗R5を介してトランジスタTr2のベースに接続されている。トランジスタTr2のエミッタは制御電源電圧Vccに接続されている。トランジスタTr2のコレクタは制御回路5の制御電源端子に接続されている。図3(b)の制御電源電圧Vccとしては、図示しない制御電源回路から安定した直流低電圧が供給されているものとする。
【0039】
端子E−B間に直流電圧が印加されている場合、トランジスタTr1、Tr2はオンとなり、制御回路5には制御電源電圧Vccが供給される。端子E−B間に印加されていた直流電圧が無くなると、トランジスタTr1、Tr2はオフとなり、制御回路5に供給されていた制御電源電圧Vccは遮断される。つまり、制御回路5へ制御電源電圧Vccを供給することがDC−DC変換回路1への起動信号となる。また、制御回路5へ供給されていた制御電源電圧Vccを遮断することがDC−DC変換回路1への停止信号となる。
【0040】
次に、図3(c)の例は、制御電源回路2cそのものを負荷接続検出回路としたものである。図3(c)の制御電源回路2cは、例えば、三端子レギュレータICであっても良いし、IPD(インテリジェント・パワー・デバイス)を用いた制御電源回路であっても良い。この制御電源回路2cは、負荷接続検出端子Eと入力端子Bの間に直流電圧が供給されている場合には、これを安定した直流低電圧に変換して、制御電源電圧Vccとして出力し、制御回路5の制御電源端子に供給する。
【0041】
図3(b)または(c)の例であれば、外部から発振許可/発振停止を制御するためのPWM端子を備えていない制御回路5を用いて、図3(a)と同じ機能を実現することができる。なお、図3(b)または(c)の制御回路5は、制御電源電圧が第1の電圧Vth1よりも高くなると発振を開始し、第1の電圧よりも低い第2の電圧Vth2を下回ると発振を停止する電源監視機能を備えていることが好ましい。市販されているスイッチングレギュレータ制御用ICの多くは、そのような電源監視機能を備えている。
【0042】
図3(c)の制御電源回路2cの具体的な回路構成を図3(d)に例示する。この電源回路は、抵抗R6,R7と電源コンデンサC3、ツェナーダイオードZD1、トランジスタTr3、ダイオードD2、電流帰還巻線n3を備えている。この例では、図2(a)のDC−DC変換回路のトランスT1に電流帰還巻線n3を追加して、その帰還電流を用いて安定点灯時の制御電源電圧Vccを効率良く確保している。負荷接続検出端子Eと入力端子Bの間に直流電圧が供給されている場合、抵抗R6,R7を介してコンデンサC3が充電される。コンデンサC3の充電電圧が制御回路5の電源監視機能の第1の電圧Vth1よりも高くなると、制御回路5からスイッチング素子Q1に高周波のオンオフ制御信号が供給されて、DC−DC変換回路が起動する。これにより電流帰還巻線n3から帰還電流が得られる。負荷接続検出端子Eと入力端子Bの間に直流電圧が供給されている場合、抵抗R7によりトランジスタTr3が順バイアスされて、トランジスタTr3がオン状態となっているから、ダイオードD2、トランジスタTr3を介して電流帰還巻線n3からコンデンサC3が充電される。コンデンサC3の充電電圧はツェナーダイオードZD1により規制される。これにより、効率良く制御電源電圧Vccが確保される。
【0043】
次に、負荷端子3と半導体発光素子4を介する経路の接続不良や断線が生じると、図1の負荷接続検出端子Eは開放状態となるから、抵抗R7を介するバイアス電流が消失して、トランジスタTr3がオフとなる。このため、電流帰還巻線n3からコンデンサC3に供給されていた充電電流は消失し、コンデンサC3の電圧は低下して行く。やがて、コンデンサC3の電圧が制御回路5の電源監視機能の第2の電圧Vth2よりも低くなると、制御回路5の発振は停止し、スイッチング素子Q1に供給されていた高周波のオンオフ制御信号は停止する。これにより、DC−DC変換回路は停止する。また、トランスT1の電流帰還巻線n3からの帰還電流も停止する。
【0044】
なお、図3(d)の電流帰還巻線n3は、図2(b)のトランスT1または図2(c)のインダクタL1に設けても良いことは言うまでも無い。また、電流帰還巻線n3の電流を遮断するトランジスタTr3は、バイポーラ型に限らずMOS型でも良く、端子E−B間の直流電圧によりオンするように接続されていれば良い。
