説明

無給油式スクリュー圧縮機

【課題】
低騒音で据付面積低減可能な無給油式スクリュー圧縮機を提供する。
【解決手段】
ユニットケース1の底部に圧縮機本体2a、2bと圧縮機駆動用のモータ8を配置し、その上側にダクト30を備え、ダクト30の左側面にはインタークーラ9、上面にはアフタークーラ11、正面にはオイルクーラ13を配置し、ダクト30の内部には冷却ファン30を配置し、ダクト30の底面に吸気口30aを設け、各クーラ9、11、13の下流側には上記ケース1の上面に繋がる排気ダクト31、32、33をそれぞれ設けた構造とし、冷却空気が冷却ファン30により、吸気口30aからダクト30内部に吸込まれ、各クーラ9、11、13を通過して排気ダクト31、32、33を介してケース1の上方向に排気される構造とした。この構造により、低騒音かつ据付面積が低減可能でコンパクトな無給油式スクリュー圧縮機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ型の無給油式スクリュー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無給油式スクリュー圧縮機の一例として特許文献1に記載のものがある。この従来のものでは、空冷式熱交換器(インタークーラ、アフタークーラ、オイルクーラなど)等の冷却機器類は、圧縮機本体や駆動系装置(モータやギヤケーシングなど)の背面に配置されていた。冷却機器類を構成するクーラはパッケージの背面に露出して配置され、低温の外気をクーラ内に直接取り込むようにし、これによりクーラの小型化が図れるようにしている。
【0003】
また、特許文献2に記載の従来技術では、空冷式熱交換器(インタークーラ、アフタークーラ、オイルクーラなど)を、パッケージ内の圧縮機本体や駆動系装置とは隔離された一側に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−155879号公報
【特許文献2】特開平11−141488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、冷却装置を構成するクーラ等の機器がパッケージ背面に露出し、直接連通する構造となっているため、クーラ部の表面から振動音や脈動音がパッケージ外に洩れやすいという欠点があった。
【0006】
また、上記特許文献2では、空冷式熱交換器(インタークーラ、アフタークーラ、オイルクーラなど)を、パッケージ内の圧縮機本体や駆動系装置とは隔離された一側に配置しているため、圧縮機本体と空冷式熱交換器を接続する配管長が長くなり、圧力損失が増加し、圧縮機の性能低下を招いていた。また、配管長が長くなるため、配管振動による騒音の増大や原価面でも不利な構造となっていた。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、騒音を低減し、熱交換器の冷却能力を確保し、さらには、コンパクトで据付面積を低減可能な無給油式スクリュー圧縮機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記目的を達成する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、
空気を所定の中間圧力まで昇圧する低圧段圧縮機と、
中間圧力まで昇圧された圧縮空気を所定の吐出圧力まで昇圧する高圧段圧縮機と、
前記低圧段圧縮機及び前記高圧段圧縮機を駆動するモータと、
前記低圧段圧縮機から吐出された圧縮空気を冷却する低圧段空冷式熱交換器と、
前記高圧段圧縮機から吐出された圧縮空気を冷却する高圧段空冷式熱交換器と、
前記圧縮機本体の軸受部および変速装置に供給される潤滑油を冷却する潤滑油用空冷式熱交換器と、
前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器に通風させるための冷却ファンと、
前記各部を覆うパッケージと、
前記パッケージ内において、前記低圧段圧縮機、高圧段圧縮機、及び、モータよりも上方に配置されるダクトと、
前記ダクト内に配設されて、周方向に冷却風を供給する冷却ファンとを備え、
前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器は、前記ダクト内において前記冷却ファンの周方向及び上面側に配置され、
前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器と、前記パッケージの上面との間を連結する排気ダクトを有することを特徴とする。
【0009】
また、より好適な態様の具体例を挙げるならば、下記の通りである。
(1)前記高圧段空冷式熱交換器を前記ダクトの上面に配置し、前記低圧段空冷式熱交換器と前記圧縮機潤滑油用空冷式熱交換器をそれぞれ前記ダクトの異なる側面に配置したこと。
(2)前記低圧段空冷式熱交換器の圧縮空気入口部と出口部がそれぞれ前記低圧段圧縮機側と前記高圧段圧縮機側になるように前記ダクトの側面に縦置きに配置したこと。
(3)前記圧縮機潤滑油用空冷式熱交換器を前記高圧段空冷式熱交換器の下側に前記ダクトの上方向から見て、前記高圧段空冷式熱交換器と一部重なるように配置したこと。
(4)前記低圧段空冷式熱交換器の下流側に設けた排気ダクト内に前記高圧段圧縮機と前記高圧段空冷式熱交換器を接続する配管の一部を配置した。
(5)前記高圧段空冷式熱交換器の上流側に前段空冷式熱交換器を備え、前記低圧段空冷式熱交換器と前記パッケージの上面との間を連結する排気ダクトに前記前段空冷式熱交換器を配置したこと。
(6)前記高圧段空冷式熱交換器の上流側に整流板を設けたこと。
(7)前記高圧段空冷式熱交換器の下流の高温排気部を塞いだこと。
(8)前記低圧段空冷式熱交換器の排気ダクトの低温側を塞いだこと。
(9)前記前段空冷式熱交換器により多くの冷却風が流れるように、前記低圧段空冷式熱交換器の排気ダクトの内部に整流板を設けたこと。
(10)前記低圧段空冷式熱交換器の上流側から下流側に冷却風をバイパスする通路を設けたこと。
(11)前記低圧段空冷式熱交換器の上流側から前記パッケージ内部の高温部(例えば、逆止弁周り)を通過し、前記低圧段空冷式熱交換器の下流側に冷却風をバイパスする通路を設けたこと。
(12)前記冷却ファンをターボファンとしたこと。
(13)前記ターボファンよりも下部に前記ダクトの内部空間を埋めるための部材を配置したこと。
(14)前記ダクトの内面側に前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器に冷却空気を導入するための整流用のガイドを設けたこと。
(15)前記パッケージ側面に前記モータを冷却するための吸気口と前記各クーラを冷却するための吸気口を備えたこと。
(16)前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器より冷却風の上流側であって、前記冷却ファンの上方に、前記冷却ファンを駆動するファンモータを配置したこと。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、騒音を低減し、熱交換器の冷却能力を確保しつつも、コンパクトで据付面積を低減可能な無給油式スクリュー圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】無給油式スクリュー圧縮機のユニット構造図。
【図2】無給油式スクリュー圧縮機のユニット構造図。
【図3】無給油式スクリュー圧縮機の構造と圧縮空気及び潤滑油のフローを示す図。
【図4】比較例の構造と圧縮空気及び潤滑油のフローを示す図。
【図5】冷却ファンの周囲に整流用のガイドを配置した例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態として、低圧段圧縮機本体と高圧段圧縮機本体を備えるパッケージ型の無給油式スクリュー圧縮機を例にして説明する。
【0013】
図1及び図2は本実施形態に係る無給油式スクリュー圧縮機のユニット構造図であり、図3は本実施形態に係る無給油式スクリュー圧縮機の構造と圧縮空気及び潤滑油のフローを示す図である。図4は比較例を示す図であり、具体的には、比較例に係る無給油式スクリュー圧縮機の構造と圧縮空気及び潤滑油のフローを示す図である。
【0014】
以下では、まず図4に示す比較例を説明し、この比較例に係る技術課題を整理した上で、本実施形態を説明する。
【0015】
図4において、圧縮機ユニットケース1(以下、ユニットケース、あるいは、パッケージとも称する。)に収納される無給油式スクリュー圧縮機は二段圧縮機であり、低圧段圧縮機本体2aと高圧段圧縮機本体2bを備えている。この低圧段圧縮機本体2aの吸込みガス通路の上流側に吸込み絞り弁6が設けられている。また、上記圧縮機本体は、圧縮室内に一対のスクリューロータである雄ロータ3及び雌ロータ4を収納している。雌雄ロータ3、4は、無給油及び非接触状態で回転自在に配設されており、その外周部には容積が変化するガス通路の溝が形成されている。
【0016】
上記両圧縮機本体2a、2bは圧縮機本体駆動用モータ8により、駆動ギヤ7を介して回転駆動される。圧縮に使用されるガスは、吸込みフィルタ5より外部から常温で取り込まれる。圧縮機ユニットケース1には内外を連通孔が複数設けられており、これらの連通孔が、空気の吸気口あるいは排気口として機能する。吸気口には風路形状19が設けられる。低圧段圧縮機本体2aに供給され、ここで圧縮された空気は、配管35を通じて低圧段空冷式熱交換器(以下、インタークーラ)9を通過して冷却された後、配管36を通じて高圧段圧縮機本体2bに供給される。
【0017】
高圧段圧縮機本体2bにより、さらに圧縮された空気は配管34を通じて流通する。配管34には逆止弁40と熱交換器が設けられており、圧縮空気は、高圧段空冷式熱交換器(以下、アフタークーラ)11の上流側に必要に応じて配置されるアフタークーラ11用の前段熱交換器(以下、プレクーラ)10を通過した後、アフタークーラ11へ供給されて冷却された後、圧縮機ユニット外部へ吐出される。
【0018】
ここで、プレクーラは、低圧段圧縮機2aもしくは高圧段圧縮機2bの圧縮比により、吐出空気温度がインタークーラ9、アフタークーラ11の耐熱温度もしくは寿命を短縮させるような温度を超える場合は、熱疲労保護のため、インタークーラ9もしくはアフタークーラ11もしくはその両方のクーラに対し、プレクーラを配置する必要がある。