【0045】
以上の説明では、DC−DC変換回路1は他励式コンバータであることを前提として説明したが、自励式コンバータであっても良い。その場合、端子E−B間の直流電圧の有無に応じて、コンバータの起動/停止を制御すれば良い。
【0046】
本実施形態では、出力端子C−D間に接続される直流通電要素として、DC−DC変換回路1の出力端の平滑コンデンサC2の残留電荷を放電するための抵抗R3を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、DC−DC変換回路1の出力端には、負荷断線時の過電圧を抑制するためのツェナーダイオードが並列接続されることがある。この場合のツェナーダイオードも直流通電要素である。
【0047】
また、出力端子C−D間に接続される直流通電要素は、必ずしも定常的な直流通電能力を有する回路素子に限定されるものではなく、電源投入初期に過渡的に流れる直流電流の積分値が所定値を越えるような過渡的な直流通電能力を有する回路素子である場合にも本発明を適用できる。例えば、図3(c),(d)の構成において、電源投入初期に電源コンデンサC3の電圧が制御回路5の第1の電圧Vthを越えるほどに、DC−DC変換回路1の出力コンデンサC2の容量が大きく設定されているような場合、出力コンデンサC2は過渡的な直流通電要素と言える。一方、特許文献1のスイッチング電源回路の出力コンデンサは、電源投入初期に制御電源回路の電源コンデンサを制御回路の動作開始電圧まで充電するほどの容量は有していないので、ここで言うところの過渡的な直流通電要素には該当しない。
【0048】
なお、本実施形態では、DC−DC変換回路1として降圧型のコンバータ(ダウンコンバータ)を想定しているが、これは半導体発光素子4が所定の導通しきい値を有するダイオード特性であることを前提としている。仮に、半導体発光素子4がオーミック抵抗を有する場合や、LED直列回路に負荷接続検出用の高抵抗を並列接続したLEDモジュールである場合には、DC−DC変換回路1が昇圧型のコンバータ(アップコンバータ)である場合でも、起動前に負荷接続の有無を検出することは可能である。
【0049】
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2の点灯装置の回路図である。本実施形態では、負荷接続検出回路2による負荷接続検出の有/無に応じて、入力直流電源としてのコンデンサC1の直流電圧を昇圧するための昇圧チョッパ回路7の起動/停止を制御している点が異なる。
【0050】
商用交流電源Vs(100V、50/60Hz)には、フィルタ回路6を介して全波整流器DB1が接続されている。全波整流器DB1の出力には、入力力率改善のために、昇圧チョッパ回路7が接続されている。昇圧チョッパ回路7は、商用交流電源を全波整流した脈流電圧のピーク値よりも高い直流電圧をコンデンサC1に充電する。
【0051】
負荷接続検出回路2によりDC−DC変換回路1が停止した場合、コンデンサC1の直流電圧が昇圧された状態に維持されることは好ましくない。そこで、本実施形態では、負荷接続検出回路2により負荷接続が検出されない場合には、昇圧チョッパ回路7に停止信号を与えて、昇圧動作を停止させる。また、負荷接続検出回路2により負荷接続が検出された場合には、昇圧チョッパ回路7に起動信号を与えて、昇圧動作を開始させる。
【0052】
図5は本実施形態のさらに具体的な回路構成を例示している。図4のDC−DC変換回路1として、図2(c)の降圧チョッパ回路1cを用いている。また、図4の負荷接続検出回路2として、図3(d)の構成を用いている。電流帰還巻線n2は降圧チョッパ回路1cのインダクタL1の2次巻線としているが、昇圧チョッパ回路7のインダクタL2の2次巻線としても良い。なお、コンデンサC3の電圧を安定化させるために、図3(d)のツェナーダイオードZD1に代えて、三端子レギュレータのような電源IC8とコンデンサC4を付加している。
【0053】
昇圧チョッパ回路7は、インダクタL2とダイオードD2、スイッチング素子Q2、及び制御回路70を備えている。インダクタL2の一端は全波整流器DB1の正出力端に接続されている。インダクタL2の他端はダイオードD2のアノードとスイッチング素子Q2の一端に接続されている。スイッチング素子Q2の他端は全波整流器DB1の負出力端とコンデンサC1の負極に接続されている。ダイオードD2のカソードはコンデンサC1の正極に接続されている。
【0054】
昇圧チョッパ回路7の動作は周知であり、スイッチング素子Q2がオンすると、全波整流器DB1の正出力端からインダクタL2、スイッチング素子Q2を介して全波整流器DB1の負出力端に電流が流れることで、商用交流電源Vsから入力電流が引き込まれる。スイッチング素子Q2がオフすると、全波整流器DB1の出力電圧にインダクタL2の逆起電力が重畳されて、ダイオードD2を介してコンデンサC1が充電され、このときも商用交流電源Vsから入力電流が引き込まれる。スイッチング素子Q2のオンオフ周波数は、商用交流電源Vsの周波数に比べると十分に高く、入力電流の高周波成分がフィルタ回路6により除去されることで、入力電流波形が入力電圧波形と相似形となり、入力力率が改善されるものである。
【0055】
この昇圧チョッパ回路7は入力力率改善のために必要であるが、消費電力が小さい場合には、入力電流が小さいので、昇圧動作を停止させても入力力率への悪影響は小さい。そこで、負荷接続検出端子Eにおいて、直流電圧を検出できない場合には、降圧チョッパ回路1cの動作を停止させると共に、昇圧チョッパ回路7の動作も停止させる。これにより、降圧チョッパ回路1cの停止時に、コンデンサC1に昇圧された直流電圧が充電されることはなくなる。また、昇圧チョッパ回路7における回路損失も回避できる。
【0056】
電源投入直後は、コンデンサC4の制御電源電圧Vccがゼロであるので、昇圧チョッパ回路7は動作を停止しており、コンデンサC1はインダクタL2とダイオードD2を介して全波整流器DB1の出力電圧のピーク値(約140V)まで充電される。これにより、コンデンサC1の正極→端子A→端子C→負荷端子3→半導体発光素子4→負荷端子3→端子E→抵抗R6→抵抗R7→コンデンサC3→コンデンサC1の負極の経路で直流電流が流れて、コンデンサC3が充電される。コンデンサC3の電圧が上昇し、電源IC8を介してコンデンサC4に安定した直流電圧が得られる。この直流電圧が制御電源電圧Vccとして制御回路5と制御回路70に供給されることで、降圧チョッパ回路1cと昇圧チョッパ回路7が動作を開始する。これにより、スイッチング動作による帰還電流が電流帰還巻線n2からダイオードD2、トランジスタTr3を介してコンデンサC3に供給され、効率良く制御電源電圧Vccが得られる。
【0057】
その後、負荷端子3と半導体発光素子4を接続するリード線の断線や、負荷端子3の接触不良、あるいは半導体発光素子4の内部の断線故障等により、負荷端子3と半導体発光素子4を介する直流電流経路が遮断されると、負荷接続検出端子Eは開放状態となり、トランジスタTr3のベースバイアスが消失することにより、電流帰還巻線n2からの帰還電流は遮断され、制御回路5、制御回路70は共に停止する。
【0058】
(実施形態3)
図6は本発明の点灯装置を用いた照明器具の一例を示している。本例は、電源ユニット30とLEDユニット40とが器具筐体9内に収められる一体型のLED照明器具である。電源ユニット30には、図1の負荷端子3までの電子回路が実装されている。電源ユニット30の負荷端子3からLEDユニット40までは出力配線34を介して接続される。
【0059】
器具筐体9は天井10に埋め込まれている。器具筐体9は、下端開放された金属製の円筒体よりなり、下端開放部は光拡散板91で覆われている。この光拡散板91に対向するように、LEDユニット40が配置されている。41はLED実装基板であり、LEDユニット40のLED4a〜4dを実装している。この例では、器具内に取り付けられるLEDユニット40の実装基板41の裏側に器具筐体9に熱的に結合された放熱板92を設けている。この放熱板92を介して、LED4a〜4dから発生する熱を放熱することでLED4a〜4dの温度を下げて、光出力を上げる効果がある。
【0060】
図6の例では、一例として、4個のLED4a〜4dが直列接続されたLEDユニット40を用いているが、図1の点灯装置では、コンデンサC1の電圧に比べて負荷電圧が低ければ良く、その範囲内であれば、LEDの直列個数は限定されるものではない。
【0061】