【0019】
また、ギヤケース12に充填されている潤滑油は、圧縮機潤滑油用空冷式熱交換器(以下、オイルクーラ)13によって適正温度まで冷却された後、圧縮機本体内を含む圧縮機用軸受及び駆動ギヤ7へ、冷却及び回転潤滑のために供給され、再びギヤケース12へと回収される。潤滑油は、駆動ギヤ7や圧縮機本体の軸受部分に供給されるために必要である一方で、本実施形態は無給油式の圧縮機であり、空気の流通経路上に潤滑油が混入しない構造を採用している。したがって、圧縮空気の経路とは隔離された経路内で循環し、その経路内に設けられるオイルクーラ13によって冷却される構造となっている。
【0020】
図4に示す比較例では、インタークーラ9、アフタークーラ11及びオイルクーラ13は圧縮機ユニットの背面に配置され、各クーラの冷却風はパッケージ内の上方向に設けられた冷却ファン14によりパッケージ上部から外部に排気される構成としていた。冷却ファン14はファンモータ38によって回転し、このファンモータ38の駆動によってパッケージ外から空気を導き、これと熱交換することによって圧縮空気や潤滑油の冷却が行われる。
【0021】
圧力損失を低くすること、及び温度のできるだけ低い冷却風を各クーラに導くため、冷却風通路面はパッケージ外部に露出する構成とするのが通常であった。そのため、ユニット内からの騒音が外部に漏れやすいという欠点があった。さらに、冷却ファン14がパッケージ外部に露出してしまうため、ファン騒音が外部に漏れやすいという欠点もあった。また、この比較例のように、パッケージ背面に各クーラ9、11、13を並べた場合、圧縮機本体2a、2bと各クーラ9、11までの距離が長くなり、吐出しガスの配管構成が複雑になるだけでなく、これらの配管(例えば、配管34、35、36)は、ステンレス材で構成されているため非常に高価なものとなっていた。
【0022】
上記の問題を解決するために、本実施例の実際の位置関係をもつ空冷式熱交換器を有する無給油式スクリュー圧縮機のユニット構造を図1〜図3を用いて説明する。図1の(A)、(B)、(C)、(D)は、それぞれ本実施例の上面図、左側面図、正面図、右側面図の一例を示している(以下の説明でも左右の定義はこれを踏襲する。)。図2は本実施例の圧縮機のユニット構造を示す斜視図であり、(A)は正面側の左上方から見た斜視図、(B)は右奥上方から背面側を見た斜視図である。図3は本実施例の圧縮機の構造と圧縮空気及び潤滑油のフローと合わせて示した図である。前述した比較例(図4)と共通する部分は同符号を付して示しており、重複する説明は省略する。
【0023】
本実施例では、ユニットケース1の底部に圧縮機本体2a、2bと圧縮機駆動用のモータ8を配置し、その上側にダクト30を備え、ダクト30の左側面にはインタークーラ9、上面にはアフタークーラ11、正面にはオイルクーラ13を配置している。ダクト30の内部には冷却ファン14が配置されていて、ダクト30の底面には吸気口30aが設けられている。各クーラ9、11、13の下流側には上記ケース1の上面に繋がる排気ダクト31、32、33がそれぞれ設けられている。冷却空気は、冷却ファン14により、吸気口30aからダクト30内部に吸込み、各クーラ9、11、13を通過して、排気ダクト31、32、33を介してケース1の上方向に排気される。ダクト30の右側にはアフタークーラ11から吐出された圧縮空気から水分を除去するためのドライヤ(図示せず)を配置するためクーラを配置していない。ケース1には、吸気口1a、1bが設けられており、吸気口1aから吸込まれた冷却空気は、モータ8を冷却した後に吸気口30aからダクト30内に吸い込まれ、吸気口1bから吸い込まれた空気は直接吸気口30aからダクト30内に吸い込まれる。
【0024】
本実施例では、インタークーラ9、アフタークーラ11、及び、オイルクーラ13を冷却ファン14の周方向及び上面側に配置させている。すなわち、インタークーラ9、オイルクーラ13をダクト30の側面に配置し、排気ダクト32、33を介して上記ケース1の上方向に排気する構造としている。尚、図1に示す本実施例では、オイルクーラ13をダクト30の側面に横置きに配置した例を示している。ダクト30の側面にオイルクーラ13を縦置きに配置した例は後述する図5に示している。これにより、インタークーラ9とオイルクーラ13が直接ケース1の外部に露出しない構成とすることが可能となり、ユニット内部からの音漏れを抑制してパッケージ型圧縮機ユニットの低騒音化を図ることができる。
【0025】
さらに、ダクト30の側面及び上面に各クーラを配置することで、比較例のように吸込み側にクーラを配置している場合と比べてダクトを小型化かつ簡素化することができている。更に、ダクト30の異なる面に各クーラを配置しているので各クーラのサイズに自由度ができる。さらに、比較例では冷却ファン14がパッケージ外部から直接見える構造となっているため、ファン騒音がパッケージ1の外部に漏れ易くなっていたが、本実施例のように冷却ファン14をクーラ9、11、13の上流側のダクト30内部に配置することで、冷却ファン14から発生する騒音が直接パッケージ1の外部に漏れるのを防止することができる。
【0026】
また、本実施例では、インタークーラ入口9aを低圧段圧縮機2a側、インタークーラ出口9bを高圧段圧縮機2b側になるようにダクト30の側面に縦置きに配置することにより、低圧段圧縮機2aとインタークーラ入口9aを接続する配管35、及びインタークーラ出口9bと高圧段圧縮機2bを接続する配管36を比較例の配管ルートに比べ大幅に短縮している。これにより、配管の圧力損失を大幅に低減することができ性能向上を図ることができる。また、配管35、36は、高価なステンレス材で構成されているため、配管長短縮により大幅に原価低減を図ることができる。また、配管長短縮により配管振動による騒音の増大を低減することができる。
【0027】
また、本実施例では、オイルクーラ13をダクト30の前面に横向きに配置し、ダクト30の上方向から見て、アフタークーラ11の下側に一部重なるように配置している。ここで、オイルクーラ13をダクト30の前面に縦向きに配置した場合、ケース1内のダクト30の前面側のスペースが狭いため、オイルクーラ13の排気ダクト33内の空間が狭くなり、オイルクーラ13の高温排気により排気ダクト33内の空気温度が上昇し、オイルクーラ13の冷却効率が低下してしまう。本実施例の構造とすることで、オイルクーラ13の高温排気を排気ダクト33を介してスムーズに排気することができ、オイルクーラ13の冷却効率の低下を防止することができる。また、本実施例のようにオイルクーラ13とアフタークーラ11を重ねることで放射面積を小さくすることができ騒音に対しても有利な構造となっている。
【0028】
また、本実施例では、インタークーラ9の排気ダクト32に高圧段圧縮機2bとアフタークーラ11を接続する配管34を貫通、もしくはプレクーラ10(図示せず)を配置している。プレクーラ10に供給される圧縮空気温度は、インタークーラ9に供給される圧縮空気温度より高いため、インタークーラ9を通過した冷却風(排風)でも十分熱交換可能であるため排気ダクト32内に配置している。
【0029】
本実施例のように、高圧段圧縮機2bとアフタークーラ11の間にある配管34もしくはプレクーラ10を排気ダクト32内部を経由してアフタークーラ11に接続することで、高圧段圧縮機2bとアフタークーラ11を最短経路で接続することができる。これにより、配管の圧力損失を大幅に低減することができ性能向上を図ることができる。また、配管34は、高価なステンレス材で構成されているため、配管長短縮により大幅に原価低減を図ることができる。また、排気ダクト32内に配管34もしくはプレクーラ10を配置することで配管34もしくはプレクーラ10から発生する騒音を排気ダクト32で吸音できる効果もある。
【0030】
また、本実施例では、アフタークーラ11の上流側に整流板(図示せず)を設け、アフタークーラ11の低温側に多くの冷却風が流れるようにし、アフタークーラ11の冷却効率を向上させている。もしくは、アフタークーラ11の下流の高温排気部を塞ぐことでアフタークーラ11の低温側に多くの冷却風が流れるようにし、アフタークーラ11の冷却効率を向上させている。
【0031】
また、本実施例では、インタークーラ9の排気ダクト32の低温排気側を一部塞ぎ、高温排気側に低温排気を流すことで、排気温度の平均化を図り、ケース1の外表面が高温排気により加熱されるのを防止している。
【0032】
また、本実施例では、インタークーラ9の排気ダクト32に整流板(図示せず)を設けたり、もしくは排気ダクト32の出口部を図示のように絞ることで、プレクーラ10により多くの冷却風が流れるようにし、プレクーラ10の冷却効率を向上させている。
【0033】
また、本実施例では、ダクト30に設けた開口部39aと排気ダクト32に設けた開口部39bを連通するカバー39を設け、インタークーラ9の上流側から下流側に冷却風をバイパスすることでインタークーラ9を冷却後の高温となっている排風の温度を下げ、排気ダクト32の表面の温度上昇を抑え、ケース1内部の空気が加熱されるのを抑制し、各クーラを冷却する冷却風の温度上昇を抑え、冷却効率の向上を図っている。また、ケース1内の高温部(例えば、逆止弁40)をカバー39の内部に配置し、冷却風で冷却することで、ケース1内の温度上昇を抑制することができる。
【0034】
より好適な例を図5を用いて説明する。図5は冷却ファン14の周囲に整流用のガイドを配設した例を示している。
【0035】
この図5に示すように、冷却ファン14をターボファンとし、ターボファン14下部の空気の流れないデッドスペースに部材42を配置することで、ターボファンの効率を向上させている。本発明者らにより冷却風量が増加することを確認している。
【0036】
また、比較例や従来技術のように冷却ファン14にプロペラファンを用いた場合、プロペラファンは冷却風を軸方向にしか送ることができないため、冷却効率を上げようとすると、クーラ9、11、13を冷却ファン14の軸方向部に並べて配置する必要があり、ダクトが大きくなっていた。一方、ターボファンは円周方向に冷却空気を吐出すことができるため、ダクト30の側面にクーラ9、11、13を配置することが可能となり、ダクト30をコンパクトにすることができる。更に、本実施例のようにターボファンの側面にインタークーラ9及びオイルクーラ13を配置することで、クーラに冷却風を積極的に流すことが可能となり、クーラの冷却効率を向上することができる。