なお、電源ユニット30とLEDユニット40が別体となった電源別置型のLED照明器具に本発明の点灯装置を用いても構わない。その場合、例えば、4個のLEDを直列接続した第1のLEDユニットと、8個のLEDを直列接続した第2のLEDユニットをカスケード接続し、1つの点灯装置の出力で点灯することが可能となり、照明システム全体としてコストを低減することが出来る。各LEDユニットに用いるLEDの直列個数は限定されるものではない。
【0062】
(実施形態4)
本発明の点灯装置は照明器具に用いるほか、液晶ディスプレイ(液晶テレビを含む)のバックライトや車両用光源に用いても良い。車両用等の振動の多い環境で用いる場合には、振動で負荷開放異常が生じる可能性がある。本発明の点灯装置を用いれば、負荷開放異常が生じたときであっても、発振停止状態に移行できるので、無駄な電力消費を回避できると共に、回路の故障も回避できる。
【0063】
なお、いずれの実施形態においても、負荷接続検出回路により負荷接続が検出されない場合に、報知用のLEDを点滅あるいは点灯させたり、外部に報知音などの何らかの報知信号を出力するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 DC−DC変換回路
2 負荷接続検出回路
3 負荷端子
4 半導体発光素子
A、B 入力端子
C、D 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子間の直流電圧を電圧変換して出力端子間に直流電圧を出力するDC−DC変換回路と、
前記出力端子間に並列接続された直流通電要素と、
前記出力端子から供給される直流電流により点灯する半導体発光素子を接続される負荷端子と、
前記入力端子から前記負荷端子と前記半導体発光素子を介して直流電流を通電する経路を形成する負荷接続検出回路と、
前記負荷端子と前記直流通電要素の間に接続されて、前記入力端子から前記直流通電要素を介して前記負荷接続検出回路に直流電流を通電する経路を遮断する整流素子とを有することを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記負荷接続検出回路は、前記半導体発光素子を介する直流電流を検出したときに前記DC−DC変換回路を起動する起動回路であることを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記負荷接続検出回路は、前記半導体発光素子を介する直流電流が検出されないときに前記DC−DC変換回路を停止させる停止回路であることを特徴とする請求項1または2記載の点灯装置。
【請求項4】
前記負荷接続検出回路は、前記半導体発光素子を介する直流電流の有無に応じて前記DC−DC変換回路への制御電源電圧の供給の有無を切り替える回路であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の点灯装置。
【請求項5】
前記負荷接続検出回路は、前記半導体発光素子を介する直流電流を電源として前記DC−DC変換回路に制御電源電圧を供給する制御電源回路であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の点灯装置。
【請求項6】
前記制御電源回路は、前記DC−DC変換回路からの帰還電流を電源とし、前記DC−DC変換回路の動作中に前記半導体発光素子を介する直流電流が検出されなくなったときに前記帰還電流を遮断する手段を有することを特徴とする請求項5記載の点灯装置。
【請求項7】
前記入力端子間の直流電圧は昇圧チョッパ回路の出力電圧であり、前記負荷接続検出回路は、前記半導体発光素子を介する直流電流の有無に応じて前記昇圧チョッパ回路の起動/停止を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の点灯装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の点灯装置を備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−222266(P2011−222266A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89634(P2010−89634)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】