【0037】
更に、本発明者らにより、図5に示すように、ダクト30の内面に部材41a、41b、41c、41d、41eを配置し、ターボファン14から円周方向に吐出された空気を43、44、45の方向に導くことで、効率良く各クーラ9、13、11に冷却風を流すことができ、クーラの冷却効率を更に向上させることができることを確認している。
【0038】
図5に示す部材41、42を吸音材とすることで、30内の音圧上昇の抑制と、モータ8を冷却した後の温度上昇した高温空気、圧縮機本体2a、2bから発生する熱、更には配管34、35、36等から発生する熱によりダクト30内の冷却風の温度上昇を防止し、クーラ9、11、13の冷却効率の低下を抑制する効果も得ることができる。
【0039】
ここで、ターボファンを例に挙げたが、円周方向に空気を吐出すことができるファンであれば同様の効果をえることができる。
【0040】
また、本実施例ではケース1の側面にモータ8を冷却するための吸気口1aと各クーラを冷却するための吸気口1bを設け、吸気口1aから吸気されモータ8を冷却することで温度上昇した冷却空気と吸気口1bから吸気した温度上していない空気とを混合することでダクト30に吸気される冷却風の温度上昇を抑えている。当然、吸気口1a、1bのケース1内部にはケース1外部に音が漏れないようにダクトを設けている。
【0041】
また、本実施例では、ファンモータ38を各クーラ9、11、13よりも上流に配置しているので冷却ファンを駆動するファンモータ38が、クーラ9、11、13の排熱により温度上昇することを防止する効果もある。
【0042】
以上説明したように、圧縮機ユニットケース内の有効利用により省スペース化が可能となり、低騒音で据付面積の小さなコンパクトな無給油式スクリュー圧縮機を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ケース、1a、1b…吸気口、2a…低圧段圧縮機本体、2b…高圧段圧縮機本体、3…雄ロータ、4…雌ロータ、5…吸込みフィルタ、6…吸込み絞り弁、7…駆動ギヤ、8…圧縮機駆動用モータ、9…低圧段空冷式熱交換器(インタークーラ)、10…前段熱交換器(プレクーラ)、11…高圧段空冷式熱交換器(アフタークーラ)、12…ギヤケース、13…圧縮機潤滑油用空冷式熱交換器(オイルクーラ)、14…冷却ファン、30、31、32…ダクト、34、35、36…配管、38…ファンモータ、39…カバー、39a、39b…開口部、40…逆止弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を所定の中間圧力まで昇圧する低圧段圧縮機と、
中間圧力まで昇圧された圧縮空気を所定の吐出圧力まで昇圧する高圧段圧縮機と、
前記低圧段圧縮機及び前記高圧段圧縮機を駆動するモータと、
前記低圧段圧縮機から吐出された圧縮空気を冷却する低圧段空冷式熱交換器と、
前記高圧段圧縮機から吐出された圧縮空気を冷却する高圧段空冷式熱交換器と、
前記圧縮機本体の軸受部および変速装置に供給される潤滑油を冷却する潤滑油用空冷式熱交換器と、
前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器に通風させるための冷却ファンと、
前記各部を覆うパッケージと、
前記パッケージ内において、前記低圧段圧縮機、高圧段圧縮機、及び、モータよりも上方に配置されるダクトと、
前記ダクト内に配設されて、周方向に冷却風を供給する冷却ファンとを備え、
前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器は、前記ダクト内において前記冷却ファンの周方向及び上面側に配置され、
前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器と、前記パッケージの上面との間を連結する排気ダクトを有することを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記高圧段空冷式熱交換器を前記ダクトの上面に配置し、前記低圧段空冷式熱交換器と前記圧縮機潤滑油用空冷式熱交換器をそれぞれ前記ダクトの異なる側面に配置したことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項3】
請求項2に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記低圧段空冷式熱交換器を前記低圧段空冷式熱交換器の圧縮空気入口部と出口部がそれぞれ前記低圧段圧縮機側と前記高圧段圧縮機側になるように前記ダクトの側面に縦置きに配置したことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項4】
請求項2に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記圧縮機潤滑油用空冷式熱交換器を前記高圧段空冷式熱交換器の下側に前記ダクトの上方向から見て、前記高圧段空冷式熱交換器と一部重なるように配置したことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項5】
請求項2に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記低圧段空冷式熱交換器の下流側に設けた排気ダクト内に前記高圧段圧縮機と前記高圧段空冷式熱交換器を接続する配管の一部を配置したことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項6】
請求項2に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記高圧段空冷式熱交換器の上流側に前段空冷式熱交換器を備え、前記低圧段空冷式熱交換器と前記パッケージの上面との間を連結する排気ダクトに前記前段空冷式熱交換器を配置したことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項7】
請求項2に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記高圧段空冷式熱交換器の上流側に整流板を設けたことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項8】
請求項2に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記高圧段空冷式熱交換器の下流の高温排気部を塞いだことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項9】
請求項2に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記低圧段空冷式熱交換器の排気ダクトの低温側を塞いだことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項10】
請求項5に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記前段空冷式熱交換器により多くの冷却風が流れるように、前記低圧段空冷式熱交換器の排気ダクトの内部に整流板を設けたことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項11】
請求項3に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記低圧段空冷式熱交換器の上流側から下流側に冷却風をバイパスする通路を設けたことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項12】
請求項5に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記低圧段空冷式熱交換器の上流側から前記パッケージ内部の高温部を通過し、前記低圧段空冷式熱交換器の下流側に冷却風をバイパスする通路を設けたことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項13】
請求項1に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記冷却ファンをターボファンとしたことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項14】
請求項12に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記ターボファンよりも下部に前記ダクトの内部空間を埋めるための部材を配置したことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項15】
請求項12に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記ダクトの内面側に前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器に冷却空気を導入するための整流用のガイドを設けたことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項16】
請求項1に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記パッケージ側面に前記モータを冷却するための吸気口と前記各クーラを冷却するための吸気口を備えたことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。
【請求項17】
請求項1に記載の無給油式スクリュー圧縮機において、前記低圧段空冷式熱交換器、前記高圧段空冷式熱交換器、及び、前記潤滑油用空冷式熱交換器より冷却風の上流側であって、前記冷却ファンの上方に、前記冷却ファンを駆動するファンモータを配置したことを特徴とする無給油式スクリュー圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